特許第6302808号(P6302808)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6302808シミュレーション機能を備えたナースコールシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6302808
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】シミュレーション機能を備えたナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20180319BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20180319BHJP
【FI】
   A61G12/00 E
   H04M9/00 F
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-191342(P2014-191342)
(22)【出願日】2014年9月19日
(65)【公開番号】特開2016-59680(P2016-59680A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(72)【発明者】
【氏名】楠 浩和
(72)【発明者】
【氏名】尾関 誠
(72)【発明者】
【氏名】神谷 進吾
【審査官】 中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−103661(JP,A)
【文献】 特開2014−161370(JP,A)
【文献】 特開2013−150133(JP,A)
【文献】 特開2014−119942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
H04M 9/00− 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が看護師を呼び出すナースコール子機と、患者の呼び出しを看護師に報知するナースコール親機とを備え、
前記ナースコール親機に看護情報を表示する第1モニタを設け、該第1モニタが前記看護情報を表示した状態で手書き入力情報を受け付けるタッチパネルを含み、
前記タッチパネルに手書き入力モードを設定するための操作手段と、該操作手段が操作されたときに前記手書き入力情報を含む前記看護情報を記録する記録手段とを備えたことを特徴とするナースコールシステム。
【請求項2】
前記手書き入力情報を含む前記看護情報をシミュレーション情報として前記記録手段に記録させるとともに、オペレータの操作に応答し前記シミュレーション情報を前記記録手段から読み出して前記第1モニタに表示させる制御を行う制御手段を備えた請求項1記載のナースコールシステム。
【請求項3】
前記制御手段は前記シミュレーション情報を日付情報付の画像ファイルとして前記記録手段に保存させ、前記ナースコール親機が所望の画像ファイルをオペレータに選択させるための選択手段を備えた請求項2記載のナースコールシステム。
【請求項4】
前記ナースコール親機は、前記第1モニタに連係して前記看護情報を表示する第2モニタを備え、前記制御手段は、前記操作手段が操作されたときに、前記第1および第2モニタの連係を解除し、前記第1モニタに前記シミュレーション情報を表示させ、前記第2モニタに前記ナースコール子機からの呼び出しを報知するためのナースコール呼出画面を表示させる制御を行う請求項2又は3記載のナースコールシステム。
【請求項5】
前記第1モニタに連係して前記看護情報を表示する第3モニタを備え、前記制御手段は、前記操作手段が操作されたときに、前記第1および第3モニタの連係を解除し、前記第1モニタに前記シミュレーション情報を表示させ、前記第3モニタに前記ナースコール子機からの呼び出しを報知するためのナースコール呼出画面を表示させる制御を行う請求項2,3又は4記載のナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手書き情報を含む看護情報をモニタに表示させて、看護業務のシミュレーションを行う機能を備えたナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院等では、看護師が入院患者の状況や看護体制を確認したり、看護師と医師または看護師同士で連絡事項を申し送りしたりしている。このとき、従来は、ホワイトボード等を使用し、確認事項や連絡事項をメモ書きし、そのメモをデジカメで撮影して記録として残していた。
【0003】
特許文献1には、看護情報の確認忘れを防止するために、ナースコール親機のモニタに患者の手術予定、退院予定、注意事項等の確認事項の有無をアイコンで表示させるナースコールシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−304552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来のシステムによると、入院病室の位置や担当看護師が誰か、勤務時間帯ごとの看護師の状況はどのようになっているのかなど、看護情報が分かりにくく、分かったとしてもその情報をホワイトボードに転記するのに手間がかかった。
【0006】
特許文献1のナースコールシステムは、アイコンの情報量が少ないうえ、情報入力にキーボードを使用する面倒があった。特に、ベッドの入れ替えなど、複数の看護師に関係する業務シミュレーション情報は、その伝達効率が悪いという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、手書き情報を用いて業務シミュレーションを容易に行うことができ、シミュレーション情報を効率よく正確に伝達できるナースコールシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は次のようなナースコールシステムを提供する。
(1)患者が看護師を呼び出すナースコール子機と、患者の呼び出しを看護師に報知するナースコール親機とを備え、ナースコール親機に看護情報を表示する第1モニタを設け、第1モニタが看護情報を表示した状態で手書き入力情報を受け付けるタッチパネルを含み、タッチパネルに手書き入力モードを設定するための操作手段と、操作手段が操作されたときに手書き入力情報を含む看護情報を記録する記録手段とを備えたことを特徴とするナースコールシステム。
【0009】
(2)手書き入力情報を含む看護情報をシミュレーション情報として記録手段に記録させるとともに、オペレータの操作に応答してシミュレーション情報を記録手段から読み出して第1モニタに表示させる制御を行う制御手段を備えたことを特徴とする上記(1)に記載のナースコールシステム。
【0010】
(3)制御手段がシミュレーション情報を日付情報付の画像ファイルとして記録手段に保存させ、ナースコール親機が所望の画像ファイルをオペレータに選択させるための選択手段を備えたことを特徴とする上記(2)に記載のナースコールシステム。
【0011】
(4)ナースコール親機は、第1モニタに連係して看護情報を表示する第2モニタを備え、制御手段は、操作手段が操作されたときに、第1および第2モニタの連係を解除し、第1モニタにシミュレーション情報を表示させ、第2モニタにナースコール子機からの呼び出しを報知するためのナースコール呼出画面を表示させる制御を行うことを特徴とする上記(2)又は(3)に記載のナースコールシステム。
【0012】
(5)第1モニタに連係して看護情報を表示する第3モニタを備え、制御手段は、操作手段が操作されたときに、第1および第3モニタの連係を解除し、第1モニタにシミュレーション情報を表示させ、第3モニタにナースコール子機からの呼び出しを報知するためのナースコール呼出画面を表示させる制御を行うことを特徴とする上記(2)〜(4)の何れか一つに記載のナースコールシステム。
【発明の効果】
【0013】
本発明のナースコールシステムによれば、ナースコール親機の第1モニタにタッチパネルを設け、タッチパネルで入力した手書き情報を看護情報と一緒に記録するように構成したので、手書き情報を用いて業務シミュレーションを容易に行うことができ、そのシミュレーション結果を複数の看護師に効率よく正確に伝達できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態を示すナースコールシステムの全体図である。
図2】ナースコール親機の構成を示すブロック図である。
図3】ナースコール親機の2つのモニタによる連係動作を示すモデル図である。
図4】第3モニタのナースコール呼出画面を示すモデル図である。
図5】第1モニタのシミュレーション画面を例示するモデル図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すナースコールシステム1は、患者が病室で看護師を呼び出すためのナースコール子機2、病室前の廊下で患者からの呼び出しを表示する廊下灯3、患者の呼び出しを看護師に報知するためのナースコール親機4、看護師や医師が携帯するスマートフォン5、基地局6を介してスマートフォン5と交信する交換機7、病院のオーダリングシステム(図示略)から患者情報や看護師情報を含む看護情報を取得して蓄積するナースコールサーバ8、ナースコール親機4に付属するサブディスプレイ9、および、ナースコールシステム1の全体を制御する制御機10から構成されている。
【0016】
ナースコール親機4は、ナースセンター12の壁面に設置され、通話用のハンドセット13と、看護情報を表示する大型の第1モニタ14と、第1モニタ14に連係して看護情報を表示する小型の第2モニタ15とを装備している。サブディスプレイ9は、ナースセンター12の天井近くに設置された第3モニタであって、看護情報を第1モニタ14に連係して更に大型の画面に表示できるようになっている。第1モニタ14および第2モニタ15にはそれぞれタッチパネル16,17(図2参照)が設けられ、第1モニタ14のタッチパネル16に手書き入力用のタッチペン18が付設されている。
【0017】
図2に示すように、ナースコール親機4の電子制御系には、シミュレーション情報記憶部21、操作情報処理部22、通話部23、モニタ制御部24、親機CPU25および親機インターフェース26が設けられている。親機インターフェース26は、伝送線L1を介してナースコールサーバ8に接続されるとともに、伝送線L2を介して制御機10に接続されている。親機CPU25は、ナースコールサーバ8から受信した看護情報をシミュレーション情報記録部21に記録させるとともに、モニタ制御部24を介して第1、第2、第3モニタ14,15,9に表示させる。
【0018】
第1モニタ14のタッチパネル16は、第1モニタ14に看護情報が表示された状態で、タッチペン18またはオペレータの指先によって入力された手書き情報を受け付け、シミュレーション情報記憶部21に提供する。また、第1および第2モニタ14,15は画面上に看護情報と併せて各種の操作ボタンを表示し、各モニタ14,15のタッチパネル16,17がオペレータにより操作された情報を操作情報処理部22を介して親機CPU25に提供する。
【0019】
第1および第2モニタ14,15に表示される操作ボタンには、第1モニタ14のタッチパネル16に手書き入力モードを設定するための手書き開始ボタン31(図3参照)、手書き情報および看護情報を含むシミュレーション情報を記憶部21に保存するための保存ボタン30、シミュレーション情報を記憶部21から読み出すための読出ボタン32、第1モニタ14の表示情報をプリンタ27で印刷するための印刷ボタン33などが含まれている。そして、親機CPU25は、これらのボタンが操作されたときに、次に述べるような制御を行うようになっている。
【0020】
図3に示すように、ナースコール子機2からの呼び出しを待ち受けているときには、第1モニタ14に病棟のレイアウト、ベッド番号、患者名などを示す看護情報表示画面41が表示され、第2モニタ15にメニュー画面が表示され、第3モニタ9に第1モニタ14の看護情報表示画面41とほぼ同じ内容の待ち受け画面(図示略)が表示される。
【0021】
ナースコール子機2からの呼び出しが発生すると、第1モニタ14が、看護情報表示画面41中に呼出元のベッド番号を強調表示するとともに、そのベッド番号に関連付けられた患者情報を拡大して示すポップアップ表示42を点滅させる。第2モニタ15は、第1モニタ14と連携し、ナースコール子機2からの呼び出しを看護師に知らせるためのナースコール呼出画面43を表示する。また、図4に示すように、第3モニタ9は、第1モニタ14と連携し、第1モニタ14と同じ強調表示およびポップアップ表示42を含むナースコール呼出画面44を表示する。
【0022】
一方、朝の申し送り時などに看護師や医師が手書き開始ボタン31を操作すると、図5に示すように、第1モニタ14にシミュレーション表示画面45が表示される。シミュレーション表示画面45には、複数の看護情報表示画面のうちから選択してコピー&ペーストされた看護情報36、タッチペン18が使用する手書きツール37、タッチペン18の色を選択するパレット38が用意されている。ここで、オペレータは、タッチペン18または指先でベッドの入れ替えを指示したり、看護体制の検討結果を記入したりするなどのシミュレーション作業を行うことができる。
【0023】
シミュレーション作業が終了し、オペレータが保存ボタン30を押すと、親機CPU25は、手書き情報および看護情報を含むシミュレーション情報をシミュレーション記録部21に記録させる。また、オペレータが読出ボタン32を押すと、親機CPU25は、シミュレーション情報を記録部21から読み出して、第1モニタ14に表示させる。ここで、シミュレーション情報は日付情報付の画像ファイルとして記録部21に複数保存されているため、オペレータはページ送りボタン34を操作して前日、翌日または数日先のシミュレーション情報を選択し、必要な看護情報36をシミュレーション表示画面45上に表示させることができる。
【0024】
また、親機CPU25は、手書き開始ボタン31が操作されたときに、第1モニタ14と第2モニタ15の連係、および、第1モニタ14と第3モニタ9の連係をそれぞれ解除し、第1モニタ14にシミュレーション表示画面45を表示させ、第2および第3モニタ15,9にナースコール子機2からの呼び出しを報知するためのナースコール呼出画面43,44(図4参照)を表示させる制御を行う。このため、シミュレーション作業中にナースコール呼出が発生した場合でも、ナースセンタ12内の看護師は第2モニタ15または第3モニタ9の表示に従い、子機2からの呼び出しに速やかに応答することができる。
【0025】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、3つのモニタ9,14,15の看護情報や呼出情報の表示形態を変更したり、第1モニタ14のタッチパネル16上の操作ボタン30〜33を第2モニタ15のタッチパネル17上に表示したりするなど、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の構成を適宜変更して実施することも可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 ナースコールシステム
2 ナースコール子機
4 ナースコール親機
9 第3モニタ
10 制御機
14 第2モニタ
15 第3モニタ
16 第1モニタのタッチパネル
17 第2モニタのタッチパネル
21 シミュレーション情報記録部
25 親機CPU
30 保存ボタン
31 手書き開始ボタン
34 ページ送りボタン
43 第2モニタのナースコール呼出画面
44 第3モニタのナースコール呼出画面
45 第1モニタのシミュレーション表示画面
図1
図2
図3
図4
図5