【実施例】
【0017】
図1に示す本発明の配線ケーブル保持材(以下、保持具という)1を用いた配線構造の第1実施例は、
図2に詳細に示す保持具1を用いて支持材2上で対向する太陽電池モジュール3,3の配線ケーブル3xを保持させるものである。
この保持具1は、配設状態において支持材2上面21に沿う上面部11と、前記上面部11より下方に位置して太陽電池モジュールの配線ケーブル3xを収納する収納部13と、前記収納部13を覆うと共に支持材2上で対向する太陽電池モジュール3,3の間隔より広幅の被覆部12と、を有する構成である。
【0018】
この第1実施例の保持具1では、
図2(a)に示すように前記上面部11は、配設状態において略水平状に配設される横片と該横片を傾斜状に折り下げた外下向き傾斜片とからなる。また、
図2(b)及び(c)に示すようにこの上面部11の折り目(横片と外向き傾斜片との境界)には、横スリット状の開口部111が設けられ、横片には、前後に2箇所ずつの突起112が合計4箇所に形成されている。
また、前記被覆部12は、前記外下向き傾斜片と該外下向き傾斜片を内側へ折り下げた内向き傾斜片とからなる略く字状部分である。
このように上面部11と被覆部12とは一部が重複する構成であり、図示実施例の外向き傾斜片は、上面部11の一部でもあり、被覆部12の一部でもある。
さらに、前記収納部13は、前記略く字状部分である被覆部12の裏面側の空間を指すものである。
また、前記内向き傾斜片の下端には、外向き傾斜片14が延設されている。
【0019】
この保持具1は、
図2(d)に示すように略正方形状に形成された板状材から作成されたものであって、折曲加工以前の状態の部位に対して符号に()を付して記している。
【0020】
前記支持材2は、外装面5を構成する外装材5Aにて形成される凸状部51に固定する部材であって、凸状部51の一方(=右方)に配する第一支持材2Aと、該第一支持材2Aと回動自在に枢着されて凸状部51の他方(=左方)に配される第二支持材2Bと、凸状部51の上方に起立状に配され、前記第一支持材2Aを貫通して前記第二支持材2Bに端部が受支される取付ボルト2Cと、該取付ボルトに螺合される締着ナット2Dと、からなる。これらの第一支持材2A及び第二支持材2Bは何れも定尺材(アルミ押出材)であって、組み合わせ状態が断面略筺状になるように形成され、内部に空間20が形成される構成である。
また、前記第一支持材2Aには、第二支持材2Bと回動自在に枢着するための軸部を形成する凹状の枢支受部22が形成され、前記第二支持材2Bには、前記第一支持材2Aと回動自在に枢着するための軸部を形成する凸状の枢支部23が形成されている。さらに、前記取付ボルト1Cは六角ボルト、前記締着ナット1Cは、六角ナットである。
【0021】
図示実施例の支持材2は、略筺状の頂部であって太陽電池モジュール3,3を支持する上面21と、その一方(左方)の側縁を下方へ折り下げた傾斜支持面24とを備え、該傾斜支持面24には通孔241が設けられている。この傾斜支持面24は、前記配線ケーブル支持材1の上面部11と被覆部12とを兼ねる外下向き傾斜片の裏面を支持する構成である。
そして、回動自在に枢着した第一支持材2Aと第二支持材2Bで凸状部51を左右から挟むように配設した状態で、取付ボルト2Cに締着ナット2Dを取り付けて締め付けることにより、支持材2を一体化することで、第一支持材2A及び第二支持材2Bを凸状部51に係止させ、取付ボルト2Cを凸状部51の上方に起立させることができる。
【0022】
また、前記支持材2が取り付けられる外装面5は、流れ方向に沿う山状部分と谷状部分とが連続する構成であって、山状部分の頂部に外装材(縦葺き外装材)5Aにて形成される凸状部51が、形成されたものであり、左右の外装材5A,5Aの側縁部52,52の端部を略垂直状に立ち上げて重合状に沿わせると共にカシメて形成したものである。
【0023】
図1に示す配線構造に使用される太陽電池モジュール3は、流れ方向の端縁にフレーム31a,31aが、左右方向の端縁にフレーム31b,31bが取り付けられた構成であり、これらのフレーム31a,31bはアルミ成形材であって表面にアルマイト処理(絶縁処理)が施されている。
左右に隣接する太陽電池モジュール3,3間には、それぞれの太陽電池モジュール3の上端縁を押さえ保持する押さえ部材4が配設されている。この押さえ部材4は、左右に押さえ部41,41を有し、中央横片に形成した孔に前記取付ボルト1Cを挿通させ、その上端から取付ナット4bを締め付けることにより太陽電池モジュール3,3を上方から押さえ保持することができる。
【0024】
図3(a)は、支持材2の起立部211に前記構成の保持具1の開口部111を挿着させて取り付けた状態を示し、
図3(b)に示すように太陽電池モジュール3が起立部211の端縁に当接するように配設すればよいので、この起立部211は位置規制部として用いることができる。また、
図3(b)に示すように保持具1の突起112,112上に太陽電池モジュール3を載置するため、この突起112が太陽電池モジュール3の下面に圧接され、表面のアルマイト処理層を傷付けてアース処理を容易に行うことができる。
【0025】
このように、本発明の保持具1は、支持材2に沿わせるように固定し、配線ケーブル3xを被覆すると共に収納部13へ収納することができるため、配線ケーブル3xの垂れ下がりを抑制でき、太陽光(紫外線)から保護して劣化を防止することができる。
また、本発明の保持具1は、太陽電池モジュール3を大きく傾けるなど大きな労力を必要とする配線ケーブル3xの結線作業とは別工程で行うことができ、作業自体も特別な技術や工具を必要とせずに支持材2に対して容易に取り付けられるため、施工者への負担の軽減、作業のし忘れなどの作業ミスの軽減、作業者の技量による施工品質のばらつきの軽減といった効果を発揮する。
【0026】
また、この第1実施例では、支持材2に形成した起立部211に横スリット状の開口部111を挿着して取り付け、しかも収納部13が裏面側に開口が形成されている形状構成を有するので、起立部211に開口部111を挿着させた状態で、
図1(a)に塗り潰し矢印で示すように配線ケーブル3xを下方から持ち上げるという簡単な操作により、保持具1が上方へ移動すると共に収納部13の下方部分(開口)が開くので、下方から配線ケーブル3xを極めて容易に収納部13内へ収納することができる。
【0027】
なお、配線ケーブル3xを収納部13内へ収納した後の保持具1は、上面部11を構成する横片又は外下向き傾斜片にビス等を打ち込んで裏面側の支持材2に固定するようにしてもよいし、特に固定方法を限定するものではない。
【0028】
図4に示す本発明の保持具1IIを用いた配線構造の第2実施例は、
図4(d)に拡大して示す保持具1IIを用いて支持材2上で対向する太陽電池モジュール3,3の配線ケーブル3xを保持させるものであり、保持具1II以外の支持材2、太陽電池モジュール3、押さえ部材4、外装面5に関しては、前記第1実施例と全く同様であるから、同一符号を付して説明を省略する。
【0029】
この第2実施例の保持具1IIは、上面部11iiが、配設状態において略水平状に配設される横片と該横片を傾斜状に折り下げた外下向き傾斜片とからなる点においては前記第1実施例と同様であるが、外下向き傾斜片が大きく形成されている。
被覆部12iiは、前記外下向き傾斜片と該外下向き傾斜片を内側へ折り下げた内向き傾斜片とからなる略く字状部分である。
収納部13iiは、前述のように被覆部12iiが形成されるため、略袋状に形成される。
また、前記内向き傾斜片の下端には、更に内側上方へ折り曲げた内上向き傾斜片15が延設されている。
【0030】
この第2実施例の保持具1IIも、前記第1実施例の保持具1と殆ど同様の効果を奏することができ、略袋状の収容部13iiであるため、比較的軟質な材料を用いても確実に配線ケーブル3xを保持することができる。
【0031】
図5(a)〜(c)に示す第3実施例、
図5(d)〜(f)に示す第4実施例、
図5(g)〜(i)に示す第5実施例は、支持材2'(2)へ異なる取り付け方法を示すものである。
図5(a)〜(c)に示す第3実施例は、支持材2'に起立部を設けない態様を示し、保持具1IIIは支持材2'と同等幅の上面部(横片)11iiiを有し、支持材2'から立設する取付ボルト2Cにて締着されることで取り付けられ、横片を切り起こして起立片状の位置規制部113を形成している。
図5(d)〜(f)に示す第4実施例は、支持材2'に起立部を設けない態様を示し、上面部(横片)11ivがビス止めされることで取り付けられ、横片を折り曲げて起立片状の位置規制部114を形成している。また、上面部11ivの取付ボルト2C付近はボルトとの干渉を防ぐため切り欠いている。
図5(g)〜(i)に示す第5実施例は、保持具1Vの上面部11vに前記第1実施例における起立部211に係止する係止部115を形成した。
このように太陽電池モジュール3の配設を容易にするための位置規制部は、支持材2に設けても保持具1に設けてもよい。
【0032】
図6(a)〜(o)に示す実施例は、保持具1の収納部13の形状バリエーションを示し、
図6(a)の収納部13−aや
図6(c)の収納部13−c、
図6(e)〜(m)の収納部13−e〜13−m、
図6(o)の収納部13−oのように内巻き状に形成し、裏面側が開口する形状としてもよい。
また、
図6(b)の収納部13−bや
図6(d)の収納部13−dのように外巻き状に形成し、表面側上方が開口する形状としてもよい。
或いは
図6(n)の収納部13−nのように側方が開口する形状でもよい。
【0033】
図7は、アース突起のバリエーションを示し、
図7(a)に示す突起112は、前記第1実施例の態様であるが、上面部11に裏面側から孔を開設する操作にて形成される形態であり、
図7(b)に示す突起112'は、上面部11'の端縁を折曲加工する操作にて形成される形態であり、
図7(c)に示す突起112"は、上面部11"を裏面側から打ち抜き加工(プレス加工)することで起立状(傾斜状)の爪片を形成した態様である。