特許第6303406号(P6303406)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凸版印刷株式会社の特許一覧

特許6303406カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、液晶表示装置および有機EL表示装置
<>
  • 特許6303406-カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、液晶表示装置および有機EL表示装置 図000002
  • 特許6303406-カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、液晶表示装置および有機EL表示装置 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6303406
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、液晶表示装置および有機EL表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20180326BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20180326BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20180326BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20180326BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   G02B5/20 101
   G03F7/004 505
   H05B33/14 A
   H05B33/12 E
   G02F1/1335 505
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-230104(P2013-230104)
(22)【出願日】2013年11月6日
(65)【公開番号】特開2015-90419(P2015-90419A)
(43)【公開日】2015年5月11日
【審査請求日】2016年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山内 淳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 梓実
【審査官】 中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−044285(JP,A)
【文献】 特開2013−195609(JP,A)
【文献】 特開2013−130677(JP,A)
【文献】 特開2010−060841(JP,A)
【文献】 特開2012−212005(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/062059(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G03F 7/004
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上に、赤色着色画素、緑色着色画素、青色着色画素または緑色着色画素、赤色着色画素、青色着色画素の順に形成したカラーフィルタ基板であって、青色着色画素が染料を含有しており、稜間角115°の三角錐ダイヤモンド圧子を20秒かけ5mNの加重で押し込んだ時の緑色着色画素のビッカース硬度(HV)が45以上50以下であることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項2】
前記緑色着色画素形成に使用する着色樹脂組成物が色材、バインダ樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、熱硬化性モノマー、溶剤を備えてなり、固形分中に占める色材の割合が30〜50%、光重合性モノマーの割合が25〜35%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
請求項2に記載の熱硬化性モノマーが多官能エポキシ化合物であり、着色樹脂組成物の固形分中に占める割合が5〜10%であることを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
前記緑色着色画素形成に使用する着色樹脂組成物に使用する色材がピグメントグリーン58およびピグメントイエロー138であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルタ。
【請求項5】
前記青色着色画素形成に使用する染料が、メチン系染料、アントラキノン系染料、アゾ系染料、トリアリールメタン系染料、キサンテン系染料のいずれかを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルタ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法であって、パターン露光を行うための露光工程と、現像工程と、着色樹脂組成物と透明基板の密着性を向上させ、着色樹脂組成物の耐久性を向上させるための焼成工程とを備えてなり、青色着色画素の形成後に、青色着色画素以外の画素で染料の移染による透過率低下が見られた場合は、焼成工程の前に着色樹脂組成物の架橋密度を上げるための全面露光工程を実施することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルタを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルタを用いたことを特徴とする有機EL表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ、それを具備する液晶表示装置ならびに有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、薄型による省スペース性や軽量性、また省電力性などが評価され、急速に普及している。液晶ディスプレイへの要求として輝度、コントラスト、全方位での視認性向上が望まれており、それに用いられるカラーフィルタの高透過率化、高コントラスト化が求められている。
【0003】
近年、カラーフィルタの高透過率化に向け、着色画素形成に使用する色材には透過率に優れる染料の検討が進んでいる。例えば、青色画素形成に使用する染料として、トリアリールメタン系染料やキサンテン系染料が提案されており、着色画素の耐熱性、耐光性、耐溶剤性の向上について検討されている。(特許文献1〜3)
【0004】
しかしながら、染料を用いた着色樹脂組成物を使用した際に、他の着色画素の透過率への影響については確認されていなかった。本発明者らが確認したところ、カラーフィルタの製造工程において染料を含有した着色樹脂組成物を既に形成された画素に塗布した際に染料が画素内部に移染し、透過率が低下するという問題が見られた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−243960号公報
【特許文献2】特許第3183423号公報
【特許文献3】特開昭61−180203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、青色着色画素の染料の移染を抑制し高透過率なカラーフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために検討した結果、着色画素の硬度が低い場合、染料含有着色樹脂組成物を塗布すると、着色樹脂組成物中の染料が下地に形成された着色画素へ移染し、透過率が低下することを確認した。
【0008】
そのため、緑色画素形成に使用する着色樹脂組成物において、固形分中の光重合性モノマーの割合を上げること、熱硬化性成分を使用することや、製造工程において現像工程後に露光し未反応の二重結合を架橋させることにより、塗膜の硬度を上げることで、染料の移染を抑制し、透過率低下の問題を解消できることを見出した。
【0009】
すなわち、上記の課題を解決する手段として請求項1に記載の発明は、透明基板上に、赤色着色画素、緑色着色画素、青色着色画素または緑色着色画素、赤色着色画素、青色着画素の順に形成したカラーフィルタ基板であって、青色着色画素が染料を含有しており、稜間角が115°の三角錐ダイヤモンド圧子を20秒かけ5mNの加重で押し込んだ時の緑色着色画素のビッカース硬度(HV)が45以上50以下であることを特徴とするカラーフィルタである。
【0010】
また請求項2に記載の発明は、前記緑色着色画素形成に使用する着色樹脂組成物が色材、バインダ樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、熱硬化性モノマー、溶剤を備えてなり、固形分中に占める色材の割合が30〜50%、光重合性モノマーの割合が25〜35%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタである。
【0011】
また請求項3に記載の発明は、前記熱硬化性モノマーが多官能エポキシであり、着色樹脂組成物の固形分中に占める割合が5〜10%であることを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルタである。
【0012】
また請求項4に記載の発明は、前記緑色着色画素形成に使用する着色樹脂組成物に使用する色材が、ピグメントグリーン58およびピグメントイエロー138であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルタである。
【0013】
また請求項5に記載の発明は、前記青色着色画素形成に使用する染料が、メチン系染料、アントラキノン系染料、アゾ系染料、トリアリールメタン系染料、キサンテン系染料のいずれかを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルタである。
【0014】
また請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルタの製造方法であって、パターン露光を行うための露光工程と、現像工程と、着色樹脂組成物と透明基板の密着性を向上させ、着色樹脂組成物の耐久性を向上させるための焼成工程とを備えてなり、青色着色画素の形成後に、青色着色画素以外の画素で染料の移染による透過率低下が見られた場合は、焼成工程の前に着色樹脂組成物の架橋密度を上げるための全面露光工程を実施することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0015】
また請求項7に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルタを用いたことを特徴とする液晶表示装置である。
【0016】
また請求項8に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルタを用いたことを特徴とする有機EL表示装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、製造工程において染料を含有した着色樹脂組成物を使用した際に他の画素への染料の移染を抑制することができ、高透過率なカラーフィルタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】カラーフィルタの構成の一例を示す概略断面図。
図2】色度測定結果および膜硬度測定結果を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の種々の実施形態について説明する。
本発明における膜硬度とは、稜間角115°の三角錐ダイアモンド圧子を20秒かけて5mNなる荷重で膜面に押し込んだ時に、計測されるビッカース硬度(HV)のことである。着色画素に求められるビッカース硬度は45以上である。ビッカース硬度が45未満の場合では、染料含有の着色樹脂組成物を塗布した際に画素内へ染料が移染してしまい、画素の透過率は著しく低下してしまう。
【0020】
膜硬度を上げるためには、膜の架橋密度を上げることが必要となる。架橋密度を上げるた
めには、着色樹脂組成物の固形分に占めるモノマーの割合を上げ、さらに熱硬化成分を加えることが有効である。また、パターン露光、現像工程を経て更に露光することにより、未反応の二重結合を反応させ架橋密度を上げることも有効である。
【0021】
以下、本発明において用いられる緑色着色樹脂組成物の具体例、該緑色画素を用いたカラーフィルタの形成法について詳細に説明する。
【0022】
本発明において用いられる緑色着色樹脂組成物は少なくとも色材、バインダ樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、熱硬化性モノマー、溶剤からなる。
【0023】
(色材)
赤色顔料としては、例えば、色材として、C.I.Pigment Red7、14、41、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、81:4、146、168、177、178、179、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272、279等の赤色顔料を用いることができ、黄色顔料や橙色顔料を併用することもできる。
【0024】
黄色顔料としては、C.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、187、188、193、194、199、198、213、214等が挙げられる。
赤色着色画素において前述の色度点を満たす場合、C.I.PigmentRed254、177を使用することが高い透過率を得る上では望ましい。
【0025】
緑色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green 7、10、36、37、58等の緑色顔料を用いることができる。特に、C.I.PigmentGreen58に代表される臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を主要な顔料として用いることが高透過率な観点から好ましい。
緑色着色画素において、C.I.Pigment Green58およびC.I.Pigment Yellow138を使用することが高い透過率を得る上では望ましい。
【0026】
青色着色画素形成に使用する染料としては、例えば、C.I.PigmentBlue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料を用いることができる。また紫色染料としてはメチン系染料、アントラキノン系染料、アゾ系染料、トリアリール系染料、キサンテン系染料を併用する。
【0027】
キサンテン系染料としては、キサンテン系酸性染料を用いることが好ましく、特にキサンテン系酸性染料を、カウンタイオンとしてはたらくカウンタ成分である四級アンモニウム塩化合物を用いて造塩化した化合物、キサンテン系酸性染料をスルホンアミド化したスルホン酸アミド化合物を用いることが耐熱性、耐光性が優れているため好ましい。キサンテン系染料の中でも、ローダミン系染料は発色性、耐性にも優れているために好ましい。
【0028】
キサンテン系酸性染料としては、C.I.アシッドレッド51(エリスロシン(食用赤色3号))、C.I.アシッドレッド52(アシッドローダミン)、C.I.アシッドレッ
ド87(エオシンG(食用赤色103号))、C.I.アシッドレッド92(アシッドフロキシンPB(食用赤色104号))、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドレッド388、ローズベンガルB(食用赤色5号)、アシッドローダミンG、C.I.アシッドバイオレット9を用いることが好ましい。
中でも、耐熱性、耐光性の面で、キサンテン系酸性染料であるC.I.アシッド レッド
87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド388、あるいは、ローダミン系酸性染料であるC.I.アシッドレッド 52(アシッドローダミン)、C.I.アシッドレッド289、アシッドローダミンG、C.I.アシッドバイオレット9を用いることがより好ましい。
【0029】
この中でも特に、発色性、耐熱性、耐光性に優れる点において、ローダミン系酸性染料であるC.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド289を用いる事が最も好ましい。
【0030】
また、青色着色画素形成に使用する染料としては、メチン系染料、アントラキノン系染料、アゾ系染料、トリアリール系染料、キサンテン系染料のいずれかを含むものでも良い。
【0031】
(バインダ樹脂)
バインダ樹脂としてはアルカリ可溶型の非感光性透明樹脂および感光性透明樹脂を使用することができる。アルカリ可溶型の樹脂を使用することが望ましい。アルカリ可溶型の非感光性透明樹脂とは、アルカリ水溶液に溶解する性質を持つ、光重合性を有しない透明樹脂であり、このようなアルカリ可溶型の非感光性樹脂として具体的には、酸性官能基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン−(無水)マレイン酸共重合体、スチレン−(無水)マレイン酸共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン−(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。なかでも、酸性官能基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン−(無水)マレイン酸共重合体、スチレン−(無水)マレイン酸共重合体およびスチレン−スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂が好適に用いられる。
【0032】
感光性樹脂としては、反応性官能基を有する線状高分子に、この反応性官能基と反応可能な置換基を有する(メタ)アクリル化合物、ケイヒ酸等を反応させて、エチレン不飽和二重結合を該線状高分子に導入した樹脂が挙げられる。また、反応性官能基を有する(メタ)アクリル化合物、ケイヒ酸等に、この反応性官能基と反応可能な置換基を有する線状高分子を反応させて、エチレン不飽和二重結合を該線状高分子に導入した樹脂が挙げられる。前記反応性官能基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等が例示でき、この反応性官能基と反応可能な置換基としては、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等が例示できる。
また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子を、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも、感光性樹脂として使用できる。
【0033】
(光重合性モノマー)
光重合性モノマーとしては、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレートを用いることができる。
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロカラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
また、多官能イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリイソシアネート等が挙げられる。
着色樹脂組成物の固形分中に占める光重合性モノマーの割合は、得られた画素の硬度を上げるために25%〜35%の範囲であることが必要となる。25%以下となる場合には、膜の架橋密度が低下してしまい、染料の移染を抑制できず透過率低下に繋がってしまう。また、35%以上となる場合には、得られる画素の形状がオーバーハングとなってしまい、ムラや外観不良の原因となってしまう。
【0034】
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジ
クロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤、ボレート系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤等が用いられる。
【0035】
上記光重合開始剤は、単独あるいは2種以上混合して用いるが、増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。
【0036】
(熱硬化性モノマー)
熱硬化性モノマーとしては、二官能以上の多官能エポキシ化合物を使用することが好まし
い。例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、またはビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物などのエポキシ化合物が挙げられる。
具体的には、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等の低分子量エポキシ化合物が挙げられる。製品名としては、ナガセケムテックス製EX−810、EX−830、EX−611、EX−421、EX−512、EX−521、EX−611、EX−614、EX−622、EX−314、EX−321、EX−411が挙げられる。
また、多官能エポキシ化合物の一部または全てを多官能オキセタン化合物に置き換えてもよい。オキセタン化合物は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、またはビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物などのオキセタン化合物等が挙げられる。
中でも2官能エポキシは、焼成時の黄変が少なく、着色画素の透過率への影響が少ないため好ましい。
【0037】
(溶剤)
溶剤としては、メタノール、エタノール、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジグライム、シクロヘキサノン、エチルベンゼン、キシレン、酢酸磯亜ミル、酢酸nアミル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、液体ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エステル、エチルエトキシプポピオネートなどが挙げられる。
【0038】
(カラーフィルタ基板の製造方法)
本発明のカラーフィルタ基板4は、具体的には図1に示すような構成で製造することができる。このカラーフィルタ基板4の製造工程は、透明基板1上に黒色樹脂組成物や赤、緑、青などの着色樹脂組成物を塗布するための塗布工程と塗布された樹脂組成物から溶剤などを揮発させ乾燥させ樹脂組成物層を形成するための乾燥工程とこの樹脂組成物層をパターン露光するための露光工程とこのパターン露光された樹脂組成物層を現像するための現像工程と塗布工程から現像工程を繰り返すことによりブラックマトリクス2や赤色着色樹脂組成物、緑色着色樹脂組成物、青色着色樹脂組成物などのパターン化された着色樹脂組成物層である赤色着色画素3R、緑色着色画素3G、青色着色画素3Bなどを形成後、これらを全面露光してパターン化された着色樹脂組成物層の架橋密度を上げるための全面露光工程と、これらの着色樹脂組成物層を被覆する形で透明樹脂組成物からなる保護層を形成する保護層形成工程と着色樹脂組成物層と保護層を加熱して焼きしめることにより、透明基板1と着色樹脂組成物との密着性を向上させると同時にそれらの耐久性を向上させるための焼成工程を備えている。例えば、まずはじめに、透明基板1上の全面にスピンコ
ート法などにより黒色樹脂組成物を塗布することにより、ブラックマトリクス2となる黒色樹脂組成物層を形成する。次いで、所定のパターンのフォトマスクを介して黒色樹脂組成物層を露光し、露光された部分の黒色樹脂組成物層を光硬化する。ここでフォトマスクを使用することは必須ではなく、パターン露光を行えれば良い。次に、黒色樹脂組成物層を現像して未露光領域を除去し、パターニングを完了する。次に、形成した黒色樹脂組成物層のパターンを焼成することにより透明基板1に固着させ、所定のパターンのブラックマトリクス2を形成する。次いで赤色着色樹脂組成物、緑色着色樹脂組成物および青色着色樹脂組成物を用いて同様の工程を順次繰り返すことにより、それぞれ赤色着色画素3R、緑色着色画素3Gおよび青色着色画素3Bを形成することができる。ここで、赤色着色画素3Rと緑色着色画素3Gの形成の順番を入れ替えても良い。最後にそれら着色画素を被覆する形で透明樹脂組成物を用いて塗布、乾燥、露光、現像、焼成を行うことにより、本発明のカラーフィルタ基板4を作製することができる。また、本発明において、青色着色画素3Bの硬度が低く、青色着色画素3B中の染料の移染による青色着色画素3B以外の画素の光透過率低下が見られた場合、焼成前に全面露光し、赤色着色画素3R、緑色着色画素3Gおよび青色着色画素3Bの架橋密度を上げる所作をとることが重要となる。
【0039】
(液晶表示装置)
このように作製したカラーフィルタ基板4と駆動回路を有する基板とをシール剤を用いて貼り合わせ、液晶を注入することにより、本発明の液晶表示装置を作製することができる。
【0040】
(有機EL表示装置)
作製したカラーフィルタ基板4と有機EL素子基板を対向するように配置し、不活性ガス中においてカラーフィルタ基板4の周縁部をシール剤により封止することにより、本発明の有機EL表示装置を作製することができる。
【実施例】
【0041】
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
[黒色樹脂組成物の調整]
フルオレン骨格を有するエポキシアクリレートの酸無水物重縮合物のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(樹脂固形分濃度=56.1質量%、新日鐵化学(株)社製V259ME)10.0gに対し、光重合性を有する化合物として、分子量578のジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート(東亜合成(株)社製)1.9g、光重合開始剤として、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)(BASF社製 製品名イルガキュアOXE02)0.6g、溶剤として、シクロヘキサノン29.5g、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート29.5g、添加剤にアデカポリエーテルG−400を1.0g加え、感光性樹脂組成物を得た。さらに、遮光剤としてカーボンブラック分散液(御国色素社製 TPBK−234C)27.5gを加えてよく撹拌し、顔料濃度40%である黒色樹脂組成物100gを得た。
【0042】
[着色樹脂組成物の調整]
着色樹脂組成物に使用する着色剤には以下のものを使用した。
赤色用顔料:C.I. Pigment Red 254(BASF社製「イルガーフォーレッド B−CF」)およびC.I. Pigment Red 177(BASF社製「クロモフタールレッド A2B」)
緑色用顔料:C.I. Pigment Green 58(DIC(株)製「FASTOGEN Green A10」)、およびC.I.PigmentYellow138
(BASF社製「パリオトールイエローK0961HD)
青色用顔料:C.I. Pigment Blue 15:6(東洋カラー社製「リオノールブルーES」)、キサンテン系染料ローダミン6G(東京化成工業社製)
【0043】
それぞれの顔料を用いて赤色・緑色・青色の着色樹脂組成物を作製した。
(赤色着色材料)
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して赤色顔料の分散体を作製した。
赤色顔料:C.I. Pigment Red 254 10重量部
赤色顔料:C.I. Pigment Red 177 10重量部
アクリルワニス(固形分20%) 108重量部
【0044】
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して赤色着色材料を得た。
上記の赤色顔料の分散体 150重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 13重量部
(大阪有機化学工業社製「TMP3A」)
光開始剤 3重量部
(BASF社製「Irgacure907」)
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 1重量部
シクロヘキサノン 253重量部
(緑色着色材料(No.1))
組成がそれぞれ下記組成となるように,赤色着色材料と同様の方法で作製した。
緑色顔料:C.I. Pigment Green 58 16重量部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 138 8重量部
アクリルワニス(固形分20%) 97重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 18重量部
(大阪有機化学工業社製「TMP3A」)
エチレングリコールジグリシジルエーテル 3.6重量部
(ナガセケムテックス製「EX−810」)
光開始剤 4重量部
(BASF社製「Irgacure907」)
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 2重量部
シクロヘキサノン 257重量部
【0045】
(青色着色材料)
組成がそれぞれ下記組成となるように,赤色着色材料と同様の方法で作製した。
青色顔料:C.I. Pigment Blue 15 50重量部
紫色染料:キサンテン系染料 2重量部
分散剤(ゼネカ社製「ソルスバーズ20000」) 10重量部
アクリルワニス(固形分20%) 200重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 19重量部
(大阪有機化学工業社製「TMP3A」)
光開始剤 4重量部
(BASF社製「Irgacure907」)
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 2重量部
シクロヘキサノン 214重量部
【0046】
[カラーフィルタ作製]
(ブラックマトリクスのパタ−ン形成)
黒色樹脂組成物を10cm×10cmのガラス基板上にスピンコーターで約1.5μmの厚さに塗工し、70℃のオーブン内に15分間静置し、余剰の溶剤を乾燥、除去した。次に、上記BM1組成物の塗膜から150μmの間隔をあけて、20μmのストライプ状のパターンを有するフォトマスクをセットし、露光、その後、現像して未露光部分を取り除いた後、この基板を230℃で30分加熱して、BM(ブラックマトリクス)を形成した。
【0047】
(着色画素のパタ−ン形成)
前記ブラックマトリクスを形成した10cm×10cmのガラス基板上に、赤色着色樹脂組成物を、100μmのストライプ状のパターンを有するフォトマスクを用いること以外は、ブラックマトリクスの形成と同様の工程で、赤色画素を形成した。
次に、緑色着色樹脂組成物No.1、青色着色樹脂組成物を用いて、赤色画素の形成と同様の工程で、順次、緑色及び青色の画素を形成しカラーフィルタ基板を作製した。
【0048】
<実施例2>
[緑色着色樹脂組成物No.2の調整]
緑色顔料:C.I. Pigment Green 58 16重量部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 138 8重量部
アクリルワニス(固形分20%) 94重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 29重量部
(大阪有機化学工業社製「TMP3A」)
エチレングリコールジグリシジルエーテル 4.2重量部
(ナガセケムテックス製「EX−810」)
光開始剤 4重量部
(BASF社製「Irgacure907」)
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 2重量部
シクロヘキサノン 257重量部
実施例1の緑色着色樹脂組成物No.1の代わりに緑色着色樹脂組成物No.2を用いた以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタ基板を作製した。
【0049】
<実施例3>
[緑色着色樹脂組成物No.3の調整]
緑色顔料:C.I. Pigment Green 58 16重量部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 138 8重量部
アクリルワニス(固形分20%) 102重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 19重量部
(大阪有機化学工業社製「TMP3A」)
エチレングリコールジグリシジルエーテル 8重量部
(ナガセケムテックス製「EX−810」)
光開始剤 4重量部
(BASF社製「Irgacure907」)
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 2重量部
シクロヘキサノン 257重量部
実施例1の緑色着色樹脂組成物No.1の代わりに緑色着色樹脂組成物No.3を用いた以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタ基板を作製した。
【0050】
<実施例4>
[緑色着色樹脂組成物No.4の調整]
緑色顔料:C.I. Pigment Green 58 16重量部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 138 8重量部
アクリルワニス(固形分20%) 109重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 32重量部
(大阪有機化学工業社製「TMP3A」)
エチレングリコールジグリシジルエーテル 9重量部
(ナガセケムテックス製「EX−810」)
光開始剤 4重量部
(BASF社製「Irgacure907」)
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 2重量部
シクロヘキサノン 257重量部
実施例1の緑色着色樹脂組成物No.1の代わりに緑色着色樹脂組成物No.4を用い、緑色着色画素の製造工程において、焼成前に露光実施したこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタ基板を作製した。
【0051】
<実施例5>
実施例1の緑色着色樹脂組成物No.1を用い、緑色着色画素の製造工程において、焼成前に露光したこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタ基板を作製した。
【0052】
<比較例1>
[緑色着色樹脂組成物No.5の調整]
緑色顔料:C.I. Pigment Green 58 16重量部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 138 8重量部
アクリルワニス(固形分20%) 82重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 15重量部
(大阪有機化学工業社製「TMP3A」)
エチレングリコールジグリシジルエーテル 7.2重量部
(ナガセケムテックス製「EX−810」)
光開始剤 4重量部
(BASF社製「Irgacure907」)
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 2重量部
シクロヘキサノン 257重量部
実施例1の緑色着色樹脂組成物No.1の代わりに緑色着色樹脂組成物No.5を用いたこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタ基板を作製した。
【0053】
<比較例2>
[緑色着色樹脂組成物No.6の調整]
緑色顔料:C.I. Pigment Green 58 16重量部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 138 8重量部
アクリルワニス(固形分20%) 82重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 36重量部
(大阪有機化学工業社製「TMP3A」)
エチレングリコールジグリシジルエーテル 4.5重量部
(ナガセケムテックス製「EX−810」)
光開始剤 4重量部
(BASF社製「Irgacure907」)
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 2重量部
シクロヘキサノン 257重量部
実施例1の緑色着色樹脂組成物No.1の代わりに緑色着色樹脂組成物No.7を用いたこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。
【0054】
<比較例3>
[緑色着色樹脂組成物No.7の調整]
緑色顔料:C.I. Pigment Green 58 16重量部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 138 8重量部
アクリルワニス(固形分20%) 82重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 17重量部
(大阪有機化学工業社製「TMP3A」)
光開始剤 4重量部
(BASF社製「Irgacure907」)
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 2重量部
シクロヘキサノン 257重量部
実施例1の緑色着色樹脂組成物No.1の代わりに緑色着色樹脂組成物No.7を用いたこと以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。
(画素の色度測定)
カラーフィルタの1つの画素の色度は、顕微分光器(大塚電子製 LCF−2000)を用い、C光源にてCIE表色系における色度座標(x,y)および明度(Y)を測定した。Y値が大きいほど透過率が高いことを示す。
【0055】
[膜硬度測定]
(ビッカース硬度(HV))
フィッシャー・インスツルメンツ社製微小膜硬度計HM2000を用いて、四角錐圧子(ビッカース圧子)を実施例1〜5、比較例1〜3で作製したカラーフィルタの緑色画素上に、20秒かけて5mNの荷重で押し込んだ時の数値(HV)を測定値とした。
HV値が大きいほど、硬度が高いことを示す。
色度測定結果および膜硬度測定結果について図2に示す。これらの結果から、実施例1〜5では断面形状はすべて良好であり、且つ明度Yは全て58.4以上であった。膜硬度は45が最低値だった。一方、比較例1と3では断面形状は良好であったものの、明度Yは57.1に低下した。膜硬度はそれぞれ42と43だった。また比較例2では明度Yは58.7で良好であったが、断面形状はオーバーハングが生じて不良であった。膜硬度は52だった。この結果から、膜硬度が45〜50においては良好な結果が得られた。
また、良好な結果が得られた実施例1〜5においては、緑色着色樹脂組成物に含まれる光重合成モノマーの割合は25%〜35%だった。良好ではない結果が得られた比較例1〜3では、これらの数値範囲から外れたものであった。また良好な結果が得られたのは、固形分中に占める色材の割合が30%〜50%の場合であった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
染料を含む青色着色画素を含むカラーフィルタに好適に適用できる。
【符号の説明】
【0057】
1・・・透明基板
2・・・ブラックマトリクス
3・・・着色画素
3R・・・赤色着色画素
3G・・・緑色着色画素
3B・・・青色着色画素
4・・・カラーフィルタ基板
図1
図2