(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6302486
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】燃料を案内する構成部材、燃料噴射弁および接続部材を有する燃料噴射装置
(51)【国際特許分類】
F02M 55/02 20060101AFI20180319BHJP
【FI】
F02M55/02 330B
F02M55/02 340B
F02M55/02 350B
F02M55/02 350H
F02M55/02 350D
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-552011(P2015-552011)
(86)(22)【出願日】2013年12月4日
(65)【公表番号】特表2016-503143(P2016-503143A)
(43)【公表日】2016年2月1日
(86)【国際出願番号】EP2013075485
(87)【国際公開番号】WO2014114394
(87)【国際公開日】20140731
【審査請求日】2015年7月14日
(31)【優先権主張番号】102013200909.7
(32)【優先日】2013年1月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】クノルプ,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】リーマー,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ラインハルト,ヴィルヘルム
(72)【発明者】
【氏名】ホルスト,ハンス・ゲオルグ
(72)【発明者】
【氏名】グレイザー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シェフ,フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】ログラー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】レーヴァルド,アンドレアス
【審査官】
櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−196260(JP,A)
【文献】
実開昭55−18667(JP,U)
【文献】
特開昭63−280967(JP,A)
【文献】
特開2008−069863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 39/00−71/04,
F16J 15/32−15/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を案内する構成部材(45)に燃料噴射弁(2)を接続するための、燃料噴射装置(3)用の接続部材(1)であって、ベース体(7)が設けられており、該ベース体(7)内に、前記燃料噴射弁(2)の燃料スリーブ(4)のための収容スペース(11)が設けられており、少なくとも部分的に前記収容スペース(11)内に配置可能な前記燃料スリーブ(4)が、少なくとも間接的に前記ベース体(7)に支持可能である形式のものにおいて、
少なくとも1つの遮断部材(26)が設けられていて、組み立てた状態で、前記遮断部材(26)が前記燃料スリーブ(4)と前記ベース体(7)との間に配置されており、前記燃料スリーブ(4)が前記遮断部材(26)を介して少なくとも半径方向(23)で前記ベース体(7)に弾性的に支持可能であり、
前記遮断部材(26)が、少なくとも1つの弾性的な層(27)と少なくとも2つの金属製の保護層(28,29)とを有しており、前記弾性的な層(27)と前記金属製の保護層(28、29)とはそれぞれ管状に構成され、前記弾性的な層(27)が前記金属製の保護層(28,29)に挟まれるように、前記半径方向(23)で積層されていることを特徴とする、燃料噴射装置用の接続部材。
【請求項2】
前記ベース体(7)が開口(12)を有しており、該開口(12)を介して前記燃料スリーブ(4)が前記収容スペース(11)内に導入可能であり、前記遮断部材(26)が少なくとも部分的に前記ベース体(7)の前記開口(12)に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の接続部材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の、燃料を案内する少なくとも1つの構成部材(45)と少なくとも1つの燃料噴射弁(2)と少なくとも1つの接続部材(1)とを有する、混合気圧縮外部点火式内燃機関のための燃料噴射装置(3)において、前記燃料噴射弁(2)が前記接続部材(1)を介して燃料を案内する前記構成部材(45)に接続されている、燃料噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料を案内する構成部材に燃料噴射弁を接続するための、燃料噴射装置用の接続部材、およびこのような接続部材を備えた燃料噴射装置に関する。特に本発明は、混合気圧縮外部点火式内燃機関のための燃料噴射装置の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1によれば、音響を遮断する構成形式を特徴とする燃料噴射装置が公知である。この公知の燃料噴射装置は、燃料噴射弁と、内燃機関のシリンダヘッド内の燃料噴射弁用の収容孔と、接続スリーブを備えた燃料分配パイプとを有している。接続スリーブ内に、燃料噴射弁が部分的に重なり合って取り付けられている。可能な構成によれば、スリットの付けられたスナップリングが設けられており、このスナップリングは、燃料噴射弁のインレットスリーブの先細りした区分内に係合する。このために、接続スリーブ内に溝が設けられており、この溝内にスナップリングが確実かつ堅固に係止されている。燃料噴射弁に下方から係合するために、スナップリングは円錐形又は湾曲した球面状の当接面を有している。
【0003】
特許文献1により公知の燃料噴射装置の構成は、スナップリングを介して振動が燃料噴射弁から接続スリーブに伝達される、という欠点を有している。これによって、不都合な騒音発生が生じる。
【0004】
特に直接噴射式のガソリンエンジンに使用される電磁式の高圧噴射弁においては、エンジンの全騒音に、バルブのカチカチ音と呼ぶことができる、異常な好ましくない症状が寄与している。このようなバルブのカチカチ音は、燃料噴射弁を高速で開閉することによって発生し、このような弁の高速開閉時に、ニードル弁は高いダイナミックスでその都度のエンドストッパに位置調節される。エンドストッパにニードル弁がぶつかると、非常に高い接触力が短時間発生し、この非常に高い接触力は、燃料噴射弁のハウジングを介してシリンダヘッドおよび燃料分配レールに、固体伝播音および振動の形で伝達される。これによって、シリンダヘッドおよび燃料分配レールに高い騒音発生が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許公開第102005020380号明細書
【発明の概要】
【0006】
請求項1の特徴を有する本発明による接続部材、および請求項
3の特徴を有する本発明による燃料噴射装置によれば、燃料噴射弁と、燃料を案内する構成部材との接続が改善され、ひいては騒音減少が達成される、という利点を有している。特に、燃料噴射弁は、燃料を案内する構成部材に柔軟に懸架され、この柔軟な懸架において、騒音発生を実質的に減少させることができる。
【0007】
従属請求項に記載した手段によって、請求項1に記載した接続部材および請求項
3に記載した燃料噴射装置の好適な実施態様が可能である。
【0008】
特に、この接続部材および燃料噴射装置は、燃料特にガソリンを直接噴射するために適している。この場合、燃料を案内する構成部材は、好適には燃料分配装置、特に燃料分配レールとして構成されている。燃料分配装置は、高圧化された燃料を運転中に蓄えるために、および燃料を複数の燃料噴射弁に分配するために用いられる。この場合、複数の接続部材が設けられていてよく、これらの接続部材は、適切な形式で燃料分配装置に接続されているか、又は燃料分配装置の部分であってもよい。運転中に、燃料噴射弁は、燃焼過程に必要な燃料を高圧下でその都度の燃焼室内に噴射する。燃料は、高圧ポンプから調量制御されて燃料分配装置に供給される。
【0009】
燃料を案内する構成部材および燃料噴射弁、特に燃料スリーブは、本発明による接続部材の不必要な部分である。特に本発明による接続部材は、燃料を案内する構成部材並びに燃料噴射弁とは別個に製造され、かつ販売することができる。
【0010】
接続部材は、小さい構造スペースにおいて適切な遮断を可能にし、この場合、遮断の所望の剛性が予め設定され、それと同時に、特に高いライン圧力に関連して要求された強度が、耐用年数に亘って保証されている。この場合、燃料噴射弁を、燃料を案内する構成部材に柔軟に結合することができ、この際に、所望の目標強度は好適には50kN/mmよりも大きくない。このために、ベース体が弾性的に変形可能に構成されてよい。追加的に又は選択的に、弾性は、好適な形式でベース体の収容スペース範囲内に取り付けられた弾性的に変形可能な遮断部材を介して実現されてよい。
【0011】
従って好適には、少なくとも1つの遮断部材が設けられており、この遮断部材は組み立てた状態で燃料スリーブとベース体との間に配置されていて、燃料スリーブは遮断部材を介して、少なくとも半径方向でベース体に弾性的に支持可能である。この場合、特に遮断部材の材料を介して所望の目標強度が予め設定される。これは、その都度の使用例に適合させることも可能である。また、簡単な取り付けが実現される。
【0012】
この場合、ベース体が開口を有しており、該開口を介して燃料スリーブが収容スペース内に導入可能であり、遮断部材が少なくとも部分的にベース体の開口に配置されていれば、さらに好適である。これによって、必要なてこ比若しくは提供されたてこ腕に関連して好適な実施態様が得られる。しかも、この場合、場合によっては弾性的に変形可能なベース体との組み合わせが実現可能である。
【0013】
また、ベース体が内側を有していて、遮断部材が外側面を有しており、遮断部材がその外側面で以ってベース体の内側の当接面に面状に当接している構成も好適である。これによって、一方では、好適なてこ比、特に遮断部材の弾性的な材料への力の均一な分配が得られる。これによって、要求された強度は、高いレール圧力においても耐用年数に亘って保証され得る。
【0014】
さらに、ベース体の内側の少なくとも当接面が円筒形周壁状に構成されていれば、好適である。これによって、主に当接面と直角な、特に半径方向の負荷が生じたときに、利点が得られる。
【0015】
また、ベース体の内側の少なくとも当接面が凹状の断面形状を有して構成されている構成も、好適である。このような構成によれば、様々な方向、特に軸方向の成分を有する力も確実に吸収され得る。これによって、このような場合に、改善された懸架が得られる。
【0016】
さらに、遮断部材が好適な形式で、少なくとも1つの弾性的な層と少なくとも1つの保護層、特に金属製の保護層とを有しており、この場合、少なくとも1つの弾性的な層と少なくとも1つの保護層とが、半径方向で積層されている。特に、弾性的な層は、2つの金属製の保護層の間に配置されていてよい。これによって一方では、燃料噴射弁と遮断部材との間の接触、並びにベース体と遮断部材との間の接触が、抵抗性のある保護層において行われる。さらに、弾性的な層の弾性的な材料の均一な負荷が得られる。またこれによって、特に燃料スリーブにおける当接面の構成が簡略化される。何故ならば、保護層を介して力がより大きい横断面に分配されるからである。
【0017】
好適には、遮断部材が少なくとも実質的に弾性的な材料より形成されており、該弾性的な材料が、組み立てられた状態で一方ではベース体に接続され、他方では燃料スリーブに接続されている。例えば、一方ではベース体との摩擦締結式の結合、他方では燃料スリーブとの摩擦締結式の結合が実現可能である。特に、接続は、接着によって又はエラストマー材料の加硫処理によって実現され得る。遮断部材は、この構成においては、一方では燃料噴射弁の好適な懸架が実現さる。他方では、遮断部材は追加的に、場合によっては必要なシール機能を全て又は部分的に行うシールとして用いられる。
【0018】
別の可能な実施態様によれば、ベース体が、少なくとも1つの弾性的に変形可能な区分を備えた外壁を有しており、この場合、弾性的に変形可能な区分はベローズ状に構成されていてよい。これによって、ベース体の弾性的な変形が半径方向で可能である。弾性的に変形可能な遮断部材は、この実施例においては必ずしも必要ではない。
【0019】
さらに好適には、燃料スリーブが半径方向支持縁を有しており、遮断部材の半径方向の弾性変形が、燃料スリーブの半径方向支持縁がベース体に機械的に当接することによって制限されていれば、有利である。半径方向支持縁は、例えば燃料スリーブのインレット側の端部に構成されていて、ストッパを形成するために、ベース体の内壁と協働する。勿論、燃料スリーブの半径方向支持縁が、インレット側の端部から離れて配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施例による接続部材および燃料噴射弁の一部の概略的な断面図である。
【
図2】本発明の第2実施例による接続部材および燃料噴射弁の一部の概略的な断面図である。
【
図3】本発明の第3実施例による接続部材および燃料噴射弁の一部の概略的な断面図である。
【
図4】本発明の第4実施例による接続部材および燃料噴射弁の一部の概略的な断面図である。
【
図5】本発明の第5実施例による、接続部材を備えた燃料噴射装置の一部の概略的な断面図である。
【
図6】本発明の第6実施例による、接続部材を備えた燃料噴射装置の一部の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の好適な実施例を、添付の図面を用いて以下に詳しく説明する。図面中、対応する構成要素には同じ符号が付けられている。
【0022】
図1は、本発明の第1実施例による燃料噴射装置3(
図5)の接続部材1および燃料噴射弁2の一部の概略的な断面図を示す。燃料噴射装置3は、特に内燃機関において高圧噴射のために用いられる。特に、この燃料噴射装置3は、混合気圧縮外部点火式内燃機関において使用される。接続部材1は、特にこのような燃料噴射装置3のために適している。
【0023】
燃料噴射装置3の燃料噴射弁2は燃料スリーブ4を有している。燃料スリーブ4の流入側端部5において、運転中に燃料が燃料噴射弁2の燃焼室6内に案内される。
【0024】
接続部材1は、上部8と管状部分9とを備えたベース体7を有している。接続部材1のベース体7の収容スペース11内に燃料を案内するために、上部8内に、適当な流入孔10(
図5)が形成されている。
【0025】
燃料スリーブ4は、組み立てられた状態で収容スペース11内に挿入されている。この場合、ベース体7は開口12を有していて、この開口12を介して燃料スリーブ4は、組み立て時に収容スペース11内に挿入される。
【0026】
燃料噴射弁2の燃料スリーブ4は、この実施例では切欠13,14によって形成された収容部13,14を有している。収容部13は、シール部材15およびサポートディスク16を収容するために用いられる。収容部14は、開口12の領域内に配置されたシール部材17を収容するために用いられる。
【0027】
一方では燃料スリーブ4と、他方ではベース体7の内側18と協働するシール部材15によって、収容スペース11の部分19が、収容スペース11の部分20に対してシールされている。さらに、一方では燃料スリーブ4と、他方ではベース体7の内側18と協働するシールエレメント17によって、収容スペース11の部分20は、周囲に対してシールされている。
【0028】
接続部材1のベース体7の収容スペース11は軸線21を有しており、この軸線21に沿って、組み立て時に燃料スリーブ4は収容スペース11内に案内される。従って、組み立てた状態で、軸線21は燃料スリーブ4の軸線と一致する。
【0029】
運転中、ショック又は振動が加えられると、特に燃料スリーブ4の傾き又は半径方向運動が生ぜしめられる。これによって、例えば開口12が設けられているベース体7の端部22は、半径方向23とは逆方向に振動せしめられる。この場合、半径方向23は、軸線21に対して直角であり、分かり易くするために具体例を挙げて示されている。この場合、半径方向23は、軸線21に対して直角であると理解されるべきである。
【0030】
この実施例では、ベース体7の管状部分9は、外壁9として構成されている。この場合、外壁9は弾性変形可能な区分25を有している。外壁9の弾性変形可能な区分25は、ベローズ状に構成されている。外壁9の厚さは、適切に設定される。これによって、ベース体7の弾性変形が可能である。またこれによって、燃料スリーブ4はベース体に半径方向23で弾性的に支えられている。
【0031】
これによって、この実施例では、燃料スリーブ4がベース体7において少なくとも半径方向23で弾性的に支えられていることが、保証されている。この場合、燃料スリーブが半径方向23だけではなく、部分的に軸線21に沿って弾性的に支えられている、適切な変化実施例も含まれている。
【0032】
図2は、第2実施例による接続部材1および燃料噴射弁2の一部の概略的な断面図を示す。この実施例では、遮断部材26が設けられており、この遮断部材26は、燃料スリーブ4とベース体7との間に配置されている。この実施例では、遮断部材26は、弾性的な層27と金属製の保護層28,29とを有している。弾性的な層27と金属製の保護層28,29とは、それぞれ管状に構成されていて、半径方向23で積層されている。金属製の保護層28,29は、半径方向23で見て、弾性的な層27の外側若しくは内側に位置している。
【0033】
遮断部材26の金属製の保護層28は、ベース体7の内側18に当接している。シール部材15,17は、遮断部材26の金属製の保護層29に当接している。これによって、一方では、遮断部材26がその金属製の保護層28を介してベース体7の内側18に面状に当接する。他方では、シール部材15,17を介して点状に遮断部材26に伝達された力が、金属製の保護層29によって弾性的な層27内に均一に導入される。これによって、弾性的な層27に作用する機械的な負荷が低下する。
【0034】
遮断部材26は、外側面30を有しており、この外側面30はこの実施例では金属製の保護層28に形成されている。従って、遮断部材26は、その外側面30を介して、ベース体7の内側18に面状に当接する。遮断部材26がその外側面30に面状に当接する、ベース体7の当接面31は、この実施例では、ベース体7の内側18全体によって形成されている。
【0035】
遮断部材26の外側面30およびベース体7の当接面31は、この実施例ではそれぞれ円筒形周壁状に構成されている。
【0036】
遮断部材26は、ベース体7内に押し込まれていてよい。また、遮断部材26は接着によってベース体7に接続されていてよい。遮断部材26とベース体7とを接続するための別の可能性も考えられる。弾性的な層27は、例えばエラストマーより形成されていてよい。金属製の保護層28,29は、例えば鋼より形成されていてよい。また保護層28,29は、相応の変化実施例においては非金属材料より形成されていてもよい。
【0037】
図3は、第3実施例による接続部材1および燃料噴射弁2の一部の概略的な断面図を示す。この実施例では、ベース体7はショルダ35を有している。開口12はショルダ35内に形成されている。さらに、ショルダ35において開口12の領域に段部36が設けられている。段部36はショルダ35の突起37に形成されている。
【0038】
この実施例では、ショルダ35の段部36に遮断部材26が配置されている。遮断部材26は燃料スリーブ4の外側38を環状に包囲している。
【0039】
従って、遮断部材26を介して、燃料スリーブ4がベース体7に半径方向23で弾性的に支持されることが保証されている。
【0040】
遮断は、所定の調節力までだけ、若しくは遮断部材26に作用する所定の圧力レベルまでだけ作用する。このような制限は、この実施例では、突起37が最大の調節運動時若しくは振動振幅時に燃料スリーブ4の外側38に当接することによって、実現されている。これによって、遮断部材26に作用する最大負荷が相応に制限される。
【0041】
このような構成は特に、遮断が主にアイドリング運転時に要求されている使用例において有利である。遮断は、特にアイドリング回転数において有効でなければならないので、このような構造的特徴は、アイドリング中の運転圧力が、より高い回転数におけるよりも低い場合に、特に有効である。
【0042】
燃料スリーブ4と接続部材1との接続は、この実施例では、例えばバヨネット接続によって実現されてよい。このために接続部材1および/又は燃料スリーブ4は、軸線21に関して回転対称的ではなく、周方向で中断された構成を有している。この場合、組み立ては差込み回転運動を介して行われる。
【0043】
変化実施例によれば、組み立ては、複数部分より成るベース体7の構成によっても可能である。この場合、接続部材1および燃料スリーブ4の回転対称的な構成が可能である。
【0044】
従って、この実施例では、半径方向23における遮断部材26の弾性的な変形は、ベース体7の突起37が燃料スリーブ4の外側38に機械的に当接することによって制限されていてよい。
【0045】
図4は、第4実施例による接続部材1および燃料噴射弁2の一部の概略的な断面図を示す。この実施例では、遮断部材26は例えばエラストマーより形成されている。遮断部材26は、一方では燃料スリーブ4の外側38に面状に当接している。他方では、遮断部材26は、ベース体7の内側18の当接面31に面状に当接している。この実施例では、当接面31は、内側18の全体に亘って延在していない、内側18の実際の部分である。遮断部材26と燃料スリーブ4並びにベース体7との間の接続は、摩擦締結式に構成されていてよい。接続のために、特に遮断部材26のエラストマー材料の接着又は加硫処理が用いられる。これによって、遮断部材26は追加的に、収容スペース11の部分19を開口12に隣接する周囲に対してシールするシール機能を保証する。
【0046】
さらに、燃料スリーブ4の流入側の端部5は、この実施例では、半径方向23に延在する半径方向支持縁39を有している。この場合、この半径方向支持縁39はディスク状に形成されている。この半径方向支持縁39によって、遮断部材26に作用する力の制限、若しくは遮断部材26の変形の制限が実現されている。この場合、遮断部材26の、半径方向23における弾性変形は、燃料スリーブ4の半径方向支持縁39がベース体7の内側18に機械的に当接することによって制限されている。
【0047】
図5は、第5実施例による接続部材1および燃料噴射弁2を備えた燃料噴射装置3の一部の概略的な断面図を示す。燃料噴射装置3は、燃料を案内する構成部材45を有している。燃料を案内する構成部材45は、この実施例では、燃料分配装置45、特に燃料分配レール45として構成されている。燃料分配装置45に接続部材1が取り付けられている。この場合、接続部材1は適切な形式で燃料分配装置45の管状のベース体46に接続されていてよい。この場合、接続部材1は燃料分配装置45の構成部分であってもよい。燃料分配装置45に、好適な形式で複数のこのような接続部材1が配置されており、これらの接続部材1はそれぞれ、燃料噴射弁2に接続するために用いられる。
【0048】
この実施例では、燃料スリーブ4に突出部47が形成されている。この突出部47は、半円形の隆起部47である。燃料スリーブ4の突出部47の断面形状は凸状に形成されている。
【0049】
それに対応して、組み立てられた燃料スリーブ4の突出部47の領域内に、断面形状が凹状である、ベース体7の当接面31が形成されている。この実施例では、燃料スリーブ4の突出部47とベース体7の凹状の当接面31との間に、遮断部材26が配置されている。これによって、遮断部材26は相応に湾曲した形状を有している。この実施例では、遮断部材26はエラストマーより形成されている。
【0050】
変化実施例によれば、遮断部材26は、
図2を用いて説明されているように、複数の層として形成されていてもよい。
【0051】
この構成において、遮断部材26を介して、燃料スリーブ4はベース体7に半径方向で弾性的に支持することができる。しかもこの場合、軸線21に沿った弾性的な支持も可能である。これによって、燃料噴射弁2の好適な懸架式支承が実現されている。
【0052】
ベース体7および燃料スリーブ4は、回転対称的ではなく、周方向で中断して構成されていてよい。これによって、差込み回転運動を介して組み立てることができる。またこれによって接続は特にバヨネット接続として構成され得る。
【0053】
この構成において、支承公差は非常に良好に補正され得る。何故ならば、燃料噴射弁2はその懸架式支承により、接続部材1に回転可能に支承され得るからである。
【0054】
図6は、第6実施例による接続部材1および燃料噴射弁2を備えた燃料噴射装置3の一部の概略的な断面図を示す。この実施例において、接続部材1のベース体7は複数の部分より構成されている。特にこの実施例では、接続面52で互いに接合された、ベース体7の部分50,51が示されている。遮断部材26を取り付けるために、組み立て時に、ベース体の部分51はまず部分50から解除することができる。次いで、単数又は複数のねじ部材53によってねじ固定が可能である。これによって、燃料スリーブ4およびベース体7は、燃料スリーブ4の領域、特に収容スペース11の領域において、回転対称的に構成され得る。
【0055】
ベース体7の部分50,51の接続は、勿論、別の形式で行ってもよい。
【0056】
本発明は図示の実施例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0057】
1 接続部材
2 燃料噴射弁
3 燃料噴射装置
4 燃料スリーブ
5 流入側端部
6 燃焼室
7 ベース体
8 上部
9 管状部分、外壁
10 流入孔
11 収容スペース
12 開口
13,14 切欠
15 シール部材
16 サポートディスク
17 シール部材
18 ベース体7の内側
19,20 収容スペース11の部分
25 弾性変形可能な区分
26 遮断部材
27 弾性的な層
28,29 金属製の保護層
30 外側面
35 ショルダ
36 段部
37 突起
38 外側
39 半径方向支持縁
45 燃料を案内する構成部材
46 ベース体
47 突出部
50,51 部分
53 ねじ部材