(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6302115
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】外部導出用自立端子及び半導体モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20180319BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20180319BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20180319BHJP
H01L 23/50 20060101ALI20180319BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/12 K
H01L23/50 K
H01L23/50 N
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-58127(P2017-58127)
(22)【出願日】2017年3月23日
【審査請求日】2017年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144393
【氏名又は名称】株式会社三社電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】小峪 翼
(72)【発明者】
【氏名】稲見 和則
(72)【発明者】
【氏名】丸山 隆宏
【審査官】
木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭59−170971(JP,U)
【文献】
特開平8−222292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12−23/15
H01L 23/48−23/50
H01L 25/00−25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュールケース内に配置された放熱板上に形成された導電パターンに接合されるための接合部と、
前記モジュールケース外の上方に配置されるための主端子片と、
前記接合部と前記主端子片との間を上下方向に連結する連結板とを有する外部導出用自立端子であって、
前記連結板に延出された脚部を有し、前記脚部の下端部には水平方向に延伸された延伸部が形成されていることを特徴とする外部導出用自立端子。
【請求項2】
前記脚部は、2本の脚からなることを特徴とする請求項1に記載の外部導出用自立端子。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の外部導出用自立端子と、導電パターンが形成された放熱板と、前記外部導出用自立端子の主端子片を導出するための貫通孔を有するモジュールケースとを備える半導体モジュールの製造方法であって、
(a)前記放熱板上に形成された導電パターンに前記外部導出用自立端子の接合部を載置するとともに、前記放熱板上に形成された導電パターン以外に前記外部導出用自立端子の延伸部を載置する載置工程と、
(b)前記導電パターンと前記接合部とを半田で接合する接合工程とを含むことを特徴とする半導体モジュールの製造方法。
【請求項4】
(a)載置工程では、前記外部導出用自立端子を前記放熱板上に配置するための組立治具を用いないことを特徴とする請求項3に記載の半導体モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュールに用いられる外部導出用自立端子及び半導体モジュールの製造方法に関し、特に組立治具を用いずに外部導出用自立端子を取り付けることができる半導体モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体モジュール等の半導体装置の実装において高密度化が進んでいる。このような半導体モジュールでは放熱板を設け、その放熱板を介して電子部品等で発生した熱が放熱されるようになっている。
【0003】
図3は、半導体モジュールを示す外観を示す斜視図である。半導体モジュール1は、平板形状の放熱板51と、放熱板51上に接着剤で接着された略長方形状の樹脂ケース(モジュールケース)52とを備えた外観を有する。放熱板51の長手方向の両端部近傍には、ねじ止め等に利用され得る孔51aがそれぞれ貫通形成されている。また、樹脂ケース52の上面には、3個の外部導出用端子110の主端子片(先端部)が長手方向に一列に並んで配置されている。
【0004】
なお、放熱板51は、アルミニウムや銅製の放熱ベース上に導電パターン付絶縁基板が固着されたものであり、その導電パターンに多数の電子部品や3個の外部導出用端子110が半田付けされている。そして、樹脂ケース52の内部にはシリコーンゲル(封止樹脂)が充填されている。
【0005】
このような半導体モジュール1は、電子部品や外部導出用端子110が導電パターンに取り付けられることで製造される。
図4の(a)は、導電パターンに取り付けられる前の従来の外部導出用端子110の一例を示す斜視図であり、
図4の(b)は、(a)に示す外部導出用端子110の正面図であり、
図4の(c)は、(a)に示す外部導出用端子110の側面図である。外部導出用自立端子110は、下部に形成された接合部30と、上部に形成された主端子片(先端部)10と、接合部30と主端子片10との間を上下方向に連結する連結板20とを有する。
【0006】
ところが、このような外部導出用端子110の下部には、導電パターンに接合されるための接合部30が形成されているだけであり、外部導出用端子110は半田付けされるまで起立した姿勢を保つことができない。よって、外部導出用端子110を導電パターンに接合する際には取付姿勢に保たさせる組立治具等を用いている(例えば特許文献1参照)。
【0007】
ここで、半導体モジュール1の製造方法について説明する。まず、第一組立治具を用いて多数の電子部品を板状半田を介して放熱板51上の所定の位置に位置決めする。次に、第二組立治具を用いて3個の外部導出用端子110を板状半田を介して放熱板51上の所定の位置に位置決めする。次に、このように組み合わせられたものを熱板上に載せ、各部材間に介在させた板状半田を溶融させ、電子部品や外部導出用端子110を放熱板51上の所定の位置にそれぞれ半田付けする。次に、第一組立治具と第二組立治具とを取り除く。
【0008】
次に、樹脂ケース52の貫通孔52aに外部導出用端子110の主端子片10を挿通させながら、放熱板51の外周に樹脂ケース52を嵌め合わせて放熱板51と樹脂ケース52とを接着剤で接着する。次に、樹脂ケース52の内部にシリコーンゲルを充填する。最後に、外部導出用端子110の主端子片10を樹脂ケース52の上面に沿うように略直角に折曲げて、半導体モジュール1を完成させる。
【0009】
【特許文献1】実開平5−15444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、半導体モジュール1を製造する際には、第二組立治具を用いて3個の外部導出用端子110を位置決めして保持させなければならず、非常に手間であった。
また、回路設計において第二組立治具を用いるためのスペースを設けなければならず、スペースを設けないと第二組立治具自体も外部導出用端子110と一緒に半田付けされてしまうことがあった。つまり、半導体モジュール1の実装において高密度化を進めるにあたって非常に問題があった。
そこで、本発明は、上述した如き課題に鑑みてなされたものであり、自立することができ、自立した状態で導電パターンに取り付けられることができる外部導出用自立端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上のような目的を達成するために、本発明に係る外部導出用自立端子は、モジュールケース内に配置された放熱板上に形成された導電パターンに接合されるための接合部と、前記モジュールケース外の上方に配置されるための主端子片と、前記接合部と前記主端子片との間を上下方向に連結する連結板とを有する外部導出用自立端子であって、前記連結板に延出された脚部を有し、前記脚部の下端部には水平方向に延伸された延伸部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
上記発明においては、前記脚部は、2本の脚からなることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る半導体モジュールの製造方法は、上述したような外部導出用自立端子と、導電パターンが形成された放熱板と、前記外部導出用自立端子の主端子片を導出するための貫通孔を有するモジュールケースとを備える半導体モジュールの製造方法であって、(a)前記放熱板上に形成された導電パターンに前記外部導出用自立端子の接合部を載置するとともに、前記放熱板上に形成された導電パターン以外に前記外部導出用自立端子の延伸部を載置する載置工程と、(b)前記導電パターンと前記接合部とを半田で接合する接合工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
上記発明においては、(a)載置工程では、前記外部導出用自立端子を前記放熱板上に配置するための組立治具を用いないことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る外部導出用自立端子によれば、自立させることができ、自立させた状態で導電パターンに取り付けることができ、外部導出用自立端子を位置決め保持するための組立治具が不要となり、組立を簡略化することができる。また、使用中には、発生した熱が脚部を介して放熱板に伝達され、放熱効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る外部導出用端子を示す図である。
【
図2】樹脂ケースを取り付ける前の状態の斜視図である。
【
図3】半導体モジュールを示す外観を示す斜視図である。
【
図4】従来の外部導出用端子の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0018】
<外部導出用自立端子>
図1の(a)は、実施形態に係る外部導出用端子を示す斜視図であり、
図1の(b)は、(a)に示す外部導出用端子の正面図であり、
図1の(c)は、(a)に示す外部導出用端子の側面図である。
外部導出用自立端子100は、下部に形成された接合部30と、上部に形成された主端子片10と、接合部30と主端子片10との間を上下方向に連結する連結板20と、連結板20に延出された脚部40とを有する。すなわち、本実施形態に係る外部導出用自立端子100には脚部40が形成されている。
【0019】
接合部30は、側面視でコの字形状を呈しており、連結板20下部から後方に延出された上側板状体30aと、上側板状体30aから下方に延出された連結板30bと、連結板30bから前方に延出された下側板状体30cとを有する。このような接合部30の全ての部分は、連結板20より後方に配置されている。そして、下側板状体30cが放熱板51上の導電パターン51aの所定の位置や、半導体モジュール1内に搭載された図示しない半導体チップ等の電子部品の電極上に半田や導電性接着剤等によって接合される。
【0020】
主端子片10は、樹脂ケース(モジュールケース)52外の上方に配置されるための板状体であり、その中央部に円形状の孔11が貫通形成されている。
【0021】
連結板20は、接合部30と主端子片10との間を上下方向に連結する板状体であり、後述するが半導体モジュール1を製造する際に、主端子片10が樹脂ケース(モジュールケース)52外の上方に配置されるように予め設定された距離だけ延出されている。また、連結板20と主端子片10との間には図示しない溝12がコイニングにより形成されており、この溝12を境にして連結板20と主端子片10との間で略直角に折曲げられるようになっている。
【0022】
本実施形態に係る脚部40は、何本の脚を有してもよいが、2本の脚を有することが好ましく、本実施形態では略L字形状を呈する右側脚41と左側脚42とからなる場合について説明する。本実施形態では、右側脚41は連結板20の右下部に連結されるとともに左側脚42は連結板20の左下部に連結されている。右側脚41は、下方に延出された連結部41bと、連結部41bから前方(水平方向)に所定距離だけ延出された延伸部41aとを有する。また、左側脚42も、下方に延出された連結部42bと、連結部42bから前方(水平方向)に所定距離だけ延出された延伸部42aとを有する。これら延伸部41a、42aは、放熱板51上の導電パターンの形成されていない所定の位置に載置され、脚部40は電気的な接続には用いられていない。しかしこの脚部40は放熱板51や電子部品等の熱を伝達することができるため、2本の脚部40の分外部導出用自立端子100の放熱面積を広くすることができる。
なお、上記脚部40及び外部導出用自立端子100の材質としては、特に限定されないが銅等が挙げられる。また、上記脚部40と外部導出用自立端子100とは一体形成されたものであってもよく、別々に形成されたものであってもよい。
【0023】
よって、本実施形態に係る外部導出用自立端子100によれば、接合部30と延伸部41aと延伸部42aとの3点で、連結板20と主端子片10とを支えることができ、安定して自立させることができる。また、連結板20の上下方向における予め設定された距離が長くなっても延伸部41a、42aの長さ(所定距離)を調整することで自立させることができる。さらに、延伸部41a、42aの長さ(所定距離)を調整することで放熱性も調整することができる。
【0024】
<半導体モジュールの製造方法>
ここで、半導体モジュール1の製造方法について説明する。
図2は、樹脂ケースを取り付ける前の状態の斜視図である。
本実施形態に係る半導体モジュール1の製造方法は、電子部品や3個の外部導出用端子100等の各部品を所定の位置に位置決めする載置工程(a)と、各部品を半田で接合する接合工程(b)と、樹脂ケース接着工程(c)と、折曲工程(d)とを含む。
【0025】
(a)載置工程
(a−1)まず、第一組立治具を用いて多数の電子部品を板状半田を介して放熱板51上の所定の位置に位置決めする。
(a−2)次に、3個の外部導出用端子100を板状半田を介して放熱板51上の所定の位置に位置決めする。このとき、放熱ベース51c上に形成された導電パターン51aに外部導出用自立端子100の接合部30を載置するとともに、放熱ベース51c上に形成された絶縁基板(導電パターン以外)51bに外部導出用自立端子100の延伸部41a、42aを載置する。すなわち、本実施形態に係る外部導出用自立端子100の製造方法の工程(a−2)では、組立治具を用いる必要がない。
【0026】
(b)接合工程
このように組み合わせられたものを熱板上に載せ、各部材間に介在させた半田を溶融させ、電子部品や外部導出用端子100を放熱板51上の所定の位置にそれぞれ半田付けする。
【0027】
(c)樹脂ケース接着工程
次に、樹脂ケース52の貫通孔52aに外部導出用端子100の主端子片10を挿通させながら、放熱板51の外周に樹脂ケース52を嵌め合わせて接着剤で接着する。次に、樹脂ケース52の内部にシリコーンゲルを充填する。
なお、上記接着剤としては、特に限定されないがシリコンゴム等が挙げられる。
(d)折曲工程
最後に、外部導出用端子100の主端子片10を樹脂ケース52の上面に沿うように略直角に折曲げて、半導体モジュール1を完成させる(
図3参照)。
【0028】
以上のように実施形態に係る外部導出用自立端子100によれば、自立させた状態で導電パターン51aに取り付けることができ、外部導出用自立端子100を位置決め保持するための組立治具が不要となり、組立を簡略化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係る外部導出用自立端子は、組立治具を用いずに外部導出用自立端子を取り付けることができる半導体モジュールの製造方法等として有用である。
【符号の説明】
【0030】
1 半導体モジュール
10 主端子片
20 連結板
30 接合部
40 脚部
41 右側脚
41a 延伸部
42 左側脚
42a 延伸部
51 放熱板
51a 導電パターン
52 樹脂ケース(モジュールケース)
100 外部導出用自立端子
【要約】
【課題】自立することができ、自立した状態で導電パターンに取り付けられることができる外部導出用自立端子を提供する。
【解決手段】本発明に係る外部導出用自立端子は、モジュールケース内に配置された放熱板上に形成された導電パターンに接合されるための接合部と、前記モジュールケース外の上方に配置されるための主端子片と、前記接合部と前記主端子片との間を上下方向に連結する連結板とを有する外部導出用自立端子であって、前記連結板に延出された脚部を有し、前記脚部の下端部には水平方向に延伸された延伸部が形成されている。
【選択図】
図1