(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6302790
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】配膳車
(51)【国際特許分類】
A47B 31/00 20060101AFI20180319BHJP
A47B 31/02 20060101ALI20180319BHJP
【FI】
A47B31/00 H
A47B31/02 B
A47B31/02 D
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-164580(P2014-164580)
(22)【出願日】2014年8月12日
(65)【公開番号】特開2016-39873(P2016-39873A)
(43)【公開日】2016年3月24日
【審査請求日】2017年3月15日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名 HCJ2014 第14回厨房設備機器展 開催場所 住 所 東京都江東区有明3−10−1 東京ビックサイト 開催日 平成26年02月18日〜21日 4日間
(73)【特許権者】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】福島工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510294874
【氏名又は名称】株式会社Fujitaka
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】池田 睦典
(72)【発明者】
【氏名】定兼 翔平
【審査官】
七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−112549(JP,A)
【文献】
特開2012−050788(JP,A)
【文献】
特開2006−180930(JP,A)
【文献】
特開平06−007233(JP,A)
【文献】
特開2006−003004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 31/00
A47B 31/02
F25D 23/12
F25D 25/02
B64D 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容室(13)の内部に仕切ユニット(U)が多段状に配置されており、
仕切ユニット(U)は、収容室(13)の内部を保冷室(14)と保温室(15)に区分する仕切体(35)と、仕切体(35)の左右に連結されて、保冷室(14)および保温室(15)を上下に区分するトレイ受け(45)とを備えており、
トレイ受け(45)は、平行に配置される左右一対の連結枠部(46)と、一対の連結枠部(46)の少なくとも前後の端部どうしを橋絡する複数の橋絡部(47)とで構成されており、
一対の連結枠部(46)は、金属板材のプレス加工品からなる同一部材で構成されており、
複数の橋絡部(47)は、帯状の金属条材からなる同一部材で構成されており、
連結枠部(46)と橋絡部(47)は、それぞれの上面が面一になる状態で溶接固定されており、
一対の連結枠部(46)のうち、一方の連結枠部(46)が仕切体(35)に連結され、他方の連結枠部(46)が収容室(13)の左右の内面壁に連結されていることを特徴とする配膳車。
【請求項2】
連結枠部(46)は、トレイ(T)を支持する水平の支持壁(48)と、支持壁(48)の一端から下方に延設されて、仕切体(35)または収容室(13)の内面壁に連結される連結壁(49)とを備えており、
支持壁(48)に、橋絡部(47)が係合する複数の切欠き部(50)が形成されており、
切欠き部(50)に橋絡部(47)が係合した状態で、連結枠部(46)と橋絡部(47)とが溶接固定されている請求項1に記載の配膳車。
【請求項3】
橋絡部(47)の下面に、橋絡部(47)の長手方向に沿う複数の補強リブ(56)が下向きに突設されている請求項1または2に記載の配膳車。
【請求項4】
切欠き部(50)に臨むように、支持壁(48)に連続して橋絡部(47)を受止める受止め壁(51)が形成されている請求項2または3に記載の配膳車。
【請求項5】
隣接する補強リブ(56)の間に、受止め壁(51)が嵌合されている請求項4に記載の配膳車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多段状に配置した複数個の仕切ユニットで、食品を収容する収容室の内部が保冷室と保温室に区分されている配膳車に関し、とくに仕切体とトレイ受けとからなる仕切ユニットの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
仕切体とトレイ受けを備えた仕切ユニットは、特許文献1に公知である。係る特許文献1の仕切ユニットは、仕切板(仕切体)と、仕切板を貫通する2本のガイド棒と、両ガイド棒の端部どうしを固定する一対のアングル材(トレイ受け)とで構成されている。仕切ユニットは、その両側のアングル材を前後柱部の内側面に支持ボルトで締結することにより固定される。
【0003】
特許文献2の冷温蔵装置(配膳車)では、単位仕切壁(仕切体)と、その両側に固定したL字状の支持アームと、支持アームの側端に固定したアングル状のトレイ受けで仕切ユニットを構成している。トレイ受けの前後端は、冷蔵室のダクトおよび温蔵室のヒータパネルに設けた支持具に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3038797号公報
【特許文献2】特許第3510135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の配膳車および特許文献2の冷温蔵装置では、仕切体とトレイ受けとをユニット化して1個の部材として取り扱うことができるので、収容室に対する仕切ユニットの固定または分離を容易化することができる。しかし、特許文献1のトレイ受け部分は、トレイ受けの水平壁の厚み寸法に、ガイド棒の直径寸法を加えた厚み寸法を有するので、トレイ受けの上下厚みが大きくなる。そのため、上下に隣接するトレイ受けの間隔を一定とするとき、上下のトレイ受けの間の有効高さがガイド棒の直径寸法の分だけ小さくなる。また、上下のトレイ受けの間の有効高さを一定とすると、ガイド棒の使用個数の分だけ収容室の高さを大きくする必要があり、配膳車が大形化する。
【0006】
特許文献2の冷温蔵装置のトレイ受けは、板状の支持アームに固定されているので、トレイ受け部分が占めるデッドスペースを小さくできる。しかし、単位仕切壁は、その長手方向略中央部が一対の支持アームで支持されている。そのため、単位仕切壁の前後端に垂直方向の荷重が作用した場合に、支持アームの連結部分を中心にして単位仕切壁が上下に揺れ動くおそれがある。例えばトレイを載置した状態で単位仕切体が揺れ動くと、トレイ上に載置された食器が揺さぶられて食品がこぼれ、収容室内を汚損するおそれがある。また、走行時の振動で、上下に隣接する単位仕切壁どうしが衝突して騒音を生じることがある。
【0007】
また、特許文献1の配膳車および特許文献2の冷温蔵装置のトレイ受けは、ガイド棒あるいは支持アームを介して仕切体に固定されているので、仕切体とトレイ受けとを仕切ユニットとして一体化する際の組付作業に手間と時間を要する。
【0008】
本発明の目的は、トレイ受けの構造強度を向上して、仕切体を適正位置に的確に支持できる配膳車を提供することにある。
本発明の目的は、トレイ受けが占めるデッドスペースを極力小さくして、小形化とコンパクト化を促進できる配膳車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の配膳車は、収容室13の内部に仕切ユニットUが多段状に配置されている。仕切ユニットUは、収容室13の内部を保冷室14と保温室15に区分する仕切体35と、仕切体35の左右に連結されて、保冷室14および保温室15を上下に区分するトレイ受け45とを備えている。トレイ受け45は、平行に配置される左右一対の連結枠部46と、一対の連結枠部46の少なくとも前後の端部どうしを橋絡する複数の橋絡部47とで構成されている。一対の連結枠部46は、金属板材のプレス加工品からなる同一部材で構成されている。複数の橋絡部47は、帯状の金属条材からなる同一部材で構成されている。連結枠部46と橋絡部47は、それぞれの上面が面一になる状態で溶接固定されている。一対の連結枠部46のうち、一方の連結枠部46が仕切体35に連結され、他方の連結枠部46が収容室13の左右の内面壁に連結されていることを特徴とする。ここで言う「金属条材」とは、長手方向に直交する断面形状が同一に形成された、金属を素材とする例えば押出成形品、ロール成形品、プレス成形品などのことを意味する。
【0010】
連結枠部46は、トレイTを支持する水平の支持壁48と、支持壁48の一端から下方に延設されて、仕切体35または収容室13の内面壁に連結される連結壁49とを備える。支持壁48に、橋絡部47が係合する複数の切欠き部50を形成する。切欠き部50に橋絡部47が係合した状態で、連結枠部46と橋絡部47とを溶接固定する。
【0011】
橋絡部47の下面に、橋絡部47の長手方向に沿う複数の補強リブ56を下向きに突設する。
【0012】
切欠き部50に臨むように、支持壁48に連続して橋絡部47を受止める受止め壁51を形成する。
【0013】
隣接する補強リブ56の間に、受止め壁51を嵌合する構成とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る配膳車においては、左右一対の連結枠部46と、一対の連結枠部46の少なくとも前後の端部どうしを橋絡する複数の橋絡部47とでトレイ受け45を構成し、一対の連結枠部46を金属板材のプレス加工品からなる同一部材で構成し、複数の橋絡部47を帯状の金属条材からなる同一部材で構成した。そして、連結枠部46と橋絡部47をそれぞれの上面が面一になる状態で溶接固定した。これによれば、連結枠部46と橋絡部47の2種の構成部品のみでトレイ受け45を構成して、トレイ受け45の製造に要するコストを削減できる。また、トレイ受け45を四角枠状に溶接固定することにより、トレイ受け45の構造強度を向上して、例えばトレイ受け45が捩れ変形や撓み変形するのを阻止できる。
【0015】
そのうえで本発明においては、一対の連結枠部46のうち、一方の連結枠部46を仕切体35に連結し、他方の連結枠部46を収容室13の左右の内面壁に連結した。これによれば、仕切体35にトレイ受け45を直接連結して仕切ユニットUとして一体化できるので、ガイド棒あるいは支持アームを介して仕切体にトレイ受けを固定する従来の配膳車に比べて、仕切ユニットUの組付作業に要する手間と時間を軽減できる。また、構造強度を向上したトレイ受け45で仕切体35を支持するので、仕切体35を適正位置に的確に支持できる。さらに、帯状の金属条材からなる橋絡部47により、トレイ受け45が占めるデッドスペースを極力小さくして、小形化とコンパクト化を促進できる。
【0016】
連結枠部46の支持壁48に、板状体で形成した橋絡部47が係合する複数の切欠き部50を形成し、切欠き部50に橋絡部47を係合した状態で、連結枠部46と橋絡部47とを溶接固定すると、連結枠部46と橋絡部47との突合せ部分を溶接固定する場合に比べて溶接長を長くすることができる。また、支持壁48と橋絡部47を重ねた状態で溶接固定する場合に比べて支持壁48と橋絡部47の合計の厚み寸法を小さくできる。これにより、トレイ受け45の構造強度をさらに向上しながら、トレイ受け45の厚み寸法を小さくできる。従って、収容室13内でトレイ受け45が占めるデッドスペースを極力小さくできる。
【0017】
橋絡部47の下面に、橋絡部47の長手方向に沿う複数の補強リブ56を下向きに突設すると、橋絡部47の断面二次モーメントを増強し、橋絡部47の捩れ変形や撓み変形を防止して、トレイ受け45の構造強度をさらに向上できる。
【0018】
切欠き部50に臨むように、支持壁48に連続して橋絡部47を受止める受止め壁51を形成すると、橋絡部47を受止め壁51で受止めた状態で連結枠部46に溶接固定でき、また、受止め壁51と橋絡部47とを溶接固定することで、溶接長をさらに長くすることができる。従って、トレイ受け45の構造強度をさらに向上できる。
【0019】
隣接する補強リブ56の間に、受止め壁51が嵌合する構成とすると、連結枠部46と橋絡部47とを溶接固定する際に、連結枠部46に対して橋絡部47を位置決めできる。従って、溶接作業時に連結枠部46と橋絡部47とを位置決め支持する治具が不要となり、連結枠部46と橋絡部47との溶接作業を簡便に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る仕切ユニットを収納室に固定した状態を示す一部破断正面図である。
【
図5】仕切ユニットを収納室に固定した状態を示す正面図である。
【
図8】仕切体とトレイ受けを分離した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施例)
図1から
図10に本発明に係る配膳車の実施例を示す。本実施例における前後、左右、上下とは、
図2から
図4に示す矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
図2に示すように、本実施例の配膳車は、配膳用のトレイとして平板状の底板の周縁に傾斜面からなる周囲縁が形成された、多数個の平板状トレイT(以下、単にトレイTと言う。)を搭載対象としている。配膳車は、前後が開口する断熱箱体1と、断熱箱体1を支持する台車2と、断熱箱体1の上部に配置される機械室3とで構成されている。台車2は、6個のキャスター4を備えており、これにより、配膳車を前後左右に自在に走行させることができる。台車2の周囲にはバンパー5が設けられており、このバンパー5で壁面などとの接触衝撃を緩衝できる。機械室3は、機械室カバー3Aで覆われており、外面からは機械室3の内部を視認できない。
【0022】
図3に示すように、断熱箱体1は、躯体フレーム7と、躯体フレーム7の上下面を塞ぐ天井パネル8および底面パネル9と、躯体フレーム7の左右面を塞ぐ左パネル10と右パネル11とで構成されている。断熱箱体1の左右中央には、前後端にわたって中央壁12が設けられており、これにより、断熱箱体1の内部空間は、左右2個の収容室13・13に区画され、さらに、収容室13のそれぞれは、多段状に配置した複数個の仕切体35で保冷室14と保温室15とに区分される。仕切体35の詳細については後述する。
【0023】
図2および
図4に示すように、各収容室13の開口面は、観音開き構造の一対のドア17・17で揺動開閉できるようになっており、各ドア17は、開口面の両側の上下に配置したドアヒンジ18で支持されている。ドア17の内面(収容室側)の四周縁部には、ドアパッキン19が設けられている。ドアパッキン19の内部には棒状の磁石(図示していない)が配置されており、この磁石と開口面の周縁壁(鋼板)との磁気吸着作用で、ドア17と断熱箱体1との接合部分をドアパッキン19で封止し、さらにドア17を閉じ状態に保持している。
【0024】
図3に示すように、機械室3には、保冷室14に供給する冷気を生成するための冷凍機器が収容されている。冷凍機器は、圧縮機21、凝縮器22、送風ファン23、および蒸発器24などで構成されており、蒸発器24は、断熱箱体1の上部の略中央に配置された熱交換ボックス25の内部に冷却ファン26とともに配置されている。
図3において符号27は、保冷室14および保温室15の温度を制御する制御部と、外部からの電源を受取るコネクタとが設けられた制御装置であり、符号Hは、配膳車を走行させる際に使用するハンドルを示す。
【0025】
図4に示すように、中央壁12は、躯体フレーム7の前後において上桟と下桟との中央部どうしを連結する中柱29・29と、両中柱29・29の間に設けられる冷気ダクト30とで構成されており、冷気ダクト30の内部には冷気吹出し通路と冷気吸込み通路が区画されている。冷気吹出し通路に臨む冷気ダクト30の壁面、および冷気吸込み通路に臨む冷気ダクト30の壁面には、一群の吹出口31と一群の吸込口32とが設けられている。冷気ダクト30は、熱交換ボックス25内と連通されている。冷却ファン26を駆動すると、一群の吹出口31から冷気を吹出し、一群の吸込口32から保冷室14内の空気を吸込んで熱交換ボックス25へ循環させることができる。これにより、区画構造で区分される収容室13の中央壁12側が、保冷室14として機能し、残る左右のパネル10・11側が保温室15として機能する。
【0026】
図3に示すように、左パネル10および右パネル11の内部には、それぞれパネルヒーター33が設けられており、パネルヒーター33を駆動することにより、その輻射熱が保温室15に放射されて保温室15内を加熱できる。図示していないが、保温室15に臨む左パネル10および右パネル11の壁面には、遠赤外線放射塗料が塗布されており、パネルヒーター33の熱を効率よく保温室15内に放射できるようになっている。
【0027】
図6および
図9に示すように、仕切体35は、前後方向に長いコ字型チャンネル材状の左右一対のベース枠36と、ベース枠36の前後端に固定される一対の端面キャップ37と、一対のベース枠36の間の内部に配置される断熱体38とを備えている。また、仕切体35は、一対のベース枠36の間に配置されて仕切体35の下面から出退自在に設けられる2個のメインシャッター39と、仕切体35の上面から出退自在に設けられる3個のサブシャッター40と、各サブシャッター40の間に設けられるシール体41とを備えている。仕切体35は、左右一対のベース枠36の間に断熱体38を挟込み、その前後端に端面キャップ37を締結固定して構成されている。ベース枠36の側壁42には、後述するトレイ受け45を連結するためのL字状の連結座43が一体に形成されている。一対のベース枠36は、収容室13の前後方向の寸法よりも僅かに小さく設定されており、アルミニウム合金を素材として前後方向を押出方向とする同一構造の押出成形品で形成されている。
【0028】
図5に示すように端面キャップ37には、吸着板37Aが設けられており、この吸着板37Aに、ドア17の揺動先端側のドアパッキン19が磁気吸着して、ドア17と仕切体35との間を封止し、冷気および加温空気が収容室13の外部へ漏れ出すのを防止している。また、メインシャッター39およびサブシャッター40は、保冷室14の冷気、あるいは保温室15の加温空気が、上下に隣接する仕切体35の間を行き来するのを阻止している。
【0029】
図7および
図8に示すように、トレイ受け45は、平行に配置される左右一対の連結枠部46と、一対の連結枠部46の前後の端部どうしおよび略中央部を橋絡する3個の橋絡部47とで構成されている。連結枠部46は、トレイTを支持する水平の支持壁48と、支持壁48の一端から下方に延設されて、仕切体35または収容室13の内面壁に連結される連結壁49とを備えている。支持壁48には、橋絡部47が係合する3個の切欠き部50が、支持壁48の前後端部および略中央部に形成されている。各切欠き部50に臨むように、支持壁48に連続して橋絡部47を受止める受止め壁51が水平方向に伸びるように形成されている。受止め壁51の上面の高さ位置は、支持壁48の上面の高さ位置から橋絡部47の橋絡板55の厚み寸法分だけ下がった位置に配置している。連結壁49の前後端部には、ビス溝52がそれぞれ切欠き形成されている。一対の連結枠部46は、アルミニウム合金製の板材に、切抜き加工と曲げ加工とを施して形成される、同一構造の部材である。
【0030】
橋絡部47は、左右に長い帯状の橋絡板55と、橋絡板55の下面の左右方向に沿って下向きに突設される4個の補強リブ56とからなる。外側の2個の補強リブ56は、橋絡板55の前後縁に沿って形成されており、内側の2個の補強リブ56は、その対向内面が受止め壁51の前後幅寸法と略同一に設定されて前後均等位置に形成されている。これにより、橋絡板55が受止め壁51で受止められた状態においては、隣接する内側の2個の補強リブ56の間に、受止め壁51が嵌合している。橋絡部47は、アルミニウム合金を素材とする条材を所定寸法に切断して形成される。
【0031】
一対の連結枠部46と3個の橋絡部47とは、溶接により固定されて、トレイ受け45として形成されている。具体的には、溶接定盤上に橋絡板55の上面を下向きにして3個の橋絡部47を載置し、次いで、支持壁48の上面を下向きにして、受止め壁51を内側の2個の補強リブ56間に嵌合させ、切欠き部50に橋絡部47の端部が係合する状態で、一対の連結枠部46を載置する。このとき、受止め壁51と2個の補強リブ56とが嵌合し、切欠き部50に橋絡部47が係合しているので、一対の連結枠部46と3個の橋絡部47とは、それぞれ位置決めされた状態にある。この状態で、受止め壁51と橋絡板55との隣接部分、および支持壁48と橋絡板55の隣接部分の下面側を溶接して、連結枠部46と3個の橋絡部47とが一体化されたトレイ受け45を得る。目立たない下面側を溶接するので、使用時におけるトレイ受け45の外観が溶接ビードで損なわれるのを防止できる。溶接固定された連結枠部46の支持壁48の上面、および橋絡部47の橋絡板55の上面は面一状になっている。これにより、トレイ受け45とトレイTとの支持面積を増加させて、トレイ受け45上のトレイを確実に支持できる。本実施例では、保冷室14の左右方向の寸法は、保温室15の左右方向の寸法よりも小さいため、橋絡部47の左右方向の寸法が異なる保冷室14用のトレイ受け45Bと、保温室15用のトレイ受け45Aとを用意した。
【0032】
図1および
図9に示すように、仕切体35は、その左右にトレイ受け45が連結されて仕切ユニットUとして一体化されている。一方の連結壁49の下端縁を連結座43に係合させた状態で、ビス溝52を介してベース枠36の側壁42にビスSをねじ込むことにより、トレイ受け45は仕切体35に連結される。このとき、連結壁49の下端縁がL字状の連結座43に嵌まり込んだ状態で2個のビスSで締結されている。これにより、連結壁49は仕切体35に対して前後2箇所で連結されるので、トレイ受け45を仕切体35に確りと固定できる。
【0033】
図1、
図10に示すように、左右に対向する収容室13の内面壁の前後に設けられる連結金具58に、トレイ受け45を連結することにより、仕切体35が収容室13内に支持されている。つまり、トレイ受け45が、仕切体35を収容室13内に固定する部材として機能している。連結金具58は、躯体フレーム7の縦柱7Aまたは中柱29に締結される垂直の締結座59と、締結座59の先端に連続して連結壁49を受止める段部60と、受止められた連結壁49が段部60から脱落するのを規制する規制部61とでクランク状に構成されており、4個を1組にして一定の上下間隔をおいて6段に設けられている(
図4参照)。連結金具58は、躯体フレーム7の左右前後の縦柱7Aと、左右中央に配置した前後一対の中柱29との対向面のそれぞれに固定されている。なお、本実施例における収容室13の内面壁とは、左パネル10および右パネル11の内面壁と、冷気ダクト30(中央壁12)のダクト壁と、縦柱7Aおよび中柱29の対向面壁のことを言う。
【0034】
連結金具58の上方からトレイ受け45の連結壁49を差込み装着することにより、トレイ受け45を躯体フレーム7および中柱29に固定して、収容室13内の所定位置に仕切体35を支持できる。連結金具58の規制部61には規制ピン62が設けてあり、規制ピン62がビス溝52と係合することにより、仕切ユニットUが前後に遊動するのを規制している。また、躯体フレーム7の縦柱7Aまたは中柱29と規制部61とで連結壁49を挟持することにより、仕切ユニットUが左右に遊動するのを規制している。
図2に示すように、最上段の仕切体35は、サブシャッター40が省略してあって、天井パネル8にブラケットを介して締結固定されている。最下段の仕切体35は、メインシャッター39が省略してあって、その分だけ上下寸法が小さく設定されている。
【0035】
以上のように、本実施例に係る配膳車においては、左右一対の連結枠部46と、一対の連結枠部46を橋絡する3個の橋絡部47とでトレイ受け45を構成し、一対の連結枠部46を金属板材のプレス加工品からなる同一部材で構成し、複数の橋絡部47を帯状の金属条材からなる同一部材で構成した。そして、連結枠部46と橋絡部47をそれぞれの上面が面一になる状態で溶接固定した。これによれば、連結枠部46と橋絡部47の2種の構成部品のみでトレイ受け45を構成して、トレイ受け45の製造に要するコストを削減できる。また、トレイ受け45を四角枠状に溶接固定することにより、トレイ受け45の構造強度を向上して、例えばトレイ受け45が捩れ変形や撓み変形するのを阻止できる。
【0036】
そのうえで本実施例においては、一対の連結枠部46のうち、一方の連結枠部46を仕切体35に連結し、他方の連結枠部46を収容室13の左右の内面壁に連結したので、仕切体35にトレイ受け45を直接連結して仕切ユニットUとして一体化でき、ガイド棒あるいは支持アームを介して仕切体にトレイ受けを固定する従来の配膳車に比べて、仕切ユニットUの組付作業に要する手間と時間を軽減できる。また、構造強度を向上したトレイ受け45で仕切体35を支持するので、仕切体35を適正位置に的確に支持できる。さらに、帯状の金属条材からなる橋絡部47により、トレイ受け45が占めるデッドスペースを極力小さくして、小形化とコンパクト化を促進できる。
【0037】
連結枠部46の支持壁48に、板状体で形成した橋絡部47が係合する複数の切欠き部50を形成し、切欠き部50に橋絡部47を係合した状態で、連結枠部46と橋絡部47とを溶接固定したので、連結枠部46と橋絡部47との突合せ部分を溶接固定する場合に比べて溶接長を長くすることができる。また、支持壁48と橋絡部47を重ねた状態で溶接固定する場合に比べて支持壁48と橋絡部47の合計の厚み寸法を小さくできる。これにより、トレイ受け45の構造強度をさらに向上しながら、トレイ受け45の厚み寸法を小さくできる。従って、収容室13内でトレイ受け45が占めるデッドスペースを極力小さくできる。
【0038】
橋絡部47の下面に、橋絡部47の長手方向に沿う複数の補強リブ56を下向きに突設したので、橋絡部47の断面二次モーメントを増強し、橋絡部47の捩れ変形や撓み変形を防止して、トレイ受け45の構造強度をさらに向上できる。
【0039】
切欠き部50に臨むように、支持壁48に連続して橋絡部47を受止める受止め壁51を形成したので、橋絡部47を受止め壁51で受止めた状態で連結枠部46に溶接固定でき、また、受止め壁51と橋絡部47とを溶接固定することで、溶接長をさらに長くすることができ、トレイ受け45の構造強度をさらに向上できる。
【0040】
隣接する補強リブ56の間に、受止め壁51が嵌合する構成としたので、連結枠部46と橋絡部47とを溶接固定する際に、連結枠部46に対して橋絡部47を位置決めできる。従って、溶接作業時に連結枠部46と橋絡部47とを位置決め支持する治具が不要となり、連結枠部46と橋絡部47との溶接作業を簡便に行うことができる。
【0041】
上記の実施例では、トレイ受け45の橋絡部47を3個で構成したが、橋絡部47は2個または4個以上であってもよい。受止め壁51は省略することができる。この場合には、溶接作業時の位置決めを確実に行うために、別途治具を用意するとよい。また、切欠き部50を省略して橋絡部47の左右端と支持壁48とを付き合わせた状態で溶接固定してもよい。
【符号の説明】
【0042】
13 収容室
14 保冷室
15 保温室
35 仕切体
45 トレイ受け
46 連結枠部
47 橋絡部
48 支持壁
49 連結壁
50 切欠き部
51 受止め壁
56 補強リブ
T トレイ
U 仕切ユニット