(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態に係る、高い表面積のシリカテンプレートナノ粒子(
図1a)の、および、カーボンで被覆された高い表面積のシリカテンプレートナノ粒子(
図1b)の透過型電子顕微鏡のイメージを示す。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態に係る、高い表面積の中空状カーボン球状体(
図2a)の透過型電子顕微鏡のイメージ、および、硫黄注入された高い表面積の中空状カーボン球状体(
図2b)の透過型電子顕微鏡のイメージ、並びに、カウントと、硫黄注入された高い表面積の中空状カーボン球状体のエネルギー分散型X線(EDX)分析によるエネルギーとを示したグラフである(
図2c)。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態に係る高表面積中空状カーボン球状体の窒素吸着等温線(
図3a)と、ポアサイズの分布グラフとを示している。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態に係る高表面積中空状カーボン球状体に硫黄を気相注入するために使用される特注生産され区分されたガラスのイメージを示している。
【
図5】
図5は、第1の実施の形態に係るイオン注入高表面積中空状カーボン球状体についての熱重量測定分析(TGA)のグラフを示している。
【
図6】
図6は、第1の実施の形態に係る、硫黄注入前および後の高表面積中空状カーボン球状体のx線回折(XRD)分析を示している。
【
図7】
図7は、第1の実施の形態に係る、高表面積中空状カーボン球状体のグラファイト含有量を概算するためのX線回折グラファイト較正曲線を示す。
【
図8】
図8は、第1の実施の形態に係る、高表面積中空状カーボン球状体のラマンスペクトルを示す。
【
図9】
図9は、第1の実施の形態に係る、高表面積中空状カーボン球状体のグラファイト含有量を概算するためのラマングラファイト較正曲線を示す。
【
図10】
図10は、第1の実施の形態に係る高表面積中空状カーボン球状体を組み込んで製造された電極についての、
サイクリックボルタモグラム(
図10a)および電圧とキャパシティーとのグラフ(
図10b)を示す。
【
図11】
図11は、初期の硫黄セルについての電圧とキャパシティー(
図11a)、および、第1の実施の形態に係る記載内で比較するための、硫黄の質量に基づくキャパシティーとサイクル回数(
図11b)、および、硫黄/カーボンの質量に基づくキャパシティーとサイクル回数(
図11c)を示す。
【
図12】
図12は、第1の実施の形態に係る硫黄注入高表面積中空状カーボン球状体を含むカソードについてのチャージレートを変更した場合の、リチウムイオンバッテリーセルについての電圧とキャパシティーとの関係を示す。
【
図13】
図13は、第1の実施の形態に係る硫黄注入高表面積中空状カーボン球状体を組み込んだ電極を使用して製造された電気化学セルについてのキャパシティーとサイクルライフをもたらすサイクル回数との関係を示すグラフ(
図13a)、およびレートキャパシティーとサイクル回数との関係を示すグラフ(
図13b)である。
【
図14】
図14は、第1の実施の形態に係る硫黄注入高表面積中空状カーボン球状体の応用を示す複数のグラフおよびイメージを示し、リチウムイオンバッテリーに組み込まれる可能性のある付加的な硫黄注入カーボンナノ粒子電極を提供する。
【
図15】
図15は、第2の実施の形態に係る、複数の硫黄隔離ナノ粒子材料を合成するための一般的な合成スキームを示した略図を示す。
【
図16】
図16は、第2の実施の形態に係る、硫黄隔離ナノ粒子材料を作製するための滴定データを示す。
【
図17】
図17は、第2の実施の形態に係る、硫黄隔離ナノ粒子材料の走査型電子顕微鏡(SEM)イメージを示している。
【
図18】
図18は、第2の実施の形態に係る硫黄隔離ナノ粒子材料の熱重量分析(TGA)スペクトルを示している。
【
図19】
図19は、第2の実施の形態に係る硫黄隔離ナノ粒子材料についての係数と負荷との関係を示すダイアグラムである。
【
図20】
図20は、第2の実施の形態に係る硫黄隔離ナノ粒子材料についての示差走査熱量測定(DSC)スペクトルを示す。
【
図21】
図21は、第2の実施の形態に係る硫黄隔離ナノ粒子材料を組み込んだリチウムイオンバッテリーについてのキャパシティーとサイクル回数との関係を説明したサイクリック性能グラフを示している。
【
図22】
図22は、第1の実施の形態の拡張例に係る硫黄注入高表面積ナノ粒子材料が作製されるバルクのポーラスカーボンひな形(
図22a)および硫黄注入高表面積バルクポーラスカーボンひな形(
図22b)を示す。
【
図23】
図23は、
図14aに係る硫黄注入高表面積ナノ粒子材料の透過型電子顕微鏡(TEM)イメージを示しており、寸法スケールが含まれている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施の形態は、リチウムイオンバッテリーのカソード内において使用されうる複数の硫黄含有ナノポーラス材料およびナノ粒子、リチウムイオンバッテリーのカソード内において使用されうる複数の硫黄含有ナノポーラス材料およびナノ粒子を製造するために使用されうる方法を提供する。当該硫黄含有ナノ粒子を使用するカソードおよびリチウムイオンバッテリーは、また、当該実施の形態に含まれる。
【0018】
一つの特定の実施の形態によれば、当該硫黄含有ナノポーラス材料およびナノ粒子は、硫黄材料注入カーボン材料ひな形ナノ粒子(以下に限定される訳ではないが、球状若しくは他の形状の中空カプセルひな形、若しくはこれとは別の非中空状ひな形)を含む。当該硫黄材料(すなわち、典型的には元素硫黄)は、カーボン材料ひな形に注入され、少なくとも約450℃の温度、少なくとも約2気圧の比較的高圧で、硫黄注入カーボンナノポーラス材料ひな形若しくはナノ粒子が提供される。
【0019】
他の特定の実施の形態によれば、当該硫黄含有ナノ粒子は、金属酸化物のコアを有する。当該コアに、加硫処理されたポリマルチエンポリマー材料(すなわち、典型的には、以下に限定される訳ではないが、ポリブタジエンポリマー材料)およびイオン伝導性ポリマー材料(すなわち、典型的には、以下に限定される訳ではないがが、ポリエチレングリコールポリマー材料)を含むシェルが組み合わされている。当該他の特定の硫黄含有ナノ粒子は、典型的には、(1)約2質量%〜約20質量%の金属酸化物材料、(2)約10質量%〜約40質量%のポリマルチエンポリマー材料、(3)約2質量%〜約5質量%のイオン伝導性ポリマー材料、および(4)約2質量%〜約80質量%の硫黄材料を含む。
【0020】
上述の2つの特定の実施の形態のそれぞれを以下より詳細に記載する。
【0021】
I.硫黄材料注入中空状カーボン材料ひな形ナノ粒子を含む硫黄含有ナノ粒子
当該特定の第1の実施の形態は、それらの内部およびポーラスシェルの内側に硫黄材料(特に元素の硫黄材料)を包み隔離するメソポーラス中空状カーボン材料ひな形(以下に限定される訳ではないが球状等のカプセル)を合成するための簡便かつ拡張可能な方法を含む。内側のスペース、メソポーラスシェル構造、当該シェルの化学構造、当該カーボン材料ひな形に硫黄を注入するために使用される方法は、4つの特定の目的を考慮の上設計されている。当該4つの特定の目的は、Li−S二次バッテリーにおいて、硫黄材料により注入された中空状カーボン材料ひな形がカソード材料に組み込まれる条件下、(i)カーボン材料のカプセルにより隔離された硫黄材料の量を最大とすること、(ii)電解質において、リチウムポリ硫化物溶解およびシャトリングを最小とすること、(iii)良好な電解質陥入を確実なものとすることにより、隔離された硫黄に対するリチウムイオンの速い輸送を維持すること、(iv)伝導性が悪い硫黄から電子を良好に輸送することを容易にすることを含む。以下、より詳細に議論されているように、調製されたS@Cカーボン−硫黄ナノ複合材料ひな形は、100サイクル、850mA/g(0.5C)の拡張されたサイクルにおいて電気化学的挙動を促進することを示すことが分かった。これは、中空状カーボン材料ひな形を設計する際所望の目的と一致する。S@C複合材料の電気化学的安定性は、拡張されたスキャンサイクリックボルタメトリー測定を用いて確かめられた。
【0022】
S@C複合材料の合成の第1ステップにおいて、カーボン球状体は、低価格カーボン前駆材料(具体的には、ピッチマテリアル、しかしながら以下にさらに議論されているように、他のカーボン前駆材料は排除される訳ではない)の熱分解により、製造した。当該低価格カーボン前駆材料は、ポーラス金属酸化物テンプレートナノ粒子のポアにおよび当該ポア内において均一に析出する(具体的には、第1の実施の形態に係るシリカテンプレートナノ粒子のTEMイメージに係る
図1aおよび第1の実施の形態のカーボン被覆シリカテンプレートナノ粒子のTEMイメージに係る
図1b参照)。その後の、シリカテンプレートのナノ粒子サポートの溶解により、良好に規定された中空状カーボンひな形が生成された。これは、
図2aのTEMイメージにより説明されている。金属酸化物のテンプレートナノ粒子のサイズおよび気孔率を調整することにより、648m
2g
−1という高い比表面積(具体的には、
図3a参照;一般的には、約100〜約1500m
2g
−1の特定の表面積範囲に含まれる)、1nmという平均ポア直径(具体的には、
図3b参照;一般的には、約0.5〜約20nmのポア直径範囲に含まれる)、大きな内部ボイドスペース(具体的には、
図2a参照)を有する中空状のカーボン球状体を容易に製造することができた。当該合成の最終ステップにおいて、比較的低い硫黄の昇華温度を利用して、
図4に説明されているように、閉じられた、2つの区分に分離されたチューブの一つの区分に存在するメソポーラス中空状カーボン球状ひな形担持体に、高い圧力で気体状の硫黄を注入した。当該方法は、速く、効率的で、そして制御された、高圧(すなわち、少なくとも約2気圧、より好ましくは少なくとも約5気圧、さらに好ましくは少なくとも約8気圧であるが、より具体的には、約2、5、若しくは8気圧〜約20気圧)での元素硫黄のホストポーラスカーボンひな形への注入を容易にし、少なくとも約0.82gcm
−3という高いタップ密度を有するカーボン−硫黄粒子が生成された。この特定の方法は、また、不活性ガス(すなわち、以下に限定される訳ではないが、例えばヘリウム、ネオン、若しくはアルゴン等)の使用が予定されている。不活性ガスは、硫黄の注入と同時に、上述した高い圧力を提供することを助力するため、元素硫黄とともに加熱される。
図5において例示されているように、熱質量測定分析により、およそ35%の硫黄がシングルパスにおいて当該粒子に組み込まれうることが示され、3つのパス(気体状の硫黄を中空状のカーボンひな形にさらすことを繰り返すこと)により、ポーラス状の中空カーボンひな形の質量の70%近くが、注入された硫黄から構成される。
【0023】
図2aおよび
図2bは、硫黄材料注入前および後の典型的な中空状カーボン材料ひな形球状体の透過型電子顕微鏡(TEM)イメージを示している。高い表面積を有し比較的大きなメソポーラスサイズの中空状カーボン材料球状体は魅力的である。これは、Li−S酸化還元反応により発生した電解質およびLiイオンが、中空状の炭素材料球状体を透過できると考えられているからである。中空状のカーボン材料球状体(具体的には、
図2bにおける、底部が最も中空状であるカーボン材料球状体参照)の壁部において亀裂が発生する一方、硫黄注入のために使用されるパイレックスチューブ内に発生した圧力は、上述したように、所望の電気化学的特性を提供する方法で中空状のカーボン材料球状体ホストに硫黄を完全に組み込むことを容易にするために必要不可欠である。エネルギー分散型X線(EDX)ミクロ分析により分析されたS@Cナノ複合材料の元素成分が
図2(c)に示されている。メソポーラスS@C材料内の異なる位置から収集されたEDXスペクトルは、また、ポーラス中空状カーボン材料球状体に亘って硫黄材料が存在することを示している。
【0024】
元素硫黄は、概して、非常に安定な斜方晶系結晶構造として存在する。
図6のx線回折スペクトルにおいて結晶性硫黄に特徴的なピークが存在することは、第1の実施の形態に係るS@Cナノ複合材料において硫黄結晶化の程度が非常に低いことを示している。このことは、昇華され注入された硫黄がアモルファスであること、若しくは、メソポーラス中空状カーボン球状体の最も微細なポアに捕捉された硫黄粒子が結晶化できないことを示している。しかしながら、XRDは、カーボン材料がいくらかの結晶オーダーを有することを示しており、本明細書において考慮された材料についてグラファイトのような特性を示している。相対ピーク領域は、グラファイト面の黒鉛化度若しくは配向度を概算するために分析してもよい。
図7に説明されているように、当該分析は、当該材料の38%より多くがグライファイトカーボンであることを示している。1350cm
−1および〜1580cm
−1それぞれにおけるD-ラマン散乱ピークおよびG-ラマン散乱ピークの相対的強度は、カーボンを特定する方法、その炭素量を評価する既知の代替方法を提供する。カーボン球状体においてD-ラマンバンドおよびG-ラマンバンドの両方が存在することは、
図8に示されたラマンスペクトルにおいて制限される。グラファイト含有量は、およそ16%と概算され、2つの概算値間の差異は、
図9のラマン較正のより高い不安定性に起因する。グラファイトカーボンの電気伝導率が、アモルファスのカーボンより実質的により高いため、それらが伝導性が悪い注入硫黄から電子を輸送することを容易にできれば、部分的に炭素化されたカーボンひな形ナノ粒子は魅力的であり、このため、より高いディスチャージレートでS@Cナノ複合材料中空状体の電気化学的安定性を助力する。
【0025】
S@Cナノ複合材料を組み込んだ電極の
サイクリックボルタモグラム(CV)が
図10aに示されている。一対のシャープな酸化還元ピークが存在することは、チャージ/ディスチャージ中、2つのステージにおいて硫黄の電気化学的還元と酸化とが起こることを示している。2.4Vにおける第1のピーク(IIで示されている)は、元素硫黄のリチウムポリ硫化物(Li
2S
n、4≦n≦8)に対する還元を含む。2.0Vにおける第2のピーク(IIIで示されている)は、リチウムポリ硫化物中の硫黄の、Li
2S
2、最終的にLi
2Sに対する還元を含む。Li−Sセルにおける酸化プロセスは、また、2つのステージにおいて起こる。2.35Vにおける酸化ピーク(II'で示されている)は、Li
2S
n(n>2)の形成と関連する。当該プロセスは、リチウムポリ硫化物が完全に消費されるまで続けられ、2.45Vにおいて元素硫黄が生成される(III'で示される)。重要なことは、CVピークポジション若しくはピーク電流(
図10aに示されている)において変化がないことが60スキャン後でさえも観察されることである。このことは、S@Cナノ複合材料の電気化学的安定性を
裏付けるものであり、ポーラスカーボン構造が、電解質への硫黄の質量損失を抑制し、酸化還元反応において、活性な硫黄の高い利用性を維持する際極めて効果的であることを示している。
【0026】
図10bは、当該S@Cナノ複合材料を組み込んだ電極についての、典型的なディスチャージ/チャージ電圧プロファイルを示している。II, IV,II', IV'とマークされたディスチャージ/チャージ電圧プラトーがII, IV,II', IV'とマークされたCVスキャンにおいて観察された酸化還元ピークと確かに共通性がある。対応するチャージプラトーおよび反応は当該明細書において確認されているけれども、CV実験において観測された2.45Vにおける酸化ピークは、以前では報告されていない;すなわち、ここで、その存在は、S@Cナノ複合材料において起こる電気化学的反応の可逆性を上手く補強する。
図10bにおいて示されているように、調製されたS@Cナノ複合材料は、1071mAhg
−1の最初の比ディスチャージキャパシティーを示し、100サイクル後の91%キャパシティー保持率で974mAhg
−1(0.5Cのレート)という可逆的キャパシティーを維持する。完全を期すため、
図11cは、S@C複合材料の制限された質量に基づく、対応する比キャパシティーを報告している。
図11cから、それぞれの測定により、意図されたバッテリーアプリケーションの観点から比キャパシティー値が魅力的であることが明らかである。さらに、100回のサイクル後、電圧プラトーにおいて変化が見られない。これは、セルの延長サイクルの間、実質的に変化しないことを示している。これは、また、バッテリーアプリケーションにとって望ましい。
【0027】
図12は、非常に高い電流レートにおいて、ディスチャージプラトーおよびチャージプラトーが同じパターンを示す材料に関して電圧プロファイルを報告する。S@Cナノ複合材料の速度能力およびサイクルライフ挙動は、
図13aおよび
図13bにおいて、より詳細に考慮されている。具体的には、
図13aは、延長サイクル時減衰するいくつかのキャパシティーが存在することを示しており、しかしながら、延長サイクル時、Li−Sセルの劇的なキャパシティー還元特性についての証拠を示していない。可逆的なLi−S
8酸化還元反応は、非トポタキシー同化プロセスを介して起こるため、ホストであるカーボン構造に組み込まれた硫黄による体積膨張およびその後のディスチャージ/チャージ反応は小さいと予想される。一方、
図11aおよび
図11bに示された新品の硫黄のチャージ−ディスチャージ挙動は、ディスチャージキャパシティーにおける顕著な減少、シャトルメカニズムについての不完全なチャージング特性を示す。
【0028】
一旦シャトルメカニズムが始まると、
図11aに示すように、約2.4Vにおけるチャージング挙動が、オーバーチャージすることなく続き、チャージおよびディスチャージキャパシティーの終端におけるチャージ効率が減少することになる。第1サイクルにおけるS@Cナノ複合材料のクーロン効率は、100サイクル後の94%と比較して96%と概算され、これは信頼性のある安定性を示している。これに対して、第1サイクルにおける従来の硫黄(
図11b)のクーロン効率は、77%と概算され、8サイクルの終わりまでに31%まで減少する。従来の材料は、電解液においてポリ硫化物の濃度が増加するため、その後、既知の連続するチャージプロセスを示す。より高いレートにおけるS@Cナノ複合材料の速度能力挙動が、
図13bに示されている。実験された最大ディスチャージレートにおいて(3C(5.1A/g))、当該材料は、450mAhg
−1伝達されると見られる。これは、この高いレートにおいてリサイクルされるLi−S二次バッテリーについての前例のない結果である。カソード材料の安定性は、また、0.5Cレートにおいて891mAhg
−1のキャパシティーをリカバリーし、(Li−Sセルについての)3Cという高いレートにおいてチャージすることによって証明されている(
図13b)。
【0029】
調製されたS@Cナノ複合材料の優れた全電気化学的挙動は、それらのデザインから発生する複数の可能性として考えられる相乗的要因に起因する。第一に、メソポーラスの高表面積カーボンホストは、吸着するカーボンフレームワーク上に、並びにその中に高レベルの硫黄が析出することを容易にする。当該材料の非常に優れた電気化学的安定に基づいて、当該フレームワークのポアおよび内部ボイドスペース内に硫黄を限定することにより、電解質に対するリチウムポリ硫化物の損失を最小にし、シャトリングを低減すると考えられる。第二に、カーボンフレームワークの部分的グラファイト特性は、析出された硫黄フィルムに対して機械的な安定性を提供すると信じられており、また、導電性の弱い活性材料から/当該伝導性の弱い活性材料への実効的な電子の輸送を可能とする。当該後者の特徴は、高い電流密度において当該材料の電気化学的安定性の原因であると考えられる、すなわち、カーボンひな形のグラファイト含有量が減少するに従って、改善されると期待される。最後に、当該フレームワーク
におけるポアは、電解
液が容易にアクセスすることができ、活性材料に対するL
+イオンの早い輸送を維持する程十分大きい。
【0030】
つまり、容易に入手可能であり拡張可能な方法が、メソポーラス中空状カーボンひな形に基づくS@Cナノ複合材料を合成するために上のように記載されている。当該方法は、所望の特徴、高い圧力を有し、早く効率的な元素硫黄の立ち上がりを発生させるためカーボンひな形のポアおよびセンターに元素硫黄を気相注入された中空状カーボンひな形粒子を合成するための、テンプレートベースアプローチを用いる。Li−S二次バッテリーにおいてカソード材料として評価されるとき、調製されたS@Cナノ複合材料は、低い電流密度および高い電流密度の両方において傑出した電気化学的特性を示す。ここに記載された材料は、二次Li−Sバッテリーにおいて延長サイクルライフおよび高いチャージレート性能を提供する最初のものである。これらの観測は、カーボンひな形に元素の硫黄が閉じ込められること、ポリ硫化物シャトルリングを限定する際の好適な影響、並びにカーボンフレームワークとの密接な接触により可能とされた伝導性の弱い硫黄からの電子輸送が向上されたことに由来する。
【0031】
A.実験の詳細
メソポーラス中空状カーボン球状体は、ハードテンプレートアプローチにより調製した。典型的な合成において、従来の方法により合成された高度に多孔質のシリカテンプレート(2g)を、1.05gの石油ピッチ(カーボニックス、韓国)を含有する、50mlのN−メチル−2−ピロリドン(NMP、アルドリッチ)溶液中に分散させた。分散液は、20分間超音波分解し、110℃で、蒸留、および完全な溶媒除去のためのロータリーエバポレーターに移送した。その後、石油ピッチでコートしたシリカ粒子を110℃で12時間真空乾燥し、続いて、アルゴンフロー下12時間1300℃で焼成した。この段階で得られたカーボンコートシリカ粒子は、HF(アルドリッチ)で処理して、シリカテンプレートをエッチング除去し、その後水およびエタノールにより洗浄した後乾燥させた。高圧気相注入法を用いて硫黄注入を実行した。
【0032】
S@Cカソードスラリーを92.5%の複合材料(70%の硫黄と30%のカーボン中空状球状体)および7.5%のPVDFバインダーをNMP溶媒分散剤において混合することにより作製した。当該スラリーでアルミニウムホイルをコートし、12時間120℃で乾燥させることにより、正極を作製した。結果として得られたスラリーコートアルミニウムホイルは、ロールプレスされ、当該電極
を、パンチング装置を用いて所望の大きさまで小型化した。作製された全電極の電極厚さは、当該ロールプレスにより、本来の厚さの85%まで減少させたものと同じ(〜80μm)であった。同じ手順を続けて、従来の硫黄カソードを作製した(当該カソードスラリーは、NMP分散剤における、80%の元素硫黄、10%のスーパーP伝導性カーボンおよび10%PVDFバインダーからなることを除く)。予備のセルテストを2032コインタイプのセルについて実行した。これは、カウンター電極としてリチウム金属を使用しそしてマイクロポーラスポリエチレンセパレータを使用してアルゴン充填されたグローブボックス内において製造された。電解溶液は、テトラグリムに溶解された1Mリチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド(LiTFSI)であった。サイクリックボルタメトリーの調査をソーラートロンセルテストモデルポテンシオスタットについて実行した。ポテンシャルウィンドウ3.1〜1.7Vの下での電気化学的チャージディスチャージ分析をマッコーサイクルライフテスターを用いて実行した。
【0033】
B.他のソースからの硫黄材料注入カーボン材料ナノ複合材料に関連する考察
メソポーラス中空状カーボン硫黄複合材料を石油ピッチから作製するために使用される高圧気相注入アプローチを用いハイパワー硫黄電極を作製した。この際、他のカーボンソース(通常バルクのソース(例えば、
石炭、高濃度硫黄
石炭、
木炭、および有機ポリマーエアロゲル))を使用する。例えば、
図14、
図22および
図23は、不活性の大気環境においてレゾルシノールホルムアルデヒドポリマーエアロゲルを熱分解することにより得られた市販のカーボン前駆物質を使用して得られた結果を纏めている。当該材料は、アメリカンエアロゲルにより無償で提供され、絶縁性製品のため流通する。当該カーボン材料は、始め、不活性(アルゴン)雰囲気において、1000〜1250℃の範囲の温度で活性化された。
図22Aはカーボンエアロゲル材料の透過型電子顕微鏡イメージを示しており、これは、続く炭化が実態のないものであることを示している(すなわち、当該材料は、上述したカーボン球状体のナノ構造を示していない)。
図22Bは、中空状のカーボン材料球状体に硫黄を注入するための上述の方法に係る、硫黄注入後のカーボンエアロゲルの透過型電子顕微鏡イメージを示す。
【0034】
図23および
図14aは、
図22Bの硫黄注入カーボン材料フォームレスマスを磨り潰すことにより形成されるナノ粒子を示している。これらの結果として得られる硫黄注入カーボンナノ粒子は、上述した中空状カーボンナノ粒子球状体の大きさと同じであり、それらは、同様の方法および材料を使用して組み立てカソード電極とした。
【0035】
図14B〜14Eは、当該付加的な硫黄注入ナノ粒子カーボン材料が、上述した中空状カーボン球状体を有する複数の特徴を共有する。
【0036】
特に、
図14Bおよび
図14Cは、BETポロシメトリー測定からの結果であり、これは、当該材料が、高い比表面積(257m
2/g)を有し、小さい平均粒径(3.8nm)を有することを示している。
図14Dおよび
図14Eは、当該材料についてのラマン散乱スペクトルおよび広角X線回折スペクトルである。ラマン散乱スペクトルにおいてGバンドが存在すること、および、広角X線回折スペクトルにはっきりと分かるピークが存在することは、当該材料が結晶性であることを意味している。
図14Eの上部のプロットは、中空状カーボン球状体について使用された同じ気相硫黄注入法を用いて硫黄注入した後の当該材料のX線回折スペクトルである。硫黄注入後の当該材料のエネルギー分散X線(EDX)スペクトルが
図14Fに示されている。これは、カーボンおよび硫黄のみを含んで成る(すなわち、カーボンおよび硫黄のみからなる)ことを示している。そのため、
図14Eにおける上部プロットは、吸着された硫黄がアモルファスであることを意味する。ラマンおよびXRDのデータの定量分析は、カーボンの少なくとも10%がグラファイト性であることを意味する。
【0037】
S/C複合材料の熱質量測定は、当該材料の質量の59%が硫黄であることを示している。
図14Gおよび
図14Hに説明されているように、(特に)サイクリックボルタメトリー
測定および関連する電気化学的測定により、アメリカンエアロゲルを使用して得られた当該S/C複合材料は、電気化学的に安定で、あらゆる点から考えて、上述したメソポーラス中空状カーボン球状体を使用して得られたS/C複合材料と同じであることが示されている。
図14Iは、当該材料が、リチウム金属をアノードとして用いるコインセルにおいてカソードとして使用されるときに達成された0.5Cのチャージレートにおけるエネルギー貯蔵キャパシティーを示している。
図14Iのデータは、600以上のチャージ−ディスチャージサイクル後、当該材料が600mAh/gを超えるキャパシティーを移動させることを示している。S/C複合材料カソードの比容量および容量保持は、カーボン球状体について観測されたものより少し低いが、当該差異は、(具体的にはマルチパスを使用して)硫黄注入のレベルを増加させることにより、容易に除去できるであろうと推測される。
【0038】
S/C複合材料粒子は、他の様々なカーボンソース(ポリアクリロニトリル(PAN)、多糖(具体的にはグルコース)、クエン酸、没食子酸、桂皮酸、およびポリマー性コア(具体的には、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート))を使用して作製しうる。高温の熱分解に続いて、高圧の気相注入により、>50%の硫黄が注入され、S/C中空球状粒子に匹敵する電気化学的性能を有するS/C複合材料が
作製される。
【0039】
S/C複合材料を作製するために使用された同じアプローチを他の、より広く普及したカーボン材料(具体的には
石炭)に対しても適用可能である。特に、
石炭(理想的には高い硫黄を有するもの)が、熱処理後、少なくとも5質量%のグラファイトカーボンを含む場合、電気化学的および/または機械的に磨り潰すことを用いて、上述のテンプレートプロセッシングに適用可能な高表面積ナノサイズ化カーボン粒子を作製してもよい。高圧気相注入法を使用して、上述した中空状カーボンひな形材料と同じエネルギー密度および電気化学的サイクル安定性を有するS/C複合材料を作製することができる。
【0040】
II.加硫処理されたポリマルチエンポリマー材料およびイオン伝導性ポリマー材料を含有する、硫黄含有ナノ粒子
第二の実施の形態は、リチウムイオンバッテリー内のカソードにおいて硫黄を捕捉および隔離するための新規な材料を記載する。このような材料の基本構造は、多くのポリブタジエン(PBD)(すなわち、より一般的にはポリマルチエンポリマー材料)、ポリエチレングリコール(PEG)(すなわち、より一般的にはイオン伝導性ポリマー材料)ジブロックコポリマーストランドにより架橋されたコアにおけるシリカ(もしくは他の金属酸化物)粒子である。当該PBDは、硫黄とクロスリンクされ、当該シリカ(もしくは他の金属酸化物)粒子に束縛された流動するポリマーストランドは、硫黄の捕捉を助力する。PBDが非常に低い伝導性を有することが知られているため、非常に高い伝導性を有するPEGがPBDに架橋されることにより、シリカ粒子の周りにジブロックコポリマーのシェルが形成される。記載された構造は、NOHMS(ナノ粒子有機ハイブリッド材料システム)のものである。NOHMSは、有機ポリマーデンドライトを、シリカのようなコア材料に結合させる新規な材料構造である。コア材料は、単純に、アンカーとして機能し、その周りにおいてデンドライトシェル層を形成してもよいし、もしくは、それ自身の特定の性能を提供してもよい。多成分系ハイブリッド材料が、ナノスケールにおいていくつかの成分の特性を組み合わせることにより相乗効果をもたらす。この第二の実施の形態について、上述のNOHMS構造は、当該デンドライトが、拡散をやや難しくする機能を有するため、当該カソード近くの領域を去る硫黄を捕捉することを高める。
【0041】
図15において説明するように、合成スキームは、第二の実施の形態に係るシリカ/PBD/硫黄/PEGナノ粒子を作製する際に用いられる全プロセスを示す。最初に、アミノ官能化シリカ粒子を、修正されたストバープロセスを利用することにより合成した。シリカ最外層をアミノ基で官能化するため、3−トリメトキシシリプロピル−ジエチレントリアミンを使用した。また、シリカ粒子の凝集を低減するため、ポリエチレングリコールメチルエーテルをシランとともに使用した。ナノ粒子のサイズを制御するため、異なる量のアンモニウムハイドロキサイドを使用した。その後、アミン官能化シリカ粒子を、アンカーとして使用し、ジカルボキシ終端ポリブタジエンストランドを結合させた。単官能化ポリエチレングリコールをその後自由なカルボキシ自由端に結合させた。当該プロセスを、N,N−ジメチルフォルムアミドを溶剤として使用して実行した。官能化のレベルのオーダーおよびコア金属酸化物材料に対するPBD材料およびPEG材料を付着させる順序を入れ替える代替の合成スキームが検討されている。さらに、必要とされているように、PBD材料およびPEG材料の特定のタイプの化学的機能をそれに応じて調整および選択することができる。
【0042】
図16は、アミノ基官能化されたシリカ粒子についての滴定曲線を示している。当量点は、アミノ官能化が、シリカ粒子1mgに対して5.33×10
−7モルであることを示している。当該アミノ基は、シランに起因し、それらは、シリカ粒子の最外コアを囲む。アミノ官能化された最外層は、変更されていないストバープロセスにより形成された水酸基最外層の代わりに作製した。これは、ジカルボキシルポリブタジエンが、アミノ基と良好に結合されるからである。
【0043】
シリカ粒子の粒径分布測定により、平均サイズが49.9ナノメートルであり、ナンバーPSDが31.3ナノメートルであり、インテンシティーPSDが62.4ナノメートルであり、PDIが0.204であることが示された。ゼータ電位は、標準偏差18.8mV、伝導率0.447ms/cm、実効電圧147.6ボルトおよび計数率45.3kcpsの場合、−16.5mVであり、当該粒子は凝集しないことを示している。また、純粋シリカ粒子のゼータ電位が−31mVであるので、表面構造が帯電していると理解される。標準偏差は、いくらかの粒子が、正のゼータ電位を有することを示している可能性があるけれども、NaOHは、合成の間添加され、凝集を最小化した。さらに、NaOHは、シリカ粒子とメタノール溶媒との間の水素結合相互作用を低下させるという他の目的を有していた。当該水素結合相互作用は、ゲルの形成を引き起こす。
【0044】
ゼータサイザーからの粒子サイズデータはTEMを使用して確認した。
図17は、アミノ官能化されたシリカナノ粒子のTEMイメージを示している。
図17は、多くの粒子が15〜45nmの範囲にあることを示している。60nmより大きい直径を有する粒子を探すのは困難であった。合成の間、添加した水酸化アンモニウムの量は、概して、シリカ粒子の特定のサイズを達成することを決定するものであった。2mlのNH
4OH:3mlのTEOSの添加により、粒径は5〜10nmとなり、一方、3mlのNH
4OH:3mlのTEOSの添加により、粒径は60〜70nmとなった。およそ30nmの粒子サイズは、一の粒子当たり十分なアミノ官能基を有する粒子を含有し、シリカの比率を小さく維持しつつ、シリカNOHMS粒子の流体挙動を達成するように選択した。
【0045】
図18のTGAグラフは、ポリマーリンクされたシリカナノ複合材料粒子の組成を示している。
図18aにおいて、当該化合物について3つのピークが存在する。第1のピークは、物理吸着水およびDMFである。これらは、合成の間、溶媒として使用した。
【0046】
当該溶媒は、広範囲の乾燥プロセス(70℃においてオーブンにて48時間、フリーズドライヤーにて24時間)により除去したけれども、水およびDMFの全部が除去されたわけではない。しかしながら、PBDは、より高温で架橋するため、温度は上昇しないであろう。第二のピークは、シリカ粒子を囲繞するシランによるものである。シリカ粒子のTGAのみが、シラン分解温度を示す400℃当たりにピークを示した。熱的に吸着される第三の化合物はPBDであり、550℃とした後に残る化合物はシリカコア粒子である。
【0047】
図18bは、PEG600をシリカ−PBDナノ複合材料粒子に対して架橋した後のTGAグラフである。PEG600ポリマーは、分解温度を有し、当該分解温度はシランのものと重なっている。第二ピークは、シランおよびPEG600の両方を示している。シリカとシランとの間の相対比率は知られているため、当該ナノ複合材料におけるPEG600の量が推定されるであろう。PEG600に対するPBDの比率は、およそ1に対して7であり、これは、それらのモル重量間の比率である。これは、PEG600が良好に分配され、PBD粒子とPEG粒子とがリンクされていることを示しているであろう。
図18cは、シリカ−PBDナノ複合材料粒子に対してPEG2000を架橋した後のTGAグラフである。当該PEGは、分解温度を有しており、当該分解温度は、シランのものと重なっているが、しかしながらその強度はかなり大きい。PEG2000の量は、また、第二のピークからシランの量を推定することにより概算した。PEG2000のモル重量は、PBDのものより低いけれども、重量比率は同じである。付加的な遠心分離ステップによりPEG2000の含有量は減少するであろう。
【0048】
図19は、NOHMS粒子のレオロジーデータを示しており、常数ωにおいて歪み振幅を変更しつつ、フラットな直径9.958mmのプレートを使用して測定した。当該温度は、100℃に設定した。プレート間のギャップは、PEG600のナノ複合材料については0.11mmであり、PEG2000のナノ複合材料については0.18mmであった。
【0049】
レオロジーデータは、作製された粒子のクラスを決定するために収集した。
図19から、両方の粒子が、ソフトガラスのグループに属すると結論づけられる。貯蔵係数の低下後の損失係数の顕著なピークは、ソフトガラス材料のロバスト特性であることが確認された。当該ピークは、固体様挙動から液体様挙動までの材料の遷移を示している。特に、貯蔵係数と損失係数との交差は、ナノ複合材料の液体様挙動が、固体様挙動を引き継ぐことを示している。シリカ粒子の最外ラインを形成するポリマーストランドは、近接するシリカ粒子のものと絡み合う。より多くの歪みが当該粒子に与えられるにしたがって、損失係数は上昇する。これは、エネルギーの散逸を示している。そして、ポリマーが互いに透過するとき損失係数は低下する。貯蔵係数において損失係数のピークおよび低下を達成するために要求されるエネルギーは、上記同様歪みにおけるものである。フラットな貯蔵係数は、エラスティックポリマーの特性であり、その急低下は、当該粒子が、より自由に流動する粒子に変位していることを示している。
図19から、より短いPEGポリマーは、より低い歪みにおいて当該ピークを示しており、これは、より短い鎖長に起因しうると理解される。
【0050】
図20は、シリカ−PBD−PEG600およびシリカ−PBD−PEG2000ナノ複合材料についてのDSCグラフを示している。シリカ−PBD−PEG600ナノ複合材料が、PBDについて−80.44℃においてTgを有していた。これと比べて、シリカ−PBD−PEG2000ナノ粒子複合材料は、−81.24℃と−63.80℃において2つのTgを有していた。第1のTgは、PBDについてのものであり、これは、それ自身−77℃のTgを有する。第2のTgは、PEG2000についてのものである。PEG600についてのTgは、データにおいて観測することが困難であった。また、PEG2000ナノ粒子複合材料は、−38.49℃においてTcを有していたが、PEG600ナノ粒子複合材料は、Tcを全く示さなかった。PEG600についてのTmは、9.75℃であり、一方、PEG2000のTmは3.16℃であった。通常、より高い分子量のポリマーは、より高い融点を有するが、一方、当該データは反対のことを示していた。PEG2000のTmのみは、およそ60℃である。これは、おそらく、PEG2000がPBDと相互作用するためである。
【0051】
図21は、上述したNOHMS複合材料を使用して製造されたLi/Sバッテリーのサイクル性能を示している。当該結果は、コントロールとして使用された硫黄カソードバッテリーと比較して、NOHMSバッテリーが、サイクルの関数である限定されたキャパシティー損失の観点から、実質的により高いサイクル性能を示す。
【0052】
以下のように、
図21において評価されたバッテリーについてのカソード材料複合材料は、表1において示されている。
【0054】
図21の内容における実施された実験において、硫黄含有量は、様々なタイプのバッテリーについて違っていた。これは、硫黄含有量は、100のラバーに対して(phr)12個に維持されるからである。これは、ラバーのみがPBDの重量を示す。PBDの%重量含有量が変わるにしたがって、硫黄の重量含有量は、各タイプのバッテリーについて違う。
【0055】
実験の詳細
アミノ官能化されたシリカ粒子を合成するため、3mlのテトラエチルオルトシリケート(アルドリッチ)、60mlのメタノール(アルドリッチ)、2.5mlの水酸化アンモニウム(EMD)を混合し、30分間攪拌するためそのままにしておいた。その後、2.5mlの3−トリメトキシシリルプロピル−ジエチレントリアミン(シラン)(ゲレスト)、2.5グラムのポリエチレングリコールメチルエーテル(mPEG)(アルドリッチ)、および20mlのメタノールをもともとの混合物に加えた。さらに5分後、2mlの0.6MのNaOH溶液を加えた。当該混合物は、さらに12時間反応させるために放置した。
【0056】
ナノゼータサイザー装置(ナノ−ZSマルバーンコーポレーション)を使用して、シリカ粒子のサイズおよびゼータ電位を測定した。当該測定は、溶媒としてメタノール(Visc=0.5476、RI=1.326)、粒子としてシリカ(Abs=0.10、RI=1.500)を使用して実行した。当該粒子のアミノ官能性を測定するため、20mlのシリカ溶液を20mlのDI水と混合して、メタノールとアンモニア溶液とが蒸発するまで、70℃のオーブンに置いたままにした。当量点を得るためにpHメーターを使用して滴定を実行した。当該サンプルにおいて存在していた水酸化ナトリウムは、滴定概算において主要な部分を占めていた。TEM(FEIテクナイ12スピリットツイン)分析装置を使用して、当該溶液中におけるシリカ粒子のサイズおよび存在を示した。
【0057】
シリカに対するポリブタジエンリンクのため、最初、150℃でホットプレートを使用して、100mlのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(アルドリッチ)を加熱および攪拌した。シリカ粒子を有する50mlのメタノール溶液をゆっくりとDMFに添加した。当該混合物を1時間攪拌し、メタノールとアンモニアを除去した。12.5グラムのジカルボキシル終端ポリブタジエン(PBD)(Mn=4200アルドリッチ)および50mlのテトラハイドロフラン(THF)(JTベイカー)を混合し、ポリマーが完全に溶解するまで攪拌した。ポリマーの量は、シランに対するアミノ官能基と比較してモル換算でPBDのカルボキシル官能基の4倍を超えるように選択した。シリカDMFの溶液の体積は、当該溶液に、より多くのDMFを加えることにより50mlに設定した。PBD THF溶液およびシリカDMF溶液を、シリカDMF溶液をゆっくり加えることにより混合した。反応を24時間続くようにそのまま放置した。遠心分離器(アックスピン400フィッシャーサイエンティフィック)を使用して、シリカ−PBD粒子を分離した。上澄み液を含む浮遊PBDを廃棄し、沈殿物を回収した。付加的な遠心分離をTHFとDMFとの体積比率が4:3の溶液において実行した。PBDは、同等の量のTHFとDMFとが使用されたとき沈殿し始めるため当該比率が選択された。
【0058】
当該シリカ−ポリブタジエン、PEGに対するポリエチレングリコール結合のため、PEGをPEGが2、カルボキシル基が3である比率となるように加えた。サンプルの2つの分離したバッチを作製し、2つの異なるモル重量を有するPEGをそれぞれに加えた。それらは、O−(2−アミノプロピル)−O’−(2−メトキシエチル)ポリプロピレングリコール(PEG600)(Mn=600 アルドリッチ)、およびポリエーテルアミン(PEG2000)(ジェフアミンM−2070、Mn=2000、ハンツマン)であった。当該混合物を24時間混合するために放置し、その後70℃で乾燥させた。
【0059】
加硫処理は、150℃で実行した。アクセラレーターについて、2phrのテトラエチルチウラム二硫化物(アクロスオーガニックス)を使用した。アクティベーターについて、8phrの酸化亜鉛(アルドリッチコーポレーション)を使用した。また、3.2phrのステアリン酸(97%、フルカコーポレーション)および12phrの硫黄(試薬グレード、100メッシュ、アルドリッチコーポレーション)を使用した。NOHMS粒子について、当該複合材料におけるPBDの係数を、加硫処理のための反応剤の相対的な量を概算する際に使用した。これは、PBDのみが、硫黄と架橋するからである。
【0060】
コントロールとして使用されたラバー材料を削るため、液体窒素およびドライアイスを使用し当該ラバーを脆弱にしその後粉末にした。カーボンブラック(スーパーP−Li、ティムカルコーポレーション)を伝導性助剤として使用し、PVDF−HFP(キナー2801、アルケマインコーポレーション)をバインダーとして使用し、DMF(アルドリッチ)を溶媒として使用した。NOHMS材料、カーボンブラック、およびPVDF−HFPを60:20:20重量比率で混合した。当該スラリーを24時間混合するために放置し、その後、銅のディスク上に塗布した。これは、4時間、70℃のオーブン内で乾燥させ、12時間、真空下で120℃で乾燥させた。コントロールサンプルを製造した。当該コントロールサンプルには、(1)硫黄、(2)活性材料としての12phrの加硫処理PBDを含有する。活性材料としてNOHMSを含むセルは、また、12phrの硫黄を含有する。当該セルをアノードにおいてリチウム(0.75mm厚、99.9%、シグマアルドリッチ)により作製した。電解
液は、1,3−ジオキソラン(アルドリッチ)とジメトキシエタン(アルドリッチ)との50:50重量比率混合物に
溶解された、リチウムビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(アルドリッチ)の0.5M溶液であった。
【0061】
出願公開、特許出願、本明細書に引用された特許を含む全ての文献は、許容できる程度で、かつ各文献が個々におよび明確に参照により組み込まれることが示され本明細書に全体として説明されている同じ程度で、全体として、引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0062】
本発明を説明する記載(特に、これに続く特許請求の範囲の記載)において用語”a”、”an”、および”the”並びに同様のものを使用することは、本明細書において示され当該記載に明確に矛盾する場合を除いて、単一もしくは複数の両方をカバーすると解釈される。用語”含む(comprising)”、”有する(having)”および”含有する(containing)”は、特に示す場合を除いて、オープンエンドターム(すなわち、”以下に限定される訳ではないが以下のものを含む”ことを意味する)。用語”接続された”は、間に介在するものが存在するとしても、部分的にもしくは全体的に内部に含まれ、取り付けられ、もしくは一緒に組み合わされたと解釈される。
【0063】
本明細書において数値範囲を記載することは、本明細書において特に示された場合を除いて、当該範囲に含まれるそれぞれの分離した値を個々に参照する簡単な方法としての役割を果たすことを意図しており、各分離した値は、本明細書に個々に記載されるかのごとく本明細書に組み込まれている。
【0064】
本明細書において記載された全ての方法は、本明細書において特に示された場合、もしくは本明細書の記載と明確に矛盾する場合を除いて、任意の適切な順序で実行される。本明細書において与えられた任意のおよび全ての実施例もしくは例示的な文言(具体的には”例えば〜など”)を使用することは、単に、本発明の実施の形態を良好に例示することを意図し、特に要求する場合を除いて、本発明の範囲に対して限定を課すことを意図するものではない。
【0065】
本明細書における文言は、本発明の実行にとって必要不可欠なものとしてクレームされていない如何なる要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0066】
当該技術分野における当業者にとって、本発明の精神および技術的範囲から逸脱しない限り、当該実施の形態に対して様々な修正および変更を加えてもよいことは明らかである。開示された特定の一または複数の形式に本発明を限定する意図は存在しないけれども、反対に、添付の特許請求の範囲に規定された本発明の精神および技術的範囲に属する全ての修正、代替の構造等をカバーすることを意図する。そのため、本発明は、本発明の修正および変更が添付の特許請求の範囲等に含まれる場合、これらをカバーすることを意図する。
【0067】
それゆえ、当該実施の形態は、本発明を限定するのではなく、本発明を例示するものである。本発明に係る、さらに、添付の請求項に係る、ナノポーラス材料、ナノ粒子、並びにナノポーラス材料もしくはナノ粒子を作製する方法を提供するが、本実施の形態に係る、ナノポーラス材料、ナノ粒子、ナノポーラス材料もしくはナノ粒子を製造するための方法に関し、方法、材料、構造および寸法に対して修正および変更を加えてもよい。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含む。
態様1:
カーボン材料支持体と、
上記カーボン材料支持体に支持された硫黄材料と、を備えるナノ粒子であって、
カソード内に当該ナノ粒子を含むリチウム−硫黄セルのサイクリックボルタモグラムが、約2.4ボルトの位置に安定な還元ピークを示すことを特徴とするナノ粒子。
態様2:
上記サイクリックボルタモグラムが、テトラグリム電解液に溶解されたリチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドを使用し、
当該サイクリックボルタモグラムが、約2.0ボルトの位置に安定な還元ピークを示し、
当該サイクリックボルタモグラムが、約2.35ボルトの位置に安定な酸化ピークを示し、約2.45ボルトの位置に安定な酸化ピークを示す態様1記載のナノ粒子。
態様3:
上記カーボン材料支持体が中空状球状体を含む態様1記載のナノ粒子。
態様4:
上記カーボン材料支持体が少なくとも部分的にグラファイトカーボン材料を含む態様1記載のナノ粒子。
態様5:
上記硫黄材料が、約70質量パーセント以下の硫黄材料を含有するアモルファス硫黄材料を含む態様1記載のナノ粒子。
態様6:
導電性支持体と、
上記導電性支持体の上に配置されたコーティングと、を備え、
当該コーティングは、
カーボン材料支持体と、
上記カーボン材料支持体に支持された硫黄材料と、を備えるナノ粒子であって、
カソード内に当該ナノ粒子を含むリチウム−硫黄セルのサイクリックボルタモグラムが、約2.4ボルトの位置に安定な還元ピークを示すナノ粒子を備える電極。
態様7:
導電性支持体と、
上記導電性支持体の上に配置されたコーティングと、を備え、
当該コーティングは、
カーボン材料支持体と、
上記カーボン材料支持体に支持された硫黄材料と、を備えるナノ粒子であって、
カソード内に当該ナノ粒子を含むリチウム−硫黄セルのサイクリックボルタモグラムが、約2.4ボルトの位置に安定な還元ピークを示すナノ粒子を備える電極を具有するバッテリー。
態様8:
上記電極がカソードを含み、
上記バッテリーがリチウムイオンバッテリーを含む態様7記載のバッテリー。
態様9:
バルクのカーボン材料支持体と、
上記バルクのカーボン材料支持体の上に支持された硫黄材料と、を備え、
カソード内に当該ナノポーラス材料から生成されたナノ粒子を含むリチウム−硫黄セルのサイクリックボルタモグラムが、約2.4ボルトの位置に安定な還元ピークを示すナノポーラス材料。
態様10:
上記サイクリックボルタモグラムが、テトラグリム電解液に溶解されたリチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドを使用し、
上記サイクリックボルタモグラムが、約2.0ボルトの位置に安定な還元ピークを示し、
上記サイクリックボルタモグラムが、約2.35ボルトの位置に安定な酸化ピークを示し、約2.45ボルトの位置に安定な酸化ピークを示す態様9記載のナノポーラス材料。
態様11:
少なくとも約450℃の温度、少なくとも約2気圧の圧力において、硫黄材料ソースでポーラスカーボン材料支持体を処理し、硫黄注入ポーラスカーボン材料支持体を提供する工程を含む、ナノポーラス材料の製造方法。
態様12:
上記のポーラスカーボン材料支持体を処理する工程が、硫黄材料ソースおよび不活性ガスを用いる態様11記載の製造方法。
態様13:
上記ポーラスカーボン材料支持体が、約0.5〜約20ナノメートルの平均粒子サイズを有する態様11記載の製造方法。
態様14:
上記ポーラスカーボン材料支持体が、中空状ポーラスカーボンナノ粒子を含む態様11記載の製造方法。
態様15:
上記ポーラスカーボン材料支持体が、中空状ではないナノ粒子を含む態様11記載の製造方法。
態様16:
上記ポーラスカーボン材料支持体が、石炭から構成されている態様11記載の製造方法。
態様17:
上記ポーラスカーボン材料支持体が、カーボンエアロゲルから構成されている態様11記載の製造方法。
態様18:
上記ポーラスカーボン材料支持体が、石炭、カーボンエアロゲル、ポリアクリロニトリル、多糖、クエン酸、没食子酸、桂皮酸、ポリスチレン、および、ポリメチルメタクリレートカーボンソース材料からなる群から選択されたカーボンソース材料から構成されている態様11記載の製造方法。
態様19:
カーボン材料層をテンプレートナノ粒子上に形成し、カーボン材料コートテンプレートナノ粒子を準備する工程と、
上記カーボン材料コートテンプレートナノ粒子から上記テンプレートナノ粒子を溶解し、中空状のカーボン材料ナノ粒子を作製する工程と、
少なくとも約450℃の温度、少なくとも約2気圧の圧力において、硫黄材料ソースを中空状カーボン材料ナノ粒子に注入し、硫黄注入中空状カーボン材料ナノ粒子を作製する工程と、を備える、ナノ粒子の製造方法。
態様20:
上記のカーボン材料層を形成する工程が、溶液コーティングおよび熱分解方法を使用する態様19記載の製造方法。
態様21:
上記の中空状カーボン材料ナノ粒子に注入する工程が、約2〜約20気圧の圧力における硫黄注入を用いる態様19記載の製造方法。
態様22:
上記の注入工程が、硫黄材料ソースおよび不活性ガスを用いる態様19記載の製造方法。
態様23:
少なくとも約450℃の温度、少なくとも約2気圧の圧力において、硫黄材料ソースでバルクのポーラスカーボン材料支持体を処理し、硫黄注入バルクポーラスカーボン材料支持体を準備する工程と、
上記の硫黄注入バルクポーラスカーボン材料支持体を粉砕し、上記ナノ粒子を作製する工程と、を備えるナノ粒子の製造方法。
態様24:
金属酸化物材料を含有するコアと、
上記コア上に配置され、イオン伝導性ポリマー材料に接合された硫黄架橋ポリマルチエンポリマー材料を含むシェルと、を備えるナノ粒子。
態様25:
上記ナノ粒子は、
約2〜約20質量%の金属酸化物材料と、
約10〜約40質量%のポリマルチエンポリマー材料と、
約2〜約5質量%のイオン伝導性ポリマー材料と、
約2〜約80質量%の硫黄と、を含む態様24記載のナノ粒子。
態様26:
上記コアが、シリコン酸化物材料を含み、
上記ポリマルチエンポリマー材料が、ポリブタジエンポリマー材料を含み、
上記イオン伝導性ポリマー材料が、ポリエチレングリコールポリマー材料を含む態様24記載のナノ粒子。
態様27:
上記シェル層が、上記コアに接合され、
上記シェル層が、上記イオン伝導性ポリマー材料に接続された硫黄架橋ポリマルチエンポリマー材料を含有するジブロックコポリマーを含む態様24記載のナノ粒子。
態様28:
導電性支持体と、
上記導電性支持体上に配置されたコーティングと、を有し、
当該コーティングは、
金属酸化物材料を含むコアと、
上記コア上に配置されたシェル層であって、イオン伝導性ポリマー材料に接合された硫黄架橋ポリマルチエンポリマー材料を含有するシェル層と、を備えるナノ粒子を含む電極。
態様29:
導電性支持体と、
上記導電性支持体上に配置されたコーティングと、を有し、
当該コーティングは、
金属酸化物材料を含むコアと、
上記コア上に配置されたシェル層であって、イオン伝導性ポリマー材料に接合された硫黄架橋ポリマルチエンポリマー材料を含有するシェル層と、を備えるナノ粒子を含むバッテリー。
態様30:
上記電極がカソードを含み、
上記バッテリーがリチウムイオンバッテリーを含む態様29記載のバッテリー。
態様31:
有機官能性金属酸化物コアを作製する工程と、
上記有機官能性金属酸化物コアを多官能性ポリマルチエンポリマー材料および多官能性イオン伝導性ポリマー材料の一方と反応させて部分シース金属酸化物コアを作製する工程と、
上記部分シース金属酸化物コアを官能性ポリマルチエンポリマー材料および官能性イオン伝導性ポリマー材料と反応させ、上記有機官能性金属酸化物コアに接合されたポリマルチエンポリマー材料とイオン伝導性ポリマー材料シェルを作製する工程と、
硫黄材料を用いて上記ポリマルチエンポリマー材料を加硫処理する工程と、を備える、ナノ粒子の製造方法。
態様32:
上記の有機官能性金属酸化物コアを反応させる工程および上記の部分シース金属酸化物コアを反応させる工程により、ジブロックコポリマー材料が形成される態様31記載の方法。
態様33:
上記ジブロックコポリマー材料が、上記有機官能性金属酸化物コアに接合されたポリマルチエンポリマー材料を含有する態様32記載の方法。
態様34:
上記ジブロックコポリマー材料が、上記有機官能性金属酸化物コアに接合されたイオン伝導性ポリマー材料を含有する態様32記載の方法。