特許第6302557号(P6302557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6302557金属表面のデスケールをするための方法及び装置並びに金属の半製品を製造するための設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6302557
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】金属表面のデスケールをするための方法及び装置並びに金属の半製品を製造するための設備
(51)【国際特許分類】
   B21B 45/08 20060101AFI20180319BHJP
【FI】
   B21B45/08 B
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-534913(P2016-534913)
(86)(22)【出願日】2014年11月28日
(65)【公表番号】特表2016-538136(P2016-538136A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】EP2014076023
(87)【国際公開番号】WO2015079052
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2016年7月4日
(31)【優先権主張番号】102013224506.8
(32)【優先日】2013年11月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】クラマー・マルクス
【審査官】 酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−216513(JP,A)
【文献】 特開平06−226215(JP,A)
【文献】 特開平07−148515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 45/02−45/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属の半製品(4,9)が、搬送方向(13)に、この搬送方向(13)に対して横に相並んで配置され且つ回転軸(20)を中心として回転するノズルヘッド部分(18)に沿って案内され、これら回転するノズルヘッド部分(18)に配置されたノズル要素(22,23,24,25)によって、金属表面(2,3)に向けられた高圧下にある流体ジェットが発生され、これら流体ジェットが、直接的に隣接する2つのノズルヘッド部分(18)の間の狭隘箇所(30)においても金属表面(2,3)へまで噴射される、金属の半製品(4,9)の金属表面(2,3)のデスケールをするための方法において、
ノズルヘッド部分(18)は、ノズルヘッド部分(18)のそれぞれの回転軸(20)の回転角(26)に関して、ノズル要素(22,23,24,25)によって発生された流体ジェットが直接的に隣接する2つのノズルヘッド部分(18)の間のそれぞれの狭隘箇所(30)において常に非接触で互いに沿って金属表面(2,3)へ噴射されるように予調整された角度位置(31,32)で互いに同期して回転すること、を特徴とする方法。
【請求項2】
ノズルヘッド部分(18)が、互いに同期された回転数で回転すること、を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ノズルヘッド部分(18)が、同期されて加速されること、を特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ノズルヘッド部分(18)のそれぞれの角度位置(31,32)が、互いに校正されること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
直接的に隣接する2つのノズルヘッド部分(18)のノズル要素(22,23,24,25)は、ノズル要素(22,23,24,25)によって発生された流体ジェットが常に非接触で互いに沿って金属表面(2,3)へ噴射されるように、狭隘箇所(30)を常に交互に通過すること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
直接的に隣接する2つのノズルヘッド部分(18)のノズル要素(22,23,24,25)が、常に時間をずらして狭隘箇所(30)に沿って案内されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ノズルユニット(16)を有し、このノズルユニットに沿って、金属の半製品(4,9)が搬送方向(13)に案内可能であり、ノズルユニット(16)が、金属表面(2,3)に向けられた高圧下にある流体ジェットを発生させるためのノズル要素(22,23,24,25)を有する、回転軸(20)を中心として回転する多数のノズルヘッド部分(18)を備え、これらノズルヘッド部分(18)は、ノズル要素(22,23,24,25)によって発生された流体ジェットが、直接的に隣接する2つのノズルヘッド部分(18)の間の狭隘箇所(30)においても金属表面(2,3)へまで噴射されるように、相並んで配置されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属の半製品(4,9)の金属表面(2,3)のデスケールをするための方法を実施するための装置(1)であって、回転する個々のノズルヘッド部分(18)は、その角度位置(31,32)に関して、ノズル要素(22,23,24,25)によって発生された流体ジェットが常に非接触で互いに沿って金属表面(2,3)へ噴射可能であるように、常に互いに調整されて配置されている、形式のものにおいて、
ノズルヘッド部分(18)は、ノズルユニット(16)の個々のノズルヘッド部分(18)が常に予調整された角度位置(31,32)で互いに調整されて配置されているように、機械式及び/又は電子式の相互作用で互いに結合されていること、を特徴とする装置(1)。
【請求項8】
直接的に隣接する2つのノズルヘッド部分(18)のノズル要素(22,23,24,25)は、その角度位置(31,32)に関して、ノズル要素(22,23,24,25)によって発生された流体ジェットが常に非接触で互いに沿って金属表面(2,3)へ噴射可能であるように、常に互いに調整されて配置されていること、を特徴とする請求項7に記載の装置(1)。
【請求項9】
ノズルヘッド部分(18)を駆動するための駆動ユニットが設けられ、この駆動ユニットによって、ノズルヘッド部分(18)が、その回転特性に関して同期されるように駆動可能であること、を特徴とする請求項7又は8に記載の装置(1)。
【請求項10】
直接的に隣接する2つのノズルヘッド部分(18)のノズル要素(22,23,24,25)が、その角度位置(31,32)に関して、5°より多く互いにずらされて配置されていること、を特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項11】
金属の半製品(4,9)の金属表面(2,3)のデスケールをするための装置(1)を有する、金属の半製品(4,9)を製造するための設備(5)において、
請求項7〜10のいずれか1項に記載のデスケールをするための装置(1)が設けられていること、を特徴とする設備(5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属の半製品が、搬送方向に、この搬送方向に対して横に相並んで配置され且つ回転軸を中心として回転するノズルヘッド部分に沿って案内され、これら回転するノズルヘッド部分に配置されたノズル要素によって、金属表面に向けられた高圧下にある流体ジェットが発生され、これら流体ジェットが、直接的に隣接する2つのノズルヘッド部分の間の狭隘箇所において金属表面へまで噴射される、金属の半製品の金属表面のデスケールをするための方法に関する。
【0002】
本発明は、ノズルユニットを有し、このノズルユニットに沿って、金属の半製品が搬送方向に案内可能であり、ノズルユニットが、金属表面に向けられた高圧下にある流体ジェットを発生させるためのノズル要素を有する、回転軸を中心として回転する多数のノズルヘッド部分を備え、これらノズルヘッド部分は、ノズル要素によって発生された流体ジェットが、直接的に隣接する2つのノズルヘッド部分の間の狭隘箇所において金属表面へまで噴射されるように、相並んで配置されている、金属の半製品の金属表面のデスケールをするための方法を実施するための装置にも関する。
【0003】
本発明は、更に、金属の半製品の金属表面のデスケールをするための装置を有する、金属の半製品、特に金属のストリップ材料を製造するための設備に関する。
【背景技術】
【0004】
特にこの種の方法及び装置は、従来技術からよく知られている。
【0005】
例えば、独国特許出願公開第43 28 303号明細書からは、高温の圧延材のデスケールをするためのユニットが知られ、圧延材は、このユニットに沿って案内される。この場合、それぞれの圧延材の表面は、高圧水による両側からの噴射によってクリーニングもしくはデスケーリングされる。そこで提案されたデスケールユニットは、一列に相並んで配置されたノズルヘッドを備え、これらノズルヘッドは、それぞれ1つの回転軸を中心として動力で回転駆動されている。ノズルヘッドは、偏心して配置された少なくとも1つのノズルを備え、このノズルによって、高圧水ジェットを発生させ、表面へ噴射することができる。回転駆動されるノズルヘッドにより、圧延材の噴射を受けた表面の良好な表面品質が得られる。
【0006】
国際公開第2005/082555号パンフレットから、一列に配置されたノズルヘッドを有する高温の圧延材のデスケールをするための別のユニットが知られ、これらノズルヘッドは、それぞれ1つの回転軸を中心として動力で回転駆動されている。そこで教授されるデスケールユニットは、回転駆動されるノズルヘッドに配置されたノズルが、それぞれのノズルヘッドの周囲の構造的に可能な近さで配置されていることを特徴とする。この場合、圧延材表面には、スプレーパターンが発生され、このスプレーパターンは、圧延材表面のその幅にわたる均等なデスケールを得るために、ノズルヘッド列内で隣接するノズルヘッドのスプレーパターンに少なくとも正接する。更に、ノズルヘッド列の隣接するノズルヘッドは、不所望の相互のジェットの影響を回避するために、同方向に回転する。
【0007】
更に、米国特許第5 697 241号明細書には、ロータ−デスケールユニットから流出し且つ圧延材に衝突する液体ジェットが、圧延方向とは逆方向に向けられている、ロールスタンドとその前に配置されたロータ−デスケールユニットを有する圧延ユニットが記載されている。これにより、圧延材表面上の液体ジェットの衝突箇所に衝突する液体は、衝突後に流れの合力を備え、この合力は、圧延方向とは反対の成分を備えるので、できるだけ少ない液体塗布量であるにもかかわらず申し分のない表面品質が達成可能である。
【0008】
金属の半製品のデスケールをするための別のデスケールユニットは、特開平11−216513号公報に開示され、このデスケールユニットでは、高圧水ノズルを備える回転ヘッドが、金属の半製品の幅全体にわたる確実なデスケールを得るために、金属の半製品の幅方向に相並んで配置されているだけでなく、付加的に金属の半製品の移送方向にも互いにずらして配置されている。しかしながら、このデスケールユニットは、移送方向に非常に低く構成されている。
【0009】
特開平06−226215号公報からは更に、例えば底面等のようなクリーニングすべき表面にわたって移動可能な、回転するノズルヘッドを有するクリーニング機械が公知であり、これらノズルヘッドは、それぞれ1つのロータアームを有し、各ロータアームは、2つ以上の高圧ノズルを備え、その液体ジェットは、改善されたクリーニング効果を得るために、クリーニングすべき表面の前の点で合流する。ロータアームは、回転中に確かに互いに介入するが、互いに衝突しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許出願公開第43 28 303号明細書
【特許文献2】国際公開第2005/082555号パンフレット
【特許文献3】米国特許第5 697 241号明細書
【特許文献4】特開平11−216513号公報
【特許文献5】特開平06−226215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の根底にある課題は、この種のデスケール装置における相応の金属の半製品の金属表面のデスケールに関するクリーニング効果を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の課題は、ノズルヘッド部分は、ノズルヘッド部分のそれぞれの回転軸の回転角に関して、ノズル要素によって発生された流体ジェットが常に非接触で互いに沿って金属表面へ噴射されるように予調整された角度位置で互いに同期して回転すること、を特徴とする、金属の半製品が、搬送方向に、この搬送方向に対して横に相並んで配置され且つ回転軸を中心として回転するノズルヘッド部分に沿って案内され、これら回転するノズルヘッド部分に配置されたノズル要素によって、金属表面に向けられた高圧下にある流体ジェットが発生され、これら流体ジェットが、直接的に隣接する2つのノズルヘッド部分の間の狭隘箇所においても金属表面へまで噴射される、金属の半製品の金属表面のデスケールをするための方法によって解決される。
【0013】
本発明の意味で、同期は、ノズルヘッド部分の間で一旦相応に調整された角度位置が、ノズルヘッド部分の回転中に互いに意図せずに変化しないことを意味する。
【0014】
特に直接的に互いに隣接する2つのノズルヘッド部分の2つのノズル要素が何らかの運転段階で同時に狭隘箇所に位置決めされる危険は、ノズルによって発生された流体ジェットが常に、即ち少なくとも各デスケール段階で、非接触で互いに沿って金属表面へ噴射されるように、ノズルヘッド部分がその角度位置に関して互いに調整されることによって、完全に排除することができる。
【0015】
この場合、ノズルヘッド部分が、付加的に更に互いに同期されて回転する場合には、ノズルヘッド部分がその角度位置に関して互いに変化すること、及び、これが、もはや重要な各運転段階で保証されていないことが、防止される。
【0016】
従って、ノズルユニットのノズルヘッド部分が、一旦調整された角度位置で互いに同期されて回転し、これら角度位置で、接近する2つのノズル要素の、特に直接的に隣接する2つのノズルヘッド部分の流体ジェットが、非接触で互いに沿って金属表面へ噴射できる場合が、有利である。
【0017】
有利には、個々のノズルヘッド部分の回転運動もしくはその駆動手段は、そのために正しい位置で同期されるので、個々のノズルヘッド部分は、常に必要に応じて互いに調整されて回転する。
【0018】
従って、本発明による方法により、例えば相応のロータデスケール時に、従来技術ではこれまでそうであり得たように、個々の流体ジェットが金属表面に衝突する前に相互にマイナスの影響を与え合い、これにより相互に弱め合う又は完全に消し去ることが回避される。このような効果は、特に、直接的に隣接する2つのノズルヘッド部分の間の狭隘箇所において、ノズル要素がこの狭隘箇所に沿って案内される時に、同時に生じる。
【0019】
直接的に相並んで配置された2つのノズルヘッド部分の狭隘箇所に沿ったノズル要素のこのような同時の案内が、これまでは、設定技術及び/又は制御又は調整技術的に、個々のノズルヘッド部分が狭隘箇所を常に交互に通過することが保証されていないことにより、これまではしばしば意図せずに生じた。むしろ、相並んで配置されたノズルヘッド部分は、何らかの方法で相対して回転する。
【0020】
この場合、“常に”との概念は、少なくともデスケールプロセス中に回転可能なもしくは回転するノズルヘッド部分の各運転段階を表す。
【0021】
しかしながら、ここでは、ここのノズルヘッド部分は、同期して正しい位置で相対して回転するので、直接的に隣接するノズルヘッド部分のノズル要素が、同時に狭隘箇所に沿って案内されることが回避されている。
【0022】
その点で、ここでは、金属表面のクリーニング効果が、実質的に改善される。
【0023】
この場合、直接的に隣接する2つのノズルヘッド要素が、同方向又は逆方向に相対して回転するかは、いかなる役割も演じない。何故なら、ノズル要素は、その角度位置に関して、直接的に隣接する2つのノズルヘッド部分の接近する2つのノズル要素の流体ジェットが非接触で互いに沿って金属表面へ噴射されるように、常に互いに調整されているからである。
【0024】
流体ジェットとして、ここでは、金属表面のデスケール又はその他のクリーニングのために適している限り、種々の媒体を使用することができる。好ましくは、ここでは、流体ジェットとして、高圧水ジェットが使用される。流体ジェットは、円錐ジェット形、楕円ジェット形、フラットジェット形等として発生させることができる。
【0025】
金属表面は、例えば、スケール層を除去すべき熱間圧延された表面である。本発明によって金属表面から、金属表面に付着しているその他の不所望の物質を除去できることがわかる。
【0026】
金属の半製品は、本発明の意味では、大体が、例えばスラブ、薄スラブ、熱間ストリップ、粗ストリップ等のような鍛造又は圧延された金属のストリップ材料である。
【0027】
ノズルユニットの一列に相並んで配置されたノズルヘッド部分は、ここではそれぞれ1つの固有の回転軸を中心として回転可能に支承されている。これら回転軸は、搬送方向に移送される金属の半製品に対して好ましくは垂直に延在する。
【0028】
ノズルヘッド部分のそれぞれに、少なくとも1つのノズル要素が配置され、このノズル要素は、少なくとも1つの流出口を備え、この流出口から、高圧下の液体ジェットが流出する。最も簡単な例では、このような流出口は、本発明の意味のノズル要素であり得る。
【0029】
“狭隘箇所”との概念は、本発明の意味では、直接的に向かい合う2つのノズルヘッド部分の間の最小間隔を有する領域を表し、この領域内で、2つのノズルヘッド部分のノズル要素は、これら両ノズルヘッド部分が相応にそのそれぞれの回転軸を中心として回転する時に、向かい合う、即ち最も接近する。この狭隘箇所は、全ての回転軸を結ぶ結合線上に位置する。即ち、狭隘箇所は、そこで一時的に入り込むように回転される2つのノズル要素によって発生された流体ジェットが金属表面に衝突する前にオーバーラップ又は少なくとも正接することができ、これにより、流体ジェットが、不利なことに相互に邪魔されるように、2つのノズルヘッド部分が密接に相並んで配置された領域を表す。
【0030】
ノズルヘッド部分が、互いに同期された回転数で回転する場合、一旦予調整された角度位置は、確実に維持することができる。
【0031】
ノズルヘッド部分が、同期されて加速される場合、ノズルヘッド部分に関する一旦予調整された角度位置の正確な維持を、付加的に改善することができる。これは、正の加速に対しても、負の加速に対しても当て嵌まる。
【0032】
個々のノズルヘッド部分に関する所望のもしくは必要な角度位置を常に互いに保証できるようにするため、例えば本装置による金属表面の処理の前又は運転中に、ノズルヘッド部分のそれぞれの角度位置が、互いに校正される場合が、有利である。
【0033】
このような校正時に、特に、個々のノズルヘッドの角度位置及び回転数は、直接的に隣接するノズルヘッド部分のノズル要素が狭隘箇所を常に交互に通過するように、互いに調整されるので、ノズル要素によって発生された流体ジェットは、常に非接触で互いに沿って金属表面へ噴射される。
【0034】
その点で、方法の有利なバリエーションでは、直接的に隣接する2つのノズルヘッド部分のノズル要素は、ノズル要素によって発生された流体ジェットが常に非接触で互いに沿って金属表面へ噴射されるように、狭隘箇所を常に交互に通過する。
【0035】
この関係で、直接的に隣接する2つのノズルヘッド部分のノズル要素が、常に時間をずらして狭隘箇所に沿って案内される場合が、有利である。これにより、本発明の意味の2つの流体ジェットの不利な影響は、更に改善されて防止することができる。
【0036】
時間のズレは、所望の降下を得るために、相応に大きく選択する必要があることが、わかる。
【0037】
本発明の課題は、更に、請求項7の対象による、金属の半製品の金属表面のデスケールをするための方法を実施するための装置によっても解決される。これは、ノズルヘッド部分は、ノズルユニットの個々のノズルヘッド部分が常に予調整された角度位置で互いに調整されて配置されているように、機械式及び/又は電子式の相互作用で互いに結合されていること、を特徴とする。
【0038】
原理的に、電子的な連結の場合、例えば金属の半製品の金属表面に対するノズル要素の間隔又はノズル要素に対して相対的な金属の半製品の搬送速度のようなパラメータに依存してそれぞれの有利なクリーニング結果を得るために、金属の半製品の製造プロセスもしくは金属表面のデスケールプロセスの開始時に、回転するノズルヘッド部分の互いの角度位置に関して異なった基本位置を選択することが、特に簡単に可能である。
【0039】
ノズル要素によって発生された流体ジェットが常に非接触で互いに沿って金属表面へ噴射可能であるように、回転する個々のノズルヘッド部分が、その角度位置に関して、常に互いに調整されて配置されていることにより、金属表面に関するクリーニング効果は、実質的に向上される。
【0040】
これは、ここでは、個々のノズルヘッド部分の正確な角度位置が、確実に刻み込まれていることによって保証される。従って、回転する個々のノズルヘッド部分は、一端定義されたその互いの角度位置を維持する。
【0041】
本装置により、特に本方法を有利に実施することができる。
【0042】
実施バリエーションでは、直接的に隣接する2つのノズルヘッド部分のノズル要素は、その角度位置に関して、ノズル要素によって発生された流体ジェットが常に非接触で互いに沿って金属表面へ噴射可能であるように、常に互いに調整されて配置されている。
【0043】
好ましくは、ノズルヘッド部分の個々の角度位置は、直接的に隣接する2つのノズルヘッド部分のノズル要素が常に時間をずらして狭隘箇所の領域へ進入するように、回転角のズレ分だけ回転されるように互いに調整されているので、狭隘箇所では、常に1つのノズル要素だけが、従ってまたつねに1つの流体ジェットだけが、一時的に位置決めされている。
【0044】
特に好ましい実施バリエーションでは、装置が、ノズルヘッド部分を駆動するための駆動ユニットを備え、この駆動ユニットによって、ノズルヘッド部分が、その回転特性に関して同期されるように駆動可能である。
【0045】
“回転特性”との概念は、特に個々のノズルヘッド部分の角加速度及び角速度を意味する。
【0046】
駆動ユニットを異なるように構成できることがわかる。例えば、ノズルヘッド部分のそれぞれに、駆動手段として固有の駆動モータを付設することができる。又は、駆動ユニットは、駆動手段として、相応のギヤユニットを介してノズルヘッド部分と作用結合された1つの駆動モータだけを有する。
【0047】
2つのノズルヘッド部分の間の狭隘箇所の領域内での2つの流体ジェットの負の影響は、直接的に隣接する2つのノズルヘッド部分のノズル要素が、その角度位置に関して、5°より多く又は15°より多く、好ましくは45°だけ互いにずらされて配置されている場合に、常に排除することができる。
【0048】
本発明の課題は、更に、ここで説明した特徴のいずれか1つによるデスケールをするための装置が設けられていること、を特徴とする、金属の半製品の金属表面のデスケールをするための装置を有する、金属の半製品、特に金属のストリップ材料を製造するための設備によって解決される。このように装備された設備により、相応の金属の半製品は、特に高い表面品質を有するように製造することができる。
【0049】
本発明の更なる特徴、効果及び利点は、例えば、ノズル要素によって発生された流体ジェットが常に非接触で互いに沿って金属表面へ噴射可能であるように、回転する個々のノズルヘッド部分が、その角度位置に関して常に互いに調整されるように配置されたデスケール装置を有する、金属の半製品を製造するための設備が図示及び説明されている、添付図及び後続の説明によって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】金属の半製品を製造するための設備の概略図
図2図1の設備のデスケール装置のノズルユニットのノズルヘッド部分装置を上から見た概略図
【発明を実施するための形態】
【0051】
金属の半製品4の金属表面2及び3のデスケールをするための本発明による装置1は、図1に示した実施例によれば、金属の半製品4を製造するための設備5に統合されている。この場合、設備5は、鋳型7及び鋳造弧8を有する鋳造機6を有し、鋳造弧8から流出する金属ストリップ9の形態の金属の半製品4は、次いで、製造トレイン12内の種々の粗スタンド10及びスタンド11を通って搬送方向13に移送される。更に、金属ストリップ9を粗スタンド10での圧延過程後に高い温度へ上昇させる誘導炉14が設けられている。表面2及び3のデスケールは、誘導炉14の後でデスケールをするための装置1によって行なわれ、装置1は、スケールウォッシャ15を有する。
【0052】
装置1は、ノズルユニット16を特徴とし、このノズルユニットは、金属ストリップ9の上にも、金属ストリップ9の下にも、一列17に相並んで配置されたノズルヘッド部分18から成るそれぞれ1つの装置(図2も参照)を備える。この場合、列17は、搬送方向13に対して横の金属ストリップ9の幅方向19に延在する。
【0053】
存在するノズルヘッド部分18のそれぞれは、固有の回転軸20(模範的にしか図示してない)を中心として回転するように、ノズルユニット16内に支承されている。更に、ノズルヘッド部分18のそれぞれは、ノズルヘッド部分18の外縁21に90°だけ互いにずらされて配置された4つのノズル要素22,23,24及び25を備える。
【0054】
ノズル要素22〜25は、少なくとも1つの流出口(示してない)を備え、この流出口から、高圧下にある流体ジェット(ここでは示してない)が流出でき、ノズル要素22〜25は、ノズル要素によって発生された流体ジェットがそれぞれの表面2又は3へ噴射されるように配置されている。この場合、全てのノズル要素22〜25はそのそれぞれの中心軸20を中心として回転方向26に従って同方向に回転する。この場合、回転軸20は、共通の仮定の結合線27上に位置する。
【0055】
個々の流体ジェットが交差する又はそのジェットの作用が相互に下がる又は上がるように接触することを防止するために、ノズルヘッド部分18は、ノズル要素22,23,24及び25によって発生された流体ジェットが直接的に隣接する2つのノズルヘッド部分18の間のそれぞれの狭隘箇所30において常に非接触で互いに沿って金属表面2,3へ噴射可能であるように、相並んで配置されている。
【0056】
このため、回転する個々のノズルヘッド部分18は、そのそれぞれの角度位置31もしくは32(ここでは模範的にしか図示してない)に関して、直接的に隣接する2つのノズルヘッド部分18のノズル要素22,23,24,25が常に交互にそれぞれの狭隘箇所30を通過するように、互いに調整されて配置されている。
【0057】
これは、模範的に図2に図示したスナップショットに関して示したように、第1のノズルヘッド部分18が、仮定の結合線20に対して45°の回転角(模範的にしか図示してない)を有する第1の角度位置31を備え、直接的に隣接する別のノズルヘッド部分18が、仮定の結合線27に対して0°の別の回転角(記入されてない)を有する別の角度位置32を備えることを意味する。
【0058】
例えば、幾つかのノズルヘッド部分18のノズル要素23もしくは25は、仮定の結合線27によって覆い隠されており(回転角=0°)、即ちこれらノズル要素は、直接的に隣接する2つのノズルヘッド部分18のそれぞれの狭隘箇所30に一時的に位置決めされているが、これに対して直接的に隣接するノズルヘッド部分18のノズル要素24及び25もしくは22及び23は、狭隘箇所30もしくは仮定の結合線20から45°だけ回転されて配置されている。
【0059】
これにより、構造的に特に簡単な方法で、直接的に隣接する2つのノズルヘッド部分18のノズル要素22,23,24,25が、常に相応に時間をずらして狭隘箇所30に沿って案内されることを保証することができる。
【0060】
有利には、個々のノズルヘッド部分(18)の回転運動もしくはその駆動手段(ここには示してない)は、この場合好ましくは常に正しい位置に同期されるので、個々のノズルヘッド部分(18)は、常に必要に応じて互いに調整されて回転する。
【0061】
前で説明した実施例が、本発明によるデスケールをするための装置の第1の形成であるに過ぎないことがわかる。その点で、本発明の形成は、この実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0062】
1 デスケールをするための装置
2 第1の金属表面
3 第2の金属表面
4 金属の半製品
5 製造をするための設備
6 鋳造機
7 鋳型
8 鋳造弧
9 金属ストリップ
10 粗スタンド
11 スタンド
12 製造トレイン
13 搬送方向
14 誘導炉
15 スケールウォッシャ
16 ノズルユニット
17 列
18 ノズルヘッド部分
19 幅方向
20 回転軸
21 外縁
22 第1のノズル要素
23 第2のノズル要素
24 第3のノズル要素
25 第4のノズル要素
26 回転方向
27 仮定の結合線
30 狭隘部
31 第1の角度位置
32 第2の角度位置
33 第1の回転角
図1
図2