(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加熱手段は、太陽熱で熱媒を加熱する太陽熱加熱装置と、前記熱媒と前記フィルタを通過する前の空気との間で熱交換を行い、前記フィルタを通過する前の空気の温度を上昇させる熱交換器と、を含む請求項1または請求項2に記載のフィルタ管理装置。
前記加熱手段は、前記フィルタを通過する前の空気に前記圧縮機で圧縮された空気を供給し、前記フィルタを通過する前の空気の温度を上昇させる圧縮空気供給装置を含む請求項4に記載のフィルタ管理装置。
前記加熱手段は、前記フィルタを通過する前の空気に前記ガスタービンのタービンから排出された排ガスを供給し、前記フィルタを通過する前の空気の温度を上昇させる排ガス供給装置を含む請求項4または請求項5に記載のフィルタ管理装置。
前記加熱手段は、前記フィルタを通過する前の空気と、前記ガスタービンのタービンから排出された排ガスから熱を回収した熱媒とを熱交換させ、前記フィルタを通過する前の空気の温度を上昇させる熱交換器装置を含む請求項4から請求項6のいずれか一項に記載のフィルタ管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。例えば、以下の実施例では、フィルタ管理装置を有する吸気ダクトを備える圧縮空気供給装置をガスタービンに用いる場合として説明するが、これに限定されない。圧縮空気供給装置は、紛体を搬送するシステム、圧縮空気を利用する化学プラント、圧縮空気を供給する空調装置等、種々のシステム、プラントに圧縮空気を用いる装置として用いることができる。
【0021】
図1は、本実施例の吸気ダクトを有するガスタービンを備える発電システムを表す概略構成図である。
図2は、発電システムのガスタービンを表す概略構成図である。
図1に示す発電システム1は、ガスタービン2と、発電機4と、排ガス処理装置6と、を有する。ガスタービン2は、
図1に示すように、圧縮機11と燃焼器12とタービン13と、吸気ダクト20と、を有する。ガスタービン2において、吸気ダクト20と圧縮機11は、外気を圧縮して燃焼器12に供給する圧縮空気供給装置となる。圧縮機11は、吸気ダクト20から外気を吸引し、圧縮する。圧縮機11で圧縮された圧縮空気は、燃焼器12に供給される。燃焼器12は、供給された圧縮空気と燃料とを混合して燃焼させる。燃焼器12で燃料を燃焼されて生じる燃焼ガスは、タービン13に供給される。タービン13は、燃焼ガスが通過する力で回転される。圧縮機11とタービン13とは軸で連結されており、一体で回転する。発電機4は、ガスタービン2に連結されており、タービン13とともに回転することで、発電する。排ガス処理装置6は、ガスタービン2のタービン13を通過した燃焼ガスが排ガスとして供給される。排ガス処理装置6は、排ガスから熱を回収したり、有害物質を除去したりする。
【0022】
次に、
図2を用いて、ガスタービン2の各部について説明する。圧縮機11は、空気を取り込む吸気ダクト20と接続され、圧縮機車室21内に入口案内翼(IGV)22が配設されると共に、複数の静翼23と動翼24が前後方向(後述するロータ32の軸方向)に交互に配設され、その外側に抽気室25が設けられている。燃焼器12は、圧縮機11で圧縮された圧縮空気に対して燃料を供給し、点火することで燃焼可能となっている。タービン13は、タービン車室26内に複数の静翼27と動翼28が前後方向(後述するロータ32の軸方向)に交互に配設されている。このタービン車室26の下流側には、排気車室29を介して排気室30が配設されており、排気室30は、タービン13に連続する排気ディフューザ31を有している。
【0023】
また、圧縮機11、燃焼器12、タービン13、排気室30の中心部を貫通するようにロータ(主軸)32が配置されている。ロータ32は、圧縮機11側の端部が軸受部33により回転自在に支持される一方、排気室30側の端部が軸受部34により回転自在に支持されている。そして、このロータ32は、圧縮機11にて、各動翼24が装着されたロータディスク35が複数重ねられて固定され、タービン13にて、各動翼28が装着されたロータディスク36が複数重ねられて固定されており、排気室30側の端部に上述した発電機4の駆動軸が連結されている。
【0024】
そして、このガスタービン2は、圧縮機11の圧縮機車室21が脚部37に支持され、タービン13のタービン車室26が脚部38により支持され、排気室30が脚部39により支持されている。
【0025】
従って、吸気ダクト20から取り込まれた空気が、圧縮機11の入口案内翼22、複数の静翼23と動翼24を通過して圧縮されることで高温・高圧の圧縮空気となる。燃焼器12にて、この圧縮空気に対して所定の燃料が供給され、燃焼する。そして、この燃焼器12で生成された高温・高圧の燃焼ガスが、タービン13を構成する複数の静翼27と動翼28を通過することでロータ32を駆動回転し、このロータ32に連結された発電機4を駆動する。一方、排気ガス(燃焼ガス)のエネルギは、排気室30の排気ディフューザ31により圧力に変換され減速されてから、排ガス処理装置6に放出される。
【0026】
次に、
図3及び
図4を用いて、吸気ダクト20について説明する。
図3は、ガスタービンの吸気ダクトを表す側面図である。
図4は、本実施例の吸気ダクトを表す斜視図である。
図3及び
図4に示すように、ダクト本体41と、ウェザーフード43と、フィルタ44と、フィルタ管理装置48と、を有する。
【0027】
ダクト本体41は、所定長さを有し、所定形状に屈曲された形状をなし一方の端部が圧縮機車室21(
図2参照)に連通され、他方の端部に吸気口46が形成されている。吸気口46は、
図3及び
図4に示すように、ダクト本体41の端面に形成された1つの開口である。ウェザーフード43は、複数の三角屋根からなり、ダクト本体41の吸気口46に装着される。ウェザーフード43は、吸気口46に装着されることで、ダクト本体41内部への雨水の浸入を抑制する。
【0028】
フィルタ44は、ダクト本体41の吸気口46から所定の距離離れた位置に配置され、ダクト本体41を塞いでいる。これにより、ダクト本体41を通過する空気はフィルタ44を通過する。また、フィルタ44は、ダクト本体41に対して着脱可能である。これにより、フィルタ44は、交換可能となる。フィルタ44は、通過する空気から比較的小さなごみを捕集する。フィルタ44としては、例えば捕集効率97%以上のHEPAフィルタ等の高性能フィルタ、例えば捕集効率95%以上の中性能フィルタ等、種々のフィルタを用いることができる。
【0029】
吸気ダクト20は、ダクト本体41の吸気口46に設置されたウェザーフード43の間を通過してダクト本体41の内部に空気が流入する。吸気ダクト20は、ダクト本体41内に流入した空気がフィルタ44を通過する。フィルタ44を4通過した空気は、ダクト本体41内を流れ、圧縮機11に流入する。このような経路で吸気ダクト20に流入する空気は、フィルタ44の通過時に、フィルタ44によって塵芥が捕集される。これにより、ダクト本体41内に流入してフィルタ44を通過した空気は、塵芥が低減された異物の少ない空気となる。また、吸気ダクト20は、ウェザーフード43を設けることで、開口47に配置されたフィルタ44が雨によって濡れることを抑制できる。ここで、吸気ダクト20は、ウェザーフード43とフィルタ44との間に吸気口46から入った比較的大きなごみや雨滴を捕集するウェザールーバーを設けてもよい。
【0030】
次に、フィルタ管理装置48について説明する。フィルタ管理装置48は、
図3に示すように、湿度検出部50と、上流側温度検出部52と、下流側温度検出部54と、差圧検出部60と、制御装置70と、表示装置80と、加熱手段100と、を有する。湿度検出部50は、湿度検出端子50aがダクト本体41のフィルタ44よりも上流側、つまり、吸気口46とフィルタ44との間の空間に配置されている。湿度検出部50は、湿度検出端子50aを用いて、フィルタ44を通過する前の空気の湿度を検出する。湿度検出部50は、検出したフィルタ44の通過前の空気の湿度を制御装置70に送る。
【0031】
上流側温度検出部52は、温度検出端子52aがダクト本体41のフィルタ44よりも上流側、つまり、吸気口46とフィルタ44との間の空間に配置されている。上流側温度検出部52は、温度検出端子52aを用いて、フィルタ44を通過する前の空気の温度を検出する。上流側温度検出部52は、検出したフィルタ44の通過前の空気の温度を制御装置70に送る。
【0032】
下流側温度検出部54と、温度検出端子54aがダクト本体41のフィルタ44よりも下流側、つまり、フィルタ44と圧縮機11との間の空間に配置されている。下流側温度検出部54は、温度検出端子54aを用いて、フィルタ44を通過した後の空気の温度を検出する。下流側温度検出部54は、検出したフィルタ44の通過した後の空気の温度を制御装置70に送る。
【0033】
差圧検出部60は、圧力検出端子62がダクト本体41のフィルタ44よりも上流側、つまり、吸気口46とフィルタ44との間の空間に配置に配置され、圧力検出端子64がダクト本体41のフィルタ44よりも下流側、つまり、フィルタ44と圧縮機11との間の空間に配置されている。差圧検出部60は、圧力検出端子62を用いて、フィルタ44を通過する前の空気の圧力を検出し、圧力検出端子64を用いて、フィルタ44を通過した後の空気の圧力を検出することで、フィルタ44を通過する前後の空気の圧力の差(差圧)を検出する。
【0034】
制御装置70は、フィルタ管理装置48の各部の動作を制御し、フィルタ44の状態を監視し、監視した結果を表示装置80に出力する。制御装置70は、制御部71と記憶部72と検知部74とを有する。制御部71は、CPU等の演算処理部であり、記憶部72に記憶されているプログラムを実行することで、湿度検出部50と差圧検出部60と表示装置80との動作及び検知部74との動作を制御する。また、制御部71は、加熱手段100の動作も制御する。記憶部72は、主記憶装置、一時記憶装置であり、制御部71で実行するプログラムや、フィルタ44の監視を実行するために必要なデータを記憶している。
【0035】
検知部74は、差圧検出部60で検出した結果に基づいて、フィルタ44の状態を検知する。具体的には、差圧検出部60で検出したフィルタの上流側と下流側の差圧に基づいて、フィルタ44の劣化状態を検出し、フィルタ44が交換時期であるか否かを検知する。また、検知部74は、差圧に加え、湿度に基づいてフィルタ44の劣化状態を検出し、フィルタ44が交換時期であるか否かを検知してもよい。
【0036】
表示装置80は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示面に画像を表示する装置である。
【0037】
加熱手段100は、フィルタ44よりも上流側の空気、つまりフィルタ44を通過する前の空気を加熱し、温度を上昇させる。加熱手段100は、電気を熱に変換して、温度を上昇させる電熱ヒータである。加熱手段100は、電源102と、電熱線104とを有する。電熱線104は、電気が流れることで発熱する部分が、ダクト本体41のフィルタ44よりも上流側、つまり、吸気口46とフィルタ44との間の空間に配置されている。加熱手段100は、電源102により電熱線104に電気を流すことで電熱線104を発熱させ、がダクト本体41のフィルタ44よりも上流側、つまり、吸気口46とフィルタ44との間の空間にある空気、具体的にはフィルタ44を通過する前の空気を加熱し、温度を上昇させる。
【0038】
次に、
図5を用いて、フィルタ管理装置48の処理動作の一例を説明する。
図5は、フィルタ管理装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。制御装置70は、記憶部72に記憶されている各種条件に基づいて制御部71で処理を実行することで
図5に示す処理を実現することができる。以下、制御装置70で実行する処理として説明する。
【0039】
制御装置70は、大気湿度、大気温度、ダクト内温度を検出する(ステップS12)。制御装置70は、湿度検出部50でフィルタ44の上流側の湿度(大気湿度)を検出し、上流側温度検出部52でフィルタ44の上流側の温度(大気温度)を検出し、下流側温度検出部54でフィルタ44の下流側の温度(ダクト内温度)を検出する。
【0040】
制御装置70は、大気湿度、大気温度、ダクト内温度を検出したら、大気湿度と大気温度とに基づいて露点温度を検出する(ステップS14)。つまり、制御装置70は、フィルタ44を通過する前の空気の露点温度を検出する。制御装置70は、露点温度を検出したら、ダクト内温度<露点温度であるかを判定する(ステップS16)。
【0041】
制御装置70は、ダクト内温度<露点温度である(ステップS16でYes)つまり、ダクト内温度が露点温度未満と判定した場合、加熱手段100による加熱を実行する(ステップS18)。これにより、フィルタ44に通過する前の空気は加熱手段100に加熱され、温度が上昇される。
【0042】
制御装置70は、ダクト内温度<露点温度ではない(ステップS16でNo)、つまりダクト内温度が露点温度以上であると判定した場合、加熱手段100による加熱を停止する(ステップS20)。
【0043】
フィルタ管理装置48は、以上のように、
図5の処理を実行することで、フィルタ44を通過する空気の温度を、この空気の湿度と温度に基づいて設定した基準である露点温度以上とすることができる。このため、フィルタ44を通過する際に空気温度の低下より空気中の水分が凝縮し、フィルタ44に付着することを抑制することができ、空気中の水分の影響でフィルタ44の負荷が増大することを抑制できる。また、フィルタ管理装置48は、空気の湿度と温度に基づいて設定した基準である露点温度を用いて、フィルタ44を通過する空気の温度を制御することで、空気を過剰に加熱することを抑制できる。本実施例では、ダクト内温度が露点温度以上であれば加熱停止することで不要な加熱を抑制することができる。これにより、発電システム1の燃費、エネルギの利用効率を高くすることができる。
【0044】
また、フィルタ管理装置48は、空気がフィルタを通過する際に露点温度未満にならないように制御することで、湿度に起因してフィルタの負荷が変動することを抑制することができる。これにより、フィルタの上流側と下流側の差圧に基づいて検出するフィルタの交換時期の判定をより正確にすることができ、使用可能なフィルタに対して交換時期であることを示す通知を出力する恐れを低減することができ、フィルタの寿命に合わせて交換を行うことが可能となる。
【0045】
また、
図5に示す例では、算出した露点温度を基準として制御したがこれに限定されない。フィルタ管理装置48は、露点温度に基づいて基準温度を設定し、基準温度を基準として制御を行ってもよい。具体的には、下流側温度検出部で検出した温度が基準温度以下の場合、加熱手段により空気の温度を上昇させ、下流側温度検出部で検出した温度が基準温度より高い場合、加熱手段を停止するようにしてもよい。ここで、基準温度は、露点温度よりも高い温度とすることが好ましい。露点温度よりも高い温度に基づいて空気の加熱を制御することで、計測誤差や差圧のばらつきが生じても、空気がフィルタ44の通過時に露点温度以下になるおそれをより低減することができる。
【0046】
また、フィルタ管理装置48は、湿度検出部と上流側温度検出部を1つの装置とし、検出部で露点を検出するようにしてもよい。つまり露点の算出を制御装置の制御ではなく検出部の処理として行ってもよい。また、上記実施例では、大気湿度、大気温度、ダクト内温度の3つを使用したが、大気温度とダクト内温度の一方を使わなくてもよい。つまり、大気温度とダクト内温度の一方と大気湿度とで制御を行うようにしてもよい。
【0047】
ここで、吸気ダクトのダクト本体とフィルタの配置は、吸気ダクト20の構造に限定されない。例えば、上記実施例では、吸気ダクトのダクト本体を塞ぐように1枚のフィルタを設置した場合として説明したが、フィルタを設ける位置は、これに限定されない。ダクト本体に隔壁を設けて隔壁に形成した複数の開口のそれぞれにフィルタを設置してもよい。
図6は、吸気ダクトの他の例を表す側面図である。なお、本実施例の吸気ダクト20aの基本的な構成は、上述した吸気ダクト20とほぼ同様の構成であり、上述した吸気ダクト20と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0048】
吸気ダクト20aは、
図6に示すように、ダクト本体41と、ウェザーフード43と、フィルタ44と、フィルタ管理装置48と、隔壁112と、を有する。ダクト本体41と、ウェザーフード43と、フィルタ監視装置48は、吸気ダクト20の各部と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0049】
隔壁112は、ダクト本体41aの吸気口46から所定距離離れた位置に配置され、ダクト本体41を塞いでいる。隔壁112は、複数の開口47が形成されている。ダクト本体41の内部を流れる空気は、隔壁112の開口47を通過して、隔壁112の上流側から下流側に流れる。
【0050】
フィルタ44aは、隔壁112の開口47に配置されている。フィルタ44aは、隔壁112の開口にはめ込まれている。これにより、隔壁112の開口47aを通過する空気はフィルタ44aを通過する。フィルタ44aは、配置位置が異なるのみで、性能、機能は、フィルタ44と同様である。
【0051】
フィルタ管理装置48は、湿度検出端子50aと温度検出端子52aと圧力検出端子62の配置位置が、フィルタ44上流側からフィルタ44aの上流側、つまりダクト本体41の隔壁112よりも上流側となる以外は、上述した吸気ダクト20のフィルタ管理装置48と同様の構造であり、加熱手段100の動作を制御し、フィルタ44aの上流側を流れる空気の温度を制御する。
【0052】
吸気ダクト20aのように、複数のフィルタ44aをダクト本体41の内部の、ダクト本体41を塞ぐ隔壁102の開口に配置する場合も、フィルタ管理装置48で同様の監視を行うことで、フィルタ44aの状態を適切に監視することができ、適切な時期に交換を行うことが可能となる。
【0053】
また、上記実施例では、吸気ダクトのダクト本体に吸気口を設け、ウェザーフードを設置した場合として説明したが、吸気ダクトの構造及びフィルタを設ける位置は、これに限定されない。吸気ダクトは、ダクト本体にカバーを設けてもよい。
図7から
図9を用いて、吸気ダクトの他の例ついて説明する。
図7は、ガスタービンの吸気ダクトを表す側面図である。
図8は、本実施例の吸気ダクトを表す斜視図である。
図9は、ダクト本体とフィルタとを表す斜視図である。なお、本実施例の吸気ダクト20bの基本的な構成は、上述した吸気ダクト20とほぼ同様の構成であり、上述した吸気ダクト20aと同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0054】
吸気ダクト20bは、
図7から
図9に示すように、ダクト本体41aと、カバー42と、ウェザーフード43と、フィルタ44aと、フィルタ監視装置48と、を有する。
【0055】
ダクト本体41aは、所定の長さを有し、所定形状に屈曲された形状をなし一方の端部が圧縮機車室21(
図2参照)に連通され、他方の端部に複数の開口47aが形成されている。開口47aは、
図9に示すように、ダクト本体41の地面と対面する面に形成されている。カバー42は、
図7及び
図8に示すように、ダクト本体41aの開口47aが形成されている面を覆う筐体である。カバー42は、一面に開口が形成され外気と連通している。吸気ダクト20bは、カバー42の外気と連通している開口が吸気口46aとなる。ウェザーフード43は、カバー42の開口である吸気口46aに装着されることで、カバー42の内部への雨水の浸入を抑制する。
【0056】
フィルタ44aは、ダクト本体41の開口47aに配置されている。フィルタ44aは、開口47aにはめ込まれている。これにより、開口47aを通過する空気はフィルタ44aを通過する。また、フィルタ44aは、開口47aに対して着脱可能である。これにより、フィルタ44aは、交換可能となる。
【0057】
吸気ダクト20bは、
図7に示すように、吸気口46aに設置されたウェザーフード43の間を通過してカバー42内部に空気が流入する。吸気ダクト20bは、カバー42内に流入した空気がフィルタ44aを通過してダクト本体41aに流入する。ダクト本体41に流入した空気は、ダクト本体41a内を流れ、圧縮機11に流入する。このような経路で吸気ダクト20bに流入する空気は、フィルタ44aの通過時に、フィルタ44aによって塵芥が捕集される。これにより、フィルタ44を通過してダクト本体41内に流入した空気は、塵芥が低減された異物の少ない空気となる。また、吸気ダクト20bは、カバー42とウェザーフード43を設けることで、開口47aに配置されたフィルタ44aが雨によって濡れることを抑制できる。ここで、吸気ダクト20bは、カバー42の内部のウェザーフード43と開口47aとの間にカバー42の吸気口46aから入った比較的大きなごみや雨滴を捕集するウェザールーバーを設けてもよい。
【0058】
フィルタ監視装置48は、湿度検出端子50aと温度検出端子52aと圧力検出端子62の配置位置が、ダクト本体41の開口47aよりも上流側、つまりカバー42の内部となる以外は、上述した吸気ダクト20aのフィルタ監視装置48と同様の構造であり、フィルタ44aの上流と下流で圧力を検出して差圧を検出し、フィルタ44aの上流側で空気の湿度を検出する。
【0059】
また、吸気ダクトは、フィルタを多段で設けてもよい。以下、
図10を用いて、フィルタを吸気口よりも下流側に多段で設けた吸気ダクトの一例について説明する。
図10は、吸気ダクトの他の例を表す側面図である。なお、本実施例の吸気ダクト20cの基本的な構成は、上述した吸気ダクト20とほぼ同様の構成であり、上述した吸気ダクト20と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0060】
吸気ダクト20cは、
図10に示すように、ダクト本体41と、ウェザーフード43と、第1フィルタ120と、第2フィルタ122と、フィルタ管理装置48aと、を有する。ダクト本体41と、ウェザーフード43とは、吸気ダクト20の各部と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0061】
第1フィルタ120、第2フィルタ122は、ダクト本体41aの吸気口46aから所定距離だけ奥側に進入した位置に装着されている。第1フィルタ120、第2フィルタ122は、比較的小さなごみを捕集する。第1フィルタ120と第2フィルタ122とは、所定の距離だけ離間して配置されている。第2フィルタ122は、第1フィルタ120より目が細かくなっている。つまり、第2フィルタ122は、第1フィルタ120より捕集効率が高いフィルタである。
【0062】
第1フィルタ120、第2フィルタ122は、ダクト本体41aを塞ぐように配置されている。これにより、ダクト本体41aを通過する空気は第1フィルタ120を通過した後、第2フィルタ122を通過する。
【0063】
フィルタ管理装置48aは、
図10に示すように、第1湿度検出部(湿度検出部)50と、第1上流側温度検出部(上流側温度検出部)52と、第1下流側温度検出部(下流側温度度検出部)54と、第1差圧検出部(差圧検出部)60と、制御装置70と、表示装置80と、第1加熱手段100と、第2湿度検出部130と、第2上流側温度検出部132と、第2下流側温度検出部134と、第2差圧検出部140と、第2加熱手段150と、を有する。
【0064】
第1湿度検出部50は、湿度検出端子50aがダクト本体41内の第1フィルタ120の上流側に配置されている。第1湿度検出部50は、湿度検出端子50aを用いて、第1フィルタ120を通過する前の空気の湿度を検出する。
【0065】
第1上流側温度検出部52は、温度検出端子52aがダクト本体41内の第1フィルタ120の上流側に配置されている。第1上流側温度検出部52は、温度検出端子52aを用いて、第1フィルタ120を通過する前の空気の温度を検出する。
【0066】
第1下流側温度検出部54と、温度検出端子54aがダクト本体41内の第1フィルタ120の下流側に配置されている。第1下流側温度検出部54は、温度検出端子54aを用いて、第1フィルタ120を通過した後の空気の温度を検出する。
【0067】
第1差圧検出部60は、圧力検出端子62がダクト本体41内の第1フィルタ120の上流側に配置され、圧力検出端子64がダクト本体41内の第1フィルタ120の下流側かつ第2フィルタ122の上流側に配置されている。第1差圧検出部60は、圧力検出端子62を用いて、第1フィルタ120を通過する前の空気の圧力を検出し、圧力検出端子64を用いて、第1フィルタ120を通過した後の空気の圧力を検出することで、第1フィルタ120を通過する前後の空気の圧力の差(差圧)を検出する。
【0068】
第1加熱手段100は、電源102と電熱線104を有し、第1フィルタ120の上流側の空気を加熱する。
【0069】
第2湿度検出部130は、湿度検出端子130aがダクト本体41内の第1フィルタ120の下流側で第2フィルタ122の上流側に配置されている。第2湿度検出部130は、湿度検出端子130aを用いて、第2フィルタ122を通過する前の空気の湿度を検出する。
【0070】
第2上流側温度検出部132は、温度検出端子132aがダクト本体41内の第1フィルタ120の下流側で第2フィルタ122の上流側に配置されている。第2上流側温度検出部132は、温度検出端子52aを用いて、第2フィルタ122を通過する前の空気の温度を検出する。
【0071】
第2下流側温度検出部134と、温度検出端子134aがダクト本体41内の第2フィルタ122の下流側に配置されている。第2下流側温度検出部134は、温度検出端子134aを用いて、第2フィルタ122を通過した後の空気の温度を検出する。
【0072】
第2差圧検出部140は、圧力検出端子142がダクト本体41内の第1フィルタ120の下流側で第2フィルタ122の上流側に配置され、圧力検出端子144がダクト本体41内の第2フィルタ122の下流側に配置されている。第2差圧検出部140は、圧力検出端子142を用いて、第2フィルタ122を通過する前の空気の圧力を検出し、圧力検出端子144を用いて、第2フィルタ122を通過した後の空気の圧力を検出することで、第2フィルタ122を通過する前後の空気の圧力の差(差圧)を検出する。
【0073】
第2加熱手段150は、電源152と電熱線154を有し、第1フィルタ120と第2フィルタ122との間の空気を加熱する。
【0074】
制御装置70は、第1差圧検出部60を用いて第1フィルタ120の状態を監視し、第1湿度検出部50と、第1上流側温度検出部52と、第1下流側温度検出部54とを用いて、第1加熱手段100の動作を制御する。また、制御装置70は、第2差圧検出部140を用いて第2フィルタ122の状態を監視し、第2湿度検出部130と、第2上流側温度検出部132と、第2下流側温度検出部134とを用いて、第2加熱手段150の動作を制御する。
【0075】
吸気ダクト20bのように、フィルタを多段で設置した場合も、各フィルタに対して加熱手段を設置し、湿度と温度の検出を行い、フィルタ管理装置48aで同様の管理を行うことで、フィルタの状態を適切に管理することができる。また、多段のフィルタのそれぞれに対して湿度と温度の検出を行うことで、フィルタ毎に状態を管理することができる。
【0076】
また、本実施例では、フィルタを2段にした場合としたが、3段以上とした場合も同様である。また、フィルタを多段で設ける場合、そのうち1段のフィルタの状態を管理してもよいし、複数段のフィルタの状態を管理してもよい。
【0077】
ここで、フィルタ管理装置は、加熱手段として、カバーの内部の空間に配置された伝熱ヒータを用いた場合として説明したがこれに限定されない。
図11は、加熱手段の他の例を表す概略構成図である。例えば、加熱手段は、電熱線104をダクト本体41に巻き付けた構造としてもよい。この場合加熱手段は、電熱線104でダクト本体41を加熱することで、フィルタの上流側の空気を加熱することができる。
【0078】
以下、
図12から
図15を用いて加熱手段の一例について説明する。
図12は、加熱手段の他の例を表す概略構成図である。なお、
図12に示す給気ダクト20dは、加熱手段以外は上述した発電システム1及びフィルタ管理装置48と同様の構成であるので、同一の符号を付し、基本的な説明を省略し、以下、加熱手段の構造を重点的に説明する。
【0079】
図12に示す給気ダクト20dの加熱手段100aは、加熱部202と循環配管204とポンプ206とを有する。加熱部202は、循環する熱媒を加熱する装置である。加熱部202としては、太陽熱で熱媒を加熱する太陽熱加熱装置を用いることができる。なお、加熱部202としてはボイラ等の燃料を燃焼して熱媒を加熱する装置を用いることもできる。循環配管204は、加熱部202と接続され、一部がダクト本体41のフィルタ44の上流側の空間に挿入されている。循環配管204は、加熱部202で加熱された熱媒が流れる。ポンプ206は、循環配管204を流れる熱媒を所定の方向に送る。加熱手段100aは、循環配管204に熱媒が流れることで、熱媒とフィルタ44を通過する前の空気との間で熱交換を行う。加熱手段100aは、循環配管204とポンプ206の組み合わせが、熱媒とフィルタ44を通過する前の空気との間で熱交換を行い、フィルタ44を通過する前の空気の温度を上昇させる熱交換器となる。また、加熱手段100aは、ポンプ206による熱媒の送り量を制御することで、加熱量を制御することができる。
【0080】
このように、熱媒を用いて、熱媒と空気との間で熱交換を行うことでも、フィルタ44の上流の空気を簡単に加熱することができる。また、加熱部202として、太陽光で加熱された熱媒を用いることで、熱源の加熱に必要な燃料が動力を自然エネルギにできプラントの燃費を向上させることができる。
【0081】
図13は、加熱手段の他の例を表す概略構成図である。なお、
図13に示す例は、吸気ダクト20eの加熱手段以外は上述した発電システム1及びフィルタ管理装置48と同様の構成であるので、同一の符号を付し、基本的な説明を省略し、以下、加熱手段の構造を重点的に説明する。
【0082】
図13に示す吸気ダクト20eの加熱手段100bは、フィルタ44を通過する前の空気と、ガスタービンのタービンから排出された排ガスから熱を回収した熱媒とを熱交換させ、フィルタを通過する前の空気の温度を上昇させる熱交換器装置である。加熱手段100bは、排ガス処理装置6で熱媒を加熱する加熱部212と、循環配管214とポンプ216とを有する。加熱部212は、循環する熱媒を加熱する装置である。加熱部212としては、加熱されたブローダウン水を貯留する貯留槽、排ガスと熱交換を行う排熱回収装置(HRSG)等である。なお、熱媒は気体、液体のいずれの状態でもよい。循環配管214は、加熱部212と接続され、一部がダクト本体41のフィルタ44の上流側の空間に挿入されている。循環配管214は、加熱部212で加熱された熱媒が流れる。ポンプ216は、循環配管214を流れる熱媒を所定の方向に送る。加熱手段100bは、循環配管214に熱媒が流れることで、熱媒とフィルタ44を通過する前の空気との間で熱交換を行う。加熱手段100bは、循環配管214とポンプ216の組み合わせが、熱媒とフィルタ44を通過する前の空気との間で熱交換を行い、フィルタを通過する前の空気の温度を上昇させる熱交換器となる。また、加熱手段100bは、ポンプ216による熱媒の送り量を制御することで、加熱量を制御することができる。
【0083】
加熱手段100bは、加熱源として発電システム1にある熱源を用いることで、新たな加熱装置を設けずにフィルタを加熱することができる。これにより、フィルタの上流の空気を簡単に加熱することができる。また、本実施例では、熱媒を循環させたが、熱媒を加熱源に戻さずに廃棄してもよい。
【0084】
図14は、加熱手段の他の例を表す概略構成図である。なお、
図14に示す例は、吸気ダクト20fの加熱手段以外は上述した発電システム1及びフィルタ管理装置48と同様の構成であるので、同一の符号を付し、基本的な説明を省略し、以下、加熱手段の構造を重点的に説明する。
【0085】
図14に示す給気ダクト20fの加熱手段100cは、フィルタを通過する前の空気に圧縮機で圧縮された空気を供給し、フィルタを通過する前の空気の温度を上昇させる圧縮空気供給装置である。加熱手段100cは、圧縮機11から燃焼器12に圧縮空気を供給する配管に一方の端部が接続され、フィルタ4の上流側に他方の端部が配置され、圧縮空気を案内する配管222と、配管222の他方の端部に接続され、圧縮空気をフィルタ44の上流側に噴射するノズル224と、配管222に設置され、配管222を流れる圧縮空気の流量を制御する制御弁226と、を有する。加熱手段100cは、配管222で案内した圧縮空気をノズル224からフィルタ44の上流側に噴射することで、フィルタ44の上流側の空気を加熱する。また、加熱手段100cは、制御弁226の開度を制御し、供給する圧縮空気の量を制御することで、加熱量を制御することができる。また、ノズル224は1つに限定されず複数備えていてもよい。
【0086】
加熱手段100cは、加熱源として発電システム1にある熱源を用いることで、新たな加熱装置を設けずにフィルタを加熱することができる。これにより、フィルタの上流の空気を簡単に加熱することができる。また、本実施形態では、圧縮空気として、燃焼器12に供給される空気を用いたが、圧縮機11を流れる空気を利用してもよい。例えば、タービン13の冷却に用いる抽気空気を用いてもよい。
【0087】
図15は、加熱手段の他の例を表す概略構成図である。なお、
図15に示す例は、吸気ダクト20gの加熱手段以外は上述した発電システム1及びフィルタ管理装置48と同様の構成であるので、同一の符号を付し、基本的な説明を省略し、以下、加熱手段の構造を重点的に説明する。
【0088】
図15に示す吸気ダクト20gの加熱手段100dは、フィルタを通過する前の空気にガスタービンのタービンから排出された排ガスを供給し、フィルタを通過する前の空気の温度を上昇させる排ガス供給装置である。加熱手段100dは、タービン13から排ガス処理装置6に供給される排ガスが流れる配管に一方の端部が接続され、フィルタ44の上流側に他方の端部が配置され、排ガスを案内する配管232と、配管232の他方の端部に接続され、排ガスをフィルタ44の上流側に噴射するノズル234と、配管232に設置され、配管232を流れる排ガスの流量を制御する制御弁236と、を有する。加熱手段100dは、配管232で案内した排ガスをノズル234からフィルタ44の上流側に噴射することで、フィルタ44の上流側の空気を加熱する。また、加熱手段100dは、制御弁236の開度を制御し、供給する圧縮空気の量を制御することで、加熱量を制御することができる。
【0089】
加熱手段100dは、加熱源として発電システム1にある熱源を用いることで、新たな加熱装置を設けずにフィルタを加熱することができる。これにより、フィルタの上流の空気を簡単に加熱することができる。また、加熱手段100dは、タービン13から排ガス処理装置6に供給される排ガスを、フィルタ44の上流側の空気に供給したが、排ガスとしては排ガス処理装置6を通過した後の排ガスを用いることが好ましい。これにより、大気に排出される空気の熱を利用することができ、発電システム1の燃費の低減を抑制しつつ、フィルタの上流の空気を加熱することができる。
【0090】
また、フィルタ管理装置は、上述した加熱手段の構造を複数組み合わせてもよい。上述した加熱手段100、100a、100b、100c、100dの2つ以上を組み合わせた加熱手段としてよい。例えば、加熱手段は、電熱ヒータ(加熱手段100)と圧縮空気供給装置(加熱手段100c)の両方を備えていてもよい。
【0091】
また、上記実施例では、湿度検出部として、湿度検出端子を検出位置に設置したが、検出方法はこれに限定されない。例えば、湿度が周期的に変動、例えば、早朝のみ湿度が高くなる気象条件の場合、その周期と差圧の変動とに基づいて湿度を判定してもよい。