(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6302920
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】走行路の領域内にあるマークされた危険個所、及び/或いは、工事現場を認識するための方法、並びに、手段
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20180319BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20180319BHJP
B60R 21/00 20060101ALI20180319BHJP
【FI】
G08G1/00 J
G08G1/0969
B60R21/00 624C
B60R21/00 628C
B60R21/00 626E
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-538301(P2015-538301)
(86)(22)【出願日】2013年7月10日
(65)【公表番号】特表2015-535106(P2015-535106A)
(43)【公表日】2015年12月7日
(86)【国際出願番号】DE2013200034
(87)【国際公開番号】WO2014063688
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2016年4月18日
(31)【優先権主張番号】102012110219.8
(32)【優先日】2012年10月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503355292
【氏名又は名称】コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Conti Temic microelectronic GmbH
(73)【特許権者】
【識別番号】399023800
【氏名又は名称】コンティネンタル・テーベス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ヘーゲマン・シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】コーマー・マティアス
(72)【発明者】
【氏名】リューケ・シュテファン
【審査官】
高田 元樹
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/147994(WO,A1)
【文献】
特開2009−156784(JP,A)
【文献】
特開2004−341182(JP,A)
【文献】
特開2009−128356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00−21/36
G01C 23/00−25/00
G08G 1/00−99/00
B60R 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された少なくとも一つの周辺センサーによって危険個所及び/又は工事現場を示す信号装置を認識して、走行路の領域内にある危険個所及び/又は工事現場を認識するための方法であって、
− 周辺センサーにより信号装置を検出し、
− 該信号装置の位置データを割出し、
− 周辺センサーによって捕捉された周辺データから、車両の周辺構成に関する周辺状況を分類し、
− この分類に応じて、該周辺状況の基準モデルを割出して、この基準モデルが信号装置を示すか否かを調べ、
− この基準モデルが信号装置を示さない場合、或いは、この基準モデルが、認識された信号装置の位置データとは異なる位置データを示す信号装置を示す場合は、認識された信号装置が危険個所及び/又は工事現場を示す信号装置であるとする
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
基準モデルが、車両のナビゲーション・システムから得られる情報から作成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
危険個所及び/又は工事現場を示す信号装置を認識するために、工事現場特有及び/又は危険個所特有の信号装置の特徴に関してオブジェクト認識を実施することを特徴とする請求項1或いは2に記載の方法。
【請求項4】
基準モデルが、ナビゲーション・データベース内に保存されている道路網のデジタル地図データから作成される、但し、該デジタル地図データは、工事現場情報も有していることを特徴とする請求項1から3のうち何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
周辺センサーによって捕捉された、走行路の走行レーンの推移に関する情報及び/又は走行路の認識された走行レーン情報を、危険個所及び/又は工事現場を示す信号装置を検出するために用いることを特徴とする請求項1から4のうち何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
周辺センサーによって認識された交通標識に関する情報を、危険個所及び/又は工事現場を示す信号装置を検出するために用いることを特徴とする請求項1から5のうち何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
車両に搭載された少なくとも一つの周辺センサーと、この周辺センサーのセンサー信号を請求項1から6のうち何れか一項に記載の方法に基づき評価する評価・オブジェクト認識ユニットとを備えた、請求項1から6のうち何れか一項に記載の方法を実施するための装置において、周辺センサーとしてカメラシステムが配備されていることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項7の装置を搭載した車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1のプレアンブルに係る
走行路の領域内にあるマークされた危険個所、及び/或いは、工事現場を認識するための方法に関する。本発明は、更に、本発明に係る方法を実施するための手段、並びに、このような手段を備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
同種の発明である特許文献1からは、
走行路の領域内にあるマークされた危険個所、及び/或いは、工事現場を認識するために、車載されている電磁光線用センサーの、特に、レーザースキャナーの捕捉領域の間隔画像が、該間隔画像内において、マークされた危険個所、及び/或いは、工事現場を示すための表示を探すために用いられる方法が、既知である。このようなマークされた危険個所、及び/或いは、工事現場を示すための表示の認識のためには、既知のオブジェクト認識、及び/或いは、オブジェクト・トレースの方法が、用いられる。このような表示は、道路管理官庁の規定、或いは、法的な規定、ドイツでは、例えば、「Strassenverkehrsordnung」(ドイツ道路交通法)によって、定められており、例えば、
走行路上のマーク、バリア、パイロン、或いは、ビーコンであることができるが、後ろの方に挙げた例は、多くの場合、一時的に変更された走行レーン推移を表示するために一時的に設置されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ドイツ特許公開第102004003848A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、この従来の技術を出発点として、これにより、工事現場のシチュエーションを、街中においてだけでなく、郊外のシナリオにおいてもより良く認識できる冒頭に述べたような方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本課題は、特許請求項1記載の特徴を持つ方法によって達成される。
【0006】
少なくとも一つの周辺センサーによって危険個所、及び/或いは、工事現場を示すオブジェクトを認識するこのような
走行路の領域内にあるマークされた危険個所、及び/或いは、工事現場を認識するための方法は、本発明では、以下を特徴としている:
− 周辺センサーにより信号装置によって検出し、
− 該信号装置のポジションデータを割出し、
− 周辺センサーによって捕捉された周辺データから、周辺ストラクチャーに関する周辺シナリオを割出し、該周辺シナリオの基準モデルと比較し、続いて、
− 該基準モデルに、信号装置が示されない場合、或いは、該信号装置が、認識された信号装置のポジションデータとは異なるポジションデータを示す場合は、危険個所、及び/或いは、工事現場をマークする信号装置であるとする。
【0007】
本発明は、捕捉され、評価された周辺シナリオにおける信号装置の位置が、このような周辺シナリオにおいて期待される信号装置の位置からずれている場合には、該信号装置(ドイツのガイドラインでは、「Lichtsignalanlage」(ライトシグナル装置)と呼ばれる)の位置を、危険個所、及び/或いは、工事現場のインジケータとして用いることができると言う知見に基づいている。
【0008】
信号装置は、交差点や合流地点において、定常的に、定まった位置に設置される一方、移動式装置として、狭くなった場所、例えば、工事現場に設置される。例えば、交差点や合流点などを有する周辺ストラクチャー用の信号装置の位置は、既知である、即ち、周辺シナリオの基準モデルに示されている。よって、捕捉された、例えば、交差点などの周辺ストラクチャーから、基準モデルから期待される信号装置の位置を割出すことができ、この位置は、実際に認識された信号装置と比較されることができる。これらのポジションデータが異なる場合、検出された信号装置は、大きな確率で、工事現場用信号、或いは、危険個所を示すための信号装置であろう。また、基準モデルには信号装置が無い場合も、検出された信号装置は、大きな確率で、工事現場用信号、或いは、危険個所を示すための信号装置であろう。
【0009】
本発明の実施形態において、基準モデルは、ナビゲーションを基にした情報から作成される。近年、車両には通常、ナビゲーション・システムが、備わっていることから、本発明に係る方法は、安価に実施可能である。
【0010】
認識確実性を改善するため、本発明のある好ましい更なる実施形態では、危険個所、及び/或いは、工事現場をマークする信号装置を認識するために、工事現場特有、及び/或いは、危険個所特有の信号装置の特徴に関してオブジェクト分類が、実施される。このような信号装置は、移動式装置として設置されるため、専用の電源、例えば、バッテリー、或いは、太陽電池パネルを装備していなければならない。バッテリーは、通常、信号装置の足元に設けられるバッテリーケース内に、太陽電池パネルは、通常、シグナルランプの上方に、屋根状に配置される。よって、信号装置の電源に関するこれらの特徴は、信号装置の工事現場特有、及び/或いは、危険個所特有の特徴に分類され、オブジェクト認識ソフトウェアによって、認識されることが可能である。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、基準モデルは、ナビゲーション・データベース内に保存されている道路網のデジタル地図データから作成されるが、ここでは、該デジタル地図データは、工事現場情報も有している。このような地図データは、車両のインフォテイメント・システムに予め保存されている、或いは、オンライン・サービスを介して、コミュニケーション接続により車両へ伝達されることができる。これにより、特に高い認識確実性が、確保される。
【0012】
更なる危険個所、及び/或いは、工事現場に関する認識確実性の改善は、車載されている異なる認識システムを、本発明のある実施形態に従い、周辺センサーによって捕捉された走行レーンの推移、及び/或いは、認識された走行レーン情報を、危険個所、及び/或いは、工事現場をマークする信号装置の存在を示すインジケータとして用いて、統合することにより達成される。また、代案的、或いは、付加的に、周辺センサーによって捕捉された、認識された標識に関する情報を、このような信号装置を示すインジケータとして用いることもできる。
【0013】
本発明に係る方法を実施するための手段は、周辺センサーとして、カメラシステム、並びに、それに帰属する、例えば、評価システムやオブジェクト認識システムなどのハードウェアを包含している。このような装置は、内燃自動車、ハイブリッド自動車、或いは、電気自動車などの車両内での使用に適している。
【0014】
以下、本発明を、
図1として添付したフローチャートを参照しながら詳しく説明する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1によって実施例として記述されている
走行路の領域内にあるマークされた危険個所、及び/或いは、工事現場を認識するための方法は、周辺センサーとして、そのセンサーシグナルが、評価のために、評価ユニット、並びに、オブジェクト認識ユニットに供給されるモノカメラ、或いは、ステレオカメラを備えた、車載された装置によって実施される。付加的に、例えば、レーダー・センサーなど更なる周辺センサーを用いることも可能である。
【0017】
開始(ステップS1)後、車両周辺部、即ち、周辺センサーの捕捉領域内にある周辺が、周辺センサーによって、ステップS2に従って、捕捉され、評価される。続くステップS3に従って、信号装置が認識された場合、次のステップS4において、そのポジションデータが割出され、逆に、信号装置が、認識されなかった場合は、ステップS2に戻る。
【0018】
次のステップS5では、周辺シナリオの分類、並びに、基準モデルの割出しが、実施される。周辺センサーによって捕捉された周辺シナリオは、周辺ストラクチャーに関して、即ち、例えば、交差点、或いは、合流点の有無、或いは、道路区間、或いは、
走行路区間が単に続いているだけなのか否かが、検出され、分類される。そして、周辺シナリオのこの分類に応じて、該周辺シナリオを表す基準モデルが、割出される、或いは、選択される。尚、対応する基準モデルは、例えば、評価ユニット、並びに、オブジェクト認識ユニットのメモリーに保存されていることができる。
【0019】
このような基準モデルは、ナビゲーションを基にした情報から作成されることができるが、このような情報は、例えば、車両のナビゲーション・システムから得られるものである。更には、該基準モデルを、ナビゲーション・データベース内に保存されている道路網のデジタル地図データから作成することも可能であるが、ここでは、該デジタル地図データは、工事現場情報も有している。このような地図データは、車両のインフォテイメント・システムに予め保存されている、或いは、オンライン・サービスを介して、ワイヤレス・コミュニケーション接続により車両へ伝達されることができる。
【0020】
ステップS6では、基準モデルが、信号装置を示すか否かが確かめられる。ステップS5に従って割出された基準モデルが、信号装置を示さない場合、ステップS3において認識された信号装置は、高い確率で、ステップS9によって、工事現場用信号、或いは、危険個所を示すための信号装置であると言える。続くステップS10において、本方法は、終了する、或いは、ステップS2に戻る。
【0021】
一方、基準モデルが、信号装置を示す場合、続くステップS7において、基準モデルからの信号装置のポジションデータが、ステップS3において認識された信号装置のポジションデータと比較される。
【0022】
続くステップS8において、一致が確認された場合、これは、周辺ストラクチャーに見合った信号装置である、即ち、交差点の信号であり、工事現場用信号、或いは、危険個所を示すための信号装置ではないとされる。よって、ここから、ステップS2に戻る。
【0023】
一方、ポジションデータの一致が見られない場合、これは、ステップS3において認識された信号装置が、周辺ストラクチャーに見合った信号装置ではない、即ち、ステップS9に従って、高い確率で、工事現場用信号、或いは、危険個所を示すための信号装置であると言える。続くステップS10において、本方法は、終了する、或いは、ステップS2に戻る。
【0024】
ここに記述した方法は、危険個所、及び/或いは、工事現場をマークする信号装置を認識するために、工事現場特有、及び/或いは、危険個所特有の信号装置の特徴に関してオブジェクトの分類を実施することにより、改善することが可能である。このような信号装置は、移動式装置として設置されるため、専用の電源、例えば、バッテリー、或いは、太陽電池パネルを装備していなければならない。バッテリーは、通常、信号装置の足元に設けられるバッテリーケース内に、太陽電池パネルは、通常、シグナルランプの上方に、屋根状に配置される。よって、信号装置の電源に関するこれらの特徴は、信号装置の工事現場特有、及び/或いは、危険個所特有の特徴に分類され、オブジェクト認識ソフトウェアによって、認識されることが可能である。
【0025】
記述した方法を、危険個所、及び/或いは、工事現場の認識に対する認識確実性の改善に関連して更に改善することは、車載されている異なる認識システムを、周辺センサーによって捕捉された走行レーンの推移、及び/或いは、認識された走行レーン情報を危険個所、及び/或いは、工事現場をマークする信号装置の存在用の情報を、インジケータとして用いて、統合することにより達成される。走行レーン情報は、例えば、レーンマークの色を包含している。また、代案的、或いは、付加的に、周辺センサーによって捕捉された、認識された標識に関する情報を、危険個所、及び/或いは、工事現場をマークする信号装置を示すインジケータとして用いることもできる。