(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1つ以上のプロセッサに接続されインストラクションを格納するコンピュータ可読媒体であって、そのインストラクションが前記1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、前記1つ以上のプロセッサに、
前記画像の残差ブロックを表し、複数の非ゼロ係数を含む、1つの係数のセットを取得し、
前記係数のセットにおける修正可能な係数であって、残差ブロックの逆方向走査順序に従う最初の非ゼロ係数、前記逆方向走査順序に従う最後の非ゼロ係数、及び、前記逆方向走査順序に従う前記係数のセットにおける前記最初と最後の非ゼロ係数の間の係数を含む修正可能な係数、の数が所定の数よりも大きいことを判定し、
前記係数のセットにおける前記修正可能な係数の数が前記所定の数以下であれば、前記逆方向走査順序に従う前記最後の非ゼロ係数の符号指定が隠蔽されていないと判定し、且つ、
前記係数のセットにおける前記修正可能な係数の数が前記所定の数より大きければ、前記最後の非ゼロ係数の前記符号指定が隠蔽されていると判定する、
動作を実行させ、
前記最後の非ゼロ係数の前記符号指定の判定は、
前記係数のセットにおける非ゼロ係数の和を計算すること、
前記非ゼロ係数の和を用いてパリティデータを計算すること、及び、
前記パリティデータに基づいて前記最後の非ゼロ係数への符号を指定すること、
を含み、
前記所定の数は4である、
コンピュータ可読媒体。
【発明を実施するための形態】
【0039】
符号化部分の詳細な説明
H.264/MPEG-4 AVC標準による符号化によって取得されるバイナリストリームに近いバイナリストリームに従って、画像のシーケンスを符号化するために、本発明による符号化方法が使用される、本発明の一般的な実施形態が次に説明される。本実施形態では、本発明による符号化方法は、例えば、H.264/MPEG-4 AVC標準に当初準拠するコーダを修正することによってソフトウェア様式またはハードウェア様式で実施される。
【0040】
本発明による符号化方法は、
図1に表されるステップS1からS40を含むアルゴリズムの形で表される。
【0041】
本発明の実施形態によれば、本発明による符号化方法は、その実施形態が
図2に表される符号化デバイス内、すなわち、コーダCO内で実施される。
【0042】
本発明によれば、符号化プロパー(coding proper)に先立って、
図2に表されるように、符号化されることになる画像のシーケンスの画像IEの複数Z個のパーティションB
1、B
2、…、B
i、…、B
Zへの分割が所定の順序で行われる。
【0043】
本発明の意味内で「パーティション」という用語は符号化単位を表すことに留意されたい。符号化単位という専門用語は、具体的には、現在、公式化されているHEVC/H.265標準、例えば、以下のインターネットアドレスでアクセス可能な文書で使用される。
http://phenix.int-evry.fr/jct/doc_end_user/current_document.php?id=3286.
【0044】
具体的には、そのような符号化単位は、ブロックとも呼ばれる矩形または方形の画素のセット、マクロブロック、あるいはその他の幾何学的形を示す画素のセットを一緒にグループ化する。
【0045】
図2に表される例では、前記パーティションは、方形を有し、すべて同じサイズを有するブロックである。必ずしも複数のブロックサイズであるとは限らない、画像のサイズに応じて、左の最後のブロックおよび底部の最後のブロックは方形でない場合がある。ある代替の実施形態では、ブロックは、例えば、矩形サイズであってよく、かつ/または互いと位置合わせされなくてよい。
【0046】
それぞれのブロックまたはマクロブロック自体を、さらに、それ自体、再分割可能なサブブロックに分割することが可能である。
【0047】
そのような分割は、例えば、それ自体がよく知られているパーティションアルゴリズムを使用する、
図2に表されるパーティションモジュールPCOによって実行される。
【0048】
前記分割ステップの後に、前記画像IEの現在のパーティションB
i(iは、1≦i≦Zになるような整数である)のそれぞれの符号化が行われる。
【0049】
図2に表される例では、そのような符号化は、現在の画像IEのブロックB
1からB
Zのそれぞれに連続的に適用される。これらのブロックは、例えば、当業者によく知られている「ラスタースキャン」トラバーサルなどのトラバーサルに従って符号化される。
【0050】
本発明による符号化は、
図2に表されるようなコーダCOの符号化ソフトウェアモジュールMC_CO内で実施される。
【0051】
図1に表されたステップS1の過程で、
図2の符号化モジュールMC_COは、現在のブロックB
iとして、現在の画像IEの符号化されることになる第1のブロックB
1を選択する。
図2に表されるように、これは画像IEの第1の左のブロックである。
【0052】
図1に表されたステップS2の過程で、リストD
1=(a
1、a
2、…、a
P)の形で現在のブロックB
1のデータの抽出が行われる。そのような抽出は、
図2に表されるようなソフトウェアモジュールEX_COによって実行される。そのようなデータは、例えば、画素データ、すなわち、それぞれに正の符号、または負の符号が割り当てられている非ゼロ画素データである。
【0053】
リストD
1のデータのそれぞれは、エントロピー符号化を受けることが意図される、デジタル情報の様々な項目と関連付けられる。これらの項目など、デジタル情報の項目は、以下で、例として説明される:
リストD
1の最後の非ゼロデータ項目の前に位置するそれぞれのデータ項目に関して、ビットなど、情報のデジタル項目は、そのデータ項目がゼロであるか、またはゼロでないかを示すために、エントロピー的に符号化されることが意図され、データ項目がゼロである場合、それは、例えば、符号化されることになる、値0のビットであるのに対して、データ項目が非ゼロである場合、それは符号化されることになる、値1のビットである、
それぞれの非ゼロデータ項目に関して、ビットなど、情報のデジタル項目は、データ項目の絶対値が1に等しいか、または1に等しくないかを示すために、エントロピー的に符号化されることが意図され、絶対値が1に等しい場合、それは、例えば、符号化されることになる、値1のビットであり、絶対値が1に等しくない場合、それは、符号化されることになる、値0のビットである、
その絶対値が1に等しくなく、かつ最後の非ゼロデータ項目の前に位置する、それぞれの非ゼロデータ項目に関して、情報の振幅項目がエントロピー的に符号化される、
それぞれの非ゼロデータ項目に関して、その非ゼロデータ項目に割り振られた符号が、例えば、(+符号の場合)「0」または(-符号の場合)「1」に設定されたビットなど、情報のデジタル項目によって符号化される。
【0054】
図1を参照して、本発明による特定の符号化ステップが次に説明される。
【0055】
本発明によれば、リストD
1の前記データのうちの1つの少なくとも1個の符号をエントロピー的に符号化することを回避することが決定される。
【0056】
好ましい実施形態によれば、隠蔽されることが意図されるのは第1の非ゼロデータ項目の符号である。そのような符号は、例えば、正であり、例えば、データ項目a
2など、第1の非ゼロデータ項目に割り振られる。
【0057】
図1に表されるステップS3の過程で、処理モジュールMTR_COは、リストD
1のデータを表す関数fの値を計算する。
【0058】
単一の符号がデコーダに送信されることになる信号内に隠蔽されることが意図される、好ましい実施形態では、この関数fはリストD
1のデータの和のパリティである。
【0059】
図1に表されるステップS4の過程で、処理モジュールMTR_COは、コーダCOにおいて予め定義された規約によって、隠蔽されることになる符号の値のパリティがリストD
1のデータの和のパリティに対応するかどうかを検証する。
【0060】
提案される例では、前記規約は、正の符号が0に等しい値のビットと関連付けられるのに対して、負の符号は1に等しい値のビットと関連付けられるというものである。
【0061】
本発明によるコーダCOで採用される規約に従って、符号が正であり、それによって、ゼロ符号化ビット値に対応する場合、かつリストD
1のデータの和が偶数である場合、第1の非ゼロデータ項目a
2の符号を除いて、前述のリストD
1のデータのエントロピー符号化のステップS20が行われる。そのようなステップS20は
図1に表される。
【0062】
本発明によるコーダCOで採用される規約にさらに従って、符号が負であり、それによって、1の符号化ビット値に対応する場合、かつリストD
1のデータの和が奇数である場合、第1の非ゼロデータ項目a
2の符号を除いて、前述のリストD
1のデータのエントロピー符号化のステップS20がやはり行われる。
【0063】
本発明によるコーダCOで採用される規約に従って、符号が正であり、それによって、ゼロ符号化ビット値に対応する場合、かつリストD
1のデータの和が奇数である場合、
図1に表されるステップS5の過程で、リストD
1の少なくとも1個の修正可能なデータ項目の修正が行われる。
【0064】
本発明によるコーダCOで採用される規約にさらに従って、符号が負であり、それによって、1の符号化ビット値に対応する場合、かつリストD
1のデータの和が偶数である場合、リストD
1の少なくとも1個の修正可能なデータ項目の修正のステップS5がやはり行われる。
【0065】
本発明によれば、その修正されたデータ項目がデコーダによって処理されると、その値の修正がデコーダにおいて何の脱同期も引き起こさない場合、データ項目は修正可能である。したがって、処理モジュールMTR_COは、当初、以下を修正しないように構成される:
デコーダが隠蔽された符号の値をこのまたはこれらのゼロデータに割り振らないように、ゼロデータ項目、すなわち、第1の非ゼロデータ項目の前に位置するデータ、
および、計算の複雑さのため、ゼロデータ項目、すなわち、最後の非ゼロデータ項目の後に位置するデータ。
【0066】
そのような修正動作は、
図2の処理モジュールMTR_COによって実行される。
【0067】
提案される例示的な実施形態では、リストD
1のデータの総和は5に等しく、したがって、奇数であると仮定する。その結果、デコーダは、コーダCOがこのデータ項目をデコーダに送信する必要なしに、第1の非ゼロデータ項目a
2に割り振られた正の符号を再構築することができるように、和のパリティは偶数になる必要がある。その結果として、処理モジュールMTR_COは、前記ステップS5の過程で、すべてデータの和のパリティを変更することを目的として、リストD
1のデータの様々な修正をテストする。好ましい実施形態では、それぞれの修正可能なデータ項目に対する+1または-1の加算と、所定の基準に従って、実行されたすべての修正からある修正の選択とが行われる。
【0068】
ステップS5の完了時に、修正されたリストDm
1=(a'
1、a'
2、…、a'
P)が次いで取得される。
【0069】
このステップの過程で、ある種の修正は禁じられることに留意されたい。したがって、第1の非ゼロデータ項目が+1に等しい場合、その非ゼロデータ項目に-1を加算することは可能でなくなるが、これは非ゼロデータ項目がゼロになり、その場合、そのリストD
1の第1の非ゼロデータ項目のその特性を失うことになるためである。デコーダは、次いで、その後、(データの和のパリティを計算することによって)復号された符号を別のデータ項目に割り振ったことになり、その場合、復号誤りが存在することになる。
【0070】
その後、データの和のパリティ内に隠蔽された、第1の非ゼロデータ項目a
2の正の符号を除いて、前述のリストDm
1のデータのエントロピー符号化のステップS20が行われる。
【0071】
以上で説明されたように、符号化されない第1の非ゼロデータ項目の符号を除いて、リストD
1または修正されたリストDm
1のデータの振幅のセットが符号のセットの前に符号化されることに留意されたい。
【0072】
図1に表される以下のステップS30の過程で、
図2の符号化モジュールMC_COは、符号化された現在のブロックが画像IEの最後のブロックであるかどうかをテストする。
【0073】
現在のブロックが画像IEの最後のブロックである場合、
図1に表されるステップS40の過程で符号化方法は終了する。
【0074】
そうでない場合、次いで、1≦i≦Zについて、ステップS1からS20を反復することによって、前述のラスタースキャン順序のトラバーサルに従って符号化される次のブロックB
iの選択が行われる。
【0075】
すべてのブロックB
1からB
Zのエントロピー符号化が実行されると、前記符号化されたブロックをバイナリ形式で表す信号Fの構築が行われる。
【0076】
バイナリ信号Fの構築は、
図2に表されるように、ストリーム構築ソフトウェアモジュールCF内で実施される。
【0077】
ストリームFは、その後、通信ネットワーク(図示せず)によって遠隔端末に送信される。遠隔端末は、後の説明でより詳細に説明されるデコーダを備える。
【0078】
主に
図1を参照して、本発明の別の実施形態が次に説明される。
【0079】
この別の実施形態は、Nである、隠蔽されることになる符号の数によってだけ、先の実施形態と区別され、NはN≧2になるような整数である。
【0080】
このために、関数fはリストD
1のデータの和の剰余モジュロ2
Nである。提案されるこの例では、N=2であり、隠蔽されることになる2個の符号は、リストD
1の第1の2個の非ゼロデータ、例えば、a
2およびa
3の第1の2個の符号であると仮定される。
【0081】
図1で表されるステップS4の過程で、処理モジュールMTR_COは、N個の符号の構成、すなわち、2
N個の可能な構成がリストD
1のデータの和の剰余モジュロ2
Nの値に対応するかどうかを検証する。
【0082】
N=2である、提案される例では、符号の2
2=4個の異なる構成が存在する。
【0083】
これらの4個の構成は、コーダCOにおいて、例えば、以下の様式で判断された規約に従う:
0に等しい剰余は2個の連続する正の符号、すなわち、+、+に対応する、
1に等しい剰余は連続する正の符号および負の符号、すなわち、+、-に対応する、
2に等しい剰余は連続する負の符号および正の符号、すなわち、-、+に対応する、
3に等しい剰余は2個の連続する負の符号、すなわち、-、-に対応する。
【0084】
N個の符号の構成がリストD
1のデータの和の剰余モジュロ2
Nの値に対応する場合、リストD
1のデータの和モジュロ2
Nのパリティ内に隠蔽された、第1の2個の非ゼロデータa
2およびa
3のそれぞれの符号を除いて、前述のリストD
1のデータのエントロピー符号化のステップS20が行われる。
【0085】
そうでない場合、リストD
1の少なくとも1個の修正可能なデータ項目の修正のステップS5が行われる。そのような修正は、リストD
1の修正可能なデータの和の剰余モジュロ2
Nが隠蔽されることになる2個の符号のそれぞれの値に達するように、
図2の処理モジュールMTR_COによって実行される。
【0086】
修正されたリストDm
1=(a'
1、a'
2、…、a'
P)が次いで取得される。
【0087】
その後、データの和モジュロ2
Nのパリティ内に隠蔽された、第1の非ゼロデータ項目a
2の符号および第2の非ゼロデータ項目a
3の符号を除いて、前述のリストDm
1のデータのエントロピー符号化のステップS20が実行される。
【0088】
H.264/MPEG-4 AVC標準による符号化によって取得されるバイナリストリームに近いバイナリストリームに従って、画像のシーケンスを符号化するために、本発明による符号化方法が依然として使用される、本発明のある特定の実施形態が次に説明される。本実施形態では、本発明による符号化方法は、例えば、H.264/MPEG-4 AVC標準に当初準拠するコーダを修正することによってソフトウェア様式またはハードウェア様式で実施される。
【0089】
本発明による符号化方法は、
図3に表されるような、ステップC1からC40を含むアルゴリズムの形で表される。
【0090】
本発明の実施形態によれば、符号化方法は、ある実施形態が
図4に表される符号化デバイス内、すなわち、コーダCO1内で実施される。
【0091】
本発明によれば、先の例で説明されたように、符号化プロパーに先立って、
図4に表されるように、符号化されることになる画像のシーケンスの画像IEの複数Z個のパーティションB'
1、B'
2、…、B'
i、…、B'
Zへの分割が所定の順序で行われる。
【0092】
図4に表される例では、前記パーティションは、方形を有し、すべて同じサイズを有するブロックである。必ずしも複数のブロックサイズであるとは限らない、画像のサイズに応じて、左の最後のブロックおよび底部の最後のブロックは方形でない場合がある。ある代替の実施形態では、これらのブロックは、例えば、矩形サイズのものであってよく、かつ/または互いと位置合わせされなくてよい。
【0093】
それぞれのブロックまたはマクロブロック自体を、さらに、それ自体、再分割可能なサブブロックに分割することが可能である。
【0094】
そのような分割は、
図2に表されたパーティションモジュールPCOと同一の、
図4に表されるパーティションソフトウェアモジュールPCO1によって実行される。
【0095】
前記分割ステップの後に、前記画像IEの現在のパーティションB'
i(iは1≦i≦Zになるような整数である)のそれぞれの符号化が行われる。
【0096】
図4に表される例では、そのような符号化は、現在の画像IEのブロックB'
1からB'
Zのそれぞれに連続的に適用される。これらのブロックは、例えば、当業者によく知られている「ラスタースキャン」トラバーサルなどのトラバーサルに従って符号化される。
【0097】
本発明による符号化は、
図4に表されるようなコーダCO1の符号化ソフトウェアモジュールMC_CO1内で実施される。
【0098】
図3に表されるステップC1の過程で、
図4の符号化モジュールMC_CO1は、現在のブロックB'
iとして、現在の画像IEの符号化されることになる第1のブロックB'
1を選択する。
図4に表されるように、これは画像IEの第1の左のブロックである。
【0099】
図3に表されるステップC2の過程で、その過程で少なくとも1個の予め符号化および復号されたブロックに関してブロックB'
1が予測されるイントラ予測および/またはインター予測の知られている技法によって、現在のブロックB'
1の予測符号化が行われる。そのような予測は、
図4に表されるような予測ソフトウェアモジュールPRED_CO1によって実行される。
【0100】
言うまでもなく、H.264標準で提案されるようなイントラ予測の他のモードが可能である。
【0101】
現在のブロックB'
1は、その過程で予め符号化および復号された画像から生じるブロックに関して現在のブロックが予測されるインターモードの予測符号化を受けることも可能である。当然、その他のタイプの予測を考案することができる。現在のブロックに関して可能な予測の中でも、当業者によく知られている速度歪み基準に従って最適予測が選択される。
【0102】
前記前述の予測符号化ステップは、現在のブロックB'
1の近似である、予測されるブロックB'p
1を構築するのを可能にする。この予測符号化に関する情報は、デコーダに送信されることになる信号内に記入されることが意図される。そのような情報は、具体的には、予測のタイプ(インターまたはイントラ)と、適切な場合、イントラ予測のモードと、ブロックまたはマクロブロックが再分割されている場合は、ブロックまたはマクロブロックのパーティションのタイプと、インター予測のモードで使用される基準画像指数および変位ベクトルとを含む。この情報は、コーダCO1によって圧縮される。
【0103】
図3に表される次のステップC3の過程で、予測モジュールPRED_CO1は、現在のブロックB'
1に関するデータを予測されるブロックB'p
1のデータと比較する。より正確には、このステップの過程で、残差ブロックB'r
1を生み出すために、現在のブロックB'
1から予測されるブロックB'p
1の減算が従来の方式で行われる。
【0104】
図3に表される次のステップC4の過程で、変換されたブロックB't
1を生み出すために、例えば、離散コサイン変換DCTなど、従来の直接変換動作に従って残差ブロックB'r
1の変換が行われる。そのような動作は、
図4に表されるような変換ソフトウェアモジュールMT_CO1によって実行される。
【0105】
図3に表される次のステップC5の過程で、例えば、スカラー量子化など、従来の量子化動作に従って、変換されたブロックB't
1の量子化が行われる。次いで、量子化された係数のブロックB'q
1が取得される。そのようなステップは、
図4に表されるような量子化ソフトウェアモジュールMQ_CO1によって実行される。
【0106】
図3に表される次のステップC6の過程で、ブロックB'q
1の量子化された係数のトラバーサルが事前に定義された順序で行われる。表された例では、これは従来のジグザグトラバーサルを必要とする。そのようなステップは、
図4に表されるような読取りソフトウェアモジュールML_CO1によって実行される。ステップC6の完了時に、「量子化残差」という用語でよりよく知られている、係数の一次元リストE
1=(ε1、ε2、…、εL)が取得され、式中、Lは1以上の整数である。リストE
1の係数のそれぞれは、エントロピー符号化を受けることが意図される、デジタル情報の様々な項目と関連付けられる。デジタル情報のそのような項目が例として以下で説明される。
【0107】
表された例では、L=16であり、リストE
1は以下の16個の係数を含むと仮定する:E
1=(0、+9、-7、0、0、+1、0、-1、+2、0、0、+1、0、0、0、0)。
【0108】
この場合、
リストE
1の最後の非ゼロ係数の前に位置するそれぞれの係数に関して、係数がゼロであるか、またはゼロでないかを示すために、ビットなど、情報のデジタル項目がエントロピー的に符号化されることが意図され、係数がゼロである場合、その係数は、例えば、符号化されることになる、値0のビットであるのに対して、係数が非ゼロである場合、それは、符号化されることになる、値1のビットである、
それぞれの非ゼロ係数+9、-7、+1、-1、+2、+1に関して、係数の絶対値が1であるか、または1に等しくないかを示すために、ビットなど、情報のデジタル項目がエントロピー的に符号化されることが意図され、係数が1に等しい場合、それは、例えば、符号化されることになる、値1のビットであるのに対して、係数が1に等しくない場合、それは、符号化されることになる、値0のビットである、
値+9、-7、+2の係数など、その絶対値が1に等しくなく、かつ最後の非ゼロ係数の前に位置する、それぞれの非ゼロ係数に関して、情報の振幅項目(そこから値2が差し引かれる係数の絶対値)がエントロピー的に符号化される、
それぞれの非ゼロ係数に関して、その係数に割り振られた符号が、例えば、(+符号の場合)「0」または(-符号の場合)「1」に設定されたビットなど、情報のデジタル項目によって符号化される。
【0109】
図3を参照して、本発明による特定の符号化ステップが次に説明される。
【0110】
本発明によれば、リストE
1の前記係数のうちの1つの少なくとも1個の符号である、デジタル情報の前述の項目のうちの少なくとも1つをエントロピー的に符号化するのを回避することが決定される。
【0111】
このために、
図3に表されるステップC7の過程で、その後のエントロピー符号化ステップの過程で隠蔽されることになる符号の数の選択が行われる。そのようなステップは、
図4に表されるような処理ソフトウェアモジュールMTR_CO1によって実行される。
【0112】
好ましい実施形態では、隠蔽されることになる符号の数は1または0である。さらに、前記好ましい実施形態によれば、隠蔽されることが意図される符号は、第1の非ゼロ係数の符号である。表された例では、これは、したがって、係数ε2=+9の符号を隠蔽することを必要とする。
【0113】
ある代替の実施形態では、隠蔽されることになる符号の数は、0、1、2、3、またはそれ以上のいずれかである。
【0114】
ステップC7の好ましい実施形態によれば、
図3に表される第1のサブステップC71の過程で、前記リストE
1に基づいて、修正されることが可能な係数ε'1、ε'2、…、ε'Mを含むサブリストSE
1の判断が行われ、式中、M<Lである。そのような係数は、後の説明で修正可能な係数と呼ばれる。
【0115】
本発明によれば、その修正された係数がデコーダによって処理されると、その量子化された値の修正がデコーダにおいて何の脱同期も生じさせない場合、係数は修正可能である。したがって、処理モジュールMTR_CO1は、当初、以下を修正しないように構成される:
デコーダが隠蔽された符号の値をこのまたはこれらのゼロ係数に割り振らないように、第1の非ゼロ係数の前に位置する1個または複数のゼロ係数、
および、計算の複雑さのため、最後の非ゼロ係数の後に位置する1個または複数のゼロ係数。
【0116】
表された例では、サブステップC71の完了時に、SE
1=(9、-7、0、0、1、0、-1、2、0、0、1)になるようにサブリストSE
1が取得される。その結果として、11個の修正可能な係数が取得される。
【0117】
図3に表される次のサブステップC72の過程で、処理モジュールMTR_CO1は、修正可能な係数の数と所定のしきい値TSIGとの比較を行う。好ましい実施形態では、TSIGは4に等しい。
【0118】
修正可能な係数の数がしきい値TSIG未満である場合、
図3に表されるステップC20の過程で、
図4の基準CE_CO1によって指定されるように、例えば、CABACコーダ内で実行されるように、リストE
1の係数の従来のエントロピー符号化が行われる。このために、リストE
1のそれぞれの非ゼロ係数の符号はエントロピー的に符号化される。
【0119】
修正可能な係数の数がしきい値TSIGを超える場合、
図3に表されるステップC8の過程で、処理モジュールMTR_CO1は、サブリストSE
1の係数を表す関数fの値を計算する。
【0120】
単一の符号がデコーダに送信されることになる信号内に隠蔽されることが意図される、好ましい実施形態では、関数fはサブリストSE
1の係数の和のパリティである。
【0121】
図3に表されるステップC9の過程で、処理モジュールMTR_CO1は、コーダCO1において予め定義された規約によって、隠蔽されることになる符号の値のパリティがサブリストSE
1の係数の和のパリティに対応するかどうかを検証する。
【0122】
提案される例では、前記規約は、正の符号が0に等しい値のビットと関連付けられるのに対して、負の符号が1に等しい値のビットと関連付けられるというものである。
【0123】
本発明によるコーダCO1で採用される規約に従って、符号が正であり、それによって、ゼロ符号化ビット値に対応する場合、かつサブリストSE
1の係数の和が偶数である場合、係数ε2の符号を除いて、前述のリストE
1の係数のエントロピー符号化のステップC20が行われる。
【0124】
本発明によるコーダCO1で採用される規約にさらに従って、符号が負であり、それによって、1の符号化ビット値に対応する場合、かつサブリストSE
1の係数の和が奇数である場合、係数ε2の符号を除いて、前述のリストE
1の係数のエントロピー符号化のステップC20がやはり行われる。
【0125】
本発明によるコーダCO1で採用される規約に従って、符号が正であり、それによって、ゼロ符号化ビット値に対応する場合、かつサブリストSE
1の係数の和が奇数である場合、
図3に表されるステップC10の過程で、サブリストSE
1の少なくとも1個の修正可能な係数の修正が行われる。
【0126】
本発明によるコーダCO1で採用される規約にさらに従って、符号が負であり、それによって、1の符号化ビット値に対応する場合、かつサブリストSE
1の係数の和が偶数である場合、サブリストSE
1の少なくとも1個の修正可能な係数を修正するステップC10がやはり行われる。
【0127】
そのような修正動作は、
図4の処理モジュールMTR_CO1によって実行される。
【0128】
SE
1=(+9、-7、0、0、+1、0、-1、+2、0、0、+1)である例示的な実施形態では、係数の総和は5に等しく、したがって、奇数である。その結果、デコーダは、コーダCO1がこの係数をデコーダに送信する必要なしに、第1の非ゼロ係数ε2=+9に割り振られた正の符号を再構築することができるように、和のパリティは偶数にならなければならない。その結果として、処理モジュールMTR_CO1は、前記ステップC10の過程で、すべて係数の和のパリティを変更することを目的として、サブリストSE
1の係数の様々な修正をテストする。好ましい実施形態では、それぞれの修正可能な係数に対する+1または-1の加算と、実行されたすべての修正の中からのある修正の選択とが行われる。
【0129】
好ましい実施形態では、そのような選択は、例えば、当業者によく知られているビットレート歪み基準である性能基準による最適予測である。そのような基準は、以下で方程式(1)によって表される:
(1)J=D+λR、式中、
Dは、元のマクロブロックと再構築されたマクロブロックとの間の歪みを表し、Rは、符号化情報の符号のビットのコストを表し、λは、その値が符号化に先立って固定されうるラグランジュ乗数を表す。
【0130】
提案される例では、前述のビットレート-歪み基準に従って最適予測を生じさせる修正は、サブリストSE
1の第2の係数-7に値1を加算することである。
【0131】
次いで、ステップC10の完了時に、修正されたサブリストSEm
1=(+9、-6、0、0、+1、0、-1、+2、0、0、+1)が取得される。
【0132】
このステップの過程で、ある種の修正は禁じられることに留意されたい。したがって、第1の非ゼロ係数ε2が+1に等しい場合、その係数に-1を加算することは可能でなくなるが、これは、その係数が0になり、その場合、リストE
1の第1の非ゼロ係数のその特性を失うことになるためである。デコーダは、次いで、その後、(係数の和のパリティを計算することによって)復号された符号を別の係数に割り振ったことになり、その場合、復号誤りが存在することになる。
【0133】
図3に表されるステップC11の過程で、処理モジュールMTR_CO1は、リストE
1の対応する修正を行う。次いで、次の修正リストEm
1=(0、+9、-6、0、0、+1、0、-1、+2、0、0、+1、0、0、0、0)が取得される。
【0134】
その後、係数の和のパリティ内に隠蔽された、提案される例では係数9の+符号である、係数ε2の符号を除いて、前述のリストEm
1の係数のエントロピー符号化のステップC20が行われる。
【0135】
以上で説明されたように、符号化されない、第1の非ゼロ係数ε2の符号を除いて、符号のセットの前にリストE
1または修正されたリストEm
1の係数の振幅のセットが符号化されることに留意されたい。
【0136】
図3に表される次のステップC30の過程で、
図4の符号化モジュールMC_CO1は、符号化された現在のブロックが画像IEの最後のブロックであるかどうかをテストする。
【0137】
現在のブロックが画像IEの最後のブロックである場合、
図3に表されるステップC40の過程で符号化方法は終了する。
【0138】
そうでない場合、次いで、1≦i≦Zについて、ステップC1からC20を反復することによって、前述のラスタースキャン順序のトラバーサルに従って符号化されるB'
iに続くブロックの選択が行われる。
【0139】
すべてのブロックB'
1からB'
Zのエントロピー符号化が実行されると、前記符号化されたブロックをバイナリ形式で表す信号F'の構築が行われる。
【0140】
バイナリ信号F'の構築は、
図4に表されるようなストリーム構築ソフトウェアモジュールCF1内で実施される。
【0141】
ストリームF'はその後、通信ネットワーク(図示せず)によって遠隔端末に送信される。遠隔端末は、後の説明でより詳細に説明されるデコーダを備える。
【0142】
主に
図3を参照して、本発明の別の実施形態が次に説明される。
【0143】
この別の実施形態は、0またはNのいずれかである、隠蔽されることになる係数の数によってだけ、先の実施形態と区別され、Nは、N≧2になるような整数である。
【0144】
このために、前述の比較サブステップC72は、
図3において破線で表されるサブステップC72aと置換され、その過程で、修正可能な係数の数がTSIG_NとTSIG_N+1との間にある場合、N個の符号が隠蔽されることが意図されるように、修正可能な係数の数といくつかの所定のしきい値0<TSIG_1<TSIG_2<TSIG_3…との比較が行われる。
【0145】
修正可能な係数の数が第1のしきい値TSIG_1未満である場合、前述のステップC20の過程で、リストE
1の係数の従来のエントロピー符号化が行われる。このために、リストE
1のそれぞれの非ゼロ係数の符号はエントロピー的に符号化される。
【0146】
修正可能な係数の数がしきい値TSIG_NとTSIG_N+1との間にある場合、
図3に表されるステップC8の過程で、処理モジュールMTR_CO1は、サブリストSE
1の係数を表す関数fの値を計算する。
【0147】
この別の実施形態では、コーダにおける決定は、N個の符号を隠蔽することであり、関数fはサブリストSE
1の係数の和の剰余モジュロ2
Nである。提案される例では、N=2であり、隠蔽されることになる2個の符号は、それぞれ、第1の2個の非ゼロ係数、すなわち、ε2およびε3の第1の2個の符号であると仮定する。
【0148】
図3に表される次のステップC9の過程で、処理モジュールMTR_CO1は、N個の符号の構成、すなわち、2
N個の可能な構成がサブリストSE
1の係数の和の剰余モジュロ2
Nの値に対応するかどうかを検証する。
【0149】
N=2である、提案される例では、符号の2
2=4個の異なる構成が存在する。
【0150】
これらの4個の構成は、コーダCO1において、例えば、以下の様式で判断された規約に従う:
0に等しい剰余は2個の連続する正の符号、すなわち、+、+に対応する、
1に等しい剰余は連続する正の符号および負の符号、すなわち、+、-に対応する、
2に等しい剰余は連続する負の符号および正の符号、すなわち、-、+に対応する、
3に等しい剰余は2個の連続する負の符号、すなわち、-、-に対応する。
【0151】
N個の符号の構成がサブリストSE
1の係数の和の剰余モジュロ2
Nの値に対応する場合、係数の和モジュロ2
Nのパリティ内に隠蔽された、係数ε2の符号および係数ε3の符号を除いて、前述のリストE
1の係数のエントロピー符号化のステップC20が行われる。
【0152】
そうでない場合、サブリストSE
1の少なくとも1個の修正可能な係数の修正のステップC10が行われる。そのような修正は、サブリストSE
1の修正可能な係数の和の剰余モジュロ2
Nが隠蔽されることになる2個の符号のそれぞれの値に達するように、
図4の処理モジュールMTR_CO1によって実行される。
【0153】
前述のステップC11の過程で、処理モジュールMTR_CO1は、リストE
1の対応する修正を行う。次いで、修正されたリストEm
1が取得される。
【0154】
その後、係数の和モジュロ2
Nのパリティ内に隠蔽される、係数ε2の符号と係数ε3の符号とを除いて、前述のリストEm
1の係数のエントロピー符号化のステップC20が行われる。
【0155】
復号部分の詳細な説明
復号方法がH.264/MPEG-4 AVC標準に当初準拠するデコーダを修正することによってソフトウェア様式またはハードウェア様式で実施される、本発明による復号方法の一般的な実施形態が次に説明される。
【0156】
本発明による復号方法は、
図5に表されるステップSD1からSD7を含むアルゴリズムの形で表される。
【0157】
本発明の一般的な実施形態によれば、本発明による復号方法は、
図2のコーダCOによって配信されるストリームFを受信するのに適した、
図6に表されるような復号デバイス内、すなわち、デコーダDO内で実施される。
【0158】
図5に表されない予備ステップの過程で、受信されたデータ信号F内で、コーダCOによって予め符号化されているパーティションB
1からB
Zの識別が行われる。好ましい実施形態では、前記パーティションは、方形を有し、すべて同じサイズを有するブロックである。必ずしも複数のブロックサイズであるとは限らない、画像のサイズに応じて、左の最後のブロックおよび底部の最後のブロックは方形でない場合がある。代替の実施形態では、これらのブロックは、例えば、矩形サイズのものであってよく、かつ/または互いと位置合わせされなくてよい。
【0159】
それぞれのブロックまたはマクロブロック自体を、さらに、それ自体、再分割可能なサブブロックに分割することが可能である。
【0160】
そのような識別は、
図6に表されるようなストリーム解析ソフトウェアモジュールEX_DOによって実行される。
【0161】
図5に表されるステップSD1の過程で、
図6のモジュールEX_DOは、現在のブロックB
iとして、復号されることになる第1のブロックB
1を選択する。そのような選択は、例えば、第1のブロックB
1のデータの開始時に、信号F内の読み取り用ポインタを配置することである。
【0162】
その後、選択された、符号化されたブロックのそれぞれの復号が行われる。
【0163】
図5に表される例では、そのような復号は、符号化されたブロックB
1からB
Zのそれぞれに連続的に適用される。これらのブロックは、例えば、当業者によく知られている「ラスタースキャン」トラバーサルに従って復号される。
【0164】
本発明による復号は、
図6に表されるようなデコーダDOの復号ソフトウェアモジュールMD_DO内で実施される。
【0165】
図5に表されるステップSD2の過程で、選択されている第1の現在のブロックB
1のエントロピー復号がまず行われる。そのような動作は、例えば、CABACタイプの、
図6に表されるエントロピー復号モジュールDE_DOによって実行される。このステップの過程で、モジュールDE_DOは、リストD
1または修正されたリストDm
1の符号化されたデータのそれぞれの振幅に対応する、デジタル情報の項目のエントロピー復号を実行する。この時点で、リストD
1または修正されたリストDm
1のデータの符号だけが復号されない。
【0166】
処理モジュールMTR_DOがリストD
1=(a
1、a
2、…、a
P)を受信する場合、
図5に表されるステップSD3の過程で、リストD
1のデータのすべての符号の従来のエントロピー復号が行われる。そのような復号は、
図6の基準DE_DOによって指定されたCABACデコーダによって実行される。このために、リストD
1のそれぞれの非ゼロデータ項目の符号がエントロピー的に復号される。
【0167】
処理モジュールMTR_DOが修正されたリストDm
1=(a'
1、a'
2、…、a'
P)を受信する場合、前記ステップSD3の過程で、第1の非ゼロデータ項目の符号a
2を除いて、リストDm
1のデータのすべての符号の従来のエントロピー復号が行われる。
【0168】
図5に表されるステップSD4の過程で、処理モジュールMTR_DOは、計算された値が偶数であるかまたは奇数であるかを判断するために、リストDm
1のデータを表す関数fの値を計算する。
【0169】
単一の符号が信号F内に隠蔽される、好ましい実施形態では、関数fはリストDm
1のデータの和のパリティである。
【0170】
デコーダDOにおけるのと同じ、コーダCOで使用される規約によれば、リストDm
1のデータの和の偶数値は修正されたリストDm
1の第1の非ゼロデータ項目の符号は正であることを示すのに対して、リストDm
1のデータの和の奇数値は修正されたリストDm
1の第1の非ゼロデータ項目の符号が負であることを示す。
【0171】
例示的な実施形態では、データの総和は偶数である。その結果として、ステップSD4の完了時に、処理モジュールMTR_DOは、第1の非ゼロデータ項目a
2の隠蔽された符号が正であることをそこから推論する。
【0172】
図5に表されるステップSD5の過程で、復号されたブロックBD1の構築が行われる。そのような動作は、
図6に表される再構築ソフトウェアモジュールMR_DOによって実行される。
【0173】
図5に表されるステップSD6の過程で、復号モジュールMD_DOは、復号された現在のブロックが信号F内で識別された最後のブロックであるかどうかをテストする。
【0174】
現在のブロックが信号Fの最後のブロックである場合、
図5に表されるステップSD7の過程で復号方法は終了する。
【0175】
そうでない場合、1≦i≦Zについて、ステップSD1からSD5を反復することによって、前述のラスタースキャン順序のトラバーサルに従って復号されることになる次のブロックB
iの選択が行われる。
【0176】
主に
図5を参照して、本発明の別の実施形態が次に説明される。
【0177】
この別の実施形態は、この時、Nに等しい、隠蔽された符号の数によってだけ、先の実施形態と区別され、NはN≧2になるような整数である。
【0178】
このために、前述のステップSD3の過程で、前記修正されたリストDm
1の第1の少数の非ゼロデータのN個のそれぞれの符号を除いて、リストDm
1のデータのすべての符号の従来のエントロピー復号が行われ、前記N個の符号は隠蔽されている。
【0179】
この別の実施形態では、処理モジュールMTR_DOは、ステップSD4の過程で、リストDm
1のデータの和の剰余モジュロ2
Nである関数fの値を計算する。提案される例では、N=2であると仮定する。
【0180】
次いで、処理モジュールMTR_DOは、符号化に関して使用された規約に従って、それぞれ、第1の2個の非ゼロデータa2およびa3のそれぞれに割り振られた2個の隠蔽された符号の構成をそこから推論する。
【0181】
これらの2個の符号が再構築されると、以上で説明されたステップSD5からSD7が実施される。
【0182】
復号方法がH.264/MPEG-4 AVC標準に当初準拠するデコーダを修正することによってソフトウェア様式またはハードウェア様式で実施される、本発明による復号方法のある特定の実施形態が次に説明される。
【0183】
本発明による復号方法は、
図7に表されるステップD1からD12を含むアルゴリズムの形で表される。
【0184】
本発明の実施形態によれば、本発明による復号方法は、
図4のコーダCO1によって配信される信号F'を処理することが可能な、
図8に表されるような、復号デバイス内、すなわち、デコーダDO1内で実施される。
【0185】
図7に表されない予備ステップの過程で、受信されたデータ信号F'内で、コーダCO1によって予め符号化されているB'
1からB'
Zのパーティションの識別が行われる。好ましい実施形態では、前記パーティションは、方形を有し、すべて同じサイズを有するブロックである。必ずしも複数のブロックサイズであるとは限らない、画像のサイズに応じて、左の最後のブロックおよび底部の最後のブロックは方形でない場合がある。代替の実施形態では、これらのブロックは、例えば、矩形サイズのものであってよく、かつ/または互いと位置合わせされなくてよい。
【0186】
それぞれのブロックまたはマクロブロック自体を、さらに、それ自体、再分割可能なサブブロックに分割することが可能である。
【0187】
そのような識別は、
図8に表されるようなストリーム解析ソフトウェアモジュールEX_DO1によって実行される。
【0188】
図7に表されるステップD1の過程で、
図8のモジュールEX_DO1は、現在のブロックB'
iとして、復号されることになる第1のブロックB'
1を選択する。そのような選択は、例えば、第1のブロックB'
1のデータの開始時に、信号F'内の読み取り用ポインタを配置することである。
【0189】
その後、選択された符号化されたブロックのそれぞれの復号が行われる。
【0190】
図7に表される例では、そのような復号は、符号化されたブロックB'
1からB'
Zのそれぞれに連続して適用される。これらのブロックは、例えば、当業者によく知られている「ラスタースキャン」トラバーサルに従って復号される。
【0191】
本発明による復号は、
図8に表されるようなデコーダDO1の復号ソフトウェアモジュールMD_DO1内で実施される。
【0192】
図7に表されるステップD2の過程で、選択されている第1の現在のブロックB'
1のエントロピー復号がまず行われる。そのような動作は、例えば、CABACタイプの、
図8に表されるエントロピー復号モジュールDE_DO1によって実行される。このステップの過程で、モジュールDE_DO1は、リストE
1または修正されたリストEm
1の符号化された係数のそれぞれの振幅に対応する、デジタル情報のエントロピー復号を実行する。この時点で、リストE
1または修正されたリストEm
1の係数の符号だけが復号されない。
【0193】
図7に表されるステップD3の過程で、エントロピー符号化C20の先のステップの過程で隠蔽されていそうな符号の数の判断が行われる。そのようなステップD3は、
図8に表されるような処理ソフトウェアモジュールMTR_DO1によって実行される。ステップD3は、隠蔽されることになる符号の数を判断する前述のステップC7に類似する。
【0194】
好ましい実施形態では、隠蔽された符号の数は1または0である。さらに、前記好ましい実施形態によれば、隠蔽されるのは第1の非ゼロ係数の符号である。表された例では、これは、したがって、係数ε2=+9の正の符号を隠蔽することを必要とする。
【0195】
ある代替の実施形態では、隠蔽された符号の数は、0、1、2、3、またはそれ以上のいずれかである。
【0196】
ステップD3の好ましい実施形態によれば、
図7に表される第1のサブステップD31の過程で、前記リストE
1または修正されたリストEm
1に基づいて、M<Lである、係数ε'1、ε'2、…、ε'Mを含むサブリストが符号化時に修正されていそうであるという判断が行われる。
【0197】
そのような判断は、前述の符号化ステップC7と同じ様式で実行される。
【0198】
前述の処理モジュールMTR_CO1のように、処理モジュールMTR_DO1は、以下を修正しないように当初構成される:
第1の非ゼロ係数の前に位置する1個または複数のゼロ係数、
および、計算の複雑さのため、最後の非ゼロ係数の後に位置する1個または複数のゼロ係数。
【0199】
表された例では、サブステップD31の完了時に、これはSEm
1=(9、-6、0、0、1、0、-1、2、0、0、1)になるようなサブリストSEm
1を必要とする。その結果として、修正されていそうな11個の係数が取得される。
【0200】
図7に表される次のサブステップD32の過程で、処理モジュールMTR_DO1は、修正されていそうな係数の数の所定のしきい値TSIGとの比較を行う。好ましい実施形態では、TSIGは4に等しい。
【0201】
修正されていそうな係数の数がしきい値TSIG未満である場合、
図7に表されるステップD4の過程で、リストE
1の係数のすべての符号の従来のエントロピー復号が行われる。そのような復号は、
図8で基準DE_DO1によって指定されたCABACデコーダによって実行される。このために、リストE
1のそれぞれの非ゼロ係数の符号はエントロピー的に復号される。
【0202】
修正されていそうな係数の数がしきい値TSIGを超える場合、前記ステップD4の過程で、第1の非ゼロ係数ε2の符号を除いて、リストEm
1の係数のすべての符号の従来のエントロピー復号が行われる。
【0203】
図7に表されるステップD5の過程で、処理モジュールMTR_DO1は、計算された値が偶数であるか、または奇数であるかを判断するために、サブリストSEm
1の係数を表す関数fの値を計算する。
【0204】
単一の符号が信号F'内に隠蔽される、好ましい実施形態では、関数fはサブリストSEm
1の係数の和のパリティである。
【0205】
デコーダDO1におけるのと同じ、コーダCO1で使用される規約によれば、サブリストSEm
1の係数の和の偶数値は修正されたリストEm
1の第1の非ゼロ係数の符号が正であることを示すのに対して、サブリストSEm
1の係数の和の奇数値は修正されたリストEm
1の第1の非ゼロ係数の符号が負であることを示す。
【0206】
SEm
1=(+9、-6、0、0、+1、0、-1、+2、0、0、+1)である例示的な実施形態では、係数の総和は6に等しく、したがって、偶数である。その結果として、ステップD5の完了時に、処理モジュールMTR_DO1は、第1の非ゼロ係数ε2の隠蔽された符号が正であることをそこから推論する。
【0207】
図7に表されるステップD6の過程で、ステップD2、D4、およびD5の過程で再構築されたデジタル情報のすべての項目を用いて、ブロックB'q
1の量子化された係数の再構成が事前に定義された順序で行われる。表された例では、これは、前述の符号化ステップC6の過程で実行されるジグザグトラバーサルに対して逆のジグザグトラバーサルを必要とする。そのようなステップは、
図8に表されるような読取りソフトウェアモジュールML_DO1によって実行される。より正確には、モジュールML_DO1は、前記逆のジグザグ順序のトラバーサルを使用して、リストE
1(一次元)の係数のブロックB'q
1(二次元)への書込みを行う。
【0208】
図7に表されるステップD7の過程で、復号された、逆量子化されたブロックBD'q
1を生み出すために、前述のステップC5の符号化時に実行された量子化の逆の動作である、従来の逆量子化動作に従って、量子化された残差ブロックB'q
1の逆量子化が行われる。そのようなステップは、
図8に表されるような逆量子化ソフトウェアモジュールMDQ_DO1によって実行される。
【0209】
図7に表されるステップD8の過程で、前述のステップC4の符号化時に実行された直接変換の逆の動作である、逆量子化されたブロックBD'q
1の逆変換が行われる。次いで、復号された残差ブロックBD'r
1が取得される。そのような動作は、
図8に表されるような逆変換ソフトウェアモジュールMTI_DO1によって実行される。
【0210】
図7に表されるステップD9の過程で、現在のブロックB'
1の予測復号が行われる。このような予測復号は、その過程で少なくとも1個の予め復号されたブロックに関してブロックB'
1が予測される、イントラ予測および/またはインター予測の知られている技法によって従来の様式で実行される。そのような動作は、
図8に表されるような予測復号モジュールPRED_DO1によって実行される。
【0211】
言うまでもなく、H.264標準で提案されるようなイントラ予測の他のモードが可能である。
【0212】
このステップの過程で、先のステップで復号された構文要素を用いて、具体的には、予測のタイプ(インターまたはイントラ)と、適切な場合、イントラ予測のモードと、ブロックまたはマクロブロックが再分割されている場合は、ブロックまたはマクロブロックのパーティションのタイプと、インター予測のモードで使用される基準画像指数および変位ベクトルとを含む予測復号が実行される。
【0213】
前記前述の予測復号ステップは、予測されるブロックB'p
1を構築するのを可能にする。
【0214】
図7に表されるステップD10の過程で、復号された残差ブロックBD'r
1を予測されるブロックB'p
1に追加することによって、復号されたブロックBD'
1の構築が行われる。そのような動作は、
図8に表される再構築ソフトウェアモジュールMR_DO1によって実行される。
【0215】
図7に表されるステップD11の過程で、復号モジュールMD_DO1は、復号された現在のブロックが信号F'内で識別された最後のブロックであるかどうかをテストする。
【0216】
現在のブロックが信号F'の最後のブロックである場合、
図7に表されるステップD12の過程で復号方法は終了する。
【0217】
そうでない場合、1≦i≦Zについて、ステップD1からD10を反復することによって、前述のラスタースキャン順序のトラバーサルに従って復号されることになる次のブロックB'
iの選択が行われる。
【0218】
主に
図7を参照して、本発明の別の実施形態が次に説明される。
【0219】
この別の実施形態は、0またはNのいずれかである、隠蔽された係数の数によってだけ、先の実施形態と区別され、Nは、N≧2になるような整数である。
【0220】
このために、前述の比較サブステップD32は、
図7において破線で表されるサブステップD32aと置換され、その過程で、前記係数の数がTSIG_NとTSIG_N+1との間である場合、N個の符号が隠蔽されているように、修正されていそうな係数の数といくつかの所定のしきい値0<TSIG_1<TSIG_2<TSIG_3…との比較が行われる。
【0221】
前記係数の数が第1のしきい値TSIG_1未満である場合、前述のステップD4の過程で、リストE
1の係数のすべての符号の従来のエントロピー復号が行われる。このために、リストE
1のそれぞれの非ゼロ係数の符号はエントロピー的に復号される。
【0222】
前記係数の数がしきい値TSIG_NとTSIG_N+1との間である場合、前述のステップD4の過程で、前記修正されたリストEm
1の第1の非ゼロ係数のN個のそれぞれの符号を除いて、リストE
1の係数のすべての符号の従来のエントロピー復号が行われ、前記N個の符号が隠蔽されている。
【0223】
この別の実施形態では、処理モジュールMTR_DO1は、ステップD5の過程で、サブリストSEm
1の係数の和の剰余モジュロ2
Nである関数fの値を計算する。提案される例では、N=2であると仮定する。
【0224】
次いで、処理モジュールMTR_DO1は、符号化に関して使用された規約に従って、第1の2個の非ゼロ係数ε2およびε3のそれぞれにそれぞれ割り振られた、2個の隠蔽された符号の構成をそこから推論する。
【0225】
これらの2個の符号が再構築されると、以上で説明されたステップD6からD12が実行される。
【0226】
言うまでもなく、以上で説明されている実施形態は、限定ではなく、表示のためにだけ提示されており、当業者は、本発明の範囲から逸脱せずに、多数の修正を容易に行うことが可能である。
【0227】
したがって、例えば、
図4に表されるコーダCO1に関する、簡素化された実施形態によれば、コーダCO1は、0個の所定の符号、1個の所定の符号、またはN個の所定の符号のいずれかの代わりに、N'≧1である、少なくともN'個の所定の符号を隠蔽するように構成可能である。この場合、比較ステップC72またはC72aは省かれることになる。対応する様式で、
図8に表されるデコーダDO1に関する、簡素化された実施形態によれば、デコーダDO1は、0個の所定の符号、1個の所定の符号、またはN個の所定の符号のいずれかの代わりに、N'個の所定の符号を再構築するように構成されることになる。この場合、比較ステップD32またはD32aは省かれることになる。さらに、符号化ステップC72および復号ステップD32に適用された決定基準を別のタイプの基準と置換することが可能である。このために、修正可能な係数の数、または修正されていそうな係数の数をしきい値と比較する代わりに、処理モジュールMTR_CO1またはMTR_DO1は、修正可能な係数、もしくは修正されていそうな係数の振幅の和、またはそうでなければ、修正可能な、もしくは修正されていそうな係数の中に存在するゼロの数にそれぞれ依存する決定基準を適用することができる。