特許第6302309号(P6302309)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 川崎重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6302309-二酸化炭素分離回収システム 図000002
  • 特許6302309-二酸化炭素分離回収システム 図000003
  • 特許6302309-二酸化炭素分離回収システム 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6302309
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】二酸化炭素分離回収システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20180319BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20180319BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20180319BHJP
【FI】
   B01D53/04 230
   B01D53/62
   C01B32/50
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-57508(P2014-57508)
(22)【出願日】2014年3月20日
(65)【公開番号】特開2015-181964(P2015-181964A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥村 雄志
(72)【発明者】
【氏名】野中 嘉治
(72)【発明者】
【氏名】荻野 智行
(72)【発明者】
【氏名】西部 祥平
(72)【発明者】
【氏名】庄司 恭敏
【審査官】 松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−525105(JP,A)
【文献】 特表2014−516785(JP,A)
【文献】 特開2010−069398(JP,A)
【文献】 特開2013−121562(JP,A)
【文献】 特開2012−250142(JP,A)
【文献】 特開2013−147386(JP,A)
【文献】 特表2015−515925(JP,A)
【文献】 特開2009−023907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/02− 53/12
B01D 53/34− 53/73
B01D 53/74− 53/85
B01D 53/92
B01D 53/96
B01J 20/00− 20/34
C01B 32/00− 32/991
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着剤を用いて対象ガス中の二酸化炭素を分離および回収する二酸化炭素分離回収システムであって、
前記対象ガスを前記吸着剤に接触させて前記吸着剤に前記対象ガス中の二酸化炭素を吸着させ、二酸化炭素が除去された前記対象ガスを排出する吸着塔と、
二酸化炭素を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機から吐出された二酸化炭素を、負圧の水蒸気を吸引しながら膨張させることによって常圧のウエットガスを生成するエジェクタと、
前記エジェクタから流出する前記ウエットガスを二酸化炭素吸着後の前記吸着剤に接触させて前記吸着剤から二酸化炭素を放出させ、放出された二酸化炭素を排出する再生塔と、
前記ウエットガスと接触後の前記吸着剤を乾燥させる乾燥塔と、
を備える、二酸化炭素分離回収システム。
【請求項2】
前記再生塔から排出される二酸化炭素の一部を前記圧縮機へ導く還流路をさらに備える、請求項1に記載の二酸化炭素分離回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着剤を用いて対象ガス中の二酸化炭素を分離および回収する二酸化炭素分離回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、吸着剤を用いて対象ガス中の二酸化炭素を分離および回収する二酸化炭素分離回収システムが知られている。例えば、特許文献1には、図3に示すような二酸化炭素分離回収システム100が開示されている。
【0003】
具体的に、二酸化炭素分離回収システム100では、吸着材が、ホッパー110、吸着塔120、再生塔130、乾燥塔140、冷却塔150の順に移送される。また、吸着剤は、コンベヤ160により冷却塔150からホッパー110へ戻される。
【0004】
吸着塔120では、対象ガスが吸着材と接触させられ、対象ガス中の二酸化炭素が吸着材に吸着される。再生塔130には乾燥塔140から水蒸気が供給され、その水蒸気が二酸化炭素吸着後の吸着材に凝縮することによって、吸着材から二酸化炭素が放出される。放出された二酸化炭素は、二酸化炭素回収路135を通じて回収ポンプ170に吸引され、回収ポンプ170で圧縮された後に二酸化炭素ホルダ180に貯留される。
【0005】
乾燥塔140は、間接加熱により吸着材に付着した凝縮水を蒸発させる。凝縮水の蒸発に由来する水蒸気は、再生用の水蒸気として再生塔130に供給される。例えば、乾燥塔140には、熱媒体として、ゲージ圧で負圧(絶対圧で約20kPa)の飽和水蒸気(例えば、60℃)が供給される。
【0006】
乾燥塔140および再生塔130は連続したタンクで構成されているので、乾燥塔140および再生塔140内は、回収ポンプ170の吸引によって、熱媒体によって凝縮水が蒸発し得る圧力(例えば、約20kPa)に調整される。このため、吸着塔120と再生塔130の間および乾燥塔140と冷却塔150の間には、大気圧に対する圧力差を保つための差圧保持装置(例えば、ロックホッパ)が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−121562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図3に示す二酸化炭素分離回収システム100で乾燥用の熱媒体として負圧の飽和水蒸気が用いられている理由は、少ないエネルギー(例えば、種々の設備からの100℃未満の廃熱)で吸着材再生用の水蒸気を生成するためである。しかしながら、負圧の飽和水蒸気を用いた場合には、上述したように差圧保持装置が必要になる。
【0009】
そこで、本発明は、少ないエネルギーで生成可能な低温(100℃未満)・負圧の水蒸気を利用して吸着材を再生でき、かつ、差圧保持装置が不要な二酸化炭素分離回収システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明の二酸化炭素分離回収システムは、吸着剤を用いて対象ガス中の二酸化炭素を分離および回収する二酸化炭素分離回収システムであって、前記対象ガスを前記吸着剤に接触させて前記吸着剤に前記対象ガス中の二酸化炭素を吸着させ、二酸化炭素が除去された前記対象ガスを排出する吸着塔と、二酸化炭素を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から吐出された二酸化炭素を、負圧の水蒸気を吸引しながら膨張させることによって常圧のウエットガスを生成するエジェクタと、前記エジェクタから流出する前記ウエットガスを二酸化炭素吸着後の前記吸着剤に接触させて前記吸着剤から二酸化炭素を放出させ、放出された二酸化炭素を排出する再生塔と、前記ウエットガスと接触後の前記吸着剤を乾燥させる乾燥塔と、を備えることを特徴とする。
【0011】
ここで、「常圧のウエットガス」とは、大気圧と実質的に等しい圧力(例えば、大気圧から±5%の範囲内の圧力)を有するウエットガスをいう。
【0012】
上記の構成によれば、常圧のウエットガスが再生塔に供給されるので、大気圧に対する差圧保持装置が不要である。しかも、そのウエットガスはエジェクタによって生成される。エジェクタは負圧の水蒸気を吸引するため、少ないエネルギーで生成可能な低温・負圧の水蒸気を利用して吸着材再生用のウエットガスを生成することができる。その上、エジェクタに吸引される水蒸気が100℃未満であっても、その水蒸気に圧縮機で圧縮された高温の二酸化炭素が混合されるため、100℃以上のウエットガスを容易に生成することができる。また、ウエットガス中の水蒸気以外の成分は二酸化炭素であるので、再生塔からは高濃度の二酸化炭素を回収することができる。
【0013】
上記の二酸化炭素分離回収システムは、前記再生塔から排出される二酸化炭素の一部を前記圧縮機へ導く還流路をさらに備えてもよい。この構成によれば、再生塔からの廃熱をウエットガスの生成に合理的に利用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、少ないエネルギーで生成可能な低温・負圧の水蒸気を利用して吸着材を再生でき、かつ、差圧保持装置が不要な二酸化炭素分離回収システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る二酸化炭素分離回収システムの概略構成図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る二酸化炭素分離回収システムの概略構成図である。
図3】従来の二酸化炭素分離回収システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の二酸化炭素分離回収システムは、吸着材を用いて対象ガス中の二酸化炭素を分離および回収するものである。対象ガスは、例えば、燃焼排ガスである。吸着材は、例えば、アミン化合物を担持する多孔性物質である。多孔性物質としては、活性炭、活性アルミナなどを用いることができる。以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態に係る二酸化炭素分離システム1Aを示す。この二酸化炭素分離回収システム1Aは、吸着材が、吸着塔2、再生塔3、乾燥塔4の順に移送される移動層方式のシステムである。吸着材は、図略のコンベヤなどにより乾燥塔4から吸着塔2へ戻される。
【0018】
本実施形態では、吸着塔2、再生塔3および乾燥塔4が上から下へこの順に並べられている。例えば、吸着塔2、再生塔3および乾燥塔4のそれぞれは単一のタンクで構成される。そして、吸着塔2から再生塔3への吸着材の移送、および再生塔3から乾燥塔4への吸着剤の移送は、例えば、重力によって連続的に行われる。
【0019】
ただし、吸着塔2、再生塔3および乾燥塔4の構成は適宜変更可能である。例えば、吸着塔2、再生塔3および乾燥塔4のうちの2つまたは全てが連続したタンクで構成されていてもよい。また、吸着塔2、再生塔3および乾燥塔4は、独立して横方向に並んでいて、コンベヤによって吸着材が吸着塔2、再生塔3、乾燥塔4の順に移送されてもよい。
【0020】
吸着塔2は、対象ガスを吸着材に接触させるものである。具体的に、吸着塔2の下部には対象ガス供給路21が接続されており、吸着塔2の上部には対象ガス排出路22が接続されている。吸着塔2には、対象ガス供給路21を通じて対象ガスが供給される。これにより、対象ガス中の二酸化炭素が吸着材に吸着される。二酸化炭素が除去された対象ガスは、対象ガス排出路22を通じて排出される。二酸化炭素吸着後の吸着材は、再生塔3へ移送される。
【0021】
一例として、吸着塔2へ投入されるときの吸着材の温度は約40℃であり、吸着塔2に供給される対象ガスの温度は約35℃である。吸着材の温度は、吸着材が二酸化炭素を吸着することによって、若干上昇する(例えば、約60℃)。
【0022】
再生塔3は、ウエットガスを吸着材に接触させるものである。具体的に、再生塔3の下部にはウエットガス供給路31が接続されており、再生塔3の上部には、二酸化炭素回収路32が接続されている。再生塔3には、ウエットガス供給路31を通じて、常圧で100℃以上のウエットガスが供給される。ウエットガスは、二酸化炭素と水蒸気の混合ガスである。
【0023】
再生塔3内では、ウエットガス中の水蒸気が吸着材に凝縮し、吸着材から二酸化炭素が放出される。なお、ウエットガス中の水蒸気の量は、ウエットガス中の水蒸気のほぼ全てが吸着材に凝縮する程度である。吸着材から放出された二酸化炭素およびウエットガス中の二酸化炭素は、二酸化炭素回収路32を通じて排出される。二酸化炭素回収路32を通じて排出される二酸化炭素の濃度は、ほぼ100%である。凝縮水が付着した吸着材は、乾燥塔4へ移送される。
【0024】
一例として、再生塔3へ供給されるウエットガスの温度は100℃である。吸着材の温度は、吸着材とウエットガスとの接触および吸着材へのウエットガス中の水蒸気の凝縮により、約100℃まで上昇する。
【0025】
乾燥塔4は、ウエットガスと接触後の吸着材を乾燥させるものである。本実施形態では、吸着材の乾燥が、乾燥用ガスを吸着材に接触させる直接加熱により行われる。ただし、吸着材の乾燥は、乾燥塔4内に通された配管に熱媒体が流される間接加熱により行われてもよい。例えば、間接加熱用の熱媒体としては、再生塔3から排出される二酸化炭素、後述する圧縮機51で圧縮された二酸化炭素、再生塔3へ供給される前のウエットガスなどを用いてもよい。
【0026】
具体的に、乾燥塔4の下部には乾燥用ガス供給路41が接続されており、乾燥塔4の上部には乾燥用ガス排出路42が接続されている。乾燥塔4には、乾燥用ガス供給路41を通じて乾燥用ガスが供給される。これにより、吸着材に付着した凝縮水が蒸発する。凝縮水の蒸発に由来する水蒸気は、乾燥用ガスと共に乾燥用ガス排出路42を通じて排出される。乾燥後の吸着材は、吸着塔2へ戻される。
【0027】
一例として、乾燥塔4へ供給される乾燥用ガスの温度は約80℃である。吸着材の乾燥が進むにつれて、吸着材の温度は、吸着材に付着した凝縮水の蒸発により、乾燥用ガスの湿球温度まで徐々に下がる。その後、吸着材の温度は、凝縮水の蒸発中は乾燥用ガスの湿球温度に維持される。上記の「乾燥後の吸着材」とは、凝縮水が完全に蒸発する直前の吸着材、すなわち低温に維持された吸着材である。なお、乾燥用ガスの湿球温度が吸着塔2への投入温度(上記の例示では、約40℃)よりも高い場合は、乾燥塔4と吸着塔2の間に冷却塔を設けてもよい。
【0028】
上述したウエットガス供給路31の上流端は、エジェクタ53に接続されている。また、エジェクタ53は、中継路52により圧縮機51と接続されている。さらに、圧縮機51には、二酸化炭素回収路32から分岐する還流路6がつながっている。
【0029】
還流路6は、再生塔3から排出される二酸化炭素の一部を圧縮機51へ導く。圧縮機51は、その二酸化炭素を圧縮して吐出する。圧縮機51から吐出された二酸化炭素は、中継路52を通じてエジェクタ53へ導かれる。
【0030】
エジェクタ53は、水蒸気供給路54により水蒸気供給源と接続されている。水蒸気供給源は、例えば、負圧の水蒸気を排出するタービンやボイラである。あるいは、水蒸気供給源は、水を貯留する密閉容器であってもよい。そして、エジェクタ53は、圧縮された二酸化炭素を、負圧の水蒸気(飽和水蒸気または過熱水蒸気)を吸引しながら膨張させる。これにより、上述した常圧のウエットガスが生成される。エジェクタ53から流出するウエットガスは、ウエットガス供給路31により再生塔3へ導かれる。
【0031】
一例として、圧縮機51から吐出される二酸化炭素は、約410kPaの圧力および約265℃の温度を有し、エジェクタ53に吸引される水蒸気は、約7kPaの飽和水蒸気(約40℃)である。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の二酸化炭素分離回収システム1Aでは、常圧のウエットガスが再生塔3に供給されるので、大気圧に対する差圧保持装置が不要である。しかも、そのウエットガスはエジェクタ53によって生成される。エジェクタ53は負圧の水蒸気を吸引するため、少ないエネルギーで生成可能な低温・負圧の水蒸気を利用して吸着材再生用のウエットガスを生成することができる。例えば、エジェクタ53が水を貯留する密閉容器に接続されている場合、圧縮機51の動力のみでウエットガスを生成することもできる。その上、エジェクタ53に吸引される水蒸気が100℃未満であっても、その水蒸気に圧縮機51で圧縮された高温の二酸化炭素が混合されるため、100℃以上のウエットガスを容易に生成することができる。また、ウエットガス中の水蒸気以外の成分は二酸化炭素であるので、再生塔3からは高濃度の二酸化炭素を回収することができる。
【0033】
<変形例>
上述したように、吸着塔2、再生塔3および乾燥塔4の構成は適宜変更可能である。例えば、吸着塔2が乾燥塔4の下方に配置され、それらが連続したタンクで構成されていてもよい。換言すれば、1つのタンクの下部が吸着塔2、上部が乾燥塔4となっていてもよい。この場合には、そのタンクの下部に対象ガス供給路21を接続し、タンクの上部に対象ガス排出路22を接続すれば、二酸化炭素除去後の対象ガスを利用して凝縮水が付着した吸着材を乾燥させることができる。
【0034】
(第2実施形態)
次に、図2を参照して本発明の第2実施形態に係る二酸化炭素分離回収システム1Bを説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同一構成要素には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0035】
本実施形態の二酸化炭素分離回収システム1Bは、吸着材が充填された1つのタンク7が、吸着行程、再生行程、乾燥行程毎に、吸着塔2、再生塔3、乾燥塔4として機能する固定層方式のシステムであ。また、本実施形態では、連続的な処理が可能なように、2つのタンク7が設けられている。ただし、タンク7の数は3つ以上であってもよい。あるいは、断続的な処理を行う場合は、タンク7は1つだけであっていてもよい。なお、以下では、説明の便宜のために、一方のタンク7を第1タンク7A、他方のタンク7を第2タンク7Bという。
【0036】
具体的に、第1タンク7Aには、第1共通供給路71、第1共通排出路72、第1ウエットガス供給路73および第1二酸化炭素回収路74が接続されている。同様に、第2タンク7Bには、第2共通供給路75、第2共通排出路76、第2ウエットガス供給路77および第2二酸化炭素回収路78が接続されている。これらの流路71〜76には、それぞれ開閉弁が設けられている。
【0037】
第1共通供給路71および第2共通供給路75における開閉弁よりも上流側部分は互いに合流しており、この合流部分に、対象ガス供給路81および乾燥用ガス供給路82が接続されている。これらの供給路81,82にもそれぞれ開閉弁が設けられている。すなわち、第1共通供給路71および第2共通供給路75のそれぞれには、対象ガスと乾燥用ガスのどちらかを選択的に流すことが可能である。
【0038】
第1ウエットガス供給路73および第2ウエットガス供給路77における開閉弁よりも上流側部分は互いに合流しており、この合流部分に、エジェクタ53が接続されている。すなわち、エジェクタ53から流出する常圧のウエットガスは、第1タンク7Aと第2タンク7Bのどちらか一方に選択的に供給可能である。
【0039】
また、本実施形態では、還流路6の上流側部分が2本のラインに分岐しており、それらのラインが第1二酸化炭素回収路74および第2二酸化炭素回収路78における開閉弁よりも下流側部分につながっている。すなわち、還流路6により圧縮機51に導かれる二酸化炭素を、第1タンク7Aから排出される二酸化炭素と第2タンク7Bから排出される二酸化炭素のどちらかに切り換え可能となっている。
【0040】
上述した構成では、開閉弁を操作することにより、一方のタンク7で吸着材を再生させながら、他方のタンクで吸着材による二酸化炭素の吸着および吸着材の乾燥を行うことができる。そして、この構成でも、圧縮機51およびエジェクタ53により、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
(その他の実施形態)
第1および第2実施形態では、還流路6によって再生塔4(第2実施形態ではどちらかのタンク7)から排出される二酸化炭素の一部が圧縮機51へ導かれていた。しかしながら、還流路6は省略可能である。例えば、圧縮機51は、二酸化炭素が充填された圧力容器に接続されていてもよい。ただし、第1および第2実施形態のように還流路6が設けられていれば、再生塔4からの廃熱をウエットガスの生成に合理的に利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、例えば、燃焼排ガスを処理する際に有用である。
【符号の説明】
【0043】
1A,1B 二酸化炭素分離回収システム
2 吸着塔
3 再生塔
4 乾燥塔
51 圧縮機
53 エジェクタ
6 還流路
図1
図2
図3