(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施例)
第1実施例に係る半導体装置の製造方法を説明する。第1実施例の製造方法では、まず
図1に示すように、半導体基板2の表面28にマスク91を形成し、マスク91に開口部92を形成する。この段階では、開口部92から半導体基板2が露出する。次に、マスク91の開口部92に露出している半導体基板2を異方性エッチングする。これによって、半導体基板2の表面28にトレンチ11が形成される。トレンチ11は、底面112と、左右の側面111,111を備えている。半導体基板2は、例えば、Si(シリコン)またはSiC(炭化ケイ素)から形成されている。マスク91は、例えば、TEOS(Tetraethyl Orthosilicate)から形成されている。本実施例では、フッ素系のガスを用いて半導体基板2を異方性ドライエッチングする。エッチングをした後にマスク91を除去する。
【0014】
次に
図2に示すように、半導体基板2の表面28とトレンチ11の内面(両側面111,111と底面112)に第1絶縁材料3を結晶成長させる。すなわち、半導体基板2の表面28とトレンチ11の内面111,112,111に第1絶縁材料3を堆積させる。この工程は、トレンチ11の内部に第1絶縁材料3が充填されるまで続ける。充填工程ということができる。第1絶縁材料3は、酸化物からなる。本実施例では、第1絶縁材料3としてTEOSを用いる。この充填工程は、例えば公知のプラズマCVDによって実行される。第1絶縁材料3は、トレンチ11の内面(両側面111と底面112)から内側に堆積してゆく。また第1絶縁材料3は、半導体基板2の表面28から上側に堆積してゆく。
【0015】
トレンチ11の一方の側面111からトレンチ11の内部に向かって堆積した第1絶縁材料3と、トレンチ11の他方の側面111からトレンチ11の内部に向かって堆積した第1絶縁材料3が接する部分に界面31が形成される。すなわち、トレンチ11の両側面111から成長した第1絶縁材料3同士の間に界面31が形成される。一方の第1絶縁材料3と他方の第1絶縁材料3の界面31は、トレンチ11の幅方向(x方向)の中央部に形成される。界面31は、高さ方向(z方向)に延びている。界面31は、トレンチ11の側面111に沿って延びている。界面31の深部側の端部32は、トレンチ11の底面112より上に位置している。界面31の深部側の端部32は、トレンチ11の底面112から離間している。なお、界面31の一部に隙間が形成されることもある。
【0016】
次に、
図3に示すように、半導体基板2に堆積している第1絶縁材料3の一部をエッチングして除去する。本実施例では、フッ素系のガスを用いて半導体基板2の表面側から異方性のドライエッチングをする。第1絶縁材料3は表面側から深部側に向かってエッチングされる。この工程は、少なくとも半導体基板2の表面28に堆積している第1絶縁材料3をエッチングして除去するまで続ける。また、トレンチ11の内部に充填されている第1絶縁材料3の表面側をエッチングして除去するまで続ける(第1エッチング工程)。エッチング時間を調整することによって、エッチング量を調整することができる。第1エッチング工程で除去されなかった第1絶縁材料3はトレンチ11の内部に残存する。第1エッチング工程は、トレンチ11の内部に残存する第1絶縁材料3の中に界面31が残存している状態で終了する。すなわち、第1絶縁材料3の界面31の深部側の端部32よりも上方の位置まで第1絶縁材料3をエッチングして除去する。
【0017】
次に、トレンチ11の内部に第1絶縁材料3が残存している状態で半導体基板2を加熱する(加熱工程)。加熱工程は、非酸化雰囲気で実行される。例えば、N
2(窒素)雰囲気またはAr(アルゴン)雰囲気で加熱工程が実行される。非酸化雰囲気で第1絶縁材料3が加熱されると、第1絶縁材料3の表面が硬化し、硬化部41が形成される。非酸化雰囲気で加熱すると、界面31によって隔てられている第1絶縁材料3同士の結合が抑制される。その結果、硬化部41にも界面31が残存する。
【0018】
本実施例では、加熱温度を1000℃とし、加熱時間を30分とする。第1絶縁材料3を加熱すると第1絶縁材料3の上部が締め固められて緻密化する。これによって、第1絶縁材料3の表面に硬化部41が形成される。界面31では良好に緻密化しない。その結果、硬化部41に残存する界面31が後述の第2エッチング工程に対する弱点になる。硬化部41に残存する界面31がエッチャントの侵入部になる。硬化部41の界面31におけるエッチングレートは、界面31以外の硬化部41におけるエッチングレートより高い。
【0019】
次に、
図5に示すように、トレンチ11の内部に残存している第1絶縁材料3の一部をエッチングで除去する(第2エッチング工程)。より詳細には、第1絶縁材料3が残存しているトレンチ11の内部にエッチャントを導入する。第1絶縁材料3に向けてエッチャントを導入して、硬化部41に形成されている第1絶縁材料3の界面31から硬化部41よりも深部側にエッチャントを侵入させる。第1絶縁材料3の硬化していない部分のエッチングレートは、硬化部41のエッチングレートより高い。エッチャントが硬化部41より深部側の第1絶縁材料3に侵入してゆく。これによって、硬化部41より深部側の第1絶縁材料3をエッチングして除去する。第1絶縁材料3を除去して硬化部41より深部側のトレンチ11の内部に空間5を形成する。空間5の誘電率は第1絶縁材料3の誘電率より小さい。
【0020】
本実施例では、希釈されたHF(フッ酸)を用いて等方性のウェットエッチングをしている。硬化部41に形成されている界面31をエッチャントの侵入部にして第1絶縁材料3を等方性エッチングしている。硬化部41より深部側の第1絶縁材料3が界面31から周囲に向かってエッチングされる。本実施例では、エッチング時間を200秒とした。
【0021】
第1絶縁材料3の硬化部41では他の部分よりもエッチングが抑制される。硬化部41は、一部がエッチングされて除去され、他の一部がエッチングされずに残存する。一対の硬化部41がトレンチ11の内部に残存する。トレンチ11の一方の側面111と他方の側面111のそれぞれから硬化部41が突出している。硬化部41はトレンチ11の側面111からトレンチ11の内部に向かって突出している。第2エッチング工程では、エッチャントが界面31に侵入するときに硬化部41に形成されている界面31が開いて開口部43が形成される。一方の硬化部41と他方の硬化部41の間に開口部43が形成されている。開口部43は、硬化部41より表面側の空間と深部側の空間5を繋いでいる。
【0022】
次に、
図6に示すように、半導体基板2の表面とトレンチ11の内面に第2絶縁材料6を薄く堆積させる。より詳細には、半導体基板2の表面28と、トレンチ11の両側面111,111と、硬化部41の表面411,411から、第2絶縁材料6を成長させる。このときに、硬化部41の表面411,411から成長する第2絶縁材料6同士がつながり、開口部43を塞ぐ(閉塞工程)。第2絶縁材料6の膜は、開口部43を覆っている。第2絶縁材料6の膜は、硬化部41より深部側の空間5を封止している。第2絶縁材料6の膜は、硬化部41の表面411とトレンチ11の両側面111を覆っている。第2絶縁材料6は、酸化物からなる。本実施例では、第2絶縁材料6としてTEOSを用いる。第2絶縁材料6は、第1絶縁材料3と同じ材料である。第2絶縁材料6は、第1絶縁材料3と異なる材料であってもよい。閉塞工程は、例えば公知のプラズマCVDによって実行される。
【0023】
次に、
図7に示すように、第2絶縁材料6の薄膜の表面に第3絶縁材料9を成長させる。これによって、第2絶縁材料6の膜より内側のトレンチ11の内部に第3絶縁材料9を充填する(第3絶縁材料充填工程)。第3絶縁材料9は、酸化物からなる。第3絶縁材料充填工程は、例えば公知のプラズマCVDによって実行される。本実施例では、第3絶縁材料9としてTEOSを用いている。
【0024】
以上の製造方法によって製造された半導体装置1は、半導体基板2と、半導体基板2の表面28に形成されているトレンチ11を備えている。また、半導体装置1は、半導体基板2の表面28より深部側の位置でトレンチ11の両側面111,111からトレンチ11の内部に突出している酸化物の第1絶縁材料3からなる一対の硬化部41,41を備えている。また、半導体装置1は、一対の硬化部41の間に形成されている開口部43を塞いでいる第2絶縁材料6を備えている。硬化部41より深部側のトレンチ11の内部に空間5が形成されている。
【0025】
上記の説明から明らかなように、上記の製造方法によれば、第1エッチング工程でエッチング量を調整することによって、第1絶縁材料3の除去量を調整することができる。これによって、エッチング後にトレンチ11の内部に残存する第1絶縁材料3の量を調整することができ、第1絶縁材料3の表面の高さを制御することができる。例えば、エッチング量を多くすることによって、第1絶縁材料3の表面の高さを深くすることができる。エッチング量を少なくすることによって、第1絶縁材料3の表面の高さを半導体基板2の表面28に近づけることができる。その結果、加熱工程で第1絶縁材料3の表面に形成される硬化部41の高さを制御することができ、硬化部41より深部側に形成される空間5の表面側の高さ(半導体基板2の表面28と空間5の間の距離)を制御することができる。
【0026】
以上のように、上記の製造方法によれば、トレンチ11の内部に残存させる空間5の表面側の高さを制御することができる。また、空間5の大きさないし高さを制御することによって、トレンチ11の内部の絶縁性を制御することができる。
【0027】
また、上記の半導体装置1では、硬化部41より深部側のトレンチ11の内部に空間5が形成されている。このような構成によれば、空間5の誘電率が第1絶縁材料3の誘電率より小さいので、トレンチ11の内部に空間5を形成することによって、空間5が無い場合よりもトレンチ11の内部の絶縁性を向上させることができる。
【0028】
以上、一実施例について説明したが、具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。以下の説明において、上述の説明における構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0029】
(第2実施例)
上記の実施例では、トレンチ11の内部に第2絶縁材料6を薄く堆積させていたが、この構成に限定されるものではない。第2実施例では、
図8に示すように、閉塞工程に続けて第2絶縁材料6を厚く堆積させてもよい。トレンチ11の内部の硬化部41より上の部分全体に第2絶縁材料6を充填してもよい(第2絶縁材料充填工程)。すなわち、第2絶縁材料6の膜より内側のトレンチ11の内部に第2絶縁材料6を更に充填する。この方法によれば、閉塞工程と第2絶縁材料充填工程を続けて実行できるので、トレンチ11の内部に第2絶縁材料6を素早く充填することができる。閉塞工程と第2絶縁材料充填工程を一つの工程として実行することができる。
【0030】
(第3実施例)
第3実施例に係る半導体装置の製造方法について説明する。上記の第1実施例では、閉塞工程の後に、トレンチ11の内部に第3絶縁材料9を充填していたが、この構成に限定されるものではない。第3実施例では、
図9に示すように、閉塞工程の後に、トレンチ11の内部に導電材料7(ゲート電極となる材料)を充填する(ゲート電極充填工程)。導電材料7を第2絶縁材料6の薄膜の表面に成長させる。本実施例では、導電材料7としてポリシリコン(Poly Si)を用いている。トレンチ11の内部に導電材料7が堆積してゲート電極が形成される。
【0031】
次に、
図10に示すように、第2絶縁材料6の表面に堆積している導電材料7の一部をエッチングで除去する(第3エッチング工程)。本実施例では、フッ素系のガスを用いて異方性のドライエッチングをしている。導電材料7が表面側から深部側に向かってエッチングされる。第2絶縁材料6の表面に堆積している導電材料7をエッチングして除去する。トレンチ11の内部に充填されている導電材料7はエッチングせずに残す。トレンチ11の内部に残存する導電材料7によってゲート電極13が形成される。
【0032】
次に、
図11に示すように、第2絶縁材料6の不要な部分をエッチングして除去する。第2絶縁材料6の膜によってゲート絶縁膜12が形成される。また、ゲート電極13の表面側に層間絶縁膜14を形成する。層間絶縁膜14は、ゲート電極13を覆っている。また、半導体基板2の表面28に表面電極51を形成する。また、半導体基板2の裏面29に裏面電極52を形成する。以上の製造方法によって半導体装置1を製造することができる。
【0033】
上記の製造方法によれば、空間5の大きさを制御することによって、ゲート電極13と半導体基板2の間の絶縁性を制御することができる。また、空間5を形成することによって、空間5が無い場合よりも、半導体装置の耐圧を向上させることができる。また、ゲート電極13と半導体基板2の間の絶縁部分の形状異常を抑制することができる。
【0034】
次に、半導体装置1の一例について説明する。
図12に示すように、半導体装置1は、半導体基板2と、半導体基板2の表面28を覆っている表面電極51と、半導体基板2の裏面29を覆っている裏面電極52を備えている。また、半導体装置1は、半導体基板2の表面28に形成されているトレンチ11と、トレンチ11の両側面111からトレンチ11の内部に突出している一対の硬化部41,41を備えている。硬化部41,41より深部側のトレンチ11の内部に空間5が形成されている。
【0035】
半導体基板2には半導体素子が形成されている。本実施例では、半導体基板2にMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)が形成されている。半導体基板2には、裏面29側から表面28側に向かって順に、ドレイン領域21、ドリフト領域23、ベース領域24、ソース領域25、および、コンタクト領域26が形成されている。また、半導体基板2にはフローティング領域27が形成されている。
【0036】
ドレイン領域21は、p型の領域である。ドレイン領域21は、不純物濃度が高い。ドレイン領域21は、ドリフト領域23の裏面側に形成されている。ドレイン領域21は、半導体基板2の裏面29に露出する範囲に形成されている。ドレイン領域21は、裏面電極52に導通している。
【0037】
ドリフト領域23は、n型の領域である。ドリフト領域23の不純物濃度は、ドレイン領域21の不純物濃度より低い。ドリフト領域23は、ドレイン領域21の表面側に形成されている。ドリフト領域23は、ドレイン領域21とベース領域24の間に形成されている。
【0038】
ベース領域24は、p型の領域である。ベース領域24は、ドリフト領域23の表面側に形成されている。ベース領域24は、ドリフト領域23とソース領域25およびコンタクト領域26との間に形成されている。ベース領域24は、トレンチ11に接する範囲に形成されている。ベース領域24は、硬化部41,41より上の位置に形成されている。
【0039】
ソース領域25は、n型の領域である。ソース領域25の不純物濃度は、ドリフト領域23の不純物濃度より高い。ソース領域25は、ベース領域24の表面側に形成されている。ソース領域25は、トレンチ11に接する範囲に形成されている。ソース領域25は、半導体基板2の表面28に露出する範囲に島状に形成されている。ソース領域25は、表面電極51に導通している。
【0040】
コンタクト領域26は、p型の領域である。コンタクト領域26の不純物濃度は、ベース領域24の不純物濃度より高い。コンタクト領域26は、ベース領域24の表面側に形成されている。コンタクト領域26は、ソース領域25と異なる位置に形成されている。コンタクト領域26は、半導体基板2の表面28に露出する範囲に島状に形成されている。コンタクト領域26は、表面電極51に導通している。
【0041】
フローティング領域27は、p型の領域である。フローティング領域27の不純物濃度は、コンタクト領域26の不純物濃度より低い。フローティング領域27は、ドリフト領域23の内部に形成されている。フローティング領域27は、トレンチ11の底部の周囲に形成されている。フローティング領域27は、トレンチ11の両側面111,111と底面112に接する範囲に形成されている。フローティング領域27は、硬化部41より深部側の位置に形成されている。フローティング領域27の電位は、フローティング状態になっている。
【0042】
トレンチ11は、半導体基板2の表面28から深部側に(z方向に)延びている。トレンチ11は、半導体基板2の表面28からソース領域25とベース領域24を貫通してドリフト領域23に達する深さまで延びている。トレンチ11の内面にゲート絶縁膜12が形成されている。トレンチ11の内部にゲート電極13が形成されている。
【0043】
一対の硬化部41,41は、トレンチ11の表面28より深部側の位置に形成されている。一対の硬化部41,41の間に開口部43が形成されている。
【0044】
ゲート絶縁膜12は、第2絶縁材料6の膜である。ゲート絶縁膜12は、例えば、TEOSから形成されている。ゲート絶縁膜12は、硬化部41の表面411,411とトレンチ11の両側面111,111を覆っている。ゲート絶縁膜12は、開口部43を塞いでいる。ゲート絶縁膜12は、空間5を封止している。ゲート絶縁膜12は、半導体基板2とゲート電極13の間に配置されている。
【0045】
ゲート電極13は、トレンチ11の内部に充填されている導電材料7からなる。ゲート電極13は、例えば、ポリシリコン(Poly Si)から形成されている。ゲート電極13は、ゲート絶縁膜12(第2絶縁材料6の膜)より内側のトレンチ11の内部に充填されている。ゲート電極13は、ゲート絶縁膜12によって半導体基板2と絶縁されている。ゲート電極13の上に層間絶縁膜14が配置されている。
【0046】
層間絶縁膜14は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)から形成されている。層間絶縁膜14は、ゲート電極13の表面を覆っている。層間絶縁膜14は、ゲート電極13と表面電極51を絶縁している。
【0047】
表面電極51は、導電性を有している。表面電極51は、例えばアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、および、金(Au)等の金属を一つ又は複数用いて形成されている。表面電極51は、半導体基板2の表面28と層間絶縁膜14を覆っている。表面電極51の表面にはんだを介して端子が接続される(図示省略)。
【0048】
裏面電極52は、導電性を有している。裏面電極52は、例えばアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、および、金(Au)等の金属を一つ又は複数用いて形成されている。裏面電極52は、半導体基板2の裏面29を覆っている。裏面電極52の裏面にはんだを介して端子が接続される(図示省略)。
【0049】
上記の半導体装置1によれば、ゲート電極13の深部側に空間5が形成されているので、空間5が無い場合よりもゲート電極13と半導体基板2の間の絶縁性を向上させることができる。また、トレンチ11の底部の周囲の半導体基板2にp型のフローティング領域27が形成されていると、MOSの耐圧が向上する。本実施例ではそれに加えて、ゲート電極13の底面とトレンチの底面の間に空間5が形成されているために、MOSの耐圧がさらに向上する。空間5とフローティング領域27を組み合わせによってMOSの耐圧が大いに改善される。
【0050】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0051】
以下に本明細書が開示する技術要素の一例について説明する。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものである。
【0052】
1.閉塞工程で、硬化部の表面とトレンチの側面に、第2絶縁材料の膜を成長させ、閉塞工程に続けて、膜より内側のトレンチの内部に第2絶縁材料を充填する第2絶縁材料充填工程を備えていてもよい。
【0053】
この構成によって、閉塞工程と第2絶縁材料充填工程を単一工程で実施することができ、工程数を削減することができる。
【0054】
2.閉塞工程で、硬化部の表面とトレンチの側面に第2絶縁材料の膜を成長させ、閉塞工程の後に、膜より内側のトレンチの内部に第3絶縁材料を充填する第3絶縁材料充填工程を備えていてもよい。
【0055】
この構成によって、第2絶縁材料の膜より内側に第3絶縁材料を充填することによって材料の選択肢を増やすことができる。
【0056】
3.閉塞工程で、硬化部の表面とトレンチの側面に第2絶縁材料の膜を成長させ、閉塞工程の後に、膜より内側のトレンチの内部にゲート電極となる材料を充填するゲート電極充填工程を備えていてもよい。
【0057】
この構成によって、トレンチの内部の表面側にゲート電極を形成し、深部側に空間を形成することができる。
【0058】
4.半導体装置では、硬化部の表面とトレンチの側面が第2絶縁材料の膜で覆われていてもよい。膜より内側のトレンチの内部にゲート電極が充填されており、トレンチの底部の周囲に位置する半導体基板にp型のフローティング領域が形成されていてもよい。
【0059】
このような構成によれば、トレンチの内部のゲート電極より深部側に空間が形成されているので、ゲート電極と半導体基板の間の絶縁性を向上させることができる。p型のフローティング領域と空間の組み合わせによって半導体装置の耐圧が向上する。