(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コイルまたはばねのヘリカル直径が、前記固着装置の近位端から前記固着装置の遠位端に向かって増加するように、前記ヘリカルコイルまたはばねが、半径方向に拡張するヘリカルコイルまたはばねを備える、請求項3に記載のコネクタ。
コイルまたはばねのヘリカル直径が、実質的に前記固着装置の近位端から前記固着装置の遠位端まで一定であるように、前記ヘリカルコイルまたはばねが、直線のヘリカルコイルまたはばねを備える、請求項3に記載のコネクタ。
前記固着装置が、少なくとも部分的にその中を通って前進する際に、前記固着装置の軸に向かって内側に前記組織壁の少なくとも一部を圧縮するように構成される、請求項1に記載のコネクタ。
前記ポートが、前記ポートの遠位端のまわりで形成されたフランジを備え、前記フランジは、少なくとも部分的にその中を通って前記固着装置を前進させる際に前記組織壁に接触するように構成される、請求項1に記載のコネクタ。
前記医療装置が心尖大動脈導管の注入チューブであり、前記カプラー装置は、前記注入チューブを受けて軸方向に保持するように構成される、請求項1に記載のコネクタ。
少なくとも部分的にその中を通って前記固着装置を前進させる際に、前記組織壁に対して接触し密封するように構成された第2密封要素をさらに備える、請求項1に記載のコネクタ。
前記第2密封部材は、前記第2密封要素の形状に適合するために前記組織壁を偏らせるように構成された剛性材料または実質的に剛性材料で形成される、請求項26に記載のコネクタ。
前記ポートの前記開口部内に配置されて前記ポートの円周方向内側表面に沿って延在する止血要素であって、実質的に環状部材として形成される止血要素をさらに備える、請求項1に記載のコネクタ。
前記ポートの前記開口部内に配置される回転要素であって、前記ポートに対する前記カニューレの回転が前記組織壁に対する前記カニューレの入射角を変化させることを可能にするように構成された回転要素をさらに備える、請求項1に記載のコネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
心臓の機能の重要性と、この加圧されたシステムに関連する複雑性のため、体液に関連する最も複雑な手順のいくつかは、この器官で行われる。これらの手順のいくつかは、組織表面で流体密にシールすることを維持しながら心臓に接合され得る、アクセスポートまたは導管により利するであろう。
【0004】
改善された心臓への流体密なアクセスポートまたは導管から利する一つの手順は、左心室と大動脈との間の左室補助人工心臓(LVAD)、右心室と肺動脈との間の右心補助人工心臓(RVAD)などの、補助人工心臓(VAD)の移植であろう。LVADには、左心室から大動脈へと、代替の導管を通して血液を循環させることにより、心不全を補助する機械式ポンプが含まれる。最新技術によると、LVAD移植は典型的にはオンポンプで実行されるが、穴が左心室の心尖で形成され、縫合によって穴の中で導管を固定する。同様にRVADには、右心室から肺動脈へと、代替の導管を通して血液を循環させることにより、心不全を補助する機械式ポンプが含まれる。RVADの移植技術は、オンポンプで行われる傾向があり、右心室側壁に穴を形成し、縫合によって穴の中に導管を固定することを含む。導管と心室壁との間に流体密な接合をした後、VADの注入チューブが導管に取り付けられ、血液が心室からポンプへと流れることが可能になる。心肺バイパスに伴う相当なリスクのため、特に進行した心不全の患者にとっては、オフポンプの手順の間、VADを移植することが非常に望まれるであろう。しかしながら、活動中の心臓の心室に穴をあけ、確実に所定位置に従来の導管を縫合するという困難のため、オンポンプ技術がVAD移植には標準にとどまっている。
【0005】
改善された心臓への流体密なアクセスポートまたは導管から利する別の方法は、心臓弁の置換であり、最も一般的な心臓血管切開手術である。現時点では、ほとんどの心臓弁の修復または置換手術は、大きく胸骨正中切開することで心肺バイパスのもと、心臓を停止して行われる。この手術は侵襲性が高く、したがって、このような手順を乗り越える人は、手術候補者で強靭な人に限られる。近年、大腿動脈または心尖を通る低侵襲的な配置の弁が開発されてきた。これらの弁は、候補者ではないと考えられているその他の状態にある患者に使用されてよい。これらの弁を使用することで、将来、心肺バイパスに関連する複雑さと、手術候補者が受ける大きな切開を低減する可能性もある。心尖のこれらの手順のためには、出血性合併症は、直接、死亡率を50%上昇させ、そのため、出血性合併症、切開の大きさを減少、閉鎖を単純化するアクセスポートまたは導管は、大変有用であることを示す。
【0006】
しかも、改善された流体密なアクセスポートまたは心臓への導管その他の手順は、左心室と大動脈の間に代替的導管(心尖大動脈導管またはAAC)をもうけることだろう。この手順は、種々の複雑な先天性LV流出路閉塞を治療するために、複雑な術前状態(過去の失敗した弁輪拡大術、過去の感染症、開存性前内胸動脈グラフトを含む過去のCABG、及び石灰化した上行大動脈)の成人期大動脈弁狭窄症の患者と同様に、両大血管左室起始(繊維性トンネル障害、大動脈弁輪形成不全、上行大動脈の管形成不全及びびまん性中隔肥厚、重度のLV肥大及びLV腔狭小を伴う患者)をもたらす。しかしながら、AAC挿入手術は、あまり受け入れられておらず、心肺バイパスを伴ってもまたは伴わなくても、直接大動脈弁置換のように技術的に直接的ではなかった。それにもかかわらず、いくつかの研究では、AAC挿入は、LV圧力勾配を低減し、心室機能を保持改善し、体循環及び冠状動脈循環の正常な血流分布を維持するのに成功したことを実証した。
【0007】
記載されたいくつかの技術があるものの、最も一般的に用いられている方法は、AACを下行大動脈に配置して切開水平方向に開胸する方法及び胸骨正中切開方法である。AAC挿入のために利用可能な最新技術及び科学技術では、当初は停止か細動している心臓の何れかにおいて、オンポンプで行われるように設計されていた。ゆえに、侵襲性が高かった。オフポンプの場合は説明したが、それらは現在入手可能な導管及びこのような導管を設置するためのシステムの欠点により、技術的に困難であり得る。例えば、現在の導管は、導管を確実に所定位置に固定するため、縫合糸の使用を必要とすることから、外科医やその他の臨床医が、このような縫合糸を確実に実際の心臓の及び/または血管の組織に挿入するのがしばしば困難である。
【0008】
本明細書で記載される様々な装置及びシステムは、様々なあり得る組織を通じて入るための任意の数の外科手術に付随するものとして利用され得る。例えば、装置及びシステムは、様々な手順のため、組織壁を越えて流体のアクセスを提供するために利用され得る。これらには、VAD移植、AAC設置、心室間の修復(例えば、弁の修復、弁の置換または焼灼手順など)、様々な血管の状態(例えば、大動脈弁疾患)を治療するために、弁の設置及び/または導管を開くこと(バイパス導管を含む)、うっ血性心不全、左心室流出路狭窄(LVOTO)、末梢動脈閉塞、小血管閉塞等)、膀胱壁を越える導管の提供、胆嚢壁を越える導管の提供、胸腔への導管の提供、腹腔への導管の提供、盲腸窩への導管の提供、角膜または眼球外壁へのアクセスの提供、またはその他の組織壁構造へのアクセスの提供などが挙げられるが、これらに限定されない。したがって、本明細書で記載された装置及びシステムは、上述の手順のいずれかで利用され得るか、または/及び上述の組織壁のいずれかを通じてアクセスを得るために利用され得る。
【0009】
例えば、U.S.Patent No.7,846,123, PCT Patent Publication WO2012/103546, PCT Patent Publication WO2012/106422に記載されているような、ある種の関連する装置、システム及び方法が前述されており、参考としてその全体が本明細書に組み込まれる。しかしながら、組織壁の対向面間の流体連通を設け、維持し、制御し、閉鎖するための、組織壁内でコネクタを移植し、使用するための改善された装置、システム及び方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の各種実施形態は、組織壁の対向面間の流体連通を設け、維持し、制御し、閉鎖するために、組織壁内でコネクタを移植し、使用するための改善された装置、システム及び方法を提供する。したがって、このような装置、システム及び方法は、心臓、胃または膀胱の細胞壁を含む、様々な組織壁にコネクタを移植し、使用することができ、その中に画定される様々な空隙にアクセスできる。ある種の用途においては、装置、システム及び方法の実施形態は、心臓病患者の生体内の心拍動下での治療を顕著に単純化し得る。例えば、本明細書で記載された装置、システム及び方法の実施形態は、心肺バイパス(CPB)及び国際的な心虚血の双方を効果的に低減及び/または有害な影響を打ち消すように、心尖の前外側の脂肪分のないブラウンパッチ(brown patch)を含む心尖に隣接する領域内、右心室側壁内、またはその他の組織壁(左心室若しくは右心室の全面壁、側面壁、後部壁、左心房、右心房、大動脈壁、上行、横行、下行またはその他の血管壁を含む、心臓のその他の領域)内の、心尖の拍動においてコネクタを移植し使用することができる。このようにして、コネクタは、VADの移植のための流体密なアクセスポートとして使用され得る。あるいは、コネクタは、AACを設置するための流体密なアクセスポートとして使用され得る。さらに、コネクタは、心臓弁の修復や置換などのような、血管内及び心臓内の手順のための流体密なアクセスポートとして使用され得る。
【0011】
本発明の一実施態様では、コネクタは、組織壁の対向面間の流体連通を設け、維持し、制御し、閉鎖するための、組織壁内に移植するために提供される。具体的には、コネクタは、VADの移植を含むがこれらに限定されない、様々な心臓手術において使用されるように構成された心臓コネクタとして利用され得る。コネクタは、固着装置、ポート及びカプラー装置を含み得る。固着装置は少なくとも部分的に組織壁を通って前進するよう構成され得る。ポートは、固着装置の近位端のまわりに配置されてよく、ポートはそれを通る開口部を画定し得る。カプラー装置は、ポートのまわりに配置されてよく、カプラー装置は、医療装置に結合するよう構成され得る。
【0012】
固着装置は少なくとも部分的に組織壁を通って前進するよう構成された、無縫合装置であり得る。いくつかの態様では、固着装置はヘリカルコイルまたはばねを含み得る。ヘリカルコイルまたはばねは、コイルまたはばねのヘリカル直径が固着装置の近位端から固着装置の遠位端に向かって増加するように、半径方向に拡張するヘリカルコイルまたはばねを含み得る。あるいは、ヘリカルコイルまたはばねは、コイルまたはばねのヘリカル直径が、固着装置の近位端から固着装置の遠位端に向かって実質的に一定であるような、ストレートヘリカルコイルまたはばねを含み得る。他の態様では、固着装置は、複数のピン、プロング、バーブまたはフックを含み得る。いくつかの態様では、固着装置は、少なくとも部分的にその中を通って前進される際に、固着装置の軸に向かって内側に組織壁の少なくとも一部を圧縮するように構成されることができる。
【0013】
ある種の態様では、ポートは実質的に環状部材として形成され得る。ポートは、ポートの遠位端のまわりで形成されたフランジを含み、フランジは、少なくとも部分的にその中を通って固着装置を前進させる際に組織壁に接触するよう構成され得る。ポートは、様々な器具をコネクタに取り付けるよう構成された器具取付機構をも含み得る。
【0014】
いくつかの態様では、カプラー装置は、医療装置に連結するよう構成された無縫合装置であり得る。カプラー装置は、医療装置を受け、軸方向に保持するよう構成され得る。カプラー装置は、医療装置の軸方向回転を防止するようにも構成され得る。カプラー装置は、医療装置の平滑な外表面上に固定するよう構成され得る。医療装置は、心室補助装置の注入チューブであってよく、カプラー装置は、注入チューブを受け、保持するよう構成されてよい。カプラー装置は、注入チューブの平滑な外表面上に固定するよう構成され得る。ある種の態様では、カプラー装置は、医療装置を受け、軸方向に保持するよう構成された偏向アーム機構を含み得る。偏向アーム機構も、医療装置の軸方向回転を防止するよう構成され得る。偏向アーム機構は、カプラー装置の開口部へと内側に偏向し、医療装置を保持するよう構成された偏向アームを含み得る。その他の態様では、カプラー装置は、医療装置を受け、保持するよう構成されたテーパロック機構を含み得る。いくつかの態様では、カプラー装置は、医療装置を受け、保持するよう構成された軸方向のクリップ機構を含み得る。その他の態様では、カプラー装置は、医療装置を受け、保持するよう構成されたウォームギアコレット機構を含み得る。なお、その他の態様では、カプラー装置は、医療装置を受け、保持するよう構成された蝶番型のリングロック機構を含み得る。他の態様では、カプラー装置は、医療装置を受け、保持するよう構成された軸方向のクリップ機構及びクランプ機構を含み得る。ある種の態様では、カプラー装置は、選択された範囲内で外径を有する注入チューブを受け、軸方向に保持するよう構成された万能なカプラー装置を含み得る。いくつかのこのような態様では、この外径は、15mmから30mmとの間であり得る。いくつかのこのような態様では、この外径は、19mmから22mmとの間であり得る。
【0015】
ある種の態様では、コネクタはさらに、少なくとも部分的にその中を通って固着装置を前進する際に、組織壁に接触し密封するよう構成された第2密封要素を含む。第2密封要素は、ポートの遠位端のまわりに配置された実質的に環状部材として形成され得る。いくつかの態様では、第2密封要素は、一般に円錐台形状を有し得る。他の態様では、第2密封部材は、一般に平坦な円環形状を有し得る。第2密封部材は、第2密封要素の形状に適合する組織壁を偏らせるよう構成された、剛性または実質的に剛性である材料で形成され得る。あるいは、第2密封部材は、組織壁の形状へ適合するよう構成された可撓性または弾性のある材料で形成され得る。
【0016】
いくつかの態様では、コネクタを通る流体連通を閉鎖するよう構成された止血弁をさらに含む。止血弁は、ポートの開口部内に少なくとも部分的に配置され、この止血弁は、開口部を通る流体連通を閉鎖するよう構成され得る。止血弁は、一方向弁として形成され得る。具体的には、止血弁は一方向の多弁尖として形成され得る。あるいは、止血弁は、管状膜として形成され得る。いくつかの態様では、止血弁は、医療装置の少なくとも一部がその中を通ることを可能にするよう構成され得る。このようないくつかの態様では、止血弁は、医療装置の外表面のまわりに流体密なシールを形成するよう構成され得る。
【0017】
いくつかの態様では、コネクタは、ポートの開口部を少なくとも部分的に通って配置するよう構成され、組織壁を少なくとも部分的に通って配置するよう構成されたカニューレをさらに含み得る。このカニューレは、ポートの嵌合するねじ山を係合するよう構成された糸を含み得る。少なくとも部分的にカニューレ内に配置され、コネクタを通る流体連通を閉鎖するよう構成された止血弁をさらに含む。
【0018】
ある種の態様では、コネクタは、心臓の組織壁により画定された心室などのような、組織壁により画定された空洞を脱気するよう構成された1つ以上の脱気オリフィスを含み得る。脱気オリフィスは、コネクタの止血弁内に画定され得る。具体的には、脱気オリフィスは、弁の近位端で1つ以上の弁尖の基礎に画定され得る。あるいは、脱気オリフィスは、弁尖の間に画定され得る。いくつかの態様では、脱気オリフィスはポートまたはコネクタのカニューレ内に画定され得る。脱気オリフィスは、また、空洞内に含まれた少量の流体を流通させるよう構成され得る。止血弁に画定された脱気オリフィスを含むある種の態様では、止血弁は、脱気オリフィスに隣接して配置され、流体の流れを止血弁の隣接面上に転送するよう構成されたフラップを含み得る。
【0019】
いくつかの態様では、コネクタは医療装置が、VAD注入チューブなどのように、組織壁に対して医療装置の入射角が変化する方法で、固着装置及び/またはコネクタのポートに関連して回転できるよう構成された回転要素を含み得る。回転要素は、回転する膝型関節であり得る。いくつかの態様では、回転要素は、ポートとカニューレとの間に配置され得る。あるいは、回転要素は、カニューレと医療装置との間に配置され得る。ある種の態様では、コネクタは、固着装置及び/またはポートに関連して医療装置の角度位置を保持するためのロック機構をも含み得る。
【0020】
本発明の一実施態様では、切削器具は組織壁内の穴を形成するために提供される。切削器具は、開孔装置及びコアリング装置であり得る。開孔装置は、組織壁に穴を開け、その中を通って前進するよう構成された開孔装置を含み得る。開孔装置は、開孔装置に隣接して配置され、横方向に収縮された状態から横方向に拡張した状態へと拡張するように構成された拡張可能な要素をも含み得る。コアリング装置は、開孔要素及びその中の拡張要素を着脱可能に受けるように構成されたコアリングチューブを含み得る。拡張可能な要素及びコアリングチューブは、そこから組織コアを除去することにより組織壁に穴を形成するように構成され得る。いくつかの態様では、拡張可能な要素は、軸方向位置から横位置へと移動するよう構成された、複数のプレートを含み得る。ある種の態様では、開孔装置及びコアリング装置は、互いに関連して軸方向に移動するよう構成され得る。
【0021】
本発明の一実施態様では、心臓内循環支援システムが提供される。このシステムは、弁のついたポート、固着装置及び心室内のVADを含み得る。弁のついたポート及び固着装置は、心室内のVADを心臓の心室へと送達するよう構成されてよく、固着装置は、その中の心室内のVADを患者の治療のために維持するよう構成されてよい。弁のついたポートは、固着装置の近位端に着脱可能に取り付けられ、その中の心室内のVADを受けるよう構成され得る。いくつかの態様では、このシステムは、心臓の組織壁を通る流体連通を閉塞または閉鎖するよう構成された閉鎖要素をも含み得る。閉鎖要素は、心臓の組織壁を通して外面化する必要があり得る、カテ−テル、ケーブルまたはその他の要素の通過を可能にするよう構成された通過オリフィスを含み得る。閉鎖要素は、カテ−テル、ケーブルまたはその他の外面化した要素のまわりをシールするよう構成された止血要素を含み得る。
【0022】
本発明の実施形態のこれらとその他の特徴及び改善点は、いくつかの図面及び添付の特許請求の範囲とともにあわせると、以下の発明を実施するための形態を査読すれば当業者には明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の各種実施形態は一般論として、このように記載し、添付図面を参照してきたが、本明細書の図面は、必ずしも一定の比率の縮尺で描かれてはいない。
【0024】
【
図1A】本明細書で記載され得る、本発明の一実施態様による、組織壁の移植し使用するための例示的なコネクタの限定されない斜視図を示す。
【
図1C】
図1Aのコネクタの限定されないテーパロック型機構の側面断面図を示す。
【
図1D】本明細書で記載され得る、本発明の一実施態様による、組織壁に移植し使用するための例示的なコネクタの限定されない斜視図を示す。
【
図1E】器具に取り付けられた
図1Aのコネクタの限定されない斜視図を示す。
【
図1F】器具に取り付けられた
図1Aのコネクタの限定されない斜視図を示す。
【
図2A】本明細書で記載され得る、本発明の一実施態様による、組織壁に移植し使用するための例示的なコネクタの限定されない斜視図を示す。
【
図2D】器具に取り付けられた
図2Aのコネクタの限定されない斜視図を示す。
【
図2E】器具に取り付けられた
図2Aのコネクタの限定されない側面図を示す。
【
図2G】本明細書で記載され得る、本発明の一実施態様による、組織壁に移植し使用するための例示的なコネクタの限定されない斜視図を示す。
【
図3A】本明細書で記載され得る、本発明の一実施態様による、組織壁に移植し使用するための例示的なコネクタの限定されない斜視図を示す。
【
図3B】
図3Aのコネクタのウォームギアコレット機構の限定されない平面図を示す。
【
図3C】
図3Aのコネクタのウォームギアコレット機構の限定されない平面図を示す。
【
図4A】本明細書で記載され得る、本発明の一実施態様による、組織壁に移植し使用するための例示的なコネクタの限定されない斜視図を示す。
【
図4B】
図4Aのコネクタのカニューレの限定されない斜視図を示す。
【
図4C】本明細書で記載され得る、本発明の一実施態様による、組織壁に移植し使用するための例示的なコネクタの限定されない斜視図を示す。
【
図4D】
図4Cのコネクタのカニューレの限定されない斜視図を示す。
【
図4I】本明細書で記載され得る、本発明の一実施態様による、組織壁に移植し使用するための例示的なコネクタの限定されない斜視図を示す。
【
図5A】本明細書で記載され得る、本発明の一実施態様による、組織壁に移植し使用するための例示的なコネクタの限定されない斜視図を示す。
【
図5E】
図5Aのコネクタ及び嵌合する医療装置の限定されない斜視図を示す。
【
図5F】
図5Aのコネクタ及び嵌合する医療装置の限定されない斜視図を示す。
【
図6A】本明細書で記載され得る、本発明の一実施態様による、組織壁に移植し使用するための例示的なコネクタの限定されない斜視図を示す。
【
図6E】本明細書で記載され得る、本発明の一実施態様による、組織壁に移植し使用するための例示的なコネクタの限定されない斜視図を示す。
【
図6F】本明細書で記載され得る、本発明の一実施態様による、組織壁に移植し使用するための例示的なコネクタの限定されない斜視図を示す。
【
図6G】本明細書で記載され得る、本発明の一実施態様による、組織壁に移植し使用するための例示的なコネクタの限定されない斜視図を示す。
【
図6H】本明細書で記載され得る、本発明の一実施態様による、組織壁に移植し使用するための例示的なコネクタの限定されない斜視図を示す。
【
図7A】本明細書で記載され得る、本発明の一実施態様による、組織壁にコネクタを移植するための例示的な送達器具の限定されない斜視図を示す。
【
図7B】
図7Aの送達器具の限定されない詳細な斜視図を示す。
【
図8A】本明細書に記載され得る本発明の一実施態様による、組織壁に穴を形成するための例示的な切削器具の限定されない斜視図である。
【
図9A】本明細書に記載され得る本発明の一実施態様による、組織壁に穴を形成するための例示的な切削器具の限定されない斜視図である。
【
図9C】
図9Cは、切削器具によって使用され得る様々な切削チューブとともに、
図9Aの切削器具の限定されない側面図を示す。
【
図10A】本明細書で記載され得る、本発明の一実施態様による、組織壁にコネクタを移植し、穴を形成するための例示的な組合せ器具の限定されない斜視図を示す。
【
図11A】本明細書で記載され得る、本発明の一実施態様による、組織壁にコネクタを移植し、穴を形成するための例示的な組合せ器具の限定されない斜視図を示す。
【
図12A】本明細書で記載され得る、本発明の一実施態様による、組織壁にコネクタを移植し、穴を形成するための例示的なシステムの限定されない斜視図を示す。
【
図12D】カニューレに取り付けられた
図12Aのシステムの切削器具の限定されない斜視図を示す。
【
図13A】本明細書で記載される本発明の一実施態様による、組織壁にコネクタ及び医療装置を移植するための例示的方法の一連の工程を示す。
【
図13B】本明細書で記載される本発明の一実施態様による、組織壁にコネクタ及び医療装置を移植するための例示的方法の一連の工程を示す。
【
図13C】本明細書で記載される本発明の一実施態様による、組織壁にコネクタ及び医療装置を移植するための例示的方法の一連の工程を示す。
【
図13D】本明細書で記載される本発明の一実施態様による、組織壁にコネクタ及び医療装置を移植するための例示的方法の一連の工程を示す。
【
図13E】本明細書で記載される本発明の一実施態様による、組織壁にコネクタ及び医療装置を移植するための例示的方法の一連の工程を示す。
【
図13F】本明細書で記載される本発明の一実施態様による、組織壁にコネクタ及び医療装置を移植するための例示的方法の一連の工程を示す。
【
図14A】心臓の組織壁に移植された例示的なコネクタの限定されない図を示す。
【
図14B】本明細書で記載され得る、本発明の一実施態様による、組織壁に移植し使用するための例示的なコネクタの限定されない平面図を示す。
【
図14E】本明細書で記載され得る、本発明の一実施態様による、組織壁に移植し使用するための例示的なコネクタの限定されない斜視図を示す。
【
図15A】本明細書で記載される本発明の一実施態様による、心臓内循環支援システムを含む、心臓に移植し使用するための例示的なシステムの限定されない側面断面図を示す。
【
図15B】心臓に移植された
図15Aの固着装置及び心室内のVADのシステムの限定しない斜視図を示す。
【
図16A】本明細書で記載され得る、本発明の一実施態様による、組織壁に移植し使用するためのコネクタとともに使用する例示的な可撓性のある固定器具の限定されない側面断面図を示す。
【
図17A】本明細書で記載され得る、本発明の一実施態様による、組織壁に移植し使用するための例示的なコネクタの限定されない側面断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態を、以下にさらに添付の図面を参照しながらより完全に記載する。本発明の実施形態のいくつかは示されるが、すべてではない。実際には、本発明は、多くの異なった形状で実施されてよく、本明細書の実施形態に限定されるものと解釈するべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が十分に完璧であるように提供され、当業者に本発明の範囲を十分に伝達するであろう。全体を通して、同じ参照符号は同じ要素を表している。単数形「a」、「an」及び「the」は、別段の明確な指示がない限り、複数のものを含む。
【0026】
本明細書で記載された実施形態は、組織壁の対向面間の流体連通を設け、維持し、制御し及び閉鎖するための、組織壁にコネクタを移植し、使用するための装置、システム及び方法に関する。実施形態は、コネクタがこのような流体連通を設け、維持し、制御し及び閉鎖することができるのは、組織の材料の特徴にある程度依存し得る。このようにして、実施形態のある特徴である幾何学的形状及び/または弾性は、組織の材料の特徴及び穿刺部位の解剖学的構造と組み合わされて利用され得る。たいていの体内の軟組織は弾性、粘弾性及び/または準線形弾性(quasilinearelastic)を性質上有し、そのため外部の負荷や力での変形可能性が高い。そのため、切開、穿刺または破裂した組織の領域は、組織壁の対向面間の流体連通を設け、維持し、制御し及び閉鎖するために、組織の提供された領域を操作できるよう変形され得る。
【0027】
図1Aから
図1Fは、本明細書で記載されるように、組織壁の対向面間の流体連通を設け、維持し、制御し、閉鎖するための、組織壁内に移植し、使用するよう構成されたコネクタ100(本明細書においては、組織コネクタまたは心臓コネクタとも称される)の例示的な実施形態を示す。このようにして、コネクタ100は、任意の数の外科手術において使用するよう構成された組織コネクタとして利用され得る。上記の手順例を含むがこれらに限定されない。具体的には、コネクタ100は、VADの移植を含むがこれらに限定されない、様々な心臓手術において使用されるように構成された心臓コネクタとして利用され得る。示されるように、コネクタ100は固着装置102、ポート106及びカプラー装置110を含み得る。固着装置102は、外科手術の間、連続して使用するためにコネクタ100を固定するため組織壁へ少なくとも部分的に前進するよう構成され得る。
【0028】
ポート106は、固着装置102の近位端に取り付けてよく、それを通る開口部114を画定してよい。このようにして、固着装置102の遠位端を少なくとも部分的に組織壁に前進させる際に、ポート106は組織壁に対して配置されてよく、開口部114は、コネクタ100を通して手順を遂行するための組織壁へのアクセスを提供し得る。カプラー装置110は、以下に詳細に記載するように、ポート106のまわりに配置されてよく、コネクタ100に様々な医療装置を連結するよう構成されてよい。例えば、カプラー装置110は、10mmから30mmの範囲の外径、より詳細には15mmから25mmの範囲の外径を有する、様々な管状の医療装置を連結するよう構成され得る。開口部118は、コネクタ100を通って組織壁へと通じ得る、様々な外科用器具と同様に、このような医療装置を受けるためのカプラー装置110を通して画定され得る。
【0029】
ある種の態様では、固着装置102は、固着装置100の軸のまわりに配置されたヘリカルコイルまたはばねを含み得る。したがって、固着装置102は、コイルまたはばねによって画定されたヘリカル経路に沿って組織壁へと少なくとも部分的に前進するように構成され得る。このようにして、固着装置102は、コネクタ100を組織壁に固定するための無縫合装置を提供する。ヘリカルコイルまたはばねの遠位端は、組織壁の第1表面(例えば、外表面)に接触して突き刺し、ヘリカルコイルまたはばねがその後、コネクタ100の回転をして、組織壁の第2表面(例えば、内表面)に向かって容易に前進できるように構成された尖らせた先端部122を含み得る。このようにして、固着装置102は、固着装置102の少なくとも一部が、組織壁の第1表面と第2表面の間に実質的に配置されるように、少なくとも部分的に組織壁を通って前進するよう構成され得る。固着装置102を少なくとも部分的に組織壁へと前進させる際に、ヘリカルコイルまたはばねは、組織壁の支援と補強を提供し得る。例えば、ヘリカルコイルまたはばねは、その後外科手術の間に、コネクタ100を通して組織壁内で形成された穴が裂けたり拡張したりするのを防ぐことを促進し得る。ある種の態様では、固着装置102は、互いに半径方向に斜めにかつ等間隔である、尖らせた先端122を有する複数のヘリカルコイルまたはばねを含み得る。例えば、固着装置102は、180度の間隙を介した先端122を有する2つのヘリカルコイルまたはばね、または、120度の間隙を介した先端122を有する3つのヘリカルコイルまたはばねを含み得る。このようにして、複数のヘリカルコイルまたはばねは、組織壁で固着装置102の均衡を保ち、多条ねじ形態のものに類似の方法で、組織壁内の固着装置102を起動させるのを容易にし得るように構成され得る。
【0030】
いくつかの態様では、
図1Aに示すように、ヘリカルコイルまたはばねは、固着装置102の近位端から遠位端に向かって増加するヘリカル直径を有する半径方向に拡張するヘリカルコイルまたはばねとして形成され得る。このようにして、ヘリカルコイルまたはばねは、遠位端の直径が実質的に近位端の直径よりも大きな円錐形状を有し得る。半径方向に拡張するヘリカルコイルまたはばねの形状のため、固着装置102は、その中を通って前進する際に、固着装置102の軸に向かって内側に組織壁の少なくとも一部を圧縮するように構成することができる。このような組織壁の部分の内方圧縮は、組織壁にコネクタ100を確実に取り付けるのを支援し得る。さらに、このような組織壁の部分の内方圧縮は、導管またはその他の医療装置に向かってまたは対して組織を圧縮するために利用され、管またはその他の医療装置は、コネクタ100を通って、かつ組織壁に形成された穴を通って挿入され得る。このようにして、圧縮された組織は、組織壁の穴の中かつ固着装置102のほぼ中央にある導管または医療装置を確実に配置するのを容易にし得る。さらに、圧縮された組織は、組織壁と導管または医療装置の外表面との間に、表面流体密なシールを提供し得る。他の態様では、
図1Dに示すように、ヘリカルコイルまたはばねは、固着装置102の長さに沿って実質的に一定のヘリカル直径を有し得る。このようにして、固着装置102によって生じた内方組織の圧縮は、ヘリカルコイルまたはばねを組織壁へと前進させることにより生じた組織の置き換えに起因することに限定され得る。しかしながら、追加で組織を圧縮するのは、下記に記載の通りヘリカルコイルまたはばねと、導管または医療装置の外表面との間で達成され得る。具体的には、穴は組織壁に形成されてよく、この穴はその中に挿入された導管または医療装置の外径よりも小さな直径を有する。したがって、挿入時に、導管または医療装置は、ヘリカルコイルまたはばねに向かって半径方向外側に、組織壁の少なくとも一部を圧縮し得る。さらに他の態様では、ヘリカルコイルまたはばねは、固着装置102の長さに沿って変化するヘリカル直径を有し、固着装置102の近位端から遠位端に向かって半径方向に延在する部分及び半径方向に収縮する部分を含み得る。このようにして、組織の圧縮は、半径方向に拡張する部分及びその中の半径方向に収縮する部分に応じて組織壁の厚さによって変化し得る。いくつかの態様では、ヘリカルコイルまたはばねは、固着装置102の長さに応じて変化するピッチを有してよく、そのため、組織の軸方向に圧縮した層を構成され得る。
【0031】
固着装置102はヘリカルコイルまたはばねを含まない他の態様では、固着装置102は、ピン、プロング、バーブ、フック、ステープルまたはその他の類似の機能を有するものなどのような非螺旋要素を含んでよく、外科手術の間、連続して使用するためにコネクタ100を固定するため組織壁へ少なくとも部分的に前進するよう構成され得る。このようないくつかの態様では、少なくとも部分的に、ピン、プロング、バーブ、フックまたはその他の類似の機能の構成により、固着装置102は、その中を通って前進する際に、固着装置102の軸に向かって内側に組織壁の少なくとも一部を圧縮するように構成することができる。このような組織の部分の内方圧縮は、ヘリカルコイルまたはばねを含む、固着装置102に関する上記のようなものと同様に、機能的な利点を提供し得る。いくつかの態様では、固着装置102は、組織壁に固着装置102を取り付けることを容易にするよう構成された、接着剤または粘着性物質を含み得る。
【0032】
ある種の態様では、ポート106は、実質的に、円周方向内側表面126及び円周方向外側表面128を有する環状部材で形成され得る。このようにして、開口部114は、ポート106の円周方向内側表面126により画定され得る。前述したように、ポート106は、固着装置102の近位端に取り付けてよい。具体的には、ポート106は、ポート106の軸方向の回転が、組織壁へと少なくとも部分的に固着装置102を前進させるために、固着装置102を軸方向に対応して回転させる結果となるように、固着装置102の近位端にしっかりと取り付け得る。示されているように、固着装置102の近位端は、ポート106の開口部114内に配置されてよい。いくつかの態様では、ポート106は、ポート106の遠位端のまわりで形成され、半径方向外側に延在するフランジ132を含み得る。したがって、フランジ132は、その中を通る固着装置102を前進させる際に、組織壁の第1表面に接触するよう構成され得る。
【0033】
示されているように、フランジ132は、一般に円錐台形状を有してよく、固着装置102の近位端は、フランジ132によって画定された開口部114の部分内に配置されてよい。いくつかの態様では、フランジ132は、フランジ132を通って画定され、ポート106の軸のまわりに円周状の配列で配置された複数の穴134を含み得る。穴134は、ポート106を組織壁に縫合してコネクタ100に追加的に固定するために、ある種の手順の間に利用され得る。以下に詳細に記載するように、いくつかの態様では、ポート106は、円周方向外側表面128上に形成され、コネクタ100に様々な器具を取り付けるよう構成された器具取付機構138を含み得る。器具取付機構138は、ポート106に沿って軸方向に延在する突出部またはタブとして形成され得る。このようにして、突出部またはタブは、固着装置102を少なくとも部分的に組織壁へと前進させるために、トルクを送達器具からコネクタ100へと移送するよう構成され得る。示されているように、突出部またはタブは、一般に、T字形であり、そのためコネクタ100に取り付けられ得る様々な器具により、軸方向に保持されるように構成され得る。
【0034】
ある種の態様では、カプラー装置110は、ポート106の近位端のまわりに配置され、コネクタ100に様々な医療装置を軸方向に連結するよう構成されたテーパロック型機構142を含み得る。具体的には、テーパロック型機構142は、LVADまたはAACの注入チューブなどのような、カプラー装置110の開口部118内に配置された医療装置のチューブ要素を受け、軸方向に保持するよう構成され得る。このようにして、固着装置102を少なくとも部分的に組織壁へと前進させた後、チューブ要素はその後、カプラー装置110を介してコネクタ100に固定され得る。このように、チューブ要素は組織壁に固定され得る。
【0035】
示されているように、テーパロック型機構142は、円周状の配列で配置され、ロッキングリング144のまわりで軸方向に延在する複数のフィンガ146を含む、ロッキングリング144を含んでもよい。各フィンガ146は、フィンガ146から半径方向外側に延在するタブ148を含み得る。それぞれのタブ148の少なくとも一部は、ポート106の円周方向内側表面126内に画定された内周溝152内に配置され得る。タブ148は、ポート106の近位端に接触する際に、半径方向内側に偏向するよう構成され得るので、タブ148のそれぞれは、溝152へ挿入を容易にするため、フィンガ146の遠位端に向かって半径方向内側に角度をつけ得る。溝152は、ポート106の近位端に向かって半径方向内側に角度をつけたテーパ面154を含み得る。このようにして、フィンガ146のタブ148は、溝152のテーパ面154に面する。この配置に基き、医療装置のチューブ要素は、開口部118に挿入され、テーパロック型機構142によって軸方向に保持され得る。具体的には、チューブ要素を軸方向に取り外すのは、フィンガ146のタブ148と溝152のテーパ面154との間の相互作用によって妨げられ、フィンガ146を半径方向内側に偏向し、そのためフィンガ146とチューブ要素の平滑な外表面との間の摩擦力を増加し得る。したがって、テーパロック型機構142は、チューブ要素の外表面に任意の嵌合機構を提供する必要なく、開口部118内のチューブ要素を受け、軸方向に保持するよう構成され得る。このようにして、テーパロック型機構142は、嵌合するチューブ要素が選択された範囲内の外径を有する場合、コネクタ100に様々な医療装置を連結するよう構成され得る。例えば、テーパロック型機構142は、19mmから22mmの間の外径を有するチューブ要素を受け、軸方向に保持するよう構成され得る。
【0036】
ある種の態様では、コネクタ100は、その中を通る固着装置102を前進する際に、第1表面の組織壁に対して接触し密封するよう構成された第2密封要素158をも含み得る。第2密封要素158は、ポート106の遠位端に取り付けられた実質的に環状部材として形成され、半径方向に延在し得る。いくつかの態様では、第2密封要素158は、組織壁の第1表面に対して接触し密封するよう構成されたOリングとして形成され得る。他の態様では、示されているように、第2密封要素158は、一般に、半径方向外側に延在し、組織壁の少なくとも一部を受けるように構成され、特に、組織壁の第1表面が実質的に凸状に湾曲している円錐台形状を有するように形成され得る。他の態様では、第2密封要素158は、一般に、半径方向内側に延在し、組織壁の少なくとも一部を受けるように構成され、特に、組織壁の第1表面が実質的に凹状に湾曲している円錐台形状を有するように形成され得る。なお他の態様では、第2密封要素158は、その他の形状を有するように形成され、コネクタ100が移植され得る組織壁の形状によって選択され得る。このような形状としては、半球形(例えば、実質的に湾曲した組織壁)、実質的に平坦な円環形(例えば、実質的に平坦な組織壁)、及びその他の嵌合する形状が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
いくつかの態様では、剛性または実質的に剛性である材料で形成されてよく、よって第2密封要素158は、第2シールを提供するために、第2密封要素158の形状に適合する組織壁を偏らせるよう構成され得る。他の態様では、第2密封要素は、可撓性や弾性がある材料で形成され、ゆえに、第2密封を提供するために組織壁の形状に適合するよう構成され得る。このようにして、導管またはその他の医療装置がコネクタ100及び組織壁に形成された穴に挿入された場合、第2密封要素158は、導管や医療装置のまわりに第2の流体密なシールを提供するよう構成され、前述したように、第1の流体密なシールに加えて、導管または医療装置に対して組織を圧縮する固着装置102によって提供され得る。あるいは、固着装置102が組織を内側に圧縮するよう構成されていない態様においては、第2密封要素158は、穴のまわりまたは導管若しくは医療装置のまわりに唯一の流体密なシールを提供するよう構成され得る。いくつかの態様では、第2密封要素158は、接着剤または化学的手段を含んでよく、これを第2密封要素158の少なくとも一部に塗布し、組織壁の第1表面に対して第2シールを作製または強化する。
【0038】
ある種の態様では、コネクタ100を通る流体連通を閉鎖するよう構成された止血弁162を含み得る。示されているように、止血弁162は、ポート106の開口部114内に少なくとも部分的に配置されてよく、円周方向内側表面126に取り付けてよい。ある種の態様では、止血弁162は、パッシブ弁であり得る。ある種の態様では、止血弁162は、アクティブ弁であり得る。ポート106の遠位端からポート106の近位端へと、流体が開口部114を通って流れるのを防ぐように構成された、いくつかの態様では、止血弁162は、一方向弁として形成され得る。このようにして、固着装置102を少なくとも部分的に組織壁へと前進させ、組織壁にコネクタ100を通る穴を形成した後、止血弁162は、組織壁に含まれた流体がポート106を通って流出するのを防止し得る。例えば、コネクタ100が心臓のコネクタとして利用され、心臓の組織壁に取り付けられた場合、止血弁162は、組織壁に含まれた血液がポート106を通って流出するのを防止し得る。いくつかの態様では、示されているように、止血弁162は、半径方向外側に開く複数のリーフレット164を含む、複数の弁尖の一方向弁として形成され得る。他の態様では、止血弁162は、開閉するよう構成された単一のリーフレット164を含む、単一弁尖の一方向弁として形成され得る。さらに他の態様では、止血弁162は、拡張され、開かれた構成及び折りたたまれ、閉じられた構成を有するダイヤフラム弁であり得る。このようないくつかの態様によれば、ダイヤフラム弁は、その中に画定され、その中を通る流体連通を選択的に制御するよう構成された、小さなオリフィスまたは細隙を含み得る。ダイヤフラム弁は、折りたたまれ、閉じられた構成から、拡張され、開かれた構成へとオリフィスまたは細隙を拡張することにより、操作され得る。いくつかの態様では、ダイヤフラム弁は、その中に画定され、その中を通る流体連通を選択的に制御するよう構成された、開口部を含み得る。ダイヤフラム弁は、折りたたまれ、閉じられた構成から、拡張され、開かれた構成へと少なくとも弁の一部を回転して開放または閉鎖することにより、操作され得る。具体的には、第1方向へダイヤフラム弁の少なくとも一部を回転すると開口部が開放され、ダイヤフラム弁の少なくとも一部を反対方向の第2方向に回転すると、開口部が閉鎖する。
【0039】
止血弁162が一方向の構成を有する態様によると、止血弁162は、様々な器具、導管または医療装置が、ポート106の近位端から組織壁への開口部114を通ることを可能にするよう構成され得る。いくつかの態様では、止血弁162は、シリコーンなどの可撓性、弾性がある材料で形成され、よって開口部114から組織壁へと通る器具、導管または医療装置により伸縮自在に変形され得る。このようにして、器具、導管または医療装置は、コネクタ100を通って挿入される場合、止血弁162は、器具、導管または医療装置の外表面のまわりで流体密なシールを提供するよう構成され得る。
図1B及び
図1Cに示すように、止血弁162を含むある種の態様では、止血弁162は、開口部114を通って挿入されるテーパロック型機構142と医療装置のチューブ要素との間で半径方向に配置され得る。このようにして、チューブ要素を保持する摩擦力は、フィンガ146とチューブ要素の平滑な外表面との間に直接発生するのではなく、止血弁162とチューブ要素の平滑な外表面との間に発生する。いくつかの態様では、止血弁162は、シリコーンなどのような可撓性または弾性のある材料で形成され、このため止血弁162とチューブ要素との間で、高い摩擦係数を生じる結果となり得る。
【0040】
図2Aから
図2Gは、本明細書で記載されるように、組織壁の対向面間の流体連通を設け、維持し、制御し、閉鎖するための、組織壁内に移植し、使用するよう構成されたコネクタ200のもう一つの例示的実施形態を示す。コネクタ200は、これらの前述したコネクタ100に対応する様々な要素を含んでよく、これらの要素は
図2Aから
図2Gに数字と対応して明確にされており、本明細書でさらに詳細には記載されていない場合がある。コネクタ200は、任意の数の外科手術において使用するよう構成された組織コネクタとして利用されてよく、上記の手順例を含むがこれらに限定されない。具体的には、コネクタ200は、様々な心臓手術において使用されるように構成された心臓コネクタとして利用されてよく、VADの移植を含むがこれらに限定されない。示されているように、コネクタ200は、固着装置202、ポート206及びカプラー装置210を含み、コネクタ100の対応する要素に類似の方法によって、構成され得る。コネクタ200とコネクタ100との間の、ある種の構造的及び機能的な相違点は、以下に記載の通りである。
【0041】
ある種の態様では、カプラー装置210は、ポート206の近位端のまわりに配置され、コネクタ200に様々な医療装置を軸方向に連結するよう構成された軸方向のクリップ型機構242を含み得る。具体的には、軸方向のクリップ型機構242は、VADの注入チューブなどのような、カプラー装置210の開口部218内に配置された医療装置のチューブ要素を受け、軸方向に保持するよう構成され得る。このようにして、固着装置202を少なくとも部分的に組織壁へと前進させた後、チューブ要素はその後、カプラー装置210を介してコネクタ200に固定され得る。このように、チューブ要素は組織壁に固定され得る。示されているように、軸方向のクリップ型機構242は、円周状の配列で配置され、クリップリング244のまわりで軸方向に延在する複数のフィンガ246を含む、クリップリング244を含んでもよい。各フィンガ246は、フィンガ246から半径方向内側に延在するタブ248を含み得る。それぞれのタブ248の少なくとも一部は、ポート206の円周方向外側表面228内に画定された円周溝252内に配置されるよう構成され得る。ポート206は、また、ポート206の近位端のまわりの円周方向外側表面228上に形成された円周リング253を含み得る。具体的には、リング253は、ポート206の円周方向外側表面228に沿って、溝252に隣接して配置されてよい。リング253は、ポート206の近位端に向かって半径方向内側に角度をつけたテーパ面254を含み得る。タブ248は、リング253のテーパ面254に接触して半径方向外側に偏向するように構成され得る。そのため、タブ248のそれぞれは、タブ248をリング253の上に、溝252内へ前進させることを容易にするため、フィンガ246の遠位端に向かって半径方向外側に角度をつけ得る。このようにして、タブ248のそれぞれの少なくとも一部を溝252内に配置すると、クリップリング244は、ポート206に軸方向に連結され得る。クリップリング244は、ポート206に連結される前に、医療装置のチューブ要素に固定されるように構成され得る。具体的には、クリップリング244は、ポート206に連結される前に、医療装置のチューブ要素の縫合カフに縫合されるように構成され得る。縫合カフは、チューブ要素の遠位端から隔置され得る。この配置に基き、クリップリング244をチューブ要素に固定した後に、チューブ要素は、その後、クリップリング244はポート206の近位端に向かって前進されるため、ポート206の開口部214に挿入され得る。その他の実施形態では、クリップリング244は溝とリングを含んでよく、ポート206はタブを有するフィンガを含んでよいように、軸方向のクリップ型機構242の嵌合機構は、反対方向に向けてよいと理解されるであろう。
【0042】
図3Aから
図3Cは、本明細書で記載されるように、組織壁の対向面間の流体連通を設け、維持し、制御し、閉鎖するために、組織壁内に移植し、使用するよう構成されたコネクタ300のもう一つの例示的実施形態を示す。コネクタ300は、これらの前述したコネクタ100に対応する様々な要素を含んでよく、要素は
図3Aから
図3Cに数字と対応して明確にされており、本明細書でさらに詳細には記載されていない場合がある。コネクタ300は、任意の数の外科手術において使用するよう構成された組織コネクタとして利用されてよく、上記の手順例を含むがこれらに限定されない。具体的には、コネクタ300は、様々な心臓手術において使用されるように構成された心臓コネクタとして利用されてよく、VADの移植を含むがこれらに限定されない。示されているように、コネクタ300は、固着装置302、ポート306及びカプラー装置310を含み、コネクタ100の対応する要素に類似の方法によって、構成され得る。コネクタ300とコネクタ100との間の、ある種の構造的及び機能的な相違点は、以下に記載の通りである。
【0043】
ある種の態様では、カプラー装置310は、ポート306の近位端のまわりに配置され、コネクタ300に様々な医療装置を軸方向に連結するよう構成されたウォームギアコレット機構342を含み得る。具体的には、ウォームギアコレット機構342は、VADの注入チューブなどのような、カプラー装置310の開口部318内に配置された医療装置のチューブ要素を受け、軸方向に保持するよう構成され得る。このようにして、固着装置302を少なくとも部分的に組織壁へと前進させた後、チューブ要素はその後、カプラー装置310を介してコネクタ300に固定され得る。このように、チューブ要素は組織壁に固定され得る。さらに、ウォームギアコレット機構342は、カプラー装置310の開口部318内に配置される、チューブ要素の軸方向の回転を防止するよう構成され得る。示されているように、ウォームギアコレット機構342は、円周状の配列で配置された複数のフィンガ346を含み、コレットリング344の円周方向内側表面のまわりで円周方向に延在する、コレットリング344を含み得る。各フィンガ346は、コレットリング344に取り付けられた固定端及び半径方向に偏向するよう構成された自由端を含み得る。各フィンガ346もまた、フィンガ348の自由端から半径方向外側に延在するタブ348を含み得る。ウォームギアコレット機構342は、コレットリング344内に配置され、コレットリング344に対して軸方向に回転するよう構成されたロッキングリング350をも含み得る。ロッキングリング350は、円周状の配列で配置され、ロッキングリング350の円周方向内側表面から半径方向内側に延在する複数のタブ352を含み得る。ロッキングリング350は、円周状の配列で配置され、ロッキングリング350の円周方向外側表面から軸方向に延在する複数の歯353をも含み得る。ウォームギアコレット機構342は、さらに、コレットリング344内に画定されたポケット355内に配置されたウォームギア354を含み得る。具体的には、ポケット355は、ロッキングリング350に隣接して配置されてよく、ウォームギア354は、ロッキングリング350の歯353を係合する。ウォームギア354は、ポケット355内で軸方向に回転するよう構成され得る。このようにして、ウォームギア354が軸方向に回転すると、カプラー装置310の軸のまわりで、ロッキングリング350が軸方向に回転するという結果となり得る。ウォームギア354は、メス六角ソケットまたはその他の公知の駆動特徴などのような、ウォームギア354を係合し軸方向に回転するよう構成された駆動特徴を含み得る。
【0044】
示されているように、ウォームギアコレット機構342は、ロックされていない状態からロックされている状態へと移動するように構成され得る。ロックされていない状態の場合には、コレットリング344のフィンガ346のタブ348は、カプラー装置310の開口部318の外側に配置され、ロッキングリング350のタブ352は、フィンガ346のタブ348に隣接して配置され得る。第1方向にウォームギア354を軸方向に回転させると、ウォームギアコレット機構342は、ロックされていない状態からロックされた状態へと移動し得る。具体的には、第1方向にウォームギア354を軸方向に回転させると、ロッキングリング350は、ロッキングリング350のタブ352は、フィンガ346のタブ348に接触し、タブ348をカプラー装置310の開口部318へと半径方向内側に偏向させるように、軸方向に回転し得る。この配置に基き、医療装置のチューブ要素は、開口部318に挿入され、ウォームギアコレット機構342によって軸方向に保持され得る。具体的には、チューブ要素は、ウォームギアコレット機構342がロックされていない状態のとき、開口部318に挿入され得る。及びチューブ要素が組織壁に形成された穴を通って前進させた後に、ウォームギアコレット機構342は、ロックされている状態に移動され得る。ロックされている状態の場合には、チューブ要素を軸方向に取り外すことは、フィンガ346とチューブ要素の平滑な外表面との間の摩擦力によって妨げられ得る。さらに、ロックされている状態の場合には、カプラー装置310に対するチューブ要素を軸方向に回転することも、このような摩擦力によって防止され得る。したがって、ウォームギアコレット機構342は、チューブ要素の外表面に任意の嵌合機構を提供する必要なく、開口部318内のチューブ要素を受け、軸方向に保持するよう構成され得る。このようにして、ウォームギアコレット機構342は、嵌合するチューブ要素が選択された範囲内の外径を有する場合、コネクタ300に様々な医療装置を連結するよう構成され得る。例えば、ウォームギアコレット機構342は、19mmから22mmの間の外径を有するチューブ要素を受け、軸方向に保持するよう構成され得る。
【0045】
図4Aから
図4Iは、本明細書で記載されるように、組織壁の対向面間の流体連通を設け、維持し、制御し、閉鎖するための、組織壁内に移植し、使用するよう構成されたコネクタ400のもう一つの例示的実施形態を示す。コネクタ400は、これらの前述したコネクタ100に対応する様々な要素を含んでよく、要素は
図4Aから
図4Iに数字と対応して明確にされており、本明細書でさらに詳細には記載されていない場合がある。コネクタ400は、任意の数の外科手術において使用するよう構成された組織コネクタとして利用され得る。上記の手順例を含むがこれらに限定されない。具体的には、コネクタ400は、VADの移植を含むがこれらに限定されない、様々な心臓手術において使用されるように構成された心臓コネクタとして利用され得る。示されているように、コネクタ400は、固着装置402、ポート406及びカプラー装置410を含み、コネクタ100の対応する要素に類似の方法によって、構成され得る。コネクタ400とコネクタ100との間の、ある種の構造的及び機能的な相違点は、以下に記載の通りである。
【0046】
ある種の態様では、カプラー装置410は、ポート406の近位端のまわりに配置され、コネクタ400に様々な医療装置を軸方向に連結するよう構成された偏向アーム機構442を含み得る。具体的には、偏向アーム機構442は、LVADまたはAACの注入チューブなどのような、カプラー装置410の開口部418内に配置された医療装置のチューブ要素を受け、軸方向に保持するよう構成され得る。このようにして、固着装置402を少なくとも部分的に組織壁へと前進させた後、チューブ要素はその後、カプラー装置410を介してコネクタ400に固定され得る。このように、チューブ要素は組織壁に固定され得る。さらに、偏向アーム機構442は、カプラー装置410の開口部418内に配置される、チューブ要素の軸方向の回転を防止するよう構成され得る。示されているように、偏向アーム機構442は、開口部418のまわりで円周方向に延在するベースリング444を含み得る。偏向アーム機構442もまた、実質的に弧形を形成された偏向アーム446を含み得る。偏向アーム446は、ベースリング444内に画定された嵌合スロット448内に配置され、ベースリング444の円周方向内側表面に沿って延在する。示されているように、偏向アーム446は、ベースリング444にしっかりと取り付けられている固定端450及び半径方向内側に偏向するよう構成された自由端451を含み得る。偏向アーム機構442は、さらにベースリング444で画定される嵌合穴455内に配置される偏向部材454を含み得る。偏向部材454は、偏向アーム446を内側に偏向するよう構成され得る。いくつかの態様では、示されているように、偏向部材454は、スクリュまたはボルトなどのねじ付き部材であり、ベースリング444内に画定される嵌合穴455内に配置されてよく、ねじ付きでもあり得る。具体的には、嵌合穴455は、偏向アーム446の自由端451に隣接して配置され得る。偏向部材454は、偏向アーム446の自由端451の半径方向外側に接触するために、嵌合穴455を通って前進するよう構成され得る。偏向部材454は、メス六角ソケットまたはその他の公知の駆動特徴などのような、ねじ付き部材454を嵌合穴455を通って前進するために、係合し軸方向に回転するよう構成された駆動特徴を含み得る。このようないくつかの態様では、偏向部材454は、単純な器具、取り付けられたワイヤまたはノブによって回転され得る。
【0047】
示されているように、偏向アーム機構442は、ロックされていない状態からロックされている状態へと移動するように構成され得る。ロックしていない状態の場合には、偏向アーム446の自由端451は、カプラー装置410の開口部418の外側に配置され得る。嵌合穴455を通って偏向部材454を前進させる際に、偏向アーム機構442は、ロックされていない状態からロックされている状態へと移動し得る。具体的には、嵌合穴455を通って偏向部材454を前進させ、偏向アーム446に接触する際に、偏向アーム446の自由端451は、カプラー装置410の開口部418に半径方向内側に偏向され得る。この配置に基き、医療装置のチューブ要素は、開口部418に挿入され、偏向アーム機構442によって軸方向に保持され得る。具体的には、チューブ要素は、偏向アーム機構442がロックされていない状態のとき、開口部418に挿入され得る。チューブ要素が組織壁に形成された穴を通って前進させた後に、偏向アーム機構442は、ロックされている状態に移動され得る。ロックされている状態の場合には、ロックされている状態の場合には、チューブ要素を軸方向に取り外すことは、ベースリング444とチューブ要素の平滑な外表面との間の摩擦力と同様に、偏向アーム446とチューブ要素の平滑な外表面との間の摩擦力によって妨げられ得る。さらに、ロックされている状態の場合には、カプラー装置410に対するチューブ要素を軸方向に回転することも、このような摩擦力によって防止され得る。したがって、偏向アーム機構442は、チューブ要素の外表面に任意の嵌合機構を提供する必要なく、開口部418内のチューブ要素を受け、軸方向に保持するよう構成され得る。このようにして、偏向アーム機構442は、嵌合するチューブ要素が選択された範囲内の外径を有する場合、コネクタ400に様々な医療装置を連結するよう構成され得る。例えば、偏向アーム機構442は、19mmから22mmの間の外径を有するチューブ要素を受け、軸方向に保持するよう構成され得る。
【0048】
ある種の態様では、コネクタ400はまた、コネクタ400の開口部414及び組織壁を通って配置するように構成されたカニューレ470を含み得る。したがって、カニューレ470は、組織壁に形成された穴内に配置されるために剛性の部材を提供し得る。このようにして、カニューレ470は、穴に隣接して配置された組織を安定させるために構成され、そのためポート406と組織壁の第1表面との間、または第2密封部材458と組織壁の第1表面との間の境界面のまわりで流体が漏洩することを防ぎ得る。いくつかの態様では、示されているように、コネクタ400を通る流体連通を閉鎖するよう構成された止血弁462をさらに含み得る。具体的には、止血弁462は、その中を通る流体連通を閉鎖するために、カニューレ470内に少なくとも部分的に配置され得る。このような態様では、カニューレ470は、偏向アーム機構442の偏向アーム446が、止血弁462とチューブ要素の平滑な外表面との間で生じた摩擦力を介して、チューブ要素を係合し保持するために側面開口部474を通過することを可能にするよう構成された側面開口部474を含み得る。さらに、カニューレ470は、コネクタ400内にカニューレ470を送達及び配置するために、様々な器具を係合するよう構成された器具係合機構478を含み得る。いくつかの態様では、カプラー装置410は、カニューレ470上に、またはその内部に配置され得る。このような態様では、カニューレ470は、前述したように、側面開口部474を含まないだろう。ある種の態様では、
図4C及び
図4Dに示されているように、カニューレ470は、カニューレ470の外表面上に形成され
たねじ山482を含み得、コネクタ400の開口部414内に画定された嵌合するねじ山
に係合するよう構成される。このようにして、カニューレ470は、コネクタ400内に確実に配置され得る。
【0049】
いくつかの態様では、偏向アームまたはカンチレバー446は、ポート406上に設置され得る。他の態様では、偏向アーム446は、カニューレ470上に設置され得る。いくつかの実施形態では、偏向アーム446は、VADまたはその他の医療装置の注入口を偏向しロックすると作動され得る。その他の実施形態では、偏向アーム446は、止血弁462の一部などのような、その他の構成要素の一部を偏向し変形すると作動され得る。その結果、VADまたはその他の医療装置の注入口をロックするだろう。いくつかのその他の要素または表面は、偏向アーム446とVAD注入口面との間に配置され、偏向アーム446の偏向は、これらの中間要素や表面に、偏向、変形またはその他の機械的変化を生じ、その結果、所定位置のVADの注入口をロックし得ると理解されている。
【0050】
第1のロック機構とは別に、止血弁462とVADの注入口との間の摩擦は、所定位置にVADの注入口をロックするのに十分であり得る。いくつかの実施形態では、弁尖464または止血弁462の表面は、チャイニーズフィンガートラップとして機能する。これらの実施形態では、VAD注入口は、弁462を通って空洞または心室へと前方に比較的自由に移動し得るが、幾何学的形状または止血弁462の接触面の摩擦によって、VADを取り戻す後方への移動は、低減または全体として制限される。
【0051】
図5Aから
図Fは、本明細書で記載されるように、組織壁の対向面間の流体連通を設け、維持し、制御し、閉鎖するための、組織壁内に移植し、使用するよう構成されたコネクタ500のもう一つの例示的実施形態を示す。コネクタ500は、これらの前述したコネクタ100に対応する様々な要素を含んでよく、要素は
図5Aから
図5Fに数字と対応して明確にされており、本明細書でさらに詳細には記載されていない場合がある。コネクタ500は、任意の数の外科手術において使用するよう構成された組織コネクタとして利用され得る。上記の手順例を含むがこれらに限定されない。具体的には、コネクタ500は、VADの移植を含むがこれらに限定されない、様々な心臓手術において使用されるように構成された心臓コネクタとして利用され得る。示されているように、コネクタ500は、固着装置502、ポート506及びカプラー装置510を含み、コネクタ100の対応する要素に類似の方法によって、構成され得る。コネクタ500とコネクタ100との間の、ある種の構造的及び機能的な相違点は、以下に記載の通りである。
【0052】
ある種の態様では、カプラー装置510は、ポート506の近位端のまわりに配置され、コネクタ500に様々な医療装置を軸方向に連結するよう構成された蝶番型のリングロック機構542を含み得る。具体的には、蝶番型のリングロック機構542は、LVADまたはAACの注入チューブなどのような、カプラー装置510の開口部518内に配置された医療装置のチューブ要素を受け、軸方向に保持するよう構成され得る。このようにして、固着装置502を少なくとも部分的に組織壁へと前進させた後、チューブ要素はその後、カプラー装置510を介してコネクタ500に固定され得る。このように、チューブ要素は組織壁に固定され得る。示されているように、蝶番型のリングロック機構542は、ポート506の近位端のまわりで形成され、開口部518のまわりで円周状に延在する第1リング544を含み得る。蝶番型のリングロック機構542は、第1リング544に連結され、開口部518のまわりで円周状に延在する第2リング546をも含み得る。具体的には、第2リング546は、第2リング546及び第1リング544の円周方向外側表面に沿って配置されたヒンジ548によって、第1リング544に連結され得る。したがって、第2リング546は、第1リング544及びコネクタ500の残部に対してヒンジ548のまわりで回転するよう構成され得る。具体的には、第2リング546は、第2リング546が接触し、第1リング544と同軸である閉鎖位置から、第2リング546が回転して離れ、第1リング544と同軸ではない開放位置へ回転するよう構成され得る。いくつかの態様では、第2リング546によって画定された開口部は、不規則形状(即ち、円柱形でない)を有し、医療装置のチューブに、カプラー装置510の開口部518に挿入されるのを妨げるように構成され得る。さらに、またはあるいは、いくつかの態様では、蝶番型のリングロック機構542は、変形可能なスリーブなどの、チューブ要素上に配置され、第2リング546によって画定された開口部を妨げるよう構成されたキャッチ要素549を含み得る。これらの配置に基き、医療装置のチューブ要素は、開口部518に挿入され、蝶番型のリングロック機構542によって軸方向に保持され得る。具体的には、第2リング546が閉鎖位置にある場合、チューブ要素は、開口部518に挿入され得る。チューブ要素を軸方向に取り外すことは、チューブ要素と第1リング544と第2リング546との間の相互作用によって妨げられ、第2リング546が回転して開放位置になり得る。開放位置のとき、第2リング546は第1リング544と同軸ではないため、第2リング546とチューブ要素の平滑な外表面との間の摩擦力と同様に、このような回転は、第1リング544とチューブ要素の平滑な外表面との間の摩擦力を増大させ得る。さらに、キャッチ要素549を含む態様においては、摩擦力は、シリコーンなどの弾力性があり、変形可能な材料で形成されたキャッチ要素549によって増大し得る。したがって、蝶番型のリングロック機構542は、チューブ要素の外表面によって画定される任意の嵌合機構を提供する必要なく、開口部518内のチューブ要素を受け、軸方向に保持するよう構成され得る。このようにして、蝶番型のリングロック機構542は、嵌合するチューブ要素が選択された範囲内の外径を有する場合、コネクタ500に様々な医療装置を連結するよう構成され得る。例えば、蝶番型のリングロック機構542は、19mmから22mmの間の外径を有するチューブ要素を受け、軸方向に保持するよう構成され得る。いくつかの態様では、コネクタ500は、そこを通る流体連通を閉鎖するよう構成された止血弁562を含み得る。具体的には、示されているように、止血弁562は、コネクタ500の開口部514内に配置された止血弁として形成され得る。ダイヤフラム弁は、コネクタ100の止血弁162に対して前述した方法で構成され得る。
【0053】
図6Aから
図6Dは、本明細書で記載されるように、組織壁の対向面間の流体連通を設け、維持し、制御し、閉鎖するための、組織壁内に移植し、使用するよう構成されたコネクタ600のもう一つの例示的実施形態を示す。コネクタ600は、これらの前述したコネクタ100に対応する様々な要素を含んでよく、要素は
図6Aから
図6Dに数字と対応して明確にされており、本明細書でさらに詳細には記載されていない場合がある。コネクタ600は、任意の数の外科手術において使用するよう構成された組織コネクタとして利用され得る。上記の手順例を含むがこれらに限定されない。具体的には、コネクタ600は、VADの移植を含むがこれらに限定されない、様々な心臓手術において使用されるように構成された心臓コネクタとして利用され得る。示されているように、コネクタ600は、固着装置602、ポート606及びカプラー装置610を含み、コネクタ100の対応する要素に類似の方法によって、構成され得る。コネクタ600とコネクタ100との間の、ある種の構造的及び機能的な相違点は、以下に記載の通りである。
【0054】
ある種の態様では、カプラー装置610は、ポート606の近位端のまわりに配置され、コネクタ600に様々な医療装置を軸方向に連結するよう構成された軸方向のクリップ及びクランプ型機構642を含み得る。具体的には、軸方向のクリップ及びクランプ型機構642は、LVADまたはAACの注入チューブなどのような、カプラー装置610の開口部618内に配置された医療装置のチューブ要素を受け、軸方向に保持するよう構成され得る。このようにして、固着装置602を少なくとも部分的に組織壁へと前進させた後、チューブ要素はその後、カプラー装置610を介してコネクタ600に固定され得る。このように、チューブ要素は組織壁に固定され得る。示されているように、軸方向のクリップ及びクランプ型機構642は、円周状の配列で配置され、クリップリング644のまわりで軸方向に延在する複数のフィンガ646を含む、クリップリング644を含んでもよい。各フィンガ646は、フィンガ646から半径方向内側に延在するタブ647を含み得る。それぞれのタブ647の少なくとも一部は、ポート606の円周方向外側表面628内に画定された円周溝648内に配置されるよう構成され得る。ポート606は、また、ポート606の近位端のまわりの円周方向外側表面628上に形成された円周リング649を含み得る。具体的には、リング649は、ポート606の円周方向外側表面628に沿って、溝648に隣接して配置されてよい。リング649は、ポート606の近位端に向かって半径方向内側に角度をつけたテーパ面650を含み得る。それぞれのタブ647は、リング649のテーパ面650に接触して半径方向外側に偏向するように構成され得る。そのため、タブ647のそれぞれは、タブ647をリング649の上で、溝648内へ前進させることを容易にするため、フィンガ646の遠位端に向かって半径方向外側に角度をつけ得る。このようにして、タブ647のそれぞれの少なくとも一部を溝648内に配置すると、クリップリング644は、ポート606に軸方向に連結され得る。軸方向のクリップ及びクランプ型機構642はまた、クリップリング644によって配置、保持され、開口部618のまわりで円周方向に延在する複数のクランプ部651を含み得る。具体的には、示されているように、軸方向のクリップ及びクランプ型機構642は、それぞれが開口部のほぼ半円に沿って延在する2つのクランプ部651を含み得る。クランプ部651は、クランプ部651のそれぞれに画定された嵌合するねじ付き穴653に係合するよう構成された、ねじ付き部材652によって互いに連結され得る。ねじ付き部材652は、それぞれ、メス六角ソケットまたはその他の公知の駆動特徴などのような、ねじ付き部材652をねじ付き穴653を通って前進するために、係合し軸方向に回転するよう構成された駆動特徴を含み得る。
【0055】
示されているように、クランプ部651は、ロックされていない状態からロックされている状態へと移動するように構成され得る。ロックされていない状態の場合には、クランプ部651は、互いに隔置され、クランプ部651の円周方向内側表面は、カプラー装置610の開口部618の外側に配置され得る。ネジ付き穴653を通ってネジ付き部材652を前進させる際には、クランプ部651は、ロックされていない状態からロックされた状態へと移動し得る。具体的には、ネジ付き穴653を通ってネジ付き部材652を前進させる際には、クランプ部651は、互いに向かって移動し、クランプ部651の円周方向内側表面は、カプラー装置618の開口部618内に移動し得る。この配置に基き、医療装置のチューブ要素は、開口部618に挿入され、軸方向のクリップ及びクランプ型機構642によって保持され得る。具体的には、チューブ要素は、クランプ部651がロックされていない位置にある場合、開口部618に挿入され、チューブ要素が組織壁に形成された穴を通って前進させた後に、クランプ部651は、ロックされていない状態へと移動され得る。ロックされている状態の場合には、チューブ要素を軸方向に取り外すのは、クランプ部651の円周方向内側表面とチューブ要素の平滑な外表面との間の摩擦力によって妨げられ得る。さらに、ロックされている状態の場合には、カプラー装置610に対するチューブ要素を軸方向に回転することも、このような摩擦力によって防止され得る。したがって、軸方向のクリップ及びクランプ型機構642は、チューブ要素の外表面に任意の嵌合機構を提供する必要なく、開口部618内でチューブ要素を受け、軸方向に保持するよう構成され得る。このようにして、軸方向のクリップ及びクランプ型機構642は、嵌合するチューブ要素が選択された範囲内の外径を有する場合、コネクタ600に様々な医療装置を連結するよう構成され得る。例えば、軸方向のクリップ及びクランプ型機構642は、19mmから22mmの間の外径を有するチューブ要素を受け、軸方向に保持するよう構成され得る。カプラー装置610は、代わりに、リング644とポート606上のクリップ特徴の代わりに、嵌合するねじ山を含む、ねじ付きクランプ機構として構成され得ると理解されよう。このようにして、このようなねじ山は、リング644とポート606との間の強固な連結を確実にするために、次第に締め付け得る確実な機構を提供し得る。
【0056】
ある種の態様では、コネクタ600を通る流体連通を閉鎖するよう構成された止血弁662を含み得る。示されているように、止血弁662は、ポート606とカプラー装置610のクランプ部651との間で軸方向に延在する管状膜として形成され得る。具体的には、止血弁662の遠位端は、ポート606の近位端に取り付けてよく、止血弁662の近位端は、クランプ部の近位端に取り付けてよい。止血弁162は、可撓性または弾力性のある材料で形成されてよく、そのため、クリップリング644がポート606から分離されている場合の拡張した状態から、クリップリング644がポート606に取り付けられた場合の圧縮された状態へと移動するように構成され得る。さらに、止血弁162が拡張した状態のときには、外科手術用クランプまたは類似の器具は、その中を通る流体連通を閉鎖するために、止血弁162の一部の上に配置され得る。このようにして、固着装置602を少なくとも部分的に組織壁へと前進させ、コネクタ600を通って組織壁に穴を形成した後、止血弁662は、組織壁に含まれた流体がコネクタ600を通って流出するのを防止するために固定され得る。例えば、コネクタ600が心臓のコネクタとして利用され、心臓の組織壁に取り付けられた場合、固定された止血弁662は、組織壁に含まれた血液がコネクタ600を通って流出するのを防止する。さらに、可撓性または弾性の性質から、止血弁662は、コネクタ600を通って組織壁へと通じる器具、導管または医療装置によって伸縮自在に変形され得る。このようにして、器具、導管または医療装置がコネクタ600を通って挿入される場合、止血弁662は、器具、導管または医療装置の外表面のまわりで流体密なシールを提供するよう構成され得る。
【0057】
ある種の態様では、コネクタ600もまた、組織壁の第1表面と第2表面との間の流体連通を設けるために、組織壁に形成された穴を少なくとも部分的に通って延在するよう構成されたカニューレ670を含み得る。示されているように、カニューレ670は、ポート606の開口部614内に配置され、ポート606の開口部614を通って延在し得る。いくつかの態様では、カニューレ670は、ポート606に軸方向に連結され、ポート606に対応して軸方向に回転するよう構成され得る。このような態様においては、カニューレ670の近位端は、示されているように、止血弁662の遠位端に取り付けてよい。このようにして、止血弁662及びクリップリング644もまた、カニューレ670と共に、ポート606に対して軸方向に回転するよう構成され得る。
【0058】
図6Eから
図6Hは、本明細書で記載されるように、組織壁の対向面間の流体連通を設け、維持し、制御し、閉鎖するための、組織壁内に移植し、使用するよう構成されたコネクタ600の追加の例示的実施形態を示し、本明細書で開示されたその他のコネクタと比較して、ある種の構造的、機能的な相違を含み得る。例えば、いくつかのこのような実施形態は、
図6E及び
図6Fで示すように、Oリングとして形成される止血要素662を含み得る。さらに、いくつかのこのような実施形態は、
図6Gにて示すように、ポート606にロッキングリングを取り付けるためのキーをつけたロック機構を含む、カプラー装置610を含み得る。さらに、いくつかのこのような実施形態は、
図6Hに示すように、医療装置のチューブ要素を保持するよう構成されたコレットを作動するためのねじ付き機構を含む、カプラー装置610を含み得る。
図6Eから
図6Hに示している追加の特徴は、当業者によって理解されるであろう。
【0059】
図7Aから
図7Bは、コネクタ400などのような、組織壁にコネクタを移植するよう構成された送達器具700の例示的実施形態を示す。送達器具700は、コネクタ境界面702、細長いシャフト706及びハンドル710を含み得る。コネクタ境界面702は、送達器具700の遠位端のまわりに配置され、組織壁に移植するためにコネクタ400を取り付け、保持するように構成され得る。例えば、コネクタ境界面702は機械的、化学的または磁気的方法によってコネクタ400を取り付け、保持するように構成され得る。ハンドル710は、送達器具700の近位端のまわりに配置してよく、ユーザによって掴まれるように構成され、取り付けられたコネクタ400を組織壁に向かって誘導し、次に、固着装置402を少なくとも部分的に組織壁へと前進させる。したがって、ハンドル710は、示されているように、様々なグリップ特徴または形状を含み、ユーザがコネクタ400を移植するのを支援する。特に固着装置402は、ヘリカルコイルまたはばねを含み、そのため回転によって組織壁へと前進される。細長いシャフト706は、コネクタ境界面702とハンドル710との間で軸方向に延在し得る。いくつかの態様では、細長いシャフト706及びハンドル710は、カニューレ状でよく、そのため送達器具700は、ガイドワイヤに沿ってコネクタ400を移植するよう構成され得る。
【0060】
示されているように、コネクタ境界面702は、コネクタ400の少なくとも一部を受けるよう構成された環状容器714を含み得る。具体的には、容器714は、ポート406の少なくとも一部を受けるように構成されたカウンタボア718を画定し得る。容器714は、容器の円周状壁724を通って半径方向に延在する1つ以上のスロット722をも画定し得る。具体的には、容器714は、ポート406の器具取付機構438を受けるよう構成された複数のスロット722を画定し得る。このようにして、スロット722は、固着装置402を少なくとも部分的に組織壁へと前進させるために、トルクを送達器具700からコネクタ400へと移送するよう構成され得る。いくつかの態様では、示されているように、スロット722は、実質的にJ字形状を形成され得る。したがって、それぞれの器具取付機構138は、器具取付機構438が軸方向にスロット722内で軸方向に保持されるように、スロット722の一つに軸方向に挿入され、ポート406は、軸方向に回転され得る。このようにして、容器714は、スロット722を介してコネクタ400を軸方向に保持するように構成され得る。いくつかの態様では、容器714のスロット722及びポート406の器具取付機構438は、締まりばめを有するように構成される。したがって、容器714のカウンタボア718へとポート406の一部を挿入する際、コネクタ400は、十分に軸方向に取り外す力が加えられるまで、送達器具700によって軸方向に保持され得る。他の態様では、容器714は、カウンタボア718内のコネクタ400を軸方向に保持するよう構成された保持要素を含み得る。例えば、保持要素は、ポート406の円周方向外側表面428に接触するよう構成されたねじ付き部材を含み得る。あるいは、保持要素726は、円周方向外側表面428か、ポート406の器具取付機構438の一つの何れかに接触するよう構成された偏向アームを含み得る。このようにして、容器714は、組織壁に移植するためのコネクタ400を軸方向に保持するように構成され得る。
【0061】
図8Aから
図8Bは、組織壁に穴を形成するよう構成された切削器具800の例示的実施形態を示す。切削器具800は、コアリング装置802及び開孔装置806を含み得る。コアリング装置802は、コアリング装置802の遠位端に配置されたコアリングチューブ810、及び、コアリング装置802の近位端に配置されたコアリングハンドル812を含み得る。コアリングチューブ810は、異なる外径寸法の異なるコアリングチューブ810が、所望の寸法を有する穴を形成するために、切削器具800において使用され得るように、例えばねじ山によって、コアリングハンドル812に取り外し可能に連結され得る。ある種の態様では、コアリングチューブ810の遠位端の外径は、組織壁を通って配置された医療装置のチューブ要素の外径に合うように選択され得る。したがって、形成された穴は、チューブ要素にぴったりと合うことを提供し得る。他の態様では、コアリングチューブ810の遠位端の外径は、小型の穴はチューブ要素のまわりで流体密なシールを提供するのを支援し得るよう、チューブ要素の外径よりも小さくなるように選択され得る。さらに他の態様では、コアリングチューブ810の遠位端の外径は、寸法が大きな穴は、チューブ要素が穴の中に配置されるのを容易にすることができ、固着装置が組織を圧縮することにより、チューブ要素のまわりで流体密なシールを提供することができるよう、チューブ要素の外径よりも大きくなるように選択され得る。
【0062】
示されているように、コアリングチューブ810及びコアリングハンドル812は、カニューレ状でよく、開孔装置806の一部は、それを通して配置される。開孔装置806は、開孔要素820、細長いシャフト824及び開孔ハンドル828を含み得る。開孔要素820は、開孔装置806の遠位端に配置され、開孔ハンドル828は、開孔装置806の近位端に配置され、細長いシャフト824は、開孔要素820と開孔ハンドル828との間で軸方向に延在してよい。開孔要素820は、組織壁に穴を開け、その中を通って前進するよう構成された尖らせた先端部832を含み得る。いくつかの態様では、示されているように、開孔要素820は、その他の形状を使用され得るが、矢尻の形状に形成され得る。このようにして、開孔要素820は、組織壁を通る直線路に沿って前進するよう構成され得る。開孔装置806はまた、開孔要素820に隣接して配置された拡張可能要素836を含み得る。具体的には、示されているように、拡張可能要素836は、細長いシャフト824及び開孔要素820の隣接する近位端に沿って配置され得る。拡張可能要素836は、横方向に収縮した状態から横方向に拡張した状態へと拡張するよう構成され、側面の断面積は、実質的にコアリングチューブ810の内径に等しい。示されているように、拡張可能な要素836は、軸方向位置から横位置へと回転するよう構成された、複数の回転するプレート840を含み得る。あるいは、拡張可能な要素836は、拡張可能なバルーンを含み得る。開孔装置806はさらに、細長いシャフト824に沿って、かつ、開孔ハンドル828に隣接して配置されたストップリング844を含み得る。具体的には、示されているように、ストップリング844は、細長いシャフト824に沿って、かつ、開孔ハンドル828の遠位端に隣接して配置され得る。ストップリング844は、コアリング装置802を通る開孔装置806の平行移動を限定するように構成され得る。いくつかの態様では、切削器具800の全体は、カニューレ状でよく、そのため、ガイドワイヤに沿って使用するよう構成され得る。
【0063】
コネクタ100などのようなコネクタを組織壁に固定した後、切削器具800は、組織壁に穴を形成するために使用され得る。初めに、開孔要素820及びコアリングチューブ810の遠位端は、ポート106の開口部114に挿入され得る。次に、開孔装置806の一部は、開孔要素820は、組織壁の第1表面を開孔し、開孔要素820及び拡張可能な要素836は、組織壁の第2表面を越えてそのなかを前進し得るように、コアリング装置802を通って前進され得る。拡張可能な要素836は、次に、収縮状態から拡張した状態になり、組織壁の第2表面に対して延伸され得る。次に、開孔装置806は、拡張可能な要素836及びコアリングチューブ810は、組織壁から組織コアを除去することにより組織壁に穴を形成するように、コアリング装置802に対して後退され得る。次に、開孔装置806は、拡張可能な要素836及び組織コアはコアリングハンドル812内に配置されるように、コアリング装置802に対してさらに後退され得る。このようにして、拡張可能な要素836は、組織コアを組織壁から後退させるよう構成され得る。ある種の態様では、コアリングハンドル812は、組織コアを組織壁から完全に除去するように半透明または透明な材料で形成され、コネクタ100は、コアリングハンドル812を通して目視で確認し得る。最後に、切削器具800は、コネクタ100から取り外され得る。
【0064】
図9Aから
図9Cは、組織壁に穴を形成するよう構成された切削器具900の別の例示的実施形態を示す。切削器具900は、コアリング装置902及び開孔装置906を含み得る。コアリング装置902は、コアリング装置902の遠位端に配置されたコアリングチューブ910及びコアリング装置902の近位端に配置されたコアリングハンドル912を含み得る。コアリングチューブ910は、異なる外径の寸法の異なるコアリングチューブ910が、所望の寸法を有する穴を形成するために、切削器具900において使用され得るように、例えばねじ山によって、コアリングハンドル912に取り外し可能に連結され得る。示されているように、コアリングチューブ910及びコアリングハンドル912は、カニューレ状でよく、開孔装置906の一部は、それを通して配置される。開孔装置906は、開孔要素920、細長いシャフト924及び開孔ハンドル928を含み得る。開孔要素920は、開孔装置906の遠位端に配置され、開孔ハンドル928は、開孔装置906の近位端に配置され、細長いシャフト924は、開孔要素920と開孔ハンドル928との間で軸方向に延在してよい。開孔要素920は、組織壁に穴を開け、その中を通って前進するよう構成された尖らせた先端部932を含み得る。いくつかの態様では、示されているように、開孔要素920は、その他の形状を使用され得るが、ヘリカルコイルまたはばねの形状に形成され得る。このようにして、開孔要素920は、組織壁を通るヘリカル路に沿って前進するよう構成され得る。ヘリカルコイルまたはばねは、実質的にコアリングチューブ910の内径に等しい外径を有する。コアリング装置902は、さらに、コアリングハンドル912の近位端に配置されたストップリング944を含み得る。示されているように、ストップリング944は、コアリング装置902を通る開孔装置906の平行移動を限定するよう構成され得る。
【0065】
コネクタ100などのようなコネクタを組織壁に固定した後、切削器具900は、組織壁に穴を形成するために使用され得る。初めに、開孔要素920及びコアリングチューブ910の遠位端は、ポート106の開口部114に挿入され得る。次に、開孔装置906の一部は、開孔要素920は、組織壁の第1表面を開孔し、開孔要素920は、組織壁の第2表面を越えてその中を通るヘリカル路に沿って前進され得るように、コアリング装置902を通って前進され得る。次に、開孔装置906は、開孔要素920及びコアリングチューブ910は、組織壁から組織コアを除去することにより組織壁に穴を形成するように、コアリング装置902に対して後退され得る。あるいは、コアリング装置902は、開孔要素920及びコアリングチューブ910は、組織壁から組織コアを除去することにより組織壁に穴を形成するように、開孔装置906上を前進され得る。次に開孔装置906は、開孔装置920及び組織コアはコアリングハンドル912内に配置されるように、コアリング装置902に対してさらに後退され得る。このようにして、開孔要素920は、組織コアを組織壁から後退させるよう構成され得る。ある種の態様では、コアリングハンドル912は、組織コアを組織壁から完全に除去するように半透明または透明な材料で形成され、コネクタ100は、コアリングハンドル912を通して目視で確認し得る。最後に、切削器具900は、コネクタ100から取り外され得る。
【0066】
図10Aから
図10Cは、組織壁にコネクタ100を移植し、穴を形成するよう構成された組合せ器具1000の例示的実施形態を示す。具体的には、組合せ器具1000は、コネクタ100を移植するよう構成された送達装置1002、及び、組織壁に穴を形成するよう構成された切削装置1006を含み得る。示されているように、切削装置1006の一部は、送達装置1002内に配置され得る。いくつかの態様では、送達装置1002及び切削装置1006は、互いに関連して軸方向に回転するよう構成され得る。さらに、いくつかの態様では、送達装置1002及び切削装置1006は、互いに関連して軸方向に平行移動するよう構成され得る。しかしながら、いくつかのこのような態様では、送達装置1002及び切削装置1006は、軸方向の平行移動を制限するよう構成され得る。
【0067】
ある種の態様では、示されているように、送達装置1002は、コネクタ境界面1012、細長いシャフト1016及びハンドル1020を含み得る。コネクタ境界面1012は、送達装置1002の遠位端のまわりに配置され、組織壁に移植するためにコネクタ100を取り付け、保持するように構成され得る。例えば、コネクタ境界面1002は機械的、化学的または磁気的方法によってコネクタ100を取り付け、保持するように構成され得る。ハンドル1020は、送達装置1020の近位端のまわりに配置してよく、ユーザによって掴まれるように構成され、取り付けられたコネクタ100を組織壁に向かって誘導し、次に、固着装置102を少なくとも部分的に組織壁へと前進させる。したがって、ハンドル1020は、様々なグリップまたは形状を含み、ユーザがコネクタ100を移植するのを支援する。特に固着装置102は、ヘリカルコイルまたはばねを含み、そのため回転によって組織壁へと前進される。細長いシャフト1016は、コネクタ境界面1012とハンドル1020との間で軸方向に延在し得る。
【0068】
示されているように、コネクタ境界面1012は、細長いシャフト1016の遠位端に画定され、コネクタ100の少なくとも一部を受けるよう構成されたボア1022を含み得る。具体的には、ボア1022は、ポート106の少なくとも一部を受けるよう構成され得る。コネクタ境界面1012はまた、円周状の配列で配置され、細長いシャフト1016の遠位端のまわりで軸方向に延在する、複数の駆動タブ1024を含み得る。駆動タブ1024は、ポート106の器具取付機構138を係合するよう構成され得る。具体的には、それぞれの駆動タブ1024は、ポートの隣接する器具取付機構138との間に配置されるよう構成され得る。このようにして、駆動タブ1024は、固着装置102を少なくとも部分的に組織壁へと前進させるために、トルクを送達装置1002からコネクタ100へと移送するよう構成され得る。ポート106の器具取付機構138は一般的にT字形である態様においては、示されているように、駆動タブ1024は、側面に延在する器具取付機構138の一部を、このようなトルクを移送するのを容易にするために、側面に係合するよう構成される。
【0069】
コネクタ境界面1012はさらに、細長いシャフト1016の遠位端のまわりに配置されるロッキングリング1028を含み得る。ロッキングリング1028は、コネクタ100の少なくとも一部を受け、係合するよう構成され得る。具体的には、ロッキングリング1028は、ポート106の少なくとも一部を受けるように構成されたボア1032を画定し得る。さらに、ロッキングリング1028は、円周状の配列で配置され、ロッキングリング1028の遠位端のまわりで軸方向に延在する、複数のロッキングタブ1036を含んでもよい。ロッキングタブ1036はまた、ボア1032の一部の上に半径方向内側にも延在し得る。示されているように、ロッキングタブ1036は、ポート106の器具取付機構138を係合するよう構成され得る。具体的には、それぞれのロッキングタブ1036は、ポート106の器具取付機構138の少なくとも一部の末端に配置されるよう構成され得る。このようにして、コネクタ境界面1012は、ロッキングタブ1036を介してコネクタ100を軸方向に保持するように構成され得る。ポート106の器具取付機構138は一般的にT字形である態様においては、示されているように、ロッキングタブ1036は、側面に延在する器具取付機構138の一部を、このような軸方向の保持を容易にするために、末端に係合するよう構成され得る。
【0070】
示されているように、ロッキングリング1028は、ロックされていない位置からロックされている位置へと移動するように構成され得る。具体的には、ロッキングリング1028は、軸方向に回転し、ロックされていない位置からロックされている位置へと細長いシャフト1016に対して平行移動するように構成され得る。細長いシャフト1016に対する、このような軸方向の回転及びロッキングリング1028の平行移動は、ロッキングリング1028から半径方向内側に延在するガイドピン1040、及び、細長いシャフト1016の外表面に画定された嵌合するガイドチャンネル1044によって容易にされ得る。ロックされていない位置にある場合には、ロッキングリング1028のロッキングタブ1036は、細長いシャフト1016の駆動タブ1024から、軸方向に斜めに円周状に配列されている。したがって、器具取付機構138は、軸方向に配列されたロッキングタブ1036と駆動タブ1024との間に挿入され得るため、コネクタ境界面1012は、ロッキングリング1028がロックされていない位置にある場合には、コネクタ100を受け得る。ロックされた位置にある場合には、ロッキングリング1028のロッキングタブ1036は、円周状に斜めであり、細長いシャフト1016の駆動タブ1024に軸方向に重なる。したがって、コネクタ境界面1012は、器具取付機構138は、ロッキングタブ1036によって軸方向に制限され、駆動タブ1024によって回転を制限され得るため、ロッキングリング1028がロックされていない位置にある場合には、コネクタ100を保持し得る。このようにして、コネクタ境界面1012は、組織壁に移植するためのコネクタ100を保持するように構成され得る。
【0071】
ある種の態様では、示されているように、切削装置1006は、コアリング装置1050及び開孔装置1054であり得る。コアリング装置1050は、コアリング装置1050の遠位端に配置されたコアリングチューブ1058及びコアリング装置1050の近位端に配置されたコアリングハンドル1062を含み得る。コアリングチューブ1058は、例えばねじ山によって、コアリングハンドル1062に取り外し可能に連結され、異なる外径寸法のコアリングチューブ1058が、所望の寸法を有する穴を形成するために、切削器具1006において使用され得る。示されているように、コアリングチューブ1058及びコアリングハンドル1062の双方は、カニューレ状でよく、開孔装置1054の一部は、それを通して配置されてよい。開孔装置1054は、開孔要素1066、細長いシャフト1068及び開孔ハンドル1070を含み得る。開孔要素1066は、開孔装置1054の遠位端に配置され、開孔ハンドル1070は、開孔装置1054の近位端に配置され、細長いシャフト1068は、開孔要素1066と開孔ハンドル1070との間で軸方向に延在してよい。開孔要素1066は、組織壁に穴を開け、その中を通って前進するよう構成された尖らせた先端部1072を含み得る。いくつかの態様では、示されているように、開孔要素1066は、その他の形状を使用され得るが、矢尻の形状に形成され得る。このようにして、開孔要素1066は、組織壁を通る直線路に沿って前進するよう構成され得る。開孔装置1054はまた、開孔要素1066に隣接して配置された拡張可能要素1076を含み得る。具体的には、示されているように、拡張可能要素1076は、細長いシャフト1068及び開孔要素1066の隣接する近位端に沿って配置され得る。拡張可能要素1076は、横方向に収縮した状態から横方向に拡張した状態へと拡張するよう構成され、側面の断面積は、実質的にコアリングチューブ1058の内径に等しい。示されているように、拡張可能な要素1076は、軸方向位置から横位置へと回転するよう構成された、複数の回転するプレート1078を含み得る。あるいは、拡張可能な要素1076は、拡張可能なバルーンを含み得る。
【0072】
コネクタ100を送達装置1002を介して組織壁に固定した後、切削装置1006は、組織壁に穴を形成するために使用され得る。初めに、開孔要素1066及びコアリングチューブ1058の遠位端は、ポート106の開口部114に挿入され得る。次に、開孔装置1054の一部は、開孔要素1066は、組織壁の第1表面を開孔し、開孔要素1066及び拡張可能な要素1076は、組織壁の第2表面を越えてそのなかを前進し得るように、コアリング装置1050を通って前進され得る。拡張可能な要素1076は、次に、収縮状態から拡張した状態になり、組織壁の第2表面に対して延伸され得る。次に、開孔装置1054は、拡張可能な要素1076及びコアリングチューブ1058は、組織壁から組織コアを除去することにより組織壁に穴を形成するように、コアリング装置1050に対して後退され得る。次に、開孔装置1054は、拡張可能な要素1076及び組織コアはコアリングハンドル1062内に配置されるように、コアリング装置1050に対してさらに後退され得る。ある種の態様では、コアリングハンドル1062は、組織コアを組織壁から完全に除去するように半透明または透明な材料で形成され、コネクタ100は、コアリングハンドル1062を通して目視で確認し得る。最後に、ロッキングリング1028は、ロックされていない位置に移動してよく、組合せ器具1000は、コネクタ100から取り外してもよい。
【0073】
図11Aから
図11Dは、組織壁にコネクタ200を移植し、組織壁に穴を形成するよう構成された組合せ器具1100のもう一つの例示的実施形態を示す。組合せ器具1100は、組合せ器具1000に関して前述したものに対応する様々な要素を含んでよく、その要素は、
図11Aから
図11Dに数字と対応して明確にされており、本明細書でさらに詳細には記載されていない場合がある。具体的には、組合せ器具1100は、コネクタ200を移植するよう構成された送達装置1102、及び、組織壁に穴を形成するよう構成された切削装置1106を含み、組合せ器具1000の対応する装置に類似の方法によって、構成され得る。組合せ器具1100と組合せ器具1000との間の、ある種の構造的及び機能的な相違点は、以下に記載の通りである。
【0074】
ある種の態様では、示されているように、送達装置1102は、コネクタ境界面1112、細長いシャフト1116及びハンドル1120を含み得る。コネクタ境界面1112は、送達装置1102の遠位端辺りに配置され、組織壁に移植するためにコネクタ200を取り付け、保持するように構成され得る。ハンドル1120は、送達装置1120の近位端辺りに配置してよく、ユーザによって掴まれるように構成され、取り付けられたコネクタ200を組織壁に向かって誘導し、次に、固着装置202を少なくとも部分的に組織壁へと前進させる。したがって、ハンドル1120は、様々なグリップ特徴または形状を含み、ユーザがコネクタ200を移植するのを支援する。特に固着装置202が、ヘリカルコイルまたはばねを含み、そのため回転によって組織壁へと前進される場合である。細長いシャフト1116は、コネクタ境界面1112とハンドル1120との間で軸方向に延在し得る。
【0075】
示されているように、コネクタ境界面1112は、細長いシャフト1116の遠位端に画定され、コネクタ200の少なくとも一部を受けるよう構成されたボア1122を含み得る。具体的には、ボア1122は、ポート206の少なくとも一部を受けるよう構成され得る。コネクタ境界面1112はまた、円周状の配列で配置され、細長いシャフト1116の遠位端辺りで軸方向に延在する、複数の保持フィンガ1124を含み得る。保持フィンガ1124のそれぞれは、保持フィンガ1124から半径方向内側に延在する保持タブ1125を含み得る。それぞれの保持タブ1125の少なくとも一部は、ポート206の円周溝252内に配置されるよう構成され得る。保持タブ1125は、リング253のテーパ面254に接触して半径方向外側に湾曲するように構成され得る。そのため、保持タブ1125のそれぞれは、リング253の上に、溝252内へ前進させることを容易にするため、保持フィンガ1124の遠位端に向かって半径方向外側に角度をつけ得る。このようにして、保持タブ1125のそれぞれの少なくとも一部を溝252内に配置すると、ポート206は、コネクタ境界面1112に軸方向に保持され得る。
【0076】
コネクタ境界面1112はさらに、細長いシャフト1116の遠位端のまわりに配置される駆動リング1128を含み得る。駆動リング1128は、コネクタ200の少なくとも一部を受け、係合するよう構成され得る。具体的には、駆動リング1128は、ポート206の少なくとも一部を受けるように構成されたボア1132を画定し得る。さらに、駆動リング1128は、円周状の配列で配置され、駆動タブ1128の遠位端まわりに延在する複数の駆動タブ1136を含んでもよい。示されているように、駆動タブ1136は、ポート206の器具取付機構238を係合するよう構成され得る。具体的には、それぞれの駆動タブ1136は、ポートの隣接した器具取付機構238の間に位置するよう構成され得る。このようにして、駆動タブ1136は、固着装置202を少なくとも部分的に組織壁へと前進させるために、トルクを送達装置1102からコネクタ200へと移送するよう構成され得る。駆動リング1128は、細長いシャフト1116に連結され、細長いシャフト1116の軸方向の回転によって軸方向に回転するよう構成され得る。このようにして、駆動タブ1136は、固着装置202を少なくとも部分的に組織壁へと前進させるために、トルクをハンドル1120からコネクタ200へと移送するよう構成され得る。
【0077】
図12Aから
図12Dは、組織壁にコネクタ400を移植し、穴を形成するよう構成された例示的なシステムを示す。示されているように、コネクタ400は、その中に配置された止血弁462を有するカニューレ470を含み得る。このシステムは、送達器具1200及び切削器具1300を含み、送達器具700及び切削器具800それぞれに関して前述したものに対応する様々な要素を含み得る。ある種の構造的かつ機能的な違いが以下に記載される。いくつかの態様では、切削器具1300は、拡張可能な要素1336を作動させるよう構成された1つ以上のボタンを含み得る。例えば、切削器具1300は、その次に前述した方法で組織壁に穴を形成するために、拡張可能な要素1336を横方向に収縮した状態から横方向に拡張した状態へと拡張するよう構成された第1ボタン1350を含み得る。ある種の態様では、このような拡張は、ばねを利用し得る。さらに、切削器具1300は、前述した方法で壁に穴を形成するために、拡張可能な要素1336を切削器具1300へと後退するよう構成された第2ボタン1354を含み得る。ある種の態様では、このような後退は、ばねを利用し得る。いくつかの態様では、
図12Bに示されているように、切削器具1300がガイドワイヤで使用され得るように、切削器具1300の全体がカニューレ状であり得る。さらに、切削器具1300は、カニューレ470の器具取付機構478を嵌合するよう構成された嵌合機構1360を含み得る。このようにして、カニューレ470は、切削器具1300がポート406に挿入され、組織壁に穴を形成するため、切削器具1300に取り付けられ得る。具体的には、切削器具1300は、切削器具1300が穴を形成するため、カニューレ470をポート406に取り付けるよう構成され得る。このようにして、穴を形成し、開口部414から切削器具1300を取り除く際には、カニューレ470は、ポート406に取り付けたままにし、カニューレ470内に配置された止血弁462はコネクタ400を通る流体連通を閉鎖する。
【0078】
図13Aから
図13Fは、組織壁1500内に、コネクタ100などのようなコネクタ及び医療装置1400を移植するための例示的方法を示す。示されているように、組織壁1500は、第1外表面1502及び第2内表面1504を含み得る。さらに、組織壁1500は、流体1508を含有し得る空洞1506を画定し得る。例えば、ある種の態様では、空洞1506は、心臓の左心室で、流体1508は血液であり得る。
図13Aにて示すように、この方法は、コネクタ100を外科手術の間に連続して使用するよう固定するために、組織壁1500に少なくとも部分的にコネクタ100の固着装置102を前進させる工程を含み得る。固着装置102はヘリカルコイルまたはばねを含むある種の態様では、固着装置102を前進させる工程は、ヘリカル路に沿って組織壁1500へと少なくとも部分的に固着装置102を前進させることを含み得る。固着装置102はピン、プロング、バーブまたはフックを含む他の態様では、固着装置102を前進させる工程は、線形経路に沿って組織壁1500へと少なくとも部分的に固着装置102を前進させることを含み得る。ある種の態様では、組織壁1500に少なくとも部分的にコネクタ100の固着装置102を前進させる工程は、コネクタ100の軸に向かって内側に組織壁1500の少なくとも一部を圧縮することを含み得る。例えば、このような内方圧縮は、前述したように、半径方向に拡張するヘリカルコイルを含む固着装置102によって達成され得る。
【0079】
図13Bにて示すように、この方法は、開孔要素820をコネクタ100の開口部114または組織壁を通って前進させることによって、組織壁1500を開孔する工程をも含み得る。この方法は、さらに、コアリングチューブ810をコネクタ100の開口部114または組織壁1500を通って前進させることによって、組織壁1500内の穴1510をコアリングする工程をも含み得る。ある種の態様では、組織壁1500に穴1510をコアリングする工程は、空洞1506内に拡張可能な要素836を拡張し、拡張可能な要素836を、コアリングチューブ810に向けて組織壁1500の第2表面1504に対して移動させる工程を含み得る。いくつかの態様では、組織壁1500に穴130をコアリングする工程は、上記のように、コネクタ100の開口部114内のカニューレ470を配置する工程を含み得る。このようないくつかの態様においては、カニューレ470は、コネクタ100を通る流体連通を閉鎖するための、その中に配置された止血弁462を含み得る。いくつかの態様では、カニューレ470は、固着装置102に向かって半径方向外側に組織壁1500の少なくとも一部を圧縮するように穴130の直径は、カニューレ470の外径に対応して小型にされ得る。このような態様においては、前述したように、固着装置102は、実質的に一定なヘリカル直径を有するコイルまたはばねを含み得る。あるいは、前述したように、固着装置102は、拡張するヘリカル直径を有するコイルまたはばねを含み得る。
【0080】
図13Cにて示すように、この方法はさらに、組織コア1512を組織壁1500から及びコネクタ100の開口部114を通して回収する工程を含み得る。ある種の態様では、組織壁1500から組織コア1512を回収する工程は、拡張可能な要素836をコアリングチューブ810を通して移動することを含み得る。この方法は、コアリングハンドル812を通して組織コア1512を見ることによって、組織壁1500から組織コア1512の回収を確認する工程をも含み得る。
【0081】
図13Dにて示すように、この方法は、コアリングチューブ810をコネクタ100の開口部114から取り外す工程をも含み得る。ある種の態様では、コネクタ100からコアリングチューブを取り外す工程は、コネクタ100の開口部114を通る流体連通を閉じることを含み得る。具体的には、いくつかのこのような態様では、コネクタ100からコアリングチューブを取り外す工程は、コネクタ100の開口部114を通る流体連通を止血弁162で閉じることを含み得る。
【0082】
図13Eにて示すように、この方法は、医療装置1400の注入チューブ1402が組織壁1500によって画定された空洞1506と流体連通するように、医療装置1400にコネクタ100を連結する工程を含み得る。ある種の態様では、医療装置1400は、左室補助人工心臓であり、注入チューブ1402は、左心室1506から血流を受け得る。他の態様では、医療装置1400は、心尖大動脈導管であり、注入チューブ1402は、左心室1506から血流を受け得る。ある種の態様では、医療装置1400をコネクタ100に連結する工程は、カプラー装置110を介してコネクタ100の開口部114内の注入チューブ1402を軸方向に保持することを含み得る。このようないくつかの態様では、カプラー装置110はカプラー装置110と注入チューブ1402の平滑な外表面との間の摩擦力によって、注入チューブ1402を軸方向に保持し得る。いくつかの態様では、注入チューブ1402は、固着装置102に向かって半径方向外側に組織壁1500の少なくとも一部を圧縮するように穴130の直径は、注入チューブ1402の外径に対応して小型にされ得る。このような態様においては、前述したように、固着装置102は、実質的に一定なヘリカル直径を有するコイルまたはばねを含み得る。あるいは、前述したように、固着装置102は、拡張するヘリカル直径を有するコイルまたはばねを含み得る。ある種の態様では、この方法は、さらに医療装置1400をコネクタ100から取り外し、生体適合性のあるプラグまたはキャップを介してコネクタを通る流体連通を閉鎖する工程を含み得る。
【0083】
コネクタ及び医療装置を組織壁に移植する前述した方法は、本明細書に記載された様々なコネクタ及び器具に関する前述の記載に基づき、追加的または代替的工程及び態様を含み得ると理解されるであろう。したがって、前述のコネクタと器具の構造と機能の結果として、当業者は利用することができる異なる方法を理解するであろう。
【0084】
前述した様々なコネクタのようなコネクタを心臓の組織壁に移植するある方法によると、空気が移植する間に心臓の心室に閉じ込められ得る。特に、この現象は、その中を通る流体連通を制御するよう構成された止血弁を含むコネクタにおいて観察され得る。例えば、
図14Aは、心臓の組織壁1500に移植された止血弁462を含むコネクタ400を示し、止血弁462は、心臓の心室から流出する血液を制御するために構成される。示されているように、コネクタ400を移植している間、気泡1510が止血弁462に隣接する心室に閉じ込められ得る。前述したように、止血弁462は、
図14Aの実施形態の三葉弁などのような多弁尖であり得る。止血弁462の多弁尖の構成に基き、気泡1510は、弁462の弁尖464の洞(即ち、基部)に閉じ込められる傾向があり得る。このような場合、心室の空気を抜くことが望ましい場合がある。
【0085】
図14Bから
図14Dは、本明細書で記載されるように、組織壁の対向面間の流体連通を設け、維持し、制御し、閉鎖するための、組織壁内に移植し、使用するよう構成されたコネクタ1600のもう一つの例示的実施形態を示す。コネクタ1600は、これらの前述したコネクタ100、200,300,400,500及び600に対応する様々な要素を含んでよく、その要素は
図14Bから
図14Dに数字と対応して明確にされており、本明細書でさらに詳細には記載されていない場合がある。コネクタ1600は、任意の数の外科手術において使用するよう構成された組織コネクタとして利用され得る。上記の手順例を含むがこれらに限定されない。具体的には、コネクタ1600は、VADの移植を含むがこれらに限定されない、様々な心臓手術において使用されるように構成された心臓コネクタとして利用され得る。示されているように、コネクタ1600は、固着装置1602、ポート1606、カプラー装置1610、止血弁1662及びカニューレ1670を含み、コネクタ400の対応する要素に類似の方法によって、構成され得る。コネクタ1600とコネクタ400との間の、ある種の構造的及び機能的な相違点は、以下に記載の通りである。概して、
図14Bから
図14Dのコネクタ1600の実施形態は、前述した気泡の問題への脱気をする解決法を提供する。
【0086】
具体的には、ある種の態様では、コネクタ1600は、1つ以上の脱気オリフィス1690を含み得る。脱気オリフィス1690は、空気が充填することが可能な可能性が一番高い位置、気泡が自然に形成し集まり得る位置でコネクタ1600に画定され得る。このようにして、脱気オリフィス1690は、心室の脱気を一番促進し得る。ある種の実施形態によると、脱気オリフィス1690は、止血弁1662で画定され得る。例えば、脱気オリフィス1690は、止血弁1662の近位端で弁尖1664に画定され、気泡は自然に形成または集めうる。このようにして、脱気オリフィス1690は、止血弁1662を通る心室を脱気するよう構成され得る。脱気オリフィス1690用のその他の位置は、止血弁1662以外のコネクタ1600の構成要素の位置を含めて考えられる。ある種の実施形態によると、脱気オリフィス1690は、コネクタ1600のポート1606またはカニューレ1670に画定され得る。その他の実施形態では、コネクタ1600のその他の使用によると、脱気オリフィス1690は、心室からまたはその他の組織空洞からの流体の連通を可能にする構成を有する、任意のその他の構成要素において画定され得る。
【0087】
ある実施形態において、脱気オリフィス1690自体は、心室の脱気の間に失われた血液量を制御するために、弁を含み得るか、または、移植手術の間に選択的に閉鎖され得る。例えば、いくつかの実施形態では、脱気オリフィス1690は、自然に閉鎖された構成になり、オリフィス1690を通る流体連通を直接または間接的に作る要素を作動または挿入することにより、選択的に開放されるよう構成され得る。
【0088】
いくつかの実施形態によると、止血弁1662の弁尖1664の構成は、心室またはその他の組織空洞を脱気するのを促進し得る。例えば、いくつかのこのような実施形態においては、止血弁1662は、完全に接合または閉鎖せず、そのため脱気オリフィス1690が弁尖1664の間に画定され得る弁尖1664を含み得る。このようにして、脱気オリフィス1690は、脱気オリフィス1690を通って少量の流体の流出を可能にするよう構成され得る。したがって、止血弁1662は、心室またはその他の組織空洞内に閉じ込める代わりに、空気を弁尖1664の間のコアプテーションラインを通って逃がすのを可能にするよう構成され得る。ダイヤフラム弁、押し出しチューブ、玉形弁などのような、止血弁1662のその他の弁尖のない構成が考えられ、類似の方法で心室またはその他の組織空洞を脱気するよう構成された1つ以上の脱気オリフィス1690をも含み得る。
【0089】
ある実施態様においては、脱気オリフィス1690は、空気の通路を通過させるだけでなく、その中を血液またはその他の流体を少量通過させることを可能にするよう構成される。このような実施形態、流体は、止血弁1662の表面上を流れるか、そうでない場合には流れるように方向付けられることが可能である。このようにして、流体は、器具、導管または任意のその他の要素が止血弁1662内を通過するときに、流体が摩擦を低減する潤滑剤または流体膜として働くように、弁尖1664、隔壁またはその他の弁1662の表面の上を流れ得る。
図14Eから
図14Fは、さらに、脱気オリフィス1690を通る流体を方向づけるよう構成されたコネクタ1600の実施形態を示す。本実施形態によると、止血弁1662は、脱気オリフィス1690に隣接して配置され、弁1662の摩擦接触面に流体の流れを転送するよう構成されたフラップ1694を含み得る。例えば、示されているように、フラップ1694は、脱気オリフィス1690の近位に配置され、弁1662の弁尖1664の近位面に流体の流れを転送するよう構成されている。このようにして、フラップ1694は、さらに、手順の間に流体の流出によって起こる不必要な流出、飛び散り、障害を防ぐよう構成され得る。その他の実施形態によると、止血弁1662またはコネクタ1600のその他の構成要素は、脱気オリフィス1690に隣接して配置されたフラップのない特徴及び類似の方法で流体の流れを転送するよう構成されたその他の漏洩特徴を含み得る。
【0090】
本明細書で記載され、示されている技術の様々な実施形態は、従来のVADの移植だけでなく、心臓内循環支持体にも使用され得ると理解されるであろう。このような使用は、
図15Aから
図15Dに示されているように、心臓内循環支援システム1700によって促進され得る。ある実施形態においては、心臓内循環支援システム1700は、弁のついたポート1710、固着装置1720及び心室内のVAD1730を含み得る。弁のついたポート1710及び固着装置1720は、心室内のVAD1730を心臓の心室へと送達するよう構成されてよく、固着装置1720は、その中の心室内のVAD1730を患者の治療のために維持するよう構成されてよい。例えば、心室内のVAD1730は、ABIOMED社のImpella装置またはもう一つのカテ−テルに基づいた循環支持システムなどの、循環支持システムに基づいたカテ−テルであり得る。
【0091】
固着装置1720は、本明細書に記載されたコネクタの固着装置に類似した方法で構成され、固着装置1720は、心臓の組織壁に取り付けるように構成されている。具体的には、固着装置1720は、心臓の組織壁に取り付けるよう構成された、1つ以上の直線形、円錐形または不均一な形状をしたコイル、ピン、フック、バーブ、縫合糸、その他の機械的干渉要素またはそれらの組み合わせを含み得る。弁のついたポート1710は、示されているように、固着装置1720の近位端に着脱可能に取り付けられ、その中の心室内のVAD1730を受けるよう構成され得る。弁のついたポート1710はさらに、固着装置1720を通り心臓の心室へと心室内のVAD1730の送達がされる間、止血を維持されるよう構成され得る。具体的には、示されているように、弁のついたポート1710は、その中に配置され、その中を通る流体連通を制御するよう構成された1つ以上の弁1740を含み得る。心室へ心室内のVAD1730の送達をした後、固着装置1720は次に、それ自体が閉鎖要素として、またはシステム1700の1つ以上のその他の構成要素と組み合わせて使用されてよく、心臓の組織壁を通る流体連通を閉塞または閉鎖するよう構成される。組織壁を通る流体連通を閉塞または閉鎖した後、
図15Bに示されているように、弁のついたポート1710は、固着装置1720から取り出され、組織壁に移植された固着装置1720及び心室に移植された心室内のVAD1730を残す。
【0092】
ある実施態様においては、この心臓内循環支援システム1700は、心臓の組織壁を通る流体連通を閉塞または閉鎖するよう構成された閉鎖要素1750を含み得る。前述したように、このような閉塞または閉鎖は、閉鎖要素1750自体によって達成され得るか、固着装置1720によって提供された内側の組織圧力と組み合わされて達成され得る。いくつかの実施形態では、閉鎖要素1750は、心臓の組織壁を通る流体連通を閉塞または閉鎖するよう構成されたキャップ、弁またはその他の機械的要素であり得るが、閉鎖要素1750は、
図15C及び
図15Dに示されているように、プラグであり得る。閉鎖要素1750は、その中を通って延在する通過オリフィス1760を含み、カテーテル1770、ケーブルまたは組織壁を通って外に出る必要があり得る任意のその他のシステム1700の要素の通過を可能にするよう構成される。閉鎖要素1750はまた、通過オリフィス1760内または隣接して配置され、カテ−テル1770、ケーブルまたはその他の外面化した要素のまわりで密封するよう構成された止血要素1780を含み得る。具体的には、止血要素1780は、カテ−テル1770、ケーブル若しくはその他の外面化した要素のまわりで密封するよう構成された弁、リングまたはその他の機械的要素であり得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、固着装置1720は、心室内に移植された心室内のVAD1730の位置を安定させるよう構成され得る。具体的には、固着装置1720は、心室内のVAD1730へと接続され、心室内にある心室内のVAD1730の空間位置を制御するよう構成されてよく、心室内のVAD1730の望ましくない移動を防止する。様々な実施形態によると、固着装置1720は、機械的方法、磁気的方法、化学的方法または任意のその他の方法で心室内のVAD1730に結合され得る。さらに、固着装置1720は、心室内のVAD1730と、システム1700のコントローラとの間のデータまたは電力のワイヤレス通信のために操作可能な受信機、境界面または送信機を受けるように、または別の方法で支えるよう構成された、構造的なプラットフォームとして使用され得る。心臓内循環支援システム1700は心室内のVAD1730を含むものとして、本明細書で示され、記載され得るが、心臓内循環支援システム1700は、任意のタイプの心臓内循環支援装置を含み得るであると理解されよう。
【0094】
上記の心臓内循環支援システム1700のいくつかの実施形態では、心室内に配置された心室内のVAD1730の空間位置の調整及び制御は、固着装置1720または閉鎖要素1750をVAD1730に結合するよう構成された結合要素によって達成し得る。結合要素は、固着装置1720と閉鎖要素1750とVAD1730との間の相対位置を角度をつけ、または調製するために調整または変更するよう構成された、ボール継手、可変ビーム、自在継手、連結構造または任意のその他の種類の機械的境界面を含み得る。いくつかの実施形態では、結合要素はまた、VAD1730の角度制御または回転するだけでなく、固着装置1720または閉鎖要素1750に関連して、VAD1730の3次元空間位置をも軸長に調節または変更するよう構成され得る。固着装置1720は、拍動する心臓またはその他の心臓表面などのような動く構造上に配置され得るため、固着装置1720または閉鎖要素1750などのような、VAD1730とシステム1700の嵌合する構成要素との間の境界面は、振動吸収要素を含み得る。振動吸収要素は、固着装置1720あるいは閉鎖要素1750とVAD1730との間の振動の伝達を吸収または制御するよう構成された境界面を作製する、ばねと緩衝材、粘弾性のある材料成分、折りたたみ式構造または任意のその他の構成要素を含み得る。上記の特徴は、心室内のVAD1730に関して記載されているが、このような構造は、心室内のVADの配置をするためのシステムに同様に組み込まれ得ると理解されよう。
【0095】
前述したように、コネクタ100,200,300,400,500,600及び1600などのような、本明細書で示され、記載される様々なコネクタは、注入チューブ1402を含むVAD1400などのような、VADの移植を含むがこれらに限定されない、様々な心臓手術において使用されるように構成された心臓コネクタとして利用され得る。いくつかの実施形態では、VAD1400の注入チューブ1402は、組織の接着または組織内方成長を促進するよう構成された表面処理を有し得る。表面処理の例には、接着または組織内方成長を促進するためのビード焼結、チタンビード焼結、表面ブラスト、エッチングまたはコーティングを含み得る。表面処理をした注入チューブ1402を含む、VAD1400を使用する場合には、コネクタのカプラー装置は、注入チューブ1402の処理表面の止血弁のように、注入チューブ1402の処理表面に直接取り付けるか、その他の構成要素を通して取り付けるよう構成され、コネクタと注入チューブ1402との間の軸方向力の固定を増強するために、注入チューブ1402の表面処理によって生じる摩擦を利用し得る。
【0096】
固着装置、ポート、カプラー装置またはカニューレなどの1つ以上のコネクタの構成要素は、この機能から必要とし、利益を得ることのできる表面の組織の接着または組織内方成長を促進するよう構成された表面処理を有し得ると理解されるであろう。表面処理の例には、ビード焼結、チタンビード焼結、表面ブラスト、エッチングまたはコーティングを含み得る。いくつかの実施形態では、カニューレは、全体または部分的に覆われてよく、チタンビード焼結を使用して治癒を促進し、接着性を高め、血栓の形成の可能性を低減する。その他の移植できない構成要素は、表面処理またはコーティングをして機能を改善され得るとも理解されるであろう。例えば、前述した切削器具の1つのコアリングチューブの外表面は、コネクタの配置をする間に、外表面とコネクタの止血弁との間で生じた摩擦を低減するよう構成された表面処理またはコーティングを有してよい。
【0097】
前述したように、コネクタ100,200,300,400,500,600及び1600などのような、本明細書で示され、記載される様々なコネクタは、VAD1400の注入チューブ1402などのような、医療装置を受け、コネクタに対して所定位置に固定するよう構成されたカプラー装置を含み得る。様々な実施形態によると、ロックされていない状態からロックされている状態へ、またはロックされている状態からロックされていない状態へと、カプラー装置を移動して、スクリュ、クリップ、フック、ウォームギア、その他の機械的要素またはその他の要素は、カプラー装置用の作動装置や稼働装置として使用され得る(化学的または磁気的な方法もまたいくつかの実施形態において使用され得る)。いくつかの実施形態では、作動要素または稼働要素は、カプラー装置の一部であり得る。いくつかの実施形態によると、固定器具は、体の外部から、または経皮アクセスを通して手術用開窓内のカプラー装置を固定するために、作動要素または稼働要素を嵌合し、作動するために使用され得ることは、予測可能である。
【0098】
図16A及び
図16Bは、組織壁に移植し、使用するために、1つ以上の前述のコネクタと共に使用する例示的な固定器具1800を示す。固定器具1800は、電気的若しくは磁気的方法または化学的方法によって回転や直線運動を通して、コネクタのカプラー装置を作動または稼働するよう構成され得る。いくつかの実施形態では、固定器具1800は、カプラー装置の作動要素や稼働要素1810に取り外し可能に取り付け可能であってよく、
図16Aに示されたスクリュまたは類似の要素であり得る。作動要素や稼働要素1810に取り付けられた場合、固定器具1800は、回転して作動装置や稼働要素1810にトルクを移送してよく、次に、カプラー装置を作動し、VADをコネクタに対して所定位置に固定する。固定器具1800をさらに作動すると、カプラー装置から固定器具1800を開放し得る。様々な実施形態によると、カプラー装置と固定器具1800との間の開放可能な境界面は、必要とされる間、固定器具1800を所定位置に残しておき、その後、コネクタから取り外されることを可能にするよう構成された、機械的ねじ山、継手、ナット、磁気的境界面、化学結合、弱い箇所の引き裂き境界面または任意のその他の方法であり得る。いくつかの実施形態では、コネクタは、コネクタに取り付けられた固定器具1800によって組織壁へと送達され得る。その他の実施形態では、誘導要素、ワイヤ若しくはねじ山または磁界は、コネクタが組織壁に送達された後、固定器具1800を作動要素や稼働要素1810へと誘導するために使用され得る。これらの実施形態においては、誘導要素は、固定器具1800を介して作動要素や稼働要素1810の作動が完了したときに、開放または所定位置に残されてよい。いくつかの実施形態では、固定器具1800自体は、移植可能であり、コネクタのカプラー装置に永久に取り付けられ得る。
【0099】
いくつかの実施形態によると、小さな切開を通して、または皮膚を通す方法で固定器具1800の使用を促進するために、固定器具1800は、
図16Aに示されるように、固定器具1800が作動要素や稼働要素1810の送達または作動をしている間、曲げることが出来るよう構成された可撓性のあるシャフト1820を含み得る。上述のように、カプラー装置と固定器具1800との間の境界面は、ねじ付きであり、固定器具1800とカプラー装置との間のトルクを移動するために、六角ナットやアレンキーの境界面を含み得る。ねじ付き境界面を含む実施形態としては、固定器具1800は、ノブまたはハンドル1830を関連して回転させることによって、またはノブまたはハンドル1830を関連して直線運動させることによって、作動装置や稼働要素1810から固定器具1800を開放するよう構成された複数のノブまたはハンドル1830を含み得る。カプラー装置と固定器具1800の間の境界面の特定の構成、ノブやハンドル1830の開放に依存しないで、可撓性のあるシャフト自体が、固定器具1800の手術への使用を単純化すべきである。可撓性が望まれなく、または必要とされない実施形態には、固定器具1800は、硬質のシャフトを含み得る。
【0100】
コネクタ400などのような、VADの移植のための前述のコネクタのある種の実施形態によると、カプラー装置及び止血弁は、カニューレ内の心外VADの注入チューブの軸方向位置を制御するよう構成され得る。したがって、注入チューブの軸方向位置はまた、心室などのような、流体(即ち、血液)が含まれる空洞に関連して制御され得る。ある種の用途においては、VAD注入チューブの注入オリフィスの障害物、特に隔膜は、組織壁に関してVAD注入チューブの角度をつけることが望ましい場合がある。
【0101】
図17A及び
図17Bは、本明細書で記載されるように、組織壁の対向面間の流体連通を設け、維持し、制御し、閉鎖するための、組織壁内に移植し、使用するよう構成されたコネクタ1900のもう一つの例示的実施形態を示す。コネクタ1900は、これらの前述したコネクタ100、200,300,400,500,600及び1600に対応する様々な要素を含んでよく、その要素は
図17A及び
図17Bに数字と対応して明確にされており、本明細書でさらに詳細には記載されていない場合がある。コネクタ1900は、任意の数の外科手術において使用するよう構成された組織コネクタとして利用され得る。上記の手順例を含むがこれらに限定されない。具体的には、コネクタ1900は、VADの移植を含むがこれらに限定されない、様々な心臓手術において使用されるように構成された心臓コネクタとして利用され得る。示されているように、コネクタ1900は、固着装置1902、ポート1906、カプラー装置1910、止血弁1962及びカニューレ1970を含み、コネクタ400の対応する要素に類似の方法によって、構成され得る。コネクタ1900とコネクタ400との間の、ある種の構造的及び機能的な相違点は、以下に記載の通りである。全体として、
図17A及び
図17Bのコネクタ1900の実施形態では、ある患者の用途において有益である可能性があるため、そこへ連結されるVADの注入チューブを回転や方向づけるのを可能にする。
【0102】
図17A及び
図17Bに示されるように、コネクタ1900は医療装置が、VAD注入チューブが、組織壁に対してVAD注入チューブの入射角が変化する方法で、固着装置1902及び/またはコネクタ1900のポート1906に関連して回転できるよう構成された回転要素1990を含み得る。様々な実施形態によると、回転要素1990は、固着装置1902とポート1906との間、ポート1906とカニューレ1970との間、またはカニューレ1970とVAD注入チューブとの間に配置され得る。
図17A及び
図17Bに示される実施形態によれば、回転要素1990は、ポート1906とコネクタ1900のカニューレ1970との間に配置された回転する膝型の継手であり得る。このようにして、回転要素1990は、ポート1906に対してカニューレ1970が回転するよう構成され、それによって、ポート1906、固着装置1902及び組織壁に対して、カニューレ1970内に受けたVAD注入チューブが回転するのを可能にする。その他の実施形態では、回転要素1990は、1つ以上の磁気、機械的または化学的な連結、または組織壁に対してVAD注入チューブが回転するのを可能にするよう構成された1つ以上の変形可能な材料を含み得る。いくつかの実施形態では、コネクタ1900はまた、永久または一時的のいずれかで保持し、固着装置1902及び/またはコネクタ1900のポート1906に対してVAD注入チューブを角度をつけて配置するよう構成されたロック機構を含み得る。ロック機構は、ピン、スクリュ、フックまたは回転要素1990を介してVAD注入チューブの回転を制限するよう構成された、その他の類似の特徴1つ以上の締結要素または干渉要素を含み得る。いくつかの実施形態では、回転器具は、固着装置1902及び/またはコネクタ1900のポート1906に対してVAD注入チューブの回転を制御するために使用され得る。さらに、前述した固定器具1800などの固定器具は、ロック機構の作動、ロック及び/またはロックを解除することを容易にするために使用され得る。このようにして、コネクタ1900は、回転要素1990を介して組織壁に対してVAD注入チューブの回転することを可能にし、ロックをされていない状態からロックをされている状態へと移動するように構成されてよく、組織壁に対してVAD注入チューブの回転を防ぐ。いくつかの実施形態では、単一の組合せ器具は、回転器具及び固定器具として操作するよう構成され得る。回転器具、固定器具または組合せ器具は、体内または体外から制御してよく、実行される医療手順の侵襲性に依存する。
【0103】
本発明の多くの修正及びその他の実施形態は、当業者に思い浮かぶであろう。本発明は、上述の記載及び関連する図面を通して本明細書で示された教示の利益を有する。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限られないこと、その修正及びその他の実施形態は、添付された特許請求の範囲の範囲内に含まれることを目的としていることを理解すべきである。特定の用語は本明細書で採用されているが、それらは一般的なものであり、説明をするためにのみ使用され、限定をする目的ではない。