(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、この発明の実施形態に係る電動モータおよびこの電動モータを駆動源とする電動ポンプついて、図面を用いて説明する。
図1は、第一実施形態に係る電動ポンプ1の斜視図である。
図2は、電動ポンプ1の中心軸Oを含む側面断面図である。
図1に示すように、電動ポンプ1は、例えばハイブリッド車両の駆動用モータや、この駆動用モータと連結されるギヤボックス等にオイルを圧送するためのものであって、ハウジング10と、
図2に示すように、ハウジング10の内部に収納されブラシレスモータ20(請求項における「モータ部」に相当。)およびこのブラシレスモータ20を制御する制御装置50を備えた電動モータ70と、ハウジング10の外部に設けられ電動モータ70により駆動されるポンプ部90とにより形成されている。ここで、電動モータ70およびポンプ部90は、電動ポンプ1の中心軸Oと共通の中心軸を有している。以下の説明では、中心軸Oに沿う方向を軸方向といい、中心軸Oと直交する方向を径方向といい、中心軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0021】
ハウジング10は、金属材料からなっており、本実施形態ではアルミニウム材料をダイキャスト加工することによって形成されている。このハウジング10は、軸方向の一方側に開口部12を有し軸方向の他方側に底部13を有する有底筒状のモータケース11と、モータケース11の開口部12側に取り付けられたカバー部材46と、により構成されている。モータケース11の内側にはブラシレスモータ20が配置され、モータケース11の開口部12側である軸方向の端部には、制御装置50が一体的に連結するように配置され、モータケース11の底部13側である他方側の端部(外端面14)には、ポンプ部90が一体的に連結するように配置されている。
【0022】
モータケース11は略円筒状の筒部11aを有しており、筒部11aの内周面にステータ21が接着や圧入等の固定手段により固定されている。ステータ21は、略円筒状のステータコア21aにより形成されている。ステータコア21aは、例えばプレス加工によって周方向に所定数(例えば、本実施形態では9個)に分割された状態で略環状に打ち抜かれた金属板(電磁鋼板)を軸方向に複数枚積層したものであって、コイル26を巻装するためのティース23が放射状に複数(例えば、本実施形態では9本)形成されている。各ティース23間には、不図示のスロットが形成さている。スロットは、周方向に沿って等間隔に9スロット形成されている。各ティース23には、全周に渡って絶縁材であるインシュレータ25がそれぞれ装着され、このインシュレータ25上にU相、V相、W相の各相に対応したコイル26が巻装されている。すなわち、この実施形態のブラシレスモータ20は、U相、V相、W相の三相のコイル26を備えた三相ブラシレスモータとなっている。
【0023】
各ティース23に巻装されているコイル26の端末部は、モータケース11の開口部12側に向かって引き出され、ここに配置されているバスバーリングユニット28に接続されている。
バスバーリングユニット28は、外部からの電力をコイル26に供給するためのものであって、絶縁材料からなる略円環状のバスバーリングホルダ28aに金属製の複数(本実施形態では4個)のバスバーリング28bが埋設されて形成されている。各バスバーリング28bには、それぞれ所定のコイル26の端末部が電気的に接続されて、各相用バスバーに割り当てられている。具体的には、各相のコイル26の巻始め端(不図示)と接続されるU相用バスバー、V相用バスバーおよびW相用バスバーと、各相のコイル26の巻終わり端(不図示)と接続される中性点用バスバーと、に割り当てられている。各バスバーリング28bのうち、U〜W相用バスバーは、モータケース11の開口部12側に向かって軸方向に沿うように立設された給電端子29(29a〜29c)をそれぞれ備えている。給電端子29a〜29cは、制御装置50に向かって軸方向に沿うように延出されており、制御装置50と電気的に接続される。給電端子29a〜29cのうち、給電端子29bは、給電端子29a,29cに対して、モータケース11の開口部12の中心側に僅かにオフセットして設けられている。
【0024】
モータケース11の開口部12側の端部には、モータケース11の開口部12を閉塞するために、鋼板材をプレス成形してなるベアリングホルダ4が設けられている。ベアリングホルダ4の中央部には、バスバーリングユニット28の内側に配置される円筒状のベアリング保持部4aが形成されている。ベアリング保持部4aには、ベアリング5が内嵌されている。
【0025】
モータケース11の底部13は、軸方向に沿った断面が略矩形状に形成されており、軸方向に所定の厚さを有して形成されている。モータケース11の底部13の中央部には、軸方向に沿って底部13を貫通するシャフト挿通孔13aが形成されている。また、モータケース11の底部13には、筒部11aよりも縮径されたベアリング保持部13bと、ベアリング保持部13bよりも縮径されたシール保持部13cとが、この順番で開口部12側から底部13側に向かって並んで設けられている。ベアリング保持部13bには、ベアリング6が内嵌されている。また、シール保持部13cには、モータケース11内側へのオイルの浸入を防止するためのオイルシール7が内嵌されている。
【0026】
ステータ21の径方向の内側には、ロータ31が設けられている。ロータ31は、回転シャフト35と、回転シャフト35の外周面に固定されるロータコア32と、ロータコア32の外周面に周方向に沿って配置される複数のマグネット33と、各マグネット33をロータコア32に保持するためのマグネットカバー33aと、マグネットホルダ33bとを備えている。ロータコア32は、ステータ21と同様に、例えばプレス加工によって略環状に打ち抜いた金属板(電磁鋼板)を軸方向に複数枚積層して構成されている。各マグネット33は、ロータコア32の径方向外側において、周方向に磁極が交互に変わるように配置されている。
【0027】
回転シャフト35は、ベアリングホルダ4に設けられたベアリング5と、モータケース11の底部13に設けられたベアリング6とにより支持されている。これにより、ロータ31は、ステータ21の径方向の内側において、中心軸Oと同軸上に回転自在に軸支される。回転シャフト35の一方端部35aは、モータケース11の開口部12の端部に配置されている。また、回転シャフト35の他方端部35bは、ベアリング6、オイルシール7およびシャフト挿通孔13aに挿通されて、モータケース11の底部13の外端面14よりも外側に突出している。
【0028】
また、モータケース11の底部13の内部には、底部13における径方向の一側面15a(
図1参照)であるモータケース11の外部と、底部13の外端面14とを連通する吸入ポート16および排出ポート17が一体的に形成されている。吸入ポート16および排出ポート17は、モータケース11の底部13の外端面14に一体的に連結するよう設けられたポンプ部90内にそれぞれ連通している。これにより、後述するようにギヤボックス等の被取付体に締結固定された電動ポンプ1を駆動した際、圧送されるオイル自体が熱を持っていても、その熱は吸入ポート16、排出ポート17から金属材料よりなるモータケース11に伝達される。特に、モータケース11を熱伝導率の良いアルミニウム材から形成することにより、オイルの熱を効果的に拡散することができる。
【0029】
ポンプ部90は、例えば、トロコイドポンプであり、モータケース11の外端面14に取り付けられたポンプケース91と、ポンプケース91内に設けられたインナロータ92およびアウタロータ93と、軸方向の外側からポンプケース91を覆うポンプカバー94と、により形成されている。
ポンプケース91は、例えば鉄(炭素鋼)やアルミニウム等の金属材料により枠状に形成されており、内側が軸方向視で円形状のポンプ収納部91aとなっている。ポンプ収納部91aは、中心軸Oに対して偏心している。ポンプケース91は、モータケース11の外端面14に、例えば複数のボルト96等(
図1参照)を螺合することにより締結されており、モータケース11の外端面14とポンプケース91との間には、周方向の全周にわたってOリング97が配置されている。これにより、モータケース11の外端面14とポンプカバー94との間のシール性が確保される。
【0030】
インナロータ92は、例えば、鉄(炭素鋼)やアルミニウム等の金属材料により形成されており、複数(本実施形態では7個)の外歯を有している。インナロータ92は、回転シャフト35の他方端部35bに、例えば、他方端部35bに二方取り加工を行い、インナロータ92を軸方向に相対移動自在、かつ周方向に相対移動不能な状態で支持されている。
アウタロータ93は、インナロータ92と同様に、例えば、鉄(炭素鋼)やアルミニウム等の金属材料により形成されており、インナロータ92の外歯と噛合可能であって、インナロータ92の外歯よりも多い複数(本実施形態では8個)の内歯を有している。アウタロータ93は、その外径がポンプ収納部91aの内径よりも僅かに小さくなるように形成されている。アウタロータ93は、インナロータ92の回転に伴い、アウタロータ93の外周面の一部がポンプ収納部91aの内周面に支持されて回転する。
【0031】
互いに噛合するインナロータ92の外歯とアウタロータ93の内歯との間には、ポンプ室95が形成される。ポンプ室95は、インナロータ92およびアウタロータ93の回転に伴って容積が増減するように形成されており、吸入ポート16および排出ポート17と連通している。ポンプ室95は、容積が増大することにより、ポンプ室95外から吸入ポート16を通じてポンプ室95内にオイルを吸引し、容積が減少することにより、ポンプ室95内から排出ポート17を通じてポンプ室95外にオイルを排出している。
【0032】
ポンプカバー94は、例えば、鉄(炭素鋼)やアルミニウム等の金属材料により形成されており、軸方向の外側からポンプケース91に、不図示のボルト等により固定されている。ポンプケース91とポンプカバー94との間には、周方向の全周にわたってOリング98が配置されている。これにより、ポンプケース91とポンプカバー94との間のシール性が確保される。なお、複数のボルト96(
図1参照)によってポンプケース91をモータケース11の外端面14に締結すると、Oリング97、Oリング98が軸方向に圧縮されることで各部のシール性を発揮するようになっている。
【0033】
図1に示すように、モータケース11の底部13における径方向の一側面15aには、外側に張り出す電動ポンプ取付部15が形成されている。電動ポンプ取付部15には、取付孔15bが複数形成されている。電動ポンプ1は、取付孔15bに挿通された不図示のボルトをギヤボックス等の被取付体に締結することで、被取付体に取り付けられる。これにより、吸入ポート16および排出ポート17(
図2参照)は、被取付体の内部と連通するとともに、オイルを被取付体の内部に圧送可能に構成されている。
【0034】
図3は、ハウジング10の分解斜視図である。
図3に示すように、モータケース11の開口部12側の端部であって、ベアリングホルダ4よりも軸方向の外側には、制御装置50を取り付けるための制御装置配設部40が設けられている。制御装置配設部40は、軸方向から見てモータケース11の開口部12と連通する配設用開口41を有する略長方形状をなし、モータケース11と一体的に形成されている。制御装置配設部40の長手方向の一端部は、軸方向から見てモータケース11の径方向の外側に張り出し形成されたフランジ部42となっている。フランジ部42の中央部には、軸方向に貫通する貫通孔43が形成されている。
【0035】
図4は、制御装置50をモータケース11(
図3参照)の内側から見たときの外観斜視図であり、
図5は、制御装置50をモータケース11(
図3参照)の外側から見たときの外観斜視図である。
図4および
図5に示すように、制御装置50は、主に本体部分を構成する板状のバスバーユニット本体53と、ブラシレスモータ20(
図2参照)を駆動するモータ駆動ユニット66と、モータ駆動ユニット66を制御するモータ制御ユニット71と、外部電源から供給される電流のノイズを抑制する複数の雑防素子80と、により形成されている。なお、以下の説明では、制御装置50におけるモータケース11(
図3参照)の外側の面を第一主面51とし、第一主面51とは反対側であって、モータケース11(
図3参照)の内側の面を第二主面52として説明する。
【0036】
図5に示すように、バスバーユニット本体53は、内部に複数のバスバー100が配線された絶縁材料からなるベース部54と、ハウジング10のフランジ部42(
図3参照)に対応した部位においてベース部54に一体的に設けられたコネクタ部58と、を有している。
ベース部54は、平面視で略長方形状の板状に形成されており、例えばモールド成形することにより内部に複数のバスバー100を設けている。ベース部54には、給電端子29a〜29c(
図3参照)に対応した位置に第一バスバー用開口54aが形成され、第一バスバー用開口54aのコネクタ部58側に第二バスバー用開口54bが形成され、コネクタ部58の第一バスバー用開口54a側に第三バスバー用開口54cが形成されている。第一バスバー用開口54a、第二バスバー用開口54bおよび第三バスバー用開口54cは、それぞれベース部54を軸方向に貫通して形成されている。
【0037】
複数のバスバー100は、主に信号系ターミナルバスバー101a〜101d(
図4参照)と、パワー用ターミナルバスバー102a,102bと、パワー用バスバー103a,103bと、三相バスバー104a〜104cと、アース端子105とを備えており、それぞれ例えば銅等の金属板材を所望の形状に折曲して形成されている。
図4に示すように、信号系ターミナルバスバー101a〜101dは、ベース部54からコネクタ部58に至るまでモールド成形されており、一端部がコネクタ部58内に配置され、他端部がバスバーユニット本体53の第二主面52側から立設されており、外部の制御装置(不図示)とモータ制御ユニット71とを電気的に接続している。
【0038】
図5に示すように、パワー用ターミナルバスバー102a,102bも同様に、ベース部54からコネクタ部58に至るまでモールド成形されており、一端部がコネクタ部58内に配置されている。また、パワー用ターミナルバスバー102a,102bおよびパワー用バスバー103a,103bは、雑防素子80を介して外部電源とモータ駆動ユニット66とを電気的に接続している。なお、本実施形態では、負極側のパワー用ターミナルバスバー102bおよびパワー用バスバー103bは一体的に形成されてベース部54内に埋設されている。
パワー用ターミナルバスバー102a,102bの一部分は、第三バスバー用開口54cから露出している。また、パワー用ターミナルバスバー102aの一部分は、バスバーユニット本体53の第二主面52側から立設されており、モータ制御ユニット71(
図4参照)に電気的に接続している。
パワー用バスバー103a,103bの一部分は、第二バスバー用開口54bおよび第三バスバー用開口54cから露出している。また、パワー用バスバー103a,103bの一部分は、バスバーユニット本体53の第二主面52側から立設されており、モータ制御ユニット71(
図4参照)に電気的に接続している。
【0039】
三相バスバー104a〜104cは、それぞれモータ駆動ユニット66とバスバーリングユニット28の給電端子29a〜29c(いずれも
図3参照)とを電気的に接続している。
図3に示すように、三相バスバー104a〜104c(
図5参照)の一端部は、それぞれ給電端子29a〜29cに対して接続される駆動端子104(104A〜104C)となっている。駆動端子104A〜104Cは、それぞれ第一バスバー用開口54a(
図5参照)から給電端子29a〜29cの延出方向(以下、単に「延出方向」という。)に沿うように延出されている。駆動端子104A〜104Cのうち、駆動端子104Bは、給電端子29bと電気的に接続可能に、駆動端子104A,104Cに対して、モータ駆動ユニット66側に僅かにオフセットして設けられている。なお、本実施形態における各給電端子29a〜29cの延出方向は、軸方向に一致している。各駆動端子104A〜104Cと各給電端子29a〜29cとは、例えばプロジェクション溶接により電気的および機械的に接続される。各駆動端子104A〜104Cと各給電端子29a〜29cとの接続については後に詳述する。
【0040】
図6は、制御装置50を制御装置配設部40に取り付けたときの斜視図である。なお、
図6において、カバー部材46(
図3参照)の図示を省略している。
図6に示すように、制御装置50を制御装置配設部40に取り付けたとき、各駆動端子104A〜104Cと、各給電端子29a〜29cとは、厚み方向に互いに重なるように配置されて接続されている。このとき、外側(モータ駆動ユニット66とは反対側)に各給電端子29a〜29cが配置され、内側(モータ駆動ユニット66側)に各駆動端子104A〜104Cが配置される。以下の説明において、各駆動端子104A〜104Cと、各給電端子29a〜29cとの重なり方向における各給電端子29a〜29c側を「前方」といい、各駆動端子104A〜104C側を「後方」という。また、重なり方向および延出方向に直交する方向を「幅方向」という。
【0041】
図7は、幅方向(側方)から見たときの各端子(給電端子29bおよび駆動端子104Bのみ図示)の説明図であり、
図8は、重なり方向の前方から見たときの各端子(各給電端子29a〜29cおよび各駆動端子104A〜104C)の説明図である。なお、
図7においては、分かり易くするために、各給電端子29a〜29cおよび各駆動端子104A〜104C(いずれも
図6参照)のうち、V相の給電端子29bおよびV相の駆動端子104Bのみを図示し、他の給電端子29a,29cおよび駆動端子104A,104C(いずれも
図6参照)については図示を省略している。また、各給電端子29a〜29cおよび各駆動端子104A〜104Cの相対位置関係は同様であるため、以下ではV相の給電端子29bおよびV相の駆動端子104Bについてのみ説明をし、他の給電端子29a,29cおよび駆動端子104A,104Cの説明は省略する。
【0042】
図7に示すように、駆動端子104Bの先端部は、給電端子29bの先端部よりも突出している。これにより、
図8に示すように、重なり方向から給電端子29bおよび駆動端子104Bを見たとき、給電端子29bの先端側において駆動端子104Bが露出する。すなわち、重なり方向から給電端子29bおよび駆動端子104Bを見たとき、給電端子29bの先端側において給電端子29bの後方に、駆動端子104Bが臨めるように構成される。
また、
図7に示すように、給電端子29bの後方には、所定のクリアランスCL1を介して、モータ駆動ユニット66が設けられている。
【0043】
駆動端子104Bにおける給電端子29b側の面には、給電端子29bに向かって突出する凸部108が形成されている。凸部108は、駆動端子104Bと給電端子29bとをプロジェクション溶接するために設けられている。
図5に示すように、三相バスバー104a〜104cの他端部は、パワー用バスバー103a,103bの端部と平行に配置されて第二バスバー用開口54bから露出する。
【0044】
図4に示すように、アース端子105は、電源回路のグランドを確保するための端子であり、モータケース11のフランジ部42(
図3参照)に対応した位置において、バスバーユニット本体53の第二主面52から、アース端子用開口54dを通じて外側に露出している。アース端子105は、環状の固定部105aと、負極側のパワー用ターミナルバスバー102bから固定部105aに向かって延びる延長部105bとを備えており、例えば銅等の金属材料により負極側のパワー用ターミナルバスバー102bと一体形成されている。アース端子105の固定部105aは、不図示のアースボルトによりモータケース11のフランジ部42(
図2参照)に締結固定される。銅により形成されたアース端子105を直接フランジ部42に締結固定しているので、少ない抵抗値で電源回路のグランドを確保できる。
【0045】
図5に示すように、ベース部54の第一主面51のうち、制御装置配設部40の配設用開口41(
図3参照)に対応した領域には、モータ駆動ユニット66が例えばタッピングビス66aにより取り付けられている。モータ駆動ユニット66は、平面視で略矩形状に形成されており、内部に例えば、FET(Field effect Transistor:電界効果トランジスタ)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等のスイッチング素子が内蔵されている。
【0046】
また、ベース部54の第一主面51における、モータ駆動ユニット66の外周側の四隅には、後述する多層基板72(
図4参照)を固定するための複数のねじ73(
図4参照)を受けるための複数の突部56a〜56dがベース部54と一体的に設けられている。突部56a,56bは、第二バスバー用開口54bを挟んだ位置に設けられ、突部56c,56dは、第三バスバー用開口54cを挟んだ位置に設けられている。
【0047】
モータ駆動ユニット66における第一バスバー用開口54a側の一側面には、端子列67が設けられている。端子列67を構成する一部の端子は、略L字形状に形成されて、複数の貫通孔54eを介して、ベース部54の第一主面51側から第二主面52側に向かって貫通しており、端部67A(
図4参照)が第二主面52から突出している。また、端子列67を構成する端子のうち、3本の三相端子67a,67b,67cは、それぞれ略クランク形状に形成されて、第二バスバー用開口54bから露出する三相バスバー104a〜104cの他端部に電気的に接続される。また、端子列67を構成する端子のうち、2本のパワー端子67d,67eは、それぞれ略クランク形状に形成されて第二バスバー用開口54bから露出するパワー用バスバー103a,103bの端部に接続される。
モータ駆動ユニット66は、パワー端子67d,67eから入力された直流電源を、三相交流に変換して三相端子67a,67b,67cから出力している。
モータ駆動ユニット66の外側の主面には、例えばシリコーンゴムにより形成された放熱シート68が貼付されている。
【0048】
図4に示すように、ベース部54の第二主面52のうち、制御装置配設部40の配設用開口41(
図3参照)に対応した領域には、一段凹んだ凹部52aが形成されている。凹部52aに対応した位置には、モータ制御ユニット71が配置される。モータ制御ユニット71は、例えばガラスエポキシに配線がプリントされた略矩形板状の多層基板72に、不図示の電子素子が実装されて形成されている。モータ制御ユニット71の多層基板72には、第二主面52から立設された信号系ターミナルバスバー101a〜101dの他端部、パワー用バスバー103a,103b(
図5参照)の一部分(総称して「バスバー100の突出端子100a」という。)、およびモータ駆動ユニット66の端子列67の端部67Aが挿通されるスルーホール72bが複数形成されている。多層基板72は、複数のねじ73にてベース本体165の第二主面52(突部56a〜56d、)に螺合固定される。
【0049】
図2に示すように、ベース部54の第二主面52におけるハウジング10のフランジ部42に対応した部位には、コネクタ部58が第二主面52からハウジング10の底部13側に向かって、軸方向に沿って立設されている。
図4に示すように、コネクタ部58は、略矩形状の開口を有しており、内側に信号系ターミナルバスバー101a〜101dの一端部、およびパワー用ターミナルバスバー102a,102b(
図5参照)の一端部が配置されている。
図3に示すように、コネクタ部58は、制御装置50を制御装置配設部40に取り付けたときに、フランジ部42の貫通孔43を通じてハウジング10の外部に導出される。
【0050】
図4に示すように、ベース部54の第二主面52側には、コネクタ部58の基端部の周辺にシール面55が形成されている。シール面55は、中心軸O(
図2参照)と直交する平坦面に形成されている。そして、
図3に示すように、ベース部54のシール面55と、ハウジング10のフランジ部42との間には、コネクタ部58周りに環状に配されたシール部材56が挟持されている。シール部材56は、環状のOリングである。シール部材56は、フランジ部42の貫通孔43を囲むように形成されたリング溝44内に嵌め込まれるとともに、ベース部54のシール面55によりわずかに潰される。これにより、シール部材56は、コネクタ部58周りのシール性を確保し、コネクタ部58とフランジ部42の貫通孔43との間隙から浸入した水がシール部材56よりも外側に移動するのを防止している。
【0051】
図5に示すように、制御装置50は、ベース部54の四隅に、金属材料からなるパイプ状のカラー部材57a〜57dがインサート成形されている。各カラー部材57a〜57dは、円筒状のカラー本体57eとカラー本体57eの軸方向一端部に設けられたフランジ部57fを備え、フランジ部57fがベース部54の第二主面52側となるように設けられている。そして、
図3に示すように、制御装置50は、各カラー部材57a〜57dにボルト111をそれぞれ挿通して制御装置配設部40に締結することにより、モータケース11における軸方向の開口部12側の端部に一体的に連結される。ここで、各カラー部材57a〜57dのフランジ部57f(
図4参照)によって、各カラー部材57a〜57dと制御装置配設部40との接触面積(座面面積)が増大し、両者の締結力が向上するようになっている。
また、カラー部材57a〜57dのうち、モータ駆動ユニット66側に設けられたカラー部材57c、57dの間には、カラー部材57c、57dの配設される面から段差をもって低く形成された段差面51aが形成されている。
【0052】
図5に示すように、ベース部54を挟んでコネクタ部58とは反対側の第一主面51上はデッドスペースとなっており、この部位には、制御装置50を構成する複数の雑防素子80が設けられている。各雑防素子80は、例えば、Xコンデンサ87、平滑コンデンサ88,88およびチョークコイル81により構成されている。Xコンデンサ87、平滑コンデンサ88,88およびチョークコイル81は、それぞれ第一主面51上において略バスタブ状に形成された雑防素子収納部60a〜60d内に収納される。
【0053】
Xコンデンサ87は、主にラジオノイズを抑制するために設けられている。Xコンデンサ87は、例えば略円筒状の電界コンデンサであり、パワー用ターミナルバスバー102a,102b間に設けられている。Xコンデンサ87は、その中心軸線がベース部54の長手方向に沿うように配置されている。Xコンデンサ87におけるモータ駆動ユニット66側の端面からは、一対のリード部87a,87bが略平行に延びている。一対のリード部87a,87bは、側面視で略クランク形状に形成されている。一対のリード部87a,87bの先端は、第三バスバー用開口54c内に配置されて、例えばプロジェクション溶接等によりパワー用ターミナルバスバー102a,102bに接続される。
【0054】
平滑コンデンサ88は、ブラシレスモータ20(
図2参照)の駆動に伴い生じる電圧の変化を抑制するために設けられている。平滑コンデンサ88は、Xコンデンサ87と同様に、例えば円筒状の電界コンデンサであり、パワー用バスバー103a,103b間に一対設けられている。平滑コンデンサ88は、Xコンデンサ87と同様に、その中心軸線がベース部54の長手方向に沿うように配置されている。平滑コンデンサ88におけるモータ駆動ユニット66側の端面からは、一対のリード部88a,88bが略平行に延びている。一対のリード部88a,88bは、側面視で略クランク形状に形成されている。一対のリード部88a,88bの先端は、第三バスバー用開口54c内に配置されて、例えばプロジェクション溶接等によりパワー用バスバー103a,103bに接続される。
【0055】
チョークコイル81は、主にラジオノイズを抑制するために設けられている。チョークコイル81は、例えばフェライト等の磁性材料からなる円柱状のコア82に、導線83を巻きつけたものであり、パワー用ターミナルバスバー102aとパワー用バスバー103aとの間に設けられている。なお、コア82は、モータ駆動ユニット66側が導線83の巻始め側となっており、モータ駆動ユニット66とは反対側が導線83の巻終わり側となっている。
【0056】
チョークコイル81の導線83は、一端部83aおよび他端部83bがそれぞれコア82の中心軸線に沿うように、モータ駆動ユニット66側に向かって略平行に延びている。導線83の一端部83aおよび他端部83bは、側面視で略クランク形状に形成されており、第三バスバー用開口54c内に配置されて、例えばプロジェクション溶接等によりパワー用ターミナルバスバー102aおよびパワー用バスバー103aに接続される。
【0057】
図3に示すように、カバー部材46は、制御装置配設部40に対して例えばボルト112により締結固定されており、制御装置配設部40および制御装置50を軸方向の外側から覆蓋している。
カバー部材46は、例えば鉄(炭素鋼)やアルミニウム、銅等の金属材料により形成されている。特に、カバー部材46は、熱伝導率が高く、軽量かつ廉価なアルミニウムにより形成されるのが望ましい。カバー部材46は、制御装置配設部40に対応して中心軸O周りに矩形枠状に配置された周壁47と、軸方向に面する底壁48とにより、略バスタブ状に形成されている。カバー部材46の周壁47と制御装置配設部40との間には、周方向の全周にわたってOリング99が配置されている。Oリング99は、カバー部材46の周壁47の先端面に形成されたリング溝47a(
図2参照)に嵌め込まれるとともに、ボルト112によりカバー部材46を締結する際にわずかに潰されることでシール性を発揮する。これにより、制御装置配設部40とカバー部材46との間のシール性が確保される。
【0058】
カバー部材46の底壁48には、ハウジング10の内外を連通する呼吸孔45が設けられている。呼吸孔45は、ハウジング10の内部が、例えば温度上昇に伴う空気の膨張によってハウジング10の外部よりも高圧力となった場合に、圧力をハウジング10の外部に開放するためのものである。また、この呼吸孔45は、呼吸機能を妨げる障害物を避けるよう制御装置50の第一主面51の段差面51aと対向する位置に設けられ、これにより制御装置50内部への気体の流通が円滑となるようになっている。
カバー部材46の底壁48の外側面には、複数の冷却フィン49が一体形成されている。冷却フィン49は、制御装置50で発生した熱を放熱している。
ここで、
図2に示すように、制御装置50の第一主面51側に取り付けられたモータ駆動ユニット66は、カバー部材46の底壁48の内側面48aに、放熱シート68を介して接触するようになっている。これにより、モータ駆動ユニット66は、放熱シート68を介してカバー部材46に熱を伝達させて、効率よくカバー部材46の冷却フィン49から放熱できる。
また、カバー部材46は、ハウジング10の制御装置配設部40に締結固定されるため、制御装置50で発生した熱は、カバー部材46の冷却フィン49を介して放熱されるとともに、カバー部材46に比べて体積が大きく、熱伝導率の高いアルミニウム製のハウジング10側にも熱引きされて拡散されるため、制御装置50の冷却性能をさらに高めることができる。
【0059】
(給電端子と駆動端子との溶接方法)
以下に、
図9および
図10を用いて、各給電端子29a〜29cと各駆動端子104A〜104Cとの溶接方法について説明をする。
図9は、幅方向(側方)から見たときの溶接時の説明図であり、
図10は、重なり方向から見たときの溶接時の説明図である。なお、
図9においては、分かり易くするために、各給電端子29a〜29cおよび各駆動端子104A〜104Cのうち、V相の給電端子29bおよびV相の駆動端子104Bのみを図示し、他の給電端子29a,29cおよび駆動端子104A,104Cについては図示を省略している。また、各給電端子29a〜29cと、これに対応する各駆動端子104A〜104Cとの溶接方法は同様であるため、以下ではV相の給電端子29bとV相の駆動端子104Bとの溶接方法についてのみ説明をし、他の給電端子29a,29cと駆動端子104A,104Cとの溶接方法については説明を省略する。
【0060】
図9に示すように、給電端子29bと駆動端子104Bとは、プロジェクション溶接により溶接される。給電端子29bと駆動端子104Bとのプロジェクション溶接は、主電極棒120aおよび副電極棒120bからなる一対の電極棒120と、規制治具122とを用いて行われる。
【0061】
一対の電極棒120は、例えば銅とタングステンとの合金材料からなる丸棒状の汎用の電極棒である。主電極棒120aは、不図示の電源の正極側に接続されている。主電極棒120aの先端は、重なり方向の前方(
図9における左方)から、給電端子29bの主面であって、駆動端子104Bの凸部108に対応した位置に当接される。副電極棒120bは、不図示の電源の負極側に接続されている。副電極棒120bの先端は、重なり方向の前方(
図9における左方)から、給電端子29bの先端側において露出する駆動端子104Bの主面に当接される。
【0062】
規制治具122は、直方体状の部材であり、例えばステンレス等の金属材料や樹脂材料等により形成されている。規制治具122は、重なり方向に沿う寸法が、給電端子29bとモータ駆動ユニット66の端子列67とのクリアランスCL1未満となっている。これにより、規制治具122の前記重なり方向における前面122aを駆動端子104Bに当接させた状態で、駆動端子104Bとモータ駆動ユニット66との間に規制治具122を配置できる。また、
図10に示すように、規制治具122は、前記幅方向に沿う寸法が、第一バスバー用開口54a(
図5参照)側に位置する一対の突部56a,56b間の幅寸法CL2未満となっている。
なお、詳細は図示しないが、規制治具122の前面122aの形状は、駆動端子104A〜104Cと当接可能なように、軸方向から見て、前述した駆動端子104Bのオフセット分だけ中央部が凹状となった段差状に形成されており、規制治具122の前面122aが駆動端子104A〜104Cと同時に接触するようになっている。また、規制治具122の前面122aの幅方向両端部には、溶接時のスパッタがモータ駆動ユニット66等に飛散するのを防止するための保護壁が一体に設けられている。
【0063】
給電端子29bと駆動端子104Bとの溶接は、以下のようにして行われる。
図9に示すように、まず、駆動端子104Bとモータ駆動ユニット66との間に規制治具122を配置し、規制治具122の前面122aを駆動端子104Bに当接させた状態で、不図示の固定治具により規制治具122を固定する。規制治具122により、給電端子29bおよび駆動端子104Bは、前記重なり方向における後方への移動が規制される。
【0064】
次いで、主電極棒120aの先端を、重なり方向の前方から、給電端子29bの主面であって、駆動端子104Bの凸部108に対応した位置に当接させる。また、副電極棒120bの先端を、重なり方向の前方(
図9における左方)から、給電端子29bの先端側において露出する駆動端子104Bの主面に当接させる。このとき、ベース部54における第一主面51のカラー部材57c、57dの間に形成された段差面51aは、主電極棒120aの進退移動を妨げないための逃げ部としても機能するようになっており、これにより、ベース部54に接触することなく主電極棒120aを給電端子29bの主面に当接させることができる。
次いで、主電極棒120aを前方から後方(
図9における左方から右方)に向かって加圧して、給電端子29bを駆動端子104Bに向かって所定の荷重で押圧しつつ、主電極棒120aと副電極棒120bとの間に所定電圧を印加する。これにより、給電端子29bと駆動端子104Bとに大電流が通電され、互いに溶接される。以上で、給電端子29bと駆動端子104Bとのプロジェクション溶接が終了する。
なお、詳細は図示しないが、主電極棒120aと副電極棒120bとは溶接箇所の数(本実施形態では3組)設けられており、給電端子29a,29cと駆動端子104A,104Cとの溶接作業についても同様に行われる。
【0065】
(実施形態の効果)
本実施形態によれば、給電端子29と駆動端子104との重なり方向から給電端子29および駆動端子104を見たとき、給電端子29の後方に、駆動端子104が臨めるように構成されているので、前記重なり方向から見たとき、給電端子29の後方から駆動端子104の一部分が露出する。これにより、給電端子29と駆動端子104とをプロジェクション溶接する際に、主電極棒120aを前記重なり方向の前方から給電端子29に当接させ、副電極棒120bを主電極棒120aと同様に前記重なり方向の前方から駆動端子104の露出部分に当接させることができる。そして、主電極棒120aを前記重なり方向の前方から後方に向かって加圧しつつ両電極棒120a,120b間に電圧を印加することにより、給電端子29が駆動端子104に押圧されつつ給電端子29と駆動端子104とを介して両電極棒120a,120b間に通電されるので、給電端子29と駆動端子104とをプロジェクション溶接できる。このように、同一の方向から各電極棒120a,120bをそれぞれ給電端子29と駆動端子104とに当接させてプロジェクション溶接できるので、給電端子29と駆動端子104とをプロジェクション溶接する際の作業性を向上できる。また、特殊形状の電極棒を用いることなく、汎用の電極棒を用いて溶接できるので、製造コストの上昇を防止できる。
【0066】
また、駆動端子104の後方と制御装置50の構成部品であるモータ駆動ユニット66との間にクリアランスCL1を設けているので、駆動端子104の後方に給電端子29および駆動端子104の移動を規制する規制治具122を配置できる。しかも、駆動端子104の後方とモータ駆動ユニット66とのクリアランスCL1に対応して規制治具122の厚みを確保できるので、規制治具122の強度を確保できる。したがって、給電端子29と駆動端子104とをプロジェクション溶接する際に十分な加圧力を確保できるので、給電端子29と駆動端子104とを強固にプロジェクション溶接できる。
【0067】
また、給電端子29と駆動端子104とをプロジェクション溶接する際に、主電極棒120aを前記重なり方向の前方から給電端子29に当接させ、副電極棒120bを前記重なり方向の前方から前記先端側における駆動端子104の露出部分に当接させることができる。
【0068】
また、プロジェクション溶接する際の作業性を向上できる電動モータ70を備えているので、低コストな電動ポンプ1を形成できる。
【0069】
(実施形態の変形例)
図11は、重なり方向から見たときの実施形態の変形例に係る各端子(各給電端子29a〜29cおよび各駆動端子104A〜104C)の説明図である。なお、
図11においては、一対の電極棒120(主電極棒120aおよび副電極棒120b)と規制治具123とを用いて、V相の給電端子29bとV相の駆動端子104Bとを溶接する場合を図示している。
次に、実施形態の変形例に係る各端子および溶接方法について説明する。
実施形態では、重なり方向から給電端子29(29a〜29c)および駆動端子104(104A〜104C)を見たとき、給電端子29の先端側において、駆動端子104が臨めるように構成されていた(
図10参照)。
これに対して、実施形態の変形例では、
図11に示すように、重なり方向から給電端子29(29a〜29c)および駆動端子104(104A〜104C)を見たとき、幅方向における給電端子29の外側において、駆動端子104が臨めるように構成されている点で、実施形態とは異なっている。なお、実施形態と同様の構成部分については詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0070】
駆動端子104A〜104Cは、それぞれ先端部が屈曲形成されている。これにより、重なり方向から給電端子29a〜29cおよび駆動端子104A〜104Cを見たとき、各駆動端子104A〜104Cは、それぞれ対応する各給電端子29a〜29cの幅方向における外側(
図11における右側)において露出している。
主電極棒120aの先端は、重なり方向の前方から、給電端子29(
図11においては29b)の主面であって、駆動端子104(
図11においては104B)の凸部108に対応した位置に当接される。副電極棒120bの先端は、重なり方向の前方から、給電端子29bの外側において露出する駆動端子104Bの主面に当接される。このとき、ベース部54における第一主面51のカラー部材57c、57dの間に形成された段差面51aは、主電極棒120aと副電極棒120bの進退移動を妨げないための逃げ部としても機能するようになっており、これにより、ベース部54に接触することなく主電極棒120aと副電極棒120bを給電端子29bの主面と駆動端子104Bに当接させることができる。
【0071】
本変形例における規制治具123は、重なり方向における前面123aを駆動端子104Bに当接させた状態で、駆動端子104Bとモータ駆動ユニット66との間に規制治具123を配置する。また、規制治具123の幅方向に沿う寸法が、第一バスバー用開口54a(
図5参照)側に位置する一対の突部56a,56b間の幅寸法CL2以下であって、駆動端子104Aと駆動端子104Cとの離間距離CL3未満となっている。これにより、駆動端子104Bとモータ駆動ユニット66との間に規制治具123を配置したときに、駆動端子104Aおよび駆動端子104Cと、規制治具123とが干渉するのを防止できる。
また、主電極棒120aと副電極棒120bとは1組だけ設けられており、給電端子29a,29cと駆動端子104A,104Cとの溶接作業が所定の順番で行われるようになっている。
【0072】
(実施形態の変形例の効果)
実施形態の変形例によれば、給電端子29と駆動端子104とをプロジェクション溶接する際に、主電極棒120aを前記重なり方向の前方から給電端子29に当接させ、副電極棒120bを前記重なり方向の前方から前記幅方向の外側における駆動端子104の露出部分に当接させることができる。
また、規制治具123が小さくなって形状も簡素化でき、電極棒120の数も減らすことができる。
【0073】
なお、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0074】
実施形態および変形例では、給電端子29と駆動端子104とをプロジェクション溶接により溶接していたが、溶接方法はプロジェクション溶接に限定されない。例えば、スポット溶接やシーム溶接等、電極棒を端子に加圧して行う溶接方法であれば本発明を適用できる。また、前記重なり方向から給電端子29および駆動端子104を見たとき、給電端子29の後方に、駆動端子104が臨めるように構成されていたが、駆動端子104の後方に、給電端子29が臨めるように構成されていてもよい。
【0075】
また、実施形態および変形例では、駆動端子104A〜104Cのうち、駆動端子104Bが給電端子29bと電気的に接続可能に駆動端子104A,104Cに対してモータ駆動ユニット66側に僅かにオフセットして設けるようにしているが、駆動端子104Bをオフセットさせずに横並びに設けるようにしてもよい。
【0076】
ハウジング10や、ブラシレスモータ20、制御装置50、雑防素子80、ポンプ部90、バスバー100等の材質や形状等は、実施形態に限定されない。例えば、バスバー100をアルミニウムにより形成してもよい。また、ハウジング10を鉄(炭素鋼)等の金属材料によって形成してもよい。
【0077】
実施形態のポンプ部90は、いわゆるトロコイドポンプであったが、ポンプの方式は実施形態に限定されない。例えば、インペラを有する非容積型の再生式ポンプであってもよい。
【0078】
実施形態では、コネクタ部58は、軸方向に沿って立設されてハウジング10の底部13側に導出されていたが、ハウジング10の底部13とは反対側に導出されていてもよい。
【0079】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
例えば、モータケース11の底部13の内部に、吸入ポート16および排出ポート17を形成した場合について説明した。しかしながら、吸入ポート16および排出ポート17は、モータケース11側に設けることなく、ポンプ部90側に設けるようにしてもよい。具体的には、ポンプケース91を覆うポンプカバー94に、吸入ポート16および排出ポート17を形成してもよい。