【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る両面に高熱伝導能力がある厚膜素子は、担体と、担体上に被覆された厚膜コーティング層と、厚膜コーティング層上を覆う被覆層とを含み、前記厚膜コーティング層が加熱材料で、加熱方式が電気加熱で、前記担体、厚膜コーティング層及び被覆層について、以下の各不等式を満たした材料から選ばれる。
且つ、Q
1=a×Q
3、Q
2=b×Q
1、Q
2=c×Q
3 式1
式中、0.1≦a≦150、1≦b≦2500、100≦c≦10000であり、
Q
1の計算式:
Q
2の計算式:
Q
3の計算式:
式中、前記Q
1は、前記被覆層の熱伝達率を表わし、前記Q
2が前記厚膜コーティング層の発熱速度を表わし、前記Q
3が前記担体の熱伝達率を表わし、
前記λ
1は、前記被覆層の熱伝達係数を表わし、前記λ
2は、前記厚膜コーティング層の熱伝達係数を表わし、前記λ
3は、前記担体の熱伝達係数を表わし、
前記Aは、前記厚膜コーティング層と被覆層或いは担体との接触面積を表わし、
前記b
1は、前記被覆層の厚さを表わし、前記b
2は、前記厚膜コーティング層の厚さを表わし、前記b
3は、前記担体の厚さを表わし、
前記T
0は、厚膜発熱体の初期温度を表わし、前記T
1は、前記被覆層の表面温度を表わし、前記T
2は、前記厚膜コーティング層の加熱温度を表わし、前記T
3は、前記担体の表面温度を表わし、
前記厚膜コーティング層の厚さは、b
2≦50マイクロメートルであり、
前記担体の厚さb
3≧被覆層の厚さb
1で、且つb
1≦1ミリメートル、b
3≧1ミリメートルであり、
前記T
担体の最低融点>25℃である。
【0010】
前記被覆層とは、印刷或いは焼結による結合を通じて厚膜コーティング層上を覆う媒体層をいい、被覆層の面積が厚膜コーティング層より大きい。
【0011】
前記担体とは、厚膜コーティング層を担う媒体層をいい、厚膜コーティング層が印刷又はコーティング或いは焼結を通じて担体上に被覆される。
【0012】
前記熱伝達係数とは、安定した伝達条件において、厚さ1mの材料の両側表面の温度差が1度(K、℃)で、1秒間以内(1S)に、単位面積1m
2ごとに熱伝達する熱量をいい、単位をワット毎メートル毎ケルビン(W/(m・K)とし、ここでKとしているが、℃を代替として使用できる)。
【0013】
厚膜加熱エレメントの電気加熱部位において、被覆層、厚膜コーティング層及び担体は、密に接着し、厚膜コーティング層の両端が外付け電極に接続し、厚膜コーティング層が通電した後、厚膜コーティング層に対し加熱を行い、電気エネルギーを熱エネルギーに変換することで、厚膜コーティング層が発熱を開始し、厚膜コーティング層の発熱速度は、厚膜コーティング層の熱伝達係数、接触面積、初期温度、加熱温度及び厚さの測定を通じると共に式5で算出できる。
式中、T
2が厚膜の加熱温度を表わす。
【0014】
本発明の技術的特徴は、両面に高熱伝導能力がある厚膜発熱体であり、被覆層、担体、厚膜コーティング層の発熱速度が以下の幾つかの要求を満たすよう求める。
(1)被覆層の熱伝達率と担体の熱伝達率の限定条件は、次の関係を満たすものとし、上記不等式を満たす厚膜発熱体の被覆層及び担体の発熱能力が比較的均一となり、一面の発熱が速すぎて絶え間なく昇温し、他面の温度上昇が遅くなり、両面の不均一な発熱現象が生じて本発明製品の技術的効果を奏することができないことを防止する。
式中、0.1≦a≦150である。
(2)厚膜コーティング層の発熱速度と被覆層の熱伝達率の限定条件は、次の関係式を満たすものとし、厚膜コーティング層の発熱速度が被覆層の熱伝達率より高すぎる場合、厚膜コーティング層が絶え間なく蓄積されている熱量は直ちに外部に放出できないことにより、厚膜コーティング層の温度が絶え間なく高くさせ、温度が被覆層の最低融点を超えた時、被覆層が溶け始め、更には燃焼することで、被覆層或いは担体の構造を破壊して、厚膜加熱エレメントを損傷させる。
式中、1≦b≦2500である。
(3)厚膜コーティング層の発熱速度と担体の熱伝達率の限定条件は、次の関係式を満たすものとし、厚膜コーティング層の発熱速度が担体の熱伝達率より高すぎる場合、厚膜コーティング層が絶え間なく蓄積されている熱量は直ちに外部に放出できないことにより、厚膜コーティング層の温度が絶え間なく高くさせ、温度が担体の最低融点を超えた時、担体が溶け始め、更には燃焼することで、担体の構造を破壊して、厚膜加熱エレメントを損傷させる。
式中、100≦c≦10000である。
(4)加熱温度が高すぎることで厚膜加熱エレメントを損傷しないように、厚膜コーティング層の加熱温度を、被覆層或いは担体の最低融点より高くすることができず、T
2<T
被覆層の最低融点、T
2<T
担体の最低融点を満たす必要がある。
【0015】
上記いくつかの要求を満たすため、被覆層、担体の熱伝達率は、その材料自体の性質及び該厚膜加熱エレメント製品の性能により決定する。被覆層の熱伝達率の計算式は、下式で表わす。
式中、λ
1は、前記被覆層の熱伝達係数を表わし、単位をW/m.kとし、被覆層を調製する材料の性質により決定し、b
1は、被覆層の厚さを表わし、調製工程及び厚膜加熱エレメントの要求により決定し、T
1は、被覆層の表面温度を表わし、厚膜加熱エレメントの性能により決定する。
【0016】
担体の熱伝達率の計算式は、下式で表わす。
式中、λ
3は、前記担体の熱伝達係数を表わし、単位をW/m.kとし、担体を調製する材料の性質により決定し、b
3は、担体の厚さを表わし、調製工程及び厚膜加熱エレメントの要求により決定し、T
3は、担体の表面温度を表わし、厚膜加熱エレメントの性能により決定する。
【0017】
好ましくは、前記担体と厚膜コーティング層の間は、印刷或いは焼結を通じて結合し、前記厚膜コーティング層と被覆層が印刷或いは焼結を通じて結合する。
【0018】
好ましくは、前記担体と被覆層の間に厚膜コーティング層がない領域は、印刷或いは焼結を通じて結合する。
【0019】
好ましくは、前記担体としては、ポリイミド、有機絶縁材料、無機絶縁材料、セラミック、結晶化ガラス、石英、水晶、石材材料が挙げられる。
【0020】
好ましくは、前記厚膜コーティング層としては、銀、プラチナム、パラジウム、酸化パラジウム、金又は希土材料のうちの1種或いは数種が挙げられる。
【0021】
好ましくは、前記被覆層は、ポリエステル、ポリイミド或いはポリエーテルイミド、セラミック、シリカゲル、アスベスト、雲母板のうちの1種或いは数種で製造されるものとする。
【0022】
好ましくは、前記厚膜コーティング層の面積は、被覆層又は担体の面積より小さいか或いは等しい。
【0023】
本発明に係る厚膜発熱体の用途は、両面発熱の製品に用いられる。