特許第6302174号(P6302174)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6302174
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】粘土成形玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/00 20060101AFI20180319BHJP
【FI】
   A63H33/00 F
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-122590(P2013-122590)
(22)【出願日】2013年6月11日
(65)【公開番号】特開2014-239728(P2014-239728A)
(43)【公開日】2014年12月25日
【審査請求日】2016年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】399012929
【氏名又は名称】株式会社アガツマ
(74)【代理人】
【識別番号】100092646
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 清
(74)【代理人】
【識別番号】100083769
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100083002
【弁理士】
【氏名又は名称】伊丹 辰男
(72)【発明者】
【氏名】戸所 信二
【審査官】 前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−115941(JP,A)
【文献】 特開2005−347012(JP,A)
【文献】 実開昭60−025700(JP,U)
【文献】 米国特許第04199311(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00−37/00
G09B19/10
B28B 3/20
B44C 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱部に螺子山を有する押圧部材と、前記螺子山により回転圧入される半円筒形状とされた2個の半筒体に分離可能なシリンダーである筒体と、前記筒体の先端に接続可能で成形孔を備えたキャップと、を備え
前記半筒体は、前記半筒体の相互の円筒接続部分が夫々に爪と溝による嵌め合い構造とされ、且つ、後方に鍔部を有し、該鍔部には、相互に着脱可能なように何れか一方に係止爪と、何れか他方に係止溝と、を備え、前記係止爪は、半円形状の前記鍔部の各先端で筒の軸後方に向けて突出した爪であって、他の前記鍔部の半円形状の前記鍔部の各先端に形成した軸方向とされる前記係止溝に係合することを特徴とする粘土成形玩具。
【請求項2】
前記キャップは、側壁の内側には向かい合う一対の矩形な突起体を有していることを特徴とする請求項1に記載の粘土成形玩具。
【請求項3】
前記成形孔が、波型、円形、四角形、三角形及び星形で形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粘土成形玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘土を押し出すことにより成形して遊ぶ玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、粘土用の玩具は、粘土細工をする際の道具である簡単な抜き型や粘土細工用のヘラとを組合わせ、面白く変化に富んだ粘土遊びを可能とする粘土玩具セットが製造販売されている。また、この粘土玩具セットは、粘土とナイフ状のヘラ、さらにはハート形や丸形、菱形などの形状をした抜き型であるリングカッター、又は、貝殻形や動物の顔形などの窪みを形成した押し型などの道具を適宜組合わせたものである。
【0003】
下記に示す特許文献1には、小さな力で粘土を型から押し出せるものとし、且つ、シリンダー内の清掃を容易にするシリンダーを備えた粘土成形玩具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−115941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示す粘土成形玩具は、押圧部材として回転挿入させるシリンダーが内筒体と外筒体の2部品から構成されており、さらに、この内筒体が分割可能な第1部材と第2部材とされて、部品数を増加させてしまい、製造コストを増大させるとともに、組立分解に手数を要するという不便さがあった。
【0006】
本発明は、上述したような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、部品数を削減し、しかも、組立分解を容易として小さな力で粘土を型から押し出せる粘土成形玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の粘土成形玩具は、円柱部に螺子山を有する押圧部材と、前記螺子山により回転圧入される半円筒形状の半筒体に分離可能なシリンダーである筒体と、前記筒体の先端に接続可能で成形孔を備えたキャップと、を備えるものである
【0008】
更に、前記半筒体の相互の円筒接続部分が夫々に爪と溝による嵌め合い構造とされているものである。
【0009】
そして、前記半筒体は、後方に鍔部を有し、該鍔部には、相互に着脱可能なように何れか一方に係止爪と、何れか他方に係止溝と、を備え、前記係止爪は、半円形状の前記鍔部の各先端で筒の軸後方に向けて突出した爪であって、他の前記鍔部の半円形状の前記鍔部の各先端に形成した軸方向とされる前記係止溝に係合するものである
【0010】
また、好適には、前記キャップは、側壁の内側には向かい合う一対の矩形な突起体を有しているものである。
【0011】
そして、好適には、前記成形孔が、波型、円形、四角形、三角形及び星形で形成されているものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、部品数を削減し、しかも、組立分解を容易として粘土の補充や清掃を容易に可能とし、小さな力で粘土を型から押し出せる粘土成形玩具を提供することができる。
【0013】
さらに、前記半筒体の円筒接続部分が夫々に爪と溝による嵌め合い構造とされていることから、半筒体である2つの部材を一体とし、粘土の押し出し時に粘土がはみ出す等を防止できる。
【0014】
そして、本発明によれば、前記半筒体が着脱可能なように何れか一方に係止爪と何れか他方に係止溝とを備えることから、係止爪と係止溝とを嵌め合って一体とされた2つの半筒体の一端を係合係止し、他端をキャップで覆うことにより相互に固定するため、押圧部材の回転操作による粘土の押し出し中に簡単に分離して外れることを防止できる。
【0015】
また、本発明によれば、前記キャップは、側壁の内側には向かい合う一対の矩形な突起体を有していることから、粘土の押し出しの妨げとならず、キャップが不用意に外れる等も防止できる。
【0016】
そして、本発明によれば、前記成形孔が、波型、円形、四角形、三角形及び星形等のバリエーションを豊富に揃えていることから飽きのこない玩具とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例に係る粘土成形玩具の外観斜視図である。
図2】本発明の実施例に係る粘土成形玩具の分解斜視図である。
図3】本発明の実施例に係る粘土成形玩具の押圧部材を回転挿入させたときの説明図である。
図4】本発明の実施例に係る粘土成形玩具でキャップを装着するときの説明図である。
図5】本発明の実施例に係る粘土成形玩具の異なる成形孔のキャップの図である。
図6】本発明の実施例に係る粘土成形玩具の筒体を分解するときの説明図である。
図7】本発明の実施例に係る粘土成形玩具で成形した粘土を押し出したときの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について述べる。本発明の粘土成形玩具100は、円柱部15に螺子山12を有する押圧部材10と、螺子山12により回転圧入される半円筒形状の半筒体に分離可能なシリンダー25である筒体20と、筒体20の先端に接続可能で成形孔35を備えたキャップ33と、を備える。
【0019】
そして、半筒体の円筒接続部分は、夫々に嵌め合い構造とされているものである。
【0020】
さらに、半筒体は、着脱可能なように何れか一方に係止爪29と、何れか他方に係止溝28と、を備える。
【0021】
キャップ33は、側壁の内側には向かい合う一対の矩形な突起体37を有しているものである。
【0022】
キャップ33の成形孔35には、波型、円形、四角形、三角形及び星形で形成されているものがあるのが好ましい。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の実施例について図を用いて説明する。図1は本発明の実施例に係る押圧部材10と筒体20とを分離した粘土成形玩具100の外観斜視図である。図2は本発明の実施例に係る粘土成形玩具100の分解斜視図である。図3は本発明の実施例に係る押圧部材10を筒体20に回転挿入させた粘土成形玩具100の外観斜視図である。なお、粘土成形玩具100は、粘土の押出し口側を前方、押圧部材10の押出し操作をする側を後方とする。
【0024】
粘土成形玩具100は、図1に示すように、押圧部材10と、この押圧部材10を挿入可能とされる半円筒体の第1部材22及び第2部材23とが結合されて形成される筒体20と、筒体20の先端部に設置されるキャップ33と、からなる。
【0025】
押圧部材10は、透明又は半透明な硬質樹脂で形成されており、円筒形の円柱部15である本体部11を有し、本体部11の外周の所定範囲に螺子山12を形成し、本体部11の回転操作する端には楕円形の鍔部14を有する。
【0026】
そして、押圧部材10を回転挿入させるシリンダー25である筒体20は、透明又は半透明な硬質樹脂で形成されており、図2に示すように、第1部材22と第2部材23から成る。第1部材22及び第2部材23は、夫々に、半円形の円筒形状であって、半筒体の円筒接続部分が爪22aと溝23aによる隙間のない嵌め合い構造とされている。また、第1部材22及び第2部材23は、後方に鍔部24を有し、第1部材22の鍔部24に係止爪29を、第2部材23の鍔部24に係止溝28を有し、内側面には後方近くに突起21を有している。
【0027】
そして、係止爪29と係止溝28とを係合させて第1部材22と第2部材23とを合せて筒体20とし、又、筒体20の内部に突出する突起21と押圧部材10の螺子山12と係合させることにより、粘土成形玩具100は、図3に示すように、第1部材22と第2部材23とが接続されて形成された筒体20に押圧部材10を回転挿入させて保持することができる。さらに、筒体20は、図2図4に示すように、前方先端にキャップ33を回転させて結合するための鉤型の溝27を有し、この溝27の内部には、軸方向片円周方向に向かう部分において、キャップ33固定用の細幅棒状の小突起26を有している。
【0028】
筒体20の先端に取り付けるキャップ33は、透明又は半透明な硬質樹脂で形成されており、円筒形の側壁38と、前方に平板を有している。該側壁38の外側に凹凸を形成し、平板中央に粘土を丸型の棒状に成形して押し出すための成形孔35が穿設されており、側壁38の内側には向かい合う一対の矩形な突起体37を有している。
【0029】
このように、粘土成形玩具100は、押圧部材10と筒体20とキャップ33とからなり、所定部材の分離分解を可能として粘土による汚れ等を容易に洗浄可能としている。
【0030】
ここで、筒体20、キャップ33等の所定部材の分離分解に関して説明する。図2に示したように、筒体20は、第1部材22の鍔部24に形成される2箇所の係止爪29と、第2部材23の鍔部24に形成される2箇所の係止溝28と、を係合させ、半筒体の円筒接続部分を爪22aと溝23aと嵌合させることにより、半筒体である第1部材22と第2部材23とが一体とされて形成される。
【0031】
筒体20の第1部材22の係止爪29は、半円形状の鍔部24の各先端で筒の軸後方に向けて突出した爪であって、第2部材23の半円形状の鍔部24の各先端に形成した軸方向の係止溝28に係合させる。鍔部24と対向する端部の外周をキャップ33で覆うため、第1部材22と第2部材23の分解を阻止され、粘土成形玩具100の筒体20に押圧部材10を筒の軸方向に回転挿入されても、その回転挿入によって筒体20の係合が解除されて分離することはない。
【0032】
キャップ33は、図2に示したように、円筒形の側壁38と前方に平板とを有しており、その側壁38の内側には、キャップ33を筒体20に取り付けるための向かい合う一対の矩形な突起体37を有している。
【0033】
そして、キャップ33を筒体20に取り付けるにあたっては、図4に示したように、筒体20の前方端の鉤型の溝27とキャップ33の突起体37とを合せるようにして嵌め込み、その状態から時計回りにキャップ33を回転させて、突起体37を溝内部の小突起26の山を越えるまで回転させればキャップ33は、その位置で固定され、結合される。このように、キャップ33を筒体20の外壁側に設けた溝27で結合することにより、粘土成形玩具100の筒体20に押圧部材10が回転挿入されて、キャップ33の成形孔35から粘土が押し出されるときでも、その結合部分にストレスがかからず筒体20からキャップ33が外れて分離することを防止している。
【0034】
このように、本実施の形態における粘土成形玩具100は、押圧部材10と、この押圧部材10を回転挿入するシリンダー25を形成する筒体20と、筒体20の先端部に係合設置される成形孔35を備えたキャップ33を有しており、筒体20は第1部材22と第2部材23とを係合してシリンダー25を形成し、筒体20の先端部に異なる形状の成形孔35を有するキャップ33の着脱交換を可能とするものである。例えば、キャップ33の成形孔35としては、図5に示すように波型、四角形、三角形、星形等でもよい。これにより様々な粘土の成形を楽しむことができる。
【0035】
従って、押圧部材10と筒体20とキャップ33から成る粘土成形玩具100であって、押圧部材10の螺子山12により筒体20に回転圧入することで、小さな力で押圧部材10を回転圧入することできることから、小さな子供でも楽に遊ぶことができ、その構造を小さなものとすることができる。
【0036】
また、筒体20は第1部材22と第2部材23の二部材から構成されることから分解が可能で、内部の清掃が容易となっているものである。さらに、キャップ33を交換することで、異なる形状の成形孔35のキャップ33による様々な粘土の成形を行うことができる。
【0037】
そして、押圧部材10を回転させることで、筒体20の内側面に形成された突起21と螺子山12が噛み合い、押圧部材10を筒体20に回転挿入することができる。又、反時計方向に回転させると押圧部材10を筒体20から引き抜くことができる。
【0038】
また、押圧部材10の後方端部に楕円形の鍔部14を形成しており、押圧部材10が持ちやすくなり、小さな力で押圧部材10を回転挿入することを可能としている。また、筒体20の溝27の内部に形成された小突起26とキャップ33の突起体37が嵌合し、キャップ33が簡単に外れないものとされている。
【0039】
そして、キャップ33の外側壁に形成された等間隔の凹凸は、キャップ33を着脱する際に滑り止めの役割を果たし、粘土の油が手についていても滑らずに容易にキャップ33の着脱を行うことができる。
【0040】
また、筒体20は、2箇所の係止爪29と係止溝28とを係合させて半筒体である第1部材22と第2部材23とが一体とされて形成されているが、筒体20の第1部材22の係止爪29は、柔軟性を有する爪であって、図6に示すように、半筒体同士がハの字に開口させながら取り外しを可能とするものである。これにより、筒体20を容易に半筒体に分解することができることから、例えば、片側の半筒体に粘土を装填させたり、清掃などを容易に行うことができる。
【0041】
そして、粘土成形玩具100を使用するにあたっては、押圧部材10、筒体20を組立て、次に筒体20の後方端の開口部から粘土を筒体20の中空部に入れ、キャップ33により開口部を閉じ、最後にキャップ33を筒体20に固定する。そして、押圧部材10を回転挿入すると押圧部材10の底部が粘土を押圧し、図7に示すようにキャップ33の成形孔35から押し出され、粘土43を棒状として、成形孔35の形に成形することができ、粘土遊びを楽しむことができる。なお、粘土の装填は、筒体20を分解した半筒体の状態で半円皿部分に粘土を盛るように装填しても構わない。
【0042】
以上のように本実施例によれば、部品数を削減し、しかも、組立分解を容易として粘土43の補充や清掃を容易に可能とし、小さな力で粘土43を型から押し出せる粘土成形玩具100を提供することができる。
【0043】
さらに、本実施例によれば、半筒体の円筒接続部分が夫々に嵌め合い構造とされていることから、半筒体である2つの部材を一体とし、粘土43の押し出し時に粘土43がはみ出す等を防止できる。
【0044】
そして、本実施例によれば、半筒体が着脱可能なように何れか一方に係止爪29と何れか他方に係止溝28とを備えて2つの半筒体の一端を係合させ、且つ、他端をキャップで相互に固定することから、押圧部材10の回転操作による粘土43の押し出し中に簡単に分離して外れることを防止できる。
【0045】
さらに、本実施例によれば、半筒体は、筒体20の軸方向で夫々に係合する溝及び爪を備えて筒体20を形成することから、押圧部材10の回転操作による粘土43の押し出し中等に簡単に分離して外れることを防止できる。
【0046】
また、本実施例によれば、キャップ33は、側壁の内側には向かい合う一対の矩形な突起体37を有していることから、粘土43の押し出しの妨げとならず、キャップ33が不用意に外れる等を防止できる。
【0047】
そして、本実施例によれば、成形孔35が、波型、円形、四角形、三角形及び星形等のバリエーションを豊富に揃えていることから飽きのこない玩具とすることができる。
【符号の説明】
【0048】
10 押圧部材 11 本体部
12 螺子山
14 鍔
15 円柱部
20 筒体 21 突起
22 第一部材 22a 爪
23 第二部材 23a 溝
25 シリンダー
24 鍔 26 小突起
27 溝
28 係止溝 29 係止爪
33 キャップ 35 成形孔
37 突起体 38 側壁
43 粘土
100 粘土成形玩具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7