特許第6302568号(P6302568)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6302568
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】伸縮性基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20180319BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20180319BHJP
【FI】
   H05K1/02 A
   H05K1/02 J
   H05K1/18 J
   H05K1/18 S
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-563674(P2016-563674)
(86)(22)【出願日】2015年12月8日
(86)【国際出願番号】JP2015084355
(87)【国際公開番号】WO2016093210
(87)【国際公開日】20160616
【審査請求日】2017年3月23日
(31)【優先権主張番号】特願2014-247671(P2014-247671)
(32)【優先日】2014年12月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小椋 真悟
(72)【発明者】
【氏名】半村 哲
【審査官】 齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−187308(JP,A)
【文献】 特開2012−124265(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/023773(WO,A1)
【文献】 国際公開第03/021679(WO,A2)
【文献】 特開2013−187380(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0299362(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/086033(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0128717(US,A1)
【文献】 実公昭57−54303(JP,Y2)
【文献】 特表2013−546188(JP,A)
【文献】 特開2006−108657(JP,A)
【文献】 特開2015−15374(JP,A)
【文献】 特開2016−27596(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/203586(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0051005(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K1/00−3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性を有する基材と、
前記基材に実装された第1の電子部品と、
前記基材に実装された第2の電子部品と、
前記基材上に設けられた配線と、
前記第1の電子部品と前記配線とを相互に電気的に接続する第1の接続部と、
前記第2の電子部品と前記配線とを相互に電気的に接続する第2の接続部と、を備えた伸縮性基板であって、
前記第1の電子部品の少なくとも一部と、前記第2の電子部品の少なくとも一部と、は前記伸縮性基板の伸縮予定方向において相互に対向し、
前記基材は、
前記伸縮予定方向において、前記第1及び第2の電子部品の間に介在する対向領域と、
前記基材における前記対向領域以外の非対向領域と、を含み、
前記第1の接続部の少なくとも一部及び前記第2の接続部の少なくとも一部は、前記非対向領域に設けられ、
少なくとも1つの前記配線は、前記非対向領域に設けられていることを特徴とする伸縮性基板。
【請求項2】
請求項1に記載の伸縮性基板であって、
前記第1及び第2の電子部品の外形は、平面視において、4つの辺を有する略矩形とされることを特徴とする伸縮性基板。
【請求項3】
請求項2に記載の伸縮性基板であって、
前記第1の電子部品の外形は、平面視において、
前記伸縮予定方向に対して実質的に直交する第1の辺と、
前記第1の辺に対して交差する第2の辺と、を含み、
前記第2の電子部品の外形は、平面視において、
前記伸縮予定方向に対して実質的に直交する第3の辺と、
前記第3の辺に対して交差する第4の辺と、を含み、
前記第1及び第2の電子部品は、平面視において、前記第1及び第3の辺を相互に対向させるように配置され、
前記第2及び第4の辺は、平面視において、前記対向領域の中心を通る前記伸縮予定方向に沿った仮想中心線に対して実質的に同一側に位置し、
前記配線は、平面視において、前記第2の辺から導出していると共に、前記第4の辺から導出していることを特徴とする伸縮性基板。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の伸縮性基板であって、
前記伸縮性基板は、
複数の前記第1の接続部と、
複数の前記第2の接続部と、
複数の前記配線と、を有し、
複数の前記第1の接続部の全てと、複数の前記第2の接続部の全てと、複数の前記配線の全てと、が前記非対向領域に設けられていることを特徴とする伸縮性基板。
【請求項5】
伸縮性を有する基材と、
前記基材上に設けられた配線と、を備えた伸縮性基板であって、
前記基材は、前記配線によって相互に電気的に接続される第1及び第2の電子部品を実装可能な第1及び第2の実装部を含み、
前記第1の実装部の少なくとも一部と、前記第2の実装部の少なくとも一部と、は前記伸縮性基板の伸縮予定方向において相互に対向し、
前記基材は、
前記伸縮予定方向において、前記第1及び第2の実装部の間に介在する対向領域と、
前記基材における前記対向領域以外であって、前記第1及び第2の実装部を包含する非対向領域と、を含み、
少なくとも1つの前記配線は、前記非対向領域に設けられていることを特徴とする伸縮性基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性基板に関するものである。
文献の参照による組み込みが認められる指定国については、2014年12月8日に日本国に出願された特願2014−247671号に記載された内容を参照により本明細書に組み込み、本明細書の記載の一部とする。
【背景技術】
【0002】
伸縮不能な部品実装用基板と、伸縮可能な伸縮可能回路体と、の間での集中応力による電気接続部の破壊を抑制するため、伸縮可能回路体の電気接続部を含む領域の伸縮を防止する伸縮防止ガードを部品実装用基板に設けたフレキシブル回路基板が知られている(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−145842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、伸縮防止ガードによってフレキシブル回路基板の伸縮性低下を招来するおそれがある、という問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、伸縮性低下を抑制すると共に、配線を介して電子部品間を電気的に接続する接続部の破壊の抑制を図る伸縮性基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明に係る伸縮性基板は、伸縮性を有する基材と、前記基材に実装された第1と、前記基材に実装された第2の電子部品と、前記基材上に設けられた配線と、前記第1の電子部品と前記配線とを相互に電気的に接続する第1の接続部と、前記第2の電子部品と前記配線とを相互に電気的に接続する第2の接続部と、を備え、前記第1の電子部品の少なくとも一部と、前記第2の電子部品の少なくとも一部と、は前記伸縮性基板の伸縮予定方向において相互に対向し、前記基材は、前記伸縮予定方向において、前記第1及び第2の電子部品の間に介在する対向領域と、前記基材における前記対向領域以外の非対向領域と、を含み、前記第1の接続部の少なくとも一部及び前記第2の接続部の少なくとも一部は、前記非対向領域に設けられ、少なくとも1つの前記配線は、前記非対向領域に設けられていることを特徴とする。
【0007】
[2]上記発明において、前記第1及び第2の電子部品の外形は、平面視において、4つの辺を有する略矩形とされてもよい。
【0008】
[3]上記発明において、前記第1の電子部品の外形は、平面視において、前記伸縮予定方向に対して実質的に直交する第1の辺と、前記第1の辺に対して交差する第2の辺と、を含み、前記第2の電子部品の外形は、平面視において、前記伸縮予定方向に対して実質的に直交する第3の辺と、前記第3の辺に対して交差する第4の辺と、を含み、前記第1及び第2の電子部品は、平面視において、前記第1及び第3の辺を相互に対向させるように配置され、前記第2及び第4の辺は、平面視において、前記対向領域の中心を通る前記伸縮予定方向に沿った仮想中心線に対して実質的に同一側に位置し、前記配線は、平面視において、前記第2の辺から導出していると共に、前記第4の辺から導出していてもよい。
【0009】
[4]上記発明において、前記伸縮性基板は、複数の前記第1の接続部と、複数の前記第2の接続部と、複数の前記配線と、を有し、複数の前記第1の接続部の全てと、複数の前記第2の接続部の全てと、複数の前記配線の全てと、が前記非対向領域に配置されていてもよい。
【0010】
[5]本発明に係る伸縮性基板は、伸縮性を有する基材と、前記基材上に設けられた配線と、を備え、前記基材は、前記配線によって相互に電気的に接続される第1及び第2の電子部品を実装可能な第1及び第2の実装部を含み、前記第1の実装部の少なくとも一部と、前記第2の実装部の少なくとも一部と、は前記伸縮性基板の伸縮予定方向において相互に対向し、前記基材は、前記伸縮予定方向において、前記第1及び第2の実装部の間に介在する対向領域と、前記基材における前記対向領域以外であって、前記第1及び第2の実装部を包含する非対向領域と、を含み、少なくとも1つの前記配線は、前記非対向領域に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、伸縮によって応力が集中し難い非対向領域に第1の接続部の少なくとも一部、又は第2の接続部の少なくとも一部の少なくとも一方を設けることで、当該非対向領域に設けられた接続部の破壊の抑制が図られる。また、本発明では、伸縮防止ガードを伸縮性基板に設ける場合と比較して、伸縮性基板を簡素な構造とすることで、当該伸縮性基板の伸縮性低下の抑制が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第1実施形態における伸縮性基板の概略構成を示す図であり、図1(a)は、平面図であり、図1(b)は、図1のIb-Ib線に沿う断面図である。
図2図2(a)は、本発明の第1実施形態における伸縮性基板の第1変形例の概略構成を示す平面図であり、図2(b)は、本発明の第1実施形態における伸縮性基板の第2変形例の概略構成を示す平面図である。
図3図3は、図1のIII-III線に沿う断面図である。
図4図4は、本発明の第1実施形態における伸縮性基板の第3変形例の概略構成を示す平面図である。
図5図5は、本発明の第1実施形態における伸縮性基板の対向領域と非対向領域との位置関係を示す平面図である。
図6図6(a)〜図6(c)は、本発明の第1実施形態における電子部品と配線との位置関係を説明するための平面図である。
図7図7は、本発明の第1実施形態における伸縮性基板の製造方法を示す工程図である。
図8図8は、本発明の第2実施形態における伸縮性基板の概略構成を示す平面図である。
図9図9は、本発明の第2実施形態における伸縮性基板の変形例の概略構成を示す平面図である。
図10図10(a)〜図10(c)は、本発明の第2実施形態における第1及び第2の実装部の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
≪第1実施形態≫
図1は本発明の第1実施形態における伸縮性基板の概略構成を示す図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は図1のIb-Ib線に沿う断面図、図2(a)は本発明の第1実施形態における伸縮性基板の第1変形例の概略構成を示す平面図、図2(b)は本発明の第1実施形態における伸縮性基板の第2変形例の概略構成を示す平面図、図3図1のIII-III線に沿う断面図、図4は本発明の第1実施形態における伸縮性基板の第3変形例の概略構成を示す平面図である。
【0015】
本実施形態における伸縮性基板1は、図1(a)及び図1(b)並びに図3に示すように、基材10と、第1の電子部品20と、第2の電子部品30と、配線40と、接続部50A,50Bと、アンダーフィル60と、を備えている。この伸縮性基板1は、たとえば、ロボットアームの可動部や伸縮部等での動作に追随させる用途や、複雑な形状の物体の表面を覆うように配置される用途に使用される。
【0016】
基材10は、伸縮性を有する材料で構成されており、0.1MPa〜100MPaのヤング率を有する材料とされている。なお、基材10を構成する材料としては、実質的な観点から、1MPa〜100MPaのヤング率を有する材料とされることが好ましく、30MPa〜90MPaのヤング率を有する材料とされることがより好ましい。このような基材10を構成する材料の具体例としては、エラストマーからなる弾性体シート又は樹脂フィルム等を例示することができる。弾性体シートの具体例としては、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、又は、フッ素ゴム等のシートを例示することができる。樹脂フィルムの具体例としては、ナイロン、ポリエステル、アクリル、又は、ポリアミド等のフィルムを例示することができる。本実施形態における「基材10」が本発明における「基材」の一例に相当する。
【0017】
これに対し、第1及び第2の電子部品20,30は、基材10とは異なり、曲面的又は平面的に伸縮不能となっている。第1及び第2の電子部品20,30は、表面実装型の電子部品であり、配線40及び接続部50A,50Bと共に回路を形成するものである。本実施形態の第1及び第2の電子部品20,30の外形は、平面視において、略正方形とされている。具体的には、第1の電子部品20の外形は、平面視において、それぞれ同一の長さとされた4つの辺21a〜21dから構成され、交差する辺同士が相互に直交している。一方、第2の電子部品30の外形は、平面視において、それぞれ同一の長さとされた4つの辺31a〜31dから構成され、交差する辺同士が相互に直交している。
【0018】
ここで、本実施形態では、図1(a)及び図1(b)に示すように、外力等によって伸縮性基板1に伸縮が生じる方向(以下、単に「伸縮予定方向D」とも称する)を白抜きの矢印により表す。この伸縮予定方向Dとは、たとえば、伸縮性基板1の長手方向、伸縮性基板1上にある外部接続用の複数の端子群(不図示)同士が対向する方向、所定の用途において伸縮性基板1が伸張(収縮)した状態のときに最も変化量が大きい方向などである。なお、本実施形態では、伸縮予定方向Dは、図中X方向と実質的に一致している。
【0019】
略正方形とされた第1の電子部品20の外形のうち、辺21b,21dは伸縮予定方向Dに沿って延在し、辺21a,21cは伸縮予定方向Dに対して実質的に直交する方向に延在している。一方、略正方形とされた第2の電子部品30の外形のうち、辺31b,31dは伸縮予定方向Dに沿って延在し、辺31a,31cは伸縮予定方向Dに対して実質的に直交する方向に延在している。
【0020】
本実施形態では、第1電子部品20の辺21a全体と、第2の電子部品30の辺31a全体と、が相互に対向しており、これにより、伸縮予定方向Dにおいて、第1及び第2の電子部品20,30が相互に対向するように配置される。本実施形態における「辺21a」が本発明における「第1の辺」の一例に相当し、本実施形態における「辺21b」が本発明における「第2の辺」の一例に相当し、本実施形態における「辺31a」が本発明における「第3の辺」の一例に相当し、本実施形態における「辺31b」が本発明における「第4の辺」の一例に相当する。
【0021】
このような第1及び第2の電子部品20,30としては、一般的にはICやセンサ等のパッケージ品、抵抗部品、コンデンサ、インダクタ、LED(Light emitting diode)、又はCSP(Chip scale package)等を例示することができる。
【0022】
第1及び第2の電子部品20,30のそれぞれには、複数の電極22,32(本実施形態では、3つずつ)が設けられている。本実施形態の電極22,32は、第1及び第2の電子部品20,30の外形(具体的には、辺21b,31b)から一部が突出して形成され、非対向領域Z2(後述)に臨むように配置されている。なお、電極22,32の形状は、特に上述に限定されず、たとえば、SOP(Small outline package),SOJ(Small outline j-leaded),SON(Small outline no lead package),QFN(Quad fiat non-lead package),又は,BGA(Ball grid array)等としてもよい。電極の形状がSOJ,SON,QFN,BGAとされる場合、当該電極の一部は、電子部品の底面に配置される。
【0023】
本実施形態では、第1の電子部品20の辺21a全体と、第2の電子部品30の辺31a全体と、が相互に対向しているが、特にこれに限定されず、図2(a)に示すように、第1の電子部品20の少なくとも一部(図2(a)の辺21aの一部)と、第2の電子部品30の少なくとも一部(図2(a)の辺31aの一部)と、が伸縮予定方向Dにおいて相互に対向するように、第1及び第2の電子部品20,30が配置されていればよい。
【0024】
また、本実施形態では、第1及び第2の電子部品20,30の外形は、略正方形とされているが、特にこれに限定されない。たとえば、第1及び第2の電子部品20,30の外形が長方形状等の矩形状とされてもよい。或いは、第1及び第2の電子部品20,30の外形が円形状とされてもよい。また、図2(b)に示すように、第1及び第2の電子部品20,30の外形が、それぞれ異なる外形とされてもよい。
【0025】
本実施形態における「第1の電子部品20」が本発明における「第1の電子部品」の一例に相当し、本実施形態における「第2の電子部品30」が本発明における「第2の電子部品」の一例に相当する。
【0026】
配線40は、基材10上に複数(本実施形態では、3本)設けられている。本実施形態における配線40の外形は、図1(a)に示すように、直線部41と、傾斜部42と、を含んで構成されている。直線部41は、配線40の外形のうち、伸縮予定方向Dに対して略平行に延在する部分である。傾斜部42は、配線40の外形のうち、直線部41の両端から第1及び第2の電子部品20,30のそれぞれに向かって延在する部分である。本実施形態の傾斜部42は、直線部41に対して45度の角度をなして第1及び第2の電子部品20,30側に向かって傾斜している。配線40の外形を上述の構成とすることで、配線の曲折部が直交する場合と比較して、集中応力が生じ難く、当該配線40の断線が抑制される。
【0027】
この配線40は、図3に示すように、導電部43と、絶縁部44と、接続端子45と、を備えている。導電部43は、基材10上に直接設けられている。本実施形態では、導電部43は、伸縮性及び導電性を有する材料で構成されている。
【0028】
このような導電部43を構成する材料の具体例としては、たとえば、エラストマーに導電性粒子を含有させ、当該エラストマーをバインダとして機能させた導電性混合物質を例示することができる。このような導電性混合物質は、当該導電性混合物質全体の重量に対する導電性粒子の重量の比率が、75%〜95%となるように構成されることが好ましい。なお、導電部43を構成する材料としては、上述の他に、老化防止剤、難燃剤、軟化剤等の添加物をさらに含有させてもよい。
【0029】
導電部43を構成するエラストマーとしては、ビニル、ポリエステル、フェノール、アクリル、エポキシ、オレフィン、ウレタン、又は、シリコーン等の有機高分子を例示することができる。導電性粒子は、たとえば、片鱗状又は不定状とされた形状であることが好ましく、このような導電性粒子としては、金、銀、白金、ルテニウム、鉛、錫、亜鉛、ビスマス等の金属又はこれらの合金、若しくは、カーボンや導電性高分子等の非金属等を例示することができる。
【0030】
なお、導電部43を構成する材料としては、特に上述に限定されず、たとえば、特表2010−539650号公報に開示されているものを用いてもよい。具体的には、導電部43は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の混合物からなるバインダに銀めっきフィラーを含有させたものでもよい。この銀めっきフィラーは、コアの外周を導電性の銀めっきにより被覆することで形成されているが、当該コアは、導電性であっても、非導電性であってもよい。
【0031】
因みに、本実施形態では、導電部43は、伸縮性を有する材料により伸縮可能としているが、特にこれに限定されない。例えば、ジグザグ状(図4を参照)、スネーク形状、馬蹄形状等に導電部43B(配線40B)を形成することで、形状的に伸縮可能としてもよい。つまり、上記に例示する形状とされた導電部43Bは、伸縮によって生じる応力が当該導電部43Bの付け根部に集中することなく、当該導電部43Bの全体に分散されるので、導電部43Bの破壊が抑制される。また、導電部43が網目状に形成されていてもよい。
【0032】
絶縁部44は、導電部43を被覆するように形成されている。本実施形態では、絶縁部44は、導電部43を被覆するように形成されているが、特にこれに限定されず、基材10の全域を覆うように形成してもよい。
【0033】
この絶縁部44を構成する材料としては、伸縮性及び電気絶縁性を有し、さらに加えて、被覆する導電部43を保護可能な程度の機械的強度及び耐摩耗性を有していることが好ましい。このような絶縁部44を構成する材料の具体例としては、たとえば、基材10を構成する材料と同様の材料を例示することができる。
【0034】
接続端子45は、配線40の両端に形成されており、導電部43と電気的に接続されている。また、接続端子45は、絶縁部44によって被覆されておらず、表面が外部に露出しており、配線40の一方の端部では接続部50Aと電気的に接続可能となっており、配線40の他方の端部では接続部50Bと電気的に接続可能となっている。
【0035】
本実施形態の接続端子45は、導電部43を構成する材料と同様の材料により構成され、さらに、当該接続端子45の表面に金、銀、ニッケル、又はパラジウム等が付与されている。これにより、接続端子45と接触する接続部50A,50Bとの接続強度の向上、接触抵抗の低下、及びイオンマイグレーション耐性の向上が図られる。なお、接続端子45の表面に付与される物質は、特に上述の物質に限定されない。また、本実施形態では、上述のように、接続端子45の表面に金、銀、ニッケル、又はパラジウム等が付与されているが、このような物質が接続端子45の表面に付与されていなくてもよい。本実施形態における「配線40」が本発明における「配線」の一例に相当する。
【0036】
接続部50Aは、基材10の一方主面上に第1の電子部品20及び配線40が配置された状態で、電極22及び接続端子45のそれぞれに接触するように設けられている。一方、接続部50Bは、基材10の一方主面上に第2の電子部品30及び配線40が配置された状態で、電極32及び接続端子45のそれぞれに接触するように設けられている。この接続部50A,50Bにより、対応する電極22,32と接続端子45とが、電気的に接続される。つまり、接続部50A,50Bにより第1及び第2の電子部品20,30が配線40を介して相互に電気的に接続される。また、接続部50A,50Bによって、第1及び第2の電子部品20,30が基材10(具体的には、接続端子45)上に機械的に接続される(つまり、第1及び第2の電子部品20,30が基材10上に実装される)。
【0037】
この接続部50A,50Bとしては、特に限定しないが、たとえば、はんだ、導電性接着剤、及び異方導電性フィルム等を例示することができる。なお、電極22,32の形状がSOP,SOJ,SON,QFNの場合では、はんだや導電性接着剤を用いることが好ましい。一方、電極22,32の形状がBGAの場合では、はんだや異方導電性フィルムを用いることが好ましい。本実施形態における第1の電子部品20と配線40とを電気的に接続する「接続部50A」が、本発明における「第1の接続部」の一例に相当し、本実施形態における第2の電子部品30と配線40とを電気的に接続する「接続部50B」が、本発明における「第2の接続部」の一例に相当する。
【0038】
アンダーフィル60は、基材10と第1及び第2の電子部品20,30との隙間に充填されている。アンダーフィル60によって第1及び第2の電子部品20,30を下方より支持することで、実装する第1及び第2の電子部品20,30のレベリング精度が向上する。また、アンダーフィル60によって第1及び第2の電子部品20,30の下方全体を支持し、当該第1及び第2の電子部品20,30の荷重を面で受けることで、基材10(具体的には、配線40)と当該第1及び第2の電子部品20,30とを機械的に接続する接続部50A,50Bに応力が集中するのを防止している。これにより、接続部50A,50Bの破壊が抑制される。このようなアンダーフィル60を構成する材料としては、基材10と同様の材料を例示することができる。なお、本発明の伸縮性基板1においては、アンダーフィル60は必ずしも必須ではなく、必要に応じて省略してもよい。
【0039】
以上に説明した伸縮性基板1の基材10は、図5に示すように、平面視において、第1及び第2の電子部品20,30及び配線40を含む回路が設けられた主面において、対向領域Z1と、非対向領域Z2と、のみから構成されている。なお、本実施形態では、対向領域Z1と、非対向領域Z2と、の2つの領域のみから構成されているが、特にこれに限定されない。因みに、図5は本発明の第1実施形態における伸縮性基板の対向領域と非対向領域との位置関係を示す平面図である。図5において、対向領域Z1を左下がりのハッチングで示し、非対向領域Z2を無地で示す。
【0040】
対向領域Z1は、伸縮予定方向Dにおける第1及び第2の電子部品20,30の間に介在する領域であり、第1及び第2の投影線L1,L2、並びに、第1及び第2の仮想線L3,L4により画定された領域である。第1の投影線L1は、第1の電子部品20を伸縮予定方向Dに沿って第2の電子部品30に投影した線分である。第2の投影線L2は、第2の電子部品30を伸縮予定方向Dに沿って第1の電子部品20に投影した線分である。なお、本実施形態では、相互に同一の形状とされた第1及び第2の電子部品20,30を相互に対向させているため、第1の投影線L1及び第2の投影線L2は、相互に同一の長さとなっている。
【0041】
第1の仮想線L3は、第1の投影線L1の一方の端部(図中上側)と第2の投影線L2の一方の端部(図中上側)を通る伸縮予定方向Dに平行な線分である。第2の仮想線L4は、第1の投影線L1の他方の端部(図中下側)と第2の投影線L2の他方の端部(図中下側)を通る伸縮予定方向Dに平行な線分である。なお、非対向領域Z2は、基材10における対向領域Z1以外の領域である。
【0042】
対向領域Z1は、伸縮不能な2つの電子部品20,30の間に介在しているため、当該対向領域Z1では、伸縮性基板1の伸縮による応力が集中し易い。本実施形態では、対向領域Z1を避けて配線40を非対向領域Z2に設けることで、当該配線40の破壊を抑制し、延いては、接続部50A,50Bの破壊を抑制している。なお、対向領域Z1において、第1又は第2の仮想線L3,L4の長さは、第1又は第2の投影線L1,L2の長さに対して0.1倍以上10倍以下となるように設定されていることが好ましい。
【0043】
また、本実施形態では、平面視において、第1の電子部品20の辺21aと、第2の電子部品30の辺31aと、を相互に対向させ、第1の電子部品20では、辺21bから配線40を導出させる一方、第2の電子部品30では、辺31bから配線40を導出させている。この場合、辺21b及び辺31bは、平面視において、仮想中心線CLに対して実質的に同一側に位置している。
【0044】
上述のように配線40を導出させることで、平面視において仮想中心線CLに対して実質的に異なる側から配線40が導出される場合と比較して、当該配線40の長さの短縮化が図られる。また、基材10上において、配線40の占める面積を抑えることで、他の電子部品等を実装する領域が広く確保され、これにより、伸縮性基板1全体として、回路の高密度実装を行うことができる。
【0045】
なお、第1及び第2の電子部品20,30から配線40を導出させる方向は、特に上述に限定されない。たとえば、平面視において、第1の電子部品20では、辺21dから配線40を導出させ、第2の電子部品30では、辺31dから配線40を導出させてもよい。この場合でも、辺21d,31dは、平面視において、仮想中心線CLに対して実質的に同一側に位置しており、配線40の長さの短縮化や回路の高密度実装が図られる。なお、この場合において、電極22,32は、第1及び第2の電子部品20,30から配線40が導出される部分に対応して設けられる。つまり、第1の電子部品20の電極22は、辺21dに対応して設けられ、第2の電子部品30の電極32は、辺31dに対応して設けられる。つまり、このような場合では、本実施形態における「辺21d」が本発明における「第2の辺」の一例に相当し、本実施形態における「辺31d」が本発明における「第4の辺」の一例に相当する。
【0046】
因みに、基材10上に形成された回路の配置によって、第1及び第2の電子部品20,30の仮想中心線CLに対して実質的に同一側に位置する辺(たとえば、辺21bと辺31b、又は、辺21dと辺31d)から配線40を導出することが困難となる場合は、当該配線40を異なる方向から導出してもよい。具体的には、第1の電子部品20では、辺21bから配線40を導出させる一方、第2の電子部品30では、辺31c又は辺31dから配線40を導出させてもよい。同様に、第1の電子部品20では、辺21cから配線を導出させる一方、第2の電子部品30では、辺31b、辺31c、又は辺31dから配線40を導出させてもよいし、第2の電子部品20では、辺21dから配線40を導出させる一方、第2の電子部品30では、辺31b又は辺31cから配線40を導出させてもよい。このような場合でも、配線40の全てについて、平面視において、対向領域Z1を避けて非対向領域Z2に設けることが好ましい。
【0047】
本実施形態において、電子部品の「辺から配線を導出させる」とは、電子部品の外形に沿って形成される電極に配線を接続する場合や、電子部品の底面に形成される電極に配線を接続する場合の他に、電子部品の外形から突出して形成される電極に配線を接続する場合を含む。図6(a)〜図6(c)は本発明の第1実施形態における電子部品と配線との位置関係を説明するための平面図である。
【0048】
たとえば、図6(a)に示すように、電極22が第1の電子部品20の外形(具体的には、辺21b)に沿って形成される場合、当該電極22と配線40とを接続すると、当該配線40は辺21bと接するように第1の電子部品20から導出される。また、図6(b)に示すように、電極22が第1の電子部品20の底面に形成される場合、当該電極22と配線40とを接続すると、当該配線40は辺21bと交差するように第1の電子部品20から導出される。一方、図6(c)に示すように、電極22が第1の電子部品20の外形から突出して形成され、電極22の突出した部分に配線40を接続する場合、当該配線40は辺21bから離間して設けられるが、この場合においても、電極22を介して辺21bから当該配線40が導出されることとなる。
【0049】
なお、本実施形態における仮想中心線CLは、対向領域Z1の中心C1を通る伸縮予定方向Dに沿う線分である。因みに、本実施形態において、「中心」とは、平面視における重心位置を示す。ここで「重心」とは、平面視における輪郭の内部を一様の質量にて分布させたときの質量中心を意味する。本実施形態における「対向領域Z1」が本発明における「対向領域」の一例に相当し、本実施形態における「非対向領域Z2」が本発明における「非対向領域」の一例に相当する。
【0050】
次に、本実施形態における伸縮性基板1の製造方法について図7を参照しながら説明する。
【0051】
図7は本発明の第1実施形態における伸縮性基板の製造方法を示す工程図である。
【0052】
本実施形態の伸縮性基板1の製造方法は、図7に示すように、導電部形成工程S1と、絶縁部形成工程S2と、実装工程S3と、を備えている。導電部形成工程S1では、導電性ペーストからなる導電部用材料をスクリーン印刷法により基材10上に印刷して、所定の配線パターンを形成する。そして、配線パターンを形成した後、配線パターンが形成された基材10をコンベア炉で加熱して、当該配線パターンを硬化させ、導電部43を形成する。なお、本実施形態では、この導電部形成工程S1において、導電部43に合わせて接続端子45を形成する。
【0053】
導電部43を形成する方法としては、特に上述に限定されず、たとえば、めっき、蒸着法、又は、スパッタ法等の成膜法により導電層を基材上に成膜した後、フォトリソグラフィを用いたエッチングにより所定のパターンを形成してもよい。また、本実施形態では、導電部43と接続端子45とを、一度の印刷において合わせて形成しているが、特に上述に限定されず、異なる工程において形成してもよい。
【0054】
次に、絶縁部形成工程S2では、絶縁性ペーストからなる絶縁部用材料をスクリーン印刷法により導電部43上に印刷する。そして、絶縁部用材料が印刷された基材10をコンベア炉で加熱して、当該絶縁部用材料を硬化させ、絶縁部44を形成する。なお、絶縁部44を形成する方法としては、特に上述に限定されず、絶縁部44を直接導電部43にラミネートしてもよい。
【0055】
次に、実装工程S3では、まず、はんだペーストからなる接続部用材料を孔版印刷法により接続端子45上に印刷する。このように、本実施形態では、はんだを用いた接続方法により、第1及び第2の電子部品20,30を基材10上に実装するが、上述した導電性接着剤や異方導電性フィルムを用いた接続方法により、第1及び第2の電子部品20,30を基材10上に実装してもよい。
【0056】
そして、印刷された接続部用材料に電極22,32が接触するように、第1及び第2の電子部品20,30を基材10上に載置する。この際、取付用治具(所謂、チップマウンタ)を用いて、電極22,32の位置と、接続部用材料の位置と、を調整しながら基材10上に第1及び第2の電子部品20,30を載置する。そして、接続部用材料並びに第1及び第2の電子部品20,30が設けられた基材10をリフロー加熱することで、接続部用材料を溶融する。そして、接続部用材料を自然冷却等の方法により冷却し固化させることで、接続部50A,50Bを形成する。これにより、第1及び第2の電子部品20,30が基材10(具体的には、接続端子45)に電気的及び機械的に接続される。以上により、回路を有する伸縮性基板1が得られる。
【0057】
本実施形態における伸縮性基板1は、以下の効果を奏する。
【0058】
一般的に、基板に形成される回路において、2つの電子部品間を配線を介して電気的に接続する場合、配線の長さが極力最短となるように設けられる。つまり、2つの電子部品の間を直線的に接続するように配線を設けることで、配線の長さが極力最短となるが、伸縮性基板の場合、伸縮不能な2つの電子部品の間に介在する領域(本実施形態における「対向領域Z1」に相当する領域)では、当該領域以外の領域と比較して、当該伸縮性基板の伸縮による応力が集中し易い。このため、2つの電子部品の間に介在する領域において、電子部品と配線とを接続する接続部を設けると、伸縮性基板の伸縮によって生じる応力により当該接続部が破壊されるおそれがある。また、配線は、接続部が形成された位置に応じて、2つの電子部品の間に介在する領域に設けられることから、当該配線にも、接続部と同様、伸縮性基板の伸縮による応力により亀裂等が生じる場合がある。そして、伸縮性基板の伸縮が繰り返されることで、配線の亀裂が進展し、最終的に当該配線の破壊に至り、さらに、配線に生じた亀裂が接続部まで達することで、当該接続部が破壊されるおそれがある。このように、接続部に破壊が生じると、電気抵抗値の上昇、或いは、電子部品及び配線間での断線(電気的な絶縁)が生じてしまい、延いては、伸縮性基板の品質低下を招来する。このような接続部の破壊を抑制するため、当該接続部を含む領域の伸縮を防止する伸縮防止ガードを設けた場合、当該伸縮防止ガードによって伸縮性基板の伸縮性低下を招来する。
【0059】
これに対し、本実施形態では、伸縮によって応力が集中し難い非対向領域Z2に接続部50A,50Bを設けることで、伸縮性基板1の伸縮による当該接続部50A,50Bの破壊の抑制が図られる。さらに加えて、本実施形態の伸縮性基板1は、伸縮防止ガードを設けた場合(つまり、従来技術の場合)と比較して、簡素な構造とされており、これにより、当該伸縮性基板1の伸縮性低下の抑制が図られる。
【0060】
また、本実施形態では、配線40についても、接続部50A,50Bと同様、伸縮によって応力が集中し難い非対向領域Z2に設けることで、伸縮性基板1の伸縮による応力により亀裂等の発生が抑制され、延いては、配線40における亀裂進展による接続部50A,50Bの破壊の抑制が図られる。
【0061】
また、本実施形態では、対向領域Z1を避けて非対向領域Z2に配線40を設けることで、当該配線40の歪み(伸縮量)が低減されており、これにより、繰り返し使用したとしても、配線40に生じる亀裂の進展が抑制される。この結果、配線40の長寿命化が図られる。
【0062】
また、本実施形態では、接続部50A,50Bの破壊が抑制されることで、電気抵抗値の上昇、或いは、電子部品及び配線間での断線が生じるなどの伸縮性基板1の品質低下が抑制される。
【0063】
また、本実施形態では、平面視において、第1及び第2の電子部品20,30の外形を略矩形とすることで、相互に離間される第1及び第2の電子部品20,30間の領域を比較的小さくすることができる。これにより、伸縮性基板1全体として、回路の高密度実装を行うことができる。
【0064】
また、本実施形態では、平面視において、辺21aと辺31aとを相互に対向させるように、第1及び第2の電子部品20,30を配置している。この場合、平面視において、辺21bと辺31bとが仮想中心線CLに対して実質的に同一側に位置することとなるが、その際、第1の電子部品20では、辺21bから配線40を導出させる一方、第2の電子部品30では、辺31bから配線40を導出させる。これにより、平面視において仮想中心線CLに対して実質的に異なる側から配線40が導出される場合と比較して、配線40の長さの短縮化が図られる。また、基材10上において、配線40の占める面積を抑えることで、他の電子部品等を実装する領域が広く確保され、これにより、伸縮性基板1全体として、回路の高密度実装を行うことができる。
【0065】
なお、本実施形態では、たとえば、第1の電子部品20では辺21bから配線40を導出させる一方、第2の電子部品30では辺31bから配線40を導出させる場合、配線の長さが極力最短となるように設けられているが、特にこれに限定されず、辺21bから導出された配線40が第1の電子部品20の周りを辺21c,21d側へ迂回するように設けられる一方、辺31bから導出された配線40が第2の電子部品30の周りを辺31c,31d側へ迂回するように設けられてもよい。また、同様に、第1の電子部品20では辺21dから配線40を導出させる一方、第2の電子部品30では辺31dから配線40を導出させる場合でも、配線40が当該第1及び第2の電子部品20,30の周りを迂回するように設けられていてもよい。
【0066】
また、本実施形態では、接続部50A,50Bの全体が非対向領域に設けられているが、特にこれに限定されず、接続部50Aの一部、又は接続部50Bの一部の少なくとも一方が非対向領域に設けられていることで、伸縮性基板1の伸縮による接続部50A又は接続部50Bの破壊の抑制が図られる。同様に、本実施形態では、配線40の全体が非対向領域に設けられているが、配線40の一部が非対向領域に設けられていれば、特に上述に限定されない。なお、対向領域に接続部や配線の一部が設けられている場合、対向領域における第1又は第2の仮想線L3,L4の長さは、第1又は第2の投影線L1,L2の長さに対して10倍以上100倍以下となるように設定されていることが好ましい。
【0067】
また、本実施形態では、第1及び第2の電子部品20,30を基材10上に実装しているが、特にこれに限定されず、3つ以上の電子部品を基材10上に実装してもよい。この場合、相互に電気的に接続される電子部品同士の間に介在する対向領域Z1のそれぞれを避けて配線40を設けることが好ましい。
【0068】
また、本実施形態では、複数の配線40及び複数の接続部50A,50Bの全てを非対向領域Z2に設けているが、特にこれに限定されない。たとえば、本実施形態のように、複数の配線40及び複数の接続部50A,50Bの全てが、2つの電子部品が対向しない領域に設けられていることが好ましいが、電子部品の配置の態様(たとえば、複数の電子部品がマトリクス状に配置されている態様)によって、複数の配線40及び複数の接続部50A,50Bの全てを2つの電子部品が対向しない領域に設けることが困難な場合は、伸縮予定方向における2つの電子部品の対向領域を避けて、伸縮予定方向に並ばない2つの電子部品の対向領域に当該配線40及び接続部50A,50Bを設けてもよい。また、複数の配線40及び複数の接続部50A,50Bの全てを、2つの電子部品が対向しない領域や、対向伸縮予定方向に並ばない2つの電子部品の対向領域に設けることが困難な場合は、複数の配線40及び複数の接続部50A,50Bのうち、一部の配線40及び接続部50A,50Bを非対向領域Z2に設け、その他の配線40及び接続部50A,50Bを対向領域Z1に設けてもよい。具体的には、比較的優先度の高い配線40(たとえば、電源用配線)及びこれに対応する接続部50A,50Bは、非対向領域Z2に設け、比較的優先度の低い配線40(たとえば、信号用配線)及びこれに対応する接続部50A,50Bは、対向領域Z1に設ける。このように、優先度の高い配線40及び接続部50A,50Bを非対向領域Z2に設けることで、当該配線40の破壊や接続部50A,50Bの破壊による伸縮性基板1の品質低下の抑制を図ると共に、優先度の低い配線40及び接続部50A,50Bを対向領域Z1に設けることで、伸縮性基板1全体として、回路の高密度実装を行うことができる。
【0069】
≪第2実施形態≫
本発明の第2実施形態の伸縮性基板1Eは、第1実施形態において説明した伸縮性基板1の基材10に第1及び第2の電子部品20,30が実装される前の状態に相当するものである。以下に図8を参照しながら第2実施形態における伸縮性基板1Eについて説明する。
【0070】
図8は本発明の第2実施形態における伸縮性基板の概略構成を示す平面図である。
【0071】
本実施形態の伸縮性基板1Eは、図8に示すように、平面視において、第1及び第2の電子部品20,30が実装可能な第1及び第2の実装部11,12を含んで構成されている。この第1及び第2の実装部11,12は、第1及び第2の電子部品20,30が実装できる程度の面積を有している。また、第1実施形態で説明した第1及び第2の電子部品20,30の位置関係と同様、第1及び第2の実装部11,12は、伸縮予定方向Dにおいて、相互に対向するように配置されている。
【0072】
本実施形態では、第1及び第2の実装部11,12の平面形状は、第1及び第2の電子部品20,30の形状に対応して矩形状とされているが、特にこれに限定されない。たとえば、第1及び第2の実装部11,12の平面形状が長方形状等の矩形状とされてもよい。あるいは、第1及び第2の実装部11,12の平面形状が円形状とされてもよい。また、第1及び第2の実装部11,12の平面形状が相互に異なる形状であってもよい。
【0073】
本実施形態では、基材10のうち、第1及び第2の実装部11,12の間に介在する領域を対向領域Z1とされている。また、基材10のうち、基材10における対向領域Z1以外であって、第1及び第2の実装部11,12を包含する領域を非対向領域Z2とされている。そして、本実施形態においても、第1実施形態と同様、対向領域Z1を避けて非対向領域Z2に配線40を設けることで、接続部50A,50Bも配線40に対応して、非対向領域Z2に設けられることとなり、伸縮性基板1の伸縮による当該接続部50A,50Bの破壊が抑制される。
【0074】
なお、図8において、対向領域Z1を左下がりのハッチングで示し、第1及び第2の実装部11,12を右下がりのハッチングで示し、非対向領域Z2のうち第1及び第2の実装部11,12以外の領域を無地で示した。本実施形態における「第1の実装部11」が本発明における「第1の実装部」の一例に相当し、本実施形態における「第2の実装部12」が本発明における「第2の実装部」の一例に相当する。
【0075】
本明細書において「実装可能な第1及び第2の実装部11,12」とは、電子部品の実装を意図し、当該電子部品の外径を考慮して予め設けられた領域である。この領域の一例としては、接続端子がこの領域の辺に重畳している、接続端子の辺がこの領域の辺に内接若しくは外接している、接続端子がこの領域に内包されていることが特徴として挙げられる。また、このような第1及び第2の実装部は、たとえば、シルクスクリーン印刷やインクジェット法などを用いて基材上にマーキングを施すことにより、当該第1及び第2の実装部以外の部分と区別できるようにしてもよい。または、第1及び第2の実装部は、図9に示すように、基材本体と異なる材料により構成することで、当該第1及び第2の実装部以外の部分と区別できるようにしてもよい。図9は本発明の第2実施形態における伸縮性基板の変形例の概略構成を示す平面図である。
【0076】
図9に示す伸縮性基板1Fのように、第1及び第2の実装部11B,12Bが基材10本体と異なる材料により構成されている場合、当該第1及び第2の実装部11B,12Bを、基材10本体を構成する材料のヤング率(E1)に対して相対的に大きいヤング率(E2)を有する材料から構成してもよい(E2>E1)。この場合、比較的ヤング率の大きい第1及び第2の実装部11B,12B上に電子部品を実装することで、伸縮基板1Fの伸縮によって当該電子部品が破壊されるのを抑制することができる。
【0077】
なお、第1及び第2の実装部11B,12Bを構成する材料のヤング率(E2)は、基材10を構成する材料のヤング率(E1)に対して2倍以上となるように設定されていることが好ましい(E2≧2×E1)。
【0078】
この第1及び第2の実装部11B,12Bの断面形状は、特に限定されない。図10(a)〜図10(c)は本発明の第2実施形態における第1及び第2の実装部の変形例を示す断面図である。
【0079】
たとえば、図10(a)に示すように、第1及び第2の実装部11C,12Cは、矩形の断面形状を有していてもよい。または、図10(b)に示すように、第1及び第2の実装部11D,12Dは、当該第1及び第2の実装部11D,12Dの外側に向かって漸次的に薄くなる断面形状を有していてもよい。または、図10(c)に示すように、第1及び第2の実装部11E,12Eは、当該第1及び第2の実装部11E,12Eの外側に向かって段階的に薄くなる断面形状を有していてもよい。
【0080】
図10(b)や図10(c)に示すように、第1及び第2の実装部の断面形状が外側に向かって漸次的又は段階的に薄くなる断面形状を有している場合、基材本体と当該第1及び第2の実装部の間での伸び率の変化(硬化変化)が緩やかになるため、基材本体と第1及び第2の実装部の境界部分での配線及び接続部への応力集中を弱めることができ、配線及び接続部の破壊を抑制することができる。
【0081】
また、本実施形態の伸縮性基板1Eの基材10は、第1及び第2の実装部11,12を含んでいるが、特にこれに限定されず、3つ以上の実装部を含んでいてもよい。
【0082】
本実施形態における伸縮性基板1Eは以下の効果を奏する。
【0083】
本実施形態の伸縮性基板1Eでは、第1及び第2の実装部11,12の間に介在する対向領域Z1を避けて非対向領域Z2に配線40が設けられている。この第1及び第2の実装部11,12に対応して、第1実施形態で説明した第1及び第2の電子部品20,30が実装されることで、伸縮性基板1Eは、第1実施形態で説明した伸縮性基板1と同様の作用・効果を奏することができる。
【0084】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0085】
たとえば、第2実施形態の変形例に係る伸縮性基板1Fは、基材10本体を構成する材料のヤング率に対して相対的に大きいヤング率を有する材料から構成される第1及び第2の実装部11,12を有しているが、このような第1及び第2の実装部11B,12Bは、第1実施形態で説明した伸縮性基板にも適用することができる。
【符号の説明】
【0086】
1、1B〜1F・・・伸縮性基板
10・・・基材
Z1・・・対向領域
L1・・・第1の投影線
L2・・・第2の投影線
L3・・・第3の仮想線
L4・・・第4の仮想線
Z2・・・非対向領域
11,11B〜11E・・・第1の実装部
12,11B〜11E・・・第2の実装部
20,20B・・・第1の電子部品
21a〜22d・・・辺
22・・・電極
30・・・第2の電子部品
31a〜31d・・・辺
32・・・電極
40,40B・・・配線
41・・・直線部
42・・・傾斜部
43・・・導電部
44・・・絶縁部
45・・・接続端子
50A,50B・・・接続部
60・・・アンダーフィル
D・・・伸縮予定方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10