特許第6303042号(P6303042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6303042太陽電池モジュールの配線ケーブル保持材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6303042
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】太陽電池モジュールの配線ケーブル保持材
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20180101AFI20180319BHJP
   E04D 13/00 20060101ALI20180319BHJP
   E04D 3/40 20060101ALI20180319BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20180319BHJP
【FI】
   E04D13/18
   E04D13/00 JETD
   E04D3/40 V
   H02S20/23 B
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-61278(P2017-61278)
(22)【出願日】2017年3月27日
(62)【分割の表示】特願2013-177911(P2013-177911)の分割
【原出願日】2013年8月29日
(65)【公開番号】特開2017-106320(P2017-106320A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2017年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000165505
【氏名又は名称】元旦ビューティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】北村 浩一
(72)【発明者】
【氏名】西田 和倫
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 大輔
(72)【発明者】
【氏名】坂本 憲一
【審査官】 坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−098033(JP,U)
【文献】 特開2013−032679(JP,A)
【文献】 特開2007−309039(JP,A)
【文献】 特開2006−278672(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/125699(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0214366(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 3/40
E04D 13/00
E04D 13/18
H02S 20/23
H02S 40/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合う太陽電池モジュールのそれぞれの端縁を当接させる位置規制部を有する支持材上に取り付けられる配線ケーブル保持材であって、
配設状態において前記支持材上面に沿う上面部と、該上面部より下方に位置して太陽電池モジュールの配線ケーブルを収納する収納部と、該収納部を覆うと共に支持材上で対向する太陽電池モジュールの間隔より広幅の被覆部と、を有することを特徴とする太陽電池モジュールの配線ケーブル保持材。
【請求項2】
隣り合う太陽電池モジュールのそれぞれの端縁を支持する支持材上に取り付けられる配線ケーブル保持材であって、
配設状態において隣り合う太陽電池モジュールのそれぞれの端縁を当接させる位置規制部と、前記支持材上面に沿う上面部と、該上面部より下方に位置して太陽電池モジュールの配線ケーブルを収納する収納部と、該収納部を覆うと共に支持材上で対向する太陽電池モジュールの間隔より広幅の被覆部と、を有することを特徴とする太陽電池モジュールの配線ケーブル保持材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根上への太陽電池モジュール設置に関し、配線ケーブルの垂れ下がりを抑制すると共に、劣化を防止することができ、接地(モジュール間でのアース)にも容易に利用できる太陽電池モジュールの配線ケーブル保持材に関する。
【背景技術】
【0002】
屋根上への太陽電池モジュール設置に関して、太陽電池モジュール間に隙間がある箇所での配線ケーブルの結線作業には、多くの作業手間があった。即ち配線ケーブルは、屋外設置に適した素材構成を採っておらず、紫外線による劣化、屋根との擦れによる摩耗(劣化)が起こってしまう。
上述の問題を防止するための処理としては、太陽電池モジュール間でPF管など筒状部材の中に配線ケーブルを通して紫外線から保護する方法、或いは屋根と擦れないように、配線ケーブルを結束バンド、或いは特許文献1に示されるような支持具(支持部材)などで固定する方法、或いは両者を併用する方法が採用されていた。なお、これらの固定は、モジュール枠やPV設置用の支持材などへ固定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−244579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述のPF管等の筒状部材を用いる作業は、工程上、太陽電池モジュールを傾けるなど大きな労力を必要とする結線作業と並行して行う必要があった。
また、配線ケーブル同様に、太陽電池モジュール間のアース処理に用いられるアース線も屋外設置に適した素材構成を採っておらず、紫外線による劣化を避けるため、アース線の取付作業は前述の配線ケーブルの結線作業と並行して行われてきた。
このように、配線ケーブルの結線作業時には、必要とされる作業の手間が煩雑であり、極めて面倒であった。また、作業の手間が煩雑であるため、作業者任せで、均等な作業レベルが得られないといった問題もあった。
【0005】
そこで、本発明は、屋根上への太陽電池モジュール設置に関し、配線ケーブルの垂れ下がりを抑制すると共に劣化を防止することができ、接地(モジュール間でのアース)にも容易に利用できる太陽電池モジュールの配線ケーブル保持材を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたものであって、隣り合う太陽電池モジュールのそれぞれの端縁を当接させる位置規制部を有する配線ケーブル保持材であって、配設状態において前記支持材上面に沿う上面部と、該上面部より下方に位置して太陽電池モジュールの配線ケーブルを収納する収納部と、該収納部を覆うと共に支持材上で対向する太陽電池モジュールの間隔より広幅の被覆部と、を有することを特徴とする太陽電池モジュールの配線ケーブル保持材に関するものである。
【0007】
さらに、本発明は、隣り合う太陽電池モジュールのそれぞれの端縁を支持する支持材上に取り付けられる配線ケーブル保持材であって、配設状態において隣り合う太陽電池モジュールのそれぞれの端縁を当接させる位置規制部と、前記支持材上面に沿う上面部と、該上面部より下方に位置して太陽電池モジュールの配線ケーブルを収納する収納部と、該収納部を覆うと共に支持材上で対向する太陽電池モジュールの間隔より広幅の被覆部と、を有することを特徴とする太陽電池モジュールの配線ケーブル保持材をも提案するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の配線ケーブル保持材は、支持材に沿わせるように固定し、配線ケーブルを被覆すると共に収納部へ収納することができるため、配線ケーブルの垂れ下がりを抑制でき、太陽光(紫外線)から保護して劣化を防止することができる。そのため、今まで配線ケーブルの保護として使われてきたPF管、配線ケーブルの固定に使われてきた結束バンドや支持具、さらに固定用のビス等の役割を一つの部材に集結した部材ということができる。
また、本発明の配線ケーブル保持材は、太陽電池モジュールを大きく傾けるなど大きな労力を必要とする配線ケーブルの結線作業とは別工程で行うことができ、作業自体も特別な技術や工具を必要とせずに支持材に対して容易に取り付けられるため、施工者への負担の軽減、作業のし忘れなどの作業ミスの軽減、作業者の技量による施工品質のばらつきの軽減といった効果を発揮する。
さらに、後述する図示実施例(第1実施例)のように下方から配線ケーブルを持ち上げるだけで収納部へ収納可能な機構を採用した場合には、実質的に面倒な操作を全く行うことなく、極めて容易に配線ケーブルを適正位置に保護することができる。
また、支持材には、太陽電池モジュールの位置規制部を有するので、該位置規制部に端縁が当接するように太陽電池モジュールを配設すればよく、太陽電池モジュールの配設を容易に実施できる。
【0009】
さらに、太陽電池モジュールの位置規制部を有する配線ケーブル保持材は、該位置規制部に端縁が当接するように太陽電池モジュールを配設すればよく、太陽電池モジュールの配設を容易に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)本発明の第1実施例の配線ケーブル保持材を用いた配線構造を示す正面図、(b)その側面図、(c)その平面図、(d)押さえ部材及び太陽電池モジュールを欠載して示した平面図である。
図2】(a)本発明の第1実施例の配線ケーブル保持材を示す拡大正面図、(b)その拡大平面図、(c)その拡大側面図、(d)折曲加工する前の板材を示す拡大平面図である。
図3】(a)第1実施例における太陽電池モジュールの配設以前の状態を示す斜視図、(b)位置規制部に対して太陽電池モジュールを配設する状態を示す斜視図である。
図4】(a)本発明の第2実施例の配線ケーブル保持材を用いた配線構造を示す正面図、(b)その側面図、(c)その平面図、(d)配線ケーブル保持材の拡大正面図である。
図5】(a)支持材に第3実施例の配線ケーブル保持材を取り付けた状態を示す正面図、(b)その正面図、(c)その斜視図、(d)支持材に第4実施例の配線ケーブル保持材を取り付けた状態を示す正面図、(e)その正面図、(f)その斜視図、(g)支持材に第5実施例の配線ケーブル保持材を取り付けた状態を示す正面図、(h)その正面図、(i)その斜視図である。
図6】(a)〜(o)配線ケーブル保持材の更なるバリエーションを示す正面図である。
図7】(a)〜(c)アース突起のバリエーションを示す三面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の配線ケーブル保持材は、隣り合う太陽電池モジュールのそれぞれの端縁を支持する支持材上に取り付けられるものであって、(A)配設状態において支持材上面に沿う上面部と、(B)支持材上で対向する太陽電池モジュールの間隔より広幅の被覆部と、(C)前記被覆部の裏面側に位置して太陽電池モジュールの配線ケーブルを収納する収納部と、を有することを特徴とする。
そして、配線ケーブルを被覆すると共に収納部へ収納することができるため、配線ケーブルの垂れ下がりを抑制でき、太陽光(紫外線)から保護して劣化を防止することができる。
【0012】
(A)上面部
この上面部は、配設状態において支持材上面に沿うように取り付けられる部分であり、この上面部を支持材上面に沿わせた状態でビス止めするものでも、或いはモジュールを固定するボルトを利用してもよい。嵌合するものであってもよく、特に固定方法を限定するものではない。
特に、後述する図示実施例(第1実施例)のように支持材に起立部(位置規制部)を設けている場合には、該起立部が挿着される横スリット状の開口部を設けて取り付けるようにしてもよい。
また、この上面部には、接地(アース)を取るための突起を設けるようにしてもよい。
この突起は、太陽電池モジュールのフレーム(枠体)の塗膜(アルマイト処理)を傷付けることが可能であれば、その形状は限定するものではなく、主にバーリング加工やポンチ等によって上面側へ突き上げ形成されるものや、切り起こし(爪)等で形成するものが選ばれる。概略形状としては鋭凸状や小突起、鋭角状の爪部等が選定される。
【0013】
(B)被覆部
この被覆部は、支持材上で対向する太陽電池モジュールの間隔より広幅に形成される部分であって、収納部に保持された配線ケーブルに対する太陽光(紫外線)の照射から配線ケーブルを守る役割を果たす。太陽電池モジュールの対向間隔より広幅であるということは、配線ケーブルが太陽電池モジュールから露出している部分より広幅であることを意味している。なお、この被覆部と前記上面部とは、後述する図示実施例(第1実施例)の外向き傾斜片のように一部が重複するものでもよい。
【0014】
(C)収納部
この収納部は、前記上面部より下方に位置して太陽電池モジュールの配線ケーブルを収納する部分であって、特にその形状構成については特に限定するものではない。この収納部内へ配線ケーブルを配置させる開口も、表面側でも側方側でも、或いは裏面側に形成してもよく、配線ケーブルが抜け落ちない形状であれば、特にその形状を限定するものではない。例えば開口からの太陽光の照射を防ぐため、開口(部分)を弾性変形可能な形状であっても、また配線ケーブルを配設後に開口(部分)を工具等で変形させるものであってもよい。特に開口を表面側に設ける場合にはこのような態様が望ましい。
後述する図示実施例(第1実施例)の態様については、前記上面部の説明でも言及したように支持材に形成した起立部(位置規制部)に横スリット状の開口部を挿着する例であり、しかも第1実施例では、収納部が裏面側に開口が形成された例である。この例では、起立部に開口部を挿着させた状態で、配線ケーブルを下方から持ち上げるという簡単な操作により、配線ケーブル保持材が上方へ移動すると共に収納部の下方部分(開口)が開くので、下方から配線ケーブルを極めて容易に収納部へ収納させる(=保持する)ことができる。
【0015】
(D)支持材
この支持材は、隣り合う太陽電池モジュールのそれぞれの端縁を支持する部材であり、前記本発明の配線ケーブル保持材をその上面に取り付ける部材である。
この支持材は、定尺材(ピース材)であっても、縦方向(流れ方向)、横方向(桁行き方向)に連続するものであってもよい。
また、特に限定するものではないが、前述のように起立部(位置規制部)を設けて太陽電池モジュールの端縁が当該位置規制部に当接するように配設してもよい。さらに、この起立部は、太陽電池モジュールの配設位置を規制するばかりでなく、前述のように上面部に開口部を設けて当該起立部に挿着させるようにしてもよい。即ち本発明の配線ケーブル保持材の取付部として用いてもよい。
さらに、前述のように配線ケーブル保持材の上面部に接地(アース)を取るための突起を設けてもよいが、この支持材に突起を設けるようにしてもよい。
【0016】
なお、この支持材を取り付ける対象については何等限定するものではなく、どのような下地又は既設屋根に対して取り付けるようにしてもよい。
後述する図示実施例では、支持材を凸状部を有する既設屋根(外装面)に取り付けた例を示しており、この凸状部は、外装面を構成する外装材にて形成されるものであって、山状部分と谷状部分とが連続する構成の外装面であれば、山状部分を指し、新築でも既設でもよい。また、後述する図示実施例に示すように山状部分である突状部の頂部に、外装材の側縁を略垂直状に立ち上げてカシメて凸部を形成したものでも、その外側にキャップ状のカバー材を配したものでも、一方の側縁に他方の側縁を重合させて形成したものでもよく、特にその構成を限定するものではない。
【実施例】
【0017】
図1に示す本発明の配線ケーブル保持材(以下、保持具という)1を用いた配線構造の第1実施例は、図2に詳細に示す保持具1を用いて支持材2上で対向する太陽電池モジュール3,3の配線ケーブル3xを保持させるものである。
この保持具1は、配設状態において支持材2上面21に沿う上面部11と、前記上面部11より下方に位置して太陽電池モジュールの配線ケーブル3xを収納する収納部13と、前記収納部13を覆うと共に支持材2上で対向する太陽電池モジュール3,3の間隔より広幅の被覆部12と、を有する構成である。
【0018】
この第1実施例の保持具1では、図2(a)に示すように前記上面部11は、配設状態において略水平状に配設される横片と該横片を傾斜状に折り下げた外下向き傾斜片とからなる。また、図2(b)及び(c)に示すようにこの上面部11の折り目(横片と外向き傾斜片との境界)には、横スリット状の開口部111が設けられ、横片には、前後に2箇所ずつの突起112が合計4箇所に形成されている。
また、前記被覆部12は、前記外下向き傾斜片と該外下向き傾斜片を内側へ折り下げた内向き傾斜片とからなる略く字状部分である。
このように上面部11と被覆部12とは一部が重複する構成であり、図示実施例の外向き傾斜片は、上面部11の一部でもあり、被覆部12の一部でもある。
さらに、前記収納部13は、前記略く字状部分である被覆部12の裏面側の空間を指すものである。
また、前記内向き傾斜片の下端には、外向き傾斜片14が延設されている。
【0019】
この保持具1は、図2(d)に示すように略正方形状に形成された板状材から作成されたものであって、折曲加工以前の状態の部位に対して符号に()を付して記している。
【0020】
前記支持材2は、外装面5を構成する外装材5Aにて形成される凸状部51に固定する部材であって、凸状部51の一方(=右方)に配する第一支持材2Aと、該第一支持材2Aと回動自在に枢着されて凸状部51の他方(=左方)に配される第二支持材2Bと、凸状部51の上方に起立状に配され、前記第一支持材2Aを貫通して前記第二支持材2Bに端部が受支される取付ボルト2Cと、該取付ボルトに螺合される締着ナット2Dと、からなる。これらの第一支持材2A及び第二支持材2Bは何れも定尺材(アルミ押出材)であって、組み合わせ状態が断面略筺状になるように形成され、内部に空間20が形成される構成である。
また、前記第一支持材2Aには、第二支持材2Bと回動自在に枢着するための軸部を形成する凹状の枢支受部22が形成され、前記第二支持材2Bには、前記第一支持材2Aと回動自在に枢着するための軸部を形成する凸状の枢支部23が形成されている。さらに、前記取付ボルト1Cは六角ボルト、前記締着ナット1Cは、六角ナットである。
【0021】
図示実施例の支持材2は、略筺状の頂部であって太陽電池モジュール3,3を支持する上面21と、その一方(左方)の側縁を下方へ折り下げた傾斜支持面24とを備え、該傾斜支持面24には通孔241が設けられている。この傾斜支持面24は、前記配線ケーブル支持材1の上面部11と被覆部12とを兼ねる外下向き傾斜片の裏面を支持する構成である。
そして、回動自在に枢着した第一支持材2Aと第二支持材2Bで凸状部51を左右から挟むように配設した状態で、取付ボルト2Cに締着ナット2Dを取り付けて締め付けることにより、支持材2を一体化することで、第一支持材2A及び第二支持材2Bを凸状部51に係止させ、取付ボルト2Cを凸状部51の上方に起立させることができる。
【0022】
また、前記支持材2が取り付けられる外装面5は、流れ方向に沿う山状部分と谷状部分とが連続する構成であって、山状部分の頂部に外装材(縦葺き外装材)5Aにて形成される凸状部51が、形成されたものであり、左右の外装材5A,5Aの側縁部52,52の端部を略垂直状に立ち上げて重合状に沿わせると共にカシメて形成したものである。
【0023】
図1に示す配線構造に使用される太陽電池モジュール3は、流れ方向の端縁にフレーム31a,31aが、左右方向の端縁にフレーム31b,31bが取り付けられた構成であり、これらのフレーム31a,31bはアルミ成形材であって表面にアルマイト処理(絶縁処理)が施されている。
左右に隣接する太陽電池モジュール3,3間には、それぞれの太陽電池モジュール3の上端縁を押さえ保持する押さえ部材4が配設されている。この押さえ部材4は、左右に押さえ部41,41を有し、中央横片に形成した孔に前記取付ボルト1Cを挿通させ、その上端から取付ナット4bを締め付けることにより太陽電池モジュール3,3を上方から押さえ保持することができる。
【0024】
図3(a)は、支持材2の起立部211に前記構成の保持具1の開口部111を挿着させて取り付けた状態を示し、図3(b)に示すように太陽電池モジュール3が起立部211の端縁に当接するように配設すればよいので、この起立部211は位置規制部として用いることができる。また、図3(b)に示すように保持具1の突起112,112上に太陽電池モジュール3を載置するため、この突起112が太陽電池モジュール3の下面に圧接され、表面のアルマイト処理層を傷付けてアース処理を容易に行うことができる。
【0025】
このように、本発明の保持具1は、支持材2に沿わせるように固定し、配線ケーブル3xを被覆すると共に収納部13へ収納することができるため、配線ケーブル3xの垂れ下がりを抑制でき、太陽光(紫外線)から保護して劣化を防止することができる。
また、本発明の保持具1は、太陽電池モジュール3を大きく傾けるなど大きな労力を必要とする配線ケーブル3xの結線作業とは別工程で行うことができ、作業自体も特別な技術や工具を必要とせずに支持材2に対して容易に取り付けられるため、施工者への負担の軽減、作業のし忘れなどの作業ミスの軽減、作業者の技量による施工品質のばらつきの軽減といった効果を発揮する。
【0026】
また、この第1実施例では、支持材2に形成した起立部211に横スリット状の開口部111を挿着して取り付け、しかも収納部13が裏面側に開口が形成されている形状構成を有するので、起立部211に開口部111を挿着させた状態で、図1(a)に塗り潰し矢印で示すように配線ケーブル3xを下方から持ち上げるという簡単な操作により、保持具1が上方へ移動すると共に収納部13の下方部分(開口)が開くので、下方から配線ケーブル3xを極めて容易に収納部13内へ収納することができる。
【0027】
なお、配線ケーブル3xを収納部13内へ収納した後の保持具1は、上面部11を構成する横片又は外下向き傾斜片にビス等を打ち込んで裏面側の支持材2に固定するようにしてもよいし、特に固定方法を限定するものではない。
【0028】
図4に示す本発明の保持具1IIを用いた配線構造の第2実施例は、図4(d)に拡大して示す保持具1IIを用いて支持材2上で対向する太陽電池モジュール3,3の配線ケーブル3xを保持させるものであり、保持具1II以外の支持材2、太陽電池モジュール3、押さえ部材4、外装面5に関しては、前記第1実施例と全く同様であるから、同一符号を付して説明を省略する。
【0029】
この第2実施例の保持具1IIは、上面部11iiが、配設状態において略水平状に配設される横片と該横片を傾斜状に折り下げた外下向き傾斜片とからなる点においては前記第1実施例と同様であるが、外下向き傾斜片が大きく形成されている。
被覆部12iiは、前記外下向き傾斜片と該外下向き傾斜片を内側へ折り下げた内向き傾斜片とからなる略く字状部分である。
収納部13iiは、前述のように被覆部12iiが形成されるため、略袋状に形成される。
また、前記内向き傾斜片の下端には、更に内側上方へ折り曲げた内上向き傾斜片15が延設されている。
【0030】
この第2実施例の保持具1IIも、前記第1実施例の保持具1と殆ど同様の効果を奏することができ、略袋状の収容部13iiであるため、比較的軟質な材料を用いても確実に配線ケーブル3xを保持することができる。
【0031】
図5(a)〜(c)に示す第3実施例、図5(d)〜(f)に示す第4実施例、図5(g)〜(i)に示す第5実施例は、支持材2'(2)へ異なる取り付け方法を示すものである。
図5(a)〜(c)に示す第3実施例は、支持材2'に起立部を設けない態様を示し、保持具1IIIは支持材2'と同等幅の上面部(横片)11iiiを有し、支持材2'から立設する取付ボルト2Cにて締着されることで取り付けられ、横片を切り起こして起立片状の位置規制部113を形成している。
図5(d)〜(f)に示す第4実施例は、支持材2'に起立部を設けない態様を示し、上面部(横片)11ivがビス止めされることで取り付けられ、横片を折り曲げて起立片状の位置規制部114を形成している。また、上面部11ivの取付ボルト2C付近はボルトとの干渉を防ぐため切り欠いている。
図5(g)〜(i)に示す第5実施例は、保持具1Vの上面部11vに前記第1実施例における起立部211に係止する係止部115を形成した。
このように太陽電池モジュール3の配設を容易にするための位置規制部は、支持材2に設けても保持具1に設けてもよい。
【0032】
図6(a)〜(o)に示す実施例は、保持具1の収納部13の形状バリエーションを示し、図6(a)の収納部13−aや図6(c)の収納部13−c、図6(e)〜(m)の収納部13−e〜13−m、図6(o)の収納部13−oのように内巻き状に形成し、裏面側が開口する形状としてもよい。
また、図6(b)の収納部13−bや図6(d)の収納部13−dのように外巻き状に形成し、表面側上方が開口する形状としてもよい。
或いは図6(n)の収納部13−nのように側方が開口する形状でもよい。
【0033】
図7は、アース突起のバリエーションを示し、図7(a)に示す突起112は、前記第1実施例の態様であるが、上面部11に裏面側から孔を開設する操作にて形成される形態であり、図7(b)に示す突起112'は、上面部11'の端縁を折曲加工する操作にて形成される形態であり、図7(c)に示す突起112"は、上面部11"を裏面側から打ち抜き加工(プレス加工)することで起立状(傾斜状)の爪片を形成した態様である。
【符号の説明】
【0034】
1 配線ケーブル保持材(保持具)
11 上面部
111 開口部
112 突起
12 被覆部
13 収納部
2 支持材
2A 第一支持材
2B 第二支持材
21 上面
211 起立部(位置規制部)
22 枢支受部
23 枢支部
3 太陽電池モジュール
3x 配線ケーブル
31a,31b フレーム
4 押さえ部材
41 押さえ部
5 外装面
5A 外装材
51,51' 凸状部
52 側縁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7