(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明で開示するのは、微粒子サイズの活性炭である。また、開示するのは、微粒子サイズの活性炭を製造するための方法、及び、煙道ガス流、例えば、石炭火力発電所から出た煙道ガスから水銀を吸着することへの活性炭の使用である。
【0012】
微粒子サイズの吸着剤材料は、水銀不純物のような不純物を吸着するのに理想的であると思われることがあるが、これらのサイズは、材料の輸送/操作の難しさ、機械ユニット、格納容器(containment)の過度の消耗及び摩耗、並びに、より大きいサイズの材料に関してそれらを調製するための時間及び費用を含む1つ又は複数の理由によって用いられない。
【0013】
微粒子サイズの材料は、しばしば、当技術分野で公知の様々な方法及び装置、例えば、微粉砕機、破砕機、ジェット粉砕機、ロール粉砕機、ボール粉砕機、ハンマー粉砕機、及び分級機(例えば、空気分級機)を使用して、粗い(例えば、粒状粉末又は粗粉末)材料から形成される。しかしながら、これらの装置の多くは、機械的/動力的制限、粉砕機構成などのため、特定の粒子サイズ分布が可能でない。
【0014】
本明細書で開示するのは、d
95粒子サイズ分布によって示されるような微粒子サイズの活性炭を形成する方法であり、このd
95とは、体積基準における95%の粒子群の粒子サイズを表す。粒子サイズは、当技術分野で公知の任意の方法、例えば、LS(商標)13320又はLS(商標)200レーザー回折粒子サイズ分析器(どちらもベックマン・コールターから入手可能)によって決定することができる。
【0015】
活性炭は、しばしば、不純物の除去のような多くの用途において吸着剤として使用される。例えば、活性炭は煙道ガスから水銀を除去するための典型的な吸着剤である。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、本明細書で開示する微粒子サイズの活性炭は、その高比外表面積を有するため、煙道ガスからのHg除去を促進することができる。吸着剤と煙道ガスの間の接触時間は典型的に非常に短い、例えば、それは多くても数秒であるため、(例えば、電気集塵装置及び布フィルターで構成される発電所内における水銀除去のような多くの用途で)、Hgにとっては吸着材の内表面(すなわち、粒子のポア内の奥の表面領域)と結合するには不十分な時間しかない。その代わりに、Hgは、吸着剤が除去される前の使用可能な時間で、容易に接触可能である外表面と最初に結合する。一定のd
50において、d
95により測定される材料のサイズを減少させると、活性炭吸着剤の比外表面積を、所与のd
50において可能な最大範囲まで増加させることができ、それによって、この用途において、煙道ガスからHgを除去する吸着材の能力を改善する。同じ粒子サイズ分布が設定された場合、より小さいd
50を持つ材料は、より大きいd
50を持つ材料よりも、一貫して性能が優れていることが当技術分野でよく知られている。しかしながら、全体にわたる粒子サイズ分布を調整することによって、例えば、d
95を減らすことによって、性能が改善することが明らかになっている。
【0016】
別の実施形態では、吸着材はd
50に対するd
95の小さい比、例えば、d
95/d
50比は1.5〜3の範囲を有する。そのようなd
95/d
50比に処理した吸着剤は、所定の流動性での改善した性能を得ることができる。その粉末の流れの特性は、メジアン粒子サイズによって大きく影響を受け、その流れは、典型的に、より小さいサイズ分布及び/又はより広い粒子サイズ分布になるとより困難になる。所与のメジアン粒子サイズで、より狭い粒子サイズ分布を作り出すことによって、性能及び流れの両方を最大化することができる。追加的に、所与のシステムでの流れを可能とする、より狭い粒子サイズ分布を用いることによって、より小さいメジアン粒子サイズをまた利用することができ、それによって、改善した性能への可能性がさらに増加する。
【0017】
理論によって拘束されることを望むものではないが、活性炭の性能は、そのような短い接触時間で外側の比表面領域によって作用するものであると考えられているため、内部細孔構造及び内表面領域は、一般的に、Hg除去性能を助けるのに有効なパラメータではない。そのような、より高密度の材料は、しばしば、より低密度の製品に比べ質量基準では性能が劣るが、体積基準では同等の性能である。理論によって拘束されることを望むものではないが、非常に近い値のd
50を持つが、異なるd
95値を持つ2つの材料を比較する場合、より低いd
95を持つ材料は、より高いd
95を持つ材料よりも性能が優れる。
【0018】
1つの実施形態では、1μm〜28μm、例えば、1μm〜27μm、1μm〜26μm、1μm〜25μm、1μm〜23μm、1μm〜20μm、1μm〜18μm、1μm〜15μm、1μm〜10μm、3μm〜28μm、3μm〜27μm、3μm〜26μm、3μm〜25μm、3μm〜23μm、3μm〜20μm、3μm〜18μm、3μm〜15μm、3μm〜10μm、5μm〜28μm、5μm〜27μm、5μm〜26μm、5μm〜25μm、5μm〜23μm、5μm〜20μm、5μm〜18μm、5μm〜15μm、又は5μm〜10μmの範囲のd
95粒子サイズ分布を有する活性炭を提供する。
【0019】
1つの実施形態では、活性炭は、1.5〜3、例えば、2〜3、又は2.5〜3の範囲のd
95/d
50比を有する。
【0020】
1つの実施形態では、本明細書で開示する活性炭は、1μm〜18μm、例えば、1μm〜15μm、1μm〜13μm、1μm〜10μm、3μm〜18μm、3μm〜15μm、3μm〜13μm、3μm〜10μm、4μm〜18μm、4μm〜15μm、4μm〜13μm、4μm〜10μm、5μm〜18μm、5μm〜15μm、5μm〜13μm、5μm〜10μm、8μm〜18μm、8μm〜15μm、8μm〜13μm、9μm〜18μm、9μm〜15μm、若しくは9μm〜13μmの範囲の平均粒子サイズ分布又はd
50粒子サイズ分布によって特徴づけられる粒子サイズ分布を有することができる。
【0021】
別の実施形態では、本明細書で開示する活性炭は、1μm〜20μm、例えば、1μm〜15μm、1μm〜12μm、1μm〜10μm、3μm〜20μm、3μm〜15μm、3μm〜12μm、3μm〜10μm、5μm〜20μm、5μm〜15μm、5μm〜12μm、又は5μm〜10μmの範囲のd
90粒子サイズ分布によって特徴づけられる粒子サイズ分布を有することができる。
【0022】
別の実施形態では、本明細書で開示する活性炭は、1μm〜15μm、例えば、1μm〜15μm、1μm〜12μm、1μm〜10μm、3μm〜15μm、3μm〜12μm、3μm〜10μm、5μm〜15μm、5μm〜12μm、又は5μm〜10μmの範囲のd
99.9粒子サイズ分布によって特徴づけられる粒子サイズ分布を有することができる。
【0023】
別の実施形態では、
20mm以下のd
95粒子サイズ分布を有する活性炭原料に、空気分級及び粉砕から選択される少なくとも1つのプロセスを行い、1μm〜28μmのd
95粒子サイズ分布と、1.5〜3のd
95/d
50比とを有する微粒子サイズの活性炭を形成する工程を含む、微粒子サイズの活性炭の調製方法を提供する。
【0024】
1つの実施形態では、活性炭原料は10mm以下のd
95粒子サイズ分布を有する。
【0025】
1つの実施形態では、原料は炭素質源としての原材料を炭化/活性化(これらは、例えば、蒸気、ガス、及び/又は、例えば、窯の中における高温での化学処理を通じて、別々に又は同時に起こることがある)することで得られる。1つの実施形態では、有用な活性炭は、泥炭、木、リグノセルロース系材料、バイオマス、廃棄物、タイヤ、オリーブの種、桃の種、トウモロコシ種皮、もみ殻、石油コークス、亜炭、褐炭、無煙炭、瀝青炭、亜瀝青炭、ヤシ殻、ペカン殻、及びクルミ殻、並びに当技術分野で公知のその他の原材料から選択される任意の原材料から得ることができる。これらの原材料を炭化及び活性化(例えば、蒸気活性化、ガス活性化、又は化学活性化)することで、活性炭原料を形成することができる。1つの実施形態では、本明細書で開示する(例えば、亜炭又は瀝青炭から誘導される)活性炭は、亜炭系活性炭又は瀝青炭系活性炭である。
【0026】
1つの実施形態では、活性炭原料は、20mm以下、例えば、10mm以下、5mm以下、1mm以下、750μm以下、500μm以下、250μm以下、100μm以下、又は50μm以下のd
95粒子サイズ分布を有する。その原料は、粒状又は粉末形状であることができる。
【0027】
1つの実施形態では、活性炭原料は、1μm〜28μmの範囲のd
95粒子サイズ分布を有する粒子を形成する、少なくとも1つのプロセスが行われる。1つの実施形態では、その少なくとも1つのプロセスは、空気分級又は粉砕から選択される。1つの実施形態では、その少なくとも1つのプロセスは空気分級であり、その空気分級(空気分離器又は遠心分離機としても知られる)は、環状、円筒状、又は円錐状の経路内で、加圧ガス(例えば、空気)を用いて粒子を上方向に送ることによって分離を達成する。1つの実施形態では、この経路は、遠心分離器又はそれに類似のものである。別の実施形態では、この経路は粉砕機本体であり、それは、流れパターンを促進するための内部構造を有するか又は有さないことがある。より小さい粒子は、搬送ガス内に十分に混入して、遠心分離機を通過する。一般に、遠心分離機(しばしば、空気分級ホイール)は、(所与のガス速度で、より小さい粒子に対して混入が少ない)より大きな粒子が拒絶されて、追加の粉砕を行うために粉砕室に戻ってくるような非常に高スピードで回転する。空気流は、コンプレッサ又は誘引通風機を含む、当技術分野で公知の多くの装置によって提供することができる。1つの実施形態では、空気分級機は分級ホイールを含有し、開示するd
95粒子サイズ分布(例えば、1μm〜28μm)は、定格最大ホイール速度の20%〜120%、例えば、定格最大ホイール速度の50%〜120%、80%〜120%、20%〜100%、50%〜100%、又は80%〜100%の範囲のホイール速度で操作することによって達成される。
【0028】
別の実施形態では、少なくとも1つのプロセスが粉砕、例えば、ジェット粉砕又はハンマー粉砕から選択される。1つの実施形態では、粉砕は、粒子がチャンバー内に注入されて、粒子−粒子の摩擦がサイズ減少を達成するジェット粉砕から選択される。別の実施形態では、粉砕は、原料粒子が回転ブレード又はハンマーと衝突し、粒子サイズ減少をもたらすハンマー粉砕によって達成される。
【0029】
1つの実施形態では、少なくとも1つのプロセスは、粉砕及び分級の組み合わせであり、同時に又は連続して行う。例えば、空気分級粉砕機は、加圧空気流を、衝突粉砕機(例えば、ハンマー粉砕機)を通じて原料粒子を運ぶのに用い、粒子サイズを減少させ、その後にさらに分級を行う。粗粒子は、空気分級機に拒絶され、さらに粉砕及び粒子サイズの低減を行うために粉砕機に戻されることがある。空気分級粉砕機の例としては、Hosokawaから入手可能な、Mikro−ACM(登録商標)100ハンマー粉砕機/空気分級粉砕機である。
【0030】
代替方法として、空気分級粉砕機は、外付けのエダクターループ(eductor loop)を追加することができ、これは分級機ゾーンから材料を取り出してそれを供給材料と混合する再循環ループである。この粉砕機の例は、Hosokawa製の空気分級粉砕機Mikro e−ACM(登録商標)(「eACM」)である。粉砕機チャンバー(すなわち、分級ホイールゾーン)の上部から材料を排出することが、不良材料に対し粉砕室に戻る時間を減少させるが、これはこの工程についてはプロセスがもはや重力作用のみに依拠していないためである。この外付けの再循環のため、粉砕機チャンバーの内部を囲う必要性もない。追加的に、標準ACMについては、供給材料は、しばしば、ロータディスクの上方に導入されるが、eACMについては、供給材料は、供給材料が空気入口を通じて粉砕機内に空圧で取り込まれるように、スイープガスとともにロータディスクの下方に導入される。ロータディスクの下方に材料を供給することで、分級ホイールに衝突する前に、粉砕領域(粉砕先端/ハンマーとライナーの間のギャップ)に通じる少なくとも1つの流路(パス)を確保して、標準ACMより高い処理量を生み出す。ACMsの処理量は、100HPモデルが15HPモデルの処理量のおよそ6.6倍を達成することができるように、駆動用モータの動力に応じて直接的に増加する。しかしながら、15HPのeACNと100HPの標準設計ACMの処理量を比較した場合、より小さいeACMが、よりいっそう大きい粉砕機の処理量と略同一であることができる。
【0031】
ジェット粉砕機/空気分級機は、粒子−粒子の摩擦によって粒子サイズが減少する。搬送ガスは、粒子を粉砕機の上方向に運ぶことができる。粗粒子は搬送ガスに十分に混入されず、大きすぎて回転分級機を通過できない。これらの大きい粒子は分級ホイールによって拒絶され、追加的にサイズ減少を行うためにジェット粉砕機チャンバーに戻される。ジェット粉砕機/空気分級機の例としては、Hosokawaから入手可能なAlpine AFG400ジェット粉砕機である。1つの実施形態では、ジェット粉砕機については、開示するd
95粒子サイズ分布(例えば、1μm〜28μm)は、lb/(hr−hp)の単位で、ジェット粉砕機の馬力で正規化された処理量を制御することで達成される。1つの実施形態では、ジェット粉砕は、0.1〜2lb/(hr−hp)、例えば、0.1〜1.5lb/(hr−hp)、0.1〜1.25lb/(hr−hp)、0.1〜1lb/(hr−hp)、0.1〜0.75lb/(hr−hp)、0.1〜0.5lb/(hr−hp)、0.2〜2lb/(hr−hp)、0.2〜1.5lb/(hr−hp)、0.2〜1.25lb/(hr−hp)、0.2〜1lb/(hr−hp)、0.2〜0.75lb/(hr−hp)、又は0.2〜0.5lb/(hr−hp)の範囲の馬力で正規化された処理量で操作される。
【0032】
1つの実施形態では、少なくとも1つのプロセスは、空気分級/粉砕から選択され、例えば、空気分級粉砕機(例えば、ハンマー粉砕機)を用いる。1つの実施形態では、空気分級粉砕機は分級ホイールを用いて操作され、開示するd
95粒子サイズ分布(例えば、1μm〜28μm)は、定格最大ホイール速度の20%〜120%、例えば、定格最大ホイール速度の50%〜120%、80%〜120%、20%〜100%、50%〜100%、又は80%〜100%の範囲のホイール速度で操作することによって達成される。別の実施形態では、開示するd
95粒子サイズ分布(例えば、1μm〜28μm)は、aCFM/hp(空気流量/粉砕動力)の単位で馬力調整した空気流量によって示されるように、粉砕動力に対して空気流量を制御することによって達成される。1つの実施形態では、空気分級粉砕機は、10〜150aCFM/hp、例えば、10〜125aCFM/hp、10〜100aCFM/hp、25〜150aCFM/hp、25〜125aCFM/hp、25〜100aCFM/hp、50〜150aCFM/hp、50〜125aCFM/hp、又は50〜100aCFM/hpの範囲の馬力調整した空気流量で操作される。
【0033】
別の実施形態では、少なくとも1つのプロセスは、空気分級/粉砕から選択され、例えば、連続して実施されるジェット粉砕機/空気分級機を用いる。1つの実施形態では、ジェット粉砕については、開示するd
95粒子サイズ分布(例えば、1μm〜28μm)は、lb/(hr−hp)の単位で、ジェット粉砕機の馬力で正規化された処理量を制御することで達成される。1つの実施形態では、ジェット粉砕は、0.1〜2lb/(hr−hp)、例えば、0.1〜1.5lb/(hr−hp)、0.1〜1.25lb/(hr−hp)、0.1〜1lb/(hr−hp)、0.1〜0.75lb/(hr−hp)、0.1〜0.5lb/(hr−hp)、0.2〜2lb/(hr−hp)、0.2〜1.5lb/(hr−hp)、0.2〜1.25lb/(hr−hp)、0.2〜1lb/(hr−hp)、0.2〜0.75lb/(hr−hp)、又は0.2〜0.5lb/(hr−hp)の範囲の馬力で正規化された処理量で操作される。
【0034】
別の実施形態では、少なくとも1つのプロセスは、連続して実施される粉砕及び空気分級から選択される。1つの実施形態では、破砕機又は微粉砕機は、31ミクロンよりも大きいd
95を有する粉末(例えば、31〜200μmの範囲の粉末のような粗粉末)を生成するために最初に使用することができる。開示するd
95粒子サイズ分布(例えば、1μm〜28μm)は、この粗粉末を(例えば、サイクロンを通じて)空気分級して、閾値より小さいサイズ(例えば、1μm〜28μm)を有する粒子をより大きい粒子サイズ(粗粉)を有する粒子から分離することによって達成することができる。次いで、任意選択で、より大きいサイズの粒子(例えば、28μm、少なくとも50μm、少なくとも100μm、少なくとも250μm、少なくとも500μm、又は、少なくとも1mmより大きいd
95粒子サイズ分布)は、例えば、開示するd
95粒子サイズ分布(例えば、1μm〜28μm)を持つ材料を作り出す、内蔵した空気分級技術を有する粉砕機でさらに粉砕され分級される。次いで、その2つの流れは再混合されて、開示するd
95粒子サイズ分布(例えば、1μm〜28μm)を作り出す。
【0035】
分級及び/又は粉砕された原料活性炭は、炭素質活性炭、又は処理活性炭(例えば、蒸気又は化学的活性化)であることができる。1つの実施形態では、原料活性炭は化学的に処理、例えば、ハロゲン化、例えば、フッ素化、塩素化、臭素化、又はヨウ素化される。1つの実施形態では、原料活性炭は炭素質であり、分級後に及び/又は粉砕後に化学的に処理される(例えば、分級及び/又は粉砕後に、ハロゲン化、例えば、フッ素化、塩素化、臭素化、又はヨウ素化される)。
【0036】
1つの実施形態では、本明細書で開示する微粒子サイズの活性炭は、精製用途のための吸着剤として使用することができる。1つの実施形態では、微粒子サイズの活性炭は、例えば、石炭火力発電所で石炭燃焼によって生成された煙道ガスから、水銀を除去するための吸着剤として使用することができる。したがって、別の実施形態では、
石炭燃焼から生成される煙道ガス中に活性炭を注入する工程を含む、水銀除去方法であって、
前記活性炭が、1μm〜28μmのd
95粒子サイズ分布と、1.5〜3のd
95/d
50比とを有する方法を提供する。
【0037】
水銀除去又は水銀吸着は、元素若しくはイオン形態の水銀を除去又は吸着することとして理解される。
【0038】
図1は、発電所2の基本構成を示したフローチャートである。発電所2は、運転可能な発電所、実験的試験場所、パイロットプラント、又は実験規模模型であることができる。石炭14は水を収容するボイラー4に供給される。ボイラー4による石炭14の燃焼が水を熱して蒸気を作り出し、ボイラーと吸着剤注入の間に設置されるエコノマイザ(図示なし)を通じて、煙道ガスを矢印6で示される経路を通じてボイラー4から出す。粒子状の吸着剤10はボイラー4の下流で注入され、吸着剤10上に水銀不純物の吸着をもたらす。粒子収集装置8は使用済吸着剤12をガス流から分離する。粒子収集装置8は、当技術分野で公知の1つ又は複数のデバイス、例えば、電気集塵装置(ESP)、布フィルター、若しくはバグハウスを含むことができる。
【0039】
任意選択で、発電所2は、ボイラー4と粒子収集装置8の間に設置される空気予熱器16を有するように構成することができ、その空気予熱器16は、2000°F超まで温度を上げることができるボイラーを出てきた煙道ガスを冷却する。温度が100°F以上減少する場合があるため、空気予熱器入口16aの上流は、「高温側部」と称され、一方、空気予熱器出口16bの下流は「低温側部」と称される。吸着剤10は、空気加熱器16の下流で注入されるように示されるが、空気加熱器16の低温側部又は高温側部で注入することができる。
【0040】
運転発電所での煙道ガスは、しばしば、水銀不純物の吸着を阻害することがあるその他の不純物を含有する。例えば、煙道ガス中の一般的な不純物のSO
3は、活性炭上の吸着サイトに対して、水銀不純物と競合する場合がある。SO
3の存在下での水銀除去の効率を決定するために、
図1は、空気予熱器16の上流20a又は下流20bのいずれかで、煙道ガス中に制御された量を混ぜ込むためのSO
318の供給源を示す。
【0041】
図1の基本構成は、様々な異なる方法で構成することができる。使用済吸着剤12を分離した後、煙道ガスは、例えば、SO
x及びNO
xのようなその他の煙道ガス汚染物を除去するスクラバ、追加の粒子収集装置、並びに空気加熱器を通じて、さらに処理されて又は精製されることができる。
【0042】
発電所は、
図2に図示されるように、一部の煙道ガスについて、メイン流路(パス)に側管を通してより小規模で試験を実施することを可能とするように構成される、スリップストリームを取り付けることができる。
図2は、Mercury Research Center(Gulf Power Company’s Plant Crist Unit5、Pensacola、FL)の発電所についての構成を模式的に図示する。発電所52は、空気加熱器66の上流(高温側部ESP58a)又は下流(低温側部ESP58b)に設置することができる、高温側部の電気集塵装置(ESP)へ煙道ガスを導くボイラー54を含む。スクラバ80は空気加熱器66の下流に、並びに、SO
x及びNO
xのようなその他の汚染物の除去のためのESP58a又はESP58bの下流にさらに設置される。
【0043】
SO
3の存在下で水銀除去の試験を行うために、ユニット52は、経路52cに収束する高温側部52a及び低温側部52bのバイパス経路を含有するスリップストリーム70(点線の輪郭の内側)が取り付けられ、高温側部ガス及び低温側部のガスの平均である温度を有する煙道ガスを作り出す。スリップストリーム70に入る煙道ガスは、任意選択で、スクラバ72、空気加熱器74、及び、ESP又はバグハウスを含む粒子収集装置76を通過する。吸着剤10は入口10a(高温側部)又は10b(低温側部)に注入することができる。同様にして、SO
318の注入は高温側部(18a)又は低温側部(18b)で発生させることができる。粒子収集装置76の上流及び下流に吸着剤10及びSO
318を注入する前後で、水銀濃度を監視することができる。水銀の出口濃度は、連続発光測定システムで測定される。入口濃度は吸着剤トラップを使用して測定される。吸着剤トラップはOhio Lumexを使用して評価される。
【0044】
幾つかの例において、例えば、高いSO
3煙道ガス流については、活性炭と競合的に結合するSO
3の能力と関連するSO
3の著しく高い濃度は、水銀除去に対する課題を提起する場合がある。開示する微粒子サイズの材料は原料活性炭に対して増加した凝集強度を有することがまた明らかになっている。凝集強度の増加は、石炭火力発電所での供給システム内の流れに影響を与えることがあり、活性炭のより劣った供給性をもたらすことがある。微粒子サイズの活性炭は保管中に(例えば、ホッパー中又はサイロ中で)架橋する場合があることがまた明らかになっている。
【0045】
本明細書で開示するのは、水銀及びSO
3の両方による吸着に対応するような増加した量の結合サイトを含む組成物である。したがって、1つの実施形態では、活性炭とシリカ、例えば、ヒュームドシリカとを含む組成物を提供する。ヒュームドシリカは、強固に融合した一次シリカ粒子を含み、凝結体(アグリゲート)を形成して、次に他の凝結体と結びついて凝集体(アグロメレート)を形成する。流れ制御のための例示的なヒュームドシリカとしては、キャボットコーポレイションから入手可能なCAB−O−SIL(登録商標)の下で販売されるものが挙げられ、CAB−O−SIL(登録商標)M−5、PTG、MS−55、EH−5、TS−720、TS−610、及びTS−530が挙げられる。それは、接触可能な結合サイトの数を増加させるような活性炭の増加した流れの特性をもたらす。
【0046】
1つの実施形態では、シリカ、例えば、ヒュームドシリカは、組成物の総質量に対して、0.05wt%〜2wt%、例えば、0.1wt%〜2wt%の範囲の量で、活性炭を含む組成物の中に存在する。1つの実施形態では、活性炭を含む組成物は粉末状材料である。別の実施形態では、シリカは、組成物の総質量に対して、組成物の中に0.05wt%〜1.5wt%、例えば、0.05wt%〜1wt%、0.05wt%〜0.5wt%、0.1wt%〜2wt%、0.1wt%〜1.5wt%、0.1wt%〜1wt%、又は0.1wt%〜0.5wt%の範囲の量で存在する。
【0047】
微粒子サイズの活性炭及びシリカ(例えば、ヒュームドシリカ)を含む組成物は、シリカを含まず活性炭を含む組成物と比較して、改善した流れの特性を有することができることがまた明らかになっている。別の実施形態では、活性炭及びシリカ(例えば、ヒュームドシリカ)を含む組成物を、石炭燃焼から生成された煙道ガスに注入する工程を含む水銀除去方法であって、その活性炭が1μm〜28μmの範囲のd
95粒子サイズ分布と、1.5〜3の範囲のd
95/d
50比とを有する方法を提供する。シリカは、組成物の総質量に対して、組成物の中に0.05wt%〜2wt%範囲の量で、又は本明細書で開示するその他の量で存在することができる。
【実施例】
【0048】
全ての粒子サイズを、LS(商標)13320又はLS(商標)200レーザー回折粒子サイズ分析器(どちらもベックマン・コールターから入手可能)を用いて、分散液として測定した。
【0049】
[例1:ジェット粉砕/空気分級を通じた微粒子サイズの活性炭の調製]
使用した原料の亜炭系臭素化活性炭は、キャボットコーポレイション−Norit Activated Carbonから商業的に入手可能な、DARCO(登録商標)Hg−LH Extraであった。使用した粉砕機は、Hosokawa製のAlpine AFG400ジェット粉砕機であった。
【0050】
以下の表1は、ジェット粉砕機についての運転条件、並びに原料及び粉砕した活性炭の特性を示す。
【0051】
【表1】
【0052】
[例2:ハンマー粉砕/空気分級を通じた微粒子サイズの活性炭の調製]
本例では、原料活性炭にハンマー粉砕及び空気分級を行った。原料の亜炭系活性炭の特性を以下の表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
この原料を、Hosokawa製のMikro−ACM(登録商標)100ハンマー粉砕機/空気分級粉砕機で粉砕した。以下の表3は運転条件及び粉砕した活性炭の特性を示す。
【0055】
【表3】
【0056】
[例3:ジェット粉砕/空気分級を行った活性炭を用いたHg除去]
本例では、例1の試料C1と同じ方法で調製したジェット粉砕/空気分級した臭素化活性炭のHg除去性能を説明する(試料C2)。これらの結果を、Williams Patent Crusher及びPulverizer Co.製のモデルB実験用ローラー粉砕機で粉砕した粒状活性炭と比較して、次いで、米国特許第8551431号明細書に記載された方法と同じ方法を使用して臭素化し、その開示は参照することにより本明細書に組み込まれる(比較例A)。水銀除去実験を、Mercury Research Center(Gulf Power Company’s Plant Crist Unit 5、Pensacola、FL)において、5MWeと等しいスリップストリームを有する75MWeユニットを持つ石炭火力発電所のスリップストリームで実施した。そのユニットを
図2に模式的に図示する。吸着剤注入を空気加熱器(10b)の低温側部で実施した。その試料を、較正した重量制御式供給器でユニットに供給した。SO
3濃度を以下の表に示す。高温側部の温度を675〜690°F、ESP入口(低温側部)の温度を285〜300°F、及びESP出口の温度を270〜280°Fの範囲にした。ユニットの煙道ガス流量はおよそ20000実立方フィート/分(aCFM)であった。
【0057】
試料C2及び比較試料Aの粒子サイズ分布を表4に示し、そのHg除去データを以下の表5に示す。
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
表5のデータをまた、
図3A及び
図3Bにプロットして、活性炭試料について、注入速度に対するHg除去を示した(
図3A:3%のO
2に調整された出口でのHg除去;
図3B:調整後Hg除去)。低いd
95値を有する活性炭(試料C2)は、より高いSO
3濃度(比較試料Aの9.3ppmのSO
3に対して12.7ppmのSO
3)であっても、比較試料AのHg除去に比べてより高いHg除去を達成したということがわかる。入口でのHgレベルを、活性炭注入の上流にある吸着剤トラップを通じて決定した。吸着剤トラップの水銀レベルを、RP−M324及びRP−M324M付属品を備えた、較正したOhio Lumex RA−915+ゼーマン水銀測定器を使用して測定した。
【0061】
[例4:ハンマー粉砕/空気分級を行った活性炭を用いたHg除去]
例2(試料D)のこの活性炭を、米国特許第8551431号明細書に記載された方法と同じ方法で臭素化し、その開示は参照することにより本明細書に組み込まれ、試料D1を形成した。次いで、試料D1は、例3で説明した方法でHg除去についての試験を行い、その結果をDARCO(登録商標)Hg−LH Extraをボール粉砕した製品(試料B)と比較した。ボール粉砕を、以下の表6に示した粒子サイズを達成するまで1/2”、3/4”、1”及び1と1/4” (それぞれ約25%)の4つの異なるメディアサイズで実施した。両試料の粒子サイズを表6に示し、そのHg除去データを表7に示した。比較試料B及び試料D1を体積基準で比較して活性の違いを説明していることに留意されたい。本例においては、臭素化製品に対する初期材料が異なる活性レベルを有して、したがって、異なる密度を有した。この違いを説明するために、データを表7に提示して、表7において体積基準で比較した。
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】
このデータをまた、
図4A及び
図4Bにプロットし、活性炭について、注入速度に対するHg除去を示した(
図4A:3%のO
2でのHg除去;
図4B:調整後Hg除去)。低いd
95値を有する活性炭(試料D1)は、比較試料BのHg除去速度に比べてより高いHg除去速度を達成したことがわかる。
【0065】
[例5:ジェット粉砕/空気分級及び空気分級のみ(サイクロン)を行った活性炭を用いたHg除去]
本例では、例1の試料A1の方法と類似する方法でジェット粉砕/空気分級を行った臭素化活性炭(試料A2)についてのHg除去データ(例3で説明した方法で実施したHg除去)を示す。本例はまた、サイクロンを通じてのみ空気分級を行った活性炭についてのHg除去データを示し、次いで、例4で説明した方法によって臭素化した(
比較試料E)。このデータをDARCO(登録商標)Hg−LH Extra(比較試料C)についてのHg除去データと比較した。以下の表8は、試料A2、
比較試料Eの粒子サイズ分布(並びに、予め臭素化された粒子サイズ分布)と、比較試料Cについての粒子サイズ分布とを示し、表9はそれに対応するHg除去データを示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
このデータをまた
図5A及び
図5Bにプロットし、注入速度に対するHg除去を示した(
図5A:3%のO
2でのHg除去;
図5B:調整後Hg除去)。低いd
95値とd
50値とを有する活性炭は、比較試料CのHg除去速度に比べてより高いHg除去速度を達成したことがわかる。
【0069】
[例6:微粒子サイズ分布の活性炭へのシリカの追加]
本例においては、ヒュームドシリカ(CAB−O−SIL(登録商標)M−5)を、表10に示した量で例1の活性炭試料Bに追加した。表10はまた、それぞれのシリカ混合物についての凝集強度(kPa、右欄)及び主圧密応力(kPa、左欄)を示す。
【0070】
【表10】
【0071】
このデータをまた
図6にプロットし、主圧密応力の関数として凝集強度を示した。凝集強度の低減のために、流れとしてシリカを加えることは有益であり、それは材料を搬送する能力を改善することがわかる。
【0072】
[例7:eACMを通じた微粒子サイズの活性炭の調製]
本例においては、例2(表2)の原料に、Hosokawa製のMikro e−ACM(登録商標)空気分級粉砕機(「eACM」)を通じて粒子サイズの低減を行った。eACMについての運転条件を表11に示す。
【0073】
【表11】
【0074】
得られた微粒子サイズの活性炭は、9.17μmのd
50と、28.7μmのd
95と、2.87のd
95/d
50比とを有した(「試料F」)。
【0075】
eACMについての粉砕処理性能は、粉砕サイズ(馬力)を調整した場合の標準設計に比べ著しく高い。
図7は、様々なd
50粒子サイズ分布についての粉砕処理量(lb/hr)のプロットである。15HPでのeACM粉砕機は、8〜9μmのd
50粒子サイズ分布を有する粒子(試料F参照)について、類似のサイズ範囲の粒子についての100HP又は10HPで運転する標準ACMと比較して、著しく大きい処理量を達成する。
図7はまた、より小さい粒子サイズ(5μm〜8μmの範囲のd
50)はまた、増加した分級速度で高い処理量を達成することができることをまた示す。
【0076】
[例8:eACMで調製した微粒子サイズの活性炭を用いたHg除去]
本例は、3.19のd
95/d
50比を有する活性炭(「比較試料D」)及びキャボットコーポレイション−Norit Activated Carbonから商業的に入手可能なHg−LH Extra(「比較試料
F」)と比較した、例7からの微粒子サイズの活性炭(「試料F」)のHg除去能力を説明する。各々の粒子サイズ分布及び比を表12に示す。
【0077】
【表3】
【0078】
試料F及び比較試料
Fを、例3に記載したように臭素化した(比較試料Dを臭素化した形態で得た。)。水銀除去実験を、SaskPowerのPoplar River発電所(Coronach,SK)内に位置するEmission Control Research Facility(ECRF)において、石炭火力発電所のスリップストリームで実施した。そのスリップストリームは、およそ2000実立方フィート/分(aCFM)の煙道ガス流量で、0.5MWeと等しい。粒子制御を電気集塵装置(ESP)で行い、そのESPにわたる水銀除去をTekran(登録商標)2537CEMsで測定した。温度はおよそ180℃まで調整されることがあるが、吸着剤注入をおよそ150℃の温度で電気集塵装置の上流で実施した。ECRFは、上流又は下流の空気予熱器(APH)注入ポートを有しないが、それはスリップストリームユニット内にAPHが存在しないためである。その代わりに、煙道ガスの所望の温度を、主要プラントのAPHの上流及び下流からの煙道ガスを混合することで達成した。結果を表13に示す。
【0079】
【表4】
【0080】
本データをまた
図8にプロットして、吸着剤注入速度に対する調製後Hg除去を示している。試料Fは、比較試料D及びEのHg除去速度に比べて、吸着剤注入速度の範囲の全体において、より高いHg除去速度を達成したことがわかる。
【0081】
「1つの(a)」「1つの(an)」「その(the)」という用語の使用は、本明細書で別段の指摘がないか又は文脈によって明確に否定されない限り、単数及び複数の両方を包含すると解されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」という用語は、特に断りのない限り、制限のない用語(すなわち、「含むが、限定されない」ことを意味する)として解されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書で別段の指摘がない限り、範囲内に入っているそれぞれ独立した値を個々に言及することの省略方法として機能することを単に意図しており、それぞれの独立した値は、まるでそれが本明細書で個々に列挙されたかのように本明細書中に組み込まれる。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書で別段の指摘がないか又は文脈によって明確に否定されない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書で提供される任意の及び全ての例又は例示的な語(例えば、「のような(such as)」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、特許請求の範囲に別段の記載がない限り、本発明の範囲に関する限定をもたらすものではない。本明細書中の如何なる言語も、特許請求の範囲に記載されていない任意の要素を本発明の実施に必須であるものとして示すと解されるべきではない。