(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記特許文献1に記載された係留装置では、波浪や風などによって浮体に外力が加わった場合、係留索に働く張力もこの外力に比例して増大する。このため、張力の増大を係留索の伸び量のみによって吸収することとなる。しかしながら、係留索の伸び量を上回る張力が生じた場合、係留索に損傷等を生じ、浮体を安定的に係留することができなくなってしまう。さらに、係留装置を設置するに当たって、係留索の伸び量を考慮して張力を調整する必要があり、作業性の低下を招く可能性もある。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、容易に設置できるとともに、浮体を安定的に係留することができる浮体係留装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
本発明の請求項1に係る浮体係留装置は、一端が水底に固定される係留索と、水面上に浮く浮体と前記係留索の他端との間に配され、前記水面に沿う方向に延びる回転軸線回りに回動可能な状態で前記浮体に支持されるとともに、前記浮体から下方に向かうに従って外方へ延びる本体部、及び、前記本体部における前記浮体から離間する側に設けられて前記浮体が浮く水よりも大きな比重を有する重量部を有する支持部材と、
前記支持部材と前記浮体とを接続するとともに、前記水底から前記水面に向かう方向への前記支持部材の回動に対して、該支持部材に付勢力を与える弾性部材と、を備える。
本発明の請求項2に係る浮体係留装置は、一端が水底に固定される係留索と、水面上に浮く浮体と前記係留索の他端との間に配され、前記水面に沿う方向に延びる回転軸線回りに回動可能な状態で前記浮体に支持されるとともに、前記浮体から下方に向かうに従って外方へ延びる本体部、及び、前記本体部における前記浮体から離間する側に設けられて前記浮体が浮く水よりも大きな比重を有する重量部を有する支持部材と、前記支持部材の前記浮体から離間する側に設けられ、前記支持部材の延びる方向と交差する方向に弾性変形可能な板バネと、を備え、前記係留索の前記他端は前記板バネの先端に接続される。
【0009】
このような構成によれば、重量部が設けられていることにより、支持部材における浮体から離間する側は水中に没した状態となる。この状態で、波浪や風、流れによって浮体に変位が生じると、支持部材が回転軸線回りに回動する。同時に、重量部には、水中へ没しようとする力(沈降力)が生じることから、浮体の動揺によって一旦水底から水面に向かう方向に沿って回動した支持部材は、水面から水底に向かう方向に沿って回動する。すなわち、重量部は支持部材に対して一定の復元力を付与する。これにより、浮体の動揺に伴って係留索に生じる張力の急激な増大を緩和吸収することができる。
加えて、水底で固定された係留索の一端側に対して付加される張力をも緩和することができるため、水底地盤への負荷を軽減することができる。
また、本発明の請求項1に係る発明によれば、支持部材が水底から水面へ向かう方向に沿って回動する際に、支持部材には弾性部材による付勢力が付加される。したがって、支持部材が不用意に回動することで浮体が安定性を失う可能性を低減することができ、浮体をさらに安定的に係留することが可能となる。
また、本発明の請求項2に係る発明によれば、係留索に加わる張力が急激に増大した場合であっても、板バネが変形することで、この張力の増大が吸収され、支持部材には直接的には伝わらない。したがって、支持部材が不用意に回動することで浮体が安定性を失う可能性を低減することができ、浮体をさらに安定的に係留することが可能となる。
【0010】
本発明の請求項
3に係る発明において、上記請求項1
又は請求項2に係る浮体係留装置では、前記支持部材は中空部を有し、前記重量部は前記中空部の一部に充填された充填材であってもよい。
【0011】
このような構成によれば、充填材が充填されていない場合には、支持部材の浮体から離間する側は水上に浮上した状態となる。したがって、係留索と支持部材との接続作業を、水上で行うことができる。加えて、中空部に充填材を充填する作業も水上で行うことができる。これにより、作業性を向上させることができる。
【0012】
本発明の請求項
4に係る発明において、上記請求項1
から請求項
3に係る浮体係留装置は、前記浮体上に設けられ、前記支持部材と当接することで、前記水面から前記水底に向かう方向への前記支持部材の回動を規制するストッパーを備えていてもよい。
【0013】
このような構成によれば、ストッパーは、水面から水底に向かう方向への支持部材の回動を規制する。これにより、波浪や風等によって浮体に働く外力が所定の閾値を超過するまでは、支持部材を静止させることができる。すなわち、波浪や風が軽度な状況下では支持部材は回動しないため、係留索による張力の変動のみによって浮体を安定的に係留することが可能となる。
一方で、波浪や風が卓越し、浮体に対して所定の閾値以上の外力が加わる状況下では、支持部材が回動することで、係留索に付加される張力を緩和することができる。
【0018】
本発明の請求項
5に係る発明において、上記請求項1から請求項
4に係る浮体係留装置は、前記浮体の外周に沿って互いに離間して設けられた複数の前記支持部材と、各々の前記支持部材と前記水底との間にそれぞれ配される複数の前記係留索と、を備えていてもよい。
【0019】
このような構成によれば、浮体の外周から離間する方向に沿って複数の支持部材が設けられることにより、浮体の鉛直軸回りの回転(ヨーイング)に対する復元モーメントを大きくすることができる。回転モーメントが増加することによって、浮体は水面上で回転(ヨーイング)を起こしにくくなる。したがって、浮体をさらに安定的に係留することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1
、2の浮体係留装置によれば、浮体の動揺に伴って係留索に生じる張力の急激な増大を支持部材によって緩和吸収することができるため、浮体を安定的に係留することができる。
請求項1の浮体係留装置によれば、弾性部材が支持部材の不用意な回動を規制するため、浮体をさらに安定的に係留することができる。
請求項2の浮体係留装置によれば、係留索に加わる張力の増加を板バネが吸収するため、張力の増加が浮体に対して直接的に伝わる可能性が低減される。これにより、浮体をさらに安定的に係留することができる。
【0021】
請求項
3の浮体係留装置によれば、係留索と支持部材との接続作業を、水上で行うことができるため、作業性を向上させることができる。
【0022】
請求項
4の浮体係留装置によれば、浮体に付加される外力が小さい場合には係留索によって浮体を安定的に係留することができる。一方で、浮体に付加される外力が大きい場合には支持部材が回動することで、係留索に加わる張力を緩和することができる。よって、浮体を安定的に係留することができる。
【0025】
請求項
5の浮体係留装置によれば、浮体の鉛直軸回りの回転モーメントを大きくすることができるため、浮体に生じるヨーイングが低減される。これにより、浮体をさらに安定的に係留することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態に係る浮体係留装置20について、図面を参照して説明する。
図1に示すように浮体係留装置20は、一端が水底Bに固定される係留索22と、水面S上に浮く浮体10と係留索22の他端との間に配される支持部材21と、を備えている。
【0028】
浮体10は、例えば石油生産施設、洋上風力発電施設、及び水産施設等を上部に備え、水面S上に浮かべられて運用される施設一般を指す。また、浮体10が運用される水面Sは、海洋、湖沼、河川のいずれであってもよい。
【0029】
支持部材21は、回動支持部26を介して浮体10に支持されるとともに、浮体10から離間する方向に沿って延びる本体部23と、この本体部23における浮体10から離間する側に設けられる重量部24と、を有する。
【0030】
支持部材21はおおむね柱状に形成された部材であり、一方の端部は上述の回動支持部26によって浮体10に接続されている。回動支持部26は、水面Sに沿う方向に延びる回転軸線P回りに回動可能な状態で支持部材21を支持する。この回動支持部26としては例えばヒンジ等の装置が用いられる。
【0031】
本実施形態では支持部材21は中空に形成されて中空部Hとされており、この中空部Hには液体等の充填材Xが充填可能となっている。また、充填材Xを充填する前の支持部材21単体は水よりも小さな比重を有する材料で形成されている。これにより、上述の充填材Xを充填しない状態では、支持部材21は水に浮くようになっている。なお、ここで言う水とは、浮体10が運用される水面Sを構成する水全般を指すものであって、海水、淡水を問わない。
【0032】
ここで、本実施形態では、支持部材21の中空部Hの一部に充填材Xを充填することで、重量部24とされる。充填材Xとしては、例えばバライト等を水に混合してなるバラスト水が好適に用いられる。さらに、支持部材21において上記重量部24を除く部分は、中空のままに保たれて本体部23とされる。すなわち、充填材Xが充填された状態において、支持部材21は、中空状態の本体部23と、充填材Xが充填されてなる重量部24とから構成される。
【0033】
上述のように構成された支持部材21は、浮体10に設けられたストッパー27と当接し、これにより、回動が規制されている。
図1に示すように、本実施形態においてストッパー27は浮体10の表面から離間する方向に向かって延びる棒状の部材によって形成される。このようなストッパー27の先端部は、支持部材21の延在中途における一部と当接する。これにより、支持部材21は、
図1に示すように、浮体10から下方に向かうに従って外方(浮体10から離間する方向)に向かうように傾斜した状態で維持される。
【0034】
係留索22は、その一端が水底Bに固定されるとともに、一端と反対側の他端が、上述の支持部材21における浮体10から離間する側の端部(先端部25)に接続される。これにより、浮体10が水面S上に浮くとともに、安定的に係留される。
【0035】
なお、係留索22としては、耐水性、耐食性を有する公知のケーブル状の部材が好適に用いられる。さらに、水底B側に位置する係留索22の一端は、一例として水底B上に設けられたアンカーによって移動不能に固定される。また、浮体10を係留した状態において、十分な張力が作用することで係留索22は緊張した状態とされている。すなわち、係留索22の長さは、水面S上の浮体10から水底B上のアンカーまでの寸法とおおむね同一となるように設定されている。
【0036】
また、
図6に示すように、浮体10には複数の浮体係留装置20が設けられている。本実施形態では、上方から見た浮体10の形状を略円形とし、この円周に沿って3つの浮体係留装置20が設けられる構成とされている。しかしながら、浮体係留装置20が適用される浮体10の形状や寸法はこれに限定されない。加えて、浮体係留装置20の設けられる個数も3つに限定されず、浮体10に要求される係留力や、水底Bの地形に応じて適宜変更可能である。
【0037】
続いて、上述のように構成された浮体係留装置20の設置方法の概略について、
図3を参照して説明する。
まず、浮体10が運用される水域の水底Bに上述のアンカー等を設け、係留索22の一端をアンカーに固定する。
【0038】
次に、浮体10の所定の位置に、回動支持部26を介して支持部材21を設置する。なお、この状態では、支持部材21の中空部Hには充填材Xは充填されていない状態とする。さらに、支持部材21は水よりも比重の小さな材料によって形成されている。したがって、支持部材21の中空部Hに充填材Xを充填しない状態では、支持部材21の先端部25は水面S上に浮かんだ状態となる。
【0039】
上記のように支持部材21の先端部25が水面S上に浮かんだ状態で、係留索22の他端と支持部材21の先端部25とを接続する。係留索22と支持部材21との接続作業は、例えば浮体10上から行ってもよいし、作業船上から行ってもよい。
【0040】
続いて、係留索22と支持部材21との接続が完了したのち、支持部材21の中空部Hに充填材Xを充填する。支持部材21の下方内部に貯留された充填材Xは、上述のように重量部24を形成する。さらに、この重量部24を除く領域は本体部23を構成する。このとき、充填材Xが充填されるに従って、支持部材21の先端部25、すなわち重量部24側は徐々に水中に没する。具体的には、回動支持部26における回転軸線Pを中心として、水面Sから水底Bに向かう方向に沿って支持部材21が回動する。
やがて、充填材Xが所定の量だけ充填されると、支持部材21はその一部が、浮体10に設けられたストッパー27に当接する。これにより、支持部材21は、浮体10から離間するに従って下方(水底Bに向かう方向)に向かうように傾斜した状態で維持される。
上述した手順を繰り返すことにより、浮体10に対して複数の浮体係留装置20を設置する。
以上により、浮体係留装置20の設置が完了する。
【0041】
上述のような構成によれば、支持部材21に重量部24が設けられていることにより、浮体10を係留する状態において、支持部材21の先端部25側は水中に没した状態となる。この状態で、波浪や風、流れによって浮体10に動揺が生じると、支持部材21が回転軸線P回りに水底Bから水面Sに向かう方向に沿って回動する。同時に、重量部24には、水中へ没しようとする力(沈降力)が生じることから、浮体10の動揺によって一旦水底Bから水面Sに向かう方向に沿って回動した支持部材21は、反対の方向(水面Sから水底Bに向かう方向)に沿って回動を始める。すなわち、重量部24は支持部材21に対して一定の復元力を付与する。したがって、浮体10の動揺に伴って係留索22に生じる張力の急激な増大を緩和吸収することができる。加えて、水底Bで固定された係留索22の一端側に対して付加される張力をも緩和することができるため、水底Bの地盤への負荷を軽減することができる。
【0042】
さらに、上述のような構成によれば、支持部材21の中空部Hに充填材Xが充填されていない状態では、支持部材21の先端側は水上に浮上した状態となる。したがって、係留索22と支持部材21との接続作業を、水上で行うことができる。これにより、作業性を向上させることができる。
【0043】
さらに、上述のような構成によれば、浮体10に設けられたストッパー27によって、水面Sから水底Bに向かう方向への支持部材21の回動が規制される。これにより、波浪や風等によって浮体10に働く外力が所定の閾値を超過するまでは、支持部材21を静止させることができる。すなわち、波浪や風が軽度な状況下では支持部材21は回動しにくいため、係留索22による張力の変動のみによって浮体10を安定的に係留することが可能となる。
【0044】
一方で、波浪や風が卓越し、浮体10に対して所定の閾値以上の外力が加わる状況下では、支持部材21が水底Bから水面Sに向かう方向に沿って回動することで、浮体10の動揺を吸収し、係留索22に付加される張力を緩和することができる。
【0045】
具体的には、支持部材21の回転軸線P回りの回転角度θと、浮体10に働く外力Fとの関係は、
図7に示すようになる。
図7中で、θ0は支持部材21がストッパー27に当接している状態において支持部材21と鉛直線とがなす初期角度である。さらに、同図中で、F0は支持部材21が回動を始める閾値を表す。このとき、外力Fが閾値F0よりも小さな値である場合には、支持部材21の回転角度θは初期角度θ0を維持する。一方で、外力Fが所定の閾値F0を超過した場合には、支持部材21が回動を始め、θの値はθ0から次第に増大する。
【0046】
さらに、浮体10の水面上での変位をdとし、係留索22に付加される張力をTとした場合、
図8に示すように変位dが増加するに従って、張力Tも非線形的に増加する。すなわち、浮体10の変位dが0<d<d1である場合に比して、d≧d1である場合には、張力Tの増加率(d−T線の傾き)が小さくなる。なお、ここで変位d1は、浮体10に作用する外力FがF0であるときの浮体10の水面S上での変位量を表している。
このように、浮体10の変位dが増大するに伴って、係留索22に働く張力Tが線形的に増大し続けることを抑制することができる。
【0047】
さらに、上述のような構成によれば、浮体10の外周から離間する方向に沿って複数の浮体係留装置20が設けられることにより、浮体10の回転モーメントを大きくすることができる。より詳細には、
図6に示すように、例えば浮体10の上方から見た外周形状が円形である場合、支持部材21が設けられていることにより、この円の中心点Oから支持部材21の先端部25までの水平距離R1は、中心点Oから浮体10の外周縁までの水平距離R0に比して十分に大きくなる。したがって、浮体10が中心点Oの回りに回転するような外力が浮体10に対して加わった場合、距離R1が距離R0よりも大きいことにより、回転に要するモーメントが増大する。回転モーメントが増加することによって、浮体10は水面S上で鉛直軸回りの回転(ヨーイング)を起こしにくくなる。よって、浮体10をさらに安定的に係留することが可能となる。
【0048】
(第二実施形態)
続いて、本発明の第二実施形態について
図4を参照して説明する。なお、上述の第一実施形態と同様の構成、部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図4に示すように、本実施形態に係る浮体係留装置20は、支持部材21の回動に対して付勢力を与える弾性部材28が、浮体10と支持部材21との間に配されている点で、上述の第一実施形態と異なる。
【0049】
より詳細には、弾性部材28は、支持部材21における水面Sに近接する側の端部近傍の領域と、浮体10との間に配されることで、支持部材21の水底Bから水面Sに向かう方向への回動に対して付勢力を与える。弾性部材28の具体的な態様としては、例えばゴム等で形成されたセル型防舷材を用いることが好適である。すなわち、この防舷材の有する弾性復元力によって、支持部材21の回動に対する付勢力を得ることができる。
なお、弾性部材28を配置する位置は本実施形態によって限定されない。要は、回転軸線Pを基準として、水底Bから水面Sに向かう方向への支持部材21の回動に対して付勢力を与えることができる限りにおいて、弾性部材28の位置は任意に決定されてよい。
【0050】
上述のような構成によれば、支持部材21が水底Bから水面Sへ向かう方向に沿って回動する際に、支持部材21には弾性部材28による付勢力が付加される。これにより、波浪や風等によって浮体10に働く外力が所定の閾値を超過するまでは、支持部材21をより安定的に静止させることができる。すなわち、波浪や風が軽度な状況下では支持部材21は回動しにくいため、係留索22による張力の変動のみによって浮体10を安定的に係留することが可能となる。
一方で、波浪や風が卓越し、浮体10に対して所定の閾値以上の外力が加わる状況下では、支持部材21が回動することで、浮体10の動揺を吸収し、係留索22に付加される張力を緩和することができる。したがって、浮体10に加わる外力が小さい状況下で、支持部材21が不用意に回動することで浮体10が安定性を失う可能性を低減することができ、浮体10をさらに安定的に係留することが可能となる。
【0051】
(第三実施形態)
続いて、本発明の第三実施形態について
図5を参照して説明する。なお、上述の各実施形態と同様の構成、部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図5に示すように、本実施形態に係る浮体係留装置20は、支持部材21における浮体10から離間する側の端部(先端部25)に、板バネ29が配されている。この板バネ29は、支持部材21の延びる方向と概ね同一の方向に延びるように配される。すなわち、板バネ29は支持部材21の延びる方向と交差する方向に沿って弾性変形可能となっている。さらに、この板バネ29の先端(支持部材21と反対側の端部)には、係留索22が接続される。
【0052】
このような構成によれば、浮体10に作用する外力の大きさに応じて、浮体係留装置20の挙動を変えることができる。すなわち、浮体10に働く外力が所定の閾値を超過するまでは、係留索22の張力の変動のみによって浮体10を係留する。
一方で、浮体10に働く外力が該閾値を超過した場合には、板バネ29が弾性変形する。板バネ29が弾性変形することにより、係留索22に作用する張力が線形的に増大することを抑制することができる。
さらに、板バネ29の弾性変形の許容量をも超過するような外力が浮体10に作用した場合には、上述の各実施形態と同様に、支持部材21が回転軸線P回りに回動する。これにより、係留索22に付加される張力を緩和することができる。したがって、支持部材21が不用意に回動することで浮体10が安定性を失う可能性を低減することができ、浮体10をさらに安定的に係留することが可能となる。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施形態、実施例について説明したが、これらの実施形態、実施例は、あくまで本発明の要旨の範囲内の一つの例に過ぎず、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。すなわち本発明は、前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲内で適宜変更可能である。