(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
以下、
図1から
図7を参照しつつ、本発明に係るステッピングモータの第1の実施形態について説明する。本実施形態に係るステッピングモータは、例えば腕時計の指針を動作させる運針機構や日付機構等を駆動させるために適用される小型のモータであるが、本発明に係るステッピングモータを適用可能な実施形態はこれに限定されるものではない。
【0013】
図1は、本実施形態におけるステッピングモータの平面図である。
図1に示すように、ステッピングモータ100は、ステータ(Stator;固定子)1と、ロータ(Rotor;回転子)5とを備えている。
【0014】
ロータ5は、径方向に2極着磁されたロータ磁石50が回転支軸51に取り付けられたものである。本実施形態では、ロータ磁石50は円盤状に形成されており、回転支軸51はロータ磁石50の円中心に取り付けられている。
ロータ磁石50としては、例えば希土類磁石等(例えば、サマリウムコバルト磁石等)の永久磁石が好適に用いられるが、ロータ磁石50として適用可能な磁石の種類はこれに限定されない。
ロータ5は、後述するステータ本体10のロータ受容部14に受容され、回転支軸51を回転中心として回転可能に配置されている。なお、本実施形態において、ロータ5は、後述する2つのコイル(第1コイル22a,第2コイル22b)に同時又は順次に駆動パルスが印加されることによって、ロータ受容部14内で正転方向(すなわち反時計回りの方向)及び逆転方向(すなわち時計回りの方向)のいずれの方向にも所定のステップ角で回転可能となっている。
回転支軸51には例えば時計の指針を運針させるための運針機構(輪列機構)を構成する歯車等(図示せず)が連結されており、ロータ5が回転することにより、この歯車等を回転させるようになっている。
【0015】
本実施形態において、ステータ1は、ステータ本体10と、2つのコイルブロック20(第1コイルブロック20a、第2コイルブロック20b)により構成されている。なお、以下において、単に「コイルブロック20」としたときは、第1コイルブロック20a及び第2コイルブロック20bを含むものとする。
ステータ本体10は、直状部11aとこの直状部11aの一端側にほぼ左右対称に張り出した張出部11bを備えほぼT字型に形成されたセンターヨーク11と、このセンターヨーク11の直状部11aの他端側にほぼ左右対称に設けられた一対のサイドヨーク12(12a,12b)とからなり、外形がほぼ錨形状となっている。
ステータ本体10は、例えばパーマロイ等の高透磁率材料によって形成されている。
【0016】
ステータ本体10には、センターヨーク11とサイドヨーク12a,12bとの交点に、ほぼ円形の孔部であってロータ5が受容されるロータ受容部14が形成されている。
【0017】
また、ステータ本体10には、励磁状態において、ロータ受容部14に受容されるロータ5のロータ磁石50の外周に沿って、第1磁極15a、第2磁極15b、第3磁極15cの3つの磁極15が現れるようになっている。
本実施形態では、ロータ受容部14の周囲であってセンターヨーク11側に現れる磁極15を第1磁極15a、ロータ受容部14の周囲であってサイドヨーク12a側に現れる磁極15を第2磁極15b、ロータ受容部14の周囲であってサイドヨーク12b側に現れる磁極15を第3磁極15cとする。
【0018】
ステータ側1の3つの磁極15(第1磁極15a、第2磁極15b、第3磁極15c)は、後述する2つのコイルブロック20のコイル22に駆動パルスが印加されることにより、その極性(S極・N極)が切り替えられるようになっている。
すなわち、後述する第1コイルブロック20aは、その一端側がステータ本体10のセンターヨーク11の張出部11bと磁気的に連結され、第1コイルブロック20aの他端側はステータ本体10のサイドヨーク12aの自由端と磁気的に連結されている。また、第2コイルブロック20bは、その一端側がステータ本体10のセンターヨーク11の張出部11bと磁気的に連結され、第2コイルブロック20bの他端側はステータ本体10のサイドヨーク12bの自由端と磁気的に連結されている。
これにより、本実施形態では、これら2つのコイルブロック20のコイル22(第1コイル22a、第2コイル22b)に後述する制御手段31の制御により駆動パルスが印加され、これによりコイル22から磁束が生ずると、磁束はコイルブロック20の磁心21及びこれと磁気的に連結されているステータ本体10に沿って流れ、3つの磁極15(第1磁極15a、第2磁極15b、第3磁極15c)の極性(S極・N極)が適宜切り替えられる。
【0019】
また、ステータ1は、ロータ5の静止状態を維持させるステータ側静止部を備えている。本実施形態において、ステータ側静止部は、ステータ1のロータ受容部14の内周面に形成された3つの凹部(すなわち、ノッチ;notch)16(凹部16a〜16c)である。
具体的には、ステータ1のロータ受容部14の内周面であって、ステータ本体10に現れる第1磁極15aにおけるロータ磁石50に対向する側の磁極の頂点に凹部16aが形成されている。また、この凹部16aとロータ磁石50のいずれかの極の頂点とが対向した際に、ロータ磁石50の各極を結ぶ線に直交し、かつロータ磁石50の中心を通る線上(すなわち、ロータ磁石50の分極位置に対応する位置)にそれぞれ凹部16b及び凹部16cが形成されている。
本実施形態において、ステッピングモータ100は、この凹部16b及び凹部16cとロータ磁石50の分極位置とが対向している状態において最もインデックストルク(保持トルク)が大きくなるため、駆動パルスが印加されていない非通電状態では、ロータ5は、
図1に示すような、凹部16b及び凹部16cとロータ磁石50の分極位置とが対向している位置で磁気的に安定して停止する。
【0020】
2つのコイルブロック20(第1コイルブロック20a、第2コイルブロック20b)は、いずれもパーマロイ等の高透磁率材料を用いた磁心21と、この磁心21に導線を巻回することにより形成されたコイル22(第1コイル22a、第2コイル22b)と、を有している。本実施形態において第1コイル22a、第2コイル22bは、導線の線径、巻線回数及び巻線方向が同じとなっている。なお、以下において、単に「コイル22」としたときは、第1コイル22a及び第2コイル22bを含むものとする。
【0021】
第1コイルブロック20aの磁心21の一端側は、ステータ本体10のセンターヨーク11の張出部11bとビス止めにより磁気的に連結され、第1コイルブロック20aの他端側は、ステータ本体10のサイドヨーク12aの自由端とビス止めにより磁気的に連結されている。また、第2コイルブロック20bの磁心21の一端側は、ステータ本体10のセンターヨーク11の張出部11bとビス止めにより磁気的に連結され、第2コイルブロック20bの他端側は、ステータ本体10のサイドヨーク12bの自由端とビス止めにより磁気的に連結されている。
なお、ステータ本体10、第1コイルブロック20a、第2コイルブロック20bの連結手法は、ステータ本体10、第1コイルブロック20a、第2コイルブロック20bを磁気的に連結可能なものであればよく、ビス止めに限定されない。例えば、ステータ本体10と、第1コイルブロック20a及び第2コイルブロック20bとを溶接固定する手法等であってもよい。
なお、ステッピングモータ100は、ステータ本体10と2つのコイルブロック20とを固定するビスによって、図示しない装置内や基板上等に固定されてもよい。
【0022】
2つのコイルブロック20の磁心21の一端側が連結されているセンターヨーク11の張出部11bには、一対の基板17,18が重畳されている。基板17,18は、ステータ本体10と2つのコイルブロック20とを固定するビスによってステータ1の上に固定されている。なお、基板は、2つに分割されず一つながりとなっていてもよい。
基板17上には、第1コイルブロック20aの第1のコイル端子171及び第2のコイル端子172が実装されている。第1コイル22aの導線端部24,24は、それぞれ基板17上の第1のコイル端子171、第2のコイル端子172に接続されており、第1コイル22aは、この第1のコイル端子171及び第2のコイル端子172を介して、
図2等に示すように、後述するモータ駆動回路32に接続されている。
同様に、基板18上には、第2コイルブロック20bの第1のコイル端子181及び第2のコイル端子182が実装されている。第1コイル22bの導線端部24,24は、それぞれ基板18上の第1のコイル端子181、第2のコイル端子182に接続されており、第2コイル22bは、この第1のコイル端子181及び第2のコイル端子182を介して、
図2等に示すように、モータ駆動回路32に接続されている。
【0023】
図3(a)から
図3(c)は、本実施形態におけるステッピングモータ100を動作させるモータ駆動回路の一例を示す回路図である。
モータ駆動回路32は、駆動パルスを2つのコイル22に同時又は順次に印加するものであり、
図3(a)から
図3(c)に示すように、スイッチング素子32a〜32f(本実施形態では、FET;電界効果トランジスタ)をHブリッジ型に構成したHブリッジ回路である。
本実施形態において、モータ駆動回路32は、第1コイル22aに対応するモータ駆動回路と第2コイル22bに対応するモータ駆動回路とを並列接続して、各回路を構成する一部のスイッチング素子32a,32bを共通化して構成されている。
具体的には、モータ駆動回路32は、第1コイル22aの第1のコイル端子171及び第2コイル22bの第1のコイル端子181と電源Vとの間にスイッチング素子32aが配置され、第1コイル22aの第1のコイル端子171及び第2コイル22bの第1のコイル端子181とGNDとの間にスイッチング素子32bが配置されている。
また、モータ駆動回路32は、第1コイル22aの第2のコイル端子172と電源Vとの間にスイッチング素子32cが配置され、第1コイル22aの第2のコイル端子172とGNDとの間にスイッチング素子32dが配置されている。
同様に、モータ駆動回路32は、第2コイル22bの第2のコイル端子182と電源Vとの間にスイッチング素子32eが配置され、第2コイル22bの第2のコイル端子182とGNDとの間にスイッチング素子32fが配置されている。
なお、モータ駆動回路32の構成は、ここに例示したものに限定されない。例えば、2つのコイル22に対応してスイッチング素子を4つずつ備えるHブリッジ型のモータ駆動回路をそれぞれ設けて、これを並列接続してもよい。
【0024】
また、
図2に示すように、モータ駆動回路32は、2つのコイル22のうち、検出回路35による検出の対象とならないコイル22(他方のコイル22)をハイインピーダンス状態とするように切り替えるスイッチング機構30を含んでいる。
本実施形態では、スイッチング機構30は、2つのコイル22の第1のコイル端子171,181とGNDとの間に配置されているスイッチング素子32b、及び2つのコイル22の第2のコイル端子172,182とGNDとの間に配置されているスイッチング素子32d,32fにより構成されている。
【0025】
制御手段31は、第1コイル22aと第2コイル22bとに同時又は順次に駆動パルスを印加させるとともに、駆動パルスの印加後、駆動パルスの印加を所定期間停止させるようにモータ駆動回路32を制御するものである。具体的には、制御手段31は、モータ駆動回路32のスイッチング素子32a〜32fのON/OFFを切り替えることにより、第1コイル22a及び第2コイル22bに適宜駆動パルスを印加させる。なお、駆動パルスの印加を停止させる印加停止期間は、ステッピングモータ100の駆動を阻害しない程度の極短い期間である。
本実施形態では、制御手段31は、後述するように、3つの駆動パルスを連続的に印加するようにモータ駆動回路32を制御することにより、ロータ5を180度回転させるようになっており、当該一連の駆動パルス(連続的に印加される3つの駆動パルス)の印加後に駆動パルスの印加を停止させるようにモータ駆動回路32を制御する。
また、本実施形態において、制御手段31は、駆動パルスの印加が停止されている印加停止期間中に、後述する検出回路35(
図2等参照)による検出の対象とならないコイル22(他方のコイル22)をハイインピーダンス状態とするようにスイッチング機構30を制御する。
制御手段31の構成は特に限定されないが、例えばLSI(Large Scale Integration)等で構成されている。
【0026】
ここで、まず、ロータ5を回転させるための制御手段31によるスイッチング素子32a〜32fのON/OFFの切り替え制御の一例を、
図3(a)から
図3(c)及び
図4(a)から
図4(c)を参照しつつ説明する。
図4(a)から
図4(c)は、ロータ5を正転(すなわち反時計回りの方向に回転)させる場合の磁束の流れを示す図である。
図3(a)から
図3(c)における実線は、それぞれ
図4(a)から
図4(c)の各場合に対応する電流の流れを示している。
図4(a)から
図4(c)では、ロータ磁石50のS極が第1磁極15aに最も近接している状態(
図1に示す状態)を初期位置(0度位置)とし、当該状態から反時計回りにロータが回転する場合について示している。また、
図4(a)から
図4(c)において、実線矢印はコイル22から発生する磁束の向きを示し、破線矢印は、ステータ1に流れる磁束の流れを示している。
【0027】
ロータ磁石50のS極が第1磁極15aに最も近接して磁気的に安定している初期状態(
図1に示す状態)では、ロータ磁石50のS極に対向する第1磁極15aがN極となり、他の2つの極(第2磁極15b及び第3磁極15c)がS極となっている。この初期状態(初期位置)からロータ5を正転(反時計回りに回転)させる際には、まず、制御手段31は、
図3(a)に示すように、スイッチング素子32a及び32dをONとし、第1コイル22aに1つ目の駆動パルスを印加する。これにより、
図3(a)に実線で示すように電流が流れ、
図4(a)に示すように、第1コイル22aから実線で示す向きの磁束が発生して、ステータ本体10及び磁心21に沿って破線で示す向きの磁束が流れる。これにより第3の磁極15cがN極となり、ロータ磁石50のN極が第3の磁極15cと反発するとともに第2の磁極15bの方に引き寄せられることでロータ5が正転方向に回転を始める。
続いて、制御手段31は、
図3(b)に示すように、スイッチング素子32e及び32bをONとし、第2コイル22bに2つ目の駆動パルスを印加する。これにより、
図3(b)に実線で示すように電流が流れ、
図4(b)に示すように、第2コイル22bから実線で示す向きの磁束が発生して、ステータ本体10及び磁心21に沿って破線で示す向きの磁束が流れる。これにより第1の磁極15aがS極となり、ロータ磁石50のN極が第1の磁極15aの方に引き寄せられることでロータ5が正転方向にさらに回転する。
さらに、制御手段31は、
図3(c)に示すように、スイッチング素子32b、32c及び32eをONとし、2つのコイル22a,22bに3つ目の駆動パルスを印加する。これにより、
図3(c)に実線で示すように電流が流れ、
図4(c)に示すように、第1コイル22a及び第2コイル22bから実線で示す向きの磁束が発生して、ステータ本体10及び磁心21に沿って破線で示す向きの磁束が流れる。これにより第2の磁極15bがN極となり、ロータ磁石50のN極が第2の磁極15bと反発するとともに第1の磁極15aの方に引き寄せられることでロータ5が正転方向にさらに回転し、ロータ磁石50の分極部分が凹部(ノッチ)16b,16cに対向する位置(すなわち、初期位置から180度回転した位置である180度位置)で磁気的に安定してロータ5の回転が停止する。
なお、同様に3つの駆動パルスを順次印加することによって、ロータ5はさらに180度回転し、もとの初期状態(初期位置である0度位置)に戻る。
【0028】
また、図示は省略するが、
図1に示す初期状態(初期位置)からロータ5を逆転(すなわち時計回りの方向に回転)させる際には、制御手段31は、まず、スイッチング素子32a及び32fをONとして第2コイル22bに1つ目の駆動パルスを印加する。続いて、制御手段31は、スイッチング素子32c及び32bをONとして第1コイル22aに2つ目の駆動パルスを印加する。さらに、制御手段31は、スイッチング素子32b、32c及び32eをONとし、2つのコイル22a,22bに3つ目の駆動パルスを印加する。これにより、ロータ5を正転させる場合と同様に、ロータ磁石50の分極部分が凹部(ノッチ)16b,16cに対向する位置(すなわち、初期位置から180度回転した位置である180度位置)で磁気的に安定してロータ5の回転が停止する。
また、ロータ5を正転させる場合と同様に、さらに3つの駆動パルスを順次印加することにより、ロータ5は180度回転し、もとの初期状態(初期位置)に戻る。
【0029】
制御手段31は、ロータ5を180度正転方向に(又は180度逆転方向に)回転させるのに必要な一連の駆動パルス(本実施形態では1つ目の駆動パルスから3つ目の駆動パルスの3つの駆動パルス)を印加すると、その後に、2つのコイル22の第1のコイル端子171,181及び第2のコイル端子172,182と電源Vとの間に配置されているスイッチング素子32a,32c,32eをOFFとするようにモータ駆動回路32を制御する。これにより、2つのコイル22への駆動パルスの印加が所定期間停止される。
【0030】
次に、2つのコイル22のいずれかをハイインピーダンス状態とするための制御手段31によるスイッチング素子32a〜32fのON/OFFの切り替え制御の一例を、
図5(a)から
図5(d)を参照しつつ説明する。
図5(a)は、
図1に示す初期位置(0度位置)からロータ5を180度位置に正転させた後に駆動パルスの印加を停止し、その回転方向に回転し過ぎた場合のダンピングの様子を示す平面図であり、
図5(c)は、
図5(a)に示す状態のステッピングモータのロータが逆転して180度位置に戻る場合のダンピングの様子を示す平面図である。なお、
図5(a)及び
図5(c)において、破線はコイル22に生じる逆起電力による誘導電流の向きを示している。また、
図5(b)は、
図5(a)の状態に対応する回路図の一例であり、
図5(d)は、
図5(c)の状態に対応する回路図の一例である。なお、
図5(b)及び
図5(d)において、実線はコイル22に生じる逆起電力による誘導電流の向きを示している。
【0031】
制御手段31は、駆動パルスの印加が停止されている印加停止期間中に、検出回路35による検出の対象とならないコイル22(他方のコイル22)をハイインピーダンス状態とするように、スイッチング機構30であるスイッチング素子32d,32fのON/OFFを適宜切り替えるようにモータ駆動回路32を制御する。
例えば、
図5(a)から
図5(d)では、駆動パルスの印加が停止されている印加停止期間中に、第2コイル22bをハイインピーダンス状態とする場合を例示しており、この場合には、制御手段31は、スイッチング素子32fをOFFとする。
これにより、第2のコイル端子182と電源Vとの間に配置されたスイッチング素子32e及び第2のコイル端子182とGNDとの間に配置されたスイッチング素子32fがともにOFFとなり、当該第2コイル22bへと流れる電流経路が断たれて(第2コイル22bが擬似的にモータ駆動回路32から切り離されて)、第2コイル22bがハイインピーダンス状態となる。
このため、第1コイル22aからは逆起電力による誘導電流(
図5(a)及び
図5(c)において破線、
図5(b)及び
図5(d)において実線で示す)が生じるが、ハイインピーダンス状態とされた第2コイル22bからは逆起電力による誘導電流が生じない(なお、
図5(b)及び
図5(d)では、二点鎖線で仮想の誘導電流の向きを示している)。
【0032】
なお、2つのコイル22のうちいずれのコイル22をハイインピーダンス状態とするかは、後述する検出回路35がいずれのコイル22について逆起電力(逆起電圧)を検出するかに応じて決定される。
例えば、本実施形態で示すように、ロータ5を180度回転させるための3つの駆動パルスのうち、ロータ5の停止直前に印加される3つ目の駆動パルスが、2つのコイル22のいずれにも印加される場合には、いずれのコイル22について逆起電力を検出してもよく、制御手段31は、検出回路35によって逆起電力を検出しない方のコイル22についてハイインピーダンス状態となるように、スイッチング機構30であるスイッチング素子32d,32fのON/OFFの切り替えを行う。
また、ロータ5の停止直前に印加される3つめの駆動パルスが、いずれか一方のコイル22のみに印加される場合には、検出回路35は、当該駆動パルスが印加された方のコイル22で逆起電力の検出を行うことが好ましく、この場合、制御手段31は、検出回路35によって逆起電力を検出しない方のコイル22(すなわち、3つ目の駆動パルスが印加されなかった方のコイル22)についてハイインピーダンス状態となるように、スイッチング機構30であるスイッチング素子32d,32fのON/OFFの切り替えを行う。
【0033】
また、ステッピングモータ100は、コイル22への駆動パルスの印加が停止されている印加停止期間中に、2つのコイル22のうちのいずれか一方のコイル22に生じる逆起電力を検出する検出手段を備えている。
本実施形態において、検出手段は、コイル22に生じる逆起電力(本実施形態では逆起電圧)を検出する検出回路35である。検出回路35は、基板17,18上の第1のコイル端子171,181、第2のコイル端子172,182に接続されている。
【0034】
本実施形態では、検出回路35は、コイル22に生じる逆起電力(本実施形態では逆起電圧)を増幅して検出する回路であり、図示しないスイッチング素子(例えばFET;電界効果トランジスタ)を介して第1のコイル端子171,181、第2のコイル端子172,182と接続されている。
検出回路35がコイル22に生じる逆起電圧を検出する回転検出期間(
図7(a)及び
図7(b)参照、なお、
図7(a)及び
図7(b)等において「回転検出区間」と示す。)においては、第2のコイル端子172,182と検出回路35との間に設けられたスイッチング素子(図示せず)がONに切り替えられ、コイル22から検出回路35に電流が流れる状態とされる。
さらに、本実施形態では、検出回路35に瞬間的に電流が流れるようにするため、スイッチング機構30を構成するスイッチング素子(本実施形態では、スイッチング素子32b,32d,32f)を適宜短時間ずつON/OFFするように、スイッチング機構30を構成するスイッチング素子のON/OFFする制御が制御手段31により行われる。
なお、検出手段は、コイル22に生じる逆起電力(逆起電圧)を検出可能なものであればよく、その構成や逆起電力(逆起電圧)の検出の手法はここに例示したものに限定されない。
【0035】
2つのコイル22のうちいずれのコイル22に生じる逆起電力(逆起電圧)を検出回路35により検出するかは、上記のように、ロータ5の停止直前に印加される3つ目の駆動パルスがいずれのコイル22に印加されたか等により適宜決定される。
検出回路35は、スイッチング機構30(本実施形態では、スイッチング素子32d,32f)により他方のコイル22(例えば第2コイル22b)がハイインピーダンス状態とされた状態において、一方のコイル22(例えば第1コイル22a)に生じる逆起電力(逆起電圧)を検出する。
【0036】
検出回路35によって検出された検出結果は、制御手段31に出力され、検出回路35によって検出された逆起電圧が一定レベル以下である場合には、ロータ5が正常に回転しなかった(非回転)と判断される。ロータ5が非回転であると判断された場合には、制御手段31により、ロータ5を回転させる補正パルスをさらに印加する駆動パルス制御が行われる。
【0037】
次に、本実施形態におけるステッピングモータ100の作用について、
図5(a)から
図5(d)及び
図6(a)、
図6(b)等を参照しつつ、説明する。
【0038】
図3(a)から
図3(c)、
図4(a)から
図4(c)に示すように、ロータ5を所定のステップ角(本実施形態では180度)で正転方向に回転させるために必要な3つの駆動パルスを2つのコイル22に印加した後、制御手段31は、2つのコイル22の第1のコイル端子171,181及び第2のコイル端子172,182と電源Vとの間に配置されているスイッチング素子32a,32c,32eをOFFとするようにモータ駆動回路32を制御する。これにより、2つのコイル22への駆動パルスの印加が停止される。
【0039】
駆動パルスの印加が停止されると、ロータ5は、磁気的安定位置(すなわち、ロータ磁石50の分極部分が凹部(ノッチ)16b,16cに対向する位置)を挟んでダンピングする。すなわち、磁気的安定位置を通り過ぎる方向(正転方向に回転した場合には
図5(a)において矢印で示す正転方向、逆転方向に回転した場合には
図5(a)において矢印で示す方向とは逆の逆転方向)への移動、及び逆方向に戻ろうとする方向(正転方向に回転した場合には
図5(c)において矢印で示す逆転方向、逆転方向に回転した場合には
図5(c)において矢印で示す方向とは逆の正転方向)に揺動する。このとき、コイル22からは逆起電力が生ずる。
【0040】
本来、ステッピングモータを構成する2つのコイル22に駆動パルスが印加され、当該駆動パルスの印加が停止されると、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、磁気的安定位置を通り過ぎる方向に移動(図示せず)し、逆方向に戻ろうとする方向(
図6(a)において矢印で示す逆転方向)に移動(揺動)することにより、2つのコイル22a,22bの両方で逆起電力が生じる(
図6(a)において破線、
図6(b)において実線で、逆起電力による誘導電流の向きを示す。)。この場合、
図6(b)に示すように、2つのコイル22a,22bは並列に電気的に接続されていることから、2つのコイル22a,22bの間で逆起電力は分散又は吸収され、互いに打ち消し合うように働く。
【0041】
これに対して、本実施形態では、
図5(b)及び
図5(d)に示すように、駆動パルスの印加後、駆動パルスの印加が停止されている印加停止期間中に、制御手段31は、2つのコイル22の第1のコイル端子171,181及び第2のコイル端子172,182と電源Vとの間に配置されているスイッチング素子32a,32c,32eをOFFとする他、2つのコイル22(第1コイル22a,第2コイル22b)のうち、逆起電力の検出対象とならない方のコイル22(本実施形態では、第2コイル22b)の第2のコイル端子182とGNDとの間に配置されているスイッチング機構30としてのスイッチング素子32fをOFFとする。これにより、第2コイル22bは、ハイインピーダンス状態となる。
このように一方のコイル22をハイインピーダンス状態とした場合には、
図5(b)及び
図5(d)に示すように、ハイインピーダンス状態とされた方のコイル22(本実施形態では、第2コイル22b)への電流経路が断たれた状態となり、
図5(a)から
図5(d)に示すように、当該コイル22からは逆起電力を生じず、他方のコイル22(本実施形態では、第1コイル22a)から生ずる逆起電力に影響を与えない状態となる。
【0042】
検出回路35は、駆動パルスの印加が停止されている印加停止期間中であって、スイッチング機構30により他方のコイル22(本実施形態では、第2コイル22b)がハイインピーダンス状態とされた状態において、一方のコイル22(本実施形態では、第1コイル22a)に生じる逆起電力を検出する。
【0043】
図7(a)及び
図7(b)は、2つのコイル22を備えるステッピングモータに駆動パルスを印加しその後駆動パルスの印加を停止した場合においてコイル22に生じる逆起電力による誘導電流の波形の変化を示したグラフである。
図7(a)は、逆起電圧の検出を行わない側のコイル22をハイインピーダンス状態としない(すなわち、
図6(a)及び
図6(b)に示す状態)で逆起電圧の検出を行う従来の手法の場合の例であり、
図7(b)は、逆起電圧の検出を行わない側のコイル22をハイインピーダンス状態として(すなわち、
図5(a)から
図5(d)に示す状態で)逆起電圧の検出を行う本実施形態の手法の場合の例である。
なお、
図7(a)及び
図7(b)において、駆動パルス印加区間とは、コイル22に駆動パルスが印加されている区間を示し、回転検出区間とは、駆動パルスの印加停止後、検出回路35により、回転検出のための逆起電力(逆起電圧)の検出が行われる区間(すなわち、回転検出期間)を示す。
【0044】
図7(a)及び
図7(b)において、左端の波形は、駆動パルス印加区間において、ロータ5を回転させるための駆動パルスがコイル22に印加されることで生じる電流の波形を表し、中央部の波形は、駆動パルスの印加が停止された後の回転検出区間において、ロータ5が、磁気的安定位置を通り過ぎて回り過ぎた際、すなわち、駆動パルスが印加された際の回転方向と同じ方向(
図5(a)及び
図5(b)に示す状態)にダンピングする際にコイル22に生じる逆起電力による誘導電流の波形を表し、右端の波形は、回転検出区間において、一旦磁気的安定位置を通り過ぎたロータ5が、
図5(a)の状態から逆側に揺れ戻される際、すなわち、駆動パルスが印加された際の回転方向と逆方向(
図5(c)及び
図5(d)に示す状態)にダンピングする際にコイル22に生じる逆起電力による誘導電流の波形を表している。
ロータ5は、駆動パルスの印加が停止された後、上記のように磁気的安定位置を挟んで正転方向、逆転方向の双方にダンピング(揺動)し、このいずれの場合にもコイル22には逆起電圧が生じるが、本実施形態では、検出回路35は、このうち、ロータ5が一旦磁気的安定位置を通り過ぎた後に逆側に揺れ戻される際にコイル22に生じる逆起電圧(
図7(a)及び
図7(b)において一点鎖線で囲んだ右側の波形を生じる逆起電力)を検出する。
【0045】
図7(a)に示すように、従来の手法の場合には、検出回路35による検出対象となる逆起電力(逆起電圧)による誘導電流の波形(
図7(a)の右側の波形)がごく僅かしか現れない。
ロータ5が正常に回転しなかった場合には、コイル22に逆起電力(逆起電圧)が生じず、これに基づく誘導電流も流れない。この点、
図7(a)における右側の波形は、誘導電流が流れないロータ非回転の場合とあまり差異がなく、検出回路35により検出される逆起電圧の電圧値も低くなる。
このように、検出回路35により検出される逆起電圧の電圧値が低い場合には、ロータ5が非回転であった場合との区別がし難く、ロータ5の回転・非回転を判定することが非常に困難となる。この場合、実際にはロータ5が正常に回転したにもかかわらず、非回転と判断されて余分な補正パルスが誤って印加されてしまうおそれがある。
これに対して、本実施形態のように、検出対象とならないコイル22をハイインピーダンス状態とした場合には、
図7(b)に示すように、検出回路35による検出対象となる逆起電力(逆起電圧)による誘導電流の波形(
図7(b)の右側の波形)が大きく現れる。この場合には、検出回路35により検出される逆起電圧の電圧値も十分に高くなる。
このように逆起電圧の電圧値がロータ5の回転・非回転を判定するのに十分な程度に高い場合には、検出回路35による検出結果に基づいてロータ5の回転・非回転を正確に判定することができる。
【0046】
以上のように、本実施形態によれば、2つのコイル22を備えるステッピングモータ100の場合に、駆動パルスの印加後、駆動パルスの印加を所定期間停止させるとともに、駆動パルスの印加が停止されている印加停止期間中に、一方のコイル22(例えば第2コイル22b)をハイインピーダンス状態とするようにスイッチング機構30を制御する制御手段31を備え、スイッチング機構30により一方のコイル22(例えば第2コイル22b)がハイインピーダンス状態とされた状態において、検出回路35が、他方のコイル22(例えば第1コイル22a)に生じる逆起電力を検出するようになっている。
ステッピングモータが2つのコイルを備えている場合には、駆動パルスの印加が停止した際に、コイルで生じた逆起電力が2つのコイルで分散されたり、吸収しあったりすることにより、逆起電力のピークが低くなってしまう。
この点、本実施形態では、検出回路35による検出の対象とならない側のコイル22をハイインピーダンス状態として、当該コイル22への電流経路を断った状態とする。これにより、検出回路35による検出の対象となる側のコイル22に逆起電力が集中して、検出回路35によって十分に検出可能なレベル以上となり、ロータ5が正常に回転した場合には、ロータ5が非回転の場合と明確に異なる電圧値を得ることができる。
このため、2つのコイル22を備える場合でも、ロータ5の回転検出を、簡易な構成により正確に行うことができ、ステッピングモータ100の高精度の回転制御を実現することが可能となる。
【0047】
[第2の実施形態]
次に、
図8(a)から
図8(d)を参照しつつ、本発明に係るステッピングモータの第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、制御手段によるモータ駆動回路のスイッチング素子の切り替え制御の手法のみが第1の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0048】
本実施形態において、モータ駆動回路32は、2つのコイル22(第1コイル22a,第2コイル22b)について、当該コイル22で発生するインダクタンスによる電流の向きをそろえる方向で直列に接続するように2つのコイル22の接続を切り替えるスイッチング機構を含んでいる。
本実施形態において、スイッチング機構は、モータ駆動回路32を構成するスイッチング素子のうち、第1コイル22a及び第2コイル22bの第1のコイル端子171,181とGNDとの間に配置されたスイッチング素子32bと、第1コイル22aの第2のコイル端子172とGNDとの間に配置されたスイッチング素子32dと、第2コイル22bの第2のコイル端子182とGNDとの間に配置されたスイッチング素子32fと、で構成されている。
【0049】
制御手段31は、駆動パルスの印加後、印加停止期間中に、当該コイル22で発生するインダクタンスによる電流の向きをそろえる方向で2つのコイル22を直列に接続するようにスイッチング機構を制御する。
ここで、
図8(a)から
図8(d)を参照しつつ、本実施形態における制御手段31によるスイッチング機構の制御について詳細に説明する。
【0050】
図8(a)は、ロータ磁石50のS極が第1磁極15aに最も近接して磁気的に安定している初期状態(初期位置である0度位置)からロータ5を180度位置に正転させた後に駆動パルスの印加を停止し、その回転方向に回転し過ぎた場合における磁気的安定位置近傍でのロータ5のダンピングの様子を示す平面図であり、
図8(c)は、
図8(a)に示す状態のロータ5が逆転して180度位置に戻る場合における磁気的安定位置近傍でのロータ5のダンピングの様子を示す平面図である。また、
図8(b)は、
図8(a)の状態に対応する回路図の一例であり、
図8(d)は、
図8(c)の状態に対応する回路図の一例である。
【0051】
ロータ5を180度位置に正転させた後に駆動パルスの印加を停止した場合には、制御手段31は、第1コイル22a及び第2コイル22bの第1のコイル端子171,181とGNDとの間に配置されたスイッチング素子32bをOFFとし、第1コイル22aの第2のコイル端子172とGNDとの間に配置されたスイッチング素子32d及び第2コイル22bの第2のコイル端子182とGNDとの間に配置されたスイッチング素子32fをONとするように、スイッチング素子32b,32d,32fのON/OFFを切り替える制御を行う。
これにより、
図8(a)及び
図8(b)に示すように、第1コイル22aと第2コイル22bとがコイル22で発生するインダクタンスによる電流の向きをそろえる方向で直列に接続された状態となり、あたかも2つのコイル22が一つながりのコイルであるかのように、第2コイル22bの磁心21から第1コイル22aの磁心21に向かう逆起電力が生じる。
【0052】
また、
図8(a)に示す状態のロータ5が逆転して180度位置に戻る場合にも、制御手段31は、第1コイル22a及び第2コイル22bの第1のコイル端子171,181とGNDとの間に配置されたスイッチング素子32bをOFFとし、第1コイル22aの第2のコイル端子172とGNDとの間に配置されたスイッチング素子32d及び第2コイル22bの第2のコイル端子182とGNDとの間に配置されたスイッチング素子32fをONとするように、スイッチング素子32b,32d,32fのON/OFFを切り替える制御を行う。
これにより、
図8(c)及び
図8(d)に示すように、第1コイル22aと第2コイル22bとがコイル22で発生するインダクタンスによる電流の向きをそろえる方向で直列に接続された状態となり、あたかも2つのコイル22が一つながりのコイルであるかのように、第1コイル22aの磁心21から第2コイル22bの磁心21に向かう逆起電力が生じる。
【0053】
ここで、インダクタンスはコイル22の巻線数に比例し、駆動パルスの印加が停止されたときにコイル22に生じる逆起電力は、
[コイルの鎖交磁束]/[時間]
=[コイルの巻線数]×[磁石による磁束の量]/[時間]
で表すことができる。
本実施形態のように、インダクタンスをそろえる方向で2つのコイル22を直列に接続した場合には、巻線数が2倍のコイルと同様にみなすことができるため、当該接続された2つのコイル22に生じる逆起電力(逆起電圧)を、2つのコイル22を接続しない場合と比較して2倍とすることができる。
【0054】
検出回路35は、スイッチング機構により2つのコイル22が直列に接続された状態において、当該接続状態のコイル22に生じる逆起電力(本実施形態では、第1の実施形態と同様、逆起電圧)を検出する。
【0055】
なお、その他の構成は、第1の実施形態と同様であることから、同一部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0056】
次に、本実施形態におけるステッピングモータの作用について、
図8(a)から
図8(d)を参照しつつ説明する。
第1の実施形態と同様に、ロータ5を所定のステップ角(本実施形態では180度)で回転させるために必要な3つの駆動パルスを2つのコイル22に印加した後、制御手段31は、2つのコイル22の第1のコイル端子171,181及び第2のコイル端子172,182と電源Vとの間に配置されているスイッチング素子32a,32c,32eをOFFとするようにモータ駆動回路32を制御する。これにより、2つのコイル22への駆動パルスの印加が停止される。
【0057】
駆動パルスの印加が停止されると、ロータ5は、磁気的安定位置(すなわち、ロータ磁石50の分極部分が凹部(ノッチ)16b,16cに対向する位置である180度位置)を挟んで、正転方向、逆転方向にダンピング(揺動)する。
図8(a)では、正転方向に回転し、その回転方向に回転し過ぎた場合のダンピングした際の回転方向を矢印で示している。また、
図8(c)では、
図8(a)に示す状態のロータ5が逆転方向に回転して180度位置に戻る場合のダンピングした際の回転方向を矢印で示している。このとき、2つのコイル22からは逆起電力が生じ、コイル22に誘導電流が流れる。
【0058】
正転方向にロータ5を回転させた場合には、駆動パルスの印加後、駆動パルスの印加が停止されている印加停止期間中に、制御手段31は、
図8(b)に示すように、第1コイル22a及び第2コイル22bの第1のコイル端子171,181とGNDとの間に配置されたスイッチング素子32bをOFFとし、第1コイル22aの第2のコイル端子172とGNDとの間に配置されたスイッチング素子32d及び第2コイル22bの第2のコイル端子182とGNDとの間に配置されたスイッチング素子32fをONとするように、スイッチング素子32b,32d,32fのON/OFFを切り替える制御を行う。
また、
図8(a)に示す状態のステッピングモータのロータ5が逆転方向に回転して180度位置に戻る場合にも、制御手段31は、
図8(d)に示すように、第1コイル22a及び第2コイル22bの第1のコイル端子171,181とGNDとの間に配置されたスイッチング素子32bをOFFとし、第1コイル22aの第2のコイル端子172とGNDとの間に配置されたスイッチング素子32d及び第2コイル22bの第2のコイル端子182とGNDとの間に配置されたスイッチング素子32fをONとするように、スイッチング素子32b,32d,32fのON/OFFを切り替える制御を行う。
これにより、
図8(a)から
図8(d)に示すように、第1コイル22aと第2コイル22bとがコイル22で発生するインダクタンスによる電流の向きをそろえる方向で直列に接続され、あたかも一つながりのコイルと同様となって、第1コイル22a、第2コイル22bから個別に生じる逆起電力の2倍の逆起電力が生じる。
【0059】
検出回路35は、駆動パルスの印加が停止されている印加停止期間中であって、スイッチング機構により2つのコイル22a,22bが直列に接続された状態において、当該接続状態のコイル22に生じる逆起電力(逆起電圧)を検出する。
接続状態のコイル22からは、第1コイル22a、第2コイル22bから個別に生じる逆起電力の2倍の逆起電力が生じるため、検出回路35による検出結果に基づいてロータ5の回転・非回転を正確に判定することができる。
【0060】
なお、その他の点については、第1の実施形態と同様であることから、その説明を省略する。
【0061】
以上のように、本実施形態によれば、2つのコイル22を備えるステッピングモータ100の場合に、駆動パルスの印加後、駆動パルスの印加を所定期間停止させるとともに、駆動パルスの印加が停止されている印加停止期間中に、2つのコイル22をインダクタンスによる電流の向きをそろえる方向で直列に接続するようにスイッチング機構を制御する制御手段31を備え、スイッチング機構により2つのコイル22が接続された状態において、検出回路35が、当該接続状態のコイル22に生じる逆起電力を検出するようになっている。
ステッピングモータが2つのコイルを備えている場合には、駆動パルスの印加が停止した際に、コイルで生じた逆起電力が2つのコイルで分散されたり、吸収しあったりすることにより、逆起電力のピークが低くなってしまう。この点、本実施形態では、ステッピングモータ100を構成する2つのコイル22を接続した上で検出回路35による逆起電圧の検出を行う。これにより、第1コイル22a、第2コイル22bから個別に生じる逆起電力の2倍の逆起電力を生じさせることができ、検出回路35により逆起電圧の検出を行った場合に、ロータ5が正常に回転している場合と非回転の場合とで明確な電圧値のピークの差異を生じる。このため、2つのコイル22を備える場合でも、ロータ5の回転検出を、簡易な構成により正確に行うことができ、ステッピングモータ100の高精度の回転制御を実現することが可能となる。
【0062】
[第3の実施形態]
次に、
図9及び
図10(a)から
図10(d)を参照しつつ、本発明に係るステッピングモータの第3の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、ステータ側静止部及びロータの構成のみが第1の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第1の実施形態等と異なる点について説明する。
【0063】
図9は、本実施形態のステッピングモータの平面図である。
図9に示すように、本実施形態のステッピングモータ200は、第1の実施形態等と同様に、3つのヨーク(すなわち、センターヨーク11、サイドヨーク12a、サイドヨーク12b)を備えるステータ本体10と2つのコイルブロック20(第1コイルブロック20a及び第2コイルブロック20b)とを備えるステータ1と、ステータ本体10のロータ受容部14に回転可能に受容されたロータ5等を備えて構成されている。
【0064】
本実施形態において、ステータ本体10には、励磁状態において、ロータ受容部14に受容されるロータ5のロータ磁石50の外周に沿って、センターヨーク11側の第1磁極15a、サイドヨーク12a側の第2磁極15b、サイドヨーク12b側の第3磁極15cの3つの磁極15がほぼ120度ごとに均一に現れるようになっている。
このように、本実施形態では、ロータ磁石50の外周に沿って、第1磁極15a、第2磁極15b、第3磁極15cの3つの磁極15がほぼ120度ごとに均一に配置されるため、コイル22に通電していない非通電状態においてロータ磁石50から発生する磁束が安定して磁極15を回る位置(すなわち、ロータ磁石50のS極・N極いずれかの極がステータ本体10のいずれかの磁極15と対峙する位置)が60度ごとに均一に現れる。このため、この60度ごとの箇所ではロータ5のディテントトルク(静止トルク)が大きくなる。
【0065】
また、ステータ1には、第1の凹部(すなわち、ノッチ;notch)19が形成されている。第1の凹部19は、ロータ5の静止状態を維持させるステータ側静止部である。
ステータ側静止部は、ステータ本体10の3つのヨーク(すなわち、センターヨーク11、サイドヨーク12a、サイドヨーク12b)に現れる各磁極15(第1磁極15a、第2磁極15b、第3磁極15c)におけるロータ磁石50に対向する側の磁極の頂点であって、かつロータ5の回転に伴ってロータ5のロータ側静止部であるいずれかの第2の凹部52(52a,52b)に対向し得る位置に配置される。
本実施形態では、3つの磁極15(第1磁極15a、第2磁極15b、第3磁極15c)に対応して、ロータ受容部14の内周面に、ほぼ120度ごとに周期的に3つの第1の凹部19(第1の凹部19a,19b,19c)が設けられている。
【0066】
さらに、本実施形態のロータ磁石50には、その外周面であって各磁極(S極及びN極)の、ロータ磁石50における周方向におけるほぼ中央部(すなわち、各磁極の頂点)に、それぞれ第2の凹部(すなわち、ノッチ;notch)52(第2の凹部52a,52b)が形成されている。
第2の凹部52は、ロータ5の静止状態を維持させるロータ側静止部である。
【0067】
本実施形態では、いずれかの第2の凹部52(第2の凹部52a,52b)がステータ1側のいずれかの第1の凹部16(第1の凹部19a,19b,19c)と対向する位置に配置されたときに、大きなインデックストルク(保持トルク)が働き、ロータ5は、当該位置で停止した状態を維持するようになっている。
前述のように、第1の凹部19a,19b,19cはほぼ120度ごとに周期的に設けられており、第2の凹部52a,52bは、2極着磁したロータ磁石50の各磁極の頂点にそれぞれ設けられているため、いずれかの第2の凹部52(第2の凹部52a,52b)がステータ1側のいずれかの第1の凹部16(第1の凹部19a,19b,19c)と対向する位置は、60度回転毎に現れる。
このため、本実施形態におけるステッピングモータ200は、コイル22に1回駆動パルスが印加される毎に、ロータ5が、60度ずつのステップ角で回転する。
【0068】
本実施形態において、制御手段31は、モータ駆動回路を制御して、駆動パルスを2つのコイルに同時又は順次に印加させ、1回駆動パルスを印加する毎に、当該駆動パルスの印加後、コイル22の第1のコイル端子171,181及び第2のコイル端子172,182と電源Vとの間に配置されているスイッチング素子32a,32c,32eをともにOFFとして、駆動パルスの印加を所定期間停止させる。そして、駆動パルスの印加が停止されている印加停止期間中に、検出回路35による検出の対象とならない方のコイル22(他方のコイル22)をハイインピーダンス状態とするように、スイッチング機構であるスイッチング素子32d,32fのON/OFFを適宜切り替えるようにモータ駆動回路32を制御する。
【0069】
例えば、
図10(a)から
図10(d)では、駆動パルスの印加が停止されている印加停止期間中に、第2コイル22bをハイインピーダンス状態とする場合を例示しており、この場合には、制御手段31は、スイッチング素子32fをOFFとする。
これにより、第2のコイル端子182と電源Vとの間に配置されたスイッチング素子32e及び第2のコイル端子182とGNDとの間に配置されたスイッチング素子32fがともにOFFとなり、当該第2コイル22bへの電流経路が断たれた状態となって、第2コイル22bがハイインピーダンス状態となる。
このため、第1コイル22aからは逆起電力による誘導電流(
図10(a)及び
図10(c)において破線、
図10(b)及び
図10(d)において実線で示す。)が生じるが、ハイインピーダンス状態とされた第2コイル22bからは逆起電力による誘導電流が生じない(なお、
図10(c)及び
図10(d)では、二点鎖線で仮想の誘導電流の向きを示している)。
【0070】
検出回路35は、このように一方のコイル22(
図10(a)から
図10(d)において第2コイル22b)がハイインピーダンス状態とされた状態において、他方のコイル22(
図10(a)から
図10(d)において第1コイル22a)に生じる逆起電力を検出する。
検出回路35による検出結果は、制御手段31に送られ、当該検出結果に基づいて、ロータ5が60度毎の各ステップにおいて正常に回転したか否かの判定(回転検出)が行われる。
【0071】
なお、その他の構成は、第1の実施形態と同様であることから、同一部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0072】
次に、本実施形態におけるステッピングモータ200の作用について、
図10(a)から
図10(d)を参照しつつ、説明する。
【0073】
ロータ5を所定のステップ角(本実施形態では60度)で回転させるために必要な1つの駆動パルスを2つのコイル22の一方又は双方に印加した後、制御手段31は、2つのコイル22の第1のコイル端子171,181及び第2のコイル端子172,182と電源Vとの間に配置されているスイッチング素子32a,32c,32eをOFFとするようにモータ駆動回路32を制御する。これにより、2つのコイル22への駆動パルスの印加が停止される。
【0074】
駆動パルスの印加が停止されると、ロータ5は、磁気的安定位置(すなわち、ロータ磁石50のいずれかの第2の凹部(ノッチ)52a,52bがステータ1のいずれかの第1の凹部(ノッチ)19a,19b,19cに対向する位置)を挟んでダンピングし、このとき、コイル22からは逆起電力が生ずる。
【0075】
本実施形態では、第1の実施形態と同様に、
図10(b)及び
図10(d)に示すように、駆動パルスの印加後、駆動パルスの印加が停止されている印加停止期間中に、制御手段31は、2つのコイル22の第1のコイル端子171,181及び第2のコイル端子172,182と電源Vとの間に配置されているスイッチング素子32a,32c,32eをOFFとする他、2つのコイル22(第1コイル22a,第2コイル22b)のうち、逆起電力の検出対象とならない方のコイル22(本実施形態では、第2コイル22b)の第2のコイル端子182とGNDとの間に配置されているスイッチング機構としてのスイッチング素子32fをOFFとする。これにより、第2コイル22bは、ハイインピーダンス状態となる。
【0076】
検出回路35は、駆動パルスの印加が停止されている印加停止期間中であって、スイッチング機構により他方のコイル22(本実施形態では、第2コイル22b)がハイインピーダンス状態とされた状態において、一方のコイル22(本実施形態では、第1コイル22a)に生じる逆起電力(逆起電圧)を検出する。
【0077】
なお、その他の点については、第1の実施形態と同様であることから、その説明を省略する。
【0078】
以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得られる他、以下の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態の構成では、ロータ5を、60度を一単位(1ステップ)として精度よく回転させることができるため、回転角度を細かく制御することが可能である。
例えば、時計の指針を運針させる運針機構の駆動源等としてステッピングモータ100を用いる場合、ロータ5が180度ステップで回転する場合には、ギア(歯車)を用いて大きく減速しなければ指針の運針角度を小さくすることができない。すなわち、例えばロータ5が180度ステップで回転する場合に指針を1度ステップで動かすためには1/180の減速が必要となる。これに対して、本実施形態のように、ロータ5を、60度を一単位として回転可能とした場合には、例えば指針を1度ステップで動かすためには1/60の減速を行えば足り、多くのギア(歯車)を用いて大きく減速しなくても細かい運針角度等を実現することができる。また、一般的に6度ステップで動いている秒針を2度ステップで動かすためには、3倍減速するためのギア(歯車)が必要となるが、本実施形態におけるステッピングモータ200を用いれば、調速のためのギア(歯車)を設けることなく2度ステップへの変換が可能となるため、運針にぶれを生じにくく、指針を滑らかに運針させることができる。
このように、本実施形態では、減速を行うためのギア(歯車)等の部品点数が少なくてすむため、装置コストを抑えることができる。また、ギア(歯車)等の部品点数を少なくできるため、ステッピングモータ200を組み込む装置内のスペースを効率よく利用することができ、ステッピングモータ200を組み込んだ装置の小型化、薄型化を図ることができる。また、このようにステッピングモータ100に接続される調速機構を構成するギア(歯車)等の機械部品が少なくてすむことにより、バックラッシュの累積等を軽減することができ、ステッピングモータ200により駆動される運針機構等の精度を向上させることができる。
また、本実施形態において、ステータ側静止部はロータ受容部14の内周面に設けられた第1の凹部16であり、ロータ側静止部はロータ磁石50の外周面であって各磁極の頂点に設けられた第2の凹部52であるため、比較的容易な加工によりロータを確実に静止させるための手段を設けることができる。
また、多極着磁されたロータを製造するためには複雑で高価な金型や着磁機が必要となるが、本実施形態では2極着磁されたロータ磁石50を用いている。このため、60度を一単位とした回転を実現可能なステッピングモータ200を簡易な構成で、比較的容易かつ安価に製造することができる。
【0079】
[第4の実施形態]
次に、
図11(a)から
図11(d)及び
図12(a)から
図12(d)を参照しつつ、本発明に係るステッピングモータの第4の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、ステータ側静止部及びロータの構成が第3の実施形態と同様であり、制御手段によるモータ駆動回路のスイッチング素子の切り替え制御の手法のみが第3の実施形態と異なるものであるため、以下においては、特に第3の実施形態等と異なる点について説明する。
【0080】
図11(a)等に示すように、本実施形態のステッピングモータは、第1の実施形態等と同様に、3つのヨーク(すなわち、センターヨーク11、サイドヨーク12a、サイドヨーク12b)を備えるステータ本体10と2つのコイルブロック20(第1コイルブロック20a及び第2コイルブロック20b)とを備えるステータ1と、ステータ本体10のロータ受容部14に回転可能に受容されたロータ5等を備えて構成されている。
また、本実施形態のステッピングモータには、第3の実施形態と同様に、ステータ1に第1の凹部19(第1の凹部19a,19b,19c)が形成されており、ロータ5に第2の凹部52(第2の凹部52a,52b)が形成されている。
これにより、ステッピングモータは、第3の実施形態と同様に、ロータ5を、60度を一単位(1ステップ)として精度よく回転させることができる。
【0081】
また、
図11(b)等に示すように、本実施形態のステッピングモータのモータ駆動回路40は、2つのコイル22(第1コイル22a、第2コイル22b)に対応して、2つのHブリッジ回路41,42を備えており、モータ駆動回路40は、これら2つのHブリッジ回路41,42を、スイッチング素子を介して接続することで構成されている。
【0082】
具体的には、第1コイル22aに対応したHブリッジ回路41は、第1コイル22aの第1のコイル端子171と電源Vとの間にスイッチング素子41aが配置され、第1コイル22aの第1のコイル端子171とGNDとの間にスイッチング素子41bが配置されている。
また、Hブリッジ回路41は、第1コイル22aの第2のコイル端子172と電源Vとの間にスイッチング素子41cが配置され、第1コイル22aの第2のコイル端子172とGNDとの間にスイッチング素子41dが配置されている。
同様に、第2コイル22bに対応したHブリッジ回路42は、第2コイル22bの第1のコイル端子181と電源Vとの間にスイッチング素子42aが配置され、第2コイル22bの第1のコイル端子181とGNDとの間にスイッチング素子42bが配置されている。
また、Hブリッジ回路42は、第2コイル22bの第2のコイル端子182と電源Vとの間にスイッチング素子42cが配置され、第2コイル22bの第2のコイル端子182とGNDとの間にスイッチング素子42dが配置されている。
さらに、2つのHブリッジ回路41,42は、第1コイル22aの第1のコイル端子171と第2コイル22bの第2のコイル端子182との間に配置されたスイッチング素子43aと、第1コイル22aの第1のコイル端子171と第2コイル22bの第1のコイル端子181との間に配置されたスイッチング素子43bとを介して接続されている。
【0083】
本実施形態において、モータ駆動回路40は、2つのコイル22(第1コイル22a,第2コイル22b)について、当該コイル22で発生するインダクタンスによる電流の向きをそろえる方向で直列に接続するように2つのコイル22の接続を切り替えるスイッチング機構を含んでいる。
本実施形態において、スイッチング機構は、モータ駆動回路40を構成するスイッチング素子のうち、第1コイル22aの第1のコイル端子171とGNDとの間に配置されたスイッチング素子41bと、第1コイル22aの第2のコイル端子172とGNDとの間に配置されたスイッチング素子41dと、第2コイル22bの第1のコイル端子181とGNDとの間に配置されたスイッチング素子42bと、第2コイル22bの第2のコイル端子182とGNDとの間に配置されたスイッチング素子42dと、2つのHブリッジ回路41,42の間に介在する2つのスイッチング素子43a,43bと、により構成されている。
【0084】
制御手段31は、駆動パルスの印加後、印加停止期間中に、当該コイル22で発生するインダクタンスによる電流の向きをそろえる方向で2つのコイル22を直列に接続するように適宜スイッチング機構を制御する。
本実施形態における制御手段31によるスイッチング機構の制御を、
図11(a)から
図11(d)及び
図12(a)から
図12(d)を参照しつつ、説明する。
【0085】
図11(a)は、ロータ磁石50のS極が第1磁極15aに最も近接して磁気的に安定している初期状態(初期位置である0度位置)からロータ5を120度位置から180度位置に正転させた後に駆動パルスの印加を停止し、その回転方向に回転し過ぎた場合における磁気的安定位置近傍でのロータ5のダンピングの様子を示す平面図であり、
図11(c)は、
図11(a)に示す状態のロータ5が、逆転して180度位置に戻る場合における磁気的安定位置近傍でのロータ5のダンピングの様子を示す平面図である。また、
図11(b)は、
図11(a)の状態に対応する回路図の一例であり、
図11(d)は、
図11(c)の状態に対応する回路図の一例である。
【0086】
ロータ5を120度位置から180度位置に正転させた後に、制御手段31は、2つのコイル22の第1のコイル端子171,181及び第2のコイル端子172,182と電源Vとの間に配置されているスイッチング素子41a,41c,42a、42cをOFFとするようにモータ駆動回路32を制御して駆動パルスの印加を停止させる。印加停止期間中に、制御手段31は、
図11(b)に示すように、スイッチング素子41d,42d,43bをONとし、スイッチング素子41b,42b,43aをOFFとする。
これにより、2つのコイル22は、インダクタンスによる電流の向きをそろえる方向で直列に接続され、擬似的に一つながりとなったコイルには、
図11(a)において破線で示すような向きの逆起電力による誘導電流が生じる。
【0087】
また、印加停止期間中の
図11(c)において、
図11(a)に示す状態のステッピングモータのロータが逆転して180度位置に戻る場合にも、制御手段31は、
図11(d)に示すように、スイッチング素子41d,42d,43bをONとし、スイッチング素子41b,42b,43aをOFFとする。
これにより、2つのコイル22は、インダクタンスによる電流の向きをそろえる方向で直列に接続され、擬似的に一つながりとなったコイルには、
図11(c)において破線で示すような向きの逆起電力による誘導電流が生じる。
【0088】
図12(a)は、ロータ5を180度位置から240度位置に正転させた後に駆動パルスの印加を停止し、その回転方向に回転し過ぎた場合における磁気的安定位置近傍でのロータ5のダンピングの様子を示す平面図であり、
図12(c)は、
図12(a)に示す状態のロータ5が、逆転して240度位置に戻る場合における磁気的安定位置近傍でのロータ5のダンピングの様子を示す平面図である。また、
図12(b)は、
図12(a)の状態に対応する回路図の一例であり、
図12(d)は、
図12(c)の状態に対応する回路図の一例である。
【0089】
ロータ5を180度位置から240度位置に正転させた後に、制御手段31は、2つのコイル22の第1のコイル端子171,181及び第2のコイル端子172,182と電源Vとの間に配置されているスイッチング素子41a,41c,42a、42cをOFFとするようにモータ駆動回路32を制御して駆動パルスの印加を停止させる。印加停止期間中に、制御手段31は、
図12(b)に示すように、スイッチング素子41d,42b、43aをONとし、スイッチング素子41b,42d,43bをOFFとする。
これにより、2つのコイル22は、インダクタンスによる電流の向きをそろえる方向で直列に接続され、擬似的に一つながりとなったコイルには、
図12(a)において破線で示すような向きの逆起電力による誘導電流が生じる。
【0090】
また、印加停止期間中の
図12(c)において、
図12(a)に示す状態のステッピングモータのロータ5が逆転して240度位置に戻る場合にも、制御手段31は、
図12(d)に示すように、スイッチング素子41d,42b,43aをONとし、スイッチング素子41b,42d,43bをOFFとする。
これにより、2つのコイル22は、インダクタンスによる電流の向きをそろえる方向で直列に接続され、擬似的に一つながりとなったコイルには、
図12(c)において破線で示すような向きの逆起電力による誘導電流が生じる。
【0091】
ロータ5の停止位置(回転角度)によってコイル22に生じる逆起電力の向きが異なるため、制御手段31は、上記のように、ロータ5の停止位置に応じて、スイッチング機構を構成する各スイッチング素子のON/OFF制御の仕方を切り替える。
制御手段31が、このように各スイッチング素子のON/OFF制御を行うことにより、第2の実施形態と同様に、第1コイル22aと第2コイル22bとがコイル22で発生するインダクタンスによる電流の向きをそろえる方向で直列に接続され、あたかも2つのコイル22が一つながりのコイルであるかのように、第2コイル22bの磁心21から第1コイル22aの磁心21に向かう逆起電力による誘導電流が生じる。これにより、接続された2つのコイル22に生じる逆起電力(逆起電圧)を、2つのコイル22を接続しない場合と比較して2倍とすることができる。
【0092】
検出回路35は、スイッチング機構により2つのコイル22が直列に接続された状態において、当該接続状態のコイル22に生じる逆起電力(本実施形態では、第1の実施形態と同様、逆起電圧)を検出する。
【0093】
なお、その他の構成は、第1の実施形態から第3の実施形態と同様であることから、同一部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0094】
次に、本実施形態におけるステッピングモータの作用について、
図11(a)から
図11(d)及び
図12(a)から
図12(d)を参照しつつ、説明する。
第3の実施形態と同様に、ロータ5を所定のステップ角(本実施形態では60度)で回転させるために必要な1つの駆動パルスをコイル22に印加した後、制御手段31は、2つのコイル22の第1のコイル端子171,181及び第2のコイル端子172,182と電源Vとの間に配置されているスイッチング素子41a,41c,42a,42cをOFFとするようにモータ駆動回路32を制御する。これにより、2つのコイル22への駆動パルスの印加が停止される。
【0095】
駆動パルスの印加が停止されると、ロータ5は、磁気的安定位置(すなわち、ロータ磁石50のいずれかの第2の凹部(ノッチ)52a,52bがステータ1のいずれかの第1の凹部(ノッチ)19a,19b,19cに対向する位置)を挟んでダンピングし、このとき、コイル22からは逆起電力が生ずる。
【0096】
ロータ5を、120度位置から180度位置に、正転方向に回転させた後に、駆動パルスの印加が停止された場合には、制御手段31は、
図11(b)及び
図11(d)に示すように、スイッチング素子41d,42d,43bをONとし、スイッチング素子41b,42b,43aをOFFとするようにモータ駆動回路40のスイッチング機構を構成する各スイッチング素子のON/OFFを制御する。
また、ロータ5を、180度位置から240度位置に、正転方向に回転させた後に、駆動パルスの印加が停止された場合には、制御手段31は、
図12(b)に示すように、スイッチング素子41d,42b、43aをONとし、スイッチング素子41b,42d,43bをOFFとするようにモータ駆動回路40のスイッチング機構を構成する各スイッチング素子のON/OFFを制御する。
また、印加停止期間中の
図12(c)において、
図12(a)に示す状態のステッピングモータのロータが逆転して240度位置に戻る場合にも、制御手段31は、
図12(d)に示すように、スイッチング素子41d,42b,43aをONとし、スイッチング素子41b,42d,43bをOFFとするようにモータ駆動回路40のスイッチング機構を構成する各スイッチング素子のON/OFFを制御する。
【0097】
これにより、第1コイル22aと第2コイル22bとがコイル22で発生するインダクタンスによる電流の向きをそろえる方向で直列に接続され、あたかも一つながりのコイルと同様となって、第1コイル22a、第2コイル22bから個別に生じる逆起電力の2倍の逆起電力が生じる。
【0098】
検出回路35は、駆動パルスの印加が停止されている印加停止期間中であって、スイッチング機構により2つのコイル22a,22bが直列に接続された状態において、当該接続状態のコイル22に生じる逆起電力(逆起電圧)を検出する。
接続状態のコイル22からは、第1コイル22a、第2コイル22bから個別に生じる逆起電力の2倍の逆起電力が生じるため、検出回路35ロータ5が非回転である場合とは明確に異なる高い電圧値を得ることができ、検出回路35による検出結果に基づいてロータ5の回転・非回転を正確に判定することができる。
【0099】
なお、その他の点については、第1の実施形態から第3の実施形態と同様であることから、その説明を省略する。
【0100】
以上のように、本実施形態によれば、第2の実施形態と同様に、第1コイル22aと第2コイル22bとがコイル22で発生するインダクタンスによる電流の向きをそろえる方向で直列に接続されるため、第1コイル22a、第2コイル22bから個別に生じる逆起電力の2倍の逆起電力を生じさせることができ、検出回路35により逆起電圧の検出を行った場合に、ロータ5が正常に回転している場合と非回転の場合とで明確な電圧値の差異を生じる。
このため、2つのコイル22を備える場合でも、ロータ5の回転検出を、簡易な構成により正確に行うことができ、ステッピングモータ200の高精度の回転制御を実現することが可能となる。
また、本実施形態によれば、第3の実施形態と同様に、インデックストルクが高まる位置が60度ごとに現れるため、ロータ5を、60度を1単位(1ステップ)として精度よく回転させることができる。
【0101】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0102】
例えば、上記各実施形態では、コイル22に駆動パルスを印加した後、駆動パルスの印加を停止したタイミングで制御手段31がスイッチング機構のON/OFFを切り替える制御を行う場合を例としたが、制御手段31がスイッチング機構のON/OFFを切り替えるタイミングはこれに限定されない。
例えば、駆動パルスの印加を停止して、ロータ5が磁気的安定位置を通り過ぎる方向にダンピングした後、反対方向に戻ろうとする逆向きのダンピングを生じるタイミングで制御手段31がスイッチング機構のON/OFFを切り替える制御を行ってコイル22に生じる逆起電力(逆起電圧)を検出するようにしてもよい。
このような制御を行った場合について、
図13(a)〜
図13(c)、
図14(a)〜
図14(c)及び
図15を参照しつつ、以下に説明する。
【0103】
図13(a)は、第4の実施形態で示したステッピングモータを例として、駆動パルスが印加されることによりロータ5が初期位置から120度位置から180度位置に、正転方向に回転した場合を示すステッピングモータの平面図であり、
図13(b)は、駆動パルスの印加停止後、ロータ5が磁気的安定位置(180度位置)を越えて正転方向にダンピングしている状態を示す図であり、
図13(c)は、さらに、
図13(b)に示す状態のロータ5が逆転して磁気的安定位置(180度位置)にダンピングしている状態を示す図である。
図14(a)は、
図13(a)に対応する回路図であり、
図14(b)は、
図13(b)に対応する回路図であり、
図14(c)は、
図13(c)に対応する回路図である。
図14(b)に示すように、ロータ5が、駆動パルスが印加された際の回転方向と同じ正転方向にダンピングしているときには、スイッチング機構を全てOFFとして、コイル22に逆起電力(逆起電圧)が生じない状態(
図13(b)参照)とし、
図14(c)に示すように、ロータ5が、駆動パルスが印加された際の回転方向と逆方向(
図13(c)では、逆転方向)にダンピングする際にコイル22に逆起電力(逆起電圧)が生じる(
図13(c)において逆起電力による誘導電流の向きを破線で示す。)ように、制御手段31がスイッチング機構のON/OFFを制御する。
【0104】
図15は、
図13(a)〜
図13(c)の各場合に対応して生じる電流波形を示したグラフである。
図15において、左端の波形は、駆動パルス印加区間(
図13(a)に対応)において、駆動パルスがコイル22に印加されることで生じる電流の波形を表し、右端の波形は、駆動パルスが印加されていない印加停止区間(印加停止期間)中であって、回転検出期間である、ロータ5が、駆動パルスが印加された際の回転方向と逆方向(
図13(c)では、逆転方向)にダンピングする際に、コイル22に生じる逆起電力による誘導電流の波形を表している。
上記のように、ロータ5が、駆動パルスが印加された際の回転方向と同じ方向(
図13(b)では、正転方向)にダンピングしているとき(駆動パルスが印加されていない印加停止区間(印加停止期間)中であって、否回転検出期間)に、コイル22に逆起電力が生じないように制御することで、
図15に示すように、当該逆起電力による誘導電流が流れないようにすることができる(なお、
図15では、当該誘導電流が流れた場合の仮想の波形を破線で示している。)。
【0105】
ロータ5の回転検出は、ロータ5が、駆動パルスが印加された際の回転方向と逆方向にダンピングする際(すなわち、
図13(c)に示すダンピング時)にコイル22に生じる逆起電力(逆起電圧)を検出回路35によって検出し、これに基づいてロータ5の回転・非回転を判定することで行われる。
回転検出に用いない逆起電力(すなわち、
図13(b)に示すダンピング時にコイル22に生じる逆起電力)を生じさせないように制御した場合には、回転検出に必要な逆起電力(すなわち、
図13(c)に示すダンピング時にコイル22に生じる逆起電力)を大きくすることができる。このため、上記制御を行うことにより、一層正確な回転検出を行うことができるため、好ましい。
なお、ここでは、第4の実施形態におけるステッピングモータの場合を例として説明したが、このような制御を行うことは、上記各実施形態において適用することができる。
このような制御を行い、さらに、2つのコイル22を直列に接続する構成(すなわち、第2の実施形態、第4の実施形態における構成)を採用した場合には、回転検出に用いる逆起電力をより大きくすることができ、ロータ5が回転した場合と非回転である場合とでより明確な差異を生じさせることができるため、回転検出の正確性がより一層向上し、好ましい。
【0106】
また、上記各実施形態では、ステータ本体10、第1コイルブロック20a及び第2コイルブロック20bがそれぞれ別体として形成され、これが互いに磁気的に結合されてステータ1を構成している場合を例として説明したが、ステータ1の構成はここに例示したものに限定されない。
例えば、ステータは、ステータ本体と、一つながりの長尺な磁心を備える1つのコイルブロックとで構成されていてもよい。
この場合、ステータ本体が本実施形態と同様にセンターヨークと一対のサイドヨークとを備える場合には、例えば、コイルブロックの磁心のほぼ中央部をステータ本体のセンターヨークと磁気的に連結し、この結合部分の両側に第1コイル及び第2コイルを設け、磁心の一端側を一方のサイドヨークの一端と磁気的に連結し、磁心の他端側を他方のサイドヨークの一端と磁気的に連結する。
ステータをこのような構成とした場合には、コイルブロックを一対で構成する場合と比較して部品点数を少なくすることができる。
【0107】
また、さらに、ステータとしてステータ本体、第1コイルブロック及び第2コイルブロックが全て一体的に構成されているものでもよい。この場合には例えばステータ本体と第1コイルブロック及び第2コイルブロックの磁心とを一体の部材として形成する。
【0108】
また、ステータ及びこれを構成するステータ本体、第1コイルブロック、第2コイルブロックの形状・構成等は、上記各実施形態で示したものに限定されず、適宜変形が可能である。
【0109】
また、上記第1の実施形態から第4の実施形態におけるステータ側静止部、第3の実施形態及び第4の実施形態におけるロータ側静止部は、ロータ5の静止状態を維持するための十分なインデックストルク(保持トルク)を得られるものであればよく、その形状等は、各実施形態に例示したものに限定されない。
【0110】
また、上記各実施形態では、ステッピングモータ100,200が時計の指針の運針機構(輪列機構)を駆動させるものである場合を例として説明している。
すなわち、本実施形態のステッピングモータ100,200は、例えば、
図16に示すように、アナログ表示部501を備える時計500において、指針502(
図16では、時針と分針のみを示している。なお、指針は図示例に限定されない。)を運針させるための運針機構(輪列機構)503を構成する歯車にロータ5の回転支軸51が連結される。これにより、ステッピングモータ100,200のロータ5が回転すると、運針機構503を介して指針502が指針軸504を中心にアナログ表示部501において回転する。
このように、本実施形態のステッピングモータ100,200を時計の運針機構を駆動させるモータとして適用した場合には、2つのコイル22を備える場合でも、ロータ5の回転検出を、簡易かつ正確に行うことができ、ステッピングモータ100,200の高精度の回転制御を行うことができるため、高精度での運針を実現することができる。
なお、ステッピングモータ100,200は、時計の運針機構を駆動させるものに限定されず、各種機器の駆動源として適用することが可能である。
【0111】
その他、本発明が上記各実施形態に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。
【0112】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
2つのコイルと、
駆動パルスを前記2つのコイルに同時又は順次に印加するためのモータ駆動回路と、
前記駆動パルスを前記2つのコイルに同時又は順次に印加させるとともに、前記駆動パルスの印加後、前記駆動パルスの印加を所定期間停止させるように前記モータ駆動回路を制御する制御手段と、
前記2つのコイルに同時又は順次に駆動パルスが印加されることにより所定のステップ角で回転するロータと、
前記駆動パルスの印加が停止されている印加停止期間中に、前記2つのコイルのうちのいずれか一方のコイルに生じる逆起電力を検出する検出手段と、
を備え、
前記モータ駆動回路は、前記2つのコイルのうち、前記検出手段による検出の対象とならない他方のコイルをハイインピーダンス状態とするように切り替えるスイッチング機構を含み、
前記制御手段は、前記印加停止期間中に、前記他方のコイルをハイインピーダンス状態とするように前記スイッチング機構を制御し、
前記検出手段は、前記スイッチング機構により前記他方のコイルがハイインピーダンス状態とされた状態において、前記一方のコイルに生じる逆起電力を検出することを特徴とするステッピングモータ。
<請求項2>
前記モータ駆動回路は、前記2つのコイルをハイインピーダンス状態とするように切り替えるスイッチング機構をさらに含み、
前記印加停止期間中は、前記駆動パルスの印加による回転方向と同じ回転方向に目標の停止位置から回転し過ぎている否回転検出期間と、前記第1の期間後に前記目標の停止位置に向かって逆の回転方向に回転している回転検出期間とを含み、
前記制御手段は、前記否回転検出期間において前記スイッチング機構により前記2つのコイルをハイインピーダンス状態とするように切り替え、前記回転検出期間において前記スイッチング機構により前記検出手段による検出の対象とならない前記他方のコイルをハイインピーダンス状態として、前記一方のコイルに生じる逆起電力を検出することを特徴とする請求項1に記載のステッピングモータ。
<請求項3>
2つのコイルと、
駆動パルスを前記2つのコイルに同時又は順次に印加するためのモータ駆動回路と、
前記駆動パルスを前記2つのコイルに同時又は順次に印加させるとともに、前記駆動パルスの印加後、前記駆動パルスの印加を所定期間停止させるように前記モータ駆動回路を制御する制御手段と、
前記2つのコイルに同時又は順次に駆動パルスが印加されることにより所定のステップ角で回転するロータと、
前記駆動パルスの印加が停止されている印加停止期間中に、前記2つのコイルのうちのいずれか一方のコイルに生じる逆起電力を検出する検出手段と、
を備え、
前記モータ駆動回路は、前記2つのコイルについて、当該コイルで発生するインダクタンスによる電流の向きをそろえる方向で直列に接続するように前記2つのコイルの接続を切り替えるスイッチング機構を含み、
前記制御手段は、前記印加停止期間中に、前記2つのコイルを直列に接続するように前記スイッチング機構を制御し、
前記検出手段は、前記スイッチング機構により前記2つのコイルが直列に接続された状態において、当該接続状態のコイルに生じる逆起電力を検出することを特徴とするステッピングモータ。
<請求項4>
前記モータ駆動回路は、前記2つのコイルをハイインピーダンス状態とするように切り替えるスイッチング機構をさらに含み、
前記印加停止期間中は、前記駆動パルスの印加による回転方向と同じ回転方向に目標の停止位置から回転し過ぎている否回転検出期間と、前記第1の期間後に前記目標の停止位置に向かって逆の回転方向に回転している回転検出期間とを含み、
前記制御手段は、前記否回転検出期間において前記スイッチング機構により前記2つのコイルをハイインピーダンス状態とするように切り替え、前記回転検出期間において前記スイッチング機構により前記2つのコイルを直列に接続した当該接続状態のコイルに生じる逆起電力を検出することを特徴とする請求項3に記載のステッピングモータ。
<請求項5>
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のステッピングモータを備えた時計。