(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、監視カメラやDVD(Digital Versatile Disc)カメラなどの多くの撮像装置には、フォーカスを自動調整するオートフォーカス機能が搭載されている。このようなオートフォーカス機能における合焦方式として、撮影映像のコントラスト信号の振幅が最大値になる位置を合焦状態であるとしてフォーカスの調整を行う、コントラスト方式がある。
【0003】
撮像装置においては、フォーカスレンズをその光軸方向に移動させることによって、撮影映像が非合焦状態又は合焦状態となるが、これに伴ってコントラスト信号の振幅も変化する。よって、基本的なコントラスト方式では、フォーカスレンズをその光軸方向に移動させ、移動前後のコントラスト信号の振幅の大小に基づいて合焦する方向を検出し、その方向にフォーカスレンズを移動させて合焦を行う。
【0004】
ところで、オートフォーカス制御はレンズユニット内のフォーカスレンズを光軸方向に動かすため、不要なオートフォーカス制御を行うことはレンズユニットの過度な消耗につながり、撮像装置の耐久性能を低下させることとなる。
【0005】
例えば、合焦状態であるにも関わらず、カメラ装置の前に被写体が割り込み、瞬時に画面内から消える状況などがある。この様なときでも、被写体変化があったと判定し、オートフォーカス制御を再起動してしまうと、不要なオートフォーカス制御が行われることとなり、撮像装置の耐久性能を低下させることとなる。また、不要な合焦制御を頻繁に行うために、本来の合焦位置からレンズがずれた位置で止まるリスクが増える。さらに、瞬時に画面内に割り込む被写体に応じて、連続でフォーカス制御を行った場合、合焦位置とピントがずれた位置との間をフォーカスレンズが行き来することとなるため、映像が乱れた状態が続く。よって、不要なオートフォーカス再起動による撮像装置の耐久性劣化を防ぎ、鮮明な映像が得られるようにする必要がある。
【0006】
本技術分野の背景技術として、特開2006−208818号公報(特許文献1)がある。この公報には、「コントラスト方式によりオートフォーカス制御を行うビデオカメラにおいて、合焦/非合焦状態を検出するための評価値が、合焦状態から、オートフォーカス再起動の目安となる閾値以上変化したことを検出した場合には、先ず、待機時間Twが経過するのを待機する。そして、この待機時間Twを経過した時点において、先に検出した評価値が閾値未満に復帰することなく継続的に維持されていたのであれば、オートフォーカス制御を再起動させる。これにより、ビデオカメラ装置について、評価値が瞬時的に閾値以上変化した場合であっても応答しないように動作させることが可能になる。」と記載されている(要約参照)。下記の特許文献1はこのような非合焦の状態であると判定し、オートフォーカス制御を起動する技術について開示されたものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施例を図面を用いて説明する。
(1)本実施の形態による撮像装置の構成
図1は、本実施形態による撮像装置1の全体構成を示すブロック図である。
【0014】
撮像装置1において、レンズユニット2は、被写体からの光束の変倍を行なうバリエータレンズ群3、受光光量を調整するための絞り4及びピント調節機能を備えるフォーカスレンズ群5とを備えている。
【0015】
またレンズユニット2には、例えばフォトインタラプタなどから構成されるレンズ原点検出器6及び温度検出器7が設けられている。レンズ原点検出器6は、バリエータレンズ群3及びフォーカスレンズ群5の絶対位置を検出し、検出結果をレンズ絶対位置情報として制御部18もしくは、撮像装置1と通信を行える外部システムに送信する。また温度検出器7は、レンズユニット2内の温度を検出し、検出結果をレンズユニット内温度情報として、撮像装置1に搭載されている制御部18もしくは、撮像装置1と通信を行える外部システムに送信する。レンズユニット2は、更に、バリエータレンズ群3、絞り4及びフォーカスレンズ群5をそれぞれ駆動させるモータ25〜27を有している。モータ25〜27は、それぞれモータドライバ22〜24からのモータ制御信号に基づいて駆動することができる。
【0016】
次に、撮像素子8は、被写体の光学像をCCDなどから構成される撮像素子8の受光面に結像する。受光面に結像された被写体の光学像は光電変換され、得られた撮像信号をノイズ除去回路9に出力する。ノイズ除去回路9では、所定のノイズ除去処理が施され、その後、自動利得制御回路(AGC:Auto Gain Controller)10に出力される。そして、映像信号は最適なレベルに増幅され、アナログ/ディジタル変換回路(A/D)11に出力されてディジタル変換された後、ディジタル撮像信号としてカメラ信号処理部12に出力される。
【0017】
カメラ信号処理部12は、信号変換回路13、AE(Auto Exposure)信号生成回路14、コントラスト信号生成部15を有している。信号変換回路13は、アナログ/ディジタル変換回路(A/D)11から入力されるディジタル撮像信号に対し、所定の信号処理を施すことにより、ディジタル撮像信号を例えばNTSC(National Television Standards Committee)規格やPAL(Phase Alternating Line)規格等の所定のテレビジョン方式に準拠した標準的なテレビジョン信号に変換して外部に出力する。また、AE信号生成回路14では、入力されたテレビジョン信号に基づき、現在の撮影映像の明るさ、レンズユニット2の絞り4の開き具合及び自動利得制御のゲインなどに応じた信号レベルのオートアイリス信号AEを生成し、これを制御部18に送出する。
【0018】
さらに、カメラ信号処理部12には、HPF(ハイパスフィルタ回路)16及び積分器17からなるコントラスト信号生成部15が設けられている。HPF回路16は、カットオフ周波数の値を自在に変更でき、任意のカットオフ周波数より小さいコントラスト信号VFを生成し、積分器17に出力する。積分器17は、入力されたコントラスト信号VFを積分し、制御部18に出力する。なお、HPF回路16及び積分器17からなるコントラスト信号生成部15は、任意のテレビジョン信号の領域から値を取得することができる。
【0019】
図2は、本実施形態における検波領域を示す図である。
【0020】
コントラスト信号生成部15は、
図2に示すように出力画面29の略中央領域を検波領域30としてもよいし、図示していないが出力画面29に対して複数分割した各領域を検波領域30としてもよい。
【0021】
図1に戻り、カメラ信号処理部12は、かかる信号変換処理回路13により生成されたテレビジョン信号のうちの
図2に示す様な検波領域の輝度信号の高周波成分を、ハイパスフィルタ回路16を介して各々抽出し、これを積分器17において積分処理することにより、コントラスト信号VFを生成し、制御部18に送出する。
【0022】
制御部18は、不図示のCPU(Central Processing Unit)及び内部メモリ19等の情報処理資源を備えて構成される。内部メモリ19には、オートアイリスデータ処理部(AEP)20及びオートフォーカスデータ処理部(AFP)21が備えられている。制御部18は、オートアイリス信号AEによって現在の撮影映像の明るさを求めるとともに、絞り4の開き具合及び自動利得制御のゲインなどに対する評価値であるオートアイリス評価値を算出する。また、コントラスト信号VFの値であるオートフォーカス評価値を取得する。
【0023】
また制御部18は、オートアイリス評価値、レンズ原点検出器6からのレンズ絶対位置情報に基づき得られる現在のズーム倍率を表すズーム倍率情報、温度検出器7から与えられるレンズユニット内温度情報、及び内部メモリ19に格納されているトレースカーブデータと、に基づいて第1及び第2のモータ制御信号を生成し、これらをそれぞれモータドライバ回路22、23に出力する。モータドライバ回路22は、入力された第1のモータ制御信号に基づいて、レンズユニット2のバリエータレンズ群3を光軸方向に移動させるモータ25を駆動制御する。モータドライバ回路23は、入力された第2のモータ制御信号に基づいて、レンズユニット2の絞りを駆動する第2のモータ26を駆動制御する。これによりオートアイリス制御が行なわれる。
【0024】
さらに、制御部18は、オートアイリス評価値に基づいて、電子シャッタ28のシャッタ速度を制御することにより、当該撮像素子8の受光面上に結像される被写体の光学像の光量調整を行う。また、オートアイリス評価値に基づいて、自動利得制御回路10におけるゲイン調整を行なう。
【0025】
さらに、制御部18は、オートフォーカス評価値に基づいて合焦方向及び合焦位置を検出すると共に、第3のモータ制御信号を生成し、これをモータドライバ回路24に送出する。モータドライバ回路24は、第3のモータ制御信号に基づいてレンズユニット2のフォーカスレンズ群5を光軸方向に移動させるモータ27を駆動制御する。これによりオートフォーカス制御が行なわれ、被写体を撮影する際に合焦させ得る。
【0026】
(2)本実施の形態による撮像方法
図3は、一般的な被写体変化が起きた際の、時間経過に応じた差分コントラスト信号値VFdの変化例を示している。
【0027】
図3において、差分コントラスト信号値VFdとは、コントラスト信号をフレームごとに取得し、オートフォーカス制御の動作が停止した時点でのコントラスト信号の値であるコントラスト信号VFpと、現在のコントラスト信号VFnとの差分の絶対値(|VFn − VFp|)である。
【0028】
時点t0は、オートフォーカス制御によって一度合焦状態が得られ、オートフォーカス制御の動作が停止された時点である。このオートフォーカス制御の動作が停止した時点でのコントラスト信号の値を、オートフォーカス評価値VFpとして内部メモリ19に格納する。
【0029】
オートフォーカス制御中において、オートフォーカス制御が停止した時点t0の後に、被写体等が撮像領域に入り込んできた場合には、現在のコントラスト信号VFnが変化する。
図3の時点t0〜t1においては、例えば合焦後に新たな被写体等が入り込むことにより差分コントラスト信号値VFdが増加したことを示している。
【0030】
本実施例のオートフォーカス制御について、以下説明する。
【0031】
まず、本実施例においては、現在のコントラスト信号VFnがオートフォーカス評価値VFpに対し一定以上の変化を示したかを判定する。すなわち、オートフォーカス評価値VFpと現在のコントラスト信号VFnの差分絶対値である差分コントラスト信号値VFdが、予め内部メモリ19に設定された第1の閾値th1以上(|VFn − VFp|≧th1)になるか否かを判定する。
図3においては、時点t1以降において、差分コントラスト信号値VFdが第1の閾値th1以上に変化したことを示す。
【0032】
ここで、従来におけるオートフォーカス制御では、時点t1から一定の任意の待機時間を経過するまでの時点において、一定以上のコントラスト信号VF(または差分コントラスト信号値VFd)を維持した場合においてのみ、一定の待機時間経過後にオートフォーカス制御を再起動させる構成を有する。つまり、判定にあたっては、予め定められた一定の待機時間が経過する必要があるので、時間を要することが考えられる。
【0033】
一方、本実施形態においては、第2の閾値th2を採用することを特徴とし、時点t1において初期値である第2の閾値の初期値th2bを有する。なお、第2の閾値の初期値th2bは、時点t1の前後の任意の時間で生成してもよい。そして、第2の閾値の初期値th2bは第1の閾値th1より大きく、時間経過とともに第2の閾値の初期値th2bから減少するものである。ただし、第2の閾値の減算は、第2閾値の最小値th2_min以下にはならないよう減算される。時点t1の後は、現在のコントラスト信号VFnは増加傾向にて変化し、時点t2において差分コントラスト信号値VFd(|VFn − VFp|)が、第2の閾値th2以上となった(|VFn − VFp|≧th2)ことを示す。この時、オートフォーカス制御を再起動させるとともに、第2の閾値th2を第2の閾値の初期値th2bへと戻す。なお、差分コントラスト信号値VFdが第1の閾値th1を下回った場合、第2の閾値th2を第2の閾値の初期値th2bへと戻してもよい。第2の閾値の初期化する時点は、第2の閾値th2の減算処理がなされ、第2閾値の最小値th2_minに到達した場合、第2の閾値を第2の閾値の初期値th2bへと戻すとしてもよく、もしくは、任意の時点でよい。上述のような第2の閾値を採用することによって、本来的に再起動の必要がない、瞬間的な被写体の出力画面への入り込みがあった場合には再起動を行わず、本来的に再起動が必要な場合は、従来よりも短時間で再起動を行うことが可能となる。後述する
図4、
図5はその効果をより強調して、示した差分コントラスト信号値VFdの変化例を示す図である。
【0034】
図4は、オートフォーカス動作が停止した後、被写体が検波枠の中に入り、その後瞬時に検波枠の外部へと出て行った場合における、時間経過に応じた差分コントラスト信号値VFdの変化例を示す図である。
【0035】
図4では、まず、現在のコントラスト信号VFnがオートフォーカス評価値VFpに対し一定以上の変化を示したかを判定する。すなわち、オートフォーカス評価値VFpと現在のコントラスト信号VFnの差分絶対値である差分コントラスト信号値VFdが、予め内部メモリ19に設定された第1の閾値th1以上(|VFn − VFp|≧th1)になるか否かを判定する。
図4においては、時点t1以降において、差分コントラスト信号値VFdが第1の閾値th1以上に変化したことを示す。時点t1の後は、現在のコントラスト信号VFnは増加傾向にて変化するが、差分コントラスト信号値VFd(|VFn − VFp|)が、第2の閾値th2以上はならず、第1の閾値th1以下となる。よって、オートフォーカス制御を再起動は行わず、時点t2において第2の閾値th2を第2の閾値の初期値th2bへと戻す。第2の閾値の初期化する時点は、前記のように差分コントラスト信号値VFdが第1の閾値th1を下回った場合と定めているが、第2の閾値th2の減算処理がなされ、第2閾値の最小値th2_minに到達した場合、第2の閾値を第2の閾値の初期値th2bへと戻すとしてもよく、もしくは、任意の時点でよい。
【0036】
上記
図4の例では、本実施形態の手法を用いると、差分コントラスト信号値VFdは第1の閾値th1以上となるが、本実施例においては時間経過とともに減少するような第2の閾値を採用するため、本来的に再起動の必要がない、瞬間的な被写体の出力画面への入り込みがあった場合における瞬間的なコントラスト信号の値の上昇に基づいた不要な再起動を行うことを防ぐことができる。一方、第2の閾値を、例えば一定値とした場合には、瞬間的なコントラスト信号の値の上昇によって、第2の閾値th2に基づいて再起動判定をしてしまい、不要な再起動を抑制する効果は得られない。
【0037】
なお、第2の閾値th2として、時点t1における初期値th2bから時間経過に伴って単調減少する値を取る場合の例を示しているが、単調減少に限らず、時間経過に伴い減少傾向にある値をとればよい。
【0038】
図5は、コントラスト信号に大きな変化を伴う被写体変化が起きた場合において、時間経過に応じた差分コントラスト信号値VFdの変化例を示している。
【0039】
上述の
図3と同様に、時点t1において、第1の閾値th1を超える差分コントラスト信号値VFdとなり、時点t2において第2の閾値th2を超える差分コントラスト信号値VFdとなり、オートフォーカス再起動が行われる。
【0040】
図5においては、
図3と比較してコントラスト信号に大きな変化を伴うために、
図5における時点t2と時点t1の時間の差は、
図3における時点t2と時点t1の差よりも小さくなっていることが分かる。すなわち本実施例においては、オートフォーカス再起動をすべき被写体であって、コントラスト信号の値において比較的大きな変化がある場合においては、より短い時間でオートフォーカス再起動を行うことが可能となる。
【0041】
一方で、差分コントラスト信号値VFdではなく、現在のコントラスト信号VFnの値によって判定を行うことも可能である。
【0042】
この場合、現在のコントラスト信号VFnがオートフォーカス評価値VFpより大きければ、VFpより大きい値とした第1の閾値th1を超えた場合、超えた時点から時間経過とともに減少する第2の閾値th2に基づいて、現在のコントラスト信号VFnが第2の閾値th2を上回った場合にオートフォーカス制御を再起動させる(
図6)。一方、現在のコントラスト信号VFnがオートフォーカス評価値VFpより小さい場合、別の処理を行う必要がある。例えば、オートフォーカス評価値VFpよりも小さい値である第3の閾値th3を設定し、第3の閾値th3を下回る場合、下回った時点から、初期値が第3の閾値th3よりも小さい第4の閾値th4を時間経過とともにに増加する第4の閾値th4に基づいて、現在のコントラスト信号VFnが第4の閾値th4を下回った場合オートフォーカス制御を再起動させることとなる。この時、第4の閾値th4は第4の閾値の最大値th4_maxを上回らないよう増加する(
図7)。
【0043】
ただし、差分コントラスト信号値VFdを判定に用いることにより、現在のコントラスト信号VFnを用いる場合と比較して、処理負荷を軽減させることが期待できる。
【0044】
ここで、第1の閾値および第3の閾値は、コントラスト信号の値との大小を比較する閾値であり、本明細書等ではメイン閾値と称する。また、第2の閾値は、第1の閾値よりも大きい値をとり、時間経過とともに減少するように設定される閾値である。さらに、第4の閾値は、第3の閾値よりも小さな値をとり、時間経過とともに増加するように設定される閾値である。これら第2の閾値及び第4の閾値を、本明細書等ではサブ閾値と称する。
【0045】
図8は、本実施例におけるオートフォーカス再起動処理のフローチャートである。
【0046】
ここでは、差分コントラスト信号値VFdと、メイン閾値である第1の閾値th1およびサブ閾値である第2の閾値th2に基づいて判定を行う例を示す。上述した現在のコントラスト信号VFnにおける判定も、同様の処理のフローチャートを採用する。なお、
図8に示す処理は撮像装置1において制御部18が内部メモリ19に格納したプログラムを実行して得られる処理シーケンスである。
【0047】
まず、コントラスト方式によるオートフォーカス制御が終えた後、コントラスト信号生成部15から得られるコントラスト信号であるオートフォーカス評価値VFpを、内部メモリ19に格納する(SP1)。
【0048】
次に、撮影を継続している間、コントラスト信号生成部15から得られたコントラスト信号である評価値VFnを、制御部18においてフレーム毎に取得する(SP2)。
【0049】
次に、制御部18では、前記のオートフォーカス評価値VFpと評価値VFnとの差である絶対値|VFn − VFp|を差分コントラスト信号値VFdとして算出する(SP3)。
【0050】
さらに、制御部18において、差分コントラスト信号値VFdが第1の閾値th1以上(VFd≧ th1)であるかを判定する(SP4)。
【0051】
第1の閾値th1以上(VFd≧ th1)である場合には(SP4のYes)、第2の閾値th2を第2の閾値の初期値th2bから減少傾向となるように減算処理を行う(SP5)。
【0052】
一方で、差分コントラスト信号値VFdが第1の閾値th1未満(VFd< th1)である場合には(SP4のNo)、第2の閾値の初期値th2bへ第2の閾値を戻す(SP6)。
【0053】
第2の閾値には第2閾値の最小値th2_minが設けられており、絶対値|VFn − VFp|が第1の閾値th1以上である場合、第2の閾値th2を単位時間ごとに減算することとなるが、第2の閾値th2が第2閾値の最小値th2_min以下にはならないように減算を行う。具体的には、第2の閾値th2が第2閾値の最小値th2_minよりも大きいか否かを判定する(SP7)。第2の閾値th2の方が小さい場合には(SP7のYes)、SP8に進む。一方、第2の閾値th2の方が大きい場合には(SP7のNo)SP9に進む。
【0054】
SP8では、第2の閾値th2に第2閾値の最小値th2_minを代入する。このことによって、第2の閾値th2が第2の閾値の最小値th2_min以下となることを防いでいる。
【0055】
次に、差分コントラスト信号値VFdが第2の閾値th2以上(VFd≧ th2)であるか判定する(SP9)。
【0056】
SP7において、差分コントラスト信号値VFdが第2の閾値th2以上である場合には(SP9のYes)、オートフォーカス制御を再起動させる(SP10)。
【0057】
一方、差分コントラスト信号値VFdが第2の閾値th2未満である場合(SP9のNo)、オートフォーカスの再起動は行わず、SP2へ戻る。
【0058】
第一の閾値th1、第2の閾値の初期値th2bの設定値については、撮像装置により任意に設定することが可能であるが、設定値をより大きく設定することで、コントラスト信号がより大きく変化する場合においてもオートフォーカス制御が再起動し難くすることが可能である。つまり、被写体の変化に対するオートフォーカス機能の再起動判定を鈍くすることが可能である。一方、第一の閾値th1もしくは第2の閾値の初期値th2bを逆に小さく設定することでオートフォーカス機能の再起動判定の感度を向上することが可能となる。
【0059】
また、第2の閾値th2の減算方法に関しても撮像装置に応じて任意に設定することができるが、単位時間当たりの減算値をより大きく設定することで、差分コントラスト信号値VFdが第1の閾値th1を超えた後、比較的短時間で第2の閾値th2を超えることができるので、オートフォーカス機能の再起動を素早く行うこととなる。一方で減算値を小さく設定すれば、オートフォーカス機能の再起動が遅くなる。
【0060】
また、第1の閾値th1、第2の閾値th2、第2の閾値の初期値th2b、第2の閾値の最小値th2_minは任意の値で構わない。ただし、例えば、オートフォーカス評価値VFpに対して一定の割合に定めると効果的である。これは、被写体環境によってオートフォーカス評価値VFp、現在のコントラスト信号VFnの傾向が変わるため、割合を閾値として設定することで環境の変化に対応しやすいためである。例えば、明所において適切にオートフォーカス再起動ができるように閾値を絶対値で設定した場合、暗所においてはコントラスト信号の変動が小さいため、絶対値として定めた閾値では適切にオートフォーカス再起動することができない。逆に、暗所において適切にオートフォーカス再起動ができるように閾値を絶対値として設定した場合、明所においてはコントラスト信号の変動が大きいため僅かな被写体変化でオートフォーカス再起動が生じる可能性がある。このように閾値を割合で定めることは前記のような現象を抑え、より適切なオートフォーカス再起動の判定を得ることができる。
【0061】
以上のように、本実施例の構成を有することによって、本来的にオートフォーカス再起動を行う必要のない被写体が検波領域30に出現した場合においては、不必要なオートフォーカス再起動を行うことを防ぐため、必要以上にフォーカスレンズの移動が発生することはない。よって、機械的な劣化、消耗等を抑え、さらに、フォーカスレンズの過度な移動による映像の乱れを防ぐことができる。すなわち、必要以上のフォーカスレンズの駆動による耐久性の劣化と出力映像のピントが合っていない状態とを回避することができる。
【0062】
一方で、本来的にオートフォーカス再起動を行うべき被写体が検波領域30に出現した場合においては、コントラスト信号の変化を上述のメイン閾値およびサブ閾値に基づいて再起動判定を行うことにより、本来的に再起動が必要な場合においては、従来よりも短時間でオートフォーカス制御が再起動することとなる。さらに、被写体に応じて各々の閾値および減算値を変更することにより、前記の効果をさらに向上させることが可能となる。
【0063】
このように、本実施例によれば、撮像装置の信頼性・耐久性の向上を実現することができる。
【0064】
(3)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、本発明を
図1のように構成された撮像装置に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々の構成を有する撮像装置に広く適用することができる。
【0065】
前記の実施形態は合焦停止時にコントラスト信号をオートフォーカス評価値として一時記憶しているが、これは合焦停止時に限らず、判定条件を、ある任意の時点からの被写体、環境の変化を指標とするのであればどの時点でも良い。つまりは、任意の時点からのオートフォーカス評価値の変化をもってオートフォーカス制御を起動したいのであれば、任意の時点のコントラスト信号などのオートフォーカス評価値を取得し、その後は本発明の手順によって、オートフォーカス制御を起動させることで可能となる。例えば、合焦停止中にも拘らず、撮像装置の露光制御において、絞りを開閉することによる露光の変化が極端に行われた後など、コントラスト信号の変化が伴う時に好適である。
【0066】
前記の実施形態はサブ閾値を一定量の減算する処理を行う際、減算するための値を一定にする場合を述べたが、本発明はこれに限らず、例えば時間ごとに減算値を増やすことなどが考えられる。つまりは、メイン閾値を超えた後、サブ閾値を減算することで、被写体の変化に対し瞬間的なコントラスト信号の変化であれば反応せず、被写体が意図的に変化した際などの場合にオートフォーカス制御を再起動させるようにサブ閾値の減算処理を行えばよい。このようにすることで、より短時間で再起動の判定を行うことができる。
【0067】
また、前記の実施形態ではコントラスト信号をオートフォーカス評価値としても用いたが、輝度強度を用いてオートフォーカス再起動の判定を行うことも可能で、その場合、オートフォーカス制御停止後の輝度強度Bpを内部メモリ19に一時保存し、その後、輝度強度Bpと現在の輝度強度Bnの差の絶対値|Bn − Bp |が第1の閾値th1´を超えた場合第2の閾値th2´の減算を行い、ある時点において絶対値|Bn − Bp |が第2の閾値を越えた場合にオートフォーカス制御を起動させるようにしてもよい。
【0068】
ここで、本明細書においては、第1の閾値th1´をメイン閾値、第2の閾値th2´をサブ閾値と称する。