(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記絶縁基板を覆う上部ケースを備え、前記上部ケースに前記操作ノブ及び前記可動体が取り付けられる操作部用取り付け部が設けられていると共に、前記操作部用取り付け部に前記操作ノブを回動させるための操作ノブ回動軸と前記可動体を回動させるための可動体回動軸とを設け、
前記操作ノブ回動軸の軸線と前記可動体回動軸の軸線とを同一とした、ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[実施形態]
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、本明細書では、特に断りの無い限り、各図面のX1側を右側、X2側を左側、Y1側を奥側、Y2側を手前側、Z1側を上側、Z2側を下側として説明する。
【0022】
最初に、
図1乃至
図3を参照して、位置検出装置100の構成について説明する。
図1は、位置検出装置100の外観を示す斜視図である。また、
図2は、位置検出装置100内の1つの操作部10を右側(X1側)から見た場合の構成を示す斜視図であり、操作ノブ1を2点鎖線で示し、その内部を実線及び破線で示している。
図3は、操作部10がニュートラルの状態の時、即ち操作ノブ1の非操作時の、
図2のIII-III断面図である。
【0023】
位置検出装置100は、車両に備えられているパワーウィンドーを操作するためのスイッチ装置であって、車両の運転席側と助手席側のパワーウィンドー、及びそれぞれの後方にある座席のパワーウィンドーを操作するため、
図1に示すように、操作部10が4個設けられている。位置検出装置100は、一般的に車両のドアのパワーウィンドーがある位置の下方等に取り付けられる。
図1に示した位置検出装置100は、車両の運転席側に取り付けられる場合である。尚、
図1では操作部10が4個ある場合を示しているが、操作部10が1個の場合であっても、2個などの場合であっても良い。
【0024】
位置検出装置100は、上部ケース21と、上部ケース21に組み合わされる下部ケース23と、複数の操作部10と、を有して構成されている。それぞれの操作部10には、操作ノブ1が取り付けられており、操作ノブ1を操作することによって、スイッチング動作を行えるように構成されている。上部ケース21、下部ケース23、及び操作ノブ1は、それぞれ合成樹脂によって形成されている。位置検出装置100は、操作ノブ1を操作した時のパワーウィンドーの上下方向の動作速度を切換え可能であり、パワーウィンドーの動作速度の、マニュアルモードからオートモードへの切換え時にクリック感を得ることができるように構成されている。
【0025】
図1に示すように、位置検出装置100の内部には絶縁基板11が取り付けられていて、上述した上部ケース21が絶縁基板11を覆っている。また、絶縁基板11上にはコントロールICである静電容量センサ9が搭載されている。静電容量センサ9は、2つの入力端子とグランド端子とを有しており、2つの入力端子それぞれに接続された操作部10内の電極と位置検出装置100のグランド電極(図示せず)との間の静電容量をそれぞれ検出できるように構成されている。また、検出された静電容量の容量値に対応した出力値を出力できるように構成されている。
【0026】
図2及び
図3に示すように、操作部10は、操作ノブ1と、操作ノブ1の回動動作に伴って回動する一対の可動体3(第1可動体3a及び第2可動体3b)と、を含んで構成されている。
図2に示すように、上部ケース21内には操作部用取り付け部21aが設けられていると共に、操作部用取り付け部21aには一対の操作ノブ回動軸21bが形成されている。更に、操作ノブ1は、一対の操作ノブ回動軸21bに、回動可能に支持されている。
【0027】
図2に示すように、可動体3は、絶縁基板11上に固定され対抗する側面と天井面とからなる略コの字状の取り付け部材25に取り付けられている。取り付け部材25の側面上部のY1側及びY2側には、一対の軸穴が設けられており、この一対の軸穴に可動体回動軸13が取り付けられている。そして、一対の可動体3(第1可動体3a及び第2可動体3b)が、この可動体回動軸13を中心とした回動を行なえるように取り付けられている。
【0028】
第1可動体3a及び第2可動体3bそれぞれが共通とする可動体回動軸13の軸線は、操作ノブ1用の操作ノブ回動軸21bの軸線と同一となるように構成されている。そのため、操作ノブ1の回動の軌跡と可動体3の回動の軌跡とを、同一の点を中心として描くことができるため、操作部10を構成する部品それぞれの設計を容易に行うことができる。
【0029】
また、取り付け部材25の上部に取り付けられた可動体回動軸13には、コイルバネ17が取り付けられている。コイルバネ17は、コイルバネ17の一端部が第1可動体3aを第1壁部21cのあるX2方向へ付勢するように、またコイルバネ17の他端部が第2可動体3bを第2壁部21dのあるX1方向へ付勢するように取り付けられている。
【0030】
可動体3、可動体回動軸13、コイルバネ17、及び取り付け部材25は全て、導電性の金属で形成されており、取り付け部材25は、位置検出装置100のグランド電極に接続されていると共に、前述した静電容量センサ9のグランド端子に接続されている。
【0031】
位置検出装置100の操作部10には、
図2に示すように、クリック付加部27が取り付けられている。クリック付加部27は、操作ノブ1の内側で、操作部用取り付け部21a内の、可動体3が取り付けられている区画と隣り合った別の区画に設けられている。クリック付加部27は、クリックコイルバネ27aとクリック付加ボール27bとクリック付加支持台27cとで構成されている。
【0032】
クリック付加支持台27cは、操作部用取り付け部21aに固定されていると共に、クリック付加支持台27cの上部には、操作ノブ1の操作角度に対応した複数のカム面が形成されている。クリック付加ボール27bは、この複数のカム面上を、X1−X2方向に直線移動することができるように載置されている。クリック付加ボール27bの上部には、クリックコイルバネ27aの下側の一端が取り付けられており、クリックコイルバネ27aの上側の一端が、操作ノブ1に当接している。このような構造によって、操作ノブ1を操作した時の操作対象物であるパワーウィンドーの動作速度切換時にクリック感を得ることができる。
【0033】
図3に示すように、可動体3は、可動体回動軸13の左側に取り付けられた第1可動体3a、及び可動体回動軸13の右側に取り付けられた第2可動体3bから成っている。第1可動体3aのX2側のほぼ中央部には、第1可動体3aの外側(X2側)方向に延びる第1突き出し部3cが形成されている。また、第2可動体3bのX1側のほぼ中央部には、第2可動体3bの外側(X1側)方向に延びる第2突き出し部3dが形成されている。
【0034】
更に、可動体3の下側の一端部には可動電極5が形成されている。詳しくは、第1可動体3aの一端部に第1可動電極5aを備えると共に、第2可動体3bの一端部に第2可動電極5bを備えている。尚、可動体3と可動電極5とは、共に金属導体で形成されているが、可動体3と可動電極5とが1つの部材で形成されていても良く、また、それぞれ別の部材が組み合わされて形成されていても良い。位置検出装置100では、可動体3と可動電極5とが1つの部材で形成されている。
【0035】
図3に示すように、操作ノブ1の回動方向には、操作部10を手前側(Y2側)から見て反時計回りとなる第1方向と、第1方向とは逆の方向である第2方向との2方向がある。操作ノブ1には、回動中心軸13より左側の第1可動体3aと接する箇所に第1押圧部1aが設けられ、回動中心軸13より右側の第2可動体3bと接する箇所に第2押圧部1bが設けられている。
【0036】
第1可動体3aは、操作ノブ1の第1方向への回動に伴って第1方向へ回動し、第2可動体3bは、操作ノブ1の第2方向への回動に伴って第2方向へ回動する。第1可動体3aの第1方向への回動は、第1可動体3aに設けられている第1突き出し部3cを操作ノブ1に設けられている第1押圧部1aが押圧することによって行われる。また、第2可動体3bの第2方向への回動は、第2可動体3bに設けられている第2突き出し部3dを操作ノブ1に設けられている第2押圧部1bが押圧することによって行われる。
【0037】
逆に、操作ノブ1の第2方向への回動に対しては、操作ノブ1の第1押圧部1aが第1可動体3aの第1突き出し部3cから離れるため、第1可動体3aは、第1方向へも第2方向へも回動せず、静止したままとなる。また、操作ノブ1の第1方向への回動に対しては、操作ノブ1の第2押圧部1bが第2可動体3bの第2突き出し部3dから離れるため、第2可動体3bは、第1方向へも第2方向へも回動せず、静止したままとなる。
【0038】
操作ノブ1の第1方向への回動は、操作対象物、例えば車両のパワーウィンドーの下側方向への動作、即ちパワーウィンドーを開ける際に用いられ、操作ノブ1の第2方向への回動は、車両のパワーウィンドーの上側方向への動作、即ちパワーウィンドーを閉める際に用いられる。
【0039】
図3に示すように、絶縁基板11上には銅箔等の導電体によって固定電極7が形成されている。固定電極7は、第1固定電極7aと第2固定電極7bとから成り、第1固定電極7aが第1可動電極5aと対向配置され、第2固定電極7bが第2可動電極5bと対向配置されている。このような構造によって、第1可動電極5aと第1固定電極7aとの間に第1静電容量C1が発生し、第2可動電極5bと第2固定電極7bとの間に第2静電容量とC2が発生する。
【0040】
第1固定電極7a及び第2固定電極7bは、絶縁基板11に形成された伝送線路(図示せず)を介して、静電容量センサ9の2つの入力端子にそれぞれ接続されている。また、第1可動電極5a及び第2可動電極5bから成る可動電極5は、可動体3、可動体回動軸13及び取り付け部材25を介して位置検出装置100のグランド電極に接続されていると共に、静電容量センサ9のグランド端子に接続されている。従って、静電容量センサ9によって第1静電容量C1及び第2静電容量C2を検出することができる。そのため、第1静電容量C1又は第2静電容量C2の大きさによって操作ノブ1の回動方向が第1方向であるか又は第2方向であるかを、また、その操作角度の大きさを検出することができる。その結果、操作ノブ1の操作位置を容易に検出することができる。
【0041】
位置検出装置100では、可動電極5と固定電極7との間にラバー15が配置されている。ラバー15は、ごみや水等が絶縁基板11上の固定電極7や伝送線路等に付着することを防止すると共に、可動電極5と固定電極7とが直接接触することを防止し、可動電極5と固定電極7との間の最小のギャップを保つことができる。また、可動電極5と固定電極7との間のラバー15の厚さを変更することによって、可動電極5と固定電極7との間に発生する静電容量Cの容量値を調整することができる。
【0042】
このように、操作ノブ1の操作位置を検出するための構造として、操作ノブ1の回動動作に伴って可動体3を回動させて静電容量Cを検出する構造としているため、駆動部材としての可動体3の上下方向の長さを長くする必要がない。従って、装置の薄型化を簡単な構造で実現することができる。
【0043】
また、可動体3として第1可動体3aと第2可動体3bとを有すると共に、操作ノブ1が第1方向と第2方向との2方向に操作される場合においても、操作ノブ1の回動動作に伴って第1可動体3a又は第2可動体3bを回動させて静電容量C1又は静電容量C2を検出する構造としているため、駆動部材としての第1可動体3a及び第2可動体3bの上下方向の長さを長くする必要がない。従って、装置の薄型化を簡単な構造で実現することができる。
【0044】
また、操作ノブ1が回動するための操作ノブ回動軸21bの軸線を、可動体3の可動体回動軸13の軸線と同一としたので、操作ノブ1の回動の軌跡と可動体3の回動の軌跡とを、同一の点を中心として描くことができるため、位置検出装置100を構成する部品それぞれの設計を容易に行うことができる。
【0045】
また、可動電極5と固定電極7との間にラバー15を配置したので、ラバー15によって可動電極5と固定電極7との接触を防止できると共に、ラバー15の厚さを変えることによって可動電極5と固定電極7との間に発生する静電容量Cの容量値を調整することができる。
【0046】
次に、
図4乃至
図9を参照して、位置検出装置100内の操作部10の動作について説明する。
図4は、操作ノブ1がニュートラル状態である時、即ち操作ノブ1の非操作時の模式図である。
図5は、操作ノブ1を第1方向に回動させた状態を示す模式図であり、
図6は、操作ノブ1を第1方向に最も大きく回動させた状態を示す模式図である。
図7は、操作ノブ1を第2方向に回動させた状態を示す模式図であり、
図8は、操作ノブ1を第2方向に最も大きく回動させた状態を示す模式図である。
図9は、操作ノブ1を操作した時の操作角度Θを示す模式図である。このうち、
図9(a)は、操作ノブ1が操作されていない状態、即ちニュートラル状態である時の操作ノブ1の操作角度Θを示す模式図であり、
図9(b)は、操作ノブ1を途中まで操作した状態の操作ノブ1の操作角度Θを示す模式図であり、
図9(c)は、操作ノブ1を最も大きく操作した状態の操作ノブ1の操作角度Θを示す模式図である。尚、
図9(b)及び
図9(c)では、操作ノブ1を第1方向に操作する場合だけを示している。操作ノブ1を第2方向に操作する場合については、その動作内容が操作ノブ1を第1方向に操作する場合と同様であるため省略する。
【0047】
図4に示すように、位置検出装置100の操作部10は、操作ノブ1が操作されていない状態、即ちニュートラル状態である時、第1可動体3aの第1突き出し部3c及び第2可動体3bの第2突き出し部3dは、それぞれ操作ノブ1の第1押圧部1a及び第2押圧部1bに当接している。また、第1可動体3a本体は、前述したように、上部ケース21の第1壁部21cのあるX2方向へ付勢され、第2可動体3b本体は、上部ケース21の第2壁部21dのあるX1方向へ付勢されている。
【0048】
この時、第1可動電極5a及び第2可動電極5bは、それぞれ第1固定電極7a及び第2固定電極7bに対し最も離れた状態にある。そのため、操作ノブ1の非操作時には、可動電極5と固定電極7との間に発生する静電容量C、詳しくは第1可動電極5aと第1固定電極7aとの間に発生する第1静電容量C1、及び第2可動電極5bと第2固定電極7bとの間に発生する第2静電容量C2は、それぞれ最小容量値となる。
【0049】
尚、前述したように、可動電極5と固定電極7との間にはラバー15が配置されているが、固定電極7上の可動電極5が接近する位置にあるラバー15は、可動電極5が固定電極7により近くまで接近できるように、この位置以外の他の個所に比較してその厚さが薄くなるように設定されている。
【0050】
この操作ノブ1がニュートラル状態である時、
図9(a)に示すように、第1可動電極5aは絶縁基板11上の第1固定電極7aに対して傾斜を有して位置している。この時の第1可動電極5aの操作角度Θを、Θ=0degと定義する。即ち、操作ノブ1がニュートラル状態である時の第1可動電極5aの位置を基準とする。また、第2可動電極5bについても同様である。尚、操作ノブ1がニュートラル状態である時の第1可動電極5aと第1固定電極7aとの成す角は、18degである。
【0051】
次に、操作ノブ1が第1方向(手前側から見て反時計回り)に回動操作されて、操作ノブ1が途中の位置にある時の状態を
図5に示す。この時、操作ノブ1の第1押圧部1aは、操作ノブ1の回動に対応して押し下げられ、それと共に、第1押圧部1aに当接している第1可動体3aの第1突き出し部3cが押し下げられる。その結果、第1可動体3aが第1方向に回動し、それと共に第1可動電極5aも回動して第1固定電極7aに近づく。
【0052】
第1可動電極5aと第1固定電極7aとの間に発生する第1静電容量C1は、第1可動電極5aが第1固定電極7aに近づくにつれて大きくなり、第1静電容量C1は、最小容量値と最大容量値との間の容量値となる。そして、この時の第1静電容量C1の大きさにより操作ノブ1の第1方向への操作角度Θを検出できる。
【0053】
この時の第1可動電極5aの操作角度Θは、
図9(b)に示すように、操作ノブ1がニュートラル状態である時に対して、例えば、操作角度Θ=9degとなっている。
【0054】
この時、第2可動体3b本体は、上部ケース21の第2壁部21dのあるX1方向へ付勢されたままであり、操作ノブ1の第2押圧部1bは、第2可動体3bの第2突き出し部3dから離れている。そして、第2可動電極5bと第2固定電極7bとの間に発生する第2静電容量C2は最小容量値のままである。
【0055】
次に、操作ノブ1が第1方向に更に回動操作されて、最も低い位置にある時の状態を
図6に示す。この時、操作ノブ1の第1押圧部1aは、操作ノブ1の回動に対応して更に押し下げられ、それと共に、第1押圧部1aに当接している第1可動体3aの第1突き出し部3cも押し下げられる。その結果、第1可動体3aが第1方向に回動し、それと共に第1可動電極5aも回動して第1固定電極7aに最も近づき、第1可動電極5aと第1固定電極7aとがラバー15を介して平行に対向する。この状態になった時、第1可動電極5aと第1固定電極7aとの間に発生する第1静電容量C1は、最大容量値となる。
【0056】
この時の第1可動電極5aの操作角度Θは最大となり、
図9(c)に示すように、操作ノブ1がニュートラル状態である時に対して操作角度Θ=18degとなる。
【0057】
この時、第2可動体3b本体は、上部ケース21の第2壁部21dのあるX1方向へ付勢されたままであり、操作ノブ1の第2押圧部1bは、第2可動体3bの第2突き出し部3dから離れている。そして、第2可動電極5bと第2固定電極7bとの間に発生する第2静電容量C2は最小容量値のままである。
【0058】
次に、操作ノブ1が第2方向(手前側から見て時計回り)に回動操作されて、操作ノブ1が途中の位置にある時の状態を
図7に示す。この時、操作ノブ1の第2押圧部1bは、操作ノブ1の回動に対応して押し下げられ、それと共に、第2押圧部1bに当接している第2可動体3bの第2突き出し部3dが押し下げられる。その結果、第2可動体3bが第2方向に回動し、それと共に第2可動電極5bも回動して第2固定電極7bに近づく。この状態になった時、第2可動電極5bと第2固定電極7bとの間に発生する第2静電容量C2は、最小容量値と最大容量値との間の容量値となる。そして、この時の第2静電容量C2の大きさにより操作ノブ1の操作角度Θを検出できる。
【0059】
この時、第1可動体3a本体は、上部ケース21の第1壁部21cのあるX2方向へ付勢されたままであり、操作ノブ1の第1押圧部1aは、第1可動体3aの第1突き出し部3cから離れている。そして、第1可動電極5aと第1固定電極7aとの間に発生する第1静電容量C1は最小容量値のままである。
【0060】
次に、操作ノブ1が第2方向に更に回動操作されて、最も低い位置にある時の状態を
図8に示す。この時、操作ノブ1の第2押圧部1bは、操作ノブ1の回動に対応して更に押し下げられ、それと共に、第2押圧部1bに当接している第2可動体3bの第2突き出し部3dも押し下げられる。その結果、第2可動体3bが第2方向に回動し、それと共に第2可動電極5bも回動して第2固定電極7bに最も近づき、第2可動電極5bと第2固定電極7bとがラバー15を介して平行に対向する。この状態になった時、第2可動電極5bと第2固定電極7bとの間に発生する第2静電容量C2は最大容量値となる。
【0061】
この時、第1可動体3a本体は、上部ケース21の第1壁部21cのあるX2方向へ付勢されたままであり、操作ノブ1の第1押圧部1aは、第1可動体3aの第1突き出し部3cから離れている。そして、第1可動電極5aと第1固定電極7aとの間に発生する第1静電容量C1は最小容量値のままである。
【0062】
第2可動電極5bと第2固定電極7bとの間に発生する第2静電容量C2の大きさによって操作ノブ1の第2方向への操作角度Θを検出できることは、操作ノブ1の第1方向への操作の場合と同様である。また、操作ノブ1が第2方向(手前側から見て時計回り)に回動操作された時の第2可動電極5bの操作角度Θについては、
図9(a)、
図9(b)、
図9(c)に示した場合と同等である。
【0063】
次に、
図10を参照して、位置検出装置100の操作部10の操作角度Θと操作対象物、即ちパワーウィンドーの上下方向の動作速度との関係について説明する。
図10(a)は、操作ノブ1の操作角度Θ(deg)に対する静電センサ出力との関係を示したグラフである。ここで、静電センサ出力は、操作ノブ1の操作角度Θが0degの時、即ち静電容量Cが最小値である時の出力を0とし、操作ノブ1の操作に対して増加する静電容量Cの容量値に対応した数値となっている。尚、この数値はその後出力電圧に換算される。10(b)は、操作ノブ1の操作角度Θに対する対象物即ちパワーウィンドーの上下方向の動作速度を表示している。
【0064】
図10(a)に示すように、操作ノブ1の操作角度Θが大きくなるに従って静電センサ出力が大きくなっている。即ち、静電容量Cは、操作ノブ1の非操作時に最少であり、操作ノブ1を操作するに従って大きくなっていく。
図10(a)に示す操作ノブ1の操作角度Θに対する静電センサ出力は、パワーウィンドーを動作させる駆動装置の駆動電圧に変換される。そのため、駆動装置の駆動電圧の大きさを操作ノブ1の操作角度Θの大きさに対応させることができる。尚、この静電センサ出力の変化は、操作ノブ1を、
図3で示した第1方向に操作した場合においても、第2方向に操作した場合においても同等である。
【0065】
本発明の位置検出装置100では、
図10(b)に示すように、操作対象物(パワーウィンドー)の動作速度を、操作ノブ1の操作角度Θの変化、即ち静電容量Cの変化に対し、速度0から第4速度まで変化させるように制御している。尚、操作対象物(パワーウィンドー)の動作速度を制御するための駆動装置の具体的な構成については、公知であるため、その説明を省略する。
【0066】
最初に、操作ノブ1の操作角度Θが0〜4degの時、操作対象物の動作速度を速度0としている。速度0は、操作対象物が静止している状態である。操作ノブ1の操作角度Θが0〜4degの時、即ち、操作ノブ1を操作し始めた時には、操作対象物が急に動き始めないように、操作対象物を静止させている。
【0067】
次に、操作ノブ1の操作角度Θが5〜8degの時、操作対象物の動作速度を第1速度としている。第1速度は、操作対象物が最も緩やかに動く速度(低速)である。尚、第1速度の時の制御モードをマニュアル制御モードに設定することができる。従ってその場合、操作している手を操作ノブ1から離すことによって操作対象物の動作を停止させることができる。第1速度の時をマニュアル制御モードに設定することによって、操作対象物(パワーウィンドー)の上下方向における位置を微妙に調節することができる。
【0068】
次に、操作ノブ1の操作角度Θが9〜12degの時、操作対象物の動作速度を第2速度としている。第2速度(中速)にすることによって操作対象物を第1速度に比べて速く動かすことができる。第2速度の時も、制御モードをマニュアル制御モードに設定することができ、操作対象物の操作対象物の位置を調節することができる。
【0069】
次に、操作ノブ1の操作角度Θが13〜15degの時、操作対象物の動作速度を第3速度としている。第3速度(高速)の場合も、制御モードをマニュアル制御モードに設定することができ、操作対象物をより速く動かすことができると共に、操作対象物の操作対象物の位置を調節することができる。
【0070】
次に、操作ノブ1の操作角度Θが16〜18degの時、操作対象物の動作速度を第4速度としている。第4速度は、操作対象物が最も速く動く速度である。尚、第4速度の時の制御モードをオート制御モードに設定することができる。この場合、操作ノブ1を操作している手を離しても、操作対象物の動作が停止しないので、操作対象物(パワーウィンドー)を自動的に開閉させることができる。
【0071】
尚、操作対象物の動作速度を第3速度から第4速度とする場合、即ち、制御モードがマニュアル制御モードからオート制御モードに切り替えられる時に、操作角度Θが15degから16degになるタイミングに合わせて切り替えのクリック感が得られるように設定することができる。具体的には、前述したクリック付加部27のクリック付加支持台27c上の複数のカム面の傾斜角度やカム面の大きさを、適宜設定することによってクリック感を得ることができる。
【0072】
このように、検出される静電容量Cは、操作ノブ1の非操作時に最少であり、操作ノブ1を操作するに従って大きくなっていくので、操作ノブ1の操作角度Θの大きさによって操作対象物の動作速度を制御することが容易にできる。
【0073】
以上説明したように、本実施形態に係る位置検出装置は、操作ノブの操作位置を検出するための構造として、操作ノブの回動動作に伴って可動体を回動させて静電容量を検出する構造としているため、駆動部材としての可動体の上下方向の長さを長くする必要がない。従って、装置の薄型化を簡単な構造で実現することができる。
【0074】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。