特許第6302191号(P6302191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6302191
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】発電システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/62 20060101AFI20180319BHJP
   C02F 1/00 20060101ALI20180319BHJP
   B01F 1/00 20060101ALI20180319BHJP
   B01F 3/04 20060101ALI20180319BHJP
   B01F 5/18 20060101ALI20180319BHJP
   F01K 9/00 20060101ALI20180319BHJP
【FI】
   B01D53/62
   C02F1/00 UZAB
   B01F1/00 A
   B01F3/04 Z
   B01F5/18
   F01K9/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-181364(P2013-181364)
(22)【出願日】2013年9月2日
(65)【公開番号】特開2015-47564(P2015-47564A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年4月28日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 彰弘
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕史
【審査官】 松村 真里
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−075790(JP,A)
【文献】 特開2012−179521(JP,A)
【文献】 特開2010−5604(JP,A)
【文献】 特開2005−342573(JP,A)
【文献】 特開2004−089770(JP,A)
【文献】 特開2015−47563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/00−53/96
C02F 1/00
F01K 9/00
B01F 1/00−5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素を含む燃料を燃焼させて発電する発電ユニットと、
前記発電ユニットで発生した排ガスが流れる煙道と、
ポンプと、前記ポンプが接続され、取水された海水を前記発電ユニットへと送液する取水管と、前記発電ユニットで使用された海水を放水する放水管と、を有し、前記ポンプで海水を送液し、前記発電ユニットと海との間で海水を循環させる海水循環装置と、
前記取水管の前記ポンプよりも下流を流れる海水に二酸化炭素を溶解させる溶解装置と、
前記煙道を流れる前記排ガスに含まれる有害物質を低減または除去する排ガス処理装置と、を備えた発電システムであって、
前記溶解装置は、前記排ガス処理装置で有害物質が低減または除去された処理後排ガスの少なくとも一部が流れる吸収塔と、前記吸収塔に挿入され、前記海水循環装置を流れる海水の少なくとも一部を前記吸収塔内に噴霧する噴霧部と、を有し、前記吸収塔内に噴霧した海水に前記処理後排ガス中の二酸化炭素を溶解させる溶解モジュールと、
前記取水管と前記溶解モジュールとを接続し、前記海水循環装置を流れる海水の一部を前記溶解モジュールに供給する供給管と、
前記取水管と前記供給管との接続部よりも海水の流れ方向下流側の前記取水管の部分と前記溶解モジュールとを接続し、前記溶解モジュールを通過した海水を前記取水管に排出する排出管と、
前記取水管と前記供給管との接続部と、前記取水管と前記排出管との接続部の間となる位置の前記取水管に配置された第1流量調整弁と、
前記排出管に配置された第2流量調整弁と、を有し、
前記海水循環装置を流れる海水の一部に二酸化炭素を溶解させた後、二酸化炭素を溶解させた海水を前記海水循環装置に排出し、
前記第1流量調整弁と前記第2流量調整弁の開度を調整し、前記溶解装置に供給する前記海水の流量を調整する制御部を、有することを特徴とする発電システム。
【請求項2】
前記溶解モジュールは、前記煙道に設置されていることを特徴とする請求項に記載の発電システム。
【請求項3】
前記発電ユニットは、蒸気タービンを有し、
前記蒸気タービンを通過した熱媒を前記海水で冷却する熱交換器をさらに備え、
前記海水循環装置は、前記熱交換器に前記海水を供給する取水管と、前記熱交換器を通過した前記海水を排出する放水管と、を備え、
前記溶解装置は、前記取水管を流れる前記海水に前記排ガス中の二酸化炭素を溶解させることを特徴とする請求項1または請求項に記載の発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路を流れる海水中に二酸化酸素を溶解させる溶解装置を有する発電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
海に隣接して設置された発電システムの中には、冷却水等として海水を取水して利用する発電システムがある。海水を取水する海水取放水施設では、海水が流れる配管に海洋生物が付着するという問題がある。配管に海洋生物が付着することを防止する方法としては、特許文献1及び2に記載されているように、海水中に二酸化炭素を溶解させ、海水のpHを弱酸にする方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−319853号公報
【特許文献2】特開2011−14870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空気が混入した二酸化炭素の気泡を溶解させる場合、二酸化炭素の溶解速度は二酸化炭素分圧に比例するため、二酸化炭素の溶解とともに気泡内の二酸化炭素分圧が下がり、二酸化炭素の溶解速度や効率が低下し二酸化炭素を完全に溶解させることが難しいという問題がある。また、空気や解け残りの二酸化炭素の気泡が配管内に滞留すると、取水した海水の流れを妨げるという問題もある。
【0005】
このため、特許文献1及び2に記載の方法では、100%の二酸化炭素が充填されたボンベガスを用いている。この100%の二酸化炭素が充填されたボンベガスは、発電システムとは別に設けることになるため、発電システムとしての改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、発電システムの構成を効率よく利用し、かつ、海洋生物の付着を抑制することができる発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明の発電システムは、炭素を含む燃料を燃焼させて発電する発電ユニットと、前記発電ユニットで発生した排ガスが流れる煙道と、ポンプを有し、前記ポンプで海水を送液し、前記発電ユニットと海との間で海水を循環させる海水循環装置と、前記海水循環装置の前記ポンプよりも下流を流れる海水に二酸化炭素を溶解させる溶解装置と、を備え、前記溶解装置は、前記煙道の大気圧雰囲気の領域を流れる前記排ガスの少なくとも一部が流れる吸収塔と、前記吸収塔に挿入され、前記海水循環装置を流れる海水の少なくとも一部を前記吸収塔内に噴霧する噴霧部と、を有し、前記吸収塔内に噴霧した海水に前記排ガス中の二酸化炭素を溶解させる溶解モジュールを、有することを特徴とするものである。
【0008】
従って、発電ユニットで燃料を燃焼させることで発生し、大気圧雰囲気で流れる排ガスを用いて、海水に二酸化炭素を溶解させることができる。これにより、新たな動力や、二酸化炭素の供給源を用意することなく、海水に二酸化炭素を溶解させることができるため、発電システムの構成を効率よく利用し、かつ、海洋生物の付着を抑制することができる。
【0009】
本発明の発電システムでは、前記溶解装置は、前記海水循環装置と前記溶解モジュールとを接続し、前記海水循環装置を流れる海水の一部を前記溶解モジュールに供給する供給管と、前記海水循環装置の前記供給管よりも海水の流れ方向下流側の部分と前記溶解モジュールとを接続し、前記溶解モジュールを通過した海水を前記海水循環装置に排出する排出管と、を有し、前記海水循環装置を流れる海水の一部に二酸化炭素を溶解させた後、二酸化炭素を溶解させた海水を前記海水循環装置に排出することを特徴とするものである。
【0010】
従って、適正な流量の海水を溶解モジュールに供給することができ、溶解モジュールに大きな負荷がかかることを抑制することができる。また、溶解モジュールの大型化を抑制することができる。
【0011】
本発明の発電システムでは、前記溶解モジュールは、前記煙道に設置されていることを特徴とする。
【0012】
従って、溶解モジュールに排ガスを案内する配管が不要となり装置構成が簡単となる。
【0013】
本発明の発電システムでは、前記海水循環装置の前記供給管と前記排出管との間に配置された第1流量調整弁と、前記供給管に配置された第2流量調整弁と、を有し、前記第1流量調整弁と前記第2流量調整弁の開度を調整し、前記溶解装置に供給する前記海水の流量を調整する制御部をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
従って、適正な流量の海水を溶解モジュールに供給することができ、海水に溶解させる二酸化炭素の量をより適切にすることができる。これにより、海水のpH値をより正確に調整することができる。
【0015】
本発明の発電システムでは、前記煙道に配置され、前記排ガスに含まれる不純物を低減させる排ガス処理装置をさらに備え、前記溶解装置は、前記排ガス処理装置を通過した前記排ガス中の二酸化炭素を前記海水に溶解させることを特徴とする。
【0016】
従って、海水中に不純物が混入することを抑制することができる。
【0017】
本発明の発電システムでは、前記発電ユニットは、蒸気タービンを有し、前記蒸気タービンを通過した熱媒を前記海水で冷却する熱交換器をさらに備え、前記海水循環装置は、前記熱交換器に前記海水を供給する取水管と、前記熱交換器を通過した前記海水を排出する放水管と、を備え、前記溶解装置は、前記取水管を流れる前記海水に前記排ガス中の二酸化炭素を溶解させることを特徴とする。
【0018】
従って、熱交換器の海水が流れる経路に海洋生物が付着する恐れを低減することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、発電ユニットで燃料を燃焼させることで発生し、大気圧雰囲気で流れる排ガスを用いて、海水に二酸化炭素を溶解させることができる。これにより、新たな動力や、二酸化炭素の供給源を用意することなく、海水に二酸化炭素を溶解させることができるため、発電システムの構成を効率よく利用し、かつ、海洋生物の付着を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施例1に係る発電システムの概観の一部を表す概略図である。
図2図2は、本発明の実施例1に係る発電システムの概略構成を表す概略図である。
図3図3は、溶解モジュールの概略構成を表す概略図である。
図4図4は、本発明の実施例2に係る発電システムの概略構成を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る発電システムの好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の実施例1に係る発電システムの概観の一部を表す概略図である。図2は、本発明の実施例1に係る発電システムの概略構成を表す概略図である。図3は、溶解モジュールの概略構成を表す概略図である。
【0023】
図1に示すように、発電システム1は、蒸気タービン建屋2と熱交換器4と海水循環装置6と溶解装置20と散気装置22とを備える。後述するが、発電システム1は、図1に示す各部に加え、図2に示す各種機器を備えている。発電システム1は、蒸気タービン建屋2内に熱交換器4が配置されている。熱交換器4には、海との間で海水を循環させる海水循環装置6が接続されている。
【0024】
海水循環装置6は、取水管13とポンプ14と放水管17とを有する。取水管13は、海と熱交換器4とを接続する配管である。取水管13は、取水路8に囲まれた海の中に一方の端部が配置され、他方の端部が熱交換器4に接続されている。ポンプ14は、取水管13に取り付けられており、取水路8の海水を取水管13に吸い上げ、取水管13内に取水路8から熱交換器4に海水を送液する。放水管17は、海と熱交換器4とを接続する配管である。放水管17は、一方の端部が熱交換器4に接続され、他方の端部が海の中に配置されている。溶解装置20は、取水管13を流れる海水に二酸化炭素を溶解させる。散気装置22は、放水管17に設けられ、放水管17を流れる海水から二酸化炭素を放出させる。溶解装置20と散気装置22との詳細な構成については後述する。
【0025】
発電システム1は、プランクトン幼生を含む海水を、ポンプ14によって取水管13に取水する。発電システム1は、溶解装置20により取水管13を流れる海水に二酸化炭素(CO)を溶解させ、取水管13を流れる海水のpHを6以下、好ましくは5以上6以下にする。発電システム1は、二酸化炭素を溶解させた海水を熱交換器4に供給し、熱交換器4を通過した海水を放水管17から排出する。また、発電システム1は、放水管17の出口付近において散気装置22によって空気脱気して海水中に注入されたCOを除去し、正常海水程度のpHに戻した海水を放水管17から海へ排出する。
【0026】
次に、図2を用いて、発電システム1の溶解装置20と散気装置22についてより詳細に説明する。まず、発電システム1は、上記の構成に加え、発電ユニット30と煙道38と排ガス処理装置40と煙突42とを備える。
【0027】
発電ユニット30は、燃料を燃焼させて発生させた熱を電力に変換することで、発電を行う機構であり、ボイラ32と蒸気タービン34と熱媒循環ライン36とを有する。ボイラ32は、燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成させる。ここで、燃料としては、例えば、天然ガス(LNG)、石油、石炭、バイオマス、アルコール等の各種燃料を用いることができる。固形燃料は、粉砕して粉体としてボイラ32内に供給することが好ましい。ボイラ32は、内部に熱媒循環ライン36が挿入されており、燃焼ガスで熱媒循環ライン36を流れる熱媒を加熱し、蒸気にする。ボイラ32で生成された燃焼ガスは、熱媒循環ライン36と熱交換した後、排ガスとして煙道38に排出される。蒸気タービン34は、熱媒循環ライン36を流れる蒸気が供給され、供給された蒸気により回転する。蒸気タービン34は、発電機と接続されている。発電機は、蒸気タービン34の回転により発電機が回転され発電する。
【0028】
熱媒循環ライン36は、熱媒を循環させる配管であり、ボイラ32、蒸気タービン34、熱交換器4に接続している。熱媒循環ライン36は、ボイラ32、蒸気タービン34、熱交換器4の順で熱媒が流れ、さらに熱交換器4を通過した熱媒をボイラ32に供給させることで、循環させる。熱媒循環ライン36を流れる熱媒は、ボイラ32で加熱され、蒸気となった後、蒸気タービン34に供給され蒸気タービン34を回転させる。蒸気タービン34を通過した熱媒は、熱交換器4で海水との間で熱交換を行い冷却され、液体となる。つまり熱交換器4は復水器となる。熱交換器4で液体となった熱媒は、再びボイラ32に供給される。
【0029】
煙道38は、一方の端部がボイラ32と接続され、他方の端部が煙突42と接続され、ボイラ32から排出された排ガスを煙突42から排出する。排ガス処理装置40は、煙道38に設けられている。排ガス処理装置40は、煙道38を流れる排ガスに含まれる有害物質、例えば、窒素酸化物、硫黄酸化物、PM(Particulate Matter)等を低減または除去する。排ガス処理装置40は、処理対象の有害物質毎に別々の装置としてもよいし、複数の有害物質を処理できる1つの装置としてもよい。
【0030】
溶解装置20は、排ガスに含まれる二酸化炭素を海水に溶解させる装置である。溶解装置20は、溶解モジュール50と、供給管52と、排出管54と、第1pH(水素イオン濃度)計56と、第2pH計58と、第1流量調整弁60と、第2流量調整弁62と、流量計66、67と、制御部70と、を有する。
【0031】
溶解モジュール50は、煙道38の排ガス処理装置40と煙突42との間に配置されている。溶解モジュール50は、図3に示すように、吸収塔90と噴霧部92とを有する。吸収塔90は、煙道38と繋がっており、さらに排出管54とも繋がっている。吸収塔90は、鉛直方向に伸びた形状である。吸収塔90は、鉛直下側の面、つまり底面の近傍に排ガスの流れ方向上流側の煙道38が接続されている。また、吸収塔90は、鉛直上側の面、つまり頂面に排ガスの流れ方向下流側の煙道38が接続されている。これにより、吸収塔90に供給される排ガスは、底面近傍から流入し、頂面から排出される。つまり、排ガスは、吸収塔90の鉛直方向下側から上側に流れる。また、吸収塔90は、底面に排出管54が接続されている。噴霧部92は、吸収塔90の鉛直方向上側の端部近傍に挿入され、供給管52と接続されている。噴霧部92は、海水を細かい液滴、例えば微粒化して噴霧するヘッドが少なくとも1つ配置されている。ヘッドは、例えば海水が噴射される孔が複数形成されている。溶解モジュール50の動作については、後述する。
【0032】
供給管52は、一方の端部が取水管13のポンプ14よりも下流側に接続され、他方の端部が溶解モジュール50に接続されている。供給管52は、取水管13を流れている海水の一部が流入し、流入した海水を溶解モジュール50に供給する。排出管54は、一方の端部が溶解モジュール50に接続され、他方の端部が取水管13の供給管52との接続位置よりも海水の流れ方向下流側となる位置に接続されている。排出管54は、溶解モジュール50を通過した海水を取水管13に排出する。本実施例の溶解モジュール50は、供給管52が、吸収塔90の排ガスの流れ方向上流側の部分に接続し、排出管54は、吸収塔90の排ガスの流れ方向下流側の部分に接続している。
【0033】
第1pH(水素イオン濃度)計56は、排出管54に配置されており、溶解モジュール50を通過した海水のpH値を測定する。第2pH計58は、取水管13に配置されており、取水管13を流れる海水のpH値、具体的には、排出管54が接続されている位置よりも下流側を流れる海水のpH値を測定する。つまり、第2pH計58は、取水管13を流れる海水に排出管54を流れる海水が合流した後の海水のpH値を測定する。第1流量調整弁60は、取水管13、具体的には取水管13の供給管52との接続部と、排出管54との接続部と、の間の部分に配置されており、取水管13を流れる海水の流量を調整する。第2流量調整弁62は、排出管54に配置されており、排出管54を流れる海水の流量を調整する。流量計66は、取水管13、具体的には取水管13の供給管52との接続部よりの上流側に配置されており、取水管13を流れる海水の流量を計測する。流量計67は、煙道38、具体的には、排ガス処理装置40と溶解モジュール50との間を流れる排ガスの流量を計測する。第1pH(水素イオン濃度)計56と、第2pH計58と、流量計66、67とは、計測した結果を制御部70に送る。制御部70は、第1pH計56、第2pH計58及び流量計66、67の計測結果に基づいて、第1流量調整弁60及び第2流量調整弁62の開度及び開閉を調整し、溶解モジュール50に供給する海水の流量を調整する。
【0034】
溶解装置20は、取水管13から供給管52に流入した海水が溶解モジュール50に供給される。供給管52から溶解モジュール50に供給された海水は、噴霧部92から吸収塔90内に噴霧される。また、溶解装置20は、煙道38を通過する排ガスが吸収塔90の中を鉛直方向下側から鉛直方向上側の流れで通過する。溶解装置20は、排ガスが吸収塔90を通過する際に、吸収塔90内に噴霧された海水の液滴と接触し、排ガスに含まれる二酸化炭素の一部が海水側に溶解する。吸収塔90に噴霧された液体は、排ガスと接しつつ、落下し、鉛直方向下側の底面に到着する。吸収塔90の底面に到着した海水は、排ガス中の二酸化炭素が溶解した状態となる。吸収塔90の底面に到着した海水は、排出管54から排出される。このように、溶解装置20は、溶解モジュール50を通過して二酸化炭素が溶解された海水を、排出管54に排出し、排出管54から取水管13に排出する。溶解装置20は、以上のようにして吸収塔90に海水を噴霧し、海水の液滴と排ガスとを接触させることで、排ガス中の二酸化炭素を海水に溶解させ、海水のpH値を低くする。
【0035】
また、溶解装置20は、第1pH計56、第2pH計58及び流量計66、67の計測結果に基づいて、制御部70により第1流量調整弁60及び第2流量調整弁62の開度及び開閉を調整し、溶解モジュール50に供給する海水の流量を調整することで、海水に溶解させる二酸化炭素の量を調整する。具体的には、溶解装置20は、溶解装置20を通過した海水、つまり、排出管54との接続部よりも下流側の取水管13を流れる海水のpH値を6以下、具体的にはpH値を5以上6以下になるように海水の流量を調整する。溶解装置20は、取水管13を流れる海水のうち一部の海水に対して二酸化炭素を溶解させ、その海水を取水管13を流れる海水に合流させて、目的のpH値にするため、溶解モジュール50から排出される海水のpH値及び排出管54を流れる海水のpH値は、目的のpH値よりも低い値となる。
【0036】
散気装置22は、放水管17の出口近傍に配置されており、放水管17を流れる海水に空気を吹き込むことで、海水に溶解した二酸化炭素を大気に放出させ、海水のpH値を高くする。散気装置22は、ブロワ80と、流量調整弁81と、散気部82と、pH計83と、調節器84と、を有する。
【0037】
ブロワ80は、空気を送る送風機であり、配管で散気部82と接続している。ブロワ80は、散気部82に空気を送る。流量調整弁81は、ブロワ80と散気部82の間の配管に配置されており、ブロワ80から散気部82に送られる空気の流量を調整する。散気部82は、放水管17の内部に配置されており、放水管17の内部に空気を放出する孔が形成されている。散気部82は、流量調整弁81を通過した空気を孔から放水管17に放出することで、空気を微細気泡にして放水管17の海水に吹き込む。pH計83は、放水管17を流れる海水のpH値、具体的には、散気部82が配置されている位置よりも上流側を流れる海水のpH値を測定する。調節器84は、pH計83の計測結果に基づいて、流量調整弁81の開度を調整し、散気部82から海水に吹き込む空気の量を調整する。
【0038】
散気装置22は、以上のような構成であり、pH計83によって熱交換器4を出て放水管17を流れる海水のpH値を検出し、結果に基づいて調節器84により流量調整弁81の開度の調整、または開閉の切り替えを行い、散気部82から海水に吹き込む空気の量を調整する。散気装置22は、海水のpH値が放流規制範囲(例えばpH値が5.8以上8.6以下)外にあるときは、pH計83の信号が入力される調節器84から信号を送り、流量調整弁81を開けてブロワ80から散気部82に空気を送り、散気部82から放水管17内の海水へ空気を放出する。散気装置22は、空気を微細気泡の状態で海水へ放出することで、海水中に溶解している二酸化炭素ガスを大気中に放散させる。これにより、散気装置22は、放水管17を流れる海水のpH値を高め、放流される海水のpH値が放流規制値の範囲(pH値が5.8以上8.6以下)になるように調整する。
【0039】
発電システム1は、溶解装置20によって、取水管13に取水された海水中に二酸化炭素を注入して、例えばpH値を6以下とすることによって、熱交換器4と海水循環装置6内にpH値の低下した海水を流すことができる。これにより、発電システム1は、海水が流れる経路内に、殻をもつ付着生物等の海洋生物が付着し生長することを抑制することができる。また、発電システム1は、二酸化炭素を溶解させて管路内を流れる海水を適正なpH値の範囲にしているため、殻を有する海生物がこれらの管や熱交換器4に付着し殻を生成することを確実に防止することができると共に、有用なプランクトンなどを無差別に殺傷することを抑制できる。これにより、発電システム1は、海洋生物の付着を抑制しつつ、海に与える影響を少なくすることができる。また、二酸化炭素が多い海水を放出することで、海水中のプランクトンを増加させ、魚等がより生息しやすい環境とすることも可能となる。更に、100%の二酸化炭素が充填されたボンベガスを用意する必要が無いので、ランニングコストも低減することができる。
【0040】
発電システム1は、発電ユニット30のボイラ32から発生する排ガスに含まれる二酸化炭素を海水に溶解させることで、発電システム1で発生する燃焼排ガス中の二酸化炭素を有効に活用することができる。これにより、発電システム1で生じる大気汚染を少なくすることができる。また、発電システム1は、塩素系の殺菌剤を用いる場合に比べ、機器や配管の腐食の発生を抑制でき、海に排出する際の処理も簡単になる。
【0041】
溶解装置20は、噴霧部92で吸収塔90内に海水を噴霧することで、海水と排ガスとを接触させ、海水に二酸化炭素を溶解させている。ここで、溶解装置20は、噴霧部92で海水を細かい液滴に分散させることで、海水と排ガスが接触することで、排ガスに生じる圧力損失を少なくすることができる。また、溶解装置20は、噴霧部92で海水を細かい液滴に分散させることで、海水の表面積を増大させ、二酸化炭素の溶解速度を増加させることができる。このように、溶解装置20は、噴霧部92で吸収塔90内に海水を噴霧することで、大気圧雰囲気で流れている排ガスから海水へ二酸化炭素を移動させることができる。これにより、排ガスや二酸化炭素を送るブロワ等の機構を用いなくても、ボイラ32から排出される際の流れの力で海水に二酸化炭素を溶解させることができる。これにより、装置構成を簡単にすることができ、装置コストも低減することができる。
【0042】
また、溶解装置20は、海水を海水循環装置6のポンプ14の力を利用して流すことができる。これにより、海水を流すための駆動力も新たに追加する必要がないため、装置構成を簡単にすることができ、装置コストも低減することができる。
【0043】
また、溶解装置20は、供給管52と排出管54により、取水管13のバイパスとなる流路を設け、取水管13を流れる海水の一部が溶解モジュール50に供給されるようにすることで、配管系統が大きくなることを抑制することができる。また、必要な流量の海水を溶解モジュール50に供給できるため、溶解モジュール50に大きな負荷がかかることを抑制することができる。また、溶解モジュール50の大型化を抑制することができる。
【0044】
また、溶解装置20は、煙道38に溶解モジュール50を設けることで、排出される全ての排ガスが吸収塔90を通過するようにでき、二酸化炭素を溶解させやすくすることができる。また、排ガスを流す配管を新たに増設することなく、溶解装置20を設置でき、装置構成を簡単にすることができる。
【0045】
また、溶解装置20は、第1流量調整弁60と第2流量調整弁62を設け、計測結果に基づいて制御部70により、溶解モジュール50に供給する海水の流量を調整することで、海水のpH値をより好適な範囲に調整することができる。また、排ガスの流量や、海水の流量に合わせて調整することも可能となる。なお、本実施例では、第1流量調整弁60と第2流量調整弁62とを設けたがいずれか一方の流量調整弁のみでも、同様に流量を調整することができる。
【0046】
また、発電システム1は、溶解装置20に供給する排ガスを、排ガス処理装置40を通過した排ガスとすることで、吸収塔90の通過時に不純物、例えば有害物質が海水に溶解することを抑制することができる。これにより、発電システム1が海に悪影響を与えることを抑制することができる。
【0047】
また、発電システム1は、散気装置22により、放流前の海水に空気を吹き込んで海水中に溶解している二酸化炭素ガスを大気中に放散させてpH値を高めることができる。これにより、発電システム1は、海に放流される海水のpH値を放流規制値の範囲内になるようにフィードバック制御を行うことができ、海水を適切な状態にして放流を行うことができる。
【0048】
また、本実施例の溶解装置20は、噴霧部92によって、海水を鉛直方向下側に向けて噴霧したが、鉛直方向上側に噴霧してもよい。溶解装置20は、海水を鉛直方向上側に噴霧することで、吸収塔90内で浮遊している時間をより長くすることができ、より多くの二酸化炭素を溶解させることができる。また、噴霧部92は、本実施形態のように海水を噴霧するヘッドを水平方向に複数配置することが好ましい。これにより、海水を吸収塔90内の全域に噴霧することができ、より多くの二酸化炭素を溶解させることができる。また、噴霧部92は、海水を噴霧するヘッドを鉛直方向に複数配置することも好ましい。これにより、海水を吸収塔90内の全域に噴霧することができ、より多くの二酸化炭素を溶解させることができる。なお、本実施形態は、吸収塔90を鉛直方向に伸びた形状としたが、鉛直方向に対して傾斜していてもよい。また、吸収塔90は、排出管54に向かって海水が流れるように底面が傾斜し、排出管54との接続部が鉛直方向の最も下側となる形状とすることが好ましい。また、吸収塔90と煙道38とが接続する位置は本実施例に限定されないが、本実施例のように、鉛直方向下側から上側に排ガスを流すことで、海水の液滴の吸収塔90内での浮遊時間を長くすることができ、より多くの二酸化炭素を溶解させることができる。
【0049】
本実施形態の溶解装置20は、効率よく二酸化炭素を海水に溶解できるため、煙道の大気圧雰囲気の領域を流れる排ガスの全量が流れる吸収塔90に海水循環装置6を流れる海水を噴霧し、吸収塔90内に噴霧した海水に排ガス中の二酸化炭素を溶解させたが、これに限定されない。溶解装置20は、吸収塔90に煙道の大気圧雰囲気の領域を流れる少なくとも一部の排ガスを流し、噴霧部により海水循環装置6を流れる海水の少なくとも一部が噴霧すればよい。
【実施例2】
【0050】
図4は、本発明の実施例2に係る発電システムの概略構成を表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0051】
実施例2の発電システム101は、煙道38が、溶解モジュール50を通過しない主管138と、溶解モジュール50を通過する分岐管139と、を有する。煙道38は、主管138に対して、分岐管139がバイパスしている。分岐管139には、溶解モジュール50が配置されている。分岐管139に流入した排ガスは、溶解モジュール50を通過した後、主管138を流れる排ガスと合流し、煙突42から外部に排出される。
【0052】
溶解装置120は、排ガスの流量を調整する流量調整弁192、194を有する。流量調整弁192は、主管138に配置されており、主管138を流れる排ガスの流量を調整する。流量調整弁194は、分岐管139に配置されており、分岐管139を流れる排ガスの流量を調整する。
【0053】
発電システム101は、排ガスの一部を溶解モジュール50に供給し、排ガス中の二酸化炭素を海水に溶解させる。発電システム101は、本実施例のように、排ガスの一部のみを溶解装置120の溶解モジュール50に供給してもよい。発電システム101は、流量調整弁192、194を設け、開度や開閉を調整することで、溶解モジュール50に供給する排ガスの流量を調整することができる。また、本実施例では、流量調整弁192、194を設けたがいずれか一方の流量調整弁のみでも、同様に排ガスの流量を調整することができる。
【0054】
本実施例の発電システム1、101は、燃料をボイラで燃焼させ、生成された燃焼ガスと熱交換して加熱された熱媒で蒸気タービン34を回転させて発電を行ったが、発電ユニットはこれに限定されない。発電ユニットは、燃料をガスタービンの燃焼器で燃焼させてもよい。また、発電ユニットは、ガスタービンと蒸気タービン、ガスタービンと燃料電池、または、ガスタービンと蒸気タービンと燃料電池等、発電する設備を複数組み合わせたコンバインドサイクルとしてもよい。また、発電システム1、101は、散気装置22を設けたが、散気装置22を設けなくてもよい。
【0055】
次に、発電システムの海水循環装置6で循環する海水量と、煙道38を流れる排ガスと、溶解モジュール50を通過させる海水量及び煙道ガス量と、の関係の一例を説明する。
【0056】
燃料としては、Cが79.6%、Hが1.5%、Oが1.3%、Sが0.4%、Nが0.4%、灰分が13.3%、水分が3.5%、理論空気量が7.5m/kg、理論燃料ガス量が7.6m/kg、CO最大値が20.2%、高位の発熱量が28970kJ/kg、低位の発熱量が28510kJ/kgの無煙炭(石炭)を用いた場合と、高位の発熱量が891000kJ/mol、低位の発熱量が800900kJ/mol、高位の発熱量が55560kJ/kg、低位の発熱量が50030kJ/kg、高位の発熱量が39730kJ/m、低位の発熱量が35840kJ/mのメタンを主成分とするLNGを用いた場合について、説明する。
【0057】
発電システム1の燃料を燃焼させた場合のエネルギーバランスを、復水器損失(熱交換器の損失、冷却損失)が46%、発電機出力が40%、排ガスが14%とした。貝類の付着防止の海水のpH値を6とし、対応する海水中の二酸化炭素(CO)濃度を50mg/L(=50g/t)とする。次に、海水の比熱は、1kcal/(kg℃)=4.19kJ/(kg℃)とする。また、熱交換器4の海水の入口と出口の温度差を5℃とする。
【0058】
発電システム1の出力を出力100万kWとすると、エネルギーは、
860kJ/kWh×100万kW=8.6×1011J/h=860GJとなる。
【0059】
次に、冷却に必要な海水量を計算する。上述したエネルギーバランスより、発電機出力:熱交換器の損失=40%:46%=860GJ/h:復水器損失熱量となる。したがって、復水器熱量は、860GJ/h×(46%/40%)=989GJ/hとなる。989GJを熱交換する海水流量は、比熱、入口と出口の温度差を考慮すると、989[GJ/h]/4.19[kJ/(kg℃)]/5[℃]/1000[kg/t]=47000[t/h]となる。つまり、出力が100万kWの発電システムに必要な海水流量は47000t/hとなる。
【0060】
次に、二酸化炭素の発生量を計算する。上述したエネルギーバランスより、発電機出力:燃料=40%:100%=860GJ/h:燃料熱量となる。したがって、燃料熱量は、860GJ/h×100%/40%=2150GJ/hとなる。ここで、燃料が石炭の場合、石炭の低位発熱量は28510kJ/kgとなるので、燃料の使用量は、2150[GJ/h]/28510[kJ/kg]/1000[kg/t]=75[t/h]となる。ここで、C+O→COとなるので、分子量を加味すると、C12に対し、44の二酸化炭素(CO)が生成される。ここで、本例の石炭の炭素含有率は、79.6%であるので、COの発生量は、75t/h×0.796×(44/12)=220t/hとなる。ここで、空気を酸素20%、窒素80%として、完全燃焼したとすると、窒素がCOの4倍になるのでCO濃度は20%となる。
【0061】
これに対して、燃料がLNGの場合、LNGの低位発熱量は47520kJ/kgとなるので、燃料の使用量は、2150[GJ/h]/47520[kJ/kg]/1000[kg/t]=45[t/h]となる。ここで、CH+2O→CO+2HOとなるので、分子量を加味すると、16のCHに対し、44の二酸化炭素(CO)が生成される。COの発生量は、45t/h×(44/16)=124t/hとなる。ここで、空気を酸素20%、窒素80%として、完全燃焼したとすると、窒素がCOの4倍になり、水蒸気がCOの2倍なるのでCO濃度は14%となる。
【0062】
次に、流量バランスについて計算する。上述したように、海水に溶解させる二酸化炭素濃度は、pH値が6相当の50g/tなので、海水流量を乗ずると海水に溶解させるCOの量(溶解CO量)が計算できる。具体的には、石炭の場合、2.4t/hとなり、LNGの場合1.3t/hとなる。
【0063】
ここで、溶解モジュール50は、排ガス中CO濃度とほぼ飽和になるまでCOを溶解できる。ここで、中空糸膜は、COを気泡を発生させずに海水に溶解させることができるため、COが100%の場合とみなすことができる。飽和溶解したCO濃度は1.49g/L(1490g/t)である。溶解モジュール50の出口でのCO濃度(溶解設備出口CO濃度)は、1490g/tに排ガス中CO濃度を乗ずると計算できる。したがって、石炭の場合、298g/tとなり、LNGの場合209g/tとなる。
【0064】
以上より、取水管を流れる海水に所定の濃度のCOを溶解させるために必要な溶解モジュールへの海水の供給流量(溶解設備海水流量)は、石炭の場合、0.00789t/hとなり、LNGの場合0.01127t/hとなる。
【0065】
次に、ガス蒸気タービンと蒸気タービンとの複合ユニットを発電ユニット30とした場合について検討する。つまり、発電システム1をガス蒸気タービン複合発電所とした場合について検討する。本例では、ガス蒸気タービン複合発電所の燃料を燃焼させた場合のエネルギーバランスを、復水器損失(熱交換器の損失、冷却損失)が31%、発電機出力が49%、排ガスが18%とした。なお、本例は、LNGを燃料とした場合について検討した。
【0066】
ガス蒸気タービン複合発電所の冷却に必要な海水量を計算する。上述したエネルギーバランスより、発電機出力:熱交換器の損失=31%:39%=860GJ/h:復水器損失熱量となる。したがって、復水器熱量は、860GJ/h×(41%/49%)=544GJ/hとなる。544GJを熱交換する海水流量は、比熱、入口と出口の温度差を考慮すると、544[GJ/h]/4.19[kJ/(kg℃)]/5[℃]/1000[kg/t]=26000[t/h]となる。つまり、出力が100万kWの発電システムに必要な海水流量は26000t/hとなる。また、二酸化炭素発生量は、120[t/h]×49[%]/40[%]=98[t/h]となる。
【0067】
以上より、取水管を流れる海水に所定の濃度のCOを溶解させるために必要な溶解モジュールへの海水の供給流量(溶解設備海水流量)は、0.0623t/hとなる。
【0068】
【表1】
【0069】
表1に示すように、本実施例の発電システムは、いずれの発電方式の場合も、取水管を流れる海水のうち一部を溶解モジュール50に供給することで、海水に必要な量の二酸化炭素を溶解できることがわかる。
【符号の説明】
【0070】
1、101 発電システム
2 蒸気タービン建屋
4 熱交換器
6 海水循環装置
8 取水路
13 取水管
14 ポンプ
17 放水管
20 溶解装置
22 散気装置
30 発電ユニット
32 ボイラ
34 蒸気タービン
36 熱媒循環ライン
38 煙道
40 排ガス処理装置
42 煙突
50 溶解モジュール
52 供給管
54 排出管
56 第1pH計
58 第2pH計
60 第1流量調整弁
62 第2流量調整弁
66、67 流量計
70 制御部
80 ブロワ
81 流量調整弁
82 散気部
83 pH計
84 調節器
90 吸収塔
92 噴霧部
図1
図2
図3
図4