特許第6303145号(P6303145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6303145
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】アダプタ取付部材
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/38 20060101AFI20180326BHJP
   G02B 6/46 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   G02B6/38
   G02B6/46
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-244619(P2013-244619)
(22)【出願日】2013年11月27日
(65)【公開番号】特開2015-102780(P2015-102780A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】小出 章博
【審査官】 奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−035950(JP,A)
【文献】 特開2008−243541(JP,A)
【文献】 特開平01−189617(JP,A)
【文献】 特開2010−101981(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0047800(US,A1)
【文献】 特開平09−063711(JP,A)
【文献】 実開昭53−093640(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00− 6/54
H01R 13/73−13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付パネルに、光ファイバコードのコネクタを接続するための、複数形状のアダプタを取付け可能とした取付孔を形成したアダプタ取付部材であって、
前記取付孔は、第1アダプタを取付け可能とした第1取付孔と、該第1アダプタと異なる形状の第2アダプタを取付け可能とした第2取付孔とからなり、
前記第1取付孔と前記第2取付孔とは高さ方向及び幅方向にずれて形成されており、かつ前記第1取付孔と前記第2取付孔との一部が高さ方向及び幅方向に重なりあう重複空間を持つように形成されており、さらに前記第1取付孔と前記第2取付孔は、第1アダプタと第2アダプタの移動を規制する形状であることを特徴とするアダプタ取付部材。
【請求項2】
アダプタ取付け面に対して垂直に設けられる前記取付パネルの上下端部から、前記アダプタ取付け面に対して平行となる方向に折り曲げ形成した折り曲げ辺を、各々反対となる方向に突出させて略クランク状とするとともに、該折り曲げ辺を前記アダプタ取付け面に固定するための固定辺としたことを特徴とする請求項1記載のアダプタ取付部材。
【請求項3】
前記アダプタは前記取付孔に係止するアダプタ保持具を有し、前記アダプタの前記取付孔への取付位置において、前記折り曲げ辺を前記アダプタ保持具または前記アダプタと重複する高さ位置に形成したことを特徴とする請求項2記載のアダプタ取付部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバコードのコネクタが接続されるアダプタを取付けるための、アダプタ取付部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ファイバコードのコネクタを接続するためのアダプタは、例えば特許文献1及び2に示すように、アダプタ保持具を介して、アダプタ取付部材に形成された取付孔に係止されて保持される。しかしながら、光ファイバコードのコネクタは用途によって大小様々な種類があり、その形状が異なることから、アダプタ取付部材には複数種類の形状の取付孔を形成しておくことが望ましい。
【0003】
しかしながら、アダプタ取付部材に複数種類の形状の取付孔を形成する際には、特許文献1のように1段で形成すると幅方向にサイズが拡大してしまい、また特許文献2のように2段で形成した場合、高さ方向にサイズが拡大してしまうことから、大型化したアダプタ取付部材により、光接続箱の内部空間が圧迫される問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−139802号公報
【特許文献2】特開2012−226267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は前記した従来の問題点を解決し、形状が異なる複数種類のアダプタを取付けるための複数種類の形状の取付孔を備えるとともに、小型化したアダプタ取付部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明は、取付パネルに、光ファイバコードのコネクタを接続するための、複数形状のアダプタを取付け可能とした取付孔を形成したアダプタ取付部材であって、前記取付孔は、第1アダプタを取付け可能とした第1取付孔と、該第1アダプタと異なる形状の第2アダプタを取付け可能とした第2取付孔とからなり、前記第1取付孔と前記第2取付孔とは高さ方向及び幅方向にずれて形成されており、かつ前記第1取付孔と前記第2取付孔との一部が高さ方向及び幅方向に重なりあう重複空間を持つように形成されており、さらに前記第1取付孔と前記第2取付孔は、第1アダプタと第2アダプタの移動を規制する形状であることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のアダプタ取付部材において、アダプタ取付け面に対して垂直に設けられる前記取付パネルの上下端部から、前記アダプタ取付け面に対して平行となる方向に折り曲げ形成した折り曲げ辺を、各々反対となる方向に突出させて略クランク状とするとともに、該折り曲げ辺を前記アダプタ取付け面に固定するための固定辺としたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のアダプタ取付部材において、前記アダプタは前記取付孔に係止するアダプタ保持具を有し、前記アダプタの前記取付孔への取付位置において、前記折り曲げ辺を前記アダプタ保持具または前記アダプタと重複する高さ位置に形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るアダプタ取付部材は、取付パネルに複数形状のアダプタを取付け可能とした取付孔を形成したものであって、この取付孔は、第1アダプタを取付け可能とした第1取付孔と、この第1アダプタと異なる形状の第2アダプタを取付け可能とした第2取付孔とを備えるものとし、前記第1取付孔と前記第2取付孔とは高さ方向及び幅方向にずれて形成されており、かつ前記第1取付孔と前記第2取付孔との一部が高さ方向及び幅方向に重なりあう重複空間を持つように形成されたものである。これにより、アダプタ取付部材の高さ方向と幅方向の長さを小さくすることができ、アダプタ取付部材を小型化することが可能となり、光接続箱の内部空間を圧迫することもない。
【0011】
また本発明は、第1取付孔と第2取付孔は、高さ方向と幅方向に各々ずらして形成されたものである。例えば同一幅の第1取付孔と第2取付孔とを、高さ方向のみずらして配置した場合には、アダプタを取付けた際に、アダプタの移動を規制することができないが、本発明によれば、各々のアダプタを取付けた際に、このアダプタを保持する規制部が形成されることとなり、アダプタの移動を規制することが可能となる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のアダプタ取付部材において、機器取り付け面に対して垂直に設けられる取付パネルの上下端部から、機器取付け面に対して平行となる方向に折り曲げ辺を形成し、各々反対となる方向に突出させて略クランク状とするとともに、この折り曲げ辺を機器取付け面に固定するための固定辺としたものである。これにより、形状の異なるアダプタに変更した際には、アダプタ取付部材を上下に反転させて使用することにより、アダプタの高さ位置を変更することができる。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項2記載のアダプタ取付部材において、アダプタは取付孔に係止するアダプタ保持具を有し、アダプタの取付孔への取付位置において、折り曲げ辺をアダプタ保持具またはアダプタと重複する高さ位置に形成したため、折り曲げ辺と反対側の面側からのみアダプタを挿入することが可能となるため、アダプタの取付方向の間違いを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】光接続箱内部の第2配線仕切板の閉状態を示す斜視図である。
図2】光接続箱内部の第2配線仕切板の開状態を示す斜視図である。
図3】光接続箱の断面図である。
図4】本実施形態のアダプタ取付部材の斜視図である。
図5】本実施形態のアダプタ取付部材の正面図である。
図6】第1アダプタ取付時を示す斜視図である。
図7】第1アダプタ取付時を示す正面図及び側面図である。
図8】第1アダプタ取付前を示す斜視図である。
図9】第2アダプタ取付時を示す斜視図である。
図10】第2アダプタ取付時を示す正面図及び側面図である。
図11】第2アダプタ取付前を示す斜視図である。
図12】第1アダプタの下部空間を配線収納空間とした状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図1乃至図3のように、光接続箱1の内部は第1配線仕切板2と、第2配線仕切板3とによって3段に区画されている。底面に近い1段目には、人が操作する可能性の低いパーツを配置し、2段目、及び3段目には比較的人が操作する可能性の高いパーツを配置するものとしている。1段目には、図示しない光ファイバコードを入線するための光ファイバ接続部と、光ファイバコードの余長部を収納する余長トレー4とが配置されている。更に、この余長トレー4に隣接して、光ファイバコードのコネクタが接続されるアダプタを取付け、保持するためのアダプタ取付部材5が設けられている。余長トレー4の上方には第1配線仕切板2が回動自在に枢着されており、2段目にあたる位置にはメディアコンバータ6が搭載されている。更に上方には、第2配線仕切板3が光接続箱本体に回動自在に枢着されており、3段目にあたる位置には、図1のように通信機器に接続されるハブやルータ等の電子電気機器7が搭載されている。
【0016】
本実施形態のアダプタ取付部材5は、図4に示すように、機器取付け面である底面に対して垂直に形成された取付パネル8に、光ファイバコードのコネクタを接続するための、複数形状のアダプタを取付け可能とした取付孔を形成したものである。前記取付孔は、図6のように第1アダプタ9を取付け可能とした第1取付孔11と、図9のように第1アダプタ9と異なる形状の第2アダプタ10を取付け可能とした第2取付孔12とからなるものである。更に図5のように、第1取付孔11と第2取付孔12との一部が高さ方向及び幅方向に重なりあう重複空間13を形成するものとした。これにより、前記重複空間13の分だけアダプタ取付部材5の高さ方向と幅方向の長さを小さくすることができ、詳しくは、第1取付孔11及び第2取付孔12を1段に形成するより幅方向を縮小することが可能で、第1取付孔11及び第2取付孔12を2段に形成するよりも高さ方向を縮小することができ、アダプタ取付部材5を小型化することが可能となり、光接続箱1の内部空間を圧迫することがなくなる。
【0017】
第1取付孔11と第2取付孔12は、図5のように、高さ方向と幅方向に各々ずらして形成するものとした。これにより、図6のように第1アダプタ9を第1取付孔11に取付けた際には規制部14が第1アダプタ9の下端部と当接することによって、第1アダプタ9の上下方向の移動を規制することが可能となる。同様に、第2アダプタ9を取り付けた場合でも規制部14により第2アダプタ9の上下方向の移動を規制することが可能となる。
【0018】
図4に示すように、取付パネル8の上下端部からは、底面に対して平行となる方向に折り曲げ形成した折り曲げ辺15を、各々反対となる方向に、略クランク状となるよう突出させるものとした。また、この折り曲げ辺15は機器取り付け面に固定される固定辺とし、固定辺となる折り曲げ辺15に形成した固定孔16を用いて、アダプタ取付部材5を光接続箱本体に固定するものとした。これにより、例えば図6乃至図8のように使用していた第1アダプタを第2アダプタに変更する際には、アダプタ取付部材5を上下に反転させて、図9のように第2アダプタ10を第2取付孔12に取付けて使用することができる。また、このようにアダプタ取付部材5を上下に反転させて使用できることから、第1アダプタ9及び第2アダプタ10の高さ位置を使用状況に応じて任意に変更することもできる。なお、折り曲げ辺15をコ字状とするものでも良いが、その場合は、ねじ固定する際には上方の折り曲げ辺15が邪魔になり工具が入らず作業性が悪いといった問題点が生じるが、クランク状に形成することにより工具挿入の作業性を改善することが可能である。
【0019】
図8及び図11に示すように、第1アダプタ9と第2アダプタ10は、アダプタ取付部材5の第1取付孔11又は第2取付孔12に取付するアダプタ保持具17を各々有する。アダプタ保持具17は、取付孔の開口周縁に係止される弾性片からなる係止片17bと、取付孔より脱落を防止するため取付孔よりも上下左右に幅広に形成した幅広部17aとを有する。
【0020】
ここで、図7及び図10に示すように、アダプタ取付部材5の折り曲げ辺15は、第1取付孔11及び第2取付孔12の上部または下部位置に形成され、更に、第1アダプタ9または第2アダプタ10の第1取付孔11または第2取付孔12への取付位置において、折り曲げ辺15はアダプタ保持具17の幅広部17aと重複する高さ位置に形成されている。即ち、第1アダプタ9及び第2アダプタ10は折り曲げ辺15を形成した反対側の面からのみ挿入可能とし、折り曲げ辺15側から挿入した場合には幅広部17aが折り曲げ辺15に当接し挿入できないようになっている。このため、第1アダプタ9及び第2アダプタ10の取付方向の間違いを防ぐことができる。更に、本実施形態の折り曲げ辺15はクランク状に形成されているため、第1アダプタ9及び第2アダプタ10は異なる面側から挿入するよう規制することが可能である。
【0021】
なお、図7及び図8の第1アダプタ9は、光ファイバコードの光ファイバ接続部9bの上下端部に、ねじ孔を有する取付片9aが形成されたものである。この場合、第1アダプタ9の第1取付孔11への取付位置において、光ファイバ接続部9bが第1取付孔11へ挿入され、取付片9aが第1取付孔11よりも上下外側に形成され、取付片9aが折り曲げ辺15と重複する位置に形成されるものである。また、折り曲げ辺15側から第1アダプタ9を挿入しようとした場合、アダプタ保持具17ではなく第1アダプタ9が折り曲げ辺15に当接し挿入できないようにするものであっても良い。
【0022】
なお、本実施形態においては、第1アダプタ9及び第2アダプタ10を、第1取付孔11及び第2取付孔12に各々係止して保持するためのアダプタ保持具17を用いるものとしたが、これに限定されず、例えばアダプタ保持具17を設けず、ネジ止めによりアダプタを取付孔に取付ける構造としてもよい。
【0023】
本実施形態においては、図1乃至図3のように、2段目に配置したメディアコンバータ6へ入線、またはメディアコンバータ6から出線される光ファイバコードのコネクタの接続が行い易いよう、第1取付孔11が上部に来るようにアダプタ取付部材5を配置し、第1アダプタ9がメディアコンバータ6と平行となる位置に取付けられるものとした。これにより、図12のように第1アダプタ9の下方位置に形成される下部空間を、配線収納空間や仕切りとして利用することにより、光接続箱1の内部スペースを有効に利用することもできる。
【符号の説明】
【0024】
1 光接続箱
2 第1配線仕切板
3 第2配線仕切板
4 余長トレー
5 アダプタ取付部材
6 メディアコンバータ
7 電子電気機器
8 取付パネル
9 第1アダプタ
9a 取付片
9b 光ファイバ接続部
10 第2アダプタ
11 第1取付孔
12 第2取付孔
13 重複空間
14 規制部
15 折り曲げ辺
16 固定孔
17 アダプタ保持具
17a 幅広部
17b 係止片
18 コンセント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12