(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6301462
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】負荷電流によって作動する少なくとも1つの電気消費機器を作動させるステアリングコラムスイッチユニット、自動車両、及びステアリングコラムスイッチユニットを作製するための方法
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20180319BHJP
H01H 21/12 20060101ALI20180319BHJP
H01H 25/04 20060101ALI20180319BHJP
H01H 21/18 20060101ALI20180319BHJP
【FI】
B60R16/02 630K
B60R16/02 630B
H01H21/12 C
H01H25/04 L
H01H21/18 Z
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-523984(P2016-523984)
(86)(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公表番号】特表2016-534926(P2016-534926A)
(43)【公表日】2016年11月10日
(86)【国際出願番号】EP2014070648
(87)【国際公開番号】WO2015055402
(87)【国際公開日】20150423
【審査請求日】2016年5月30日
(31)【優先権主張番号】102013017246.2
(32)【優先日】2013年10月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】カール、シモニス
(72)【発明者】
【氏名】ローランド、グリューナー
【審査官】
森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−242866(JP,A)
【文献】
特開平10−208590(JP,A)
【文献】
特表2010−530603(JP,A)
【文献】
特開2011−238548(JP,A)
【文献】
特開平10−324203(JP,A)
【文献】
特開平10−021797(JP,A)
【文献】
特開2002−279858(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0145467(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/00−16/08
H01H 19/00−25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両において、負荷電流によって作動する少なくとも一つの電気消費機器を作動させるステアリングコラムスイッチユニット(1)であって、ステアリングコラムレバー(16)によって可動な接触部材(15、15’)のための電導性の複数の接触面(8、10、13)に接続される複数のストリップ導体(9、11)が配置されたプリント基板(5)を備え、前記ストリップ導体(9、11)が前記負荷電流のために構成されるものにおいて、
前記負荷電流が複数の前記接触面(13)及び前記ストリップ導体(9、11)を介して送られ、
前記複数の接触面(13)が、当該接触面(13)と接触する複数の接触部材(15)を有する摺動部材(14)をスライドさせることにより前記負荷電流を切り替えることができるように配置されており、
前記複数の接触面(13)が、前記プリント基板(5)に固定されるアドオン部品(12)の面である、ことを特徴とするステアリングコラムスイッチユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のステアリングコラムスイッチユニット(1)であって、制御電流を前記ストリップ導体(9、11)を介して送ることも可能であり、このとき、前記接触面(8、10)が、当該接触面(8,10)と接触する接触要素を有するスライド部材をスライドさせることにより前記電気消費機器の制御装置のため前記制御電流を切り替えることができるように配置されている、ことを特徴とするステアリングコラムスイッチユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のステアリングコラムスイッチユニット(1)であって、前記アドオン部品(12)が、プラスチックでインサート成形されるパンチ加工部品であることを特徴とするステアリングコラムスイッチユニット。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のステアリングコラムスイッチユニット(1)であって、前記アドオン部品(12)が、SMT技術により前記プリント基板(5)に対して溶接されるSMD部品として設計されることを特徴とするステアリングコラムスイッチユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のステアリングコラムスイッチユニット(1)であって、前記アドオン部品(12)が前記プリント基板(5)の凹部に配置されることを特徴とするステアリングコラムスイッチユニット。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のステアリングコラムスイッチユニット(1)であって、
制御電流を切り替えるための第1接触面(8、10)が前記プリント基板(5)に配置され、
前記第1接触面(8、10)を介して前記負荷電流を切り替えるための第2接触面(13)を有する前記アドオン部品(12)が前記プリント基板(5)に配置されることを特徴とするステアリングコラムスイッチユニット。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のステアリングコラムスイッチユニット(1)を備えることを特徴とする自動車両。
【請求項8】
自動車両において、負荷電流によって作動する少なくとも1つの電気消費機器を作動させるステアリングコラムスイッチユニット(1)を作製するための方法であって、
ステアリングコラムレバー(16)によって可動な接触部材(15、15’)のための電導性の第1接触面(8、10)と、前記負荷電流のために構成されたストリップ導体(9、11)とが配置されるプリント基板(5)を前記ステアリングコラムスイッチユニット(1)に対して設けるステップと、
前記電気消費機器の制御装置のための制御電流が前記第1接触面(8、10)及び前記ストリップ導体(9、11)を介して送られる少なくとも1つの第1の型と、前記負荷電流が前記ストリップ導体(9、11)を介して送られる少なくとも1つの第2の型との中から、前記ステアリングコラムスイッチユニット(1)の型を選択するステップと、
前記第1の型が選択された場合、前記制御電流を切り替えるために前記プリント基板(5)を前記第1接触面(8、10)及び前記ストリップ導体(9、11)と共に使用するステップと、
前記第2の型が選択された場合、前記ストリップ導体(9、11)に電気的に接続される第2接触面(13)を有するアドオン部品(12)を前記プリント基板(5)に固定し、前記負荷電流を切り替えるために前記プリント基板(5)を前記アドオン部品(12)の前記第2接触面(13)及び前記ストリップ導体(9、11)と共に使用するステップとを備えることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記アドオン部品(12)が、プラスチックでインサート成形されるパンチ加工部品であることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の方法であって、前記第2の型が選択された場合、前記アドオン部品(12)が、SMT技術により前記プリント基板(5)に対して溶接されるSMD部品として設計されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項8から請求項10のいずれか一項に記載の方法であって、前記第2の型が選択された場合、前記プリント基板(5)に凹部を設け、前記アドオン部品(12)が前記プリント基板(5)の前記凹部に配置されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項8から請求項10のいずれか一項に記載の方法であって、前記第2の型が選択された場合、前記第2接触面(13)を有する前記アドオン部品(12)が前記第1接触面(8,10)を介して前記プリント基板(5)に配置されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両において、負荷電流によって作動する少なくとも1つの電気消費機器を作動させるステアリングコラムスイッチユニットに関する。ステアリングコラムスイッチユニットは、ストリップ導体が配置されたプリント基板を備え、ストリップ導体は、ステアリングコラムレバーによって可動な接触部材の電導性接触面に接続される。本発明はまた、そのようなステアリングコラムスイッチユニットを備えた自動車両、及び自動車両用のステアリングコラムスイッチユニットを作製する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術によって、様々な構成の自動車両用ステアリングコラムスイッチユニットが知られている。基本的な違いは、ステアリングコラムスイッチの2つの型(変種、バリエーション)にある。それらのステアリングコラムスイッチのうちの1つの型においては、ステアリングコラムレバーを操作すると、負荷電流がそのステアリングコラムスイッチモジュール内で直接切り替えられ、関連する電気消費機器に直接供給される。もう1つの型においては、ステアリングコラムレバーを操作すると、制御電流のみがステアリングコラムスイッチモジュール内において切り替えられ、そして制御電流は制御装置に供給される。制御装置は、制御電流に基づいて電気消費機器を作動させる。よってこの型においては、負荷電流がステアリングコラムスイッチ内を流れることはない。また、符号化制御電流と負荷電流をステアリングコラムスイッチユニット内で切り替える混合型も知られている。そのようなステアリングコラムスイッチユニットにおいては、例えば2本のステアリングコラムレバーが設けられ、第1のレバーを操作すると、制御電流が切り替えられ、第2のレバーを操作すると、負荷電流が切り替えられる。
【0003】
様々な型が存在するため、ステアリングコラムスイッチユニットの製造は比較的複雑なものとなっている。制御電流用の型の場合、ストリップ導体と接触面とを有するプリント基板が設けられることが多い。対して、負荷電流用の型の場合、プラスチックでインサート成形され、関連する送電線を有するパンチ加工部品が使われる。混合型が選択された場合、プリント基板と別個のパンチ加工部品の両方が設けられる。この場合、パンチ加工部品は負荷電流用に構成された接触面を有する。制御電流はミリアンペア範囲、つまり約1から50mAの電流値であるのに対し、負荷電流の電流値は大幅に高く、電気消費機器にもよるが、約5から10Aの範囲の値になることが多い。これは12Vのネットワーク電圧に当てはまる。
【0004】
したがって、第1ステアリングコラムレバーを操作して制御電流を切り替え、第2ステアリングコラムレバーを操作して負荷電流を切り替えるステアリングコラムスイッチユニットは、比較的構造が複雑となり、コストも高くなる。さらには、信号符号化のための抵抗器をパンチ加工部品に取り付ける際には、困難を伴い、比較的複雑な方法を要するということも欠点である。また、制御電流と負荷電流を伝達する共通コネクタを実現するにも、相当な困難が伴う。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、先行技術と比較して、ステアリングコラムスイッチユニットの製造コストを低減することが可能なステアリングコラムスイッチユニット、自動車両、及び方法を提供することにある。
【0006】
本発明によれば、上記の目的が、特許請求の範囲の独立請求項に記載の特徴を有するステアリングコラムスイッチユニット、自動車両、及び方法によって達成される。本発明の有利な実施形態は、特許請求の範囲の従属請求項、明細書、及び図面によって明らかにされる。
【0007】
本発明によるステアリングコラムスイッチユニットは、自動車両において、負荷電流によって作動する少なくとも1つの電気消費機器を作動させるために設計される。該ステアリングコラムスイッチユニットは、例えば、自動車両のステアリングコラムに取り付けられるステアリングコラムスイッチモジュールとして設計できる。また、ステアリングコラムスイッチユニットは、1本以上のステアリングコラムレバーを有することができる。また、ステアリングコラムスイッチユニットは、ストリップ導体が配置されたプリント基板(PCB)を備える。ストリップ導体は、1本のステアリングコラムレバーで動く接触部材と接触する電導性接触面に接続される。本発明においては、ストリップ導体は、負荷電流用に構成される。
【0008】
つまり、ストリップ導体は負荷電流で作動するために設計され、それ故、電気消費機器の作動中には、負荷電流がプリント基板やストリップ導体を破壊せずにストリップ導体を流れるような寸法となっている。この場合のストリップ導体は、1A以上で、特に5A以上、好ましくは10A以上の電流値での作動に適している。本発明によるステアリングコラムスイッチユニットは、プリント基板に配置されるストリップ導体が、ステアリングコラムスイッチユニットのあらゆる型に使用できるという利点を有している。制御電流用の型が選択された場合、制御電流はストリップ導体を介して制御装置に送られる。この型においては、ストリップ導体はオーバーサイズとなる。対照的に、負荷電流用の型が選択された場合、負荷電流はストリップ導体を介して電気消費機器に送られる。混合型も可能である。よって、負荷電流用の型に対して別個のパンチ加工部品を使用する必要がなく、それ故に、ステアリングコラムスイッチユニットの製造コストが先行技術と比較して大幅に低減される。
【0009】
ステアリングコラムスイッチユニットとしては様々な型が、それ故可能となる。
【0010】
一実施形態においては、上述の接触面が、電気消費機器の制御装置に出力される制御電流を切り替えるために設計される。制御装置は、その時制御電流に基づいて電気消費機器を作動させる。この実施形態においては、ステアリングコラムスイッチユニットの作動中、制御電流がストリップ導体を介して送られ、よってストリップ導体は、それ相応に余裕のある寸法となる。制御電流は1mAから50mAの範囲の電流値となることが多い。
【0011】
別の実施形態、つまり第2の型においては、ステアリングコラムスイッチユニットの作動中、負荷電流がストリップ導体を介して送られるよう、接触面が負荷電流を切り替えるために設計されてよい。
【0012】
この負荷電流用の型が選択された場合、上述の接触面は、プリント基板に固定されるアドオン部品の面であってもよい。この実施形態は、ストリップ導体を有するプリント基板を作製する際、制御電流を切り替えるために設計される第1接触面をも設けることができるという利点がある。このようなプリント基板はあらゆる型に対して使用することができる。負荷電流用の型が選択された場合は、アドオン部品も付加的にプリント基板に固定する。よって、アドオン部品は、負荷電流用の型の場合のみ存在することとなる。アドオン部品には、負荷電流を切り替えるために設計される第2接触面が配置される。よって、全ての型に対応した標準的プリント基板を作製することができる。
【0013】
上述のアドオン部品は、例えばパンチ加工部品、特にプラスチックでインサート成形されたパンチ加工部品とすることができる。そのようなパンチ加工部品は、第1に、コストを抑えて製造することができ、第2に、負荷電流の切り替えに特に適している。
【0014】
アドオン部品の固定に関しては、アドオン部品を、SMT技術(表面実装技術)によってプリント基板に溶接されるSMD部品(表面実装部品)として設計すると都合がよいことが分かっている。よって、SMT技術によれば1つの製造工程で、あらゆる電子部品をプリント基板に嵌め込むことができる。
【0015】
第1に、アドオン部品は、プリント基板の凹部に配置することができる。この凹部は、上述の第1接触面が設けられるプリント基板の箇所と同一の箇所に配置されることが好ましい。よって、負荷電流用の型が選択された場合は、第1接触面をそのまま抜き出すような形となる。このことは、アドオン部品とプリント基板が同一の平面を形成するように、アドオン部品をプリント基板に固定できる、という利点がある。その後は、アドオン部品の接触面を、第1接触面の位置に正確に配置する。
【0016】
第2に、第1接触面を介して負荷電流を切り替えるための第2接触面を有するアドオン部品をプリント基板に配置することもできる。この場合は、プリント基板自体に変更を加える必要はない。
【0017】
本発明はまた、自動車両、特に本発明によるステアリングコラムスイッチユニットを備えた乗用車にも関する。
【0018】
本発明による方法は、自動車両において、負荷電流によって作動する少なくとも1つの電気消費機器を作動させるステアリングコラムスイッチユニットを作製するためのものである。まず、ステアリングコラムレバーにより可動な接触部材のための電導性第1接触面と、負荷電流用に構成されたストリップ導体とが配置されたプリント基板を用意する。その後、少なくとも1つの第1の型(制御電流用の型)と少なくとも1つの第2の型(負荷電流用の型)の中から、ステアリングコラムスイッチユニットの型を選択する。第1の型においては、制御装置に対する制御電流が第1接触面とストリップ導体とを介して送られ、第2の型においては、負荷電流がストリップ導体を介して送られる。第1の型が選択された場合、プリント基板は、制御電流を切り替えるため第1接触面とストリップ導体と共に使用される。対照的に第2の型が選択された場合、ストリップ導体に電気的に接続される第2接触面を有するアドオン部品がプリント基板に固定され、プリント基板は、負荷電流を切り替えるためアドオン部品の第2接続面とストリップ導体と共に使用される。
【0019】
本発明によるステアリングコラムスイッチユニットに関して提示される好ましい実施形態とその利点は、本発明による自動車両と本発明による方法にも同様に当てはまる。
【0020】
本発明の他の特徴は、請求項の範囲、添付の図面、及び図面の説明から明らかにされる。上記の説明における全ての特徴やそれらの特徴の組み合わせ、及び以降の図面の説明で言及される、及び/または図面から自ずと明らかとなる特徴やそれらの組み合わせは、言及した組み合わせのみにおいて機能するのではなく、他の組み合わせでも自ずと機能する。
【0021】
以下、好ましい実施例と添付の図面を参照することによって本発明を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態によるステアリングコラムスイッチユニットの斜視模式図である。
【
図2】アドオン部品を取り付けたステアリングコラムスイッチユニットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示すステアリングコラムスイッチユニット1は、乗用車のステアリングコラムに設置することができるステアリングコラムモジュールの形で設計されている。ステアリングコラムスイッチユニット1は、ステアリングコラムのステアリングシャフトに取り付けられるハブ2を備える。ステアリングコラムスイッチユニット1はさらに、ステアリングコラムに固定された状態で配置されるハウジング3を備える。よって、ステアリングホイールが回されると、ハブ2のみがハウジング3に対して回転することになる。
【0024】
またハウジング3内には、ステアリングホイール内に位置するユニット間で電気信号を伝達させる、いわゆるフラット導体や巻きバネ、車内の定位置に配置される制御装置なども配置することができる。
【0025】
ハウジング3に対しては、1本以上のステアリングコラムレバーを固定することができ、それによって車両の複数の電気消費機器を操作することができる。例えば1本のステアリングコラムレバーによって、ウィンドウウォッシャーシステムのポンプ、ウィンドウワイパーの電動モーター、車両の方向指示灯、ヘッドライトなどが操作できる。
【0026】
ハウジング3のレセプタクル4内には、プリント基板5(回路基板)が配置される。この実施例におけるプリント基板は、2つのステアリングコラムレバー、つまり左右のステアリングコラムレバーによる操作を想定して設計されている。したがって、プリント基板5は、左領域6と右領域7とに分割される。左領域6には、ストリップ導体9(模式的に示す)に電気的に接続される第1接触面8が配置される。代替的に、ストリップ導体9をプリント基板5の反対側の背面に配置することも可能である。さらに代替的に、プリント基板5を複層式のプリント基板として設計して、ストリップ導体9をそのプリント基板5の内層に配置してもよい。
【0027】
プリント基板5の右領域7に形成されるのは、ストリップ導体11(模式的に示す)に電気的に接続される第1接触面10である。ストリップ導体11は、任意に、プリント基板5の背面や内層に配置することもできる。
【0028】
ステアリングコラムスイッチユニット1の型に応じて、負荷電流、または制御電流が、対応するステアリングコラムレバーを操作することによってハウジング内で切り替えられる。負荷電流とは、電気消費機器に直接供給される電流である。対照的に、制御電流は、制御装置に出力される制御信号を構成し、それによって、電気消費機器が作動される。負荷電流が1本のステアリングコラムレバーによって切り替えられ、制御電流が別のステアリングコラムレバーによって切り替えられるというような混合型も本発明では可能である。
【0029】
図1に示した第1接触面8、10は、制御電流を切り替えるために設計され、またそのための寸法になっている。接触面8、10には、例えば、金メッキや銀メッキ処理を施してもよい。対照的に、ストリップ導体9及び/またはストリップ導体11は、負荷電流のために設計されており、それ故、5Aから10A以上の電流を伝達できるような寸法になっている。したがって、ストリップ導体9及び/またはストリップ導体11は、単にミリアンペア範囲の制御電流のために構成されるストリップ導体よりも、厚い材料(例えば銅)で形成される。
【0030】
よって、
図1に示したようなプリント基板5は、ステアリングコラムスイッチユニット1のあらゆる型に対して使用することができる。制御電流のみのための型が選択された場合、制御電流は、第1接触面8及び/または第1接触面10とストリップ導体9及び/またはストリップ導体11を介して伝達される。この場合、ストリップ導体9及び/またはストリップ導体11は、余裕のある寸法となる。
【0031】
対照的に、1本または2本のステアリングコラムレバーを用いて負荷電流を切り替えるような別の第2の型が選択された場合、
図2に示すようなアドオン部品12をプリント基板5の右領域7に対して使用する。アドオン部品12には、負荷電流を切り替えるために設計される第2接触面13が配置される。接触面13は、それ故、5Aから10A以上の電流で作動するような寸法となっている。接触面13はストリップ導体11に接続される。ストリップ導体11は、ステアリングコラムスイッチユニットの型がどうであれ、負荷電流のために最適化されたものとなっている。
【0032】
図3に示すように、アドオン部品12の設計としては、プラスチックでインサート成形され、直接第1接触面10を介してプリント基板5に固定されるパンチ加工部品が可能である。固定の際は、例えば、アドオン部品12をSMDとし、プリント基板5の表面に溶接すればよい。代替的に、第1接触面10をそのまま抜き出すようにプリント基板5に凹部を設け、その凹部内にアドオン部品12を配置することもできる。その場合、アドオン部品12がプリント基板5の表面と共に同一の平面を形成する。
【0033】
図4は、電気接触部材15を有する摺動部材14を示す。
(複数の)電気接触部材15はバネ接触部として設計され、
(複数の)第2接触面13
と接触する。よって接触部材15は、負荷電流を切り替えるために設計される。ステアリングコラムレバー16を操作すると、摺動部品14が矢印17の方向の2つ以上の位置の間を移動する。対照的に、制御電流用の型が選択される場合、
図5に示すような、制御電流を切り替えるために設計される接触部材15’を有した摺動部材14’が使用される。
図4及び
図5から明らかなように、負荷電流用の接触部材15は、接触部材15’よりもかなり大きい寸法で、堅固である。よって、負荷電流用の型が選択されると、摺動部材14が使用され、制御電流用の型が選択されると、摺動部材14’が使用されることとなる。
【0034】
ステアリングコラムスイッチユニット1の作製の際には、まず、第1接触面8及び/または10とストリップ導体9及び/または11を有するプリント基板5を作製する。その後、ステアリングコラムスイッチユニット1の型を選択する。具体的には、制御電流用の第1の型と負荷電流用の第2の型から選ぶ。少なくとも2本のステアリングコラムレバーがあれば、混合型も可能となる。第1の型が選択されると、
図1に示すようなプリント基板5が使用される。第2の型が選択されると、オプションのアドオン部品12がさらにプリント基板に固定され、プリント基板5がアドオン部品12と共に使用される形となる。第1の型においては
図5の摺動部材14’が使用され、第2の型においては
図4の摺動部材14が使用される。
【0035】
また、アドオン部品12をプリント基板5の左領域6において使用することもできる。また、2本のステアリングコラムレバーを用いて負荷電流を切り替える場合、2つのアドオン部品12を左右の領域で使用することも可能である。