(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6302913
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】経腸栄養チューブ配置用固定部品
(51)【国際特許分類】
A61J 15/00 20060101AFI20180319BHJP
【FI】
A61J15/00 Z
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-533723(P2015-533723)
(86)(22)【出願日】2013年9月12日
(65)【公表番号】特表2015-530176(P2015-530176A)
(43)【公表日】2015年10月15日
(86)【国際出願番号】IB2013058501
(87)【国際公開番号】WO2014049478
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2016年8月22日
(31)【優先権主張番号】61/707,318
(32)【優先日】2012年9月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/674,514
(32)【優先日】2012年11月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514300557
【氏名又は名称】アヴェント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タイ、コクミン
(72)【発明者】
【氏名】バグウェル、アリソン・エス
(72)【発明者】
【氏名】マクマイケル、ドナルド、ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー、ニール・エム
(72)【発明者】
【氏名】タルコー、ベノーン
【審査官】
佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0234801(US,A1)
【文献】
米国特許第6186985(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0078176(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルを瘻孔を通して体腔に挿入するとき、該カテーテルを案内するための構造支持部を有する固定部品であって、
前記カテーテルは、使用時に前記体腔内で展開される固定用のリテーナを有し、
前記固定部品は、
遠位端及び近位端を有する膨張可能な固定用のバルーンを前記構造支持部上に備え、
固定用の前記バルーンは、少なくとも1つのカラーを前記遠位端または前記近位端において有し、
前記バルーンは、前記バルーンの前記近位端に凹部が形成される膨張時形状を有し、
前記バルーンは、体腔内で膨張したとき、体腔内で展開された前記カテーテルの前記固定用のリテーナを、前記凹部が受容するように構成されることを特徴とする固定部品。
【請求項2】
前記バルーンは、円錐形及び半球形からなる群から選択された形状を有することを特徴とする請求項1に記載の固定部品。
【請求項3】
前記カテーテルは、栄養チューブの部品であり、
前記バルーンは、頂部と基部とを備えた形状を有し、前記基部は患者の内側腹壁に接触し、前記基部は、前記リテーナより大きい幅を有することを特徴とする請求項1に記載の固定部品。
【請求項4】
前記バルーンは、非柔軟または半柔軟であるポリマーから作られることを特徴とする請求項1に記載の固定部品。
【請求項5】
前記バルーンに対して形状保持を与えるための、前記基部の一点から他の一点にわたる補強結合部を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の固定部品。
【請求項6】
固定用の前記バルーンに対してより大きな膨張時形状保持を与えるための、固定用の前記バルーンの周囲のスカート部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の固定部品。
【請求項7】
前記バルーンが、前記頂部と前記基部との間に壁を有し、前記壁は前記頂部及び前記基部より硬いことを特徴とする請求項3に記載の固定部品。
【請求項8】
前記カテーテルは、経腸栄養チューブの部品であり、
前記固定部品は、瘻孔を拡張するための別体の拡張用バルーンを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の固定部品。
【請求項9】
固定用の前記バルーンと前記拡張用バルーンとは、互いに一体に結合され、かつ別々の膨張用ルーメンを前記構造支持部内に有することを特徴とする請求項8に記載の固定部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2012年9月28日出願の米国仮出願第61/707318号を基礎とする優先権を主張する。
【0002】
本発明は、栄養チューブ等のカテーテル、及び患者の身体へのその配置に関する。
【背景技術】
【0003】
所望の医療上の目標を達成するために体腔にカテーテルを挿入することが必要となる状況が数多く存在する。比較的一般的な状況の1つとして、胃または小腸内に栄養液または薬液を直接注入することが挙げられる。胃壁または腸壁に瘻孔が形成され、カテーテルはその瘻孔を通して配置される。この外科的な開口及び/又は開口を形成する処置は、通常「胃瘻造設」と称される。栄養液をカテーテルを通して注入することによって、胃または腸に栄養を直接供給することができる(経腸栄養として知られている)。長年にわたって経腸栄養のための様々な異なる種類のカテーテルが開発されてきた。そのようなカテーテルの中には、カテーテルの患者の皮膚に接触する部分に対して「低プロファイル」のものもあれば、より伝統的な、即ち低プロファイルでない形状のものもある。これらの経皮導管カテーテル(「経皮導管チューブ」と称されることもある)は、「胃瘻カテーテル」、「経皮胃瘻カテーテル」、「PEGカテーテル」、または「経腸栄養カテーテル」と称されることも多い。2000年2月1日にPichaらに付与された「Low Profile Balloon Feeding Balloon」についての米国特許第6019746号(特許文献1)は、1個バルーンの例を提示している。
【0004】
これらのカテーテルは、経皮内視鏡下胃瘻造設術(PEGと称されることが多い)と呼ばれる処置においてよく用いられる。従来は、PEGチューブは内視鏡によるガイドまたはX線によるガイドを用いて設置された。PEGチューブを患者の胃内に配置する従来のPEG処置では、内視鏡を用いて、患者の食道が閉塞されていないことを観察するとともに、胃を検査し膨張させて胃瘻造設のために選択された領域が拡張可能であることを確認する。そして、その位置が適切であれば、その領域を選択する。
【0005】
皮膚に小切開部が形成され得る適切な位置の領域において患者にニードルを穿刺する。訓練を受けた内視鏡操作者(endoscopist)は、その後、一般的には、患者の皮膚、腹壁を通して選択された領域の胃管腔内にニードルが穿刺されてニードル管が形成されると、内視鏡を通して観察を行う。ガイドワイヤが胃管腔(例えば胃)の内部に通される。内視鏡操作者は、内視鏡のスネアを用いてガイドワイヤをしっかりと把持する。内視鏡の操作チャネルを通されて、スネアはガイドワイヤをしっかりと把持する。次に内視鏡とスネアの両方が、一緒に患者の口を通して引き抜かれ、ガイドワイヤがそれらとともに引っ張られる。患者の口から引き出されたガイドワイヤの端部は、その後、固定要素に取りつけられ、ガイドワイヤの他端は患者の腹部領域の皮膚の外部に残る状態となる。固定要素は、(典型的には内視鏡が患者から完全に取り出されている間に)患者の口腔内に案内され、ガイドワイヤが患者の皮膚の外部に残っている端部から引っ張られると患者の胃管腔内に引き込まれる。ひとたび固定要素が胃管腔内に入ると、固定要素は、瘻孔の点において腹壁にぴったりと付くよう引っ張られる。
【0006】
瘻孔が適切に拡張された後、胃が腹壁にぴったりと付くように保持されている間に、栄養チューブを瘻孔を通して挿入することが可能となる。栄養チューブは、栄養チューブの遠位端が挿入された後に胃内で膨張させることができるリテーナを有する。適切な栄養チューブの1つは、本出願人を譲受人とする、2011年9月26日出願の米国特許出願第13/245542号(米国特許出願公開第2012/0078174号)(特許文献2)に記載されている。特許文献2の栄養チューブは、リテーナとして膨張可能バルーンを用いていない。別の適切な栄養チューブは、米国特許第8177742号明細書(特許文献3)に開示されており、これはリテーナとして膨張可能なバルーンを用いている。
【0007】
栄養チューブリテーナの挿入及び展開または膨張の間に、固定要素が栄養チューブの膨張可能なリテーナの妨げとなり、栄養チューブの遠位端を完全に挿入するために固定要素を収縮させるか取り出さなければならないことがある。これによって、患者において創傷が加わることもあり、この種のリテーナをうまく挿入することが不可能になることも起こり得る。
【0008】
従って、使用者即ち医療提供者が患者の瘻孔を通して体腔内(例えば胃内腔内)に栄養チューブを配置することを迅速かつ容易に行えるようにする、改善された固定要素のニーズがある。そのような固定要素は、リテーナと協働しなければならず、その位置を保持しつつ栄養チューブの挿入は可能となるように設計される。この固定要素は、栄養チューブが挿入される際に栄養チューブの膨張可能なリテーナの妨げになってはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6019746号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2012/0078174号
【特許文献3】米国特許第8177742号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書に記載した困難や問題に対して、本発明は、望ましくは内視鏡を用いた直接可視化の下で胃管腔へ配置するための栄養チューブとともに使用する、革新的な固定部品を提供する。前記固定部品は、凹んだ、即ち凹面をなす中心部のある形状を有するバルーンを有し、その凹面をなす中心部が、挿入された栄養チューブの遠位端を収容する空間を提供する。前記固定部品は、胃を内側腹壁に対して保持する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、内側腹壁にぴったりと付くように引っ張られた胃の内部に配置された固定部品を、ガイドワイヤ上の断面において示す図である。
【
図2】
図2は、膨張された固定部品及び栄養チューブの断面図であり、栄養チューブが挿入されたときの両者の関係を示す。
【
図3A】
図3Aは、補強結合部を有する膨張した固定部品の断面図である。
【
図3B】
図3Bは、
図3Aに示す固定用バルーンの近位端の図であり、バルーンをともに保持している結合部を示す。
【
図4】
図4は、固定用バルーンの補強のためのスカート構造を有する膨張された固定部品の断面図である。
【
図5】
図5は、固定部品に対して補強を与えるより硬い壁(太い側部の線で示す)を有する、膨張された固定部品の断面図である。
【
図6】
図6は、近位端の中心部の凹面内に拡張用バルーンを収容している固定部品を示す図である。
【
図7A】
図7Aは、非膨張状態にあるバルーンリテーナを有する従来の経腸栄養チューブを示す図である。
【
図7B】
図7Bは、膨張状態にあるバルーンリテーナを有する従来の経腸栄養チューブを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、図面に示す1つ以上の実施形態及び実施例を参照して詳述する。なお、1つの実施形態の一部として図示または説明した特徴が別の実施形態で用いられることで、更に別の実施形態が生み出されることを理解されたい。
【0013】
胃は、胃管腔の一般的な例であることから、本発明の説明のために、用語「胃」は、特に断らない限り他の全ての胃管腔または腔(例えば、十二指腸、空腸、回腸等)の代表となる。
【0014】
固定部品10の機能は、経腸栄養チューブを配置している間及び配置後に、胃(または他の胃管腔)を腹壁に対して維持することである。
図1は、胃壁116が内側腹壁118に対してぴったりとくっついた状態となるように配置された構造支持部104上の固定用バルーン100を示す。
【0015】
図1に示すように、固定部品10は、構造支持部104上に膨張可能な固定用バルーン100を有する。固定用バルーン100は、遠位端103または近位端105上、またはその近傍に少なくとも1つのカラー102を有するが、
図2に示すように2つのカラーを有するのが望ましい。バルーン100は、望ましくは、その膨張時に結果的にバルーン100の近位端105に凹面が生ずるような円錐形を有する。その凹面は、望ましくは同心である。
【0016】
構造支持部104は、バルーン100に対して長く伸びており、バルーン100が必要に応じて膨張・収縮されるようにする、バルーンと連通した膨張用ルーメン107を有し得る。構造支持部104は、必要に応じてバルーン100を動かすために使用され得るカニューレ、探り針、ロッドまたは他の支持体であり得る。構造支持部104は、特定の装着における必要に応じて、柔軟でも、硬質でも、柔軟部分と硬質部分の組み合わせでもよい。
【0017】
栄養チューブ200は、構造支持部104上に案内されて進められ、瘻孔内に入れられる。膨張された固定用バルーン100によって、胃の中に入る栄養チューブのリテーナ202のための空間が確保される。リテーナ202は、従来より周知のように、栄養チューブを所定位置に保持するために展開することができる。次いで固定用バルーン100を収縮させて、患者から取り除くことができる。
図7Aは、遠位端に膨張可能なバンパ(緩衝器)またはリテーナ202を有する栄養チューブ202を示す。リテーナ202がその収縮した即ち挿入のための状態にある間、例えば膨張可能なリテーナが収縮された状態、硬質のリテーナの場合には径方向に収縮した状態にある間、栄養チューブ200は構造支持部104上を前に進められる。ひとたびリテーナ202が胃内の所定位置に置かれると、リテーナ202は展開された状態、即ち膨張された状態(
図7B)または径方向に拡張された状態にすることができる。展開されたリテーナ202は胃を内側腹壁に対して保持し、固定用バルーン100は取り除かれてもよい。こうして栄養チューブ200の装着は完了し、栄養チューブ200は利用可能な状態とされ得る。
【0018】
図面に見られるように、略円錐形の固定用バルーン100は、膨張された状態では、円錐の頂部108、円錐の基部110、及び頂部108と基部110との間の側部表面または壁部114を有する。上記したように、バルーン100は略円錐形の形状で、凹んだ凹面をなす中心部を与えることができ、これは栄養チューブ200のリテーナ202のための空間を提供する。円錐形の実施形態が図示されているが、箱形状または半球形状の場合も同様に機能することに留意されたい。その固定部品も、同様にその後挿入された部品の遠位端を収容するための凹んだ中心部の空間を確保しつつ、胃を内側側壁に対して保持する。
【0019】
固定用バルーン100の膨張された形状は、バルーン基部110と壁部114がそれ自身の上に向かって後ろに折り返ってしまうことがあり得ることが見いだされた。「後ろに折り返る」とは、バルーンにおける胃の内壁に接触する部分である基部110が、バルーン100の頂部108に向かって折り返った状態となり得ることを意味している。この状態は、固定用バルーン100即ち胃を内側腹壁に向けて引っ張るために用いられる力の大きさが過剰である場合に生じ得る。固定用バルーン100が後ろに折り返った場合、栄養チューブのための空間が失われることがある。
図3、
図4、及び
図5は、この問題に対する可能な解決を提示する。
【0020】
図3Aは「結合部」122の使用を示し、この結合部は、栄養チューブのリテーナ202のための空間が凹面内に確保されるようにしつつ基部110上の複数の点を結合することによって、膨張時の基部110に対し、その大きさについての支持を与える。補強結合部は、例えばひも状のもの、編み目状のもの、または孔のあいた円盤状のものであって、柔軟ではあるが伸張可能ではない。
図3Bは、膨張されたバルーン100の近位端の端面図であり、バルーン100の中心部は横断せず、中心部へのアクセスがブロックされないように例えば対角方向でバルーン100に結合する結合部122の実施形態を示す。
【0021】
図4は、元の固定用バルーン100の上に設けられる第2のバルーン112が、バルーン100に円錐形の形状保持を与えるスカート部として作用する実施形態を示す。第2のバルーン112は、バルーン100が膨張時に円錐形の形状となるように強制するべく部分的に包むスリーブ、即ちスカート部である。別のスカート部の実施形態は、バルーン112の代わりに用いられる非膨張のスリーブであり、この非膨張のスリーブは、固定用バルーン100の膨張時に変形して近位端側により大きい端部を有するべく変形する円筒状部であるか、或いは、他方の端部より大きい近位側の端部を有するように予め成形されたものであり得る。
【0022】
図5は、バルーン100の頂部108と基部110との間の側壁114をより硬質にする(図中で太い線で示されている)ことによってバルーンに強度を与えるという、更に別の方法を示す。壁114の硬質化は、バルーン100の残部より硬質なポリマーの使用によって、または基部及び頂部のいずれか一方またはその両方より壁を厚くすることによって達成することができる。
【0023】
非柔軟または半柔軟材料と既知の成形技術(例えば、予備成形した空隙内へのブロー成形等)を用いることは、カラー102の間のバルーン100を円錐形にするのに役立ち得る。構造支持部104上のカラー102の配置も、円錐形を形成するための更に役立つ。
図2は、バルーン100の重複が生じないように構造支持部104に取り付けられたバルーン100の遠位端にあるカラー102を示すとともに、より近位側に配置されたバルーン100のカラーが、バルーンがそのカラーの上で反転するような形で構造支持部に取り付けられているところを示す。
【0024】
部品10は、膨張可能な拡張用バルーン130を備えるか、または
図6に示すように、固定用バルーン100に隣接して、膨張可能な拡張用バルーン130が配置されるように構成され得る。部品10が拡張用バルーン130を備える場合、拡張用バルーン130は構造支持部104に支持される。拡張用バルーン130が別体の部品である場合、拡張用バルーンは構造支持部104の上に配置されるべく構成される。部品10に備えられる場合でも、別体として設けられる場合でも、拡張用バルーン130は2つの端部を有し、一端(遠位端)132は少なくとも部分的に膨張された固定用バルーン100の凹面内に収容される。拡張用バルーン130は、遠位端132と近位端134との間の長さ部分に沿って一様な膨張時直径を有し、かつ膨張用ルーメン136と連通する開口を有しているべきである。
【0025】
上述のように、腹部上の皮膚120を穿孔し、所望の位置にガイドワイヤを配置するために、通常はニードルが用いられる。これは、一般的に、初期の穿孔点が胃の内部から観察され得るように患者の胃内に挿入された内視鏡を用いて行われる。
【0026】
(アウトサイド・イン方式の装着)
胃への送気の後、構造支持部104の近位端を体外に残した状態で固定部品10を経皮的に胃の内部に挿入する。拡張用バルーン130を配置するが、このとき、固定用バルーン100の凹面内に収容されることを意図された拡張用バルーン130の端部132が、経皮的に胃内に挿入され、他方の端部134は構造支持部104の近位端を完全に覆わない形で体外に残されるように拡張用バルーン130を配置する。固定用バルーン100を膨張させると、牽引力(引っ張り力)が構造支持部104の近位端に加わり、膨張された固定用バルーン100の近位端105が胃に対して引っ張られる。拡張用バルーン130を膨張させ、挿入管を拡大して瘻孔を形成し、次いで収縮させる。リテーナ202が挿入状態(即ち、たたまれた、つぶれた、または収縮した状態)にある経腸栄養チューブ200を、構造支持部104、収縮した拡張用バルーン130上で挿入し、瘻孔を通して膨張された固定用バルーン100の凹面内に入れる。リテーナ202を展開して、凹面内で保持状態(広げられた、拡張された、または膨張された状態)とし、リテーナ202が胃壁に付くようにチューブ200を配置する。固定用バルーン100を収縮させて、牽引力を解放する。構造支持部104、固定部品10、及び他の配置用デバイス(例えば拡張用バルーン130)を、チューブ200を通して取り除く。
【0027】
固定部品100を用いて、非膨張可能なリテーナまたはバンパ202を備えた栄養チューブ200を配置する場合には、胃と腹壁とをこれらの組織構造が融合するまで接合状態を維持するのを助ける胃腹壁固定用ファスナは必要なくなる。そのようなバンパ202を備えた栄養チューブ200は、胃を腹壁に対して接合状態を維持するための十分な寸法上の安定性を有する。リテーナ202が膨張可能なタイプの場合、胃を腹壁に保持させるために胃腹壁固定術を行うことが推奨される。
【0028】
固定部品10を用いて膨張可能なリテーナ202またはバンパを備えた栄養チューブ200を配置する場合、胃と腹壁とをこれらの組織構造が融合するまで接合状態に維持するために、固定用バルーン100を、膨張したバンパ202の周囲で膨張した状態にしておいてもよい。固定部品10によって提供される接合力が必要なくなった後、固定用バルーン10を収縮させ、部品10を取り除いてもよい。
【0029】
(インサイド・アウト方式の装着)
固定部品10を、従来型のガイドワイヤの助けによって経皮切開部を通して胃の内側から配置することができる。そのようなインサイド・アウト配置のためには、経皮切開部、胃、及び食道を通って口の外に出されたガイドワイヤを、構造支持部104の近位端に取り付ける。内視鏡のスネアを用いてガイドワイヤを引っ張ることもできる。ガイドワイヤを切開部を通して外向きに引っ張り、それで固定部品10を胃内に引き入れ、切開部を通して上述したように固定部品を配置する。装着手順の残りの部分は、上述の場合と同様である。
【0030】
「アウトサイド・イン」方式の手順を用いる場合でも、「インサイド・アウト」方式の手順を用いる場合でも、ひとたび固定用バルーン100を
図1に示すように上手く配置させて膨張させると、瘻孔が拡張され、栄養チューブ200が配置可能となる。
【0031】
本発明の実施においては、栄養チューブ200は約4〜6フレンチの範囲のチューブサイズを有し得る。膨張した固定用バルーン100の基部110の幅は、(
図2に示すように)栄養チューブのリテーナ202のサイズよりも大きく、栄養チューブ部品10のリテーナ202が展開が可能になる26〜28フレンチの範囲であり得る。(注意:フレンチとは、同じ外周長の非円形のチューブは同じ切開部にぴったりと嵌め込まれるという理論に基づく外部サイズの測定単位である。1フレンチは約0.33mm即ち0.013インチである。)バルーン100は、適切なポリマー製であり得る。典型的なポリマーとしては、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロンの他、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリブチレン等のポリオレフィンが挙げられる。
【0032】
特定の好適な実施形態に基づいて本発明について説明してきたが、本発明に包含される発明主題は、上述の特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。むしろ、本発明の発明主題は、特許請求の範囲の記載の精神及び範囲内に含まれ得るあらゆる代替実施形態、改変、及び均等物を包含することが想定されている。