(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
トルク入力側及びトルク出力側のうち一方に取り付けられるスリーブと、その外周にゴム状弾性材料で一体に設けられて互いに軸方向へ分離した第一弾性突起及び第二弾性突起とを備え、前記第一弾性突起及び前記第二弾性突起のトルク伝達リブとの対向面が、前記第一弾性突起側で相対的にこれらの第一弾性突起及び第二弾性突起の円周方向肉厚が大きくなるように傾斜しており、前記第一弾性突起及び前記第二弾性突起は、前記トルク入力側及びトルク出力側のうち他方に設けられたトルク伝達リブと円周方向へ接触可能であって、トルク増大過程で前記第一弾性突起が前記第二弾性突起に先行して前記トルク伝達リブと接触されることを特徴とする推進軸用ダンパ。
【背景技術】
【0002】
例えば小型船舶の船尾部に取り付けられる船外機において、プロペラボスとプロペラ軸の間には、プロペラダンパと呼ばれるブッシュ状のダンパが介装されている。
【0003】
図9に示すように、この種のプロペラダンパ100は、不図示のプロペラ軸にスプライン111により結合されるスリーブ110と、その外周に一体成形されプロペラボスのトルク伝達部材に掛合されるゴム状弾性材料(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料)からなる弾性体120とで構成され、この弾性体120には、軸方向へ延びると共に円周方向肉厚が軸方向一端121aで相対的に大きく他端121bで小さくなる多数の弾性リブ121が円周方向所定間隔で形成されている。
【0004】
そしてこのプロペラダンパ100は、各弾性リブ121が、
図10に示すように、プロペラボス側に弾性リブ121と対応する円周方向間隔で設けられたトルク伝達リブ200と接触することによりプロペラ軸からの駆動力をプロペラへ伝達すると共に、弾性リブ121の弾性的な変形によってショック入力などのトルク変動を吸収するようになっている。なお、この種のプロペラダンパの典型的な従来技術としては、下記の特許文献のようなものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種のプロペラダンパ100では、トルク伝達機能だけでなく、ギアチェンジ時などの衝撃音などのショック低減機能が求められる。そしていずれの機能もフィーリングによるところが大きく、トルクが所定未満ではばね定数を低くすることで衝撃を低減し、トルクが所定以上ではばね定数が高くなるようにすることでトルク伝達力を確保するというように、ばね定数を二段特性にすることが有効である。
【0007】
しかしながら従来構造によれば、
図10に示すように、弾性リブ121が円周方向肉厚の大きい軸方向一端121a側でのみトルク伝達リブ200と接触した初期トルク入力状態から、トルク増大に伴って圧接領域が軸方向他端121b側へ拡大して行くので、
図11に示すように、トルクに対する弾性リブ121とトルク伝達リブ200との円周方向相対変位量(弾性リブ121の変形量)は線形的に変化することになり、すなわちばね定数kがほぼ一定であるため、弾性リブ121の形状やゴム状弾性材料の硬度の調整などで二段特性を実現することは困難であった。
【0008】
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、トルクが所定未満ではばね定数を低くすることでショックを緩和し、トルクが所定以上ではばね定数が高くなるようにすることでトルク伝達力を確保するといった、二段特性を実現したプロペラダンパなどの推進軸用ダンパを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る推進軸用ダンパは、トルク入力側及びトルク出力側のうち一方に取り付けられるスリーブと、その外周にゴム状弾性材料で一体に設けられて互いに軸方向へ分離した第一弾性突起及び第二弾性突起
とを備え、
前記第一弾性突起及び前記第二弾性突起のトルク伝達リブとの対向面が、前記第一弾性突起側で相対的にこれらの第一弾性突起及び第二弾性突起の円周方向肉厚が大きくなるように傾斜しており、前記第一弾性突起及び
前記第二弾性突起は、前記トルク入力側及びトルク出力側のうち他方に設けられたトルク伝達リブと円周方向へ接触可能であって、トルク増大過程で前記第一弾性突起が前記第二弾性突起に先行して前記トルク伝達リブと接触されるものである。なお、ゴム状弾性材料とは、ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料のことである。
【0010】
上記構成を備える推進軸用ダンパは、トルク入力側とトルク出力側の間に介在してトルクを伝達するものである。そして通常回転では、第一弾性突起のみがトルク伝達リブと接触することによって円周方向ばね定数が低く抑えられているので、ギアチェンジ時などによるショックを有効に吸収することができる。また、トルク入力側とトルク出力側の間での伝達トルクが所定以上に増大すると、第一弾性突起の変形量の増大によって第二弾性突起も前記トルク伝達リブと接触し、すなわち第一弾性突起及び第二弾性突起の双方によってトルク伝達を行うので、円周方向ばね定数が高くなり、トルク伝達力が増大する。
【0012】
上記構成によれば、伝達トルクの増大によってトルク伝達リブに対する第一弾性突起又は第二弾性突起の接触領域が、相対的に第一弾性突起又は第二弾性突起の円周方向肉厚が小さくなる側へ拡大して行くので、ばね定数の非線形的上昇が抑えられる。
【0013】
請求項
2の発明に係る推進軸用ダンパは、請求項
1に記載の構成において、第一弾性突起及び第二弾性突起のトルク伝達リブとの対向面の径方向立ち上がり角度が、第二弾性突起側で相対的に緩やかになるものである。
【0014】
上記構成によれば、伝達トルクの増大によってトルク伝達リブに対する第一弾性突起又は第二弾性突起の接触領域が、相対的に第一弾性突起又は第二弾性突起のトルク伝達リブとの対向面の径方向立ち上がり角度が緩やかになる側へ拡大して行くので、ばね定数の非線形的上昇が抑えられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る推進軸用ダンパによれば、トルク入力側とトルク出力側の間での伝達トルクが小さい通常回転では、第一弾性突起のみがトルク伝達リブと接触することによって円周方向ばね定数が低く抑えられているので、ショック入力を有効に吸収することができ、伝達トルクが所定以上に増大した場合は、第一弾性突起及び第二弾性突起の双方がトルク伝達リブと接触することによって円周方向ばね定数が高くなってトルク伝達力が増大するといった、二段特性を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る推進軸用ダンパの好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。まず
図1及び
図2は、第一の実施の形態を示すものである。
【0018】
すなわち第一の実施の形態は、本発明に係る推進軸用ダンパを、例えば小型船舶を推進させる船外機のプロペラ軸とプロペラボスのトルク伝達スリーブとの間に介装されるプロペラダンパ1として適用したものであって、このプロペラダンパ1は、スリーブ10と、その外周に一体に設けられた弾性体20からなる。なお、この実施の形態において、プロペラ軸
はトルク入力側に相当し、プロペラボス
はトルク出力側に相当するものである。
【0019】
スリーブ10は金属等からなる円筒状のものであって、その内周面にはスプライン11が形成されており、このスプライン11において、不図示のプロペラ軸の外周面に形成されたスプラインに嵌合された状態に装着されるものである。
【0020】
弾性体20は、スリーブ10における軸方向中間部の外周に、ゴム状弾性材料で加硫成形と共に一体に加硫接着されたものであって、軸方向中央部を円周方向へ延びる環状溝23によって互いに軸方向へ分離した第一弾性突起21及び第二弾性突起22と、この第一弾性突起21及び第二弾性突起22の内径部から軸方向両側へ延在されてスリーブ10の外周面を覆うように加硫接着された筒状膜部24とを備える。
【0021】
詳しくは、第一弾性突起21は円周方向等間隔で設けられており、円周方向へ隣接する第一弾性突起21,21の間は、それぞれ軸方向へ延びる第一係合溝25となっている。また、第二弾性突起22は円周方向等間隔でかつ第一弾性突起21と対応する円周方向位置に設けられており、円周方向へ隣接する第二弾性突起22,22の間は、それぞれ軸方向へ延びる第二係合溝26となっている。また、第一弾性突起21と第二弾性突起22の間の環状溝23は、第一弾性突起21,21の間の第一係合溝25及び第二弾性突起22,22の間の第二係合溝26よりも深く形成されている。
【0022】
図2に示すように、第一弾性突起21の円周方向両側の側面(第一係合溝25の内側面と言い換えることもできる)21aは、第二弾性突起22側へ向けて第一弾性突起21の円周方向肉厚t1が減少するように、すなわち第一係合溝25の溝幅が第二係合溝26側へ向けて広くなるように、軸方向に対して傾斜しており、第二弾性突起22の円周方向両側の側面(第二係合溝26の内側面と言い換えることもできる)22aも同様に、第一弾性突起21と反対側へ向けて第二弾性突起22の円周方向肉厚t2が減少するように、すなわち第二係合溝26の溝幅が第一係合溝25と反対側へ向けて広くなるように、軸方向に対して傾斜している。また、側面21a,22aは、その延長面が互いに同一となるように形成されている。
【0023】
図1に示すように、第一弾性突起21の径方向高さは、第二弾性突起22の径方向高さよりも僅かに高く、第一弾性突起21の外周面と第二弾性突起22の外周面は、その延長面が互いに同一の円錐面となるように形成されている。
【0024】
図2に示すように、互いに軸方向に隣り合う第一係合溝25と第二係合溝26には、その双方に跨って、プロペラボスのトルク伝達スリーブに設けられたトルク伝達リブ2が遊嵌されるようになっており、すなわち第一弾性突起21の側面21a及び第二弾性突起22の側面22aは、このトルク伝達リブ2と円周方向へ接触可能となっている。なお、側面21a,22aは
、トルク伝達リブとの対向面に相当するものである。
【0025】
トルク伝達リブ2は、軸方向に延びると共にその円周方向幅が全長にわたって同等に形成されており、かつ弾性体20の第一係合溝25及び第二係合溝26と対応する円周方向間隔で形成されている。したがって、トルク変動によってプロペラ軸とプロペラボスが円周方向相対変位する過程で、円周方向肉厚の大きい第一弾性突起21の側面21aが第二弾性突起22に先行してトルク伝達リブ2と接触し、かつ第一弾性突起21の側面21aは、円周方向肉厚t1が大きい端部21b寄りの部分がその反対側の端部21c寄りの部分に先行してトルク伝達リブ2と接触し、トルクが所定値以上に増大した場合は、第二弾性突起22の側面22aも、円周方向肉厚t2が大きい端部22b寄りの部分がその反対側の端部22c寄りの部分に先行してトルク伝達リブ2と接触するようになっている。
【0026】
以上のように構成されたプロペラダンパ1は、スリーブ10が、その内周面に形成されたスプライン11において、船外機のプロペラ軸のスプラインと嵌合した状態に装着されると共に、弾性体20がプロペラボス側のスリーブの内周面に挿入されることによって、プロペラ軸とプロペラボスを弾性的に結合するものである。
【0027】
このため、船外機のエンジンを駆動させると、プロペラ軸の駆動トルクは、プロペラダンパ1を介してプロペラボスへ伝達される。その際に、ニュートラルから前進(又は後進)にシフトチェンジした時の衝撃(シフトショック)や、プロペラボスの外周の回転翼からの振動は、弾性体20によって有効に吸収される。
【0028】
詳しくは、通常回転時には、弾性体20における第一弾性突起21の一方の側面21aは、円周方向肉厚t1が大きい端部21b寄りの部分が先行してトルク伝達リブ2と接触しており、第一弾性突起21の側面21aが軸方向に対して(トルク伝達リブ2に対して)傾斜していることによって、トルクの増大に伴い、トルク伝達リブ2に対する第一弾性突起21の側面21aの接触領域が、相対的に円周方向肉厚t1が小さくなる側へ拡大して行く。このため、トルクの増大に伴って変形を受ける部分の体積増大が抑制され、
図3に示すように、ばね定数k1の非線形的上昇が抑えられ、低ばね状態に保持される。
【0029】
しかも、弾性体20の軸方向長さや径方向肉厚、第一弾性突起21及び第二弾性突起22の側面21a,22aの傾斜角度などが、例えば従来技術として先に説明した
図9のプロペラダンパ100の弾性体120の軸方向長さや径方向肉厚、弾性突起121の側面の傾斜角度などと同様である場合、第一弾性突起21の軸方向長さは
図9の弾性突起121よりも短いため、第一弾性突起21によるばね定数k1は、
図9の弾性突起121によるばね定数kよりも低くなる。したがって緩衝性が向上し、ギアチェンジ時などのシフトショックやそれによる衝撃音を有効に緩和することができる。
【0030】
また、トルクの増大によって第一弾性突起21の側面21aの軸方向全域がトルク伝達リブ2と接触した後も、さらにトルクが増大した場合は、このトルクが所定以上になった時点で第二弾性突起22の側面22aもトルク伝達リブ2と接触し、第一弾性突起21及び第二弾性突起22の双方によってトルク伝達を行うので、
図3に示すように、ばね定数k2が高くなり、トルク伝達力が増大する。また、第二弾性突起22の側面22aも軸方向に対して(トルク伝達リブ2に対して)傾斜しているため、まず円周方向肉厚t2が大きい端部22b寄りの部分が先行してトルク伝達リブ2と接触し、トルクの増大に伴って接触領域が、相対的に円周方向肉厚t2が小さくなる側へ拡大して行くので、ばね定数k2を線形的に急激に立ち上げることができる。
【0031】
したがってこのプロペラダンパ1によれば、トルクが小さい通常回転では、第一弾性突起21のみがトルク伝達リブ2と接触することによってばね定数k1が低いものとなっているので、シフトショック等を有効に緩和することができ、トルクが所定以上に増大した場合は、第一弾性突起21及び第二弾性突起22の双方がトルク伝達リブ2と接触することによって高ばね定数k2へ遷移するので、十分なトルク伝達力が確保されるといった、二段特性を実現することができる。
【0032】
次に
図4は、本発明に係る推進軸用ダンパを船外機のプロペラダンパ1として適用した第二の実施の形態を示すものである。
【0033】
この第二の実施の形態において、先に説明した第一の実施の形態と異なるところは、環状溝23が弾性体20の軸方向中央部よりも第二弾性突起22側に偏在しており、すなわち第一弾性突起21のほうが第二弾性突起22より長いものとした点にある。
【0034】
上記構成によれば、弾性体20の軸方向長さや径方向肉厚、第一弾性突起21及び第二弾性突起22の側面21a,22aの傾斜角度など、環状溝23の軸方向位置以外は第一の実施の形態と同様の仕様である場合、
図5に示すように、第一弾性突起21によるばね定数k1’から、第一弾性突起21及び第二弾性突起22の双方の接触によるばね定数k2’への遷移点P’が、第一の実施の形態におけるばね定数k1からk2への遷移点Pよりも高いトルク値へ移動することになる。
【0035】
また、第一弾性突起21の軸方向長さが第一の実施の形態よりも長くなるため、ばね定数k1’は、第一の実施の形態におけるばね定数k1より高くなるのに対し、その一方で第二弾性突起22の軸方向長さは第一の実施の形態よりも短くなるため、ばね定数k2’によるトルク伝達力の上昇幅は、第一の実施の形態におけるばね定数k2より小さくすることができる。
【0036】
すなわち本発明によれば、弾性体20における環状溝23による第一弾性突起21と第二弾性突起22の互いの分離位置を変更することで、ばね特性を要求に応じて適切にチューニングすることができる。
【0037】
次に
図6及び
図7は、本発明に係る推進軸用ダンパを船外機のプロペラダンパ1として適用した第三の実施の形態を示すものである。
【0038】
この第三の実施の形態によるプロペラダンパ1において、先に説明した第一の実施の形態と異なるところは、弾性体20における第一弾性突起21の円周方向両側の側面(第一係合溝25の内側面と言い換えることもできる)21a、及び第二弾性突起22の円周方向両側面22aの円周方向両側の側面(第一係合溝26の内側面と言い換えることもできる)22aの形状にある。
【0039】
詳しくは、軸方向に対する第一弾性突起21及び第二弾性突起22の側面21a,22aの傾斜角度は、第一の実施の形態における第一弾性突起21及び第二弾性突起22の側面21a,22aの傾斜角度よりも大きく、第一係合溝25と第二係合溝26の溝底からの前記側面21a,22aの立ち上がり角度は、第一弾性突起21の端部21bから第二弾性突起22の端部22cへ向けて漸次緩やかになるように形成されている。なお、この形態でも、第一弾性突起21の円周方向両側の側面21aと、第二弾性突起22の円周方向両側の側面22aは、その延長面が互いに同一となるように形成されている。
【0040】
上記構成によれば、第一の実施の形態と同様、弾性体20における第一弾性突起21の一方の側面21aのうち、円周方向肉厚t1が大きい端部21b近傍がトルク伝達リブ2と接触している通常回転状態において、トルクの増大に伴い、トルク伝達リブ2に対する第一弾性突起21の側面21aの接触領域は、相対的に円周方向肉厚t1が小さくなる側へ拡大して行く。このため、トルクの増大に伴って変形を受ける部分の体積増大が抑制されるので、
図8に示すように、第一弾性突起21によるばね定数k1”の非線形的上昇が抑えられ、低ばね状態に保持される。
【0041】
しかも、第一弾性突起21の側面21aの傾斜角度が大きく、かつ第一係合溝25の溝底からの前記側面21aの立ち上がり角度が、第二弾性突起22側へ向けて漸次緩やかになるため、トルクの増大に伴って変形を受ける部分の体積増大が抑制され、したがって、
図8に示すように、第一弾性突起21による円周方向ばね定数k1”は、第一の実施の形態の第一弾性突起21による円周方向ばね定数k1よりも、さらなる低ばね状態に保持される。このため、ギアチェンジ時などのシフトショックやそれによる衝撃音を一層緩和することができる。
【0042】
また、トルクの増大によって第一弾性突起21の側面21aの軸方向全域がトルク伝達リブ2と圧接した後も、さらにトルクが増大した場合は、このトルクが所定以上になった時点で第二弾性突起22の側面22aもトルク伝達リブ2と接触する。このため、第一弾性突起21及び第二弾性突起22の双方によってトルク伝達を行うので、
図8にk2”で示すように、円周方向ばね定数が高くなり、トルク伝達力が増大する。
【0043】
そしてこの場合も、第二弾性突起22の側面22aの傾斜角度が大きく、しかも第二係合溝26の溝底からの前記側面22aの立ち上がり角度が漸次緩やかになるため、まず円周方向肉厚t2が大きい端部22b近傍から、相対的に円周方向肉厚t2が小さくなる側へ接触領域が拡大していく過程で、トルク伝達リブ2によって変形を受ける部分の体積増大が抑制される。したがって、
図8に示すように、第二弾性突起22による円周方向ばね定数k2”の立ち上がりは、第一の実施の形態の円周方向ばね定数k2に比較して緩やかなものとすることができる。
【0044】
すなわち本発明によれば、弾性体20における第一弾性突起21及び第二弾性突起22の側面21a,22aの軸方向に対する傾斜角度や立ち上がり角度を変更することで、ばね特性を要求に応じて適切にチューニングすることができる。
【0045】
なお、上述した各実施の形態は、トルクが内周のプロペラ軸からスリーブ10へ入力され、弾性体20を介してトルク伝達リブ2へ伝達されるものとして説明したが、その逆の場合、すなわちトルクがトルク伝達リブ2から弾性体20へ入力され、スリーブ10からその内周の軸へ伝達される場合であっても、本発明は同様に実施することができる。また本発明は、小型船舶用プロペラダンパ以外の推進軸用ダンパについても適用することができる。
【0046】
また、図示の例では、スリーブ10の内周面には相手軸との回り止め手段としてスプライン11が形成されているが、キー溝とキーによるものなど、他の回り止め手段も適用可能である。
【0047】
また、第一弾性突起21と第二弾性突起22の外周面は、その延長面が互いに同一の円筒面となるように形成されたものであっても良い。