(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記式(1)において、n=2、3、4の総計が53〜90面積%、かつnが5を超えるポリマーが10〜35面積%であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のエポキシ樹脂は
下記式(1)
【化4】
(式中、nは繰り返し数を示す。nは平均値で2〜10の数である。)
に記載のエポキシ樹脂であって、n=1の成分、すなわち前記式(2)及び(3)に記載のエポキシ樹脂の含有量が少ない。また好適にはn=5を超えるポリマーが10〜35面積%であることを特徴とするエポキシ樹脂である。以下、本発明において面積%とは特に断りがない限りGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー 検出器RI)で測定して得られた面積%を示す。
前記式(2)及び(3)の化合物は耐熱性、流動性の面では有利であるが、熱分解特性に悪影響を及ぼす。すなわち、前記式(2)及び(3)の化合物の含有量が各々9面積%以下(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー 検出器RI)であることにより、耐熱分解特性を向上させることができる。本発明においては、好ましくは各々8面積%以下であり、特に好ましくは各々5面積%以下である。またその総量(前記式(2)及び式(3)の化合物の総量)は15面積%以下である。
特に前記式(2)の化合物はナフタレン構造同士をつなぐメチレン構造が切れやすく、低分子量化しやすいため熱分解時に分解し放出されやすく、9面積%を超えないものである必要があり、8面積%以下が好ましく、5面積%以下であることが好ましい。また、前記式(3)の化合物に関しては分子量が小さいため、硬化物のネットワークにおいてエポキシ基の開環した部分が一部切れると揮発しやすくなるため好ましくない。
また、前記式(1)においてn=5を超えるポリマーが35面積%を超えると粘度が高くなりすぎてしまうため、成型が困難になるため好ましくない。ただし、耐熱性の面で10面積%以上あることが好ましい。
このようなエポキシ樹脂の軟化点は85〜100℃(環球法)であることが好ましく、特に85〜95℃の範囲が好ましい。85℃以上の軟化点を有しない化合物の場合、硬化物とした際の耐熱性において150℃を超えることが困難であり、特にパワーデバイス向けの半導体封止材には向かない樹脂となる。また100℃を超えると粘度の上昇も大きくなり、成型性の面で好ましくない。尚、本発明のエポキシ樹脂組成物は軟化点80〜90℃のフェノールノボラックと硬化させた際に熱機械特性(TMA)の測定において耐熱性で150℃を超える。
本発明において前記式(1)におけるn=0の化合物が1面積%以下であることが好ましく、特に、グリシドキシナフタレンが1面積%以下であることが熱分解特性の面から好ましい。グリシドキシナフタレンを含有する場合、0.01〜1面積%、さらに好ましくは0.01〜0.9面積%、特に好ましくは0.01〜0.8面積%含有する。
グリシドキシナフタレンが1面積%を超える場合、混練や成型時の揮発による人体への悪影響、および炉の汚れ、また金型汚れ、成型時の脱型性の悪さなどに影響を及ぼす恐れがある。0.01面積%を下回ろうとすると、多大なエネルギーおよび廃棄物を生成するため、環境・産業として好ましくない。
また前記式(1)においてn=2、3、4の化合物の総計が70〜90面積%であることが好ましい。分子量分布の幅がこの範囲になることで高い耐熱性を持ちながら粘度を低減でき、かつ熱分解特性を向上させることができる。ここで、n=2の化合物が耐熱性、熱分解性に優れ、さらに高分子量となりすぎるものでないことから25〜50面積%含有していることで好適な物性を確保することが可能と成り得、特に25〜40面積%であることが好ましい。
なお、本発明の式(1)のエポキシ樹脂においてAはナフトール構造とクレゾール構造を必ず含有する。具体的には、モル比でナフトール構造:クレゾール構造=1:1〜5:1、特に好ましくは1:1〜3:1であり、ナフトール構造の方が多く存在する方が好ましい。
【0009】
以下に具体的なエポキシ樹脂の製造方法について記載する。
本発明に使用する前記式(1)のエポキシ樹脂の原料フェノール樹脂(以下、本発明のフェノール樹脂と称す)は、ナフトール(1−ナフトールおよびまたは2−ナフトール)とクレゾール(置換位置を限定しない)とホルムアルデヒド合成等価体(ホルマリン、パラホルムアルデヒド等を意味する。)を必須成分とし、合成される。
本発明のフェノール樹脂はナフトールとクレゾールを水、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類にあげられる溶剤(もしくは水)中に溶解、または2層系で混合し、酸性、もしくは塩基性条件下でホルムアルデヒド合成等価体と反応させることで本発明のフェノール樹脂を得ることができる。溶媒を使用する場合、その使用量はナフトールとクレゾールの総量100重量部に対し、通常5〜500重量部、好ましくは10〜300重量部の範囲である。
【0010】
触媒としては酸性、塩基性いずれの触媒でも使用できる。
用いうる酸性触媒の具体例としては塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸類;シュウ酸、トルエンスルホン酸、酢酸等の有機酸類;タングステン酸等のヘテロポリ酸、活性白土、無機酸、塩化第二錫、塩化亜鉛、塩化第二鉄等、その他酸性を示す有機、無機酸塩類、等のノボラック樹脂製造用に通常使用される酸性触媒などが挙げられる。
用いうる塩基性触媒の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド、マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシド等のアルカリ土類金属アルコキシド等が挙げられる。
またアミン系の触媒を使用することもでき、トリエチルアミン、エタノールアミン、ピリジン、ピペリジン、モルホリン等が挙げられる。特にアミン系の触媒を使用する場合は溶媒として兼用することもできる。
これら触媒は、前述に挙げた物に限定されるものではなく、単独でも2種以上を併用してもよい。
【0011】
本発明においては(a)ナフトールとクレゾールとのノボラック化反応、(b)下記式(4)記載のナフトールの二量体
【化5】
の熱分解反応、(c)ホルムアルデヒド等価体を添加する分解生成したナフトールを用いたナフトール−クレゾールノボラックへの結合反応の3工程を必須とする。当該工程を経ることで前記式(4)の構造や下記式(5)
【化6】
の構造の2量体を低減し、本発明のフェノール樹脂を製造する。本工程により、本発明のエポキシ樹脂は耐熱分解特性に優れたエポキシ樹脂とすることができる。なお、(b)及び(c)の工程は同時に行っても構わず、この際の触媒は前記に示す酸性触媒であり、(a)の工程が酸性であればそのままの触媒で、もしくは酸触媒を追加しても構わず、(a)の工程が塩基性であれば、(a)の工程終了後、酸性触媒を添加し、酸性条件下で反応させることが好ましい。なお、これら触媒についてはそれぞれ酸性または塩基性になれば構わず、最大使用するナフトール、クレゾールの総モル数に対し、2倍以下であることが好ましい。また中和にかかる量を差し引いた場合、酸性触媒であれば0.01〜0.3モル当量%、より好ましくは0.01〜0.25モル%であり、塩基性触媒であればナフトール、クレゾールの総モル数に対し、0.5〜1.3モル当量%、特に0.5〜1.1モル当量%が好ましい。反応温度は工程(a)においては0〜110℃でコントロールすることが好ましく、特に分子量分布を狭めるためには0〜70℃で1次反応を行った後、30〜110℃で2次反応を行うことが好ましい。また分子量制御を行う場合、塩基性触媒を1.0モル当量%以上使用し、選択的にナフトールのモノメチロール体を製造し、それを反応させることで分子量分布を制御するという手法も用いることができる。
ここで、(a)の工程であるナフトールとクレゾールとのノボラック化反応により得られるノボラック型フェノール樹脂においては、重量平均分子量として500〜1500が好ましい。ここで、上記式(4)及び式(5)の総量が10面積%以下であることが好ましく、特に8面積%以下であることが好ましい。また、上記式(4)及び式(5)が各々5面積%以下であることが特に好ましい。このようなものについて、(b)及び(c)工程を経由させることで、より目的とする樹脂を得ることが可能となる。
尚、(a)の工程で使用するナフトールはα−ナフトールとβ−ナフトールの混合物を使用することが好適である。
【0012】
前記工程(a)で用いるホルムアルデヒド合成等価体(ホルマリン、パラホルムアルデヒド等を意味する。)の使用量としては使用するナフトールに対し、0.5モル倍〜1.5モル倍が好ましく、特に好ましくは0.7〜1.2モル倍である。なお、ナフトールとクレゾールの総モル数に対しては1.0モル倍未満が好ましく、特に好ましくは0.5〜0.95モル倍である。
前記工程(c)で用いるホルムアルデヒド合成等価体の使用量としては残留ナフトールや前記式(2)の構造の残留量にもよるが、工程(a)で用いるホルムアルデヒド合成当価体量に対し、1〜20重量%の割合で添加できる。より好ましくは1〜15重量%である。
【0013】
このようにして得られるナフトールノボラック、ナフトール-クレゾールノボラック(以下、ナフトール樹脂類と称す)は用途によって、精製せずに用いることもできるが、通常、反応終了後に反応混合物を中和してから、加熱減圧下において未反応原料及び溶媒類を除去する事で精製して使用する。なお、この中和工程は、各種塩基類、リン酸塩等の塩やバッファー等を添加してもよいし、水洗などでも可能であるが、両者を併用するとより簡便で効果的である。また、反応により、ナフトールが十分消費されていない場合、薄膜蒸留、窒素等の不活性ガスのバブリング等により、残留ナフトール量を2%以下、好ましくは1%以下にすることが好ましい。
【0014】
このようにして得られるフェノール樹脂としては軟化点が100〜140℃、水酸基当量が140〜160g/eq.となる。
本フェノール樹脂は前記式(4)(5)の構造の化合物の含有量が各々12面積%以下(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー 検出器RI)であることにより、耐熱分解特性を向上させることができる。本発明においては、好ましくは10面積%以下であり、特に好ましくは6面積%以下である。またその総量は17面積%以下である。これにより本発明のエポキシ樹脂の特性を満たすことができ、耐熱分解特性、および耐熱性に優れる。
【0015】
本発明のエポキシ樹脂のエポキシ当量は原料となるフェノール樹脂の理論エポキシ当量に対し1.02倍〜1.13倍である。(すなわち200〜244g/eq.)より好ましくは1.03〜1.10倍(すなわち202〜237g/eq.)である。1.02倍を下回る場合、エポキシ樹脂の合成、精製に多大な費用がかかることがあり、また1.11倍を超えた場合、上述同様塩素量による課題が生じることがある。本発明においては特に218〜235g/eq.のエポキシ当量の間が好ましい。
また、反応により得られたエポキシ樹脂に含有している全塩素としては5000ppm以下、より好ましくは3000ppm以下、特に1000ppm以下であることが好ましい。塩素量による悪影響については前述と同様である。なお、塩素イオン、ナトリウムイオンについては各々5ppm以下が好ましく、より好ましくは3ppm以下である。特に1ppm以下が好ましい。塩素イオンは先に記載した通りであるが、ナトリウムイオン等のカチオンも、特にパワーデバイス用途においては非常に重要なファクターとなり、高電圧がかかった際の不良モードの一因となる。
ここで、理論エポキシ当量とは、本発明のフェノール樹脂のフェノール性水酸基が過不足なくグリシジル化した時に算出されるエポキシ当量を示す。
【0016】
本発明のエポキシ樹脂は軟化点を有する樹脂状の形態を有する。ここで、軟化点としては70〜110℃が好ましく、より好ましくは80〜100℃である。軟化点が低すぎると保管時のブロッキングが問題となり、低温で取り扱いをしないといけない等、課題が多い。逆に軟化点が高すぎる場合、他の樹脂(たとえば硬化剤)との混練の際に、ハンドリングが悪くなる等の問題が生じることがある。また、溶融粘度は1.5Pa・s(ICI 溶融粘度 150℃ コーンプレート法)以下、より好ましくは0.3〜1.3Pa・s、特に好ましくは0.4〜1.0Pa・sである。1.5Pa・sを超える場合、半導体封止材とした際に、流動性が悪く、うまく成型できず、また0.3Pa・sを切る場合、耐熱性や熱分解特性が足りなくなる。
【0017】
以下に、本発明のフェノール樹脂とエピハロヒドリンとの反応により本発明のエポキシ樹脂物を得る方法について記載する。
【0018】
本発明のエポキシ樹脂の合成に使用するエピハロヒドリンとしては工業的に入手が容易なエピクロルヒドリンが好ましい。エピハロヒドリンの使用量は本発明のフェノール樹脂の水酸基1モルに対し通常3.0〜15モル、好ましくは3.0〜10モル、より好ましくは3.5〜8.5モルであり、特に好ましくは5.5〜8.5モルである。
3.0モルを下回るとエポキシ当量が大きくなることがあり、また、できたエポキシ樹脂の粘度が高くなりすぎてしまい、所望の範囲内に入らない可能性がある。15モルを超えると溶剤量が多量となる。
【0019】
上記反応において使用しうるアルカリ金属水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、固形物を利用してもよく、その水溶液を使用してもよいが、本発明においては特に、溶解性、ハンドリングの面からフレーク状に成型された固形物の使用が好ましい。
アルカリ金属水酸化物の使用量は原料の本発明のフェノール樹脂の水酸基1モルに対して通常0.90〜1.5モルであり、好ましくは0.95〜1.25モル、より好ましくは0.99〜1.15モルである。
【0020】
反応を促進するためにテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加してもかまわない。4級アンモニウム塩の使用量としては原料フェノール混合物の水酸基1モルに対し通常0.1〜15gであり、好ましくは0.2〜10gである。
【0021】
本反応においては上記エピハロヒドリンに加え、非極性プロトン溶媒(ジメチルスルホキシド、ジオキサン、ジメチルイミダゾリジノン等)や、炭素数1〜5のアルコールを併用することが好ましい。炭素数1〜5のアルコールとしてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類である。非極性プロトン溶媒もしくは炭素数1〜5のアルコールの使用量はエピハロヒドリンの使用量に対し通常2〜50重量%、好ましくは4〜25重量%である。また、共沸脱水等の手法により、系内の水分をコントロールしながらエポキシ化を行ってもかまわない。
系中の水分が多い場合には、得られたエポキシ樹脂において電気信頼性が悪くなることがあり、水分は5%以下にコントロールして合成することが好ましい。また、非極性プロトン溶媒を使用してエポキシ樹脂を得た際には、電気信頼性に優れるエポキシ樹脂が得られるため、非極性プロトン溶媒は好適に使用できる。
【0022】
反応温度は通常30〜90℃であり、好ましくは35〜80℃である。特に本発明においては、より高純度なエポキシ化のために60℃以上が好ましく、還流条件に近い条件での反応が特に好ましい。反応時間は通常0.5〜10時間であり、好ましくは1〜8時間、特に好ましくは1〜3時間である。反応時間が短いと反応が進みきらず、反応時間が長くなると副生成物ができることから好ましく無い。
これらのエポキシ化反応の反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下でエピハロヒドリンや溶媒等を除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、回収したエポキシ樹脂を炭素数4〜7のケトン化合物(たとえば、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。)を溶剤として溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて反応を行い、閉環を確実なものにすることも出来る。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量はエポキシ化に使用した本発明のフェノール樹脂の水酸基1モルに対して通常0.01〜0.3モル、好ましくは0.05〜0.2モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。
【0023】
反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に加熱減圧下溶剤を留去することにより本発明のエポキシ樹脂が得られる。
【0024】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明のエポキシ樹脂、硬化触媒を必須成分とする。また任意成分として他のエポキシ樹脂や硬化剤を含有することは好ましい。
【0025】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、本発明のエポキシ樹脂以外にエポキシ樹脂を含有してもかまわない。全エポキシ樹脂中、本発明のエポキシ樹脂の割合は20重量%以上が好ましく、より好ましくは30重量%以上、特に好ましくは40重量%以上である。
【0026】
本発明のエポキシ樹脂と併用し得る他のエポキシ樹脂としては、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂などが挙げられる。具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールS、チオジフェノール、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロルメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン又は1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類並びにアルコール類から誘導されるグリシジルエーテル化物、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、シルセスキオキサン系のエポキシ樹脂(鎖状、環状、ラダー状、あるいはそれら少なくとも2種以上の混合構造のシロキサン構造にグリシジル基および/またはエポキシシクロヘキサン構造を有するエポキシ樹脂)等の固形または液状エポキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
本発明に使用できる硬化促進剤(硬化触媒)の具体例としてはトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等のアミン化合物、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2'−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−ウンデシルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−エチル,4−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾールの各種等の複素環式化合物類、及び、それら複素環式化合物類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の多価カルボン酸との塩類、ジシアンジアミド等のアミド類、1,8−ジアザ−ビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7等のジアザ化合物及びそれらのテトラフェニルボレート、フェノールノボラック等の塩類、前記多価カルボン酸類、又はホスフィン酸類との塩類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルプロピルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルセチルアンモニウムヒドロキシド、トリオクチルメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラメチルアンモニウムアセテート、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等のアンモニュウム塩、トリフェニルホスフィン、トリ(トルイル)ホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスフィン類やホスホニウム化合物、2,4,6−トリスアミノメチルフェノール等のフェノール類、アミンアダクト、カルボン酸金属塩(2−エチルヘキサン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ミスチリン酸などの亜鉛塩、スズ塩、ジルコニウム塩)やリン酸エステル金属(オクチルリン酸、ステアリルリン酸等の亜鉛塩)、アルコキシ金属塩(トリブチルアルミニウム、テトラプロピルジルコニウム等)、アセチルアセトン塩(アセチルアセトンジルコニウムキレート、アセチルアセトンチタンキレート等)等の金属化合物等、が挙げられる。本発明においては特にホスホニウム塩やアンモニウム塩、金属化合物類が硬化時の着色やその変化の面において好ましい。また4級塩を使用する場合、ハロゲンとの塩はその硬化物にハロゲンを残すことになり、電気信頼性および県境問題の視点から好ましくない。
硬化促進剤は、エポキシ樹脂100に対して0.01〜5.0重量部が必要に応じ用いられる。
【0028】
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤を含有することが好ましい。例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール樹脂、カルボン酸系化合物などが挙げられる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂などの含窒素化合物(アミン、アミド化合物);無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物、などの酸無水物;各種アルコール、カルビノール変性シリコーン、と前述の酸無水物との付加反応により得られるカルボン酸樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4’−ビス(クロロメチル)ベンゼン又は1,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、テルペンとフェノール類の縮合物などのフェノール樹脂;イミダゾール、トリフルオロボラン−アミン錯体、グアニジン誘導体の化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本発明においては特に電子材料用途に使用するため、前述のフェノール樹脂が好ましい。
【0029】
本発明のエポキシ樹脂組成物における硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.7〜1.2当量が好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.7当量に満たない場合、あるいは1.2当量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られないことがある。
【0030】
なお、他成分としてシアナートエステル化合物の使用は好ましい。シアナートエステル化合物は単独での硬化反応に加え、エポキシ樹脂との反応により、より架橋密度の高い、耐熱性の硬化物とすることができる。シアナートエステル樹脂としては、例えば、2,2−ビス(4−シアネートフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアネートフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアネートフェニル)エタン、これらの誘導体、芳香族シアネートエステル化合物等が挙げられる。また、例えば前述の硬化材に記載したような、各種フェノール樹脂と青酸もしくはその塩類との反応により合成も可能である。本発明においては特に2,2−ビス(4−シアネートフェニル)プロパンやその誘導体(部分重合物等)のように分子内にベンジル位のメチレン構造を有しない構造のものが好ましく、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、リン含有化合物を難燃性付与成分として含有させることもできる。リン含有化合物としては反応型のものでも添加型のものでもよい。リン含有化合物の具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジル−2,6−ジキシリレニルホスフェート、1,3−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、1,4−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、4,4'−ビフェニル(ジキシリレニルホスフェート)等のリン酸エステル類;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のホスファン類;エポキシ樹脂と前記ホスファン類の活性水素とを反応させて得られるリン含有エポキシ化合物、赤リン等が挙げられるが、リン酸エステル類、ホスファン類またはリン含有エポキシ化合物が好ましく、1,3−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、1,4−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、4,4'−ビフェニル(ジキシリレニルホスフェート)またはリン含有エポキシ化合物が特に好ましい。リン含有化合物の含有量はリン含有化合物/全エポキシ樹脂=0.1〜0.6(重量比)が好ましい。0.1以下では難燃性が不十分であり、0.6以上では硬化物の吸湿性、誘電特性に悪影響を及ぼす懸念がある。
【0032】
さらに本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じてバインダー樹脂を配合することも出来る。バインダー樹脂としてはブチラール系樹脂、アセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ−ナイロン系樹脂、NBR−フェノール系樹脂、エポキシ−NBR系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。バインダー樹脂の配合量は、硬化物の難燃性、耐熱性を損なわない範囲であることが好ましく、エポキシ樹脂と硬化剤の合計100重量部に対して通常0.05〜50重量部、好ましくは0.05〜20重量部が必要に応じて用いられる。
【0033】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて無機充填剤を添加することができる。無機充填剤としては、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら充填材は、単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これら無機充填剤の含有量は、本発明のエポキシ樹脂組成物中において、用途にもよるが一般に0〜95重量%を占める量が用いられ、特に封止材の用途で使用する場合、好ましくは50〜95重量%、特に好ましくは65〜95重量%の範囲でパッケージの形状により使い分けることが好ましい。更に本発明のエポキシ樹脂組成物には、酸化防止剤、光安定剤、シランカップリング剤、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の離型剤、顔料等の種々の配合剤、各種熱硬化性樹脂を添加することができる。特にカップリング材についてはエポキシ基を有するカップリング材、もしくはチオールを有するカップリング材の添加が好ましい。
【0034】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、各成分を均一に混合することにより得られる。本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。例えばエポキシ樹脂成分と硬化剤成分並びに必要により硬化促進剤、リン含有化合物、バインダー樹脂、無機充填材および配合剤等とを必要に応じて押出機、ニーダー、ロール、プラネタリーミキサー等を用いて均一になるまで充分に混合してエポキシ樹脂組成物を得、得られたエポキシ樹脂組成物が液状である場合はポッティングやキャスティングにより、該組成物を基材に含浸したり、金型に流し込み注型したりして、加熱により硬化させる。また得られたエポキシ樹脂組成物が固形の場合、溶融後注型、あるいはトランスファー成型機などを用いて成型し、さらに加熱により硬化させる。硬化温度、時間としては80〜200℃で2〜10時間である。硬化方法としては高温で一気に硬化させることもできるが、ステップワイズに昇温し、硬化反応を進めることが好ましい。具体的には80〜150℃の間で初期硬化を行い、100℃〜200℃の間で後硬化を行う。硬化の段階としては2〜8段階に分けて昇温するのが好ましく、より好ましくは2〜4段階である。
【0035】
また本発明のエポキシ樹脂組成物をトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の溶剤に溶解させ、硬化性樹脂組成物ワニスとし、ガラス繊維、カ−ボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させて加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形することにより、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物とすることができる。この際の溶剤は、本発明のエポキシ樹脂組成物と該溶剤の混合物中で通常10〜70重量%、好ましくは15〜70重量%を占める量を用いる。
【0036】
また本発明のエポキシ樹脂組成物をフィルム型封止用組成物として使用することもできる。このようなフィルム型樹脂組成物を得る場合は、本発明の硬化性樹脂組成物を剥離フィルム上に前記ワニスを塗布し加熱下で溶剤を除去、Bステージ化を行うことによりシート状の接着剤を得る。このシート状接着剤は、多層基板などにおける層間絶縁層、光半導体の一括フィルム封止として使用することが出来る。
【0037】
これら組成物の具体的な用途としては、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む、封止材の他、封止材、基板用のシアネート樹脂組成物)や、レジスト用硬化剤としてアクリル酸エステル系樹脂等、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。本発明においては。電子材料用の絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む、封止材の他、封止材、基板用のシアネート樹脂組成物)への使用が特に好ましい。
【0038】
接着剤としては、土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用の接着剤の他、電子材料用の接着剤が挙げられる。これらのうち電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
【0039】
封止剤、基板としては、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSIなど用のポッティング、ディッピング、トランスファーモールド封止、IC、LSI類のCOB、COF、TABなど用のといったポッティング封止、フリップチップなどの用のアンダーフィル、QFP、BGA、CSPなどのICパッケージ類実装時の封止(補強用アンダーフィルを含む)およびパッケージ基板などを挙げることができる。またネットワーク基板や、モジュール基板といった機能性が求められる基板用途へも好適である。
【0040】
本発明においては、特に半導体装置に使用されることが好ましい。
半導体装置とは前述に挙げるICパッケージ群となる。
本発明の半導体装置は、パッケージ基板や、ダイなどの支持体に設置したシリコンチップを本発明のエポキシ樹脂組成物で封止することで得られる。成型温度、成型方法については前述のとおりである。
【実施例】
【0041】
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限り重量部である。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下に実施例で用いた各種分析方法について記載する。
エポキシ当量: JIS K 7236 (ISO 3001)に準拠
ICI溶融粘度: JIS K 7117−2 (ISO 3219)に準拠
軟化点: JIS K 7234 に準拠
全塩素: JIS K 7243−3 (ISO 21672−3)に準拠
塩素イオン: JIS K 7243−1 (ISO 21672−1)に準拠
GPC:
カラム(Shodex KF−603、KF−602x2、KF−601x2)
連結溶離液はテトラヒドロフラン
流速は0.5ml/min.
カラム温度は40℃
検出:RI(示差屈折検出器)
【0042】
(合成例1)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらβ−ナフトール144部、オルソクレゾール65部、メチルイソブチルケトン220部を加え、ここに48部の25%の濃度の水酸化ナトリウム水溶液を添加後、10℃で35%の濃度のホルマリン88.4部を滴下し、10℃で2時間撹拌した後、35%の濃塩酸を32部加え、中和した後、30℃で3時間撹拌した。得られた反応液にメチルイソブチルケトン100部、水100部を加えた後、水層を廃棄し、さらにパラホルムアルデヒド4.6部とp−トルエンスルホン酸を加え75℃で4時間かけて前記式(4)の化合物を熱分解しながらノボラック化反応を行った。
反応終了後30%の水酸化ナトリウム水溶液5部を添加し、水洗後、有機層を取り出し、溶剤をロータリーエバポレータで留去した。
再度この樹脂をトルエン300部に溶解した。この時の前記式(4)の化合物の含有量は1.5面積%、前記式(5)の化合物は31面積%、残留ナフトール4面積%であった。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら、この溶液を仕込んだ後、更にパラトルエンスルホン酸1部を加え、80℃に昇温した後、ホルマリン15部を加え、1時間撹拌後、110℃まで徐々に水を抜きながら昇温し、還流条件で3時間反応を行った。その後水洗し、得られた有機層をロータリーエバポレータで減圧下で溶剤を留去することで本発明のフェノール樹脂213部を得た。
得られたフェノール樹脂の軟化点は138.1℃、前記式(4)の化合物0.2面積%、(5)の化合物4.8面積%、残留ナフトールは0.2面積%、残留クレゾールは0.1%以下であった。また、水酸基当量は141g/eq.であった。
(実施例1)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら本発明のフェノール樹脂BN1を141部、エピクロロヒドリン416部(4.5モル当量 対 フェノール樹脂)、ジメチルスルホキシド45部を加え、撹拌下で溶解し、40〜45℃にまで昇温した。次いでフレーク状の水酸化ナトリウム41部を90分かけて分割添加した後、更に40℃で2時間、70℃で1時間反応を行った。反応終了後,水500部で水洗を行い、油層からロータリーエバポレーターを用いて減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤類を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン500部を加え溶解し、70℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%の水酸化ナトリウム水溶液10部を加え、1時間反応を行った後、油層の洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液から、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することで本発明のエポキシ樹脂(EP1)171部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は228g/eq.軟化点90℃、150℃における溶融粘度(ICI溶融粘度 コーン#3)は0.9Pa・sであった。
なお、前記式(2)の化合物1面積%、(3)の化合物4面積%、グリシジルオキシナフタレンは0.2面積%、n=2、3、4の化合物の総量は69面積%、n=5以上の化合物の量は27面積%であった。
【0043】
(合成例2)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらβ−ナフトール124部、α−ナフトール20部、オルソクレゾール64.9部、メチルイソブチルケトン150部を加え、ここに35%濃塩酸20部を加えた後、ホルマリン100部を添加し、10℃で5時間、45℃で4時間反応した。この際、前記式(4)の化合物の含有量は26面積%、前記式(5)の化合物は10面積%であった。
ここで、水層を抜き出した後、さらにパラホルムアルデヒド8部、p−トルエンスルホン酸2部を加え80℃まで昇温し、前記式(4)を熱分解しながらノボラック化反応を行った。
反応終了後30%の水酸化ナトリウム水溶液5部を添加し、水洗後、有機層を取り出し、溶剤をロータリーエバポレータで留去することで本発明のフェノール樹脂(BN2)210部を得た。
得られたフェノール樹脂の軟化点は125.7℃、前記式(4)の化合物3面積%、(5)の化合物6面積%、残留ナフトールは0.2面積%、残留クレゾールは0.1%以下であった。また、水酸基当量は144g/eq.であった。
(実施例2)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら本発明のフェノール樹脂BN2を144部、エピクロロヒドリン370部(4モル当量 対 フェノール樹脂)、ジメチルスルホキシド37部を加え、撹拌下で溶解し、40〜45℃にまで昇温した。次いでフレーク状の水酸化ナトリウム41部を90分かけて分割添加した後、更に40℃で2時間、70℃で1時間反応を行った。反応終了後,水500部で水洗を行い、油層からロータリーエバポレーターを用いて減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤類を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン500部を加え溶解し、70℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%の水酸化ナトリウム水溶液10部を加え、1時間反応を行った後、油層の洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液から、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することで本発明のエポキシ樹脂(EP2)179部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は219g/eq.軟化点93℃、150℃における溶融粘度(ICI溶融粘度 コーン#3)は0.4Pa・sであった。
なお、前記式(2)の化合物が0.3面積%、(3)の化合物3面積%、グリシジルオキシナフタレンは0.3面積%、n=2,3,4の化合物の総量は74面積%、n=5以上の化合物の量は22面積%であった。
【0044】
(合成例3)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらβ−ナフトール134部、α−ナフトール10部、オルソクレゾール55部、メチルイソブチルケトン150部を加え、ここに35%濃塩酸20部を加えた後、ホルマリン75部を添加し、10℃で5時間、45℃で4時間反応した。この際、前記式(4)の化合物の含有量は39面積%、前記式(5)の化合物は21面積%であった。
ここで、水層を抜き出した後、さらにパラホルムアルデヒド15部、p−トルエンスルホン酸2部を加え80℃まで昇温し、前記式(4)を熱分解しながらノボラック化反応を行った。
反応終了後30%の水酸化ナトリウム水溶液5部を添加し、水洗後、有機層を取り出し、溶剤をロータリーエバポレータで留去することで本発明のフェノール樹脂(BN3)212部を得た。
得られたフェノール樹脂の軟化点は134.4℃、前記式(4)の化合物1.9面積%、(5)の化合物4.7面積%、残留ナフトールは0.8面積%、残留クレゾールは0.1%以下であった。また、水酸基当量は148g/eq.であった。
(実施例3)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら本発明のフェノール樹脂BN3を148部、エピクロロヒドリン416部(4.5モル当量 対 フェノール樹脂)、ジメチルスルホキシド45部を加え、撹拌下で溶解し、40〜45℃にまで昇温した。次いでフレーク状の水酸化ナトリウム41部を90分かけて分割添加した後、更に40℃で2時間、70℃で1時間反応を行った。反応終了後,水500部で水洗を行い、油層からロータリーエバポレーターを用いて減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤類を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン500部を加え溶解し、70℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%の水酸化ナトリウム水溶液12部を加え、1時間反応を行った後、油層の洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液から、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することで本発明のエポキシ樹脂(EP3)178部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は226g/eq.軟化点95℃、150℃における溶融粘度(ICI溶融粘度 コーン#3)は0.7Pa・sであった。
なお、前記式(2)の化合物が0.9面積%、(3)の化合物1.9面積%、グリシジルオキシナフタレンは0.6面積%、n=2,3,4の化合物の総量は71面積%、n=5以上の化合物の量は26面積%であった。
【0045】
(合成例4)
日本国特許3935584に準拠し、下記の合成を行った。
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらβ−ナフトール288部、オルソクレゾール108部、メチルイソブチルケトン841部を加えた。ここにパラホルムアルデヒドを67部添加し、25℃で2時間反応を行った。反応終了後、35%濃塩酸41部を加え中和した後、p−トルエンスルホン酸5.7部を添加し、25℃で2時間、80℃で2時間反応を行った。その後反応液が中性になるまで水洗し、油層の溶剤などを加熱減圧下留去し、フェノール樹脂BN4を410部を得た。
得られたフェノール樹脂の軟化点は108℃、前記式(4)の化合物8面積%、(5)の化合物36面積%、残留ナフトールは3.5面積%、残留クレゾールは0.1%以下であった。また、水酸基当量は140g/eq.であった。
【0046】
(合成例5)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら本発明のフェノール樹脂BN4を140部、エピクロロヒドリン416部(4.5モル当量 対 フェノール樹脂)、ジメチルスルホキシド45部を加え、撹拌下で溶解し、40〜45℃にまで昇温した。次いでフレーク状の水酸化ナトリウム41部を90分かけて分割添加した後、更に40℃で2時間、70℃で1時間反応を行った。反応終了後,水500部で水洗を行い、油層からロータリーエバポレーターを用いて減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤類を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン500部を加え溶解し、70℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%の水酸化ナトリウム水溶液12部を加え、1時間反応を行った後、油層の洗浄水が中性になるまで水洗を行い、得られた溶液から、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することで本発明のエポキシ樹脂(EP4)183部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は219g/eq.軟化点95℃、150℃における溶融粘度(ICI溶融粘度 コーン#3)は0.15Pa・sであった。
なお、前記式(2)の化合物が7面積%、(3)の化合物28面積%、グリシジルオキシナフタレンは3面積%、n=2,3,4の化合物の総量は60面積%、n=5以上の化合物の量は2面積%であった。
【0047】
実施例4〜7、比較例1〜3
前記で得られたエポキシ樹脂(EP1〜EP4)とまたEP5(ナフトールクレゾールノボラック型エポキシ樹脂 日本化薬株式会社製 NC−7300L 前記式(2)の化合物が0.3面積%、(3)の化合物29面積%、グリシジルオキシナフタレンは1面積%、n=2,3,4の化合物の総量は69面積%、n=5以上の化合物の量は1面積%)を用いて、表1の割合(重量部)で配合し、ミキシングロールを用いて均一に混合・混練し、封止用エポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物をミキサーにて粉砕し、更にタブレットマシーンにてタブレット化した。このタブレット化されたエポキシ樹脂組成物をトランスファー成型(175℃×60秒)し、更に脱型後160℃×2時間+180℃×3時間の条件で硬化、評価用試験片を得た。
なお、硬化物の物性は以下の要領で測定した。
<TMA測定条件>
熱機械測定装置 真空理工(株)製 TM−7000 昇温速度:2℃/分
<DMA測定条件>
動的粘弾性測定器:TA−instruments製、DMA−2980
測定温度範囲:−30℃〜280℃
温速度:2℃/分
試験片サイズ:5mm×50mmに切り出した物を使用した(厚みは約800μm)。
解析条件
Tg:DMA測定に於けるTanδのピーク点(tanδMAX)をTgとした。
<耐熱分解特性測定条件>
TG−DTAにて測定
測定サンプル :粉状 (100μmメッシュ通過、 75μmメッシュオン) 5-10mg
測定条件 : 昇温速度 10℃/min Air flow 200ml
5%重量減少温度を測定した。
【0048】
【表1】
【0049】
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させた硬化物は高い耐熱性を有するだけでなく。耐熱分解特性にも優れる。今後重要であるパワーデバイス周辺材料に有用であることが明らかである。