特許第6302182号(P6302182)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6302182自動分注機を用いた分配係数測定の完全自動化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6302182
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】自動分注機を用いた分配係数測定の完全自動化方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/15 20060101AFI20180319BHJP
【FI】
   G01N33/15 Z
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-143195(P2013-143195)
(22)【出願日】2013年7月9日
(65)【公開番号】特開2015-17813(P2015-17813A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】307010166
【氏名又は名称】第一三共株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146581
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 公樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113583
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 範子
(74)【代理人】
【識別番号】100161160
【弁理士】
【氏名又は名称】竹元 利泰
(74)【代理人】
【識別番号】100164460
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100119622
【弁理士】
【氏名又は名称】金原 玲子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恭介
(72)【発明者】
【氏名】井下田 勝広
【審査官】 西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/090909(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/044903(WO,A1)
【文献】 特開平08−297125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00− 1/44
G01N 33/00−33/46
G01N 35/00−35/10
B01B 1/00− 1/08
B01D 1/00− 8/00
B01L 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部疎水性溶媒相と下部親水性溶媒相の2相からなる溶液系から、上部疎水性溶媒相を除去する方法であって、
疎水的表面特性を持つアッセイ容器を使用し、かつ、該アッセイ容器外郭部から上部疎水性溶媒相を吸引除去することを特徴とする、疎水性溶媒相を除去する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の疎水性溶媒相を除去した後に、アッセイ容器中心部から親水性溶媒相を吸引採取(サンプリング)する方法。
【請求項3】
請求項2で得られた相の測定値から被験物質の分配係数を算出する方法。
【請求項4】
分配係数測定方法であって、
疎水的表面特性を持つアッセイ容器を使用し、かつ、該アッセイ容器外郭部から上部疎水性溶媒相を吸引除去する操作を特徴とする、分配係数測定方法。
【請求項5】
自動分注機を用いる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
疎水的表面特性を持つアッセイ容器が、ポリスチレン製、ポリプロピレン製、ポリカーボネート製、又はポリエチレン製のアッセイ容器である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
疎水性溶媒が1−オクタノールである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
親水性溶媒が緩衝液である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
緩衝液がリン酸塩緩衝液 である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
疎水性溶媒と親水性溶媒の容積比が、45:55〜55:45の比率である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
疎水性溶媒と親水性溶媒の容積比が、1:1の比率である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
下記の(a)〜(g)の工程を含み、疎水的表面特性を持つアッセイ容器を使用することを特徴とする、被験物質の分配係数測定方法。
(a)疎水性溶媒と親水性溶媒を、容積比が45:55〜55:45の比率で含む溶媒系に所定量の被験物質を混合し、アッセイ容器に注入して被験液を調製する工程
(b)密閉した被験液を、室温又は特定の温度で一定時間処理し、分配平衡に到達させる工程
(c)分配平衡に到達した溶媒系を、工程(b)と同じ温度で一定時間、遠心分離又は静置して、疎水性溶媒と親水性溶媒の2相に分離する工程
(d)疎水性溶媒を吸入採取する工程
(e)疎水性溶媒を吸引除去する工程であって、アッセイ容器の外郭側から吸引除去する操作を含む工程
(f)アッセイ容器中心部の親水性溶媒相露出部から、親水性溶媒相を吸入採取する工程
(g)上記工程(d)及び(f)で得られた2相の測定値から被験物質の分配係数を算出する工程
【請求項13】
疎水的表面特性を持つアッセイ容器が、ポリスチレン製、ポリプロピレン製、ポリカーボネート製、又はポリエチレン製のアッセイ容器である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
疎水性溶媒が1−オクタノールである、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
親水性溶媒が緩衝液である、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
緩衝液が、リン酸塩緩衝液 である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
リン酸塩緩衝液 のpHが6〜8である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
疎水性溶媒と親水性溶媒の容積比が、1:1の比率である、請求項12〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
自動分注機を用いる、請求項12〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
完全自動化可能な、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分注機を用いた分配係数測定の完全自動化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品化合物は、主薬理の強さのみならず、安全性、体内動態、物性など、全ての点で医薬品としての資質を満足する必要がある。したがって、医薬品の創製研究においては、早期から探索化合物の性質を把握する必要性がある。
近年、多検体合成技術の進歩と、探索研究の早期から合成化合物の医薬品化合物としての資質評価(Drug-likeness)を、より迅速に行うことが求められている。医薬化合物としての大切な資質として、その化合物自体の物性を挙げることができる。化合物の物性評価としては、水溶性などの溶解性の評価と並び脂溶性(疎水性)のパラメータとして化合物の水或いは緩衝液と有機溶媒間の分配係数を正確にかつ迅速に評価することが医薬品探索研究において極めて重要である。特に化合物の脂溶性(疎水性)は、生体膜透過性及び経口投与時の腸管吸収性、吸収後の生体内分布等の体内動態、また標的到達性に係る体内分布、さらに代謝安定性等、主薬理、体内動態、安全性の全てに影響を与える基本的な化合物の性質であり、医薬品探索研究においては医薬品設計のための基礎データとして必要不可欠なものである。
【0003】
従来、化合物の脂溶性(疎水性)の指標として化合物の水或いは緩衝液と有機溶媒間の分配係数(log D又はlogPとして算出)が繁用されてきたが、分配係数の測定は熟練した技術者によるフラスコ振とう法、或いは簡便法としてHPLC法が多用されてきた。しかしながら、フラスコ振とう法は測定操作に時間を要することから多検体の迅速な評価には適さず、また、HPLC法は分配係数の数値の精度に欠けるため、ある程度の目安としての意味合いしか持たなかった。一方、フラスコ振とう法の自動化方法による、多検体評価の試みがなされてきたが、分配係数測定値の精度を確保する技術的な難点として、油相(疎水性溶媒相;油層)と水相(親水性溶媒相;水層)のコンタミネーション(以下、コンタミと略する場合がある)の問題点を克服する課題があった。すなわち、分配係数が3〜5を示す化合物では、油相には水相に対して約10〜10倍の化合物濃度を示すことから、少量であっても水相への油相のコンタミネーションは、化合物の測定値を大きく狂わすことになる。したがって、油相と水相の2つの相を分取する技術、特に上相である油相を、機械を用いて自動的に的確に除去する方法がないことから、測定全工程の自動化が難しく、ハイスループット化が妨げられていた原因であった。
【0004】
また、油相(1−オクタノール)のコンタミネーション回避を工夫することによる、自動測定の試みとして、水相を凍結する方法(例えば、非特許文献1参照)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のオートサンプラーで水相を分取する方法(例えば、非特許文献2参照)、ハイッスループットスクリーニング(HTS)を用いた LogD測定システムの構築への取り組み(例えば、特許文献1、非特許文献3参照)等の報告があるが、より簡便で、測定レンジが広くかつデータの正確性・再現性に優れた自動化方法が望まれる。
【0005】
一方、化合物の脂溶性(疎水性)の指標として分配係数をアッセイする際のアッセイ容器の材質については、例えば、ガラス、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリプロピレン(PP)、環状オレフィンコポリマー(COC)等、多くのものが使用可能であることが知られており(例えば、特許文献2参照)、測定装置や条件によって適宜市販のものが使用されている。しかしながら、当該アッセイ容器の材質と、当該アッセイ系のデータ精度の違いについての報告された例はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2012/090909号パンフレット
【特許文献2】特許第4297917号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Talanta.,2011,84(3),809-813.
【非特許文献2】Anal.Chem.,2007,79(21),8312-8315.
【非特許文献3】薬剤学,2009,Supplement(69),211.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、自動分注機を用いた完全自動化方法に応用可能な、より簡便・迅速で精度の高い分配係数の測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意研究を推進した結果、化合物の分配係数のアッセイに使用するアッセイ容器の材質によって水−油界面の形状が異なることに着目し、油相(疎水性溶媒相)除去のピペット挿入位置を定めることで、油相の水相(親水性溶媒相)へのコンタミネーションをなくし、水・油両相を正確に分取できることを見出した。当該技術発明は、特に上相をほぼ完全に除去可能であることから、上相である疎水性溶媒相のコンタミネーションを回避して下相からサンプリング(採取)できる方法を提供することを可能にした。さらに、自動分注機にこの操作を再現させるプログラミングを行い、熟練技術者と同等の精度で、かつ数倍のスループット(迅速化)を実現する分配係数自動測定系を確立して、本発明を完成させた。すなわち、本発明は(1)〜(20)を提供する。
【0010】
(1)上部疎水性溶媒相と下部親水性溶媒相の2相からなる溶液系から、上部の疎水性溶媒相を除去する方法であって、
疎水的表面特性を持つアッセイ容器を使用し、かつ、該アッセイ容器外郭部から上部疎水性溶媒相を吸引除去することを特徴とする、疎水性溶媒相を除去する方法。
(2)アッセイ容器中心部から、親水性溶媒相の吸引採取(サンプリング)に用いる、(1)に記載の方法。
(3)分配係数測定に用いる、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)分配係数測定方法であって、
疎水的表面特性を持つアッセイ容器を使用し、かつ、該アッセイ容器外郭部から上部疎水性溶媒相を吸引除去する操作を特徴とする、分配係数測定方法。
(5)自動分注機を用いる、(1)〜(4)のいずれか1に記載の方法。
(6)疎水的表面特性を持つ製アッセイ容器が、ポリスチレン製、ポリプロピレン製、ポリカーボネート製、又はポリエチレン製のアッセイ容器である、(1)〜(5)のいずれか1に記載の方法。
(7)疎水性溶媒が1−オクタノールである、(1)〜(6)のいずれか1に記載の方法。
(8)親水性溶媒が緩衝液である、(1)〜(7)のいずれか1に記載の方法。
(9)緩衝液がリン酸塩緩衝液 である、(8)に記載の方法。
(10)疎水性溶媒と親水性溶媒の容積比が、45:55〜55:45の比率である、(1)〜(9)のいずれか1に記載の方法。
(11)疎水性溶媒と親水性溶媒の容積比が、1:1の比率である、(1)〜(9)のいずれか1に記載の方法。
(12)下記の(a)〜(g)の工程を含み、疎水的表面特性を持つ製アッセイ容器を使用することを特徴とする、被験物質の分配係数測定方法。
(a)疎水性溶媒と親水性溶媒を、容積比が45:55〜55:45の比率で含む溶媒系に所定量の被験物質を混合し、アッセイ容器に注入して被験液を調製する工程
(b)密閉した被験液を、室温又は特定の温度で一定時間処理し、分配平衡に到達させる工程
(c)分配平衡に到達した溶媒系を、工程(b)と同じ温度で一定時間、遠心分離又は静置して、疎水性溶媒と親水性溶媒の2相に分離する工程
(d)疎水性溶媒を吸入採取する工程
(e)疎水性溶媒を吸引除去する工程であって、アッセイ容器の外郭側から吸引除去する操作を含む工程
(f)アッセイ容器中心部の親水性溶媒相露出部から、親水性溶媒相を吸入採取する工程
(g)上記工程(d)及び(f)で得られた2相の測定値から被験物質の分配係数を算出する工程
(13)疎水的表面特性を持つアッセイ容器が、ポリスチレン製、ポリプロピレン製、ポリカーボネート製、又はポリエチレン製のアッセイ容器である、(12)に記載の方法。
(14)疎水性溶媒が1−オクタノールである、(12)又は(13)に記載の方法。
(15)親水性溶媒が緩衝液である、(12)〜(14)のいずれか1に記載の方法。
(16)緩衝液が、リン酸塩緩衝液 である、(15)に記載の方法。
(17)リン酸塩緩衝液 のpHが6〜8である、(16)に記載の方法。
(18)疎水性溶媒と親水性溶媒の容積比が、1:1の比率である、(12)〜(17)のいずれか1に記載の方法。
(19)自動分注機を用いる、(12)〜(18)のいずれか1に記載の方法。
(20)完全自動化可能な、(1)〜(19)のいずれか1に記載の方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、疎水性溶媒と親水性溶媒のコンタミネーションを回避し、親水性溶媒相からの高精度なサンプリング(採取)を可能とする。本発明は、被験物質の脂溶性(分配係数)を測定する方法等に利用でき、係る測定において、正確で迅速、かつ、測定の完全自動化を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】通常行われている、溶媒系を注入したアッセイ容器中心部からの疎水性溶媒の除去では、疎水性溶媒を完全に除去できず、親水性溶媒からのサンプリング時に疎水性溶媒のコンタミが防げなかったことを示した図である。図中、[A]は、オクタノール層からのサンプル採取の操作を示したものである。;[B]は、オクタノールを除去するためにオクタノール層境界面から緩衝液(PBS:Phosphate Buffer Solution)層上部にチップを挿入し、一定量を吸引除去する従来の操作を示したものである。;[C]は、PBS層からのサンプル採取の操作であるが、残余のオクタノールがあるためにコンタミを防げなかった図を示したものである。
図2】アッセイ容器として、親水的表面特性を持つガラス製容器を用いた場合(図中の[D])と、疎水的表面特性を持つ、例えばポリプロピレン(PP)製容器を用いた場合(図中の[E])の疎水性溶媒と親水性溶媒の境界面を、親水性溶媒に油性の赤インクを添加して比較すると、ガラス製容器では疎水性溶媒が親水性溶媒に対して凸面状(convex)であったのに対し、疎水的表面特性を持つ容器では疎水性溶媒が親水性溶媒に対して凹面状(concave)であったことが明らかになったことを示した図である。
図3】疎水性溶媒を吸入除去する際に、アッセイ容器の外郭(最外部の壁面)側の親水性溶媒上部に吸引用チップを挿入して除去すると、親水性溶媒表面の露出面が大きくなったことを示した図である。図中、[A]は、オクタノール層からのサンプル採取を示す。;[B−2]は、オクタノールを除去するためにアッセイ容器外郭にチップを挿入して、一定量を吸引除去する操作(1回目)を示したものである。;[B−3]は、チップを交換し、2回目の吸引除去を行った後を示したものである。;[C−2]は、親水性溶媒表面の露出面が大きくなったことから、チップを中央部から挿入しても、オクタノールがコンタミせずにPBS層のサンプル採取が可能になったことを示す。
図4】アッセイ容器の外郭側の親水性溶媒上部に吸引用チップを挿入して除去すると、親水性溶媒表面の露出面が大きくなることを、上部から示した図である。吸引用チップを交換し、2度吸引することにより、より親水性溶媒表面の露出面が大きくなり、中央からPBSに吸引用チップを挿入して吸引採取が可能となること示した図であり、上記(図3)の[B−2]、[C−2]をアッセイ容器上部から示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明の1つの態様としては、上部疎水性溶媒相と下部親水性溶媒相の2相からなる溶液系から、上部の疎水性溶媒相を除去する方法であって、疎水的表面特性を持つアッセイ容器を使用し、かつ、該アッセイ容器外郭部から上部疎水性溶媒相を吸引除去することを特徴とする、疎水性溶媒相を除去する方法に関する。係る方法は、アッセイ容器中心部から、疎水性溶媒相のコンタミなネーションを回避して効果的に親水性溶媒相を吸引採取(サンプリング)することを可能とし、したがって、従来法に比べて高精度な分配係数測定に用いることができる。
また、本発明の分配係数測定方法は、自動分注機などを用いることで、完全自動化が可能な、高精度の分配係数測定方法にも関するものである。
【0015】
本発明の好ましい態様としては、下記の(a)〜(g)の工程を含み、疎水的表面特性を持つ製アッセイ容器を使用することを特徴とする、被験物質の分配係数測定方法を提供する。
(a)疎水性溶媒と親水性溶媒を、容積比が45:55〜55:45の比率で含む溶媒系に所定量の被験物質を混合し、アッセイ容器に注入して被験液を調製する工程
(b)密閉した被験液を、室温又は特定の温度で一定時間処理し、分配平衡に到達させる工程
(c)分配平衡に到達した溶媒系を、工程(b)と同じ温度で一定時間、遠心分離又は静置して、疎水性溶媒と親水性溶媒の2相に分離する工程
(d)疎水性溶媒を吸入採取する工程
(e)疎水性溶媒を吸引除去する工程であって、アッセイ容器の外郭側から吸引除去する操作を含む工程
(f)アッセイ容器中心部の親水性溶媒相露出部から、親水性溶媒相を吸入採取する工程
(g)上記工程(d)及び(f)で得られた2相の測定値から被験物質の分配係数を算出する工程
【0016】
本発明における「被験物質の脂溶性」とは、化合物の疎水性パラメータを意味し、具体的には、logDやlogP等の分配係数を意味する。一般に互いにほとんど溶解しない疎水性溶媒と親水性溶媒を同じ容器に入れ、これに被験物質を添加し、撹拌や振とうすることによって、被験物質の性質に基づき、通常は被験物質の添加量にかかわらず、疎水相と親水相に被験物質の性質に依存して一定の割合で分配される(分配平衡)。例外として、添加する被験物質の濃度依存的に被験物質の分子が会合して2量体を形成するものも知られているが、係る場合には公知の被験物質の分子会合を妨げる手段を講じればよい。分配平衡に到達した、疎水性溶媒相中の被験物質の濃度を「Co」、親水性溶媒相中の被験物質の濃度を「Cw」とすると、両者の比(Co/Cw)は一定となり、その常用対数を分配係数という。ここで、logP(partition coefficient)は被験物質の電離を考慮しない分配係数である。一方、logD(distribution coefficient)は、異なったpH環境における分子の解離による脂溶性の変化を考慮に入れたパラメータであり、特に化合物の分子中に解離する官能基を置換基として有しているような物質を評価する際には、logDで脂溶性を評価することが一般的である。特にpH=7.4の緩衝液を親水性溶媒として用いた測定系におけるlogDは、logD7.4として、物質、特に医薬化合物の研究における評価として汎用されている。本発明においては、logD7.4が好ましい。しかしながら、緩衝液のpHは、7.4に限定されるものではなく、例えば、小腸上部の吸収性を主目的に測定を行うとき等、一般的な小腸上部のpHであるpH=6.8等を選択する等、適宜選択すればよい。
【0017】
本発明における「疎水性溶媒、親水性溶媒」とは、お互いにほとんど混和しないか、ほとんど混和しないものを指す。
【0018】
本発明における「疎水性溶媒」としては、通常logDの測定で汎用されている溶媒であれば特に限定はされないが、1−オクタノールが好ましい。
【0019】
また、本発明における「親水性溶媒」としては、緩衝液を意味する。緩衝液としては、例えば一定のpHの範囲で高い緩衝能力を示す緩衝塩の水溶液であれば特に限定はないが、具体的にはリン酸塩緩衝液 が好ましい。ここで一定のpH範囲としては、pHが0〜14の範囲でよいが;pHが6〜8の範囲が好ましく;pHが6.8か7.4がより好ましく;pHが7.4のリン酸塩緩衝液 が特に好ましい。ここで、pHが7.4のリン酸塩緩衝液 の濃度(リン酸換算)は、0.1〜50mMが好ましく;0.5〜20mMがより好ましい。
【0020】
本発明における「疎水性溶媒と親水性溶媒の比率」とは、アッセイ容器の用量、使用できる被験物質の量に依存するため、特に限定はないが、45:55〜55:45の範囲で実施すればよいが、ほぼ1:1の比率が実施するのが好ましい。
【0021】
本発明における「疎水性溶媒と親水性溶媒の一定の比率で含む溶媒系」の合計量としては、特に限定はないが、使用する被験物質の量、各相のサンプルの定量に用いるHPLCやLC−MS/MSの分析感度との観点、また多検体評価や評価時間の迅速化、自動化などの観点から使用するアッセイ容器の用量の許容量を使用すればよいが、具体的には100から2000μLの範囲が好ましく、500〜1500μLの範囲を挙げることができる。
【0022】
本発明における「疎水的表面特性を持つアッセイ容器」としては、ポリスチレン製、ポリプロピレン製、ポリカーボネート製、及びポリエチレン製のアッセイ容器が好ましく;ポリプロピレン製アッセイ容器がより好ましい。「疎水的表面特性を持つアッセイ容器」は、アッセイに使用できる形態のものであれば特に限定はないが、例えば、密栓可能なポリプロピレン製のチューブ、HTS(High Throughput Screening)のアッセイ用として市販されている96穴〜384穴のアッセイプレート等を挙げることができる。また、「疎水的表面特性を持つ」試験管を並べて使用してもよい。
【0023】
本発明における「被験物質」としては、特に限定はないが、固体、結晶、アモルファス、液体等の形状に限らず、化合物ライブラリー等として保存されている、化合物をDMSO等の溶媒に溶解された溶液等をそのまま使用できるが、予め溶媒を留去して用いるのが好ましい。ここで、溶液の被験物質濃度としては、logDの測定を妨害しない限り、特に濃度に制限はないが、通常10mM程度の溶液を1〜500μLの範囲、好ましくは5〜200μLの範囲を挙げることができる。ここで、DMSO溶液のDMSOの濃度としては1%以下が好ましい。また、溶液に使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトニトリルを好ましい溶媒として挙げることができるが、これら溶媒溶液の溶媒のみを留去して測定に供するのが好ましい。
【0024】
本発明における上述の定義によって構成される「(a)疎水性溶媒と親水性溶媒を、容積比が45:55〜55:45の範囲の比率、好ましくは1:1の比率で含む溶媒系に、所定量の被験物質を混合し、アッセイ容器に注入して密閉して被験液を調製する」工程は、1つであっても複数であってもよく、算出誤差等を少なくさせるために、2〜5個の複数個で実施することが好ましい。
【0025】
本発明における「(b)密閉した被験液を、室温又は特定の温度で一定時間処理し、分配平衡に到達させる」工程における「処理」とは、撹拌、振とうなどの操作が好ましく、通常、アッセイ容器の内容物が飛散しないように密栓下で行うのが好ましい。本工程における、室温又は特定の温度としては、室温は第16改正日本薬局方では1から30℃とされているが、25℃±2℃程度が好ましい。また、特定の温度としては10〜60℃が好ましい。一般に、被験物質を添加してから一定時間経過後に分配平衡に達するが、撹拌、振とうさらに撹拌、振とうの撹拌速度、振とう強度を調整することにより、分配平衡に達する時間を短縮できる。本発明における撹拌、振とうは、使用する装置によって異なるが、一般的には1000〜1500回転/分で振とうするのが好ましい。分配平衡に達する時間は溶媒の量、振とう効率等に依存するが、例えば、10分間〜24時間、より好ましくは10分間〜5時間、特に好ましくは20分〜2時間である。
【0026】
本発明における「(c)分配平衡に到達した溶媒系を、室温で一定時間遠心分離して、疎水性溶媒相と親水性溶媒相の2相に分離する工程」工程とは、分配平衡に到達した溶媒系を静置若しくは遠心分離等の操作で疎水性溶媒相と親水性溶媒相の2相に分離させる工程である。本発明にいて、本工程は迅速化と各検体の評価成績の安定化のために、遠心分離操作を行うのが好ましい。遠心分離操作としては、室温又は特定温度において、1000〜10000回転/分、好ましくは2500〜5000回転/分で実施すればよい。また、遠心分離の時間は使用する回転数にあわせて適宜調整すればよいが、2500〜5000回転/分で2〜10分間の遠心分離を行うのが好ましい。ここで、本工程の温度は上記の定義と同義であるが、工程(b)と同じ温度で実施するのが好ましい。
【0027】
本発明の「(d)疎水性溶媒を吸入採取する工程」は、上記の疎水相と親水相の2相に分離した上相に該当する疎水性溶媒相から、適量をサンプルとして採取する工程である。採取は吸引で採取するのが好ましい。該採取したサンプルは採取後直ちに疎水溶媒相の被験物質濃度を測定してもよいし、後で測定しても構わない。採取するサンプル量としては、添加した被験物質量、測定機器である、例えばHPLCやLC−MS/MSの定量感度に悪影響を与えない範囲であれば特に限定はないが、通常20〜200μL、好ましくは、30〜100μLを、採取用ニードル、採取用ディスポーザブルチップ等を、採取量に合わせたサイズを選択して使用して吸引採取してサンプルを得る。該サンプルは、分析機器の感度・測定レンジに合わせて適宜希釈して定量に供すればよい。ここで、希釈に用いる溶媒としては、含水アセトニトリルが好ましい。
【0028】
本発明における「(e)疎水性溶媒を吸入除去する工程であって、該被験液が注入されたアッセイ容器の外郭側から吸引除去する操作を含む工程」とは、上記の疎水性溶媒中から被験物質濃度を測定するためのサンプルを適量採取した後、下相の親水性溶媒相からサンプルを採取する工程の前段階に該当する。すなわち、分配係数測定の精度を高めるために、上相の疎水性溶媒相のほとんどを除去して、疎水性溶媒相の親水性溶媒相へのコンタミネーションを防ぐための工程である。上相の疎水性溶媒相のほとんどを除去して、次の(g)工程における採取用ニードル或いは採取用ディスポーザブルチップ等を、上部中央部から親水性溶媒相面に挿入して採取するのを可能とするため、本工程(e)は親水性溶媒相の露出面積を広くするための工程である。本発明における本工程は、以下の(i)、(ii)の2つの操作からなる。
【0029】
(i)疎水性溶媒相に、採取用ニードル或いは採取用ディスポーザブルチップを、疎水性溶媒相下部の親水性溶媒相との境界面近傍に挿入し、被験物質濃度を測定するためのサンプルを採取後の残存の疎水性溶媒相の約80〜95%量に相当する量を吸引にて除去する操作。かかる(i)の操作は、アッセイ容器の中央に採取用ニードル或いは採取用ディスポーザブルチップを挿入して行えばよい。
(ii)(図面3)又は(図面4)に示すように、アッセイ容器の外郭側の疎水性溶媒相に採取用ニードル或いは採取用ディスポーザブルチップを挿入して、疎水性溶媒相の残存量(使用量と採取量により算出)を超える一定量を吸引にて除去する操作である。係る2回目の吸引除去操作は、挿入するニードル或いはチップを交換して行うのが好ましい。
【0030】
本発明の「(f)アッセイ容器中心部の親水性溶媒相露出部から、親水性溶媒相を吸入採取する工程」とは、(図面3)又は(図面4)に示したように、上記の前工程により露出面積が広がった親水性溶媒相の中心部に採取用ニードル或いは採取用ディスポーザブルチップを挿入し、親水性溶媒中の被験物質濃度を測定するためのサンプルを採取する工程である。採取するサンプル量としては、添加した被験物質量、測定機器である例えばHPLCやLC−MS/MSの定量感度に悪影響を与えない範囲であれば特に限定はないが、通常20〜200μL、好ましくは、30〜100μLを、採取用ニードル、採取用ディスポーザブルチップ等を、採取量に合わせたサイズを選択して使用して吸引採取してサンプルを得る。該サンプルは、採取後直ちに若しくは後で、分析機器の感度・測定レンジに合わせて適宜希釈して定量に供すればよい。ここで、親水性溶媒相から吸引採取するサンプル量は、疎水性溶媒相からの採取量と同量であるのが好ましい。また、異なる採取量であっても、被験物質の分配係数を算出するときに補正すればよい。
【0031】
本発明における「上記(d)の工程及び(f)の工程で得られた2つの測定値から被験物質の分配係数(脂溶性)を算出する工程」とは、疎水性溶媒相及び親水性溶媒相からの採取したサンプル中の被験物質濃度を計測し、計測した数値から被験物質の分配係数(logD)を算出する工程である。
【0032】
本発明の測定方法は、logDが、−2〜6の被験物質に、好適には通常「drug like」とされるlogDが、0〜3の被験物質の測定に使用すればよいが、測定の適応範囲はさらに広範囲が可能である。
【0033】
本発明における被験物質の分配係数測定のための被験物質の定量方法には特に制限はなく、公知の方法を用いればよい。具体的には、UV等の吸光度検出器による測定や、液体クロマトグラフィー(LC)、ガスクロマトグラフィー(GC)又はキャピラリー電気泳動(CE)等と、これらに好ましい検出器を組み合わせた機器による測定が挙げられるが、なんらこれらに限定されない。液体クロマトグラフィー(LC)の検出器としては、UV等の吸光度検出器、質量分析機(MS)及び/又は導電率検出器等が挙げられる。多検体の同時評価など、評価スピードのスループットを向上させ、少量の被験物質量で高精度の分析を行う上で、LC−MS/MSを好ましい機器として挙げることができる。
【0034】
本発明においては、溶媒や被験物質を公知の方法によってアッセイ容器に注入したり、アッセイ容器から取り出することができる。すなわち、公知の分注機(ディスペンサー)や試料採取機(サンプラー)などを使用することができ、これらの作業を自動化することが可能である。自動分注機(例えば、Tecan Group Ltd.の製品パンフレット)、また、完全自動化を可能とする液体ハンドリングロボット(例えば、HAMILTON Robotics GmbHの製品パンフレット)等、市販されている機器を、必要に応じ、適宜組み合わせて使用すればよい。
【0035】
また、96〜384穴の市販の、例えばポリプロピレン製等の疎水的表面特性を持つアッセイ容器のマルチウェルプレート、試験管等を用い、本発明を複数の被験物質に対して行うことにより、多検体同時の大量処理(ハイスループットな分析)を、少ない量の被験物質(サンプル)で行うことができるため、好ましい。本発明の方法は、標準的な装置を用いて容易に自動化することができるため、多検体同時自動分析に特に適している。
【実施例】
【0036】
以下に実施例を記載して、本願発明を具体的に説明するが、本願発明は実施例に限定されるものではない。
【0037】
(比較例1)
被験物質として、論文などでlog Dが報告されている、Metoprolol, Carbamazepine, Diltiazem, Haloperidol, Ketoconazole及びTamoxifenの6種の薬剤を使用し、フラスコ振とう法及び自動分注機(MICROLABR(R)STAR;ハミルトン社)を用いた通常の操作(図面1に示した方法)で、log Dをそれぞれ測定し、得られた値を比較した。結果は下記(表1)に示した。
測定条件:オクタノール相初期薬物濃度20 μM、DMSO含有量0.1%、分配平衡に導くための振とう時間30分
【0038】
【表1】
【0039】
(結果の考察)
図1に示す自動分注機法とフラスコ振とう法の実測値と比較した場合、脂溶性の高い化合物ほど値が乖離する傾向が観察された。原因として、以下の2つが考えられた。(1)プレートを使用して振とうした場合、分配平衡に導くための振とう時間が30分では不足している、(2)脂溶性の高い化合物はオクタノール相の化合物濃度がPBS相の濃度と比較して極めて高い。自動分注機法でPBS相(下相)をサンプリングする際に薬物濃度の高いオクタノール相が混入したことによって、log Dが低めに計算された。
【0040】
(比較例2)
被験物質として、論文などでlog Dが報告されている、Metoprolol, Carbamazepine, Diltiazem, Haloperidol, Ketoconazole及びTamoxifenの6種の薬剤を使用し、フラスコ振とう法、及び自動分注機(MICROLABR(R)STAR;ハミルトン社)を用いた通常の操作(図面1に示した方法)で、log Dをそれぞれ測定し、得られた値を比較した。結果は下記の(表2)に示した。
測定条件:オクタノール相初期薬物濃度20 μM、DMSO含有量0.1%、分配平衡に導くための振とう時間は3時間
【0041】
【表2】
【0042】
(結果の考察)
分配平衡に導くための振とう時間を、比較例1の30分から3時間と長くした結果、脂溶性の高いDiltiazem, Haloperidol, Ketoconazole及びTamoxifenの4化合物については、30分振とうよりも高いlog D値が得られた。一方、依然としてHaloperidol, Ketoconazole及びTamoxifenの3化合物では、フラスコ振とう法と自動分注機法の測定値の解離は大きく、自動分注機法でPBS相(下相)をサンプリングする際のオクタノール相の混入が原因と考えられた。
【0043】
(実施例1)
被験物質として、論文などでlog Dが報告されている、Metoprolol, Carbamazepine, Diltiazem, Haloperidol, Ketoconazole及びTamoxifenの6種の薬剤を使用し、フラスコ振とう法及び図面3、4で示した方法で、自動分注機(MICROLABR(R)STAR;ハミルトン社)を用いてlog D測定を実施した。自動分注機では、1-オクタノールに化合物のDMSO溶液を加え混合し 、さらに親水性溶媒として同体積のPBS(pH 7.4)を加えた(Total 900 μL, 化合物濃度100 μM,DMSO終濃度1%)。容器を密栓し、プレートシェイカー(Mixmate,Eppendorf社)を用い、室温で1300 rpm/minで30分間振とうした。その後、室温で3000 rpmで5分間遠心分離操作を行い、(図面3)、(図面4)に示したような方法でオクタノール相、PBS相からサンプリングを行い、LC/MS/MSで分析、log D値を算出した。結果は下記の(表3)に示した。
【0044】
【表3】
【0045】
(結果の考察)
図3)、(図4)に示すようなオクタノール除去方法に変更することによって、フラスコ振とう法の結果がほぼ再現し、自動分注機を用いた分配係数の測定システムに利用できることがわかった。
【0046】
(実施例2)
実施例1の振とう時間(30分)を3時間に延長し、振とう時間が測定値に与える影響を確認した。結果は下記の(表4)に示した。
【0047】
【表4】
【0048】
(結果の考察)
撹拌時間を3時間に延長しても、撹拌時間30分の結果と大きさ差は観察されず、本プレートシェイカー(Mixmate,Eppendorf社)を用いた場合、室温で1300 rpmで30分間振とうで十分に分配平衡に達することが判明した。
【0049】
(実施例3)
被験物質の溶解に用いているDMSOの影響を確認する目的で、種々の薬物濃度のDMSO溶液を用いて、薬物濃度は一定に保ちつつ、DMSO濃度が異なるオクタノール溶液を調製した。この溶液を用い、分配係数測定を実施、各被験物質のlog D値を算出した。なおDMSO 0%とは、DMSO溶液を容器に添加後、DMSOを留去した後にオクタノールを添加、溶解させて試料を調製した。なお、試験はフラスコ振とう法(手動)で実施した。結果は下記の(表5)に示した。
【0050】
【表5】
【0051】
(結果の考察)
DMSO濃度の上昇とともに求められるLog D値は減少することが判明したが、1%程度までの濃度では0%と比較してほぼ同じ値(差が0.2以内)が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明も測定方法は、正確でかつ迅速な分配係数の測定に使用できるに留まらず、自動分注機を用いた自動測定を可能にする。
図1
図2
図3
図4