特許第6303142号(P6303142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6303142
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】ユニットマウント用ラック及びラック列
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/18 20060101AFI20180326BHJP
【FI】
   H05K7/18 D
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-84622(P2013-84622)
(22)【出願日】2013年4月15日
(65)【公開番号】特開2014-207351(P2014-207351A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2016年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】三田村 恵介
【審査官】 馬場 慎
(56)【参考文献】
【文献】 実開平4−51001(JP,U)
【文献】 実開昭62−55394(JP,U)
【文献】 実開昭57−154185(JP,U)
【文献】 実開昭60−92873(JP,U)
【文献】 実開昭53−25210(JP,U)
【文献】 特開2008−198877(JP,A)
【文献】 実開昭60−135003(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/18
H05K 7/14
A47B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の天枠と単一の底枠との間を支柱フレームにより連結したユニットマウント用ラックであって、前記単一の天枠と単一の底枠との側端部を、フレームを枠形状に組み合わせた側枠で連結し、その内部を支柱フレームによって、ユニット取付方向に並列する複数のユニット取付空間に区画し、前記支柱フレームには、隣接する両ユニット取付空間にユニットをマウントするための共通化された一つの部材からなる取付フレームを設けたことを特徴とするユニットマウント用ラック。
【請求項2】
前記支柱フレームが取付フレームと一体化されたものであることを特徴とする請求項1記載のユニットマウント用ラック。
【請求項3】
ラックの内部にユニットを設置したときにユニットの左右両側に形成される空間を取付フレームにより、または取付フレームと側枠とにより遮り、前記空間の内部における前後方向の空気流を遮断したことを特徴とする請求項1記載のユニットマウント用ラック。
【請求項4】
天枠及び底枠の前記支柱フレームとの連結部に、奥行方向に延びる補強フレームを設けたことを特徴とする請求項1記載のユニットマウント用ラック。
【請求項5】
請求項1記載のユニットマウント用ラックを組み合わせたラック列であって、2つのユニット取付空間を持つユニットマウント用ラックと、3つのユニット取付空間を持つユニットマウント用ラックとを組み合わせたことを特徴とするラック列。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データセンター等において用いられるユニットマウント用ラックと、これらのユニットマウント用ラックを複数個組み合わせたラック列に関するものである。
【背景技術】
【0002】
データセンター等においては、サーバや通信機器などのユニットが多段にマウントされたラックが多数、列状に配置され、特許文献1に記載されるようにラック列を形成している。各ユニットのサイズは規格化されており、各ラックはユニットのサイズに対応した幅を持つものである。
【0003】
このような従来のラックは、12本のフレームにより骨格を形成し、その外側にパネルを取付けた構造を持つものである。このためラック列を形成した場合には、連結部分で隣接するラックの支柱フレームや側枠が重複する無駄を生じていた。また、ラック列を構成するラック同士はボルト結合されているのが普通であるため、地震の際にはラック列全体が変形し易いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−233654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、連結使用する際の部品の重複をなくして部品点数を削減するとともに、耐震性を向上させたユニットマウント用ラック及びこれを用いたラック列を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた請求項1の発明は、単一の天枠と単一の底枠との間を支柱フレームにより連結したユニットマウント用ラックであって、前記単一の天枠と単一の底枠との側端部を、フレームを枠形状に組み合わせた側枠で連結し、その内部を支柱フレームによって、ユニット取付方向に並列する複数のユニット取付空間に区画し、前記支柱フレームには、隣接する両ユニット取付空間にユニットをマウントするための共通化された一つの部材からなる取付フレームを設けたことを特徴とするものである。
【0007】
なお請求項2のように、前記支柱フレームが取付フレームと一体化された構造とすることができる。
【0008】
また請求項3のように、ラックの内部にユニットを設置したときにユニットの左右両側に形成される空間を取付フレームにより、または取付フレームと側枠とにより遮り、前記空間の内部における前後方向の空気流を遮断した構造とすることができる。また請求項4のように、天枠及び底枠の前記支柱フレームとの連結部に、奥行方向に延びる補強フレームを設けた構造とすることができる。
【0009】
さらに請求項5の発明は、請求項1記載のユニットマウント用ラックを組み合わせたラック列であって、2つのユニット取付空間を持つユニットマウント用ラックと、3つのユニット取付空間を持つユニットマウント用ラックとを組み合わせたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のユニットマウント用ラックは、単一のラックの内部に複数のユニット取付空間を形成したものであるため、隣接するユニット取付空間の境界部分は、支柱フレームを共用とすることができる。この結果、部品の重複をなくして部品点数を削減することができる。また、ユニット幅の複数倍の幅にわたる部分が単一の天枠と単一の底枠で構成されるため、本発明のラック列は、従来のラック列よりも地震に対する変位が小さくなり、耐震性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ユニットマウント用ラックの実施形態を示す斜視図である。
図2】底枠の斜視図である。
図3】底枠に支柱フレームを取り付けた状態を示す斜視図である。
図4】ユニットマウント用ラックの下側部分の斜視図である。
図5】ユニットマウント用ラックの上側部分の斜視図である。
図6】支柱フレームの斜視図である。
図7】2列タイプのユニットマウント用ラックの水平断面図である。
図8】3列タイプのユニットマウント用ラックの水平断面図である。
図9】3列タイプのユニットマウント用ラックの分解斜視図である。
図10】ラック列を示す水平断面図である。
図11】配線用キャビネットを背面に配置した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態を説明する。
図1はサーバ等を搭載する本発明のユニットマウント用ラックの実施形態を示す斜視図である。ただし内部構造を明示するために、外側面や天井面のパネルは取り除いてある。このラックは、単一の天枠10と単一の底枠11との間を、複数の支柱フレーム12と側枠20とにより連結し、全体の骨格を構成したものである。側枠20はフレームを枠形状に組み合わせたもので、天枠10と底枠11の側端部を連結する部材である。また支柱フレーム12は、天枠10と底枠11の中間部分を連結する部材である。なおデータセンター等においては部屋の入口でセキュリティを確保しているため、各ラックの扉は省略することができる。
【0013】
天枠10と底枠11とは同一形状であり、図2に示すように、前フレーム13と後フレーム14とそれらの左右両端を結ぶ奥行フレーム15と、奥行フレーム15と平行に中央に配置された補強フレーム16とから構成されている。この実施形態では、前フレーム13と後フレーム14とは従来のラックの幅の2倍あるいは3倍の長さであって、複数のユニット取付空間にわたって延びる一連の部材である。なお、左右両端を結ぶ奥行フレーム15を少し内側に形成して補強フレーム16を省略することもできる。ユニット取付空間については後述する。
【0014】
図2に示すように、前フレーム13と後フレーム14には長手方向に溝部17が形成されており、その内部に図3に示すように支柱フレーム12が支持金具18,19を介して配置されている。支持金具18は中央部の支柱フレーム12を支持するための部材であり、支柱フレーム12の上下の端部がボルト固定される。また支持金具19は側枠20の上下の端部を同様にボルト固定するための部材である。図3では説明のため一部の支柱フレーム12は省略して示した。また、天枠10と底枠11の連結状態を図4図5に示した。
【0015】
図6に示すように、支柱フレーム12は水平断面がコの字状であり、キャビネットを支える柱として機能する部材である。この実施形態では取付フレーム23が溶接その他の手段によって支柱フレーム12に固定されている。取付フレーム23はユニットをマウントするための平板状の部材であり、その左右両側部には多数のユニット取付孔24が形成されている。この実施形態では支柱フレーム12と取付フレーム23とは一体化されているが、分離していても差し支えない。同様に、後述する側枠20についても、その垂直支柱21と取付フレーム26とを分離してもよい。
【0016】
本発明のユニットマウント用ラックは、中央部の前後に設けられたこれらの支柱フレーム12によって、その内部がユニット取付方向に並列する複数のユニット取付空間25に区画されている。ユニット取付空間とは、サーバ等のユニットが収納される空間を意味し、ユニットの幅は規格化されているため、ユニット取付空間25の幅も一定である。図1に示す実施形態では、ユニット取付方向に並列する2つのユニット取付空間25が形成されて2列タイプとなっているが、後述するように3つ以上のユニット取付空間25に区画して3列タイプとすることもできる。2列タイプの場合には従来品の2倍の横幅を持ち、3列タイプの場合には従来品の3倍の横幅を持つことはいうまでもない。
【0017】
側枠20は水平断面が略L字型の前後の垂直支柱21を、奥行フレーム22によって連結して四角枠を構成したものである。この実施形態では垂直支柱21は取付フレーム26と一体化されている。取付フレーム26には多数のユニット取付孔27が形成され、側枠20の前面及び後面はユニット取付面となっている。側枠20の取付フレーム26の幅は、前記した支柱フレーム12の取付フレーム23の半分の幅に形成されている。このため他のユニットマウント用ラックと連結したときに、取付フレーム23の幅と同一幅となる。これにより、ラック列を構成したときに隣接するユニット取付空間25の間隔は一定となり、ラック列ごとにずれることがない。
【0018】
図7に示すように、各ユニット取付空間25にそれぞれユニット30が取り付けられる。図7に示す2列タイプの実施形態では、ユニット30は片側を側枠20の取付フレーム26に固定され、反対側を支柱フレーム12の取付フレーム23に固定されている。しかし図8に示す3列タイプの実施形態では、中央のユニット30は左右両側を支柱フレーム12の取付フレーム23に固定される。なお図9に3列タイプの場合の分解図を示す。何れの場合にも、従来のように1列タイプのラックを複数組み合わせた場合に比較して、支柱フレーム12を共用した分だけ部品点数を減少させることが可能となる。ユニットマウント用ラックは分解してデータセンターに搬入され、設置現場において組み立て作業を行うことも可能であり、部品点数の削減は現場での作業性の向上に寄与することとなる。また側枠20を採用したことにより、組立作業性が向上するとともに、キャビネット組立精度を向上させることができる。
【0019】
図7図8に示すように各ユニット取付空間25にそれぞれユニット30を取付けた場合、ユニット30の両側に空間28が形成されるが、本発明においてはこれらの空間28の前後を取付フレーム23及び取付フレーム26により遮ることができる。一般にユニットマウント用ラックは前面から吸引した冷却用空気を後面に向かって流すことによってユニットを冷却しており、もしユニット30の左右の空間28が遮断されていないと、冷却用空気がこれらの空間28をバイパスしてユニットの冷却効率が低下することとなる。しかし本発明では空間28を遮断しており、このような冷却用空気のバイパスを防止することができる。なおこの空気遮断効果は、ラック列を構成した場合にも同様に発揮されることはいうまでもない。
【0020】
このように構成された本発明のユニットマウント用ラックは、図10に示すようにラック列を構成するように配置される。図10では2列タイプと3列タイプを組み合わせてラック列を構成している。これらの2種類のタイプを組み合わせれば、任意の数のユニット取付空間25からなるラック列を構成することができる。このラック列を構成するラックは、従来のラックの幅の2倍あるいは3倍の長さにわたって延びる単一の天枠11と底枠12とを含むものであるため、従来の単一ユニット幅のラックを連結したラック列よりもバネ定数が大きくなり、ユニット取付方向について地震の際の変位が小さくなる。
このため耐震性の向上を図ることが可能となる。
【0021】
なお本発明のユニットマウント用ラックはユニット30を取り付けるのみのキャビネットとして構成し、図11に示すように配線用キャビネット29を後面側に配置して用いることができる。サーバユニットは配線が後面に集中しているため、配線用キャビネット29を後面側に別途に配置することによって、ラック内の配線がサーバの排気を阻害することがないうえ、無駄スペースを削減することができる。
【0022】
以上に説明したように、本発明のユニットマウント用ラックは、部品の重複をなくして部品点数を削減することができるとともに、耐震性を向上させることができる利点がある。
【符号の説明】
【0023】
10 天枠
11 底枠
12 支柱フレーム
13 前フレーム
14 後フレーム
15 奥行フレーム
16 補強フレーム
17 溝部
18 支持金具
19 支持金具
20 側枠
21 垂直支柱
22 奥行フレーム
23 取付フレーム
24 ユニット取付孔
25 ユニット取付空間
26 取付フレーム
27 ユニット取付孔
28 空間
29 配線用キャビネット
30 ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11