【実施例】
【0071】
次いで、本発明の実施例について説明する。本実施例では、熱伝導性樹脂組成物のバインダ成分と硬化剤成分の成分比、及び絶縁皮膜による炭素繊維の絶縁被覆の有無を変えて熱伝導シートのサンプルを形成し、各サンプルについて、微粘着性の有無、ショアOO硬度、圧縮応力[N]、シートの初期厚み[mm]、熱抵抗(K・cm
2/W)、体積抵抗率[Ω・cm]を測定、評価した。
【0072】
[製造例1:炭素繊維の絶縁皮膜処理]
各実施例に用いた炭素繊維への絶縁被膜の形成は、以下の方法により行った。
樹脂容器(PE)に、第一配合物〔平均繊維長100μm、平均繊維径9μmのピッチ系炭素繊維(熱伝導性繊維:日本グラファイトファイバー株式会社製)300g、テトラエトキシシラン600g、及びエタノール2700g〕を投入し撹拌翼にて混合した。これに、第二配合物(10質量%アンモニア水1050g)を5分間かけて投入した。第二配合物の投入が完了した時点を0分として3時間攪拌を行った。攪拌終了後、真空ポンプを用いて吸引濾過を行い、回収したサンプルをビーカーに移し、水やエタノールで洗浄後、再度濾過を行い、サンプルを回収した。回収したサンプルを100℃で2時間乾燥し、200℃で8時間焼成を行い、被覆炭素繊維を得た。
【0073】
TEMにて断面測長することにより、平均厚み77nmのSiO
2を主とする皮膜が観察された。
【0074】
[製造例2:炭素繊維の絶縁皮膜処理]
製造例1において、ピッチ系炭素繊維を以下のピッチ系炭素繊維に代えた以外は、製造例1と同様にして、炭素繊維の絶縁皮膜処理を行い、被覆炭素繊維を得た。
・ピッチ系炭素繊維(熱伝導性繊維、平均繊維長150μm、平均繊維径9μm、日本グラファイトファイバー株式会社製)
【0075】
TEMにて断面測長することにより、平均厚み55nmのSiO
2を主とする皮膜が観察された。
【0076】
[製造例3:炭素繊維の絶縁皮膜処理]
製造例1において、ピッチ系炭素繊維を以下のピッチ系炭素繊維に代えた以外は、製造例1と同様にして、炭素繊維の絶縁皮膜処理を行い、被覆炭素繊維を得た。
・ピッチ系炭素繊維(熱伝導性繊維、平均繊維長90μm、平均繊維径9μm、日本グラファイトファイバー株式会社製)
【0077】
TEMにて断面測長することにより、平均厚み95nmのSiO
2を主とする皮膜が観察された。
【0078】
[製造例4:炭素繊維の絶縁皮膜処理]
製造例1において、ピッチ系炭素繊維を以下のピッチ系炭素繊維に代えた以外は、製造例1と同様にして、炭素繊維の絶縁皮膜処理を行い、被覆炭素繊維を得た。
・ピッチ系炭素繊維(熱伝導性繊維、平均繊維長110μm、平均繊維径9μm、日本グラファイトファイバー株式会社製)
【0079】
TEMにて断面測長することにより、平均厚み65nmのSiO
2を主とする皮膜が観察された。
【0080】
なお、製造例1〜4においては、ピッチ系炭素繊維の平均繊維長を変えた以外は、同じ処理条件である。同じ処理条件でも、ピッチ系炭素繊維の平均繊維長を変えることで、形成される皮膜の厚みが変化した。具体的には、炭素繊維の平均繊維長が長くなるほど、形成される皮膜の厚みが薄くなった。なお、炭素繊維の平均繊維長は、被覆の厚みが変わる要素の一つである。
【0081】
[ショアOO硬度の測定]
実施例1〜16、及び比較例1〜6に係る各熱伝導シートサンプルについて、ASTM−D2240の測定方法によるショアOO硬度を測定した。
【0082】
[圧縮応力の測定]
また、実施例1〜16、及び比較例1〜6に係るシート本体プレス後の熱伝導シートについて、引張圧縮試験機((株)エーアンドデー製、テンシロンRTG1225)を用いて、圧縮速度25.4mm/minで40%圧縮した際の最大圧縮応力を測定した。
【0083】
[熱抵抗値の測定]
また、実施例1〜16、及び比較例1〜6に係る各熱伝導シートサンプルについて、ASTM−D5470に準拠した方法で荷重1.0kgf/cm
2の範囲で熱抵抗値を測定した。
【0084】
[体積抵抗率の測定]
また、実施例1〜16、及び比較例1〜6に係る各熱伝導シートサンプルについて、JIS K−6911に準拠した方法で、三菱化学アナリテック社製ハイレスタ(MCP−HT800)及びURSプローブを用いて、体積抵抗率を測定した。印加電圧は実施例1〜16では100V、比較例1〜4では1V、比較例5〜6では100Vとした。
なお、比較例1〜4において、印加電圧を1Vとするのは、実施例や、比較例5〜6とは異なり、印加電圧が低くても測定が可能な為である。
【0085】
[実施例1]
実施例1では、2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂に、シランカップリング剤でカップリング処理したアルミナ粒子(熱伝導性粒子:電気化学工業株式会社製、平均粒径4μm)20vol%と、製造例1で得られた被覆炭素繊維(平均繊維長100μm、平均繊維径9μm)22vol%と、シランカップリング剤でカップリング処理した窒化アルミ(熱伝導性粒子:株式会社トクヤマ製、平均粒径1μm)24vol%とを分散させて、シリコーン樹脂組成物(熱伝導性樹脂組成物)を調製した。
2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂は、シリコーンA液50質量%、シリコーンB液50質量%の比率で混合したものである。なお、以下の実施例・比較例において用いたシリコーンA液、及びシリコーンB液は、前記シリコーンA液、及び前記シリコーンB液とそれぞれ同じものである。
得られたシリコーン樹脂組成物を、内壁に剥離処理したPETフィルムを貼った直方体状の中空金型(30mm×30mm)の中に押し出してシリコーン成型体を成型した。得られたシリコーン成型体をオーブンにて100℃で6時間硬化してシリコーン硬化物とした。得られたシリコーン硬化物を、超音波カッターで切断し、厚み約2mmの成型体シートを得た。超音波カッターのスライス速度は、毎秒50mmとした。また、超音波カッターに付与する超音波振動は、発振周波数を20.5kHzとし、振幅を60μmとした。
【0086】
得られた成型体シートを剥離処理をしたPETフィルムで挟んだ後、厚さ1.97mmのスペーサを入れてプレスすることにより、シート表面がバインダ樹脂の未硬化成分で覆われた熱伝導シートサンプルを得た。プレス条件は、80℃、1MPa設定で、3minとした。
【0087】
被覆炭素繊維は絶縁皮膜の厚さが77nmであった。
熱伝導シートサンプルは、ショアOO硬度が61、シートの初期厚みが1.998mm、圧縮応力が900Nであった。
シート表面には微粘着性が発現した。
また、実施例1に係る熱伝導シートサンプルは、熱抵抗が1.00[K・cm
2/W]、印加電圧100Vにおける体積抵抗率が2.3×10
10[Ω・cm]であった。
【0088】
[実施例2]
実施例2では、2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂として、シリコーンA液55質量%と、シリコーンB液45質量%とを混合したものを用いた他は、実施例1と同じ条件で、熱伝導シートサンプルを作成した。
【0089】
被覆炭素繊維は絶縁皮膜の厚さが77nmであった。
熱伝導シートサンプルは、ショアOO硬度が55、シートの初期厚みが2.031mm、圧縮応力が700Nであった。
シート表面には微粘着性が発現した。
また、実施例2に係る熱伝導シートサンプルは、熱抵抗が0.95[K・cm
2/W]、印加電圧100Vにおける体積抵抗率が2.7×10
10[Ω・cm]であった。
【0090】
[実施例3]
実施例3では、2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂として、シリコーンA液60質量%と、シリコーンB液40質量%とを混合したものを用いた他は、実施例1と同じ条件で、熱伝導シートサンプルを作成した。
【0091】
被覆炭素繊維は絶縁皮膜の厚さが77nmであった。
熱伝導シートサンプルは、ショアOO硬度が50、シートの初期厚みが2.005mm、圧縮応力が450Nであった。
シート表面には微粘着性が発現した。
また、実施例3に係る熱伝導シートサンプルは、熱抵抗が0.92[K・cm
2/W]、印加電圧100Vにおける体積抵抗率が3.6×10
10[Ω・cm]であった。
【0092】
[実施例4]
実施例4では、2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂として、シリコーンA液65質量%と、シリコーンB液35質量%とを混合したものを用いた他は、実施例1と同じ条件で、熱伝導シートサンプルを作成した。
【0093】
被覆炭素繊維は絶縁皮膜の厚さが77nmであった。
熱伝導シートサンプルは、ショアOO硬度が42、シートの初期厚みが1.982mm、圧縮応力が300Nであった。
シート表面には微粘着性が発現した。
また、実施例4に係る熱伝導シートサンプルは、熱抵抗が0.94[K・cm
2/W]、印加電圧100Vにおける体積抵抗率が4.4×10
10[Ω・cm]であった。
【0094】
[実施例5]
実施例5では、炭素繊維として、製造例2で得られた被覆炭素繊維(平均繊維長150μm)を用いた他は、実施例1と同じ条件で、熱伝導シートサンプルを作成した。
【0095】
被覆炭素繊維は絶縁皮膜の厚さが55nmであった。
熱伝導シートサンプルは、ショアOO硬度が70、シートの初期厚みが2.000mm、圧縮応力が950Nであった。
シート表面には微粘着性が発現した。
また、実施例5に係る熱伝導シートサンプルは、熱抵抗が0.91[K・cm
2/W]、印加電圧100Vにおける体積抵抗率が3.6×10
9[Ω・cm]であった。
【0096】
[実施例6]
実施例6では、炭素繊維として、製造例2で得られた被覆炭素繊維(平均繊維長150μm)を用いた他は、実施例2と同じ条件で、熱伝導シートサンプルを作成した。
【0097】
被覆炭素繊維は絶縁皮膜の厚さが55nmであった。
熱伝導シートサンプルは、ショアOO硬度が58、シートの初期厚みが2.009mm、圧縮応力が800Nであった。
シート表面には微粘着性が発現した。
また、実施例6に係る熱伝導シートサンプルは、熱抵抗が0.88[K・cm
2/W]、印加電圧100Vにおける体積抵抗率が4.7×10
9[Ω・cm]であった。
【0098】
[実施例7]
実施例7では、炭素繊維として、製造例2で得られた被覆炭素繊維(平均繊維長150μm)を用いた他は、実施例3と同じ条件で、熱伝導シートサンプルを作成した。
【0099】
被覆炭素繊維は絶縁皮膜の厚さが55nmであった。
熱伝導シートサンプルは、ショアOO硬度が57、シートの初期厚みが1.991mm、圧縮応力が550Nであった。
シート表面には微粘着性が発現した。
また、実施例7に係る熱伝導シートサンプルは、熱抵抗が0.86[K・cm
2/W]、印加電圧100Vにおける体積抵抗率が6.7×10
9[Ω・cm]であった。
【0100】
[実施例8]
実施例8では、炭素繊維として、製造例2で得られた被覆炭素繊維(平均繊維長150μm)を用いた他は、実施例4と同じ条件で、熱伝導シートサンプルを作成した。
【0101】
被覆炭素繊維は絶縁皮膜の厚さが55nmであった。
熱伝導シートサンプルは、ショアOO硬度が50、シートの初期厚みが2.016mm、圧縮応力が350Nであった。
シート表面には微粘着性が発現した。
また、実施例8に係る熱伝導シートサンプルは、熱抵抗が0.88[K・cm
2/W]、印加電圧100Vにおける体積抵抗率が8.2×10
9[Ω・cm]であった。
【0102】
[実施例9]
実施例9では、2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂に、シランカップリング剤でカップリング処理したアルミナ粒子(熱伝導性粒子:電気化学工業株式会社製、平均粒径4μm)43vol%と、製造例3で得られた被覆炭素繊維(平均繊維長90μm、平均繊維径9μm)23vol%を分散させて、シリコーン樹脂組成物(熱伝導性樹脂組成物)を調製した。
2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂は、シリコーンA液50質量%、シリコーンB液50質量%の比率で混合したものである。
得られたシリコーン樹脂組成物を、内壁に剥離処理したPETフィルムを貼った直方体状の中空金型(30mm×30mm)の中に押し出してシリコーン成型体を成型した。得られたシリコーン成型体をオーブンにて100℃で6時間硬化してシリコーン硬化物とした。得られたシリコーン硬化物を、超音波カッターで切断し、厚み約2mmの成型体シートを得た。超音波カッターのスライス速度は、毎秒50mmとした。また、超音波カッターに付与する超音波振動は、発振周波数を20.5kHzとし、振幅を60μmとした。
【0103】
得られた成型体シートを剥離処理をしたPETフィルムで挟んだ後、スペーサを入れてプレスすることにより、シート表面がバインダ樹脂の未硬化成分で覆われた熱伝導シートサンプルを得た。プレス条件は、80℃、1MPa設定で、3minとした。
【0104】
被覆炭素繊維は絶縁皮膜の厚さが95nmであった。
熱伝導シートサンプルは、ショアOO硬度が59、シートの初期厚みが2.017mm、圧縮応力が900Nであった。
シート表面には微粘着性が発現した。
また、実施例9に係る熱伝導シートサンプルは、熱抵抗が1.89[K・cm
2/W]、印加電圧100Vにおける体積抵抗率が1.2×10
10[Ω・cm]であった。
【0105】
[実施例10]
実施例10では、2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂として、シリコーンA液55質量%と、シリコーンB液45質量%とを混合したものを用いた他は、実施例9と同じ条件で、熱伝導シートサンプルを作成した。
【0106】
被覆炭素繊維は絶縁皮膜の厚さが95nmであった。
熱伝導シートサンプルは、ショアOO硬度が53、シートの初期厚みが2.008mm、圧縮応力が800Nであった。
シート表面には微粘着性が発現した。
また、実施例10に係る熱伝導シートサンプルは、熱抵抗が1.83[K・cm
2/W]、印加電圧100Vにおける体積抵抗率が2.9×10
10[Ω・cm]であった。
【0107】
[実施例11]
実施例11では、2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂として、シリコーンA液60質量%と、シリコーンB液40質量%とを混合したものを用いた他は、実施例9と同じ条件で、熱伝導シートサンプルを作成した。
【0108】
被覆炭素繊維は絶縁皮膜の厚さが95nmであった。
熱伝導シートサンプルは、ショアOO硬度が51、シートの初期厚みが1.982mm、圧縮応力が500Nであった。
シート表面には微粘着性が発現した。
また、実施例11に係る熱伝導シートサンプルは、熱抵抗が1.79[K・cm
2/W]、印加電圧100Vにおける体積抵抗率が4.2×10
10[Ω・cm]であった。
【0109】
[実施例12]
実施例12では、2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂として、シリコーンA液65質量%と、シリコーンB液35質量%とを混合したものを用いた他は、実施例9と同じ条件で、熱伝導シートサンプルを作成した。
【0110】
被覆炭素繊維は絶縁皮膜の厚さが95nmであった。
熱伝導シートサンプルは、ショアOO硬度が45、シートの初期厚みが1.996mm、圧縮応力が250Nであった。
シート表面には微粘着性が発現した。
また、実施例12に係る熱伝導シートサンプルは、熱抵抗が1.85[K・cm
2/W]、印加電圧100Vにおける体積抵抗率が5.5×10
10[Ω・cm]であった。
【0111】
[実施例13]
実施例13では、製造例4で得られた被覆炭素繊維(平均繊維長110μm)を用いた他は、実施例3と同じ条件で、成型体シートを作成した。
【0112】
得られた成型体シートを剥離処理をしたPETフィルムで挟んだ後、厚さ1.97mmのスペーサを入れてプレスすることにより、シート表面がバインダ樹脂の未硬化成分で覆われた熱伝導シートサンプルを得た。プレス条件は、100℃、1MPa設定で、30secとした。温度をより高温してプレス時間を短くしたことでシート表面は熱伝導フィラーの形状を反映しながら表面を反応に寄与しない成分で被覆されるようにした。
【0113】
被覆炭素繊維は絶縁皮膜の厚さが65nmであった。
熱伝導シートサンプルは、ショアOO硬度が52、シートの初期厚みが2.011mm、圧縮応力が500Nであった。
シート表面には微粘着性が発現した。
また、実施例13に係る熱伝導シートサンプルは、熱抵抗が0.85[K・cm
2/W]、印加電圧100Vにおける体積抵抗率が8.9×10
9[Ω・cm]であった。
【0114】
[実施例14]
実施例14では、製造例4で得られた被覆炭素繊維(平均繊維長110μm)を用いた他は、実施例4と同じ条件で、成型体シートを作成した。
【0115】
得られた成型体シートを剥離処理をしたPETフィルムで挟んだ後、厚さ1.97mmのスペーサを入れてプレスすることにより、シート表面がバインダ樹脂の未硬化成分で覆われた熱伝導シートサンプルを得た。プレス条件は、100℃、1MPa設定で、30secとした。温度をより高温してプレス時間を短くしたことでシート表面は熱伝導フィラーの形状を反映しながら表面を反応に寄与しない成分で被覆されるようにした。
【0116】
被覆炭素繊維は絶縁皮膜の厚さが65nmであった。
熱伝導シートサンプルは、ショアOO硬度が48、シートの初期厚みが1.978mm、圧縮応力が330Nであった。
シート表面には微粘着性が発現した。
また、実施例14に係る熱伝導シートサンプルは、熱抵抗が0.84[K・cm
2/W]、印加電圧100Vにおける体積抵抗率が8.3×10
9[Ω・cm]であった。
【0117】
[実施例15]
実施例15では、製造例4で得られた被覆炭素繊維(平均繊維長110μm)を用いた他は、実施例3と同じ条件で、成型体シートを作成した。
【0118】
得られた成型体シートを剥離処理をしたPETフィルムで挟んだ後、プレスを行わないで1日放置してシート表面がバインダ樹脂の未硬化成分で覆われた熱伝導シートサンプルを得た。シート表面は熱伝導フィラーの形状を反映しながら表面を反応に寄与しない成分で被覆されるようにした。
【0119】
被覆炭素繊維は絶縁皮膜の厚さが65nmであった。
熱伝導シートサンプルは、ショアOO硬度が50、シートの初期厚みが2.023mm、圧縮応力が400Nであった。
シート表面には微粘着性が発現した。
また、実施例15に係る熱伝導シートサンプルは、熱抵抗が0.88[K・cm
2/W]、印加電圧100Vにおける体積抵抗率が9.4×10
9[Ω・cm]であった。
【0120】
[実施例16]
実施例16では、製造例4で得られた被覆炭素繊維(平均繊維長110μm)を用いた他は、実施例3と同じ条件で、成型体シートを作成した。
【0121】
得られた成型体シートを剥離処理をしたPETフィルムで挟んだ後、プレスを行わないで1週間放置してシート表面がバインダ樹脂の未硬化成分で覆われた熱伝導シートサンプルを得た。シート表面は熱伝導シート表面を反応に寄与しない成分で被覆されるようにした。
【0122】
被覆炭素繊維は絶縁皮膜の厚さが65nmであった。
熱伝導シートサンプルは、ショアOO硬度が49、シートの初期厚みが2.001mm、圧縮応力が350Nであった。
シート表面には微粘着性が発現した。
また、実施例16に係る熱伝導シートサンプルは、熱抵抗が0.90[K・cm
2/W]、印加電圧100Vにおける体積抵抗率が1.2×10
10[Ω・cm]であった。
【0123】
[比較例1]
比較例1では、絶縁皮膜処理を行っていないピッチ系炭素繊維(熱伝導性繊維:日本グラファイトファイバー株式会社製、平均繊維長100μm、平均繊維径9μm)を用いた他は、実施例1と同じ条件で、熱伝導シートサンプルを作成した。
【0124】
比較例1に係る熱伝導シートサンプルは、ショアOO硬度が72、シートの初期厚みが2.010mm、圧縮応力が1000Nであった。
シート表面には微粘着性が発現した。
また、比較例1に係る熱伝導シートサンプルは、熱抵抗が0.88[K・cm
2/W]、印加電圧1Vにおける体積抵抗率が3.4×10
4[Ω・cm]であった。
【0125】
[比較例2]
比較例2では、絶縁皮膜処理を行っていないピッチ系炭素繊維(熱伝導性繊維:日本グラファイトファイバー株式会社製、平均繊維長100μm、平均繊維径9μm)を用いた他は、実施例2と同じ条件で、熱伝導シートサンプルを作成した。
【0126】
比較例2に係る熱伝導シートサンプルは、ショアOO硬度が63、シートの初期厚みが1.99mm、圧縮応力が900Nであった。
シート表面には微粘着性が発現した。
また、比較例2に係る熱伝導シートサンプルは、熱抵抗が0.85[K・cm
2/W]、印加電圧1Vにおける体積抵抗率が3.6×10
4[Ω・cm]であった。
【0127】
[比較例3]
比較例3では、絶縁皮膜処理を行っていないピッチ系炭素繊維(熱伝導性繊維:日本グラファイトファイバー株式会社製、平均繊維長100μm、平均繊維径9μm)を用いた他は、実施例3と同じ条件で、熱伝導シートサンプルを作成した。
【0128】
比較例3に係る熱伝導シートサンプルは、ショアOO硬度が59、シートの初期厚みが1.999mm、圧縮応力が450Nであった。
シート表面には微粘着性が発現した。
また、比較例3に係る熱伝導シートサンプルは、熱抵抗が0.84[K・cm
2/W]、印加電圧1Vにおける体積抵抗率が3.9×10
4[Ω・cm]であった。
【0129】
[比較例4]
比較例4では、絶縁皮膜処理を行っていないピッチ系炭素繊維(熱伝導性繊維:日本グラファイトファイバー株式会社製、平均繊維長100μm、平均繊維径9μm)を用いた他は、実施例4と同じ条件で、熱伝導シートサンプルを作成した。
【0130】
比較例4に係る熱伝導シートサンプルは、ショアOO硬度が50、シートの初期厚みが2.005mm、圧縮応力が300Nであった。
シート表面には微粘着性が発現した。
また、比較例4に係る熱伝導シートサンプルは、熱抵抗が0.87[K・cm
2/W]、印加電圧1Vにおける体積抵抗率が4.7×10
4[Ω・cm]であった。
【0131】
[比較例5]
比較例5では、比較例1で得られた熱伝導シートに2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂として、シリコーンA液50質量%と、シリコーンB液50質量%とを混合したものを塗布して熱伝導シートサンプルを作成した。
【0132】
比較例5に係る熱伝導シートサンプルは、ショアOO硬度が75、シートの初期厚みが2.030mm、圧縮応力が1050Nであった。
シート表面には微粘着性が発現した。
また、比較例5に係る熱伝導シートサンプルは、熱抵抗が2.43[K・cm
2/W]、印加電圧100Vにおける体積抵抗率が1.0×10
12[Ω・cm]であった。
【0133】
[比較例6]
比較例6では、塗布する2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂として、シリコーンA液45質量%と、シリコーンB液55質量%とを混合したものを用いた他は、比較例5と同じ条件で、熱伝導シートサンプルを作成した。
【0134】
比較例6に係る熱伝導シートサンプルは、ショアOO硬度が75、シートの初期厚みが2.015mm、圧縮応力が1200Nであった。
シート表面には微粘着性が発現しなかった。
また、比較例6に係る熱伝導シートサンプルは、熱抵抗が2.56[K・cm
2/W]、印加電圧100Vにおける体積抵抗率が8.1×10
11[Ω・cm]であった。
【0135】
[微粘着性の評価]
また、実施例1〜16及び比較例1〜6に係る各熱伝導シートサンプルについて、微粘着性の評価を行った。微粘着性の評価は、実施例1〜16及び比較例1〜6に係るシリコーン硬化物をスライスして得られた成型体シートを剥離処理していないPETフィルムで挟んだ後、厚さ1.97mmのスペーサを入れて80℃、2.45MPa設定で、3minプレスした後、常温まで冷却することにより、微粘着性評価用熱伝導シートサンプルを得た。
【0136】
この微粘着性評価用熱伝導シートサンプルのPETフィルムの端部を手で剥離し、試験機で当該端部を挟持した後、90°上方に50mm/mmの速度で引っ張り、荷重を測定し、剥離力(荷重)に応じて微粘着性(タック性)について評価した。各サンプルの剥離力は所定の幅を持って計測される。以下の評価基準で評価した。
〔評価基準〕
◎(最適):剥離力が0.05〜0.25(N/cm)の範囲で振れた場合
○(良好):剥離力が0.02〜0.05(N/cm)、0.20〜0.30(N/cm)の範囲で振れた場合
△(普通):剥離力が0〜0.04(N/cm)の範囲で振れた場合
×(不良):シートの一部でも微粘着性が発現しない箇所が認められた場合
【0137】
【表1】
【0138】
【表2】
【0139】
【表3】
【0140】
【表4】
【0141】
表1〜4に示すように、実施例1〜16に係る熱伝導シートサンプルでは、熱抵抗が最大で1.89[K・cm
2/W]で、体積抵抗率が最小で3.6×10
9[Ω・cm]であり、概ね熱伝導性と絶縁性の両立が図られている。これは、熱伝導シートサンプルに含有されている炭素繊維が50nm以上、100nm未満の厚さで絶縁皮膜により被覆されていることから、所望の膜厚によって絶縁皮膜が形成され、良好な体積抵抗率を備えるとともに、シリカ微粒子の生成を抑制でき、熱伝導率の低下を防止することができたことによる。また、実施例1〜16に係る熱伝導シートサンプルでは、シート表面に露出された炭素繊維はスライス時に絶縁皮膜が切断され炭素繊維が露出されているが、バインダ樹脂の未硬化成分によって被覆されていることから、熱伝導率を損なうことなく、周囲の部材に対する絶縁性を有することによる。
なお、実施例1〜12、16においては、
図5に示すような、表面が平滑な熱伝導シートが得られた。実施例13〜15では、
図6に示すような、表面がシート本体の表面に露出した炭素繊維に由来する凸部を有する熱伝導シートが得られた。
【0142】
一方、比較例1〜4に係る熱伝導シートサンプルでは、絶縁皮膜が形成されていない炭素繊維を用いているため、熱抵抗は低く抑えられたものの、体積抵抗率が低く、絶縁性が不十分となった。また、比較例5及び比較例6では、熱伝導シートサンプルにさらにバインダ樹脂を塗布することで体積抵抗率は高く絶縁性に優れるものの、炭素繊維がバインダ樹脂内に埋没されたことから熱抵抗が高くなった。
【0143】
なお、比較例6に係る熱伝導シートサンプルでは、塗布したシリコーン樹脂のシリコーンA液の構成比率が45%と低く、未硬化成分が十分に残っておらず、プレスすることによってもシートの全表面を被覆するに至らず、一部において微粘着性は発現しなかった。そのため、比較例6に係る熱伝導シートサンプルは、微粘着性が発現しない箇所においては、接続対象に対する仮固定は不可能で、作業性が悪い。また、比較例6に係る熱伝導シートサンプルは、柔軟性に欠けるとともに、接着対象への追従性、密着性が悪く、熱抵抗が上昇した。