特許第6302318号(P6302318)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6302318成型触媒及びその製造方法、並びに不飽和アルデヒドの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6302318
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】成型触媒及びその製造方法、並びに不飽和アルデヒドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 37/00 20060101AFI20180319BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20180319BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20180319BHJP
   B01J 23/88 20060101ALI20180319BHJP
   C07C 45/35 20060101ALI20180319BHJP
   C07C 47/22 20060101ALI20180319BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20180319BHJP
【FI】
   B01J37/00 C
   B01J37/08
   B01J35/10 301G
   B01J35/10 301J
   B01J23/88 Z
   C07C45/35
   C07C47/22 A
   !C07B61/00 300
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-66756(P2014-66756)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-188800(P2015-188800A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2017年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 淳
(72)【発明者】
【氏名】松下 健
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−140210(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/002029(WO,A1)
【文献】 特開2010−214217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 − 38/74
C07C 45/35
C07C 47/22
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン及び/又はアルコールから不飽和アルデヒドを製造する際に用いる成型触媒の製造方法であって、
原料スラリーを調製する調製工程と、
前記原料スラリーを乾燥して乾燥体を得る乾燥工程と、
前記乾燥体を仮焼成して仮焼成体を得る仮焼成工程と、
前記仮焼成体100質量%に0.10〜5.0質量%の成型助剤を添加した状態で成型して成型体を得る成型工程と、
前記成型体を、酸素濃度0.10〜18体積%の雰囲気下で本焼成して前記成型触媒を得る本焼成工程と、を有し、
前記成型触媒が、下記組成式(1)で表される組成を有する、
Mo12BiaFebcCodefg (1)
(式中、Moはモリブデンであり、Biはビスマスであり、Feは鉄であり、元素Aはイオン半径が0.96Åよりも大きな元素(ただし、カリウム、セシウム及びルビジウムを除く)であり、Coはコバルトであり、元素Bはマグネシウム、亜鉛、銅、ニッケル、マンガン、クロム、及び錫からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、元素Cはカリウム、セシウム、及びルビジウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、a〜gは、Mo12原子に対する各元素の原子比であり、Biの原子比aは1.0≦a≦5.0であり、Feの原子比bは1.5≦b≦6.0であり、元素Aの原子比cは1.0≦c≦5.0であり、Coの原子比dは1.0≦d≦8.0であり、元素Bの原子比eは0≦e<3.0であり、元素Cの原子比fは0≦f≦2.0であり、Fe/Coの比は0.80≦b/dであり、gは酸素以外の構成元素の原子価によって決まる酸素の原子数である。)
成型触媒の製造方法。
【請求項2】
前記成型触媒の比表面積が、2.0〜4.0m2/gである、請求項1に記載の成型触媒の製造方法。
【請求項3】
前記原料スラリーが、モリブデン、ビスマス、鉄、イオン半径が0.96Åよりも大きな元素、及びコバルトを含む、請求項1又は2に記載の成型触媒の製造方法。
【請求項4】
前記仮焼成工程において、前記乾燥体を100℃から300℃まで徐々に昇温する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の成型触媒の製造方法。
【請求項5】
前記成型工程において、前記仮焼成体100質量%に0.10〜5.0質量%の前記成型助剤を添加した状態で打錠成型して前記成型体を得る、請求項1〜4のいずれか1項に記載の成型触媒の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の成型触媒の製造方法によって製造された成型触媒を用いて、オレフィン及び/又はアルコールを酸化して不飽和アルデヒドを製造する酸化工程を有する、不飽和アルデヒドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成型触媒及びその製造方法、並びに不飽和アルデヒドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オレフィン及び/又はアルコールから不飽和アルデヒドを製造する際に用いられる成型触媒の製造方法については数多くの提案がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、触媒調製時に成型助剤としてグラファイトを添加して水や硝安水で調湿することで粉同士の接着を密にして成型する成型方法が開示されている。また、特許文献2には、触媒調製時に成型助剤としてグラファイトを添加する成型方法で焼成時の発熱の制御を容易にするため、グラファイトの燃焼温度より低い温度で焼成する製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−150834号公報
【特許文献2】特開2005−161309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記方法で得られた触媒では成型助剤の添加は成型性の改良として粉体同士の接着性促進などの滑材としての役割があるが、触媒の活性、選択性は損なうことが多い。仮焼成体と成型助剤とを含む成型体を、空気雰囲気下で焼成すると、成型助剤が飛散していく際に、発熱が起こる。この発熱により、得られる成型触媒の活性、選択性が劣化すると考えられる。
【0006】
また、仮焼成体と成型助剤が均一に混合されておらず、成型助剤が偏析していると、触媒に必要以上の熱負荷を与えるため、工業スケールではしばしば温度暴走が起こる。その結果、触媒の比表面積が小さくなり、触媒の活性や選択性が低下する。こういった問題により、成型触媒による不飽和アルデヒドの収率はまだ十分ではなく、高収率で目的生成物を得ることができる触媒及びその製造方法の開発が望まれている。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、オレフィン及び/又はアルコールから不飽和アルデヒドを高収率で得ることができる成型触媒及びその製造方法、並びに成型触媒を用いた不飽和アルデヒドの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、所定の工程を有する成型触媒の製造方法であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
オレフィン及び/又はアルコールから不飽和アルデヒドを製造する際に用いる成型触媒の製造方法であって、
原料スラリーを調製する調製工程と、
前記原料スラリーを乾燥して乾燥体を得る乾燥工程と、
前記乾燥体を仮焼成して仮焼成体を得る仮焼成工程と、
前記仮焼成体100質量%に0.10〜5.0質量%の成型助剤を添加した状態で成型して成型体を得る成型工程と、
前記成型体を、酸素濃度0.10〜18体積%の雰囲気下で本焼成して前記成型触媒を得る本焼成工程と、を有し、
前記成型触媒が、下記組成式(1)で表される組成を有する、
Mo12BiaFebcCodefg (1)
(式中、Moはモリブデンであり、Biはビスマスであり、Feは鉄であり、元素Aはイオン半径が0.96Åよりも大きな元素(ただし、カリウム、セシウム及びルビジウムを除く)であり、Coはコバルトであり、元素Bはマグネシウム、亜鉛、銅、ニッケル、マンガン、クロム、及び錫からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、元素Cはカリウム、セシウム、及びルビジウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、a〜gは、Mo12原子に対する各元素の原子比であり、Biの原子比aは1.0≦a≦5.0であり、Feの原子比bは1.5≦b≦6.0であり、元素Aの原子比cは1.0≦c≦5.0であり、Coの原子比dは1.0≦d≦8.0であり、元素Bの原子比eは0≦e<3.0であり、元素Cの原子比fは0≦f≦2.0であり、Fe/Coの比は0.80≦b/dであり、gは酸素以外の構成元素の原子価によって決まる酸素の原子数である。)
成型触媒の製造方法。
〔2〕
前記成型触媒の比表面積が、2.0〜4.0m2/gである、前項〔1〕に記載の成型触媒の製造方法。
〔3〕
前記原料スラリーが、モリブデン、ビスマス、鉄、イオン半径が0.96Åよりも大きな元素、及びコバルトを含む、前項〔1〕又は〔2〕に記載の成型触媒の製造方法。
〔4〕
前記仮焼成工程において、前記乾燥体を100℃から300℃まで徐々に昇温する、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の成型触媒の製造方法。
〔5〕
前記成型工程において、前記仮焼成体100質量%に0.10〜5.0質量%の前記成型助剤を添加した状態で打錠成型して前記成型体を得る、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の成型触媒の製造方法。
〔6〕
前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の成型触媒の製造方法によって製造された成型触媒を用いて、オレフィン及び/又はアルコールを酸化して不飽和アルデヒドを製造する酸化工程を有する、不飽和アルデヒドの製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、オレフィン及び/又はアルコールから不飽和アルデヒドを高収率で得ることができる成型触媒及びその製造方法、並びに成型触媒を用いた不飽和アルデヒドの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0012】
〔成型触媒の製造方法〕
本実施形態の成型触媒の製造方法は、オレフィン及び/又はアルコールから不飽和アルデヒドを製造する際に用いる成型触媒の製造方法であって、原料スラリーを調製する調製工程と、前記原料スラリーを乾燥して乾燥体を得る乾燥工程と、前記乾燥体を仮焼成して仮焼成体を得る仮焼成工程と、前記仮焼成体100質量%に0.10〜5.0質量%の成型助剤を添加した状態で成型して成型体を得る成型工程と、前記成型体を、酸素濃度0.10〜18体積%の雰囲気下で本焼成して前記成型触媒を得る本焼成工程と、を有する。
【0013】
本実施形態の成型触媒の製造方法は、上記構成を有することにより、成型助剤を含む成型体を本焼成した際の発熱に由来する、触媒性能の劣化、比表面積の低下を抑制することができ、これにより高い不飽和アルデヒドを高収率で得ることのできる成型触媒が得られる。
【0014】
〔調製工程〕
調製工程は、原料スラリーを調製する工程である。原料スラリーは、成型触媒を構成する各金属元素の触媒原料を含むことが好ましい。具体的には、モリブデン、ビスマス、セリウム、鉄、コバルト、カリウム、セリウム、ルビジウム、セシウム、ニッケル、マンガン、銅、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、錫、鉛、ランタン、プラセオジウム、ネオジム、ユウロピウムを含むことが好ましく、モリブデン、ビスマス、鉄、イオン半径が0.96Åよりも大きな元素、及びコバルトを含むことがより好ましい。
【0015】
これら金属元素の触媒原料としては、特に限定されないが、例えば、水又は硝酸に可溶な、これら金属元素のアンモニウム塩、硝酸塩、塩酸塩、有機酸塩、酸化物、水酸化物、又は炭酸塩等が挙げられる。
【0016】
原料スラリー中の金属元素の含有量は、好ましくは10〜50質量%であり、より好ましくは20〜40質量%であり、さらに好ましくは25〜35質量%である。金属元素の含有量が上記範囲内であることにより、原料スラリーの均一性と酸化物触媒の生産量が共により向上する傾向にある。
【0017】
原料スラリーは、水溶性ポリマー及び/又は有機酸を含んでもよい。水溶性ポリマー及び/又は有機酸を含むことにより、原料スラリーをより均一に分散化させることができる。水溶性ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド等が挙げられる。また、有機酸としては、特に限定されないが、例えば、アミン類、アミノカルボン酸類、しゅう酸、マロン酸、コハク酸などの多価カルボン酸、グリコール酸、りんご酸、酒石酸、クエン酸などの有機酸等が挙げられる。
【0018】
水溶性ポリマー又は有機酸の含有量は、金属酸化物に対して、好ましくは0〜30質量%であり、より好ましくは1.0〜20質量%であり、さらに好ましくは2.0〜10質量%である。水溶性ポリマー又は有機酸の含有量が上記範囲内であることにより、原料スラリーの均一性と酸化物触媒の生産量がともにより向上する傾向にある。
【0019】
原料スラリーの調製方法としては、通常用いられる方法であれば特に限定されず、例えば、モリブデンのアンモニウム塩を温水に溶解させた溶液と、ビスマス、セリウム、鉄、コバルト、アルカリ金属を硝酸塩として水又は硝酸水溶液に溶解させた溶液を混合することにより調製する方法が挙げられる。
【0020】
〔熟成工程〕
成型触媒の製造方法は、原料スラリーを熟成する熟成工程を有していてもよい。「熟成」とは、原料スラリーを所定温度で所定時間、攪拌することをいう。この熟成により、原料スラリーの粘度が上昇し、原料スラリー中の固体成分の沈降を緩和し、とりわけ次の乾燥工程における成分の不均一化を抑制するのに有効となり、得られる最終製品である複合酸化物触媒の原料転化率や選択率等の触媒活性がより良好となる傾向にある。
【0021】
熟成温度は、好ましくは30〜90℃であり、より好ましくは40〜80℃であり、さらに好ましくは45〜70℃である。熟成温度が上記範囲内であることにより、原料スラリーの粘度が上昇し、原料スラリー中の固体成分の沈降を緩和し、とりわけ次の乾燥工程における成分の不均一化を抑制するのに有効となり、得られる最終製品である複合酸化物触媒の原料転化率や選択率等の触媒活性がより向上する傾向にある。
【0022】
熟成時間は、好ましくは2〜12時間であり、より好ましくは3〜8時間である。熟成時間が2時間以上であることにより、得られる成型触媒の活性及び選択性がより向上する傾向にある。一方、熟成時間が12時間以下であることにより、生産性がより向上する傾向にある。
【0023】
上記攪拌方法としては、任意の方法を採用することができ、例えば、攪拌翼を有する攪拌機による方法や、ポンプによる外部循環による方法等が挙げられる。
【0024】
調製工程又は熟成工程により得られる原料スラリー中の固形分粒子のメジアン径は、仮焼成体の安息角を小さくする観点から、好ましくは0.10〜10μmであり、より好ましくは0.5〜6.0μmであり、さらに好ましくは1.0〜4.0μmである。原料スラリーのメジアン径が10μm以下であることにより、不飽和アルデヒドの収率がより向上する傾向にある。また、原料スラリーのメジアン径が0.10μm以上であることにより、原料スラリー粘度が低下し、原料スラリーから乾燥機へのラインが詰まることをより抑制することができる。原料スラリー中の固形分粒子のメジアン径の調製方法は、特に限定されないが、例えば、ホモジナイザー等を使用して原料スラリー中の固形分粒子を粉砕してもよい。原料スラリー中の固形分粒子のメジアン径(平均粒子径)は、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(Beckman Coulter社製、商品名「LS230」)により粒子径分布を測定し、その体積平均(メジアン径)として求めることができる。
【0025】
〔乾燥工程〕
乾燥工程は、原料スラリーを乾燥して乾燥体を得る工程である。乾燥方法としては、特に限定されないが、例えば、蒸発乾涸法、噴霧乾燥法、減圧乾燥法などが挙げられる。このなかでも、乾燥体のメジアン径、仮焼成体の安息角、成型触媒の比表面積をより容易に調整する観点から噴霧乾燥法が好ましい。
【0026】
噴霧乾燥法は、通常工業的に実施される遠心方式、二流体ノズル方式、又は高圧ノズル方式等によって行うことができる。乾燥熱源としては、スチーム又は電気ヒーター等によって加熱された空気を用いることが好ましい。また、噴霧乾燥装置の乾燥機入口の温度は、好ましくは150〜400℃であり、より好ましくは200〜300℃であり、さらに好ましくは230〜260℃である。
【0027】
乾燥体のメジアン径は、好ましくは35〜65μmであり、より好ましくは40〜60μmであり、さらに好ましくは45〜55μmである。乾燥体のメジアン径が35μm以上であることにより、乾燥体粒子同士の凝集を抑制でき、仮焼成体の嵩密度が適度に増大し、得られる成型触媒の圧壊強度がより向上する傾向にある。また、噴霧乾燥体のメジアン径が65μm以下であることにより、成型触媒の活性がより向上する傾向にある。なお、乾燥体のメジアン径(平均粒子径)は、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(Beckman Coulter社製、商品名「LS230」)により粒子径分布を測定し、その体積平均(メジアン径)として求めることができる。
【0028】
〔仮焼成工程〕
仮焼成工程は、乾燥体を仮焼成して仮焼成体を得る工程である。仮焼成は、回転炉、管状炉、トンネル炉、マッフル炉、流動焼成炉等の焼成炉を用いて行うことができる。工業触媒としての生産性の観点から回転炉を用いることが好ましい。乾燥体の仮焼成方法は、用いる原料によっても異なる。
【0029】
仮焼成体の安息角は、好ましくは20°〜35°であり、好ましくは23°〜32°であり、さらに好ましくは25〜30°である。仮焼成体の安息角が上記範囲であることにより、仮焼成体の流動性がより向上するため、仮焼成体と成型助剤とをより均一に混合することができる傾向にある。また、仮焼成体の安息角が20°以上であることにより、成型触媒の嵩密度が高くなりすぎることによる不飽和アルデヒドの収率の低下をより抑制できる傾向にある。なお、仮焼成体の安息角は、原料スラリー及び乾燥体のメジアン径、仮焼成条件を調整することなどにより制御することができる。また、仮焼成体の安息角は、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0030】
このような安息角を有する仮焼成体を得る観点から、仮焼成工程において、乾燥体を100から300℃まで徐々に昇温することが好ましい。この100から300℃の昇温では、原料として含まれ得る硝酸鉄、硝酸ビスマス、硝酸セリウム、硝酸コバルトや、噴霧乾燥工程で生成する硝酸アンモニウムが、分解・蒸発する。なお、本明細書中、「徐々に昇温」とは、昇温時間にして2.0h以上かけて設定温度まで昇温することをいう。昇温レートは常に一定である必要はない。昇温時間は、安息角を小さくする観点で、好ましくは2.0h以上であり、より好ましくは2.5h〜8hであり、さらに好ましくは3h〜7hである。昇温時間が、上記範囲内であることにより、得られる仮焼成体の安息角がより減少する傾向にある。また、昇温時間が2.0h以上であることにより、硝酸塩や硝酸アンモニウムの溶解・分解が急激に進行することを抑制することができる。その結果、仮焼成体が割れたり、形状が悪化し、安息角が増大することを抑制することができる。
【0031】
300℃に昇温した後は、300℃〜350℃の温度で乾燥体を1〜24時間保持することが好ましい。
【0032】
〔成型工程〕
成型工程は、仮焼成体100質量%に0.10〜5.0質量%の成型助剤を添加した状態で成型して成型体を得る工程である。仮焼成体と成型助剤との混合方法としては、特に限定されないが、例えば、双腕式ニーダー、リボンミキサー、ヘンシェルミキサー等公知の装置を用いて行うことができる。成型助剤を用いることにより、使用時に割れやかけの生じにくい成型触媒を得ることができる。
【0033】
成型助剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、グラファイト、タルク、無機ケイ酸、炭素繊維などの無機ファイバー等が挙げられる。成型助剤の添加量は、0.10〜5.0質量%であり、好ましくは1.0〜3.0質量%であり、さらに好ましくは1.5〜2.5質量%である。成型助剤の添加量が0.10質量%以上であることにより、成型助剤が滑剤としての効果を十分に発揮し、使用時に割れやかけの生じにくい成型触媒が得られる傾向にある。また、成型助剤の添加量が5.0質量%以下であることにより、本焼成工程において、成型助剤の燃焼等に由来する発熱を抑制することができ、本焼成温度が向上しすぎてしまうことによる成型触媒の収縮を抑制することができる。
【0034】
成型方法としては、特に限定されないが、例えば、公知の打錠成型法、押出成型法、転動造粒法等が挙げられる。このなかでも、成型触媒の生産性の観点から、打錠成型法又は押出成型法により、仮焼成体を成型して成型体を得ることが好ましい。成型形状、特に限定されないが、例えば、球状、円柱状、リング(円筒状)、星型状等の形状が挙げられる。このなかでも、成型触媒の圧壊強度の高い円柱状、リング状が好ましい。
【0035】
〔本焼成工程〕
本焼成工程は、成型体を、酸素濃度0.10〜18体積%の雰囲気下で本焼成して成型触媒を得る工程である。本焼成を行うことにより、仮焼成で得られた結晶が成長する。本焼成工程における酸素濃度は、0.10〜18体積%であり、好ましくは3.0〜15体積%であり、さらに好ましくは5〜12体積%である。酸素濃度が0.10体積%以上であることにより、成型触媒が還元されすぎることを抑制でき、より活性の高い成型触媒が得られる。また、酸素濃度が18体積%以下であることにより、成型助剤の燃焼による発熱を抑制することができ、得られる成型触媒の比表面積の低下を抑制することができる。
【0036】
本焼成は、回転炉、固定炉、管状炉、トンネル炉、マッフル炉、流動焼成炉等の焼成炉を用いて行うことができる。このなかでも、成型体を崩さないようにする観点から固定炉を用いることが好ましい。
【0037】
本焼成工程においては、比表面積制御の観点から、2段以上の多段階焼成を行うことが好ましく、3段以上の多段階焼成を行うことがより好ましい。2段以上の多段階焼成を行うことにより、成型助剤の急激な発熱による比表面積の減少を抑制することができ、得られる成型触媒の活性の低下をより抑制することができる傾向にある。
【0038】
具体的には、下記条件の多段階焼成が挙げられる。
1段目:室温から250℃〜300℃まで1h以上かけて昇温し、1h以上保持
2段目:1段目の保持温度から500℃〜530℃まで1h以上かけて昇温し、1h以上保持
3段目:2段目の保持温度から530〜560℃まで1h以上かけて昇温し、5h以上保持
【0039】
また、より具体的に、成型助剤としてグラファイトを使用した場合には、下記条件の多段階焼成が挙げられる。
1段目:室温から270℃まで1hかけて昇温し、1h保持
2段目:270℃から525℃まで2hかけて昇温し、3h保持
3段目:525℃から555℃まで1hかけて昇温し、9h保持
【0040】
〔成型触媒〕
本実施形態の成型触媒は、上記成型触媒の製造方法によって製造されたものである。得られる成型触媒の比表面積は、好ましくは2.0〜4.0m2/gであり、より好ましくは2.3〜3.5m2/gであり、さらに好ましくは2.5〜3.0m2/gである。成型触媒の比表面積が2.0m2/g以上であることにより、不飽和アルデヒドの収率がより向上する傾向にある。また、成型触媒の比表面積が4.0m2/g以下であることにより、成型触媒の強度がより向上する傾向にある。比表面積を精密に制御するには、本焼成工程において成型助剤を徐々に燃焼させながら、成型助剤に由来する発熱を極力抑制する。
【0041】
成型触媒の製造方法において得られる成型触媒は、下記組成式(1)で表される組成を有することが好ましい。このような組成を有することにより、不飽和アルデヒドの選択率がより向上する傾向にある。
Mo12BiaFebcCodefg (1)
(式中、Moはモリブデンであり、Biはビスマスであり、Feは鉄であり、元素Aはイオン半径が0.96Åよりも大きな元素(ただし、カリウム、セシウム及びルビジウムを除く)であり、Coはコバルトであり、元素Bはマグネシウム、亜鉛、銅、ニッケル、マンガン、クロム、及び錫からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、元素Cはカリウム、セシウム、及びルビジウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、a〜gは、Mo12原子に対する各元素の原子比であり、Biの原子比aは1.0≦a≦5.0であり、Feの原子比bは1.5≦b≦6.0であり、元素Aの原子比cは1.0≦c≦5.0であり、Coの原子比dは1.0≦d≦8.0であり、元素Bの原子比eは0≦e<3.0であり、元素Cの原子比fは0≦f≦2.0であり、Fe/Coの比は0.80≦b/dであり、gは酸素以外の構成元素の原子価によって決まる酸素の原子数である。)
【0042】
〔不飽和アルデヒドの製造方法〕
本実施形態の不飽和アルデヒドの製造方法は、上記成型触媒の製造方法によって製造された成型触媒を用いて、オレフィン及び/又はアルコールを酸化して不飽和アルデヒドを製造する酸化工程を有する。以下、その具体例について説明するが、本実施形態の製造方法は、以下の具体例に限定されるものではない。
【0043】
オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、プロピレン及びイソブチレンが挙げられる。また、アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、t−ブチルアルコール及びイソブタノールが挙げられる。
【0044】
酸化方法としては、特に限定されないが、例えば、気相接触酸化反応を用いることができる。気相接触酸化反応は、所定の反応温度下、固定床反応器内の触媒層に、オレフィン及び/又はアルコールと、分子状酸素含有ガスと、希釈ガスと、を導入することにより進行する。
【0045】
オレフィン及び/又はアルコールは、混合ガス100体積%に対して、好ましくは1.0〜10体積%であり、より好ましくは6.0〜10体積%、さらに好ましくは7.0〜9.0体積%である。
【0046】
分子状酸素含有ガスとしては、特に限定されないが、例えば、純酸素ガス、及びN2O、空気等の酸素を含むガスが挙げられ、工業的観点から空気が好ましい。また、分子状酸素濃度は、混合ガス100体積%に対して、好ましくは1〜20体積%である。
【0047】
希釈ガスとしては、特に限定されないが、例えば、窒素、二酸化炭素、水蒸気及びこれらの混合ガスが挙げられる。水蒸気は、成型触媒へのコーキングを防ぐ観点からは含まれることが好ましいが、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸等のカルボン酸の副生を抑制するために、できるだけ混合ガス中の水蒸気濃度は低いことが好ましく、混合ガス100体積%に対して、好ましくは0〜30体積%であり、より好ましくは2〜20体積%であり、さらに好ましくは3〜10体積%である。
【0048】
分子状酸素含有ガスと希釈ガスとの混合比は、体積比で0.01<分子状酸素/(分子状酸素含有ガス+希釈ガス)<0.3の条件を満足することが好ましい。
【0049】
反応温度は、好ましくは300〜480℃であり、より好ましくは350℃〜450℃であり、さらに好ましくは400℃〜450℃である。圧力は、好ましくは常圧〜5気圧である。原料ガスを導入する空間速度は、好ましくは400〜4000/hr[Normal temperature pressure (NTP)条件下]である。
【0050】
酸素と、オレフィン及び/又はアルコールと、のモル比は、不飽和アルデヒドの収率を向上させるために反応器の出口酸素濃度を制御する観点から、好ましくは1.0〜2.0であり、より好ましくは1.1〜1.8であり、さらに好ましくは1.2〜1.6である。
【実施例】
【0051】
以下に実施例を示して、本実施形態をより詳細に説明するが、本実施形態は以下に記載の実施例によって限定されるものではない。なお、酸化物触媒における酸素原子の原子比は、他の元素の原子価条件により決定されるものであり、実施例及び比較例においては、触媒の組成を表す式中、酸素原子の原子比は省略する。また、成型触媒における各元素の組成比は、仕込みの組成比から算出した。
【0052】
実施例及び比較例において、反応成績を示すために用いた転化率、選択率、及び収率はそれぞれ次式で定義される。
転化率=(反応した原料のモル数/供給した原料のモル数)×100
選択率=(生成した化合物のモル数/反応した原料のモル数)×100
収率=(生成した化合物のモル数/供給した原料のモル数)×100
【0053】
〔安息角の測定方法〕
仮焼成体の安息角は、漏斗に入れて仮焼成体を自然落下させ、水平面に堆積させた時に粉末の作る角度を測定する方法である注入法で測定した。
【0054】
〔比表面積の測定方法〕
成型触媒の比表面積は、自動比表面積測定装置 GEMINI 2360により測定した。
【0055】
[実施例1]
約90℃の温水202.6gにヘプタモリブデン酸アンモニウム67.5gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス37.0g、硝酸セリウム22.0g、硝酸鉄51.3g、硝酸セシウム0.55g、及び硝酸コバルト37.2gを18質量%の硝酸水溶液41.9gに溶解させ、約90℃の温水206.2gを添加した(B液)。
【0056】
A液とB液の両液を混合し、アンモニア水を添加し、pHを4.1に調整し、約60℃で約4時間程度熟成し、原料スラリーを得た。この原料スラリーを、噴霧乾燥器に送り、入り口温度250℃、出口温度約140℃で噴霧乾燥し、乾燥体を得た。得られた乾燥体を、空気中で室温から100℃まで1hで昇温後、100℃から300℃まで4hかけて昇温した後、300℃で3時間保持して仮焼成体を得た。得られた仮焼成体にグラファイト 2.2wt%添加し、混合後、直径5mm高さ4mm・内径2mmのリング状に打錠成型し、成型体を得た。成型体を、酸素濃度を9.5体積%に調整された固定炉で3段階で本焼成した。1段目では、室温から270℃まで1hかけて昇温し、1h保持した。2段目では、270℃から525℃まで2hかけて昇温し、3h保持した。3段目では、525℃から555℃まで1hかけて昇温し、555℃で9h保持し、成型触媒を得た。
得られた成型触媒の組成はMo12 Bi2.4 Fe4.0 Ce1.6 Co4.0 Cs0.09であった。
【0057】
成型触媒の反応評価として、成型触媒4.2gを直径14mmのジャケット付SUS製反応管に充填し、反応温度430℃でイソブチレン8体積%、酸素12.8体積%、水蒸気3.0体積%及び窒素76.2体積%からなる混合ガスを120mL/min(NTP)の流量で通気し、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表1に示す。
【0058】
表1に、仮焼成体の安息角、成型触媒の比表面積、及び成型触媒を用いた反応評価結果を示す。
【0059】
[実施例2]
本焼成の酸素濃度を12体積%に変更した以外は実施例1と同じ条件で成型触媒を得た。実施例1と同じ反応条件で成型触媒4.1gを反応管に充填し、メタクロレイン合成反応を行った。表1に仮焼成体の安息角と本焼成後の成型触媒の比表面積を示し、表1に成型触媒の反応評価結果を示す。
【0060】
[実施例3]
本焼成の酸素濃度を0.1体積%に変更した以外は実施例1と同じ条件で成型触媒を得た。実施例1と同じ反応条件で成型触媒4.5gを反応管に充填し、メタクロレイン合成反応を行った。表1に、仮焼成体の安息角、成型触媒の比表面積、及び成型触媒を用いた反応評価結果を示す。
【0061】
[実施例4]
本焼成の酸素濃度を3.0体積%に変更した以外は実施例1と同じ条件で成型触媒を得た。実施例1と同じ反応条件で成型触媒4.3gを反応管に充填し、メタクロレイン合成反応を行った。表1に、仮焼成体の安息角、成型触媒の比表面積、及び成型触媒を用いた反応評価結果を示す。
【0062】
[実施例5]
本焼成の酸素濃度を14体積%に変更した以外は実施例1と同じ条件で成型触媒を得た。実施例1と同じ反応条件で成型触媒3.9gを反応管に充填し、メタクロレイン合成反応を行った。表1に、仮焼成体の安息角、成型触媒の比表面積、及び成型触媒を用いた反応評価結果を示す。
【0063】
[実施例6]
本焼成の酸素濃度を18体積%に変更した以外は実施例1と同じ条件で成型触媒を得た。実施例1と同じ反応条件で成型触媒3.8gを反応管に充填し、メタクロレイン合成反応を行った。表1に、仮焼成体の安息角、成型触媒の比表面積、及び成型触媒を用いた反応評価結果を示す。
【0064】
[実施例7]
仮焼成工程において、乾燥体を、空気中で室温から100℃まで1hで昇温後、100℃から300℃まで2hかけて昇温した以外は実施例1と同じで成型触媒を得た。実施例1と同じ反応条件で成型触媒3.9gを反応管に充填し、メタクロレイン合成反応を行った。表1に、仮焼成体の安息角、成型触媒の比表面積、及び成型触媒を用いた反応評価結果を示す。
【0065】
[実施例8]
グラファイト添加量を5wt%に変更した以外は実施例1と同じ条件で成型触媒を得た。実施例1と同じ反応条件で成型触媒3.8gを反応管に充填し、メタクロレイン合成反応を行った。表1に、仮焼成体の安息角、成型触媒の比表面積、及び成型触媒を用いた反応評価結果を示す。
【0066】
[実施例9]
スラリーの熟成時間を1hに変更した以外は実施例1と同じ条件で成型触媒を得た。実施例1と同じ反応条件で成型触媒4.2gを反応管に充填し、メタクロレイン合成反応を行った。表1に、仮焼成体の安息角、成型触媒の比表面積、及び成型触媒を用いた反応評価結果を示す。
【0067】
[実施例10]
本焼成工程において、1段目と2段目の焼成を行わず、室温から555℃まで0.5時間かけて昇温し、9h保持した以外は実施例1と同じ条件で成型触媒を得た。実施例1と同じ反応条件で成型触媒3.8gを反応管に充填し、メタクロレイン合成反応を行った。表1に、仮焼成体の安息角、成型触媒の比表面積、及び成型触媒を用いた反応評価結果を示す。
【0068】
[実施例11]
乾燥体を、空気中で室温から100℃まで1hで昇温後、100℃から300℃まで1hかけて昇温した以外は実施例1と同じで成型触媒を得た。実施例1と同じ反応条件で成型触媒3.9gを反応管に充填し、メタクロレイン合成反応を行った。表1に、仮焼成体の安息角、成型触媒の比表面積、及び成型触媒を用いた反応評価結果を示す。
【0069】
[比較例1]
本焼成の雰囲気を空気(酸素濃度21体積%)に変更した以外は実施例1と同じ条件で成型触媒を得た。実施例1と同じ反応条件で成型触媒4.2gを反応管に充填し、メタクロレイン合成反応を行った。表1に、仮焼成体の安息角、成型触媒の比表面積、及び成型触媒を用いた反応評価結果を示す。
【0070】
[比較例2]
本焼成の雰囲気を窒素(酸素濃度0体積%)に変更した以外は実施例1と同じ条件で成型触媒を得た。実施例1と同じ反応条件で成型触媒4.2gを反応管に充填し、メタクロレイン合成反応を行った。表1に、仮焼成体の安息角、成型触媒の比表面積、及び成型触媒を用いた反応評価結果を示す。
【0071】
[比較例3]
グラファイトを用いないこと以外は実施例1と同じ条件で成型触媒を得た。実施例1と同じ反応条件で成型触媒4.2gを反応管に充填し、メタクロレイン合成反応を行った。表1に、仮焼成体の安息角、成型触媒の比表面積、及び成型触媒を用いた反応評価結果を示す。
【0072】
[比較例4]
グラファイト添加量を6wt%に変更した以外は実施例1と同じ条件で成型触媒を得た。実施例1と同じ反応条件で成型触媒4.2gを反応管に充填し、メタクロレイン合成反応を行った。表1に、仮焼成体の安息角、成型触媒の比表面積、及び成型触媒を用いた反応評価結果を示す。
【0073】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の成型触媒は、オレフィン及び/又はアルコールから不飽和アルデヒドを製造する際に用いる成型触媒として、産業上の利用可能性を有する。