(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記第1差分と前記第2差分との差分を取ることで前記対象の欠陥の階調を抽出し、前記欠陥の階調と判定階調との比較に基づいて前記対象の外観の良否を判定する請求項1に記載の外観検査システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のものでは、特定波長の発光ダイオードを光源とし、特定波長以外の波長をカットするフィルタをカメラに装着することにより、外乱光を防止している。このため、外乱光を防止するためには、光源が制限されるとともに、フィルタを装着することが必要となる。
【0005】
本発明は、こうした課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、任意の光源を使用することを可能としつつ、外乱光の影響を抑制することのできる外観検査システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
【0007】
第1の手段は、外観検査システムであって、対象に光を照射する照明装置と、前記対象を撮影するカメラと、前記照明装置により第1光量で光を照射させて前記カメラにより前記対象を撮影させた第1画像の階調と、前記照明装置により第2光量で光を照射させて前記カメラにより前記対象を撮影させた第2画像の階調との差分を算出し、前記差分に対応する基準階調と前記差分との比較に基づいて前記対象の外観の良否を判定する制御装置と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、制御装置は、照明装置により第1光量で光を照射させてカメラにより対象を撮影させた第1画像の階調と、照明装置により第2光量で光を照射させてカメラにより対象を撮影させた第2画像の階調との差分を算出する。
【0009】
ここで、対象に外乱光が照射されていると、外乱光は第1画像と第2画像とに等しい階調で上乗せされる。したがって、第1画像の階調と第2画像の階調との差分を算出することにより、外乱光の影響を排除することができる。一方、対象に傷や汚れ等の欠陥があった場合、欠陥の階調は光量により異なるため、上記差分には欠陥の階調が残存することとなる。
【0010】
そして、制御装置により、上記差分に対応する基準階調と上記差分との比較に基づいて、対象の外観の良否が判定される。このため、上記差分に残存する欠陥の階調と基準階調とを比較することにより、対象の外観の良否を適切に判定することができる。したがって、発光ダイオードとフィルタとの組み合わせ等を使用しない場合であっても、外乱光の影響を抑制することができ、任意の光源を使用することが可能となる。
【0011】
第2の手段では、前記基準階調は、前記照明装置により前記第1光量で光を照射させて前記カメラにより前記対象の良品を撮影させた第3画像の階調と、前記照明装置により前記第2光量で光を照射させて前記カメラにより前記対象の前記良品を撮影させた第4画像の階調との差分である。
【0012】
上記構成によれば、基準階調として、照明装置により第1光量で光を照射させてカメラにより対象の良品を撮影させた第3画像の階調と、照明装置により第2光量で光を照射させてカメラにより対象の良品を撮影させた第4画像の階調との差分が用いられる。ここで、第3画像は第1画像において対象に欠陥がない場合に相当し、第4画像は第2画像において対象に欠陥がない場合に相当する。したがって、第3画像の階調と第4画像の階調との差分を基準階調とすることにより、第1画像の階調と第2画像の階調との差分に対応する適切な基準階調を設定することができる。
【0013】
第3の手段では、前記制御装置は、前記差分と前記基準階調との差分を取ることで前記対象の欠陥の階調を抽出し、前記欠陥の階調と判定階調との比較に基づいて前記対象の外観の良否を判定する。
【0014】
上記構成によれば、制御装置により、上記差分と基準階調との差分が取られることで、対象の欠陥の階調が抽出される。すなわち、外乱光の影響が排除された差分と基準階調との差分を取ることで、欠陥の階調のみを抽出することができる。そして、欠陥の階調と判定階調との比較に基づいて対象の外観の良否が判定されるため、対象の外観を正確に判定することができる。
【0015】
第4の手段は、外観検査システムであって、対象に光を照射する照明装置と、前記対象を撮影するカメラと、前記照明装置により第1光量で光を照射させて前記カメラにより前記対象を撮影させた第1画像の階調と、前記照明装置により前記第1光量で光を照射させて前記カメラにより前記対象の良品を撮影させた第3画像の階調との差分である第1差分と、前記照明装置により第2光量で光を照射させて前記カメラにより前記対象を撮影させた第2画像の階調と、前記照明装置により前記第2光量で光を照射させて前記カメラにより前記対象の前記良品を撮影させた第4画像の階調との差分である第2差分とを算出し、前記第1差分と前記第2差分との比較に基づいて前記対象の外観の良否を判定する制御装置と、を備えることを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、制御装置は、照明装置により第1光量で光を照射させてカメラにより対象を撮影させた第1画像の階調と、照明装置により第1光量で光を照射させてカメラにより対象の良品を撮影させた第3画像の階調との差分である第1差分を算出する。この第1差分は、第1光量で撮影された画像における外乱光及び欠陥による階調の合計となる。また、制御装置は、照明装置により第2光量で光を照射させてカメラにより対象を撮影させた第2画像の階調と、照明装置により第2光量で光を照射させてカメラにより対象の良品を撮影させた第4画像の階調との差分である第2差分を算出する。この第2差分は、第2光量で撮影された画像における外乱光及び欠陥による階調の合計となる。
【0017】
ここで、対象に外乱光が照射されていると、外乱光は第1画像と第2画像とに等しい階調で上乗せされる。一方、対象に欠陥があった場合、欠陥の階調は光量により異なるため、欠陥は第1画像と第2画像とに異なる階調で上乗せされる。したがって、上記第1差分と上記第2差分とでは、外乱光は階調の相違として表れず、欠陥は階調の相違として表れる。
【0018】
そして、制御装置により、第1差分と第2差分との比較に基づいて、対象の外観の良否が判定される。このため、欠陥による階調の相違に基づいて、対象の外観の良否を適切に判定することができる。したがって、発光ダイオードとフィルタとの組み合わせ等を使用しない場合であっても、外乱光の影響を抑制することができ、任意の光源を使用することが可能となる。
【0019】
第5の手段では、前記制御装置は、前記第1差分と前記第2差分との差分を取ることで前記対象の欠陥の階調を抽出し、前記欠陥の階調と判定階調との比較に基づいて前記対象の外観の良否を判定する。
【0020】
上記構成によれば、制御装置により、第1差分と第2差分との差分が取られることで、対象の欠陥の階調が抽出される。すなわち、外乱光による階調を等しく含む第1差分と上記第2差分との差分を取ることで、外乱光の影響を排除して欠陥の階調のみを抽出することができる。そして、欠陥の階調と判定階調との比較に基づいて対象の外観の良否が判定されるため、対象の外観を正確に判定することができる。
【0021】
第6の手段では、前記第1光量は、前記カメラにより前記対象を撮影させた前記第1画像の階調が最小値付近の値となる光量であり、前記第2光量は、前記カメラにより前記対象を撮影させた前記第2画像の階調が最大値付近の値となる光量である。
【0022】
第1光量で対象を撮影した第1画像の階調と、第2光量で対象を撮影した第2画像の階調との相違が小さい場合には、第1画像と第2画像とで欠陥による階調の相違が小さくなる。このため、欠陥による階調が不明確となり、対象の外観を判定する精度が低下するおそれがある。
【0023】
この点、上記構成によれば、第1光量で対象を撮影した第1画像の階調が最小値付近の値となり、第2光量で対象を撮影した第2画像の階調が最大値付近の値となる。したがって、欠陥による階調が明確となり、対象の外観を判定する精度を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下、ワークの外観検査システムを具体化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態の外観検査システムは、例えば機械組立工場の組立ラインに設置される。
【0026】
図1は、外観検査システム10の概要を示す模式図である。この外観検査システム10は、ストロボ20、カメラ30、及び制御装置40を備えている。
【0027】
ストロボ20(照明装置)は、カメラ30に取り付けられており、本体21、ランプ22、レンズ部24、カバー25等を備えている。本体21は、中空の直方体状に形成されている。本体21の内部には、ランプ22及びレンズ部24が収容されている。本体21の正面には、ランプ22の光を透過させる透明のカバー25が取り付けられている。
【0028】
ランプ22(光源)は、キセノンフラッシュランプ等により構成されており、ワークW(対象)に当てる光を発する。なお、ランプ22を、発光ダイオードや、白熱電球等により構成することもできる。ランプ22の点灯、消灯、及び点灯時の光量は、制御装置40によって制御される。レンズ部24は、ランプ22から照射された光を集束及び拡散させて、カバー25の方向へ照射させる。レンズ部24の焦点は、ワークWの所定位置に光が照射されるように自動調節される。
【0029】
カメラ30は、カラー撮影可能なCCDカメラ等であり、ワークWを撮影して画像を取得する。カメラ30は、図示しないロボットのアームのハンド部(先端部)に取り付けられている。ロボットのアームは、その各関節の駆動により、位置及び方向が変更される。そして、アームの位置及び方向が変更されることにより、カメラ30の位置及び方向が変更される。これにより、ベルトコンベア等により検査位置に搬送されるワークWを、カメラ30により任意の視点から撮影することができる。カメラ30の撮影動作は、制御装置40によって制御される。
【0030】
制御装置40は、CPU、ROM、RAM、記憶部40a、駆動回路、位置検出回路等を備えている。ROMは、ロボットのシステムプログラムや動作プログラム等を記憶している。RAMは、これらのプログラムを実行する際にパラメータの値等を一時的に記憶する。記憶部40aは、データを記憶する不揮発性のメモリである。位置検出回路は、アームの各関節に設けられたエンコーダの検出信号に基づいて、各関節に設けられたモータの回転角度を検出する。CPUは、予め設定された動作プログラムを実行することにより、位置検出回路から入力される位置情報に基づいて、アームの各関節の回転角度を目標回転角度にフィードバック制御する。
【0031】
本実施形態では、制御装置40は、ワークWの外観検査において、アームの目標の位置及び方向として、検査位置に搬送されるワークWをカメラ30により撮像する際のアームの位置及び方向(撮影位置)を設定する。アームが撮影位置まで駆動されることにより、カメラ30の視野内にワークWが検査に適した状態で捉えられる。その状態において、カメラ30によりワークWを撮影することにより、ワークWの画像が取得される。さらに、制御装置40は、ストロボ20及びカメラ30の動作を制御して、ワークWの外観の良否を判定する。
【0032】
図2は、ワークWの外観良否判定の処理手順を示すフローチャートである。この一連の処理は、外観検査中においてロボットの連続動作時に、制御装置40によって実行される。
【0033】
まず、ストロボ20を10%の光量(第1光量)で点灯させて、カメラ30によりワークWをカラー撮影させた第1画像を入力する(S11)。また、ストロボ20を100%の光量(第2光量)で点灯させて、カメラ30によりワークWをカラー撮影させた第2画像を入力する(S12)。なお、S11の処理及びS12の処理は、いずれを先に行ってもよい。
【0034】
続いて、第1画像及び第2画像をそれぞれグレースケール画像に変換する(S13)。詳しくは、単純平均法や、中間値法、Gチャンネル法等の周知の方法により、カラー画像をグレースケール画像に変換する。以後の処理では、グレースケール画像に変換された第1画像及び第2画像を用いる。
【0035】
続いて、各画素について第1画像の階調と第2画像の階調との差分を算出する(S14)。詳しくは、各画素の階調は、0(黒)〜255(白)までの値をとる。第1画像と第2画像とでワークWの同じ位置を撮影した画素を特定し、特定した画素において第2画像の階調から第1画像の階調を引いて差分を算出する。そして、全ての画素について、第1画像の階調と第2画像の階調との差分を算出する。
【0036】
続いて、各画素について、算出された差分と基準階調との差分を取り、傷や汚れ等の欠陥の階調Tを抽出する(S15)。詳しくは、全ての画素の上記差分について、それぞれ対応する基準階調が設定されている。基準階調については後述する。
【0037】
続いて、画像の各画素を指定する画素番号iを初期値0に設定する(S16)。詳しくは、画像の画素は0〜n番まであり、最初の画素の番号が0番である。そして、現在の画素番号iがnよりも小さいか否か判定する(S17)。
【0038】
上記判定において、現在の画素番号iがnよりも小さいと判定した場合(S17:YES)、画素番号iにおける欠陥の階調T(i)が判定階調R1よりも小さいか否か判定する(S18)。判定階調R1は、ワークWの欠陥を判定することのできる値、例えば256階調の20%に相当する51階調を負にした値(−51階調)に設定されている。
【0039】
上記判定において、画素番号iにおける欠陥の階調T(i)が判定階調R1よりも小さいと判定した場合(S18:YES)、現在の画素番号iをRAMの所定領域に記憶させる(S19)。そして、画素番号iに1を加算して、それを新たな画素番号iとする(S20)。その後、再度S17の処理から実行する。一方、上記判定において、画素番号iにおける欠陥の階調T(i)が判定階調R1よりも小さくないと判定した場合(S18:NO)、S20の処理を実行する。
【0040】
また、S17の判定において、現在の画素番号iがnよりも小さくないと判定した場合(S17:NO)、RAMの所定領域に記憶されている画素番号iがあるか否か判定する(S21)。すなわち、欠陥の階調T(i)が判定階調R1よりも小さくなった画素番号iが存在しているか否か判定する。
【0041】
上記判定において、RAMの所定領域に記憶されている画素番号iがあると判定した場合(S21:YES)、現在検査しているワークWが不良品であると判定する(S22)。一方、上記判定において、RAMの所定領域に記憶されている画素番号iがないと判定した場合(S21:NO)、現在検査しているワークWが良品であると判定する(S23)。そして、この一連の処理を終了する(END)。なお、同一形状の複数のワークWについて続けて外観検査を行う場合には、再度S11の処理から実行する。
【0042】
次に、ワークWの良品のグレースケール画像と各光量での各画素の階調との関係ついて説明する。
図3(a)はワークWの良品を撮影したグレースケール画像、
図3(b)はストロボ20を10%の光量にした場合における
図3(a)の直線C上の各画素の階調を示すグラフ、
図3(c)はストロボ20を100%の光量にした場合における
図3(a)の直線C上の各画素の階調を示すグラフである。
【0043】
図3(b)と
図3(c)とを比較すると、10%の光量における階調は、100%の光量における階調よりも全体的に小さくなっている。詳しくは、ワークWからの反射が少ない部分(
図3(a)のハッチング部分)において、10%の光量における階調は100%の光量における階調よりも小さくなっている。また、ワークWからの反射が多い部分(
図3(a)のハッチングなし部分)において、10%の光量における階調は100%の光量における階調よりも小さくなっている。反射が少ない部分と多い部分との階調の差は、10%の光量にした場合に100%の光量にした場合よりも小さくなっている。そして、ワークWからの反射が多い部分のx方向の位置は、10%の光量にした場合と100%の光量にした場合とで一致している。
【0044】
次に、ワークWの不良品のグレースケール画像と各光量での各画素の階調との関係ついて説明する。
図4(a)はワークWの不良品を撮影したグレースケール画像、
図4(b)はストロボ20を10%の光量にした場合における
図4(a)の直線C上の各画素の階調を示すグラフ、
図4(c)はストロボ20を100%の光量にした場合における
図4(a)の直線C上の各画素の階調を示すグラフである。また、ここでは、ワークWに外乱光が照射されている場合を示している。
【0045】
図4(b)と
図4(c)とを比較すると、10%の光量における階調が100%の光量における階調よりも全体的に小さくなっている点は、
図3と同様である。
【0046】
ここで、ワークWに傷や汚れ等の欠陥がある場合、その欠陥に対応する部分の階調は欠陥のない部分の階調よりも小さくなっている。詳しくは、欠陥がある部分とない部分との階調の差は、10%の光量にした場合に100%の光量にした場合よりも小さくなっている。そして、欠陥に対応する部分のx方向の位置は、10%の光量にした場合と100%の光量にした場合とで一致している。
【0047】
また、ワークWに外乱光が照射されている場合、外乱光が照射されている部分の階調は外乱光が照射されていない部分の階調よりも大きくなっている。詳しくは、外乱光により上乗せされる階調は、10%の光量にした場合と100%の光量にした場合とで等しくなっている。
【0048】
そこで、各画素について第1画像の階調(
図4(b))と第2画像の階調(
図4(c))との差分を算出することにより、外乱光の影響を排除することができる。
図5(b)は、
図4(c)のグラフから
図4(b)のグラフを引いた差分を示すグラフである。同図に示すように、外乱光による階調が排除される一方、欠陥による階調は残存している。このため、上記差分に対応する基準階調(ワークWの良品を用いた実験等により設定)と上記差分とを比較することにより、ワークWの外観の良否を判定することができる。
【0049】
ただし、10%の光量(第1光量)で対象を撮影した第1画像の階調と、100%の光量(第2光量)で対象を撮影した第2画像の階調との相違が小さい場合には、第1画像と第2画像とで欠陥による階調の相違が小さくなる。このため、第1画像の階調と第2画像の階調との差分において、欠陥による階調が不明確となり、ワークWの外観を判定する精度が低下するおそれがある。
【0050】
この点、第1光量として10%の光量を採用すれば、第1光量でワークWを撮影した第1画像の階調(最大階調)が最小値付近の値となり、第2光量として100%の光量を採用すれば、第2光量でワークWを撮影した第2画像の階調(最大階調)が最大値付近の値となる。したがって、欠陥による階調が明確となり、ワークWの外観を判定する精度を向上させることができる。なお、第1光量として、第1画像の階調が0〜30%に相当する階調(0階調〜77階調)となる値を採用し、第2光量として、例えば第2画像の階調が70〜100%に相当する階調(179階調〜256階調)となる値を採用するとよい。望ましくは、第1光量として、第1画像の階調が0〜20%に相当する階調(0階調〜51階調)となる値を採用し、第2光量として、例えば第2画像の階調が80〜100%に相当する階調(205階調〜256階調)となる値を採用するとよい。
【0051】
図5(a)は、
図3(c)のグラフから
図3(b)のグラフを引いた差分を示すグラフである。同図に示すグラフは、
図5(b)のグラフにおいて欠陥がない場合に相当している。このため、基準階調として、ストロボ20により10%の光量で光を照射させてカメラ30によりワークWの良品を撮影させた第3画像(グレースケール画像)の階調と、ストロボ20により100%の光量で光を照射させてカメラ30によりワークWの良品を撮影させた第4画像(グレースケール画像)の階調との差分を採用している。この基準階調は、制御装置40の記憶部40aに記憶されている。
【0052】
さらに、
図5(b)に示した差分のグラフと
図5(a)に示した基準階調のグラフとの差分を取ることで、
図5(c)に示すように欠陥の階調のみを抽出することができる。詳しくは、
図5(c)は、
図5(b)のグラフから
図5(a)のグラフを引いた差分を示すグラフである。したがって、欠陥の階調Tが判定階調R1(−51階調)よりも小さいと判定した場合、ワークWが不良品であると判定することができる。
【0053】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0054】
・ワークWに外乱光が照射されていると、外乱光は第1画像(
図4(b))と第2画像(
図4(c))とに等しい階調で上乗せされる。したがって、第1画像の階調と第2画像の階調との差分を算出することにより、外乱光の影響を排除することができる(
図5(b)参照)。一方、ワークWに傷や汚れ等の欠陥があった場合、欠陥の階調は光量により異なるため、上記差分には欠陥の階調が残存することとなる(
図5(b)参照)。そして、制御装置40により、上記差分に対応する基準階調(
図5(a))と上記差分(
図5(b))との比較に基づいて、ワークWの外観の良否が判定される。このため、上記差分に残存する欠陥の階調と基準階調とを比較することにより、ワークWの外観の良否を適切に判定することができる。したがって、発光ダイオードとフィルタとの組み合わせ等を使用しない場合であっても、外乱光の影響を抑制することができ、任意の光源を使用することが可能となる。
【0055】
・基準階調として、ストロボ20により10%の光量で光を照射させてカメラ30によりワークWの良品を撮影させた第3画像の階調(
図3(b))と、ストロボ20により100%の光量で光を照射させてカメラ30によりワークWの良品を撮影させた第4画像の階調(
図3(c))との差分が用いられる(
図5(a)参照)。ここで、第3画像は第1画像においてワークWに欠陥がない場合に相当し、第4画像は第2画像においてワークWに欠陥がない場合に相当する。したがって、第3画像の階調と第4画像の階調との差分を基準階調とすることにより、第1画像の階調と第2画像の階調との差分に対応する適切な基準階調を設定することができる。
【0056】
・制御装置40により、上記差分(
図5(b))と基準階調(
図5(a))との差分が取られることで、ワークWの欠陥の階調が抽出される(
図5(c)参照)。すなわち、外乱光の影響が排除された差分と基準階調との差分を取ることで、欠陥の階調のみを抽出することができる。そして、欠陥の階調と判定階調R1との比較に基づいてワークWの外観の良否が判定されるため、ワークWの外観を正確に判定することができる。
【0057】
・10%の光量と100%の光量とにおいてワークWの撮影を行っているが、外観検査中においてロボットの動作に必要な時間と比較すれば、撮影を2度行うことによる時間の延長はほとんど問題とならない。
【0058】
(第2実施形態)
以下、ワークWの外観良否判定を変更した第2実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図6は、ワークWの外観良否判定の処理手順を示すフローチャートである。
図2と同一の処理については、同一のステップ番号を付すことにより説明を省略する。
【0059】
S13において第1画像及び第2画像をそれぞれグレースケール画像に変換した後、各画素について第1画像の階調と第3画像の階調との差分(第1差分)を算出する(S31)。詳しくは、第3画像は、ストロボ20により10%の光量で光を照射させてカメラ30によりワークWの良品を予め撮影させた画像を、グレースケール画像に変換した画像である(
図3(b))。そして、第1画像と第3画像とでワークWの同じ位置を撮影した画素を特定し、特定した画素において第1画像の階調から第3画像の階調を引いて差分を算出する。そして、全ての画素について、第1画像の階調と第3画像の階調との差分を算出する。
【0060】
続いて、各画素について第2画像の階調と第4画像の階調との差分(第2差分)を算出する(S32)。詳しくは、第4画像は、ストロボ20により100%の光量で光を照射させてカメラ30によりワークWの良品を予め撮影させた画像を、グレースケール画像に変換した画像である(
図3(c))。そして、第2画像と第4画像とでワークWの同じ位置を撮影した画素を特定し、特定した画素において第2画像の階調から第4画像の階調を引いて差分を算出する。そして、全ての画素について、第2画像の階調と第4画像の階調との差分を算出する。
【0061】
続いて、各画素について、算出された第1差分と第2差分との差分を取り、傷や汚れ等の欠陥の階調Tを抽出する(S33)。以降は、
図2と同様に、S16以降の処理を実行する。
【0062】
図7(a)は第1差分、
図7(b)は第2差分、
図7(c)は欠陥の階調を示すグラフである。
【0063】
10%の光量にした場合において、各画素について第1画像の階調(
図4(b))と第3画像の階調(
図3(b))との差分を算出することにより、ワークWの各部分によって反射する光の量が異なる影響を排除することができる。
図7(a)は、
図4(b)のグラフから
図3(b)のグラフを引いた差分(第1差分)を示すグラフである。第1差分は、10%の光量で撮影された画像における外乱光及び欠陥による階調の合計となる。同図に示すように、ワークWにおいて外乱光及び欠陥のない部分による階調が排除される一方、外乱光及び欠陥による階調は残存している。
【0064】
同様にして、100%の光量にした場合において、各画素について第2画像の階調(
図4(c))と第4画像の階調(
図3(c))との差分を算出することにより、ワークWの各部分によって反射する光の量が異なる影響を排除することができる。
図7(b)は、
図4(c)のグラフから
図3(c)のグラフを引いた差分(第2差分)を示すグラフである。第2差分は、100%の光量で撮影された画像における外乱光及び欠陥による階調の合計となる。同図に示すように、ワークWにおいて外乱光及び欠陥のない部分による階調が排除される一方、外乱光及び欠陥による階調は残存している。
【0065】
図7(a)と
図7(b)とを比較すると、欠陥がある部分とない部分との階調の差は、10%の光量にした場合に100%の光量にした場合よりも小さくなっている。また、外乱光により上乗せされる階調は、10%の光量にした場合と100%の光量にした場合とで等しくなっている。このため、第1差分と第2差分とを比較することにより、ワークWの外観の良否を判定することができる。
【0066】
さらに、
図7(a)に示した第1差分のグラフと
図7(a)に示した第2差分のグラフとの差分を取ることで、
図7(c)に示すように欠陥の階調のみを抽出することができる。詳しくは、
図7(c)は、
図7(b)のグラフから
図7(a)のグラフを引いた差分を示すグラフである。したがって、欠陥の階調Tが判定階調R1(−51階調)よりも小さいと判定した場合、ワークWが不良品であると判定することができる。
【0067】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0068】
・ワークWに外乱光が照射されていると、外乱光は第1画像(
図4(b))と第2画像(
図4(c))とに等しい階調で上乗せされる。一方、ワークWに欠陥があった場合、欠陥の階調は光量により異なるため、欠陥は第1画像と第2画像とに異なる階調で上乗せされる。したがって、第1差分(
図7(a))と第2差分(
図7(b))とでは、外乱光は階調の相違として表れず、欠陥は階調の相違として表れる。そして、制御装置40により、第1差分と第2差分との比較に基づいて、ワークWの外観の良否が判定される。このため、欠陥による階調の相違に基づいて、ワークWの外観の良否を適切に判定することができる。したがって、発光ダイオードとフィルタとの組み合わせ等を使用しない場合であっても、外乱光の影響を抑制することができ、任意の光源を使用することが可能となる。
【0069】
・制御装置40により、第1差分と第2差分との差分が取られることで、ワークWの欠陥の階調が抽出される(
図7(c)参照)。すなわち、外乱光による階調を等しく含む第1差分と上記第2差分との差分を取ることで、外乱光の影響を排除して欠陥の階調のみを抽出することができる。そして、欠陥の階調と判定階調R1との比較に基づいてワークWの外観の良否が判定されるため、ワークWの外観を正確に判定することができる。
【0070】
なお、上記の各実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。
【0071】
・第1実施形態の基準階調として、第3画像の階調と第4画像の階調との差分を、第3画像及び第4画像を撮影した条件等に応じて補正した値を採用することもできる。
【0072】
・カメラ30として、白黒画像を撮影するカメラを採用することもできる。その場合は、グレースケール画像への変換が不要であり、白黒画像における画素番号iの輝度と基準画像における画素番号iの輝度とを比較して良否判定すればよい。また、カメラ30として、CCDカメラに限らず、CMOSセンサを用いたカメラ等を採用することもできる。