(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係るマルチホップ方式のセンサネットワークシステム1の概略構成を示す図である。
図1に示すように、マルチホップ方式のセンサネットワークシステム1は、複数のセンサシステム2−1、2−2、・・・(SS)、マスター装置6(M)、およびサーバー7を含んで構成される。以下、センサシステム2−1、2−2、・・・のうち1つを特定しない場合は、センサシステム2という。
【0015】
センサシステム2は、自装置が備えるセンサが計測した環境情報を、マスター装置6へ直接送信、または他のセンサシステム2を介してマスター装置6へ送信する。なお、センサシステム2が環境情報を送信するタイミングは、所定の時間間隔であり、例えば5分に1回である。センサシステム2は、この所定の時間間隔の設定情報を、マスター装置6から受信し、受信した設定情報に応じて設定する。
【0016】
マスター装置6は、センサネットワークシステム1に接続されている全てのセンサシステム2から情報を受信して、全てのセンサシステム2を管理する。また、マスター装置6は、必要に応じてセンサシステム2へ、設定情報やファームウェアを送信する。マスター装置6は、センサシステム2から受信した環境情報を含む情報を、サーバー7へ送信する。
【0017】
サーバー7は、マスター装置6から受信したセンサシステム2からの情報を保管し、保管したデータの解析等を行う。
【0018】
図2は、本実施形態に係るセンサシステム2の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、センサシステム2は、センサ装置3と、DSCユニット5を備えている。
センサ装置3は、一次電池31、一次電池電圧検出部32、蓄電部電圧検出部33、供給電源切換スイッチ34、供給電源制御部35、センサシステム制御部36、センサ部37、センサ装置通信部38、記憶部39、センサ装置側結合部40、および供給電源設定スイッチ41を備える。供給電源制御部35は、電圧検出・比較部351と、供給電源切換部352を備える。センサ部37は、人感センサ371、温度センサ372、湿度センサ373、気圧センサ374、および照度センサ375を備える。
DSCユニット5は、太陽電池51、DC/DCコンバータ52、蓄電部53、およびDSCユニット側結合部54を備える補助電池である。
【0019】
センサ装置3は、センサが計測した計測値を送信する。また、センサ装置3は、他のセンサ装置3から情報を受信し、受信した情報を転送する。なお、情報の送信先は、
図1に示したように、他のセンサ装置3を経由する場合もしない場合もマスター装置6である。センサ装置3は、DSCユニット5が着脱可能である。
【0020】
一次電池31は、例えば通常時の電圧値が3.0Vの電池である。一次電池31は、正極が一次電池電圧検出部32を介して供給電源切換スイッチ34の入力端子aに接続され、負極が接地されている。
【0021】
一次電池電圧検出部32は、一次電池31の電圧値V2を検出し、検出した電圧値V2を供給電源制御部35へ出力する。
蓄電部電圧検出部33は、DSCユニット5がセンサ装置3に接続されているとき、DSCユニット5が出力する電圧値V1を検出し、検出した電圧値V1を供給電源制御部35へ出力する。
【0022】
供給電源切換スイッチ34は、入力端子aが蓄電部電圧検出部33とセンサ装置側結合部40を介してDSCユニット5に接続され、入力端子bが一次電池電圧検出部32を介して一次電池31の正極に接続され、出力端子cがセンサシステム制御部36、センサ部37およびセンサ装置通信部38に接続されている。また、出力端子cから出力される電圧をVoutとする。
その上で、供給電源切換スイッチ34は、供給電源制御部35の制御に応じて、DSCユニット5から供給された電力、または一次電池31の電力をセンサシステム制御部36、センサ部37、およびセンサ装置通信部38へ供給するように切り換える。
【0023】
供給電源設定スイッチ41は、DSCユニット5が接続されているか否かによって、センサ装置3の管理者によって切り換えられる。例えばスライドスイッチまたはDIP(Dual In−line Package)スイッチである。例えば、第1状態がDSCユニット5の接続無し状態であり、第2状態がDSCユニット5の接続有り状態である。
【0024】
供給電源制御部35は、一次電池電圧検出部32と蓄電部電圧検出部33が検出した各電圧値と、自部が記憶する所定基準とを比較して、比較した結果に応じて供給電源切換スイッチ34を切り換えるように制御する。なお、所定基準については、後述する。また、供給電源制御部35は、検出した各電圧値と供給電源切換スイッチ34の切り換え状態をセンサシステム制御部36へ出力する。さらに、供給電源制御部35は、供給電源設定スイッチ41の状態を検出し、第1状態であれば、比較した結果に関わらず、供給電源切換スイッチ34を一次電池31に接続するように制御する。
【0025】
電圧検出・比較部351は、一次電池電圧検出部32と蓄電部電圧検出部33が検出した各電圧値と、自部が記憶する所定基準とを比較する。電圧検出・比較部351は、比較した結果に応じて供給電源切換スイッチ34の切換信号を生成し、生成した切換信号を供給電源切換部352へ出力する。さらに、電圧検出・比較部351は、供給電源設定スイッチ41の状態を検出し、第1状態であれば、比較した結果に関わらず、供給電源切換スイッチ34を一次電池31に接続する切換信号を生成し、生成した切換信号を供給電源切換部352へ出力する。
供給電源切換部352は、電圧検出・比較部351が出力した切換信号に応じて供給電源切換スイッチ34を切り換える。
【0026】
センサシステム制御部36は、センサ部37が出力した検出結果情報や計測値に自装置を識別するための識別子を付加して環境情報を生成し、生成した環境情報を記憶部39に記憶させる。センサシステム制御部36は、記憶部39に記憶させた環境情報をセンサ装置通信部38へ出力する。なお、センサシステム制御部36は、環境情報が3回続けて送信できなかった場合、記憶部39に記憶させた環境情報を破棄する。このように、センサシステム制御部36が記憶部39に記憶させる環境情報は、最新の環境データのみである。
センサシステム制御部36は、センサ装置通信部38を介して他のセンサ装置3から受信した環境情報を転送するために、再びセンサ装置通信部38へ出力する。なお、センサシステム制御部36は、センサ装置通信部38を介して他のセンサ装置3から受信した環境情報を記憶部39に一次的に記憶させ、記憶させた環境情報を転送するために再びセンサ装置通信部38へ出力するようにしてもよい。センサシステム制御部36は、マスター装置6から受信した情報に基づいて、使用するセンサを決定する。センサシステム制御部36は、使用しないセンサに対して、省電力動作状態になるように制御するようにしてもよい。また、センサシステム制御部36は、一次電池31の電圧値V2(または、それに対応するような電圧情報)、DSCユニット5が出力する電圧値V1(または、それに対応するような電圧情報)、供給電源設定スイッチ41の状態、供給電源切換スイッチ34の状態を示す情報を生成し、生成した情報をセンサ装置通信部38を介してマスター装置6へ送信するようにしてもよい。また、センサシステム制御部36は、計時部を備え、計時を行う。
【0027】
センサ部37は、検出した結果を示す検出結果情報または計測した計測値をセンサシステム制御部36へ出力する。
人感センサ371は、例えば赤外線、超音波、可視光を用いて人間の所在を検知するためのセンサである。人感センサ371は、検出した結果を示す検出結果情報をセンサシステム制御部36へ出力する。
温度センサ372は、温度を計測し、計測した計測値をセンサシステム制御部36へ出力する。
湿度センサ373は、湿度を計測し、計測した計測値をセンサシステム制御部36へ出力する。
気圧センサ374は、気圧を計測し、計測した計測値をセンサシステム制御部36へ出力する。
照度センサ375は、照度を計測し、計測した計測値をセンサシステム制御部36へ出力する。
【0028】
センサ装置通信部38は、センサシステム制御部36が出力した情報を送信する。また、センサ装置通信部38は、他のセンサ装置3やマスター装置6から受信した情報をセンサシステム制御部36へ出力する。受信する情報には、例えば環境情報、センサ装置3を識別するための識別子等が含まれる。また、センサ装置通信部38は、他のセンサ装置3との通信によってRSSI(電波強度)を計測し、さらに、他のセンサ装置3間のRSSIおよび各センサ装置3からマスター装置6までのホップ数を取得することで、通信における親子関係と通信の経路を決定する。
記憶部39は、環境情報を一時的に記憶する。記憶部39は、計測した環境情報を全て記憶しないため、容量は小さくてよい。
【0029】
センサ装置側結合部40は、例えばコネクターである。センサ装置側結合部40には、DSCユニット5のDSCユニット側結合部54が接続される。なお、センサ装置側結合部40は、DSCユニット5と構造的な結合を実現する役割を兼ねていてもよい。
【0030】
DSC(Dye Sensitized Solar Cell;色素増感太陽電池)ユニット5は、センサ装置3との接続時に、太陽電池で発電した電力をセンサ装置3へ供給する外付け電源のユニットである。
【0031】
太陽電池51は、一般の太陽電池では十分な発電効率の得られない蛍光灯下などの光照度強度が低い(例えば10[lux])環境から、野外の太陽光下の光照度強度が高い(例えば10万[lux])環境まで、効率良く発電可能な例えば色素増感太陽電池である。
【0032】
DC/DCコンバータ52は、太陽電池51によって発電された電力の電圧値を変換して、電圧値を変換した電圧を蓄電部53に充電するように制御する。また、DC/DCコンバータ52は、センサ装置3との接続時に、蓄電部53に蓄電された電力と太陽電池51によって発電された電力をセンサ装置3へ供給する。
【0033】
蓄電部53は、例えば容量が40F(ファラド)のリチウムイオンキャパシタである。蓄電部53には、DC/DCコンバータ52の制御によって、太陽電池51によって発電された電力が蓄電される。蓄電部53は、正極がDC/DCコンバータ52とDSCユニット側結合部54に接続され、負極が接地されている。
【0034】
DSCユニット側結合部54は、例えばコネクターである。DSCユニット側結合部54には、センサ装置3のセンサ装置側結合部40が接続される。なお、DSCユニット側結合部54は、センサ装置3と構造的な結合を実現する役割を兼ねていてもよい。
【0035】
センサ装置3は、自装置が備える一次電池31の電力を用いて電池交換無しで、使用環境に応じて、例えば1年から2年程度の運用が可能である。また、センサ装置3にDSCユニット5を結合した場合、自装置が備える一次電池31とDSCユニット5から供給される電力を用いて電池交換無しで、使用環境に応じて、例えば4年、5年から使用される環境によっては10年程度の運用が可能である。
【0036】
次に、マスター装置6について説明する。
図3は、本実施形態に係るマスター装置6の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、マスター装置6は、マスター装置通信部61、データ送受信部62、送信データ蓄積部63、マスター制御部64、センサデータ換算・演算部65、センサ装置管理部66、センサステーション管理部67、クラウド接続管理部68、および特定小電力無線送受信部69を備えている。
【0037】
マスター装置通信部61は、データ送受信部62が出力した情報を通信相手の装置に応じた送受信部を用いて情報の送信を行う。また、マスター装置通信部61は、通信相手の装置に応じた送受信部を用いて情報を受信し、受信した情報をデータ送受信部62へ出力する。マスター装置通信部61は、有線通信を用いて通信を行うLAN(Local Area Network;ローカル・エリア・ネットワーク)送受信部611、Wi−Fi等の無線通信規格で通信を行う近距離無線送受信部612、電話通信網を用いて通信を行う3G/LTE送受信部613、Modbus Protocolによるシリアル通信を行うModbus送受信部614を備えている。
【0038】
データ送受信部62は、マスター制御部64が出力した送信データをマスター装置通信部61へ出力する。また、データ送受信部62は、マスター装置通信部61が出力した情報を受け取り、受け取った情報をマスター制御部64へ出力する。なお、データ送受信部62は、送受信相手の装置に応じて、送信信号に対して変調を行い、受信信号に復調を行う。データ送受信部62は、送信できなかった情報を送信データ蓄積部63へ一次的に蓄積させ、送信可能となった場合に、再送を行う。
【0039】
送信データ蓄積部63は、送信できなかった情報などを一時保管する。
マスター制御部64は、マスター装置6の各機能部を制御する。
【0040】
センサデータ換算・演算部65は、センサ装置3から受信した情報の解析や換算等の演算を行う。
センサ装置管理部66は、センサネットワークシステム1に含まれる各センサ装置3の管理や、各センサ装置3への各種設定、各センサ装置3への個別制御等を行う。センサ装置管理部66は、受信した情報に含まれる各センサ装置3の電圧値V1および電圧値V2(または、それぞれに対応するような電圧情報)と供給電源切換スイッチ34の状態を参照することにより、例えば一次電池31の電圧値が所定の値以下で運用に支障が生じる場合、電池交換が必要であることをメンテナンス情報として報知するようにしてもよい。
【0041】
センサステーション管理部67は、マスター装置6の設定の内部保存、外部出力、外部からの読み込みの管理機能を提供する。
クラウド接続管理部68は、クラウドへのセンサ装置3の登録、設定保管、クラウドからの指示受信などを行う。
【0042】
特定小電力無線送受信部69は、特定小電力無線によって、センサシステム2との間で情報の送受信を行う。特定小電力無線送受信部69は、マスター制御部64が出力した情報を送信する。特定小電力無線送受信部69は、受信した情報をマスター制御部64へ出力する。
なお、上述したマスター装置6の構成例は一例で有り、上述した全ての機能部のうち一部を備えていてもよく、他の機能部を備えていなくてもよい。
【0043】
また、マスター装置6は、センサ装置3の設定を変更することができる。
例えば、センサ装置3それぞれが、5個のセンサを備えている場合、5個あるセンサのいずれを動作させるか、定常的な通信の時間間隔等のコンフィグレーションをセンサ装置3毎に自由に設定することもできる。以下に、その手順を説明する。
【0044】
まず、センサネットワークシステム1の管理者は、ノートパソコン等をマスター装置6に接続し、センサネットワークシステム1に含まれる全てのセンサ装置3をマスター装置6に登録すると共に、センサ装置3それぞれのコンフィグレーションも設定する(管理者による手動設定)。
センサ装置3それぞれは、初期設定の後に、マスター装置6へ自装置のコンフィグレーションを要求する。なお、センサ装置3の要求信号には、自装置の識別子が含まれている。
【0045】
なお、マスター装置6は、例えば災害などの緊急時に、センサの環境情報をマスター装置6へ送信する時間間隔を初期設定より短く、例えば1分おきに送信する指示をセンサ装置3それぞれに送信するようにしてもよい。
【0046】
マスター装置6は、各センサ装置3からコンフィグレーションの要求を受信したとき、要求に対する応答として、設定されたコンフィグレーションを要求したセンサ装置3へ送信する。
センサ装置3は、要求に対する応答として送られてきた自装置へのコンフィグレーションに基づき自装置の設定を行う。
このように、センサ装置3は、自装置のコンフィグレーションを含む各種設定を行うための管理者用の入力キ一等を持たない。
【0047】
次に、センサ装置3の電圧検出・比較部351が比較に用いるしきい値の例を説明する。なお、電圧検出・比較部351は、これらのしきい値を記憶している。
図4は、本実施形態に係るセンサ装置3の電圧検出・比較部351が比較に用いる所定基準の例を示す図である。
【0048】
図4に示すように、電圧検出・比較部351は、DSCユニット5の電圧値V1が3V以上かつ一次電池31の電圧値V2が2.5V以上の場合、電圧値がV1のDSCユニット5の電力をVoutとして出力するように制御する。
電圧検出・比較部351は、DSCユニット5の電圧値V1が3V以上かつ一次電池31の電圧値V2が2.5V未満の場合、電圧値がV1のDSCユニット5の電力をVoutとして出力するように制御する。
【0049】
電圧検出・比較部351は、DSCユニット5の電圧値V1が3V未満かつ一次電池31の電圧値V2が2.5V以上の場合、電圧値がV2の一次電池の電力をVoutとして出力するように制御する。
電圧検出・比較部351は、DSCユニット5の電圧値V1が3V未満かつ一次電池31の電圧値V2が2.5V未満の場合、電圧値がV1のDSCユニット5の電力をVoutとして出力するように制御する。
【0050】
すなわち、
図4に示した例では、しきい値が2.5Vと3Vである。なお、
図4に示すたしきい値は一例であり、これに限られない。しきい値は、一次電池31の電圧やDSCユニット5から供給される電圧値に応じた値であればよい。
【0051】
なお、上述した例では、電圧検出・比較部351が供給電源設定スイッチ41の状態を検出してDSCユニット5が接続されているか否かを判別する例を説明したが、これに限られない。センサ装置3にDSCユニット5が結合されていない場合は、電圧値V1が0Vである。このような場合、電圧検出・比較部351は、DSCユニット5が結合されていないと判別して、供給電源切換スイッチ34を一次電池31へ接続して、電圧値がV2の電力を出力するように切り換えるようにしてもよい。
【0052】
以上のように、実施形態のセンサ装置3は、センサ装置3に、DSCユニット5を接続してDSCユニット5からも電力の供給を受けられるセンサ装置側結合部40を備えるようにした。また、センサ装置3は、DSCユニット5から供給される電圧値V1と、一次電池31の電圧V2と、しきい値とを比較して負荷に供給する電力を切り換えるようにした。
【0053】
これにより、実施形態によれば、外付け電源であるDSCユニット5を結合した場合、一次電池31の電圧値と、ユニット内の蓄電部53の電圧値それぞれを検出し、定められたしきい値で電源供給を切り換えることで最適化された電源供給となり、より安定した長期間のシステム運用が可能になる。センサ装置3は、DSCユニット5が接続されていない場合、内蔵している一次電池31の電力を、センサシステム制御部36、センサ部37およびセンサ装置通信部38の負荷に供給する。そして、センサ装置3は、DSCユニット5が結合された場合、DSCユニット5から電力が負荷に給電し、蓄電部53の放電が進むと供給電源切換スイッチ34によって一次電池31に切り換えて負荷へ給電する。センサ装置3は、太陽電池51により蓄電部53の充電が進むと、蓄電部53から負荷への給電を再開する。
【0054】
また、実施形態によれば、システム運用時にセンサ装置3のみを導入済みであっても、センサ装置3に用意されたセンサ装置側結合部40を活用することで、運用後にDSCユニット5の接続およびDSCユニット5からのセンサ装置3への電源供給が可能になる。
これにより、本実施形態によれば、センサ装置3を長期間動作させることができる。
【0055】
次に、センサ装置3のセンサ装置通信部38の動作について説明する。
図5は、本実施形態に係る複数のセンサ装置3それぞれのセンサ装置通信部38の動作例を示す図である。
図5に示す例では、3つのセンサ装置3−1、センサ装置3−2、およびセンサ装置3−3の例である。この場合、
図5に示しように、センサ装置3−1は、センサ装置3−3を介してマスター装置6へ情報を送信する。また、センサ装置3−2も、センサ装置3−3を介してマスター装置6へ情報を送信する。
【0056】
図5において、横軸は時刻、縦軸は電圧でありL(ロー)レベルがスリープ状態、H(ハイ)レベルがウェイクアップ状態を表している。なお、
図5に示す処理は、後述するセンサ装置3間の同期処理を行った後に行われる。このため、センサ装置3−1、センサ装置3−2、およびセンサ装置3−3それぞれのセンサ装置通信部38がスリープ状態から起きる(ウェイクアップ)するタイミングが一致している。
【0057】
時刻t1より前の時刻のとき、センサ装置3−1、センサ装置3−2、およびセンサ装置3−3それぞれのセンサ装置通信部38は、スリープ状態(省電力状態)である。センサ装置3−1、センサ装置3−2、およびセンサ装置3−3それぞれのセンサ装置通信部38は、所定の時間間隔(例えば1〜2秒毎)で、スリープ状態からウェイクアップ状態になる。そして、センサ装置3−1、センサ装置3−2、およびセンサ装置3−3それぞれのセンサ装置通信部38は、ウェイクアップ状態の後、再びスリープ状態に遷移する。
【0058】
時刻t1〜t2のときと時刻t9〜t10のとき、センサ装置3−2のセンサ装置通信部38は、送信要求をセンサ装置3−3へ送信する。
時刻t1〜t2のときと時刻t9〜t10のとき、センサ装置3−3のセンサ装置通信部38は、センサ装置3−2が送信した送信要求を受信する。
【0059】
時刻t3〜t4のときと時刻t11〜t12のとき、センサ装置3−2のセンサ装置通信部38は、データ(計測情報)をセンサ装置3−3へ送信する。
時刻t3〜t4のときと時刻t11〜t12のとき、センサ装置3−3のセンサ装置通信部38は、センサ装置3−2が送信したデータ(計測情報)を受信する。
【0060】
時刻t5〜t6のときと時刻t13〜t14のとき、センサ装置3−1のセンサ装置通信部38は、送信要求をセンサ装置3−3へ送信する。
時刻t5〜t6のときと時刻t13〜t14のとき、センサ装置3−3のセンサ装置通信部38は、センサ装置3−1が送信した送信要求を受信する。
【0061】
時刻t7〜t8のときと時刻t15〜t16のとき、センサ装置3−1のセンサ装置通信部38は、データ(計測情報)をセンサ装置3−3へ送信する。
時刻t7〜t8のときと時刻t15〜t16のとき、センサ装置3−3のセンサ装置通信部38は、センサ装置3−1が送信したデータ(計測情報)を受信する。
なお、センサ装置3−2のセンサ装置通信部38が、送信要求をセンサ装置3−3へ送信する通信間隔(時刻t1と時刻t9との間隔)は、例えば5分であり、センサ装置3−1(時刻t5と時刻t13との間隔)も同様である。
また、センサ装置3−2における時刻t4と時刻t9との間隔のような送信を行わない間も、センサ装置通信部38は、所定の時間間隔(例えば1〜2秒毎)でスリープ状態からウェイクアップ状態になる。
【0062】
このように、本実施形態のセンサ装置3それぞれが備えるセンサ装置通信部38は、ウェイクアッフモードとスリーブモードを切り換え可能である。そして、センサ装置通信部38は、ウェイクアッフモードで動作する時間帯の同期を取ることにより電力消費が大きい相互通信の時間帯を限定する。
【0063】
以上のように、本実施形態のセンサ装置3のセンサ装置通信部38は、複数のセンサ装置3を同期させた後、間欠動作を行い、殆どの時間スリープ状態であり、例えば1〜2秒毎にウェイクアップ状態となって必要であればデータの送受信を行う。これにより、センサ装置3の消費電力を低減することができ長期間動作させることができる。
【0064】
ここで、このようなセンサネットワークシステム1における構築方法を説明する。
図6は、本実施形態に係るセンサネットワークシステム1における構築手順例を示す図である。
【0065】
(ステップS1)複数のセンサ装置3それぞれは、起動時に自装置の識別子をマスター装置6から取得する。続けて、複数のセンサ装置3それぞれは、周囲の他のセンサ装置3との問で親子関係を確立する。この様なネットワークを構築するための方法は問わないが、例えばZigBee(登録商標)の構築手法が挙げられる。なお、親子関係とは、どのセンサ装置3の方がマスター装置6を中心としたネットワークの上流、下流に位置し、どのセンサ装置3が中継器となるか等のネットワークにおける情報の経由等の関係である。このような親子関係を構築する手順の一例として、各センサ装置3は、センサ装置通信部38を介して他のセンサ装置3やマスター装置6から例えばテスト信号を受信したときのRSSIを計測し、それを他のセンサ装置3やマスター装置6へ送信する。さらに、各センサ装置3は、他のセンサ装置3間のRSSI及び各センサ装置3からマスター装置6までのホップ数を受信し、これらの情報に基づいて親子関係の構築と通信経路の決定を行う。なお、このような親子関係の構築と経路の選定は、センサ装置3の導入時や所定の時間間隔(例えば1日に1回)等において行われる。
【0066】
(ステップS2)複数のセンサ装置3それぞれは、ウェイクアッフモードおよびスリーブモードの動作時間帯の同期を取る。同期の取り方は特に限定されないが、センサ装置通信部38それぞれが、センサシステム制御部36が計時した時刻情報を利用すると共に所定の設定値に基づき同期を取るようにしてもよい。なお、センサ装置通信部38が計時部を備えていてもよい。ここで、スリープモードの時間は、ウェイクアッフモードの時間の例えば10倍以上とすれば電力消費を抑えることができる。
【0067】
(ステップS3)複数のセンサ装置3それぞれは、センサ装置3間で通信を行うスケジュールを決定する。スケジュールの決定は複数の方法が考えられるが、例えばセンサ装置3間で相互に調整することにより、他のセンサ装置3間の通信と重複しないようにする。
【0068】
(ステップS4)同期が取られた後、センサ装置3それぞれは、
図5に示したように、ウェイクアッフモードの動作時間帯に送信要求を行う。なお、受信側は、送信要求を受信したとき、受信を許可する情報を応答として送信するようにしてもよい。続けて、センサ装置3それぞれは、データの送信を行う。センサ装置通信部38は、例えば、相手先のセンサ装置3が送信した受信を許可する情報の応答に、自装置の送信タイミングを合わせることで、送信タイミングの同期を行う。
【0069】
なお、送信パケットは、例えば送信先であるマスター装置6のID(識別子)、送信元のセンサ装置3の識別子、環境データ(センサの計測情報)、一次電池31の電圧値V2(または、それに対応するような電圧情報)、DSCユニット5が出力する電圧値V1(または、それに対応するような電圧情報)、供給電源設定スイッチ41の状態、供給電源切換スイッチ34の状態、RSSI(その時点での送信先のセンサ装置3の電波強度)等を含む。
【0070】
なお、センサ装置3は、本来の役割である「センサによるセンシング」を、通信プロトコルからは完全に独立して実行する。
【0071】
以上のように、本実施形態では、複数のセンサ装置3それぞれは、マスター装置6を介してサーバー7へ「一次電池31の電圧値V2(または、それに対応するような電圧情報)、DSCユニット5が出力する電圧値V1(または、それに対応するような電圧情報)、供給電源設定スイッチ41の状態、供給電源切換スイッチ34の状態」を送信するようにした。そして、サーバー7で、監視することにより、センサネットワークシステム1の中長期的な全体最適化を実現することができる。
また、本実施形態によれば、複数のセンサ装置3それぞれは、電力消費に直結する表示デバイス、入力キ一、過去の環境データを長期的に記憶するための容量の大きなメモリ等を持たず電力的な負荷を最小限にできる。
【0072】
また、本実施形態によれば、設置されたセンサ装置3に対してDSCユニット5を「いつでも装着」及び「いつでも抜去」できることを最大限に利用することができる。
例えば、センサネットワークシステム1の導入時にDSCユニット5を装着していない場合は、電力不足になったときにDSCユニット5を「いつでも装着」することが可能である。
また、例えば、任意のセンサ装置3について、導入時はデータ送信を仲介するセンサ装置3として動作させる前提でDSCユニット5を装着したが、実際にはその必要があまり無いようならば「いつでも抜去」することが可能である。
また、抜去すると電力不足になる場合は、通信頻度を下げて電力消費を少なくする措置を併用するようにしてもよい。
【0073】
このように、本実施形態によれば、結果的に、全体として使用するDSCユニット5の数を最適化できる。
以上のように、本実施形態によれば、センサネットワークシステム1の運用開始後にもセンサ装置3を固定したままでシステムに修正を加え、後から最適化を推進することが可能である。
【0074】
なお、
図2を用いて説明したセンサ装置3の構成は一例であり、これに限られない。センサ装置3は、例えばUSB(Universal Serial Bus)端子等の電力供給が可能な端子を備えていてもよい。
図7は、本実施形態に係るUSB端子を備えるセンサ装置3Aの構成例を示すブロック図である。
【0075】
図7に示すように、センサ装置3Aは、センサ装置3の構成に加えて、USB端子42、USB電源切換スイッチ43を備えている。
供給電源切換スイッチ34の出力端子cは、USB電源切換スイッチ43の入力端子dに接続されている。
USB電源切換スイッチ43は、入力端子eがUSB端子42に接続され、出力端子fから負荷に電力が供給される。
【0076】
センサシステム制御部36Aは、USB端子42に接続ケーブル等が接続され、USB端子42から電力が供給可能な状態であることを周知の手法を用いて検出し、検出した場合に、USB電源切換スイッチ43を、USB端子42から供給された電力が負荷に供給されるように切り換える。
【0077】
すなわち、センサ装置3Aでは、USB端子42に接続ケーブルが接続され、電力が供給可能な場合、常にこの電力を用いて負荷を駆動する。
【0078】
また、センサシステム制御部36Aは、USB端子42から電力が供給可能な状態であることを検出した場合、かつDSCユニット5が装着されている場合に、USBから供給された電力を負荷に供給しつつ、DSCユニット5に供給することで蓄電部53の充電を行うようにしてもよい。この場合、センサシステム制御部36Aは、USB電源切換スイッチ43を、入力端子eが入力端子dと出力端子fに接続されるように制御する。または、センサ装置3Aは、供給電源切換スイッチ34とUSB電源切換スイッチ43との間に、さらにスイッチを設け、このスイッチをセンサシステム制御部36Aが制御することによって、USBから供給された電力をDSCユニット5に供給するように切り換えてもよい。
【0079】
以上のように、実施形態によれば、センサ装置本体に内蔵する安価な一次電池でも稼動することができ、エナジーハーベスト型電源による自立電源の必要性が確認できた際に、後からエナジーハーベストユニットを接合して自立電源を実現できるメンテナンス性の高いセンサシステムを構築することができる。
【解決手段】センサ装置3は、環境情報を検出するセンサ部37と、検出された環境情報を他のセンサ装置3へ送信可能であると共に、自装置に対する設定情報を受信可能なセンサ装置通信部38と、センサ部37とセンサ装置通信部38に電力を供給する一次電池31と、自装置に電力を供給する補助電池を着脱可能なセンサ装置側結合部40と、を備え、補助電池が装着されていない場合は、一次電池31からの電力供給で動作し、補助電池が装着された場合は、一次電池31または補助電池からの電力供給で動作し、設定情報に基づき自装置を設定する。