特許第6302829号(P6302829)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6302829
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】グロメット
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/22 20060101AFI20180319BHJP
   F16B 19/00 20060101ALI20180319BHJP
   F16L 5/02 20060101ALI20180319BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20180319BHJP
【FI】
   H02G3/22
   F16B19/00 F
   F16B19/00 H
   F16L5/02 A
   B60R16/02 622
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-250382(P2014-250382)
(22)【出願日】2014年12月10日
(65)【公開番号】特開2016-116250(P2016-116250A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2016年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】岡本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】堀 博文
(72)【発明者】
【氏名】嵐 真人
(72)【発明者】
【氏名】岡田 直也
【審査官】 松尾 俊介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−160329(JP,A)
【文献】 実開平03−066121(JP,U)
【文献】 特開平09−117040(JP,A)
【文献】 特開2005−083511(JP,A)
【文献】 特開2003−032858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/22
B60R 16/02
F16B 19/00
F16L 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状部材が挿通可能な本体円筒部と、
前記本体円筒部の軸線方向の一端部に連結され、被取付け部材に穿設されている開口部に挿入可能な取付け円筒部と、
前記取付け円筒部の外周に形成され、前記開口部の周縁部に弾性変形により係合可能な係合部と、
前記本体円筒部と前記取付け円筒部との境界の内周部に形成され、前記線状部材を保持可能であると共に、内径が前記本体円筒部の内径及び前記取付け円筒部の内径より小さい保持部と、を有し、
前記本体円筒部の内周面と前記取付け円筒部の内周面との双方が前記保持部に向かって縮径したすり鉢状とされ、
前記軸線に沿った断面で、前記軸線に対して傾斜した前記線状部材の直線部分が、前記保持部に向かって縮径したすり鉢状の前記内周面に沿うようになっており、
前記係合部は、前記取付け円筒部において縮径化された部分に前記被取付け部材が配置されるように、前記開口部の周縁部と係合するようになっているグロメット。
【請求項2】
前記保持部に周方向に間隔を開けて突出形成され、前記軸線方向に沿って延びる複数の凸部を有する請求項1に記載のグロメット。
【請求項3】
前記本体円筒部の前記軸線方向の長さは、前記取付け円筒部の前記軸線方向の長さより長い請求項1又は2に記載のグロメット。
【請求項4】
前記取付け円筒部の外周部に形成され、前記開口部の内周壁に当接する当接部を有する請求項1〜3の何れか1項に記載のグロメット。
【請求項5】
前記軸線に沿った断面で、前記本体円筒部の内周面における前記軸線からの開き角と、前記取付け円筒部の内周面における前記軸線からの開き角とが等しくなっている請求項1〜4の何れか1項に記載のグロメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤ等の線状部材をプレート等の被取付け部材に互いの干渉を回避して保持するためのグロメットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のグロメットとして、例えば、特許文献1に示すものが知られている。このグロメットは、グロメット本体に、被取付け部材の開口部に取り付ける円筒部と、線状部材を保持する保持部とを突設し、保持部から径方向に向けて形成したスリットの端面に沿って形成したリブを介して円筒部と保持部とを連続形成している。また、円筒部の外周には、被取付け部材の開口部に係合する爪部を形成すると共に、爪部の両側に所定間隔を開けて突部を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4339054号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のグロメットでは、保持部に金属ワイヤ等の硬質の線状部材を保持する場合に、線状部材がグロメットの軸線方向に対して傾斜していると、保持部に線状部材を保持することができない。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、線状部材がグロメットの軸線方向に対して傾斜している場合にも、線状部材を保持可能なグロメットを得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明のグロメットは、線状部材が挿通可能な本体円筒部と、前記本体円筒部の軸線方向の一端部に連結され、被取付け部材に穿設されている開口部に挿入可能な取付け円筒部と、前記取付け円筒部の外周に形成され、前記開口部の周縁部に弾性変形により係合可能な係合部と、前記本体円筒部と前記取付け円筒部との境界の内周部に形成され、前記線状部材を保持可能であると共に、内径が前記本体円筒部の内径及び前記取付け円筒部の内径より小さい保持部と、を有し、前記本体円筒部の内周面と前記取付け円筒部の内周面との双方が前記保持部に向かって縮径したすり鉢状とされ、前記軸線に沿った断面で、前記軸線に対して傾斜した前記線状部材の直線部分が、前記保持部に向かって縮径したすり鉢状の前記内周面に沿うようになっており、前記係合部は、前記取付け円筒部において縮径化された部分に前記被取付け部材が配置されるように、前記開口部の周縁部と係合するようになっている。
【0007】
請求項1に記載の発明のグロメットでは、本体円筒部の軸線方向の一端部に連結された取付け円筒部を被取付け部材に穿設されている開口部に挿入すると、取付け円筒部の外周に形成された係合部が開口部の周縁部に弾性変形により係合し、グロメットを被取付け部材に取付けることができる。また、線状部材をグロメットに通すと、本体円筒部と取付け円筒部との境界の内周部に形成された保持部が線状部材を保持する。さらに、保持部の内径が本体円筒部の内径及び取付け円筒部の内径より小さく、本体円筒部の内周面と取付け円筒部の内周面との少なくも一方が保持部に向かって縮径したすり鉢状である。このため、内周面がすり鉢状となった本体円筒部又は取付け円筒部から線状部材をグロメットに容易に挿入することができると共に、線状部材がグロメットの軸線方向に対して傾斜している場合にも、グロメットの保持部に線状部材を保持することができる。
【0009】
また、本体円筒部の内周面、及び取付け円筒部の内周面の双方をすり鉢状にすることで、線状部材の挿入をさらに容易にすることができると共に、線状部材をより安定して保持することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は請求項1に記載のグロメットにおいて、前記保持部に周方向に間隔を開けて突出形成され、前記軸線方向に沿って延びる複数の凸部を有する。
【0011】
請求項2に記載の発明のグロメットでは、保持部に周方向に間隔を開けて、軸線方向に沿って延びる複数の凸部が突出形成されている。このため、凸部が線状部材に当接することで、保持部と線状部材との摺動抵抗を低減することができ、グロメットに線状部材を通し易くなる。また、凸部によって線状部材のガタつきを抑えることができると共に、線状部材のガタつきに対する調整も、凸部の高さを変えれば良いため、調整及び設定が容易になる。
【0012】
請求項3に記載の発明は請求項1又は2に記載のグロメットにおいて、前記本体円筒部の前記軸線方向の長さは、前記取付け円筒部の前記軸線方向の長さより長い。
【0013】
請求項3に記載の発明のグロメットでは、本体円筒部の軸線方向の長さが取付け円筒部の軸線方向の長さより長い。このため、グロメットの取付け円筒部を被取付け部材に穿設されている開口部に挿通する際に、本体円筒部を持ち易いので組付け作業性がよい。また、装着後、引っ張って抜けないことを確認する際にも、本体円筒部を持ち易く作業性がよい。
【0014】
請求項4に記載の発明は請求項1〜3の何れか1項に記載のグロメットにおいて、前記取付け円筒部の外周部に形成され、前記開口部の内周壁に当接する当接部を有する。
【0015】
請求項4に記載の発明のグロメットでは、被取付け部材に穿設されている開口部の内周壁に当接する当接部が、取付け円筒部の外周部に形成されている。このため、被取付け部材に穿設されている開口部にグロメットの取付け円筒部を取り付けた状態で、当接部が被取付け部材に穿設されている開口部の内周壁に当接することで、グロメットの被取付け部材に対してのがたつきを防止できる。
請求項5に記載の発明は請求項1〜4の何れか1項に記載のグロメットにおいて、前記軸線に沿った断面で、前記本体円筒部の内周面における前記軸線からの開き角と、前記取付け円筒部の内周面における前記軸線からの開き角とが等しくなっている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の本発明のグロメットは、上記構成としたので、線状部材がグロメットの軸線方向に対して傾斜している場合にも、線状部材を保持可能である。
【0017】
また、上記構成としたので、線状部材の挿入をさらに容易にすることができると共に、線状部材をより安定して保持することができる。
【0018】
請求項2に記載の本発明のグロメットは、上記構成としたので、線状部材を通し易くできる。また、凸部によって線状部材のガタつきを抑えることができると共に、線状部材のガタつきに対する調整及び設定が容易になる。
【0019】
請求項3に記載の本発明のグロメットは、上記構成としたので、被取付け部材に穿設されている開口部への装着作業性及び組付け確認の作業性が向上する。
【0020】
請求項4に記載の本発明のグロメットは、上記構成としたので、被取付け部材に対してのがたつきを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係るグロメットを示す図5の1−1断面線に沿った断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るグロメットを示す軸線方向の一方から見た斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るグロメットを示す軸線方向の他方から見た斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係るグロメットを示す側面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るグロメットを示す軸線方向の一方から見た平面図である。
図6】本発明の一実施形態に係るグロメットを示す軸線方向の他方から見た平面図である。
図7】本発明の一実施形態に係るグロメットが適用されたシートバッグフレームを示す車両前方から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態に係るグロメットについて図1図7に従って説明する。なお、図1及び図7にされる矢印UPは、グロメットが装着された車両用シート(座席)の上方向を示しており、INは車両用シートの幅方向内側を示している。
【0023】
図7に示すように、本実施形態の車両用シート10は、乗員が着座するシートクッション(図示省略)と、車両用シート10に着座した乗員の背部を支えるシートバック12とを備えている。
【0024】
シートバック12の内部には、シートバック12の骨格を構成するシートバックフレーム14が設けられている。このシートバックフレーム14は、左右のサイドフレーム16、18と、左右のサイドフレーム16、18の上端に架け渡されたアッパフレーム20と、左右のサイドフレーム16、18の下端に架け渡されたロアフレーム22と、を有している。
【0025】
アッパフレーム20の両端部20Aとロアフレーム22の両端部22Aとの間には、金属ワイヤ等からなる硬質の線状部材としてのシートバックバネ30が架設されている。シートバックバネ30の上端部30Aは、本実施形態のグロメット32を介して、アッパフレーム20の両端部20Aに取付けられている。
【0026】
なお、シートバックバネ30の下部30Bはそれぞれクリップ34を介して、ロアフレーム22の両端部22Aに取付けられている。また、シートバックバネ30には、クリップ36、38を介して、シートバックパネル39が固定されている。
【0027】
(グロメットの構成)
図1に示すように、本実施形態のグロメット32は、被取付け部材としてのアッパフレーム20の取付け部40に穿設されている円形の開口部42に取付け可能となっている。なお、アッパフレーム20の取付け部40は、シート幅方向内側上方からシート幅方向外側下方へ向かって傾斜した傾斜面となっている。
【0028】
図2及び図3に示すように、グロメット32は、グロメット32の軸線32Aに沿った方向から見た形状が断面円形の筒状となっており、筒状の内部に線状部材としてのシートバックバネ30(図1参照)が挿通可能となっている。また、グロメット32は軸線32Aの方向に沿って一方が本体円筒部46となっており、この本体円筒部46の一端部に連結され、軸線32Aの方向に沿った他方となる部位が取付け円筒部48となっている。
【0029】
図1に示すように、グロメット32の本体円筒部46と取付け円筒部48との境界の内周部には保持部50が形成されている。保持部50の内径R1は、本体円筒部46の内径R2及び、取付け円筒部48の内径R3より小さくなっている(R1<R2、R3)。なお、本体円筒部46における取付け円筒部48と反対側の端部46Aの内径は、取付け円筒部48における本体円筒部46と反対側の端部48Aの内径より大きくなっている。
【0030】
また、本実施形態では、本体円筒部46の内周面46Bと取付け円筒部48の内周面48Bとの双方が保持部50に向かって縮径した、すり鉢状となっている。なお、本体円筒部46の内周面46Bのグロメット32の軸線32Aからの開き角θ1と、取付け円筒部48の内周面48Bのグロメット32の軸線32Aからの開き角θ2と、が等しくなっている。
【0031】
図5及び図6に示すように、保持部50には複数の凸部52が突出形成されている。これらの凸部52はグロメット32の周方向に沿って等間隔で4箇所形成されており、グロメット32の軸線32Aに沿った方向から見た凸部52の形状は矩形状となっている。
【0032】
図1に示すように、凸部52はグロメット32の軸線32Aの方向に延びている。また、凸部52の一方の端部52Aが本体円筒部46の内周面46Bに達しており、凸部52の他方の端部52Bが取付け円筒部48の内周面48Bに達している。なお、凸部52の突出量(厚さ)M1は長手方向(軸線32Aの方向)に沿って一定となっている。
【0033】
従って、図5及び図6に示すように、凸部52がシートバックバネ30に当接することで、保持部50とシートバックバネ30との摺動抵抗を低減することができるようになっている。
【0034】
図3に示すように、取付け円筒部48と本体円筒部46との連結部の外周には、フランジ部54が径方向外側に向かってリング状に突出形成されている。
【0035】
図4に示すように、フランジ部54からグロメット32の軸線32Aに沿った方向の本体円筒部46の長さL1は、フランジ部54からグロメット32の軸線32Aに沿った方向の取付け円筒部48の長さL2より長くなっている(L1>L2)。このため、グロメット32をアッパフレーム20の取付け部40に穿設されている開口部42に挿通する際に、作業者が本体円筒部46を持ち易くなっている。また、装着後、グロメット32を引っ張って抜けないことを確認する際にも、作業者が本体円筒部46を持ち易くなっている。
【0036】
図2及び図3に示すように、フランジ部54と本体円筒部46との間にはリブ56が形成されている。リブ56はグロメット32の周方向に沿って等間隔で4箇所形成されており、凸部52に対して周方向へ45°ずれた位置に形成されている。また、図4に示すように、グロメット32の周方向に沿った方向から見たリブ56の形状は、本体円筒部46の取付け円筒部48と反対側の端部46Aとフランジ部54の外周とに達する三角形状となっている。
【0037】
図3に示すように、取付け円筒部48の外周には係合部としての係合爪60が形成されている。係合爪60はグロメット32の周方向に沿って等間隔で2箇所形成されており、リブ56と周方向の同じ位置に形成されている。また、係合爪60の周方向両側と、フランジ部54側には切欠62が連続して形成されており、係合爪60はフランジ部54と反対側に形成されたヒンジ部60Aによって、取付け円筒部48の半径方向外側と半径方向内側とへ弾性変形可能となっている。
【0038】
図4に示すように、グロメット32の周方向に沿った方向から見た係合爪60の形状は山形となっており、アッパフレーム20の取付け部40に穿設されている円形の開口部42の周縁部に弾性変形により係合可能となっている。
【0039】
従って、取付け円筒部48をアッパフレーム20の取付け部40に穿設されている円形の開口部42に挿入すると、係合爪60が開口部42と摺動して、取付け円筒部48の半径方向内側へ弾性変形し、その後、半径方向外側に戻るようになっている。このため、アッパフレーム20の取付け部40に穿設されている円形の開口部42の周縁部が、係合爪60とフランジ部54との間に挟持されるようになっている。
【0040】
図3に示すように、取付け円筒部48の外周部におけるフランジ部54側の部位には複数の当接部66が形成されている。これらの当接部66は係合爪60の周方向両側に隣接する部位と、係合爪60から周方向へ90°離間した位置に形成されている。
【0041】
図1に示すように、取付け円筒部48をアッパフレーム20の取付け部40に穿設されている円形の開口部42に挿入し、グロメット32をアッパフレーム20に取付けると、複数の当接部66が開口部42の内周壁に当接するようになっている。このため、グロメット32のアッパフレーム20に対してのがたつきを防止できるようになっている。
(作用・効果)
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0042】
図4に示すように、本実施形態のグロメット32では、取付け円筒部48をアッパフレーム20の取付け部40に穿設されている円形の開口部42に挿入する。これにより、取付け円筒部48の外周に形成された係合爪60が開口部42の周縁部に弾性変形により係合し、グロメット32をアッパフレーム20の取付け部40に取付けることができる。
【0043】
また、図1に示すように、シートバックバネ30の上端部30Aをグロメット32に通すと、本体円筒部46と取付け円筒部48との境界の内周部に形成された保持部50がシートバックバネ30の上端部30Aを保持する。そして、保持部50の内径R1が本体円筒部46の内径R2及び、取付け円筒部48の内径R3より小さくなっており、本体円筒部46の内周面46Bと取付け円筒部48の内周面48Bとの双方が保持部50に向かって縮径した、すり鉢状となっている。
【0044】
このため、本実施形態のグロメット32では、内周面がすり鉢状となった本体円筒部46又は取付け円筒部48からシートバックバネ30をグロメット32に容易に挿入することができる。また、図1に示すように、シートバックバネ30の上端部30Aに対してグロメット32の軸線32Aが傾斜している場合にも、グロメット32の保持部50にシートバックバネ30の上端部30Aを保持することができる。
【0045】
なお、シートバックバネ30の上端部30Aに対してグロメット32の軸線32Aが傾斜していない場合にも、グロメット32の保持部50にシートバックバネ30の上端部30Aを保持することができる。
【0046】
また、本実施形態のグロメット32では、保持部50に4本の凸部52が突出形成されており、各凸部52はグロメット32の軸線32Aの方向に延びている。このため、図5及び図6に示すように、凸部52がシートバックバネ30に当接することで、保持部50とシートバックバネ30との摺動抵抗を低減することができる。この結果、グロメット32にシートバックバネ30を通し易くなる。また、凸部52によってシートバックバネ30のガタつきを抑えることができると共に、シートバックバネ30のガタつきに対する調整も、凸部52の高さを変えれば良いため、調整及び設定が容易になる。
【0047】
また、本実施形態のグロメット32では、図4に示すように、グロメット32の軸線32Aに沿った方向の本体円筒部46の長さL1が、グロメット32の軸線32Aに沿った方向の取付け円筒部48の長さL2より長くなっている(L1>L2)。このため、作業者がグロメット32をアッパフレーム20の取付け部40に穿設されている開口部42に挿通する際に、本体円筒部46を持ち易いので作業性がよい。また、グロメット32の装着後、作業者がグロメット32を引っ張って抜けないことを確認する際にも、本体円筒部46を持ち易いため作業性がよい。
【0048】
また、本実施形態のグロメット32では、図1に示すように、取付け円筒部48をアッパフレーム20の取付け部40に穿設されている円形の開口部42に挿入し、取付けると、複数の当接部66が開口部42の内周壁に当接する。このため、グロメット32のアッパフレーム20に対してのがたつきを防止できる。
(その他の実施形態)
以上に於いては、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、グロメット32の本体円筒部46の内周面46Bと取付け円筒部48の内周面48Bとの双方を保持部50に向かって縮径した、すり鉢状とした。これに代えて、本体円筒部46の内周面46Bと取付け円筒部48の内周面48Bとの何れか一方のみを保持部50に向かって縮径した、すり鉢状とし、他方を内径が保持部50の内径より大きな円筒状としてもよい。
【0049】
なお、何れか一方のみを保持部50に向かって縮径することで、両方が縮径されていない場合と比して、シートバックバネ30の上端部30Aに対してグロメット32の軸線32Aが傾斜している場合にも、グロメット32の保持部50にシートバックバネ30の上端部30Aを保持することができる。
【0050】
また、上記実施形態では、本体円筒部46の内周面46Bのグロメット32の軸線32Aからの開き角θ1と、取付け円筒部48の内周面48Bのグロメット32の軸線32Aからの開き角θ2と、を等しくした。これに代えて、本体円筒部46の内周面46Bのグロメット32の軸線32Aからの開き角θ1と、取付け円筒部48の内周面48Bのグロメット32の軸線32Aからの開き角θ2と、を異なる角度にしてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、グロメット32を線状部材としてのシートバックバネ30の被取付け部材としてのアッパフレーム20への取付けに適用したが、線状部材はシートバックバネ30に限定されず、ワイヤ等の他の線状部材としてもよい。また、被取付け部材はアッパフレーム20に限定されず、ロアフレーム22等の他の被取付け部材としてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、グロメット32の保持部50に4本の凸部52が突出形成したが、保持部50は3本、5本等の他の本数でもよく、凸部52を設けない構成としてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、フランジ部54からグロメット32の軸線32Aに沿った方向の本体円筒部46の長さL1を、フランジ部54からグロメット32の軸線32Aに沿った方向の取付け円筒部48の長さL2より長くした(L1>L2)。これに代えて、本体円筒部46の長さL1と取付け円筒部48の長さL2とを同じにしてもよい(L1=L2)。また、本体円筒部46の長さL1を取付け円筒部48の長さL2より短くしてもよい(L1<L2)。
【0054】
また、上記実施形態では、グロメット32の取付け円筒部48の外周部に複数の当接部66を形成したが、当接部66を設けない構成としてもよい。
【0055】
また、本発明のグロメットは車両用シート以外の他の部位にも適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
20 アッパフレーム(被取付け部材)
30 シートバックバネ(線状部材)
32 グロメット
32A グロメットの軸線
42 アッパフレームの開口部
46 本体円筒部
48 取付け円筒部
50 保持部
52 凸部
54 フランジ部
60 係合爪(係合部)
66 当接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7