特許第6303076号(P6303076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6303076
(24)【登録日】2018年3月9日
(45)【発行日】2018年3月28日
(54)【発明の名称】触覚振動提示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20180319BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20180319BHJP
【FI】
   G06F3/041 480
   G06F3/01 560
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-557746(P2017-557746)
(86)(22)【出願日】2016年9月30日
(86)【国際出願番号】JP2016079027
(87)【国際公開番号】WO2017110195
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2018年1月22日
(31)【優先権主張番号】特願2015-253590(P2015-253590)
(32)【優先日】2015年12月25日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】中野 克彦
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 貴範
(72)【発明者】
【氏名】那須 将樹
【審査官】 萩島 豪
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−508556(JP,A)
【文献】 特表2007−534283(JP,A)
【文献】 特開2011−083122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平状に形成され、厚み方向に対向する第一電極及び第二電極を備え、少なくとも前記厚み方向に伸縮する静電型又は圧電型のアクチュエータと、
前記アクチュエータの厚み方向の弾性率より小さな弾性率を有し、前記アクチュエータの前記第一電極側の面に接触して配置される第一弾性体と、
前記第一弾性体における前記アクチュエータとの接触面と反対の面を被覆し、前記アクチュエータ及び前記第一弾性体を前記アクチュエータの厚み方向に押圧し、前記第一弾性体を前記アクチュエータより大きく圧縮させた状態で保持する第一カバーと、
を備える、触覚振動提示装置。
【請求項2】
前記触覚振動提示装置は、
前記アクチュエータの厚み方向の弾性率より小さな弾性率を有し、前記アクチュエータの前記第二電極側の面に接触して配置される第二弾性体と、
前記第二弾性体における前記アクチュエータとの接触面と反対の面を被覆し、前記第一カバーとにより前記アクチュエータ、前記第一弾性体及び前記第二弾性体を前記アクチュエータの厚み方向に押圧し、前記第一弾性体及び前記第二弾性体を前記アクチュエータより大きく圧縮させた状態で保持する第二カバーと、
を備える、請求項1に記載の触覚振動提示装置。
【請求項3】
前記第二カバーは、前記第一電極及び前記第二電極に電気的に接続され、前記第一電極及び前記第二電極に印加する電圧を制御する回路基板ユニットである、請求項2に記載の触覚振動提示装置。
【請求項4】
前記アクチュエータは、扁平面方向に伸縮し、
前記触覚振動提示装置は、
前記アクチュエータの扁平面方向の弾性率より小さな弾性率を有し、前記アクチュエータの周面に接触して配置される周面弾性体と、
前記周面弾性体における前記アクチュエータとの接触面と反対の面を被覆し、前記アクチュエータ及び前記周面弾性体を前記アクチュエータの扁平面方向に押圧し、前記周面弾性体を前記アクチュエータより大きく圧縮させた状態で保持する周面カバーと、
を備える、請求項1−3の何れか一項に記載の触覚振動提示装置。
【請求項5】
前記アクチュエータの厚み方向の弾性率に対する前記第一弾性体の弾性率の比は、15%以下である、請求項1−4の何れか一項に記載の触覚振動提示装置。
【請求項6】
前記第一弾性体の損失係数tanδは、所定条件下において、前記アクチュエータの損失係数tanδと同等以下である、請求項1−5の何れか一項に記載の触覚振動提示装置。
【請求項7】
前記第一弾性体は、エラストマーにより扁平状に形成されている、請求項5又は6に記載の触覚振動提示装置。
【請求項8】
前記第一カバーは、被提示者に対する触覚振動提示部位として、表面に複数の突起を備える、請求項1−7の何れか一項に記載の触覚振動提示装置。
【請求項9】
前記第一カバーは、タッチパネル部材である、請求項1−7の何れか一項に記載の触覚振動提示装置。
【請求項10】
前記アクチュエータは、
前記第一電極及び前記第二電極と、
前記第一電極と前記第二電極との間に挟まれて配置され、エラストマーにより形成される誘電体と、
を備える静電型のアクチュエータである、請求項1−9の何れか一項に記載の触覚振動提示装置。
【請求項11】
前記アクチュエータは、
前記第一電極及び前記第二電極と、
前記第一電極と前記第二電極との間に挟まれて配置される圧電体と、
を備える圧電型のアクチュエータである、請求項1−9の何れか一項に記載の触覚振動提示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触覚振動提示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
様々な情報伝達アイテムが存在するが、その一つとして、人間に振動を付与する手法がある。近年では、例えば周波数や振幅を複雑に変化させながら振動を付与することにより、人間に対して様々な感覚を与えることが求められている。そこで、利用者は、目的に応じた振動アクチュエータを選択している。また、振動アクチュエータの種別の選択に際して、利用者は電力消費を考慮することが一般的である。また、振動アクチュエータには、触覚振動を提示するアクチュエータと、音声振動を提示するアクチュエータとが存在する。触覚振動は、低周波振動であるのに対し、音声振動は、高周波振動である。
【0003】
ここで、振動を発生するアクチュエータとして、偏心マス部材を回転させる偏心モータ、ボイスコイルモータ(リニア共振アクチュエータとも称する)により振動部材を振動させる装置、静電型のアクチュエータ、圧電型のアクチュエータが知られている。
【0004】
偏心モータは、一般にDC駆動であるため単一振動のみの動作となり、振動の大きさや振動のタイミングで変化を伝達することしかできず、複雑な振動を付与することには適しない。また、偏心モータの消費電力は、比較的大きい。
【0005】
ボイスコイルモータは、磁石、コイル及びマスばね系により駆動されるため、様々な入力信号を供給することにより複雑な振動を付与することが可能となる。ここで、ボイスコイルモータは、LCR回路を構成するため、電気的な共振周波数を有している。そのため、共振周波数においては消費電力が小さく振幅が大きくなるのに対して、共振周波数から外れると消費電力が大きくなり且つ振幅が小さくなる。そのため、広い周波数帯域には適しておらず、仮に広い周波数帯域に適用する場合には入力信号を変化させる制御アルゴリズムが必要となる。ただし、消費電力は、共振周波数から外れた帯域においては大きくなってしまう。
【0006】
静電型のアクチュエータ及び圧電型のアクチュエータは、RC回路を構成するため、ボイスコイルモータのような電気的な共振周波数は有していないため、広い周波数帯域において、消費電力が小さくなる。静電型のアクチュエータは、特許第5281322号公報及び特表2014−506691号公報に開示されている。また、国際公開第2013/145411号には、静電型のアクチュエータを利用したスピーカが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、静電型のアクチュエータ及び圧電型のアクチュエータは、単体として用いるだけでは、振動の振幅が小さい。そのため、これらのアクチュエータは、触覚振動を提示するアクチュエータとして用いるには、出力振動が十分でない。
【0008】
本発明は、静電型又は圧電型のアクチュエータを用いて、効率的に振動を出力できる触覚振動提示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る触覚振動提示装置は、扁平状に形成され、厚み方向に対向する第一電極及び第二電極を備え、少なくとも前記厚み方向に伸縮する静電型又は圧電型のアクチュエータと、前記アクチュエータの厚み方向の弾性率より小さな弾性率を有し、前記アクチュエータの前記第一電極側の面に接触して配置される第一弾性体と、前記第一弾性体における前記アクチュエータとの接触面と反対の面を被覆し、前記アクチュエータ及び前記第一弾性体を前記アクチュエータの厚み方向に押圧し、前記第一弾性体を前記アクチュエータより大きく圧縮させた状態で保持する第一カバーとを備える。
【0010】
第一弾性体の弾性率は、アクチュエータの厚み方向の弾性率より小さい。従って、第一カバーにより押圧された状態において、第一弾性体がアクチュエータより大きく圧縮した状態となる。そして、第一カバーは、この状態を初期状態として保持している。さらに、第一カバーがアクチュエータ及び第一弾性体を押圧した状態において、アクチュエータの圧縮量は小さい。そのため、第一カバーがアクチュエータを押圧したとしても、アクチュエータの伸縮動作にそれほど影響を与えることはない。
【0011】
そして、アクチュエータの第一電極及び第二電極に電圧を印加すると、アクチュエータは、厚み方向に伸縮する。アクチュエータの伸縮動作によって生じるアクチュエータの第一電極側の面の変位が、第一弾性体を介して第一カバーに伝達される。加えて、アクチュエータの伸縮動作によって第一弾性体の弾性変形力が変化して、第一弾性体の弾性変形力の変化が第一カバーに伝達される。従って、初期状態として、第一弾性体が圧縮されていることにより、第一カバーに効率的に振動を付与することができる。つまり、アクチュエータ単体としては小さな振動であっても、第一カバーに触覚振動を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第一実施形態の触覚振動提示装置の断面図である。
図2図1の触覚振動提示装置において、カバーに装着される前の状態の内部要素の断面図である。
図3図1の触覚振動提示装置を構成する静電型のアクチュエータ及び駆動回路の電気的な接続状態を示し、静電型のアクチュエータに電圧を印加したときの変形状態を示す。
図4】第二実施形態の触覚振動提示装置の断面図である。
図5図4の触覚振動提示装置において、カバーに装着される前の状態の内部要素の断面図である。
図6】第三実施形態の触覚振動提示装置の断面図である。
図7A】第四実施形態の静電型のアクチュエータの基材の斜視図である。
図7B】第四実施形態の静電型のアクチュエータの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<1.第一実施形態>
(1−1)触覚振動提示装置1の構成
触覚振動提示装置1の構成について図1を参照して説明する。触覚振動提示装置1は、人間に対して触覚振動を提示するための装置である。なお、触覚振動は、音声振動と対比する意味で用いており、人間が触覚により振動を検知することができる振動であって、音声振動に対して低周波の振動である。
【0014】
触覚振動提示装置1は、図1に示すように、アクチュエータ10、第一弾性体20、第二弾性体30、第一カバー40、第二カバー50、及び、周面カバー60を備える。
アクチュエータ10は、静電型のアクチュエータ、又は、圧電型のアクチュエータである。第一実施形態においては、アクチュエータ10は、静電型のアクチュエータを例にあげる。アクチュエータ10は、扁平状に形成される。アクチュエータ10の外形は、例えば矩形状とするが、任意形状とすることができる。また、アクチュエータ10は、少なくとも厚み方向に伸縮する構造を有する。ただし、アクチュエータ10が、静電型の場合には、さらに扁平面方向にも伸縮する。つまり、アクチュエータ10は、静電型の場合には、エラストマーにより成形されている。
【0015】
詳細には、アクチュエータ10は、図1に示すように、第一電極11、第二電極12、誘電層13、第一絶縁層14及び第二絶縁層15を備え、これらは全て扁平状に形成される。アクチュエータ10全体としての厚み方向の弾性率(ヤング率)は、E1(10)である。また、アクチュエータ10全体としての扁平面方向の弾性率は、E2(10)である。また、アクチュエータ10全体としての損失係数tanδは、tanδ(10)である。
【0016】
第一電極11と第二電極12は、アクチュエータ10の厚み方向に距離を隔てて対向して配置される。誘電層13が、第一電極11と第二電極12との間に挟まれる。また、第一絶縁層14は、第一電極11のうち誘電層13とは反対の面に接触して配置され、第一電極11を被覆する。第二絶縁層15は、第二電極12のうち誘電層13とは反対の面に接触して配置され、第二電極12を被覆する。
【0017】
第一電極11及び第二電極12は、同形状に形成され、エラストマー中に導電性フィラーを配合させることにより成形する。そして、第一電極11及び第二電極12は、可撓性を有し且つ伸縮自在な性質を有する。第一電極11及び第二電極12を構成するエラストマーには、例えば、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴム、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴムなどが適用できる。また、第一電極11及び第二電極12に配合される導電性フィラーは、導電性を有する粒子であればよく、例えば、炭素材料や金属等の微粒子を適用できる。
【0018】
誘電層13、第一絶縁層14及び第二絶縁層15は、いずれもエラストマーにより成形される。そして、誘電層13、第一絶縁層14及び第二絶縁層15は、可撓性を有し且つ伸縮自在な性質を有する。誘電層13には、静電型のアクチュエータ10における誘電体として機能する材料が適用される。特に、誘電層13が、アクチュエータ10を構成する部材の中で最も厚みが厚く形成され、厚み方向の伸縮及び扁平面方向の伸縮を可能とする。また、第一絶縁層14及び第二絶縁層15には、絶縁性を有する材料が適用される。
【0019】
誘電層13、第一絶縁層14及び第二絶縁層15を構成するエラストマーには、例えば、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴムなどが適用できる。
【0020】
第一弾性体20及び第二弾性体30は、同一材料により扁平状の同一形状に形成される。また、第一弾性体20及び第二弾性体30の外周縁形状は、アクチュエータ10の外周縁形状と同一である。第一弾性体20は、アクチュエータ10のうちの第一電極11側の面(図1の上面)、すなわち第一絶縁層14の表面の全面に接触して配置される。第二弾性体30は、アクチュエータ10のうちの第二電極12側の面(図1の下面)、すなわち第二絶縁層15の表面の全面に接触して配置される。
【0021】
第一弾性体20及び第二弾性体30には、小さな弾性率E(20),E(30)を有すると共に、小さな損失係数tanδ(20),tanδ(30)を有する材料が用いられる。言い換えると、第一弾性体20及び第二弾性体30は、柔らかく、且つ、減衰特性が低い材料が好適である。特に、第一弾性体20及び第二弾性体30は、アクチュエータ10の厚み方向の弾性率E1(10)より小さな弾性率E(20)を有する。
【0022】
特に、アクチュエータ10の厚み方向の弾性率E1(10)に対する第一弾性体20の弾性率E(20)の比は、15%以下である。また、アクチュエータ10の厚み方向の弾性率E1(10)に対する第二弾性体30の弾性率E(30)の比は、15%以下である。これらの比は、好ましくは、10%以下である。
【0023】
さらに、第一弾性体20及び第二弾性体30は、所定条件下において、アクチュエータ10の損失係数tanδ(10)と同等以下の損失係数tanδ(20),tanδ(30)を有する。所定条件下とは、温度を−10〜50℃、振動周波数を300Hz以下とする使用環境下を意味する。
【0024】
上記を満たす材料として、第一弾性体20及び第二弾性体30には、例えば、シリコーンゴムが好適である。例えば、ウレタンゴムの場合には、比較的、減衰特性が良いため、第一弾性体20及び第二弾性体30にはウレタンゴムはあまり適しない。ただし、目的の特性によっては、第一弾性体20及び第二弾性体30に、ウレタンゴムを使用することも可能である。
【0025】
第一カバー40は、平面状に形成され、第一弾性体20の表面(図1の上面)を被覆する。第一弾性体20の表面とは、第一弾性体20におけるアクチュエータ10との接触面と反対の面である。また、第二カバー50は、平面状に形成され、第二弾性体30の表面(図1の下面)を被覆する。第二弾性体30の表面とは、第二弾性体30におけるアクチュエータ10との接触面と反対の面である。
【0026】
周面カバー60は、アクチュエータ10、第一弾性体20及び第二弾性体30の周面を全周に亘って被覆する筒状に形成されている。周面カバー60は、第一カバー40の外周縁に設けられ、第一カバー40と一体部材として形成される。つまり、第一カバー40と周面カバー60とによる一体部材は、第一弾性体20の表面と、アクチュエータ10、第一弾性体20及び第二弾性体30の周面とを被覆するカプセル型形状に形成されている。そして、周面カバー60は、別部材である第二カバー50に固定される。また、周面カバー60は、アクチュエータ10、第一弾性体20及び第二弾性体30の外周面に対して僅かに隙間を有している。つまり、周面カバー60は、アクチュエータ10、第一弾性体20及び第二弾性体30が扁平面方向に伸張することを許容している。
【0027】
ここで、第一カバー40、第二カバー50及び周面カバー60により、アクチュエータ10、第一弾性体20及び第二弾性体30の全ての表面が被覆される。さらに、第一カバー40と第二カバー50とは、アクチュエータ10、第一弾性体20及び第二弾性体30を、アクチュエータ10の厚み方向に押圧する。この状態で、第一カバー40と第二カバー50は、周面カバー60を介して固定される。
【0028】
第一カバー40及び第二カバー50は、アクチュエータ10の厚み方向の弾性率E1(10)、第一弾性体20及び第二弾性体30の弾性率E(20),E(30)より大きな弾性率E(40),E(50)を有する。第一カバー40及び第二カバー50は、上記条件を満たす材料であれば、例えば、樹脂、金属、エラストマーなど、種々の材料を適用できる。
【0029】
上記より、触覚振動提示装置1を構成する部材の弾性率は、以下の式(1)の関係となる。従って、第一カバー40及び第二カバー50は、アクチュエータ10、第一弾性体20及び第二弾性体30を圧縮させた状態で、これらを保持する。ただし、第一弾性体20及び第二弾性体30の弾性率E(20),E(30)は、アクチュエータ10の厚み方向の弾性率E1(10)より小さい。従って、アクチュエータ10に比べて、第一弾性体20及び第二弾性体30が大きく圧縮された状態となる。
【0030】
【数1】
【0031】
さらに、第二カバー50は、第一電極11及び第二電極12に電気的に接続され、第一電極11及び第二電極12に印加する電圧を制御するための駆動回路51を備える回路基板ユニットである。一方、第一カバー40は、被提示者に対する触覚振動提示部位である。つまり、被提示者は、第一カバー40に接触することで、触覚振動を受ける。
【0032】
(1−2)内部要素の変形状態の説明
次に、第一カバー40及び第二カバー50により保持される前後において、触覚振動提示装置1の内部要素10,20,30の状態について、図1及び図2を参照して説明する。第一カバー40及び第二カバー50により保持された状態においては、内部要素10,20,30は、図1に示すようになる。つまり、アクチュエータ10の厚みは、W10であり、扁平方向の幅は、L10である。また、第一弾性体20及び第二弾性体30の厚みは、それぞれ、W20、W30である。
【0033】
一方、第一カバー40及び第二カバー50により保持される前の状態において、内部要素10,20,30は、図2に示すようになる。つまり、アクチュエータ10の厚みは、W10とほぼ同程度であるが、実際にはW10より極めて僅かに大きなW11である。一方、アクチュエータ10の扁平方向の幅は、L10とほぼ同程度であるが、実際にはL10より極めて僅かに小さなL11である。また、第一弾性体20及び第二弾性体30の厚みは、それぞれ、W20、W30より十分に大きなW21、W31である。これらの関係により、内部要素10,20,30は、圧縮前後において、式(2)(3)の関係を満たすことになる。
【0034】
【数2】
【0035】
【数3】
【0036】
式(2)は、圧縮率で比較した関係式であり、式(3)は、圧縮量で比較した関係式である。つまり、第一弾性体20及び第二弾性体30の圧縮率は、アクチュエータ10の厚み方向の圧縮率より大きい。また、第一弾性体20及び第二弾性体30の圧縮量についても、アクチュエータ10の圧縮量より大きい。
【0037】
(1−3)アクチュエータの動作及び触覚振動提示装置の動作
次に、アクチュエータ10の動作及び触覚振動提示装置1の動作について、図1及び図3を参照して説明する。図3に示すように、アクチュエータ10の第一電極11及び第二電極12のそれぞれが、駆動回路51に接続される。駆動回路51は、交流電圧(正負を含む周期的な電圧)を印加してもよいし、正値にオフセットされた周期的な電圧を第二電極12に印加し、且つ、第一電極11をグランド電位に接続するようにしてもよい。特に、人間が近接する側に位置する第一電極11をグランド電位に接続することで、より安全性を高めることができる。
【0038】
そして、第一電極11と第二電極12に蓄積される電荷が増加されると、誘電層13が圧縮変形する。つまり、図3に示すように、アクチュエータ10の厚みが小さくなり、アクチュエータ10の扁平方向の幅が大きくなる。反対に、第一電極11と第二電極に蓄積される電荷が減少すると、誘電層13が元に戻る。つまり、図3に示すように、アクチュエータ10の厚みが大きくなり、アクチュエータ10の扁平方向の幅が小さくなる。このように、アクチュエータ10は、厚み方向に伸縮すると共に、扁平面方向に伸縮する。
【0039】
アクチュエータ10が伸縮動作を行うときに、触覚振動提示装置1は、以下のように動作する。触覚振動提示装置1は、図1に示すように、第一弾性体20及び第二弾性体30が厚み方向に圧縮した状態を初期状態とする。従って、電荷の増加によってアクチュエータ10の厚みが小さくなると、第一弾性体20及び第二弾性体30は、初期状態に対して圧縮量が小さくなるように変形する。反対に、電荷の減少によってアクチュエータ10の厚みが大きくなると、第一弾性体20及び第二弾性体30は、初期状態に戻るように動作する。つまり、第一弾性体20及び第二弾性体30は、電荷の増加の場合に比べて、圧縮量が大きくなるように変形する。
【0040】
駆動回路51が第一電極11及び第二電極12に周期的な電圧を印加することで、例えば、第一弾性体20及び第二弾性体30に挟まれたアクチュエータ10は、平面状→図1の上側凸となる弓状→平面状→図1の下側凸となる弓状→平面状と繰り返す。
【0041】
アクチュエータ10の上記変形動作に伴うアクチュエータ10の第一絶縁層14側の面の変位が、第一弾性体20を介して第一カバー40に伝達される。加えて、アクチュエータ10の伸縮動作によって第一弾性体20の弾性変形力が変化して、第一弾性体20の弾性変形力の変化が第一カバー40に伝達される。従って、初期状態として、第一弾性体20及び第二弾性体30が圧縮されていることにより、第一カバー40に効率的に振動を付与することができる。つまり、アクチュエータ10単体としては小さな振動であっても、第一カバー40に触覚振動を付与することができる。
【0042】
仮に、第一弾性体20及び第二弾性体30の損失係数tanδ(20),tanδ(30)が非常に大きいとすると、アクチュエータ10が伸縮動作を行ったとしても、第一弾性体20及び第二弾性体30によって振動が吸収されてしまう。この場合、アクチュエータ10が伸縮動作を行ったとしても、アクチュエータ10の振動が第一カバー40に伝達されにくい。
【0043】
しかし、本実施形態においては、第一弾性体20及び第二弾性体30は、損失係数tanδ(20),tanδ(30)の小さな材料を用いる。特に、アクチュエータ10、第一弾性体20及び第二弾性体30の損失係数tanδ(10),tanδ(20),tanδ(30)は、式(4)の関係を満たす。従って、アクチュエータ10の伸縮動作による振動が、第一弾性体20及び第二弾性体30にほとんど吸収されることなく、第一カバー40に伝達される。
【0044】
【数4】
【0045】
また、式(1)に示すように、第一弾性体20及び第二弾性体30の弾性率E(20),E(30)は、アクチュエータ10の厚み方向の弾性率E1(10)より小さい。そのため、第一電極11及び第二電極12に電圧を印加していない初期状態において、アクチュエータ10はほとんど圧縮されていない状態となる。従って、第一カバー40及び第二カバー50がアクチュエータ10を押圧したとしても、アクチュエータ10の伸縮動作に影響を与えることはない。つまり、アクチュエータ10は確実に伸縮動作を行うことができる。
【0046】
(1−4)第一実施形態の効果
上述したように、第一実施形態の触覚振動提示装置1は、アクチュエータ10の小さな振動を効率的に第一カバー40に伝達することで、確実に触覚振動を発生できる。特に、第一弾性体20及び第二弾性体30が、アクチュエータ10を挟んだ状態で、第一カバー40及び第二カバー50が、アクチュエータ10、第一弾性体20及び第二弾性体30を押圧する。そのため、初期状態において、アクチュエータ10は、外部からの影響をほとんど受けることなく伸縮動作を行う。従って、第一カバー40における触覚振動が非常に効率的に得られる。ここで、第二カバー50は、駆動回路51を有する回路基板ユニットである。このように、回路基板ユニットを第二カバー50として兼用することで、小型化、配置の効率化が図れる。
【0047】
また、アクチュエータ10の厚み方向の弾性率E1(10)に対する第一弾性体20の弾性率E(20)の比は、15%以下である。アクチュエータ10の厚み方向の弾性率E1(10)に対する第二弾性体30の弾性率E(30)の比は、15%以下である。これらにより、初期状態において、第一弾性体20及び第二弾性体30が、アクチュエータ10より十分に大きく圧縮できる。
【0048】
さらに、第一弾性体20及び第二弾性体30には、損失係数tanδ(20),tanδ(30)の小さな材料が用いられる。これにより、第一弾性体20及び第二弾性体30は、アクチュエータ10の伸縮動作による振動を吸収することなく、第一カバー40に伝達できる。特に、シリコーンゴムが適用されることで、確実に実現できる。また、第一弾性体20及び第二弾性体30の損失係数tanδ(20),tanδ(30)は、温度を−10〜50℃、振動周波数を300Hz以下とする使用環境下において、アクチュエータ10の損失係数tanδ(10)と同等以下である。このことにより、第一弾性体20及び第二弾性体30は、アクチュエータ10の伸縮動作による振動を吸収することなく、確実に、第一カバー40に伝達できる。
【0049】
また、第一弾性体20及び第二弾性体30は、エラストマーにより扁平状に形成されている。これにより、アクチュエータ10の伸縮動作に伴う変形を、確実に第一カバー40に伝達することができる。アクチュエータ10が、静電型であっても圧電型であっても、第一カバー40にて発生する振動を低周波とすることができる。つまり、上記構成により、触覚振動提示装置1は、音声振動より低周波帯域となる触覚振動を発生させやすくなる。
【0050】
さらに、アクチュエータ10が、エラストマーにより形成される静電型のアクチュエータとすることで、触覚振動提示装置1は、より確実に、低周波の触覚振動を発生することができる。
【0051】
<2.第一実施形態の変形態様>
第一実施形態においては、アクチュエータ10は、静電型のアクチュエータを適用した。この他に、アクチュエータ10は、圧電型のアクチュエータを適用できる。この場合、誘電層13が、圧電体に置換される。つまり、圧電体が、第一電極11と第二電極12との間に挟まれて配置される。この場合にも、アクチュエータ10は、第一実施形態と同様の動作を行い、第一カバー40に触覚振動を発生させることができる。
【0052】
また、第一実施形態における第一カバー40は、タッチパネル部材とすることもできる。この場合、例えば、被提示者によるタッチパネル部材の操作に伴って、駆動回路51が周期的な電圧を印加する。そうすると、被提示者によるタッチ操作に伴って、タッチパネル部材に接触している被提示者に対して触覚振動を付与することができる。
【0053】
<3.第二実施形態>
第二実施形態の触覚振動提示装置100について、図4及び図5を参照して説明する。ここで、第二実施形態の触覚振動提示装置100において、第一実施形態の触覚振動提示装置1と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0054】
触覚振動提示装置100は、アクチュエータ10、第一弾性体20、第二弾性体30、周面弾性体170、第一カバー140、第二カバー150、及び、周面カバー160を備える。第二実施形態の触覚振動提示装置100は、第一実施形態の触覚振動提示装置1に対して、第一カバー140、第二カバー150及び周面カバー160の形状が異なり、且つ、周面弾性体170を新たに追加した構成である。
【0055】
周面弾性体170は、第一弾性体20と同一材料により筒状に形成される。周面弾性体170は、第一弾性体20の外周面に設けられ、第一弾性体20と一体部材として形成される。さらに、周面弾性体170の内周面形状は、アクチュエータ10の外周面形状に対応する形状である。そして、周面弾性体170は、アクチュエータ10の周面に全周に亘って接触して配置される。
【0056】
周面弾性体170には、第一弾性体20と同様に、小さな弾性率E(170)を有すると共に、小さな損失係数tanδ(170)を有する材料が用いられる。言い換えると、周面弾性体170は、柔らかく、且つ、減衰特性が低い材料が好適である。特に、周面弾性体170は、式(5)の関係を満たす。すなわち、周面弾性体170は、アクチュエータ10の扁平面方向の弾性率E2(10)より小さな弾性率E(170)を有する。さらに、アクチュエータ10の扁平面方向の弾性率E2(10)に対する周面弾性体170の弾性率E(170)の比は、15%以下である。この比は、好ましくは、10%以下である。
【0057】
【数5】
【0058】
さらに、周面弾性体170は、所定条件下において、式(6)の関係を有する。すなわち、周面弾性体170は、所定条件下において、アクチュエータ10の損失係数tanδ(10)と同等以下の損失係数tanδ(170)を有する。所定条件下とは、温度及び振動周波数を同一としたときを意味する。
【0059】
【数6】
【0060】
上記を満たす材料として、周面弾性体170は、第一弾性体20と同様に、例えば、シリコーンゴムが好適である。例えば、ウレタンゴムの場合には、比較的、減衰特性が良いため、周面弾性体170にはウレタンゴムはあまり適しない。ただし、目的の特性によっては、周面弾性体170に、ウレタンゴムを使用することも可能である。
【0061】
第一カバー140は、平面状に形成され、第一弾性体20の表面(図4の上面)及び周面弾性体170の一端面(図4の上面)を被覆する。第二カバー150は、平面状に形成され、第二弾性体30の表面(図4の下面)及び周面弾性体170の他端面(図4の下面)を被覆する。第一カバー140及び第二カバー150は、第一実施形態の第一カバー40及び第二カバー50と大きさが異なるが、実質的に同一の機能を有する。
【0062】
周面カバー160は、周面弾性体170の外周面を全周に亘って被覆する。さらに、周面カバー160の内周面は、周面弾性体170をアクチュエータ10の扁平面方向の内側に向かって押圧する。つまり、周面カバー160は、周面弾性体170の外周面に密着している。
【0063】
さらに、周面カバー160は、アクチュエータ10の扁平面方向の弾性率E2(10)、周面弾性体170の弾性率E(170)より大きな弾性率E(160)を有する。周面カバー160は、上記条件を満たす材料であれば、例えば、樹脂、金属、エラストマーなど、種々の材料を適用できる。本実施形態においては、周面カバー160は、第一カバー140と同一材料により、第一カバー140と一体部材として形成される。
【0064】
以上より、周面カバー160は、アクチュエータ10及び周面弾性体170を扁平面方向に圧縮させた状態で、これらを保持する。ただし、周面弾性体170の弾性率E(160)は、アクチュエータ10の扁平面方向の弾性率E2(10)より小さい。従って、アクチュエータ10に比べて、周面弾性体170が大きく圧縮された状態となる。
【0065】
次に、周面カバー160により保持される前後において、触覚振動提示装置100の内部要素10,170の状態について、図4及び図5を参照して説明する。周面カバー160により保持された状態においては、内部要素10,170は、図4に示すようになる。つまり、アクチュエータ10の扁平面方向の幅は、L10である。また、周面弾性体170の幅は、L170である。
【0066】
一方、周面カバー160により保持される前の状態において、内部要素10,170は、図5に示すようになる。つまり、アクチュエータ10の扁平面方向の幅は、L10とほぼ同程度であるL11である。また、周面弾性体170の幅は、L171である。これらの関係により、内部要素10,170は、圧縮前後において、式(7)(8)の関係を満たすことになる。
【0067】
【数7】
【0068】
【数8】
【0069】
式(7)は、圧縮率で比較した関係式であり、式(8)は、圧縮量で比較した関係式である。つまり、周面弾性体170の圧縮率は、アクチュエータ10の扁平面方向の圧縮率より大きい。また、周面弾性体170の圧縮量についても、アクチュエータ10の扁平面方向の圧縮量より大きい。
【0070】
第二実施形態の触覚振動提示装置100によれば、アクチュエータ10の扁平面が、第一弾性体20及び第二弾性体30に挟まれることに加えて、アクチュエータ10の周面が、周面弾性体170によって挟まれる。従って、第二実施形態の触覚振動提示装置100にでは、第一実施形態の触覚振動提示装置1における厚み方向の動作と同様の現象が、扁平面方向にて生じる。つまり、第一カバー140及び周面カバー160には、第一弾性体20及び第二弾性体30を介して伝達される触覚振動に加えて、周面弾性体170を介して伝達される触覚振動が発生する。その結果、アクチュエータ10の伸縮動作によって、第一カバー140及び周面カバー160に接触した被提示者に対して、触覚振動がより効率的に付与される。
【0071】
<4.第三実施形態>
第三実施形態の触覚振動提示装置200について、図6を参照して説明する。第三実施形態の触覚振動提示装置200において、第二実施形態の触覚振動提示装置100と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0072】
触覚振動提示装置200は、アクチュエータ10、第一弾性体20、第二弾性体30、周面弾性体170、第一カバー240、第二カバー150、及び、周面カバー160を備える。第三実施形態の触覚振動提示装置200は、第二実施形態の触覚振動提示装置100に対して、第一カバー240のみ相違する。第一カバー240は、被提示者に対する触覚振動提示部位として、表面に複数の突起241を備える。突起241は、円柱状、角柱状、円錐台形状、角錐第形状等、種々の形状を採用できる。突起241の先端面の面積は、被提示者の接触面の面積より十分に小さくする。
【0073】
これにより、第一カバー240の触覚振動が、突起241を介して被提示者に伝達されることで、被提示者に付与する面圧が大きくなる。その結果、被提示者は、より触覚振動を感じやすくなる。突起241には、第一弾性体20と同様に、シリコーンゴム等が好適に用いられる。その理由は、突起241がある程度の柔らかさを有することで、被提示者に対して刺激を抑えることができ、触覚振動を適切に付与できる。さらに、シリコーンゴムは、上述したように、損失係数tanδが小さいため、第一カバー240が振動する際に、突起241を介在したとしても、振動が減衰されにくい。従って、確実に、被提示者に対して触覚振動が付与される。
【0074】
<5.第四実施形態>
第四実施形態のアクチュエータ310について、図7A及び図7Bを参照して説明する。上記実施形態のアクチュエータ10においては、第一電極11、第二電極12、誘電層13、第一絶縁層14及び第二絶縁層15がそれぞれ扁平状に形成し、アクチュエータ10は、これらを積層して形成されることとした。この他に、図7Aに示すように、長尺状で扁平状の基材310aを準備する。基材310aは、第一実施形態のアクチュエータ10と同様の構成からなり、形状のみ相違する。
【0075】
続いて、図7Aに示す長尺状の基材310aを巻回することで、図7Bに示すアクチュエータ310を製造する。つまり、図7Bに示すアクチュエータ310は、図1に示すアクチュエータ10を3層積層した構造となる。このアクチュエータ310を用いることで、多層アクチュエータ構造を容易に得ることができ、且つ、大きな触覚振動を発生することができる。
【0076】
なお、第四実施形態においては、基材310aを巻回してアクチュエータ310を形成したが、図1に示すアクチュエータ10を複数積層することにより、多層アクチュエータ構造を形成することもできる。
【0077】
<6.その他の変形態様>
上記実施形態においては、アクチュエータ10は、第一弾性体20を介して第一カバー40,140に接触しており、第二弾性体30を介して第二カバー50,150に接触している。この他に、第二弾性体30を排除して、アクチュエータ10が第二カバー50,150に直接接触するようにしてもよい。つまり、アクチュエータ10の第一電極11側の面は、第一弾性体20を介して第一カバー40,140に接触するが、アクチュエータ10の第二電極12側の面は、第二カバー50,150に直接接触する。この場合、第一弾性体20による作用によって、第一カバー40,140に触覚振動が付与される。ただし、第二弾性体30を介する場合に比べて、アクチュエータ10の第二電極12側の面において、第二カバー50,150に動作の規制力が大きくなる。そのため、アクチュエータ10の変位量が小さくなりやすい。つまり、触覚振動提示装置は、第二弾性体30を有さない構成とすることもできるが、第一カバー40,140に伝達される触覚振動が小さくなる。
【符号の説明】
【0078】
1,100,200:触覚振動提示装置、 10,310:アクチュエータ、 11:第一電極、 12:第二電極、 13:誘電層、 14:第一絶縁層、 15:第二絶縁層、 20:第一弾性体、 30:第二弾性体、 40,140,240:第一カバー、 50,150:第二カバー、 51:駆動回路、 60,160:周面カバー、 170:周面弾性体、 241:突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B