特許第6301558号(P6301558)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6301558
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】両面に高熱伝導能力がある厚膜発熱体
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/18 20060101AFI20180319BHJP
   H05B 3/12 20060101ALI20180319BHJP
【FI】
   H05B3/18
   H05B3/12 A
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-525109(P2017-525109)
(86)(22)【出願日】2016年3月26日
(65)【公表番号】特表2018-504736(P2018-504736A)
(43)【公表日】2018年2月15日
(86)【国際出願番号】CN2016077443
(87)【国際公開番号】WO2017117873
(87)【国際公開日】20170713
【審査請求日】2017年6月9日
(31)【優先権主張番号】201610013179.3
(32)【優先日】2016年1月6日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516073819
【氏名又は名称】広東天物新材料科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】黄 偉聡
【審査官】 宮崎 光治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−255679(JP,A)
【文献】 特開2000−077168(JP,A)
【文献】 特開2014−089798(JP,A)
【文献】 特開平11−054248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/02−3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面に高熱伝導能力がある厚膜発熱体であって、担体と、担体上に被覆された厚膜コーティング層と、厚膜コーティング層上を覆う被覆層とを含み、前記厚膜コーティング層が加熱材料で、加熱方式が電気加熱で、前記担体、前記厚膜コーティング層及び前記被覆層について、以下の各不等式を満たした材料から選ばれ、


且つ、Q=a×Q3、=b×Q1、=c×Q式1
式中、0.1≦a≦150、1≦b≦2500、100≦c≦10000であり、
の計算式:


の計算式:


の計算式:


式中、前記Qは、前記被覆層の熱伝達率を表わし、前記Qが前記厚膜コーティング層の発熱速度を表わし、前記Qが前記担体の熱伝達率を表わし、
前記λは、前記被覆層の熱伝達係数を表わし、前記λは、前記厚膜コーティング層の熱伝達係数を表わし、前記λは、前記担体の熱伝達係数を表わし、
前記Aは、前記厚膜コーティング層と被覆層或いは担体との接触面積を表わし、
前記bは、前記被覆層の厚さを表わし、前記bは、前記厚膜コーティング層の厚さを表わし、前記bは、前記担体の厚さを表わし、
前記Tは、厚膜発熱体の初期温度を表わし、前記Tは、前記被覆層の表面温度を表わし、前記Tは、前記厚膜コーティング層の加熱温度を表わし、前記Tは、前記担体の表面温度を表わし、
前記厚膜コーティング層の厚さは、b≦50マイクロメートルであり、
前記担体の厚さb≧被覆層の厚さbで、且つb≦1ミリメートル、b≧1ミリメートルであり、
前記T担体の最低融点>25℃あることを特徴とする両面に高熱伝導能力がある厚膜発熱体。
【請求項2】
前記担体と前記厚膜コーティング層の間は、印刷或いは焼結を通じて結合し、前記厚膜コーティング層と前記被覆層が印刷或いは焼結を通じて結合することを特徴とする請求項1に記載の両面に高熱伝導能力がある厚膜発熱体。
【請求項3】
前記担体と前記被覆層の間に前記厚膜コーティング層がない領域は、印刷或いは焼結を通じて結合することを特徴とする請求項2に記載の両面に高熱伝導能力がある厚膜発熱体。
【請求項4】
前記担体としては、ポリイミド、有機絶縁材料、無機絶縁材料、セラミック、結晶化ガラス、石英、水晶、石材材料が挙げられることを特徴とする請求項1に記載の両面に高熱伝導能力がある厚膜発熱体。
【請求項5】
前記厚膜コーティング層としては、銀、プラチナム、パラジウム、酸化パラジウム、金又は希土材料のうちの1種或いは数種が挙げられることを特徴とする請求項1に記載の両面に高熱伝導能力がある厚膜発熱体。
【請求項6】
前記被覆層は、ポリエステル、ポリイミド或いはポリエーテルイミド、セラミック、シリカゲル、アスベスト、雲母板のうちの1種或いは数種で製造されることを特徴とする請求項1に記載の両面に高熱伝導能力がある厚膜発熱体。
【請求項7】
前記厚膜コーティング層の面積は、前記被覆層又は前記担体の面積より小さいか或いは等しいことを特徴とする請求項1に記載の両面に高熱伝導能力がある厚膜発熱体。
【請求項8】
厚膜発熱体の用途であって、両面発熱の製品に用いられることを特徴とする請求項1に記載の両面に高熱伝導能力がある厚膜発熱体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚膜加熱分野に関し、特に、両面に高熱伝導能力がある厚膜発熱体に関する。
【背景技術】
【0002】
厚膜発熱体とは、基材上において、発熱材料を厚膜として製作し、通電による発熱を行う発熱体をいう。従来の加熱方法は、ヒートパイプによる加熱とPTC加熱とを含み、ヒートパイプの加熱エレメントが金属管を外覆し、金属管内にらせん状でニクロム合金又は鉄クロム合金を分布してヒーターワイヤとなり、隙間空間に良好な熱伝導性と絶縁性を持つ酸化マグネサイトで充填し、両端をシリカゲルで密封しており、PTC加熱エレメントは、PTCセラミックを発熱材料とする。現在のヒートパイプによる加熱とPTC加熱の方式は、間接加熱であるため、熱効率が比較的低く、且つ外形体積が大きくてかさばって重く、環境保全という視点から見ると、この2種類のヒーターが繰り返して加熱された後、汚れやすくて掃除しにくく、且つPTC加熱エレメント内に鉛等の有害物質が含まれ、酸化もしやすく、出力が減衰し、寿命も短い。
【0003】
CN201210320614.9では、「厚膜加熱によるアルミニウム合金製ヒートパイプであって、ヒートパイプ本体と厚膜加熱板とを含み、前記ヒートパイプ本体の側面に奥行き方向が半径方向に沿って内方向き挿入溝を設け、前記厚膜加熱板が該挿入溝内に位置し、前記ヒートパイプ本体は、挿入溝の両側に各々長手方向がヒートパイプ本体の軸方向に沿って貫通孔を設ける。」を開示している。この種のアルミニウム合金製ヒートパイプは、厚膜回路基板上の厚膜加熱回路をセラミック或いはその他の絶縁材料の基材上に印刷し、厚膜回路の上方に一層の絶縁媒体を更に被覆するため、厚膜加熱板全体の表面は絶縁となる。
【0004】
CN201010110037.1では、「空焚き防止機能付きの厚膜加熱アセンブリであって、電気加熱に用いる厚膜ヒーターと、厚膜ヒーター上に取り付けられ、厚膜ヒーターと外部アセンブリを接続するために用いられる電気的な接続ブラケットと、厚膜ヒーター上に取り付けられた空焚き防止装置とを包括し、電気的な接続ブラケットと空焚き防止装置が全体部材を構成し、空焚き防止装置が制御回路と電気的に接続する少なくとも1つの電子式空焚き防止装置護と1つの機械式空焚き防止装置を含む。」を開示している。
【0005】
現在の加熱エレメントは、すでに生活家電分野に徐々に応用されてきたにもかかわらず、上記厚膜加熱本体が均しく、家電上に付着し、独立した素子が非常に少ない。現在でも両面に高熱伝導能力がある厚膜発熱体を提供すると共に該両面加熱の厚膜素子を生活や生産分野に応用することで、両面を均一に加熱する機能を実現するものはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許番号第CN201210320614.9号
【特許文献2】中国特許番号第CN201010110037.1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記問題点を解決するため、本発明は体積が小さく、動作効率が高く、環境保全性に優れ、安全性能も高いと共に寿命が長いという両面に高熱伝導能力がある厚膜発熱体を提供する。
【0008】
本発明の前記厚膜の概念は、主に薄膜に比べて言うものとし、厚膜とは担体上において印刷・焼結技術を用いて形成した厚さが数マイクロメートルから数十マイクロメートルまでの膜層をいい、この種の膜層を製造する材料が、厚膜材料と呼ばれ、作製したコーティング層が厚膜コーティング層と呼ばれる。厚膜発熱体は、電力密度が大きく、加熱速度が速く、動作温度も高く、昇温速度も速く、機械的強度も高く、体積が小さく、据付が便利で、加熱による温度場が均一で、寿命が長く、省エネ・エコで、安全等の非常に多くの利点を持っている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る両面に高熱伝導能力がある厚膜素子は、担体と、担体上に被覆された厚膜コーティング層と、厚膜コーティング層上を覆う被覆層とを含み、前記厚膜コーティング層が加熱材料で、加熱方式が電気加熱で、前記担体、厚膜コーティング層及び被覆層について、以下の各不等式を満たした材料から選ばれる。


且つ、Q=a×Q3、=b×Q1、=c×Q式1
式中、0.1≦a≦150、1≦b≦2500、100≦c≦10000であり、
の計算式:


の計算式:


の計算式:


式中、前記Qは、前記被覆層の熱伝達率を表わし、前記Qが前記厚膜コーティング層の発熱速度を表わし、前記Qが前記担体の熱伝達率を表わし、
前記λは、前記被覆層の熱伝達係数を表わし、前記λは、前記厚膜コーティング層の熱伝達係数を表わし、前記λは、前記担体の熱伝達係数を表わし、
前記Aは、前記厚膜コーティング層と被覆層或いは担体との接触面積を表わし、
前記bは、前記被覆層の厚さを表わし、前記bは、前記厚膜コーティング層の厚さを表わし、前記bは、前記担体の厚さを表わし、
前記Tは、厚膜発熱体の初期温度を表わし、前記Tは、前記被覆層の表面温度を表わし、前記Tは、前記厚膜コーティング層の加熱温度を表わし、前記Tは、前記担体の表面温度を表わし、
前記厚膜コーティング層の厚さは、b≦50マイクロメートルであり、
前記担体の厚さb≧被覆層の厚さbで、且つb≦1ミリメートル、b≧1ミリメートルであり、
前記T担体の最低融点>25℃である。
【0010】
前記被覆層とは、印刷或いは焼結による結合を通じて厚膜コーティング層上を覆う媒体層をいい、被覆層の面積が厚膜コーティング層より大きい。
【0011】
前記担体とは、厚膜コーティング層を担う媒体層をいい、厚膜コーティング層が印刷又はコーティング或いは焼結を通じて担体上に被覆される。
【0012】
前記熱伝達係数とは、安定した伝達条件において、厚さ1mの材料の両側表面の温度差が1度(K、℃)で、1秒間以内(1S)に、単位面積1mごとに熱伝達する熱量をいい、単位をワット毎メートル毎ケルビン(W/(m・K)とし、ここでKとしているが、℃を代替として使用できる)。
【0013】
厚膜加熱エレメントの電気加熱部位において、被覆層、厚膜コーティング層及び担体は、密に接着し、厚膜コーティング層の両端が外付け電極に接続し、厚膜コーティング層が通電した後、厚膜コーティング層に対し加熱を行い、電気エネルギーを熱エネルギーに変換することで、厚膜コーティング層が発熱を開始し、厚膜コーティング層の発熱速度は、厚膜コーティング層の熱伝達係数、接触面積、初期温度、加熱温度及び厚さの測定を通じると共に式5で算出できる。


式中、Tが厚膜の加熱温度を表わす。
【0014】
本発明の技術的特徴は、両面に高熱伝導能力がある厚膜発熱体であり、被覆層、担体、厚膜コーティング層の発熱速度が以下の幾つかの要求を満たすよう求める。
(1)被覆層の熱伝達率と担体の熱伝達率の限定条件は、次の関係を満たすものとし、上記不等式を満たす厚膜発熱体の被覆層及び担体の発熱能力が比較的均一となり、一面の発熱が速すぎて絶え間なく昇温し、他面の温度上昇が遅くなり、両面の不均一な発熱現象が生じて本発明製品の技術的効果を奏することができないことを防止する。


式中、0.1≦a≦150である。
(2)厚膜コーティング層の発熱速度と被覆層の熱伝達率の限定条件は、次の関係式を満たすものとし、厚膜コーティング層の発熱速度が被覆層の熱伝達率より高すぎる場合、厚膜コーティング層が絶え間なく蓄積されている熱量は直ちに外部に放出できないことにより、厚膜コーティング層の温度が絶え間なく高くさせ、温度が被覆層の最低融点を超えた時、被覆層が溶け始め、更には燃焼することで、被覆層或いは担体の構造を破壊して、厚膜加熱エレメントを損傷させる。


式中、1≦b≦2500である。
(3)厚膜コーティング層の発熱速度と担体の熱伝達率の限定条件は、次の関係式を満たすものとし、厚膜コーティング層の発熱速度が担体の熱伝達率より高すぎる場合、厚膜コーティング層が絶え間なく蓄積されている熱量は直ちに外部に放出できないことにより、厚膜コーティング層の温度が絶え間なく高くさせ、温度が担体の最低融点を超えた時、担体が溶け始め、更には燃焼することで、担体の構造を破壊して、厚膜加熱エレメントを損傷させる。


式中、100≦c≦10000である。
(4)加熱温度が高すぎることで厚膜加熱エレメントを損傷しないように、厚膜コーティング層の加熱温度を、被覆層或いは担体の最低融点より高くすることができず、T<T被覆層の最低融点、T<T担体の最低融点を満たす必要がある。
【0015】
上記いくつかの要求を満たすため、被覆層、担体の熱伝達率は、その材料自体の性質及び該厚膜加熱エレメント製品の性能により決定する。被覆層の熱伝達率の計算式は、下式で表わす。


式中、λは、前記被覆層の熱伝達係数を表わし、単位をW/m.kとし、被覆層を調製する材料の性質により決定し、bは、被覆層の厚さを表わし、調製工程及び厚膜加熱エレメントの要求により決定し、Tは、被覆層の表面温度を表わし、厚膜加熱エレメントの性能により決定する。
【0016】
担体の熱伝達率の計算式は、下式で表わす。


式中、λは、前記担体の熱伝達係数を表わし、単位をW/m.kとし、担体を調製する材料の性質により決定し、bは、担体の厚さを表わし、調製工程及び厚膜加熱エレメントの要求により決定し、Tは、担体の表面温度を表わし、厚膜加熱エレメントの性能により決定する。
【0017】
好ましくは、前記担体と厚膜コーティング層の間は、印刷或いは焼結を通じて結合し、前記厚膜コーティング層と被覆層が印刷或いは焼結を通じて結合する。
【0018】
好ましくは、前記担体と被覆層の間に厚膜コーティング層がない領域は、印刷或いは焼結を通じて結合する。
【0019】
好ましくは、前記担体としては、ポリイミド、有機絶縁材料、無機絶縁材料、セラミック、結晶化ガラス、石英、水晶、石材材料が挙げられる。
【0020】
好ましくは、前記厚膜コーティング層としては、銀、プラチナム、パラジウム、酸化パラジウム、金又は希土材料のうちの1種或いは数種が挙げられる。
【0021】
好ましくは、前記被覆層は、ポリエステル、ポリイミド或いはポリエーテルイミド、セラミック、シリカゲル、アスベスト、雲母板のうちの1種或いは数種で製造されるものとする。
【0022】
好ましくは、前記厚膜コーティング層の面積は、被覆層又は担体の面積より小さいか或いは等しい。
【0023】
本発明に係る厚膜発熱体の用途は、両面発熱の製品に用いられる。
【発明の効果】
【0024】
1、本発明に係る厚膜発熱体は、両面の高熱伝導能力を持ち、両面発熱が比較的均一で、伝熱効率が向上する。
2、本発明に係る厚膜発熱体は、3層構造を用いて印刷又は焼結を通じて直接結合し、厚膜コーティング層が通電した後、被覆層に対し直接加熱し、熱エネルギーを被覆層に直接伝導することで、熱伝導効率を高め、且つ本発明の被覆層は、厚膜コーティング層を覆うことで、厚膜コーティング層が通電した後の漏電問題を避け、安全性能を向上する。
3、本発明に係る厚膜発熱体は、両面に高熱伝導能力を持つ必要がある製品上に応用し、市場上の多機能加熱製品のニーズを満たすことができる。
4、本発明に係る厚膜素子は、厚膜コーティング層を用いて加熱したもので、コーティングの厚さがミクロンオーダであり、通電した後の発熱速度が均一で、且つ寿命が長い。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の具体的実施形態を詳細に説明する。
【0026】
本発明に係る両面に高熱伝導能力がある厚膜発熱体は、担体と、担体上に被覆された厚膜コーティング層と、厚膜コーティング層上を覆う被覆層とを含み、前記厚膜コーティング層が加熱材料で、加熱方式が電気加熱で、前記担体、厚膜コーティング層及び被覆層について、以下の各不等式を満たした材料から選ばれることを特徴とする。


且つ、Q=a×Q3、=b×Q1、=c×Q 式1
式中、0.1≦a≦150、1≦b≦2500、100≦c≦10000であり、
の計算式:


の計算式:


の計算式:


前記厚膜コーティング層の厚さは、b≦50マイクロメートルであり、
前記担体の厚さb≧被覆層の厚さbで、且つb≦1ミリメートル、b≧1ミリメートルであり、
前記T担体の最低融点>25℃である。
【0027】
下記実施例において本出願人が調製した20種類の厚膜素子を提供し、この20種類の厚膜素子の被覆層、厚膜コーティング層、担体の調製材料は、上記不等式を満たす材料から選ばれ、具体的調製方法及び関係は次の通りとする。
【実施例】
【0028】
熱伝達係数がλの銀ペースト材料を選んで厚膜コーティング層を調製し、熱伝達係数がλのポリイミド材料を選んで担体を調製し、熱伝達係数がλのポリイミド材料を選んで被覆層を調製し、3層材料を焼結によって結合し、調製した厚膜コーティング層の面積はA、厚膜コーティング層の厚さがbとし、被覆層の面積はA、厚さがbとし、担体の面積はA、厚さがbとする。
【0029】
外付け直流電源のスイッチを入れた後、厚膜コーティング層を通電させると,厚膜が徐々に昇温し、厚膜素子の発熱が安定した後、受熱安定後の被覆層と担体の表面温度及び厚膜コーティング層の加熱温度を測定して得られ、次の計算式を通じて被覆層と担体の熱伝達率及び厚膜コーティング層の発熱速度を算出する。

【0030】
下記表1乃至表4は、本出願人が調製した20種類の厚膜発熱体で、厚膜発熱体を2分間通電加熱した後、国家標準方法で測定して表内の性能データ(熱伝達係数、表面温度)が得られ、厚度・接触面積・初期温度は加熱前に測定する。表1は、実施例1〜実施例20における厚膜発熱体の被覆層を測定した性能データとなる。
【0031】

【表1】
【0032】
表2は、実施例1〜実施例20における厚膜発熱体の厚膜コーティング層を測定した性能データとなる。
【0033】

【表2】
【0034】
表3は、実施例1〜実施例20における厚膜発熱体の担体を測定した性能データとなる。
【0035】

【表3】
【0036】
表4は、上記表1/表2/表3内の各性能データによって計算して得られた熱伝導率のデータで、また被覆層、厚膜コーティング層、担体の3層の熱伝達率数値の大きさを比の値によって演算して本発明を満たす材料の限定条件が得られ、つまり次の関係式を満たすものである。


且つ、Q=a×Q3、=b×Q1、=c×Q式1
式中、0.1≦a≦150、1≦b≦2500、100≦c≦10000である。
【0037】

【表4】
【0038】
表4の結果は、実施例1〜実施例20で調製された厚膜発熱体がいずれも不等式を満たし、且つ上記厚膜発熱体の両面発熱が均一で、両面の温度差が16度以下あり、2分間通電した後、温度が最高で100℃以上にまで上げることができ、本発明の厚膜発熱体の発熱効率が高いことを示した。
【0039】
表5〜表8は、本発明の厚膜発熱体に比べる比較例1〜比較例3の各性能データで、各データのモニタリング方法は、表1〜表4と一緒で、具体的なデータは、次の通りとなる。
【0040】

【表5】
【0041】

【表6】
【0042】

【表7】
【0043】

【表8】
【0044】
上記表内の比較例1〜比較例3で提供する厚膜発熱体は、材料選択及び構造が本発明の材料選択要求に適合せず、本発明の不等式関係を満たさず、通電して加熱した後、比較例1〜比較例3の両面発熱が不均一で、被覆層と担体面の発熱温度差が40℃以下となり、これは被覆層の昇温が速すぎ、担体の発熱が遅すぎる結果であり、本発明の両面に高熱伝導能力がある厚膜発熱体の要求に適合せず、本発明の製品要求も満たさず、これをもって本発明内の熱伝達率の関係を実証した。
【0045】
上記明細書の開示と教示により、当業者は上記実施形態に対し変更及び修正できる。よって、本発明は、以上に開示及び記述した具体的実施形態に限定されることなく、発明について行う若干の修正及び変更も本発明の特許請求の範囲内に入る。また、本明細書内において若干の特定専門用語を使用したが、これら専門用語は、説明の便宜のためのであって、本発明に対しいかなる制限を構成しない。