(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記NANDアレイに含まれる前記NANDストリングは、前記NANDストリングの第1の端部と、ビットラインまたは基準ラインとの間に第1のスイッチを有し、前記NANDストリングの第2の端部と、ビットラインまたは基準ラインとの間に第2のスイッチを有し、
選択されたビットラインと、前記選択されたメモリセルの前記第1の側の前記第1の半導体ボディ領域との間において電流をブロックするための前記バイアス電圧は、前記選択されたメモリセルを含む前記NANDストリングにおける前記第1のスイッチをオフに制御する電圧を含み、
前記ソースラインと、前記選択されたセルの前記第2の側の前記第2の半導体ボディ領域との間において電流を発生させるための前記バイアス電圧は、前記第2のスイッチをオンに制御して、基準電圧を前記ソースラインに印加する電圧を含む請求項1に記載の方法。
前記プログラミングバイアス構成は、前記負のドレイン側通過電圧パルスを印加している間、選択されていないNANDストリングで容量性ブーストが発生しないようにするバイアス電圧を含む請求項1から3の何れか1項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態を
図1から
図19を参照しつつ詳細に説明する。
【0027】
関連技術文献で説明されている3D NANDフラッシュ技術の大半では、nチャネルデバイスが利用されている。一部の3D NANDアーキテクチャではボディ部分が浮遊した構成(ボディ部分が接触しない)になっているので、−FNブロック消去は、いわゆるゲートで誘起されたドレインリークによって誘起される「GIDL誘起」電流を利用して消去を行うnチャネルデバイスで実施される。SSLラインおよびGSLラインは、中程度の負電圧を印加しなければならない一方、ビットライン(BL)および共通ソースライン(CSL)は、SSL/GSLジャンクションエッジでGIDL電流を発生させるべく高い正電圧を印加する。GIDLによって電子および正孔の対が発生し、正孔はNANDストリングへと一掃される。そして、チャネルに蓄積された正孔は、チャネル電位を押し上げ、続いてデバイスにおいて−FN正孔トンネリング注入を発生させる。
【0028】
このようなGIDL誘起消去には、多くの欠点が見られる。第一に、消去過渡電流は、マイノリティキャリア(正孔)生成時間が長いためにある程度のタイムラグが見られることが多い。そして、消去速度は、GIDL電流およびSSL/GSLジャンクションプロフィールに大きく影響される。GIDL電流を増大させるべく、SSL/GSLデバイスに印加する負電圧を大きくするが、負電圧が大きくなると、ブロック消去中に他のブロックのデータを乱す可能性がある。
【0029】
3D NANDの問題は概して、ブロックサイズが非常に大きい場合が多い一方で、消去は全ブロック消去に限定される点である。これは、ユーザがコード変更を実施したい単位が小さい単位に過ぎない場合に、不便である。
【0030】
3D NANDは通常、ワードライン抵抗/容量RC遅延が大きいので、一般的にはチップ上のメモリアレイのパーティションの数を増やす必要がある。この結果、CMOSワードラインドライバ領域は、ダイサイズのうち非常に大きい部分を占める可能性がある。しかし、CMOS設計ルール(サイズ)は、必要な+FNプログラミングバイアスが大きい(通常は、>20V)ので、比較的大きくしなければならない。
【0031】
本明細書に記載するpチャネルNANDは、低電圧ホットエレクトロンプログラミング方法を利用して、一部の実施例において、周辺回路用のCMOS設計ルールを小さくすることができる。また、本明細書に説明したpチャネルNANDは、GIDLが発生しなくてもチャネル正孔電流が容易に発生するので、GIDL誘起消去の問題を回避し得る。さらに、ブロック消去を行うことなく、ハードディスクドライブと同様に、任意の小さい単位で非常に単純な「上書き」を可能とするビット可変消去を説明する。
【0032】
pチャネル薄膜トランジスタ(TFT)NANDデバイスはさらに、pチャネルNAND構成におけるドレイン電流とゲート電圧との関係を示す曲線(IdVgカーブ)が非常に好適になることが分かっている。
【0033】
さらに、64−WL 3D TFT NANDについて、アレイドレイン電流飽和電流(Idsat)が優に100nAを超え、サブスレッショルドの傾斜の値が、400mV/decade未満となり、良好な性能特性が得られる。
【0034】
このような結果から、正孔移動度は、ポリシリコン薄膜トランジスタデバイスのnチャネルNANDにおける電子移動度と同等であることが示唆される。このことは、本明細書で説明しているように動作するべく構成されているpチャネル3D NANDが驚くべき性能を持つ理由の一つである。
【0035】
図1は、本明細書で説明しているように動作可能なpチャネルNANDフラッシュメモリアレイ10を備える集積回路175を示す簡略ブロック図である。一部の実施形態によると、アレイ10は、3Dメモリであり、複数のレベルでセルを配置している。行デコーダ11は、メモリアレイ10において行方向に沿って配置されている複数のワードライン12に結合されている。ブロック16の列デコーダは、本例では、データバス17を介して、一連のページバッファ13に結合されている。グローバルビットライン14は、メモリアレイ10において列方向に沿って配置されているローカルビットライン(不図示)に結合されている。列デコーダ(ブロック16)および行デコーダ(ブロック11)にはバス15を介してアドレスが供給される。集積回路上、例えば、汎用プロセッサ上または特定用途向け回路上、または、アレイ10がサポートするシステムオンチップ機能を実現するモジュール群上の他の回路24(例えば、入出力ポートを含む)からデータインライン23を介してデータが供給される。データインライン23を介して、入出力ポートに、または、集積回路25の内部または外部に位置する他のデータ送信先にデータを供給する。
【0036】
本例ではステートマシン19として実現されるコントローラは、ブロック18における1以上の電源を用いて生成または供給されるバイアス構成供給電圧の印加を制御する信号を供給し、本明細書で説明するさまざまな処理、例えば、アレイにおけるデータの読み書きを実行する。これらの処理には、消去、プログラミングおよび読出が含まれる。コントローラは、関連技術分野で公知のように、特定用途向け論理回路を用いて実現され得る。別の実施形態によると、コントローラは、同一集積回路上で実現され得る汎用プロセッサを含む。当該プロセッサは、デバイスの動作を制御するコンピュータプログラムを実行する。さらに他の実施形態によると、特定用途向け論理回路と汎用プロセッサとを組み合わせて、コントローラを実現するとしてもよい。
【0037】
分かり易いように、「プログラミング」という用語は、本明細書で用いられる場合、メモリセルのしきい値電圧を上昇させる処理を意味する。プログラミングされたメモリセルに格納されているデータは、論理値「0」または論理値「1」で表現され得る。「消去」という用語は、本明細書で用いる場合、メモリセルのしきい値電圧を低減させる処理を意味する。消去されたメモリセルに格納されているデータは、プログラミングされた状態の逆の状態、つまり、論理値「1」または論理値「0」で表現され得る。また、マルチビットセルはさまざまなしきい値レベルにプログラミングすることが可能で、設計者が適切と感じる方法に応じて、一の最も低いしきい値レベルまたは最も高いしきい値レベルに設定することで消去する。さらに、「書込」という用語は、本明細書で用いる場合、メモリセルのしきい値電圧を変更する処理を意味し、プログラミング処理および消去処理の両方、または、プログラミング処理および消去処理の組み合わせを含むものとする。
【0038】
本明細書で説明するプログラミング処理は、バンド間トンネリングホットエレクトロンによるプログラミングを実現するべく選択されたメモリセルにバイアスを印加して、選択されたメモリセルの電荷蓄積構造に電子を注入することで、しきい値電圧を上昇させることを含む。プログラミング処理は、例えば、一のページ、一のワード、または、一のバイト内の1以上の選択されたメモリセルをプログラミングするために用いられ得る。プログラミング処理において、選択されていないメモリセルには、蓄積している電荷が乱れないように、または、蓄積している電荷の乱れが少なくなるように、バイアスを印加する。
【0039】
本明細書で説明する選択的消去処理は、「ビット消去処理」とも呼ばれ、複数のセルで構成される一のブロックにおいて選択されたメモリセルにバイアスを印加して、負のファウラー−ノルトハイム(−FN)トンネリングを発生させて、選択されたメモリセルの電荷蓄積構造に正孔を注入することで、しきい値電圧を低減することを含む。「ビット消去」は、NANDアレイにおいて、選択されたNANDストリング内の、一のセルを消去するために応用され得る。「ビット消去」処理は、例えば、一のページ、一のワードまたは一のバイトにおいて1以上の選択されたメモリセルを消去するために応用され得る。「ビット消去」処理中、選択されたNANDストリングを含むブロック内の選択されていないメモリセルには、蓄積している電荷が乱れないように、または、蓄積している電荷の乱れを低減するように、バイアスを印加する。
【0040】
本明細書で説明している「ブロック消去処理」は、複数のセルで構成される一のブロックにバイアスを印加して、負のファウラー−ノルトハイム(−FN)トンネリングを発生させて、選択されたブロックに含まれるセルの電荷蓄積構造に正孔を注入することで、ブロックのうち少なくともまだしきい値電圧が低くなっていないセルにおいて、しきい値電圧を低減する。
【0041】
プログラミング処理およびビット消去処理の組み合わせを利用することで、ブロック消去に関連するオーバーヘッドを必要とすることなくランダムアクセス書込処理を実行することができる。
【0042】
図2は、
図1のデバイスと同様のデバイスで利用可能な3D NANDフラッシュメモリアレイの一部分を示す概略図である。本例によると、メモリセルが3個のレベルに配置されている様子が図示されている。これは、多くのレベルを含み得る複数のpチャネルメモリセルで構成される一のブロックを示す図である。
【0043】
複数のワードラインは、ワードラインWL
n−1、WL
n、WL
n+1を含み、第1の方向に沿って平行に延在している。ワードラインは、行デコーダ161と電気的に通信を行う。ワードラインは、複数のNANDストリングとして直列に配置されているメモリセルのゲートに接続されている。ワードラインWL
nは、ワードラインを表す。
図2に示すように、ワードラインWL
nは、当該ワードラインWL
nの下方に位置する複数のレベルのそれぞれに存在するメモリセルのゲートに垂直方向に接続されている。
【0044】
複数のn型半導体ローカルビットライン(pチャネルメモリセル用)は、列方向に沿って配置されており、メモリアレイのさまざまなレベルにおいてNANDストリングを形成している。
図2に示すように、当該アレイは、ローカルビットラインBL
31を第3のレベルにもち、ローカルビットラインBL
21を第2のレベルに持ち、ローカルビットラインBL
11を第1のレベルに持つ。メモリセルは、対応するワードラインと、対応するローカルビットラインとの間に誘電電荷トラップ構造を持つ。この図示内容では、簡単に説明するべく、一のNANDストリングには3つのメモリセルが存在する。例えば、第3のレベルのローカルビットラインBL
31が形成するNANDストリングは、メモリセル120、122、124を含む。通常の実施例では、NANDストリングは、16個、32個またはこれ以上のメモリセルを含むとしてよい。
【0045】
複数のストリング選択ラインは、ストリング選択ラインSSL
n−1、SSL
n、SSL
n+1を含み、ストリング群を選択するグループデコーダ158(行デコーダ161の一部であってもよい)と電気的に通信を行う。ストリング選択ラインは、メモリセルNANDストリングの第1の端部に配置されているストリング選択トランジスタのゲートに接続されている。
図2に示すように、各ストリング選択ラインは、各レベルにおける複数のストリング選択トランジスタで構成される一列のゲートに垂直方向に接続されている。例えば、ストリング選択ラインSSL
n+1は、3つの異なるレベルのストリング選択トランジスタSSL110、112、114のゲートに接続されている。
【0046】
特定のレベルのローカルビットラインは、本明細書で説明しているビットラインパッドを用いて実現され得る延長部分に選択的に結合される。特定のレベルの対応するストリング選択トランジスタによって結合される。例えば、第3のレベルのローカルビットラインは、当該レベルにおける対応するストリング選択トランジスタによって延長部分140に選択的に結合される。同様に、第2のレベルのローカルビットラインは延長部分142に選択的に結合され、第1のレベルのローカルビットラインは、延長部分144に選択的に結合される。
【0047】
各レベルにおける延長部分は、対応するグローバルビットラインに結合されている垂直コネクタと接触させるための対応するコンタクトパッドを含む。例えば、第3のレベルの延長部分140は、コンタクトパッド130および垂直コネクタ100を介して、グローバルビットラインGBL
n−1に結合されている。第2のレベルにおける延長部分142は、コンタクトパッド132および垂直コネクタ102を介して、グローバルビットラインGBL
nに結合されている。第3のレベルにおける延長部分144は、コンタクトパッド134および垂直コネクタ104を介して、グローバルビットラインGBL
n+1に結合されている。
【0048】
グローバルビットラインGBL
n−1、GBL
nおよびGBL
n+1は、アレイに含まれている追加ブロック(不図示)に結合されており、ページバッファ163まで延在している。
【0049】
NANDストリングの第2の端部には、ブロック選択トランジスタが配置されている。例えば、ブロック選択トランジスタ160(グラウンド選択トランジスタとも呼ばれる)は、メモリセル120、122および124が形成するNANDストリングの第2の端部に配置されている。グラウンド選択ラインGSLはブロック選択トランジスタのゲートに接続されている。グラウンド選択ラインGSLは、行デコーダ161と電気的に通信して、本明細書で説明する処理においてバイアス電圧を受信する。
【0050】
ブロック選択トランジスタは、ブロックに含まれている全てのNANDストリングの第2の端部を、一の共通ソースラインCSL上に供給される基準電圧に、選択的に結合するために用いられる。共通ソースラインCSLは、本明細書に説明する処理において、バイアス回路(不図示)からバイアス電圧を受け取る。本明細書で説明する一部の処理において、CSLは、従来の「ソース」の役割を果たすのではなく、絶対値においてNANDストリングの反対側の端部に結合されているビットラインの電圧よりも高い基準電圧になるようバイアスが印加されている。
【0051】
ブロックは、複数のブロックで一のアレイが構成されるように配置されるとしてよく、複数のブロックで構成される行を複数、そして、複数のブロックで構成される列を複数含む。一の行に含まれる複数のブロックは、同じワードライン群WL
n−1、WL
n、WL
n+1、および、グラウンド選択ラインGSLを共有するとしてよい。一の列に含まれる複数のブロックは、同じグローバルビットライン群GBL
n−1、GBL
nおよびGBL
n+1を共有するとしてよい。このようにして、3Dデコードネットワークを構築し、ページの一部である選択されたメモリセルは、一のワードラインを用いてアクセスすることが出来、一のグローバルビットライン群GBL
n−1、GBL
nおよびGBL
n+1、ならびに、一のストリング選択ラインは、各レベルで選択されるセルからのデータを並列に、一のグローバルビットライン群GBL
n−1、GBL
nおよびGBL
n+1で配信する。
【0052】
図2に示すアレイは、水平構成で実現されているpチャネルNANDストリングを含む。所与のストリングのセルは全て、アレイの同一レベル上に含まれている。別の3D構成では、NANDストリングは垂直構成で実現され得る。一部の実施形態によると、NANDストリングは、ジャンクションが形成されず、セル間にp型端子が存在しない。p型端子は、ビットライン延長部分(例えば、ライン144)に接続されるSSLトランジスタ側(例えば、110)、および、共通ソースラインCSLに接続されるGSLトランジスタ側(例えば、160)でのみ実現され得る。ステートマシン169は、メモリアレイおよびサポート回路を制御し、読出処理、プログラミング処理、ブロック消去処理およびビット消去処理を実行する。
【0053】
図3は、水平方向のpチャネルNANDストリングを含む3D NANDフラッシュメモリアレイの一例の一部分を示す斜視図である。
図3では、充填材料を取り除いて、3Dアレイを形成しているワードラインおよびビットラインが見えるようにしている。
【0054】
メモリアレイは、基礎となる半導体構造またはその他の構造(不図示)の上方の絶縁層310上に形成されている。メモリアレイは、ワードラインWL1、WL2として動作すると共に行デコーダに接続されるように配置されている複数の導電ライン325−1、325−2を含む。導電ライン325−1、325−2の上面にシリサイド層が形成されるとしてよい。
【0055】
導電ライン325−1、325−2は、さまざまなレベルにおけるローカルビットラインとして動作する半導体材料長尺部材と形状が一致する。例えば、半導体材料長尺部材312は、第3のレベルにおけるローカルビットラインとして動作し、半導体材料長尺部材313は、第2のレベルにおけるローカルビットラインとして動作し、半導体材料長尺部材314は、第1のレベルにおけるローカルビットラインとして動作する。半導体材料長尺部材は、絶縁層(不図示)で互いに分離させられている。
【0056】
半導体材料長尺部材は、真性半導体材料またはn型半導体材料であり、p型端子がSSLスイッチおよびGSLスイッチに設けられ、pチャネルフラッシュメモリセルが構成されている。導電ライン325−1、325−2は、同一または異なる導電型の半導体材料であってよく、または、他のワードライン用導電材料で形成されているとしてもよい。例えば、半導体材料長尺部材は、真性ポリシリコンまたはn型ポリシリコンを用いて形成されるとしてよく、または、n型単結晶シリコンで形成されるとしてよい。一方、導電ライン325−1、325−2は、比較的高濃度ドープされたn±型またはp±型のポリシリコンを用いて形成されるとしてよい。
【0057】
メモリセルは、導電ライン325−1、325−2と、ローカルビットラインとして動作する半導体材料長尺部材との間に電荷蓄積構造を持つ。例えば、メモリセル380は、導電ライン325−1と、第3のレベルのローカルビットラインとして動作する半導体材料長尺部材312との間に形成される。この図示内容では、簡略化すると、一のNANDストリングに2つのメモリセルが設けられている。
図3に示す実施形態では、各メモリセルは、対応する半導体材料長尺部材と導電ライン325−1、325−2との間の界面の両側に活性電荷蓄積領域を持つダブルゲート電界効果トランジスタである。
【0058】
本例では、電荷蓄積構造は、トンネリング層、電荷トラップ層およびブロック層を含む。一実施形態によると、トンネリング層は、酸化シリコン(O)で、電荷蓄積層は窒化シリコン(N)で、ブロック誘電体層は酸化シリコン(O)である。これに代えて、メモリセルは、例えば、酸窒化シリコン(Si
xO
yN
z)、シリコンが豊富な窒化物、シリコンが豊富な酸化物等の他の電荷蓄積構造、埋め込みナノ粒子を含むトラップ層等を含むとしてよい。
【0059】
一実施形態によると、バイアスがゼロの場合に逆「U字型」形状の価電子帯を形成する複数の材料の組み合わせを含む誘電体トンネリング層を含むバンドギャップエンジニアリングSONOS(BE−SONOS)電荷蓄積構造を用いることができる。一実施形態によると、複合トンネリング誘電体層は、正孔トンネリング層と呼ばれる第1の層、バンドオフセット層と呼ばれる第2の層、および、隔離層と呼ばれる第3の層を含む。本実施形態に係る層のうち正孔トンネリング層は、例えば、インサイチュ蒸気発生(ISSG)を用いると共に、堆積後NOアニーリングを行うことで、または、堆積中に外気にNOを追加することで、任意で窒化処理を行うことで、半導体材料長尺部材の側面に形成されている二酸化シリコンを含む。二酸化シリコンから成る第1の層の厚みは、20Å未満であり、15Å未満であることが好ましい。代表的な実施形態では、厚みが10Åまたは12Åであるとしてよい。
【0060】
ストリング選択ラインSSL
n、SSL
n+1は、メモリセルNANDストリングの第1の端部にあるストリング選択トランジスタのゲートに接続されている。ストリング選択トランジスタは、対応するNANDストリングの半導体材料長尺部材と、マルチレベルストリング選択ゲート構造との間に形成されている。例えば、ストリング選択トランジスタ350は、半導体材料長尺部材312と、ストリング選択ゲート構造329との間に形成されている。ストリング選択ゲート構造329は、コンタクトプラグ365を介して、ストリング選択ラインSSL
nに結合されている。
【0061】
半導体材料長尺部材は、ビットラインパッド330、332、334への延長部分によって、同一レベルの他の半導体材料長尺部材に選択的に結合されている。例えば、第3のレベルの半導体材料長尺部材は、パッド330への延長部分340を介して、互いに選択的に結合されている。同様に、第2のレベルの半導体材料長尺部材は、パッド332への延長部分342を介して、互いに選択的に結合されており、第1のレベルの半導体材料長尺部材は、パッド334への延長部分344に選択的に結合されている。
【0062】
第3のレベルの延長部分340は、コンタクトパッド330および垂直コネクタ300を介して、グローバルビットラインGBL
n−1に結合されている。第2のレベルの延長部分342は、コンタクトパッド332および垂直コネクタ302を介して、グローバルビットラインGBL
nに結合されている。第3のレベルの延長部分344は、コンタクトパッド334および垂直コネクタ304を介して、グローバルビットラインGBL
n+1に結合されている。
【0063】
グローバルビットラインGBL
n−1、GBL
nおよびGBL
n+1は、アレイの追加ブロック(不図示)に結合されており、ページバッファ263まで延在する。
【0064】
ブロック選択トランジスタは、NANDストリングの第2の端部に配置されている。例えば、ブロック選択トランジスタ351は、半導体材料長尺部材312が形成しているNANDストリングの第2の端部に配置されている。ゲート構造349は、グラウンド選択ラインGSLとして動作し、ブロック選択トランジスタのゲートに接続されている。
【0065】
ブロック選択トランジスタは、ブロック内の全てのNANDストリングの第2の端部を、共通ソースラインCSL370に供給される基準電圧に、選択的に結合するために用いられる。CSL370は、ワードラインと平行に延在する。
【0066】
図3に示す構造は、例えば、所有者が共通している米国特許出願公開公報第2012/0007167号(公開日:2012年1月12日、出願日:2011年1月31日、発明の名称:「3D MEMORY ARRAY WITH IMPROVED SSL AND BL CONTACT LAYOUT」に記載されている技術を用いて製造され得る。当該特許文献は、本願で全て説明したものとして、参照により本願に組みこまれる。
【0067】
動作について説明すると、メモリセルはそれぞれ、当該メモリセルのしきい値電圧に応じてデータ値を格納する。選択されたメモリセルの読出または書込は、適切な電圧をワードライン、ビットライン、ストリング選択ライン、グラウンド選択ラインおよび共通ソースラインに印加することによって実現可能である。「ジャンクション無し」のNAND構造は、pチャネル3D NANDとして高い短チャネルデバイス性能を実現する。37.5nmのハーフピッチのWLの3D垂直ゲート(VG)NANDアーキテクチャを実現した。この実施例におけるアレイワードラインCD(チャネル長)は約25nmで、本実施例におけるビットラインの臨界寸法は約30nmであった。当該実施例において各メモリセルは、ダブルゲート薄膜トランジスタ(TFT)BE−SONOS電荷トラップデバイスである。
【0068】
図4は、垂直型で、ジャンクション無しの、pチャネルNANDストリングを備える3次元(3D)メモリデバイスの一例を示す概略図である。メモリデバイス400は、複数のメモリセルで構成される複数のNANDストリングで構成されるアレイを含み、ダブルゲート垂直チャネルメモリアレイ(DGVC)であってよい。メモリデバイス400は、集積回路基板を備え、絶縁材料で分離されている複数の導電長尺部材から構成される積層体を複数備える。積層体は少なくとも、複数の導電長尺部材の一の底面(GSL)、複数の導電長尺部材の複数の中間面(WL)および複数の導電長尺部材の一の上面(SSL)を含む。
図4に示す例によると、積層体410は、複数の導電長尺部材の一の底面(GSL)、複数の導電長尺部材の複数の中間面(WL)であるWL
0からWL
N−1、および、複数の導電長尺部材の一の上面(SSL)を有する。尚、Nは8、16、32、64等であるとしてよい。
【0069】
複数のビットライン構造は、直交するように配置されており、表面が複数の積層体と形状が一致する。積層体同士の間に積層体間半導体ボディ部420が配置されており、積層体の上方には積層体間半導体ボディ部420を結合するリンク部430が設けられている。リンク部430は、本例では、ポリシリコン等の半導体を含み、比較的高いドープ濃度を持ち、積層体間半導体ボディ部420よりも導電率が高くなるように構成されている。積層体間半導体ボディ部420は、積層体に形成されるセルのチャネル領域を実現する。
【0070】
メモリデバイスは、積層体内の複数の中間面(WL)の導電長尺部材の側面と、複数のビットライン構造の積層体間半導体ボディ部420との間において、交差点480における界面領域に電荷蓄積構造を備える。図示した例では、交差点480におけるメモリセルは、垂直型のデュアルゲートNANDストリングの構成を持ち、一の積層体間半導体ボディ部の両側に存在する導電長尺部材は、デュアルゲートとして動作し、読出処理、消去処理およびプログラミング処理について協働するように動作させることができる。
【0071】
基準導体460は、導電長尺部材の底面(GSL)と、集積回路基板(不図示)との間に配置されている。少なくとも一の基準ライン構造は、複数の積層体の上方に直交するように配置されており、基準導体460と電気的に通信している積層体同士の間の積層体間垂直導電部440、および、積層体間垂直導電部440を繋ぐ積層体410の上方のリンク部450を含む。積層体間垂直導電部440は、積層体間半導体ボディ部420よりも導電率が高いとしてよい。
【0072】
メモリデバイスは、導電長尺部材の上面との間の界面領域にストリング選択スイッチ490を含み、導電長尺部材の底面(GSL)との間の界面領域に基準選択スイッチ470を含む。電荷蓄積構造の誘電体層は、一部の例によると、スイッチ470、490のためのゲート誘電体層として動作するとしてよい。
【0073】
メモリデバイスは、複数のビットライン構造に接続されている第1の被覆パターニング導電層(不図示)を備える。検知回路に結合されている複数のグローバルビットラインを含む。メモリデバイスはさらに、第2の被覆導電層(不図示)を含み、第2の被覆導電層は、パターニングされ得ると共に、第1のパターニング導電層の上方または下方に配置され得る。第2の被覆導電層は、コンタクトによってリンク部450に接続する等の方法で、少なくとも一の基準ライン構造に接続されている。第2のパターニング導電層は、少なくとも一の基準ライン構造を基準電圧源に接続するか、または、基準電圧を供給する回路に接続するとしてよい。
【0074】
図4に示す例では、pチャネルメモリセルが実現されており、BLチャネル部420は、n型ポリシリコン等のn型半導体材料を含む。ビットライン構造のリンク部430は、N+型ドープ半導体材料を含むとしてよい。ビットライン構造の積層体間半導体ボディ部420は、ドープ濃度の低い半導体材料を含む。
図4に示す例では、基準導体460はN+型ドープ半導体材料を含み、少なくとも一の基準ライン構造のリンク部450はN+型ドープ半導体材料を含む。少なくとも一の基準ライン構造の積層体間垂直導電部440はさらに、N+型ドープ半導体材料を含む。別の実施例によると、ドープされた半導体の代わりに金属または金属化合物を利用するとしてもよい。
【0075】
一実施形態によると、基準導体460の抵抗を小さくするべく、メモリデバイスは基準導体460の近傍に下部ゲート401を含むとしてよい。読出処理において、下部ゲート401は、基準導体460の導電率を増加させるべく、下方の基板内に存在する1以上のドープされた井戸部に、または、他の下方のパターニング導体構造に印加される適切な通過電圧によってオン状態に制御され得る。
図4に示す実施形態は、例えば、同時係属中の米国特許出願第13/772,058号(出願日:2013年2月20日、発明の名称:「3D NANDフラッシュメモリ」)に説明するように実現され得る。当該出願は、本明細書に全て記載しているかのように、参照により本願に組み込まれる。
【0076】
図5は、複数のグローバルビットラインを備える分割ページ構成の3D NANDフラッシュメモリアレイ構造の別の例を示す斜視図である。各グローバルビットラインは、複数のメモリセルで構成される複数のレベルに結合されており、グローバルビットラインでは、本明細書で説明するプログラミング処理および消去処理が適用され得る。図示した例では、メモリセルが4つのレベルに配置されている様子が図示されている。複数のレベルを含み得る、複数のメモリセルで構成される一のブロックを表している。
【0077】
同図では絶縁材料を除去して、さらなる構造を露出させている。例えば、リッジ形状の積層体において半導体長尺部材間から絶縁層を除去して、半導体長尺部材で構成されるリッジ形状の積層体間から除去する。
【0078】
多層アレイが絶縁層上に形成されており、当該多層アレイは、複数の導電ライン525−1、・・・、525−n−1、525−nを含む。複数の導電ライン525−1、・・・、525−n−1、525−nは、複数のリッジ形状の積層体と形状が一致し、ワードラインWLn、WLn−1、・・・、WL1として動作する。複数のリッジ形状の積層体は、ローカルビットラインとして動作する半導体長尺部材を有する。同一レベルの複数の半導体長尺部材は、階段状に配置されているコンタクトパッドを含む延長部分によって電気結合されている。
【0079】
図示しているワードラインの番号は、1からNの昇順で、構造全体の後方から前方へと進み、偶数のメモリページに当てはまる。奇数のメモリページについては、ワードラインの番号は、Nから1の降順で、構造全体の後方から前方へと進む。
【0080】
図示しているように、ブロックの第1のの端部に配置されている延長部分502、503、504、505は、複数の異なるグローバルビットラインGBL1からGBL4に電気接続されている。同様に、延長部分552、553、554、555は、複数の異なるグローバルビットラインGBL1からGBL4に電気接続されている。
【0081】
複数の半導体長尺部材で構成される任意の所与の積層体は、延長部分502、503、504、505、および、延長部分552、553、554、555の両方ではなくどちらか一方の組に結合されている。複数の半導体長尺部材で構成される積層体は、ビットライン端部からソースライン端部の向き、または、ソースライン端部からビットライン端部の向きという2つの反対の向きのうち一方の向きとする。
【0082】
延長部分552、553、554、555で一端が終端している半導体長尺部材の積層体は、SSLゲート構造519、グラウンド選択ラインGSL526、ワードライン525−1 WLから525−N WL、グラウンド選択ラインGSL527を通過して、他端がソースライン528で終端している。このような半導体長尺部材で構成される積層体は、延長部分502、503、504、505に到達しない。
【0083】
複数の半導体長尺部材で構成される積層体は、一端が延長部分502、503、504、505で終端しており、SSLゲート構造509、グラウンド選択ラインGSL527、ワードライン525−N WLから525−1 WL、グラウンド選択ラインGSL526を通過し、他端がソースライン(図面の他の部分で見えなくなっている)によって終端している。このような複数の半導体長尺部材で構成される積層体は、延長部分552、553、554、555に到達しない。
【0084】
電荷蓄積構造は、ワードライン525−1から525−nを、半導体長尺部材から分離する。グラウンド選択ラインGSL526およびGSL527は、ワードラインと同様に、複数のリッジ形状の積層体と形状が一致している。
【0085】
グローバルビットラインGBL1からGBL4は、金属層ML1、ML2およびML3に形成される。図の他の部分によって見えなくなっているが、図示した例では、グローバルビットラインGBL1からGBL4はそれぞれ、複数のメモリセルで構成されるブロックの2つの異なるレベルに結合されている。例えば、図示によると、グローバルビットラインGBL1は、第4のレベルでローカルビットラインとして動作する一群の半導体長尺部材に接続されている延長部分505に結合されており、第1のレベルにおいてローカルビットラインとして動作する一群の半導体長尺部材に接続されている延長部分552に結合されている。
【0086】
図5に示す例によると、グローバルビットラインGBL1からGBL8は、第3の金属層にパターニングされており、ストリング選択ラインSSL1からSSL8は、第1および第2の金属層にパターニングされている。ストリング選択信号は、下方のストリングと平行な第1の金属部分を介して、そして、ワードラインと平行な第2の金属部分を介して、ブロックの両端部において一つおきに設けられているストリング選択トランジスタに結合される。
【0087】
図6Aは、4個のpチャネルNANDストリング601、602、603、604がpチャネルメモリセル(例えば、613)を含む、3D NANDアレイ(Y−Z平面)におけるスライスを示す回路図である。図示したストリング601、602、603、604は、
図5の3Dアレイと同様に、3Dアレイの複数の別箇のレベルに配置され得る。そして、SSLラインおよびGSLラインを共有し、(例えば、
図5に図示したものと同様の階段状のコンタクト構造を介して)それぞれグローバルビットラインBL−1からBL−4のうち対応するものに、そして、共通ソースCSライン605に結合される。ストリングは、対応するpチャネルストリング選択トランジスタ(例えば、612)によって対応するグローバルビットラインBL−1からBL−4に接続されている。ストリングは、対応するpチャネルグラウンド選択トランジスタ(例えば、611)によって、当該スライスのための共通ソースラインに接続されている。
【0088】
グラウンドビットライン、ブロック消去バイアス構成は、図示している電圧を供給しており、スライス内の複数のセルで構成されるブロック620を消去するために印加され得る。ブロック620は、ストリング選択トランジスタをオン状態に制御する電圧で、3Dユニットの他のスライスに結合されているSSLラインの全てにバイアスを印加することで、複数のセルで構成される所与の3Dブロックに全てのスライスを含めるとしてよい。
図6Aのブロック消去構成について、第1のスイッチトランジスタ611は、NANDストリングをCSライン605に結合するべく、GSLライン上の−4Vでバイアスを印加する。第2のスイッチトランジスタ612は、NANDストリングを選択されたビットラインBL−1に結合するべく、SSLライン上の−4Vでバイアスを印加する。全てのビットラインBL−1からBL−4および共通ソースCSライン605は、0V等の低電圧でバイアスを印加され、NANDストリングのローカルビットラインに正孔電流を発生させる。スライス内の全てのワードラインWL(0)からWL(N−1)は、−18V等の消去電圧に結合される。この結果、NANDストリングチャネルは0Vに近い低電圧に駆動される一方、ワードラインは消去電位に設定され、ブロック内の各メモリセルにおいて電界を構築し、メモリセル内の電荷蓄積構造に対して負のゲート・ファウラー・ノルトハイム(−FN)正孔トンネリングを発生させることで、しきい値電圧を低減する。
【0089】
図示した消去電圧およびビットライン電圧は−18Vという電位差に基づいて電界を構築するが、この電圧は特定の実施例に適した値に変化し、例えば、約−13Vから約−20Vの範囲内である。また、消去バイアス構成を適用する消去処理は、複数回の反復処理を含み、電圧をパルス状に印加して消去機能を実現するとしてよい。
【0090】
図6Bは、
図6Aと同じ回路図を示すが、分割電圧を利用するブロック消去バイアス構成の場合を示す。−FN正孔トンネリングによるブロック消去に必要な電界は、分割電圧方式を利用すると、回路上のより小さい絶対値の電圧を利用して構築が可能である。本例では、全ての電圧は+6Vだけ増加させ、ワードライン電圧の絶対値を低減させ、−18Vから−12Vに変更する。このように電圧の絶対値を小さくすることで、周辺回路が生成してアレイに分配する必要がある高電圧仕様を低減する。
【0091】
図6Aおよび
図6Bを参照しつつ説明したブロック消去処理は、NANDストリング内のチャネルの半導体ボディ部と比較して、比較的高い負電圧をブロック内のワードラインに印加することで実行される。周辺回路の最大動作電圧を抑制するべく、ゲートとビットライン/共通ソースラインバイアスとの間で電圧を分割することが好ましいとしてよい。
【0092】
nチャネルNANDは、−FNトンネリング消去の開始時にタイムラグ(約1ミリ秒、この値未満の可能性もある)が発生する問題を抱えていることが分かっている。これは、マイノリティキャリア(正孔)の生成に時間がかかるためである。一方、pチャネル3D NANDではこのような消去開始時のラグは発生せず、メモリウィンドウも大きい。また、消去中のSSL/GSLの乱れは無視できる程度である(不図示)ことも分かっている。
【0093】
図7Aは、
図6Aに図示された回路を示す。プログラミングバイアス構成の場合で、図示しているように電圧が供給され、電圧は、スライス内の選択されたメモリセル600をプログラミングするために印加され、バンド間ホットエレクトロントンネリング電流を発生させて選択されたメモリセルのしきい値を増加させる。
図7Aに示すプログラミングバイアス構成について、第1のスイッチトランジスタ611は、GSLライン上の−3.3Vでバイアスが印加され、NANDストリングをCSライン605に結合する。第2のスイッチトランジスタ612は、SSLライン上の−3.3Vでバイアスが印加され、NANDストリングを選択されたビットラインBL−1に結合する。選択されたビットラインBL−1は、−3.3Vでバイアスが印加される。共通ソースCSライン605は、0V等の低電圧でバイアスが印加される。
【0094】
選択されたワードラインWL(i)は、プログラミング電圧でバイアスが印加される。プログラミング電圧は、所与のメモリ構造について、約+6Vから+15Vの範囲内であるとしてよく、図示しているように約+9Vであってよい。ドレイン側の選択されていないワードラインWL(0)からWL(i−1)は、ドレイン側通過電圧でバイアスが印加され、ビットラインから電流を発生させる。所与のメモリ構造のドレイン側通過電圧は、約−9Vから−17Vの範囲内であってよく、図示されているように約−10Vであってよい。ソース側の選択されていないワードラインWL(i+1)からWL(N−1)は、ソース側通過電圧でバイアスが印加される。このソース側通過電圧は、所与のメモリ構造について、図示しているように約−3.3Vであってよい。
【0095】
選択されていないビットラインBL−2からBL−4は、禁止レベルに近い値でバイアスを印加する。禁止レベルは約0Vであってよい。
【0096】
この結果、NANDストリングチャネル内の選択されたメモリセルのドレイン側(領域622)は、ビットラインから分離しており、ドレイン側通過電圧パルスが印加されるので負の方向にブーストされる。一方、NANDストリング内の選択されたメモリセルのソース側(領域623)はCSラインに結合され0Vに近い電圧に到達する。選択されたメモリセル上の正のプログラミング電圧パルスは、当該セルをオフに制御する。選択されたワードライン上に高い正電圧が印加され、ドレイン側には負電圧が印加されているので、バンド間トンネリング電子電流をドレイン側に発生させる電界が発生し、電荷蓄積構造へのトンネリングのためのホットエレクトロンが供給される。しかし、選択されたメモリセルのソース側(領域623)は、0Vに近い電圧に結合されているので、加熱電界およびバンド間トンネリング電流は小さい。ドレイン側にトンネリング電流が発生することで、選択されたメモリセルのしきい値は大きくなる。
【0097】
選択されたビットライン上の選択されていないメモリセルは、加熱電界が発生せず、プログラミング処理によって大きく乱されることはない。選択されたワードラインを共有する他のビットライン上の選択されていないメモリセルは、ソース側およびドレイン側の両側に0Vに近い電圧を持つので、加熱電界は大きな乱れを発生させるほど十分な大きさではない。隣接するスライスでは、SSLバイアスがビットラインへの結合を阻止するので、容量性ブーストが、セルを大きく乱すのに十分な電界の形成を阻止する。
【0098】
図示されているプログラミング電圧、通過電圧およびビットライン電圧が約+9Vと−3.3Vとの間の電位差に基づき電界を構築するが、この電圧は特定の実施形態に応じて適宜変更される。また、プログラミングバイアス構成を適用するプログラミング処理は、複数回の反復処理を含み、電圧をパルス状に印加する。
【0099】
図7Bは、
図7Aと同じ回路図を示し、分割電圧を利用するプログラミングバイアス構成について示す。選択されたメモリセルでバンド間ホットエレクトロントンネリングを実現するために必要な電界は、分割電圧方式を利用して、回路において絶対値を小さくした電圧を用いても構築が可能である。本例によると、全ての電圧を3.3Vだけ上昇させ(一部の実施形態では、3.3VはVccと略等しい)、負でないビットライン電圧を発生させる。このようにビットライン電圧を負でない値にすることで、例えば、ページバッファ、および、メモリアレイと共に利用される他のビットライン関連の回路を実現する際に必要な複雑な構成は簡略化される。この結果、ビットライン上で負電圧を必要とすることなく読出処理、プログラミングおよび消去処理を実行可能な3Dメモリアレイが得られる。
【0100】
図8は、本明細書で説明するプログラミングバイアス構成におけるバンド間電流生成レートを示す、シミュレーションを示す図である(色無し)。半導体長尺部材800のレイアウトを示す。半導体長尺部材800は、例えば、
図5に図示した構造に含まれる長尺部材のうち1つに対応するとしてよい。長尺部材800の両側には、電荷蓄積構造801を含む層が図示されている。例えば、電荷蓄積構造801は、上述したBE−SONOS構造等の多層誘電電荷トラップ構造であってよい。ストリング選択ラインSSL803は、積層体間で垂直方向に延在して、長尺部材800の一端においてデュアルゲート構造(両側にSSL803)として存在する。同様に、グラウンド選択ラインGSL802は、積層体間で垂直方向に延在し、長尺部材800の反対側の一端においてデュアルゲート構造として存在する。ワードライン構造(例えば、810、811、812)は同様に、長尺部材に沿ってデュアルゲートメモリセル領域を構築する。長尺部材は、ジャンクション無しの構造であり、長尺部材800の半導体材料は全てn型で、ワードライン間にp型のジャンクションは形成されない。シミュレーションについて、さまざまな構成要素に印加される電圧を同図に図示している。共通ソースラインのバイアスを0Vとし、GSLバイアスを−3.3Vとすると、選択されたワードラインWL(n)のソース側のチャネルはグラウンド電圧に結合される。ビットラインのバイアスを−3.3Vにすると共にSSLバイアスを−3.3Vにすると、選択されたワードラインWL(n)のドレイン側のチャネルが分離される一方、選択されたメモリセル上の高い正電圧は、ドレイン側とソース側とを分離しているので、ワードラインWL(n+1)からWL63に印加される通過電圧パルス(−Vpass)でブーストされる。
【0101】
バンド間ホットエレクトロン生成は、SSLゲート構造803とワードラインWL63との間の領域823において比較的少ない。この電界に起因する乱れは、データ格納に利用されないダミーセルをこの場所に配置することで、例えば、NANDストリングの外側のワードラインまたは余剰ワードラインをデータ格納に利用されないダミーワードラインとして利用することで、回避される。
【0102】
バンド間ホットエレクトロン生成は、選択されたワードラインWL(n)と、ドレイン側の隣接するワードラインWL(n+1)との間の領域824において、比較的活発である。このバージョンの図には図示されていないが、バンド間ホットエレクトロン電流密度は、選択されたワードラインWL(n)の下方のデュアルゲート構造(両側のワードライン構造811)のチャネルの近傍において増加する。
【0103】
チャネルはワードラインWL(n+1)からWL63の近傍で局所的にブーストされるので、大きな横方向への電界が発生し、大きなバンド間トンネリング電流が生成され、選択されたメモリセルにホットエレクトロン注入すべきホットエレクトロンが得られる。選択されたワードラインに比較的高い正電圧を印加することで、PチャネルNANDストリングを流れる電流が切断される。バンド間トンネリングによって発生する比較的高密度の電子−正孔対は、選択されたメモリセル上のワードライン電圧によって構築される横方向の電界によって加速され、ホットキャリア注入が行われる。
【0104】
図9は、縦軸にしきい値電圧Vt、横軸にパルスサイクルカウントを示すグラフである。パルスサイクリングカウントを変動させた場合のターゲットセルに対するプログラミング性能をトレース900として図示し、および、プログラミングバイアス構成によって乱される可能性がある隣接セルに対するプログラミング性能を示す。トレース901は、
図5の構造において、ターゲットセルの長尺部材の上方に位置する半導体長尺部材における垂直隣接セル(Z方向の隣接セル)に対応する。この垂直隣接セルは、ターゲットセルと同じワードラインを共有する。トレース901によると、しきい値電圧の乱れはわずかであることが分かる。これは、垂直方向に隣接するセルで乱れが発生しないようにするプログラミング処理でアクセスする一連の層の構成によって管理され得る。トレース902から906は(グラフでは識別が容易ではない)、ターゲットセルと同じ長尺部材上のセル(Y方向に隣接するセル)、および、3D構造の同じ層内のセルであるが隣接する長尺部材に含まれるセル(X方向に隣接するセル)に対応する。
【0105】
図10は、縦軸にターゲットセルのしきい値電圧Vtを示し、横軸にプログラミングパルスのサイクルカウントを示すグラフである。値Vgpは、選択されたメモリセルのワードラインに印加されるプログラミング電圧である。トレース950は、ドレイン側通過電圧である−14ボルトの場合のプログラミング性能を示す図である。トレース951は、ドレイン側通過電圧が−13ボルトである場合のプログラミング性能を示す図である。トレース952は、ドレイン側通過電圧が−12ボルトの場合のプログラミング性能を示す図である。トレース953は、ドレイン側通過電圧が−11ボルトである場合のプログラミング性能を示す図である。トレース954は、ドレイン側通過電圧が−10ボルトの場合のプログラミング性能を示す図である。トレース955は、ドレイン側通過電圧が−9ボルトの場合のプログラミング性能を示す図である。通過電圧を増加させると、プログラミング速度が大幅に早くなる。
【0106】
図11は、縦軸にターゲットセルのしきい値電圧であるVtを示し、横軸にドレイン側通過電圧を示すグラフである。各トレースは、所定数のプログラミングパルスを印加した後に見られるしきい値に対応する。このため、トレース970は、20回プログラミングパルスを印加した後の性能に対応する。トレース971は、10回プログラミングパルスを印加した後の性能に対応する。トレース972は、5回プログラミングパルスを印加した後の性能に対応する。トレース973は、2回プログラミングパルスを印加した後の性能に対応する。トレース974は、1回プログラミングパルスを印加した後の性能に対応する。これによって、通過電圧を段階的に印加するプログラミング処理が効率的であることが分かり、しきい値電圧と通過電圧との間の関係を比較的直線的なものにすることができる。
【0107】
図12は、半導体長尺部材で構成される積層体1200−1203の上方のワードラインのレイアウトを示す平面図である。本例では、ストリング選択ゲートSSLは、長尺部材の上部に沿って配置されており、グラウンド選択ラインGSLは、長尺部材の下部に沿って配置されている。長尺部材はそれぞれ、一の共通ソースラインCSで終端している。ワードラインWL(0)からWL(N−1)は、長尺部材を横切るように設けられている。上部ダミーワードラインTDWLは、長尺部材の上部に沿って配置されており、下部ダミーワードラインBDWLは、下部に沿って配置されている。ダミーワードラインは、ストリング選択ラインおよびメモリセルで発生する乱れから使用しているメモリセルを保護するべく、そして、ストリング選択ラインとメモリセルとの間のイベント処理および他のバイアス構成のためのバッファを提供する。
【0108】
好ましい例では、長尺部材に沿った複数のメモリセルのプログラミングシーケンスが実行され、既にプログラミングされたセルに比較的高い負のドレイン側通過電圧に起因して発生する乱れを最小限に抑える。このような負のドレイン側通過電圧は、電荷漏れを発生させ、しきい値が高いセルのしきい値電圧が低減する可能性がある。乱れを抑制するべく、プログラミングシーケンスは、本例では、ソース側の最初のワードラインWL(N−1)で開始され得る。最初のワードライン上のターゲットセルをプログラミングした後、各ワードラインを下部から上部へと順番に利用して、最近プログラミングされたセルの乱れを最小限に抑える。また、隣接しているセルのプログラミングによって乱れが発生する可能性があるストリング内のプログラミングされたセルは、当該シーケンスで再度プログラミングされ得る。
【0109】
図13は、3D NANDアレイにおけるマルチページ平面(X−Y平面)を示す回路図である。当該3D NANDアレイでは、複数のpチャネルメモリセル(例えば、1313)を含む4つのpチャネルNANDストリング1301、1302、1303および1304が設けられている。図示したストリング1301、1302、1303、1304は、
図5に示したものと同様に、3Dアレイの同一レベルに配置されており、偶数ページおよび奇数ページについて偶数GSLラインおよび奇数GSLラインを共有し、複数の別箇のSSLラインが、例えば、
図5に図示したものと同様に、ブロックの互いに対向する端部において階段状のコンタクト構造を介して偶数および奇数のグローバルビットラインBL−N(偶数)およびBL−N(奇数)に結合されており、偶数および奇数の共通ソースCSライン1305に結合されている。ストリングは、p−チャネルストリング選択トランジスタ(1342、1343、1344、1345)によって対応するグローバルビットラインBL−1からBL−4に接続されている。ストリングは、対応するpチャネルグラウンド選択トランジスタ(例えば、1311、1312)によって、当該平面の偶数または奇数の共通ソースラインに接続されている。
【0110】
選択されたメモリセル1300をプログラミングするためのバイアス構成を
図13に図示する。選択されたメモリセル1300は、NANDストリング1302に配置されており、SSLトランジスタ1342によってビットラインBL−N(奇数)に接続されている。SSLトランジスタ1342に接続されている信号SSL1は、−3.3Vでバイアスが印加され、選択されたビットラインは、略同一レベルでバイアスが印加され、ストリングのドレイン側をビットラインから分離する。GSLトランジスタ1315に接続されている信号GSL(奇数)は、約−8Vでバイアスが印加され、ストリングのソース側を、約0Vでバイアスが印加されている共通ソースCSラインに接続する。約−13Vであるドレイン側通過電圧は、本例では、ワードラインWL(0)からWL(i−1)に印加されている。約−3.3V(−Vccと同等)のソース側通過電圧がソース側ワードラインWL(i+1)からWL(N−1)に印加される。選択されたワードラインWL(i)は、本例において、約+9Vのプログラミング電圧を受け取る。このバイアスレベルは、半導体ストリングのソース側(領域1323)からドレイン側(領域1322)を分離する。通過電圧パルスがドレイン側ワードラインに印加されるタイミングで、半導体ストリング1302の半導体ボディ部のドレイン側は、比較的高い負電圧にブーストされ、ソース側は約0Vに結合される。この結果、選択されたメモリセル1300は、バンド間トンネリングによるホットエレクトロン注入によってプログラミングを行うべく、バイアスが印加される。
【0111】
SSLトランジスタ1343、1344、1345に結合されている、選択されていないストリングは、メモリセルに蓄積されている電荷が乱れないようにするべく、バイアスが印加される。SSLトランジスタ1343に接続されており、選択されたビットラインBL−N(奇数に接続されるように配置されているストリング1304について、SSL3の信号は、ビットラインBL−N(奇数)からの電圧である−3.3Vをストリング1304に結合するのに十分な約−8Vに設定される。これによって、ストリング1304のドレイン側は電圧−3.3Vでバイアスが印加されるが、これは、選択されたワードラインWL(i)に結合されているセル内で大きなトンネリング電流を発生させるには十分ではない。SSLトランジスタ1344、1345を持つストリング1301および1303について、当該トランジスタは当該ストリングを選択されていないビットラインBL−N(偶数)に接続しており、ゲート上の信号SSL0およびSSL2は、約−8Vに設定され、ソース側領域1323のトランジスタを、選択されていないビットラインに印加されている0Vに結合する。また、GSLトランジスタ(例えば、1311、1312)に結合されている偶数および奇数のGSLラインは、約−8Vのバイアスを受け取り、ドレイン側(選択されたセルのドレイン側)領域1322を、共通ソースラインの0Vに結合する。これによって、選択されたワードラインWL(i)に結合されている選択されていないメモリセルにおいてバンド間トンネリング条件が形成されないようになる。
【0112】
図13に図示したプログラミングバイアス構成は、多くのページを含む構造に拡大して適用し得る。同図に図示している具体的な電圧は代表的なものであり、所望の効果を実現する妥当な範囲内で変動し得る。
【0113】
図14は、
図13に示すマルチページの実施形態における、しきい値電圧と通過電圧との関係を示すグラフである。図示しているように、選択されていないページにおいてしきい値が低いメモリセルは、隣接するページでプログラミングしても、大きな乱れは発生しない。同図によると、選択されていないページにおいてSSLトランジスタに印加される信号は、ドレイン側通過電圧に等しく、−3.3Vであるビットライン上のバイアスよりも十分に高く、通過電圧が印加されている間にブーストが発生しないように、ストリングがビットラインに接続されるようにする。
【0114】
図15は、消去処理のバイアス構成の場合の、
図13に図示した回路を示す図である。図示した例では、ストリング1302に対応するページは、選択されたメモリセル1300を消去するべくバイアスが印加されている。選択されたビットラインBL−N(奇数)は約0Vに結合されており、選択されたページのSSLトランジスタに結合されている信号SSL1は、約−3.3Vに結合されている。これによって、ストリング内のセルの半導体ボディ部が、選択されたビットライン上の電圧(0V)に結合される。選択されていないビットラインは、約−3.3Vのバイアスを受け取る。選択されていないページの信号SSL0、SSL2およびSSL3は、約+1Vに結合される。これによって、SSLトランジスタはオフに制御され、選択されたビットラインからの対応するページと、選択されていないビットラインからの対応するページとの結合がオフに制御される。GSL(偶数)およびGSL(奇数)の信号も、約−3.3Vに設定される。共通ソースラインは同様に約−3.3Vに結合される。この結果、−FNトンネリングを発生させるべく、選択されたメモリセル1300を分離する。選択されていないページは、SSLトランジスタがオフに制御されているので、通過電圧および消去電圧が印加されるとセルフブーストされ、選択されていないページにおけるメモリセルにおいて乱れが発生しないようにする。
【0115】
図16は、
図5と同様の3Dアレイのスライスについて
図6Aの回路を示し、選択されたメモリセル113を消去するためのバイアス構成を示す。選択的消去またはビット消去のためのバイアス構成は、選択されたビットラインBL−1に約0Vを印加し、共通ソースラインに約−3.3Vを印加することを含む。選択されていないビットラインBL−2、BL−3、BL−4はさらに、約−3.3Vを受け取る。SSLトランジスタ(例えば、612)に印加されるSSLラインは、約−3.3Vを受け取り、GSLトランジスタ(例えば、611)に印加されるGSLラインは、約0Vを受け取る。このバイアス構成によると、半導体ストリング601は、選択されたビットラインの電圧である約0Vにボディ部が結合され、領域650内の他の半導体ストリングは、対応するビットラインおよび共通ソースラインから分離される。この結果、消去電圧が選択されたワードラインWL(i)に印加され、通過電圧が選択されていないワードライン(WL(i)を除く全てのワードライン)に印加される場合、選択されていないストリングは容量的にブーストされて、FNトンネリング電界が形成されないようにするが、選択されたメモリセル613ではトンネリング電界が形成される。通過電圧レベルは、ストリングを通じて選択されたビットラインからの電圧の移動を可能としつつ、選択されたストリング上の選択されていないメモリセルに蓄積されている電荷に大きな乱れを発生させるためには不十分なレベルに設定される。
【0116】
図17は、分割電圧方式を利用した、
図16と同様のビット選択的消去バイアス構成を示す図である。本例では、分割電圧は、
図16の各電圧を上向きに約+Vccだけシフトさせることで設定する。これによって、負でない電圧をビットラインで利用することが可能になり、メモリを動作させるための電圧を分配するために必要なページバッファおよび他の構造の実施が簡略化される。このように、分割電圧を利用するビット消去のためのバイアス構成は、+Vccと略等しい電圧を選択されたビットラインBL−1に印加し、約0Vを共通ソースラインに印加することを含む。選択されていないビットラインBL−2、BL−3、BL−4もまた、約0Vを受け取る。SSLトランジスタ(例えば、612)に印加されているSSLラインは約0Vを受け取り、GSLトランジスタ(例えば、611)に印加されるGSLラインは+Vccと略等しい電圧を受け取る。このバイアス構成によると、半導体ストリング101は、選択されたビットラインの電圧である+Vccに略等しい電圧にボディ部が結合される一方、領域650内の他の半導体ストリングは、対応するビットラインから分離され、共通ソースラインから分離される。この結果、消去電圧が選択されたワードラインWL(i)に印加され、通過電圧が選択されていないワードライン(WL(i)以外の全てのワードライン)に印加される場合、選択されていないストリングは容量的にブーストされ、FNトンネリング電界が形成されないようにする一方、選択されたメモリセル613ではトンネリング電界が構築される。通過電圧レベルは、ストリングを介した選択されたビットラインからの電圧の移動を可能としつつ、選択されたストリングの選択されていないメモリセルに蓄積されている電荷に大きな乱れを発生させるためには不十分なレベルに設定する。
【0117】
図18は、
図16のバイアス構成について、消去抑制性能を説明するべく、プログラミングパルスおよび通過電圧パルスの長さを10μsとする場合の、しきい値電圧と時間との関係を示すグラフである。当該グラフによると、隣接するセルにおいて大きな乱れを発生させることなく、選択されたワードラインWL(i)上の選択されたメモリセルにおけるしきい値電圧降下が発生し得ることが分かる。他のトレースからは、隣接する高いしきい値のセルの乱れが最小限に抑えられていることが分かる。隣接するセルは、ブロックの同一平面または同一レベルにおける選択されたワードラインにおけるセルを含むので、同一ワードラインおよび同一スライス上であるが隣接する異なるレベル(Z方向に隣接)上の同一ビットライン(X方向に隣接)のセルに結合されており、同一ストリング(Y方向に隣接)内の隣接するワードラインのセルを含む。
【0118】
このため、ブロック消去処理、ビットプログラミング処理およびビット消去処理をサポートする3D NANDメモリデバイスを説明する。例えば、以下のテーブルでは、本明細書で説明しているように利用可能な動作シーケンスを図示する。最初の一対のコラムには、5個のワードライン(WL(i+2)、WL(i+1)、WL(i)、WL(i−1)、WL(i−2))および隣接するビットライン(BL(m)、BL(m+1))に接続されているメモリセルのブロック消去後のデータを示す。二番目の一対のコラムには、同じメモリセルについて、説明したバンド間トンネリングホットエレクトロン注入を利用するビットプログラミング処理の後のデータを示す。三番目の一対のコラムには、同じメモリセルについて、本明細書で説明するビット消去用バイアス処理を利用するビット消去後のデータを示す。
【表1】
【0119】
このように、ブロック消去処理は、全てのメモリセルを論理値「1」に設定するべく適用され得る。ビットプログラミング処理は、第1のシーケンスでビットラインBL(m)に適用されて、ワードラインWL(i+2)、WL(i+1)およびWL(i−1)上のメモリセルを論理値「0」に設定し、第2のシーケンスでビットラインBL(m+1)に適用されて、ワードラインWL(i+2)、WL(i)およびWL(i−2)上のメモリセルを論理値「0」に設定する。続いて、ビット消去処理は、第1のシーケンスにおいて適用されるとワードラインWL(i−1)およびビットラインBL(m)上のメモリセルを論理値「1」に設定し、第2のシーケンスにおいて適用されると、ワードラインWL(i+2)およびビットラインBL(m+1)上のメモリセルを論理値「1」に設定する。試験結果によると、ビット消去処理は実行可能であり、プログラミング処理および消去処理の乱れにもかかわらず、良好なセンシングウィンドウを維持している。また、通常のドレイン電流対ゲート電圧の曲線が、格子状プログラミング処理にわたって、維持される。
【0120】
図19は、
図1に図示したような、制御ロジック回路およびバイアス回路および電源回路を含む集積回路において制御回路が実行する処理を示す。ブロック1900において、制御回路は入力されたコマンドをデコードする。当該コマンドは、本明細書に説明した技術の実施形態に係る選択的プログラミング1901、選択的消去1902およびブロック消去1903のいずれか1つであってよい。選択的プログラミングコマンドを受信する場合、
図7Aに図示し、ブロック1904に図示しているようなバンド間トンネリングホットエレクトロン注入を発生させるためのプログラミングバイアス構成を適用する。別の構成によると、負でない電圧のみをビットラインに印加する分割電圧方式を適用するとしてよい。選択的消去コマンドを受信する場合、
図16に図示しており、ブロック1905に図示しているように、選択されたセルにおいて−FN正孔トンネリングを発生させる選択的消去バイアス構成を適用する。別の構成によると、負でない電圧のみをビットラインに印加する分割電圧方式を適用するとしてよい。ブロック消去コマンドを受信すると、
図6Aに図示しており、ブロック1906に図示しているように、選択されたブロックに−FN正孔トンネリングを発生させるブロック消去バイアス構成を適用する。別の構成によると、チップ上で必要とされる負電圧の絶対値を低減する分割電圧方式を適用するとしてよい。
【0121】
ジャンクション無しの実施形態で実施され得るpチャネル構成を利用する3D NANDメモリデバイスを説明している。ジャンクション無しの実施形態では、ストリング内に高ドープ濃度のp型濃度拡散領域が存在しない。逆に、半導体材料で形成されるn型長尺部材で実現され得る。p+拡散領域は、ストリング内において、ストリング選択トランジスタの外部でのみ実現され得る。このため、良好な短チャネルデバイス性能が実現される。メモリセルストリングに対してp+ドーピングの熱拡散を発生させないよう、ストリング選択トランジスタについて比較的長いチャネル長が実現され得る。
【0122】
バンド間トンネリングによるホットエレクトロン注入方法は、pチャネルNANDストリングのプログラミングを行うべく適用される。高効率で実施するべく、局所的なセルフブーストを用いて、ストリング上での実質的なドレインバイアスを高めるとしてよい。
【0123】
一のブロックの全てのワードラインに比較的大きい負電圧を印加して当該ブロック内のメモリセルを消去するための正孔電流を発生させるブロック消去処理を説明している。
【0124】
また、−FNトンネリングに基づく選択メモリセル消去処理(ビット消去)を説明している。選択されたワードラインのみがトンネリングを発生させるために十分なレベルの負電圧を受け取り、ブロック内の他のワードラインは通過電圧レベルを受け取る。選択メモリセル消去処理を利用することで、一部の種類のメモリの利用に際して、メモリセルの小さな単位を単純に上書きする処理を実行してブロック消去処理を回避することができる。
【0125】
分割電圧を利用する実施例を説明している。当該実施例では、周辺回路の実施を簡略化し得るので、例えば、負のビットライン電圧を処理可能なページバッファが必要なくなる。
【0126】
本明細書に説明した技術を利用することで、最大電圧が+15Vまたは−15Vの範囲内であり、周辺CMOSデバイスを実現する際の設計ルール(サイズ)を小さくすることが可能な3D NANDデバイスが提供される。
【0127】
本明細書で説明した3D NAND用のアーキテクチャは、説明した動作方法に良く適したものである。しかし、説明した動作方法はさらに、pチャネル型の「BiCS」、「TCAT」等を含む他の種類の3D NAND構造に適用可能である。BiCS構造の説明については、「R.Katsumata他、「Pipe−shaped BiCS Flash Memory with 16 Stacked Layers and Multi−Level−Cell Operation for Ultra High Density Storage Devices」、Symposium on VLSI Technology、pp.136−137、2009」を参照されたい。当該文献は、全て本明細書に記載したものとして、参照により本願に組み込まれる。TCAT構造の説明については、「J. Jang他、「Vertical Cell Array using TCAT (Terabit Cell Array Transistor) Technology for Ultra High Density NAND Flash Memory」、Symposium on VLSI Technology、pp. 192−193、2009」を参照されたい。当該文献は、全て本明細書に記載したものとして、参照により本願に組み込まれる。これらの参照文献で考慮されているnチャネル型の実施例をpチャネル型に変更することで、本明細書で説明している動作方法の利用が可能になる。
【0128】
本発明は、詳細に上述した好ましい実施形態および例に基づき開示したが、上述した例は本発明を限定するものではなく例示するものと理解されたい。当業者であれば変形および組み合わせには容易に想到すると考えられたい。これらの変形例および組み合わせ例は、本発明の意図するものであり、以下に記載する特許請求の範囲に含まれるものとする。