特許第6303552号(P6303552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コクヨ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6303552-鋏 図000002
  • 特許6303552-鋏 図000003
  • 特許6303552-鋏 図000004
  • 特許6303552-鋏 図000005
  • 特許6303552-鋏 図000006
  • 特許6303552-鋏 図000007
  • 特許6303552-鋏 図000008
  • 特許6303552-鋏 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6303552
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】鋏
(51)【国際特許分類】
   B26B 13/20 20060101AFI20180326BHJP
【FI】
   B26B13/20
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-19696(P2014-19696)
(22)【出願日】2014年2月4日
(65)【公開番号】特開2015-146832(P2015-146832A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2017年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 剛
(72)【発明者】
【氏名】河井 重博
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭50−063683(JP,U)
【文献】 米国特許第01967549(US,A)
【文献】 実公昭13−016681(JP,Y1)
【文献】 米国特許第02370026(US,A)
【文献】 特開2013−240399(JP,A)
【文献】 特開2013−119003(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0158598(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0081282(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 13/00 − 13/20
A01G 3/02
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄、及び刃線を有する刃片をそれぞれ備えた対をなす鋏身と、これら対をなす鋏身を回動自在に結合する軸とを有する鋏であって、
一方の鋏身の柄が使用者の親指による操作力を受け付けるための第1の指掛けを有し、
他方の鋏身の柄が使用者の親指以外の指による操作力を受け付けるための第2の指掛けを有し、
前記第1の指掛けが、前記第2の指掛けよりも前記軸に近い側に配され、かつ前記第2の指掛けと異なる方向に開口しているとともに、
閉じた状態における前記第1の指掛けと前記第2の指掛けとが同一又は近接した幅方向位置に配され、かつ閉じた状態における前記第1の指掛けと前記第2の指掛けとが幅方向にオーバーラップし、
前記一方の鋏身の柄が、前記第1の指掛けと軸との間を接続する接続部と、前記第1の指掛けと、これら接続部と第1の指掛けとの間に設けられ一方の鋏身を他方の鋏身に向けて移動させるための操作力を受け付ける押圧部とを備え、
前記押圧部が、前記第1の指掛けと前記接続部とを接続する曲面板状の部位である鋏。
【請求項2】
前記第2の指掛けが、前記刃線同士が摺動する摺動面と垂直な方向に開口している請求項1記載の鋏。
【請求項3】
前記押圧部の内面が、前記刃線同士が摺動する摺動面の法線に対して傾斜を有する傾斜部を備えている請求項1又は2記載の鋏。
【請求項4】
前記刃線の刃先側の部位に、両刃線がなす交差角度が略変化しないか又は切断位置が前記軸から遠ざかるに従って前記交差角度が大きくなる刃先側領域が設定されている請求項1、2又は3記載の鋏。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスや学校等で好適に用いられる鋏に関する。
【背景技術】
【0002】
鋏をペンケース等の収納具に収納して携帯するにあたっては、収納具内の限られた収納スペースに収納可能にすべく、特に柄の幅寸法を小さくすることが求められている。
【0003】
鋏を閉じた状態における鋏の幅寸法を小さくするための構成として、一方の鋏身の柄の指掛け部よりも他方の鋏身の柄の指掛け部を軸に近い側に配するものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。このようなものであれば、対をなす柄の指掛け部を同一の又は近接した巾方向位置に配することができるからである。
【0004】
ところが、従来のこの種の鋏は指掛け部が同一方向に開口しているが、一方の鋏身の柄の指掛け部に使用者の親指、他方の鋏身の柄の指掛け部に使用者の親指以外の指を掛けてこの種の鋏を使用する際に、親指と他の指とは異なる方向に伸びている。そのため、切断操作を行う際の把持態様が不自然であり使い勝手が悪いという不具合が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭61−134780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の点に着目し、使い勝手を損ねることなく鋏の幅寸法を小さくし携帯の便を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決すべく、本発明に係る鋏は、以下に述べるような構成を有する。すなわち本発明に係る鋏は、柄、及び刃線を有する刃片をそれぞれ備えた対をなす鋏身と、これら対をなす鋏身を回動自在に結合する軸とを有する鋏であって、
一方の鋏身の柄が使用者の親指による操作力を受け付けるための第1の指掛けを有し、
他方の鋏身の柄が使用者の親指以外の指による操作力を受け付けるための第2の指掛けを有し、前記第1の指掛けが、前記第2の指掛けよりも前記軸に近い側に配され、かつ前記第2の指掛けと異なる方向に開口しているとともに、閉じた状態における前記第1の指掛けと前記第2の指掛けとが同一又は近接した幅方向位置に配され、かつ閉じた状態における前記第1の指掛けと前記第2の指掛けとが幅方向にオーバーラップし、前記一方の鋏身の柄が、前記第1の指掛けと軸との間を接続する接続部と、前記第1の指掛けと、これら接続部と第1の指掛けとの間に設けられ一方の鋏身を他方の鋏身に向けて移動させるための操作力を受け付ける押圧部とを備え、前記押圧部が、前記第1の指掛けと前記接続部とを接続する曲面板状の部位である
【0008】
このようなものであれば、第1の指掛けを第2の指掛けよりも軸に近い側に配することにより鋏を閉じた状態における鋏の幅寸法を小さくすることができる。その上で、第1の指掛けと第2の指掛けとが異なる方向に開口しているので、自然な態様でこの鋏を把持することができ、使いやすさの向上を図ることができる。
【0009】
請求項2に記載の鋏は、請求項1記載の構成において、前記第2の指掛けが、前記刃線同士が摺動する摺動面と垂直な方向に開口しているものである。
【0011】
請求項に記載の鋏は、請求項1又は2記載の構成において、前記押圧部の内面が、前記刃線同士が摺動する摺動面の法線に対して傾斜を有する傾斜部を備えているものである。
【0012】
請求項に記載の鋏は、請求項1、2又は3記載の構成において、前記刃線の刃先側の部位に、両刃線がなす交差角度が略変化しないか又は切断位置が前記軸から遠ざかるに従って前記交差角度が大きくなる刃先側領域が設定されているものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、使い勝手を損ねることなく鋏の幅寸法を小さくし携帯の便を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る鋏を示す全体斜視図。
図2】同実施形態に係る鋏を示す全体正面図。
図3】同実施形態に係る鋏を開いた状態を示す全体正面図。
図4】同実施形態に係る鋏の柄を示す正面図。
図5】同実施形態に係る鋏の柄及びその把持態様を示す側面図。
図6】同実施形態に係る鋏の柄を示す平面図。
図7図5におけるA−A断面図。
図8】同実施形態に係る鋏及びその把持態様を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態を、図1図8を参照しつつ以下に述べる。
【0016】
本実施形態に係る鋏Hは、図1図3に示すように、第1の刃片31を有する第1の鋏身11と、前記第1の刃片31と対をなす第2の刃片32を有する第2の鋏身12とを、支軸4を中心に回動自在に結合してなる。
【0017】
前記第1の鋏身11は、図1図3に示すように、第1の柄21と、この第1の柄21の前端に基端側を挿入して取り付けられる前記第1の刃片31とから構成される。
【0018】
前記第1の柄21は、図1図8に示すように、使用者が親指Tを挿入するための指掛けたる第1の指掛環211a内に掛けておくための第1の操作部211と、前記第1の操作部211と支軸4との間を接続する接続部212とを備えている。そして、上述したように、この第1の柄21の前端すなわち軸4に近い側の端に前記第1の刃片31の基端側を挿入して取り付けるようにしている。
【0019】
前記第1の刃片31は、鋏Hを用いて紙葉類等を切断する際に、第2の刃片32との間で紙葉類を挟むものである。この第1の刃片31は、主にステンレスにより構成した金属板を素材とし、全体を一体的にプレス成形することにより形成してなる板状のものである。この金属板の厚さ寸法は任意である。また本実施形態では、この第1の刃片31は、図1図3に示すように、前記第2の刃片32と摺動可能かつ平坦な図示しない刃裏面と前記第2の刃片32と反対側に向かう面である外面すなわち刃表面31bとの間に、刃線31cを形成している。さらに、この第1の刃片31は、前記刃線31cと反対側の側端縁に形成した刃峰31dと、先端部に位置する刃先31eと、基端部すなわち支軸4近傍に位置する刃元31fとを具備する。加えて、前記刃線31cには、刃元側領域31c1と刃先側領域31c2とを設定している。これら刃元側領域31c1と刃先側領域31c2とは隣接しており、刃線同士の交差角度は、これら刃元側領域31c1と刃先側領域31c2との境界で最小となる。すなわち、刃先側領域31c2の全域に亘って前記交差角度が前記境界における交差角度よりも大きい。そして、前述したように、この第1の刃片31に、支軸4を介して前記第2の鋏身12を構成する第2の刃片32を取り付けている。
【0020】
一方、第2の鋏身12は、図1図3に示すように、第2の柄22と、この第2の柄22の前端に基端側を挿入して取り付けられる第2の刃片たる前記第2の刃片32とから構成される。
【0021】
前記第2の柄22は、図1図6及び図8に示すように、使用者の親指T以外の指を所定の指掛け領域たる第2の指掛環221a内に掛けておくための第2の操作部221と、前記第2の操作部221と支軸4との間を接続する接続部222とを備えている。そして、上述したように、この第2の柄22の前端すなわち軸4に近い側の端に前記第2の刃片32の基端側を挿入して取り付けるようにしている。
【0022】
前記第2の刃片32は、前記第1の刃片31と対をなし、鋏Hを用いて紙葉類等を切断する際に、第1の刃片31との間で紙葉類を挟むものである。この第2の刃片32も、前記第1の刃片31と同様に、主にステンレスにより構成した金属板を素材とし、全体を一体的にプレス成形することにより形成してなる板状のものである。また本実施形態では、この第2の刃片32は、図1図3に示すように、前記第1の刃片31と摺動可能かつ平坦な刃裏面32aと前記第1の刃片31と反対側に向かう面である外面すなわち図示しない刃表面との間に、刃線32cを形成している。この刃線32cの全長も任意である。さらに、この第2の刃片32は、前記刃線32cと反対側の側端縁に形成した刃峰32dと、先端部に位置する刃先32eと、基端部すなわち支軸4近傍に位置する刃元32fとを具備する。
【0023】
前記第1の刃片31及び第2の刃片32の刃線31c、32cには、切断操作に伴って切断位置が前記軸から遠ざかるに従って両刃線31c、32cがなす交差角度が漸次小さくなる曲線状の刃元側領域31c1、32c1と、この刃元側領域の刃先側に隣接し前記交差角度が略変化しないか又は切断位置が前記軸から遠ざかるに従って前記交差角度が大きくなる刃先側領域31c2、32c2とをそれぞれ設定している。前記刃元側領域31c1、32c1では、第1の刃片31及び第2の刃片32の幅寸法は略一定である。一方、前記刃先側領域31c2、32c2では、第1の刃片31及び第2の刃片32の幅寸法は刃先31e、32eに近づくにつれ小さくなる。
【0024】
ここで、第1の柄21の構成についてさらに詳述する。
【0025】
第1の柄21は、図1図8に示すように、前記第1の操作部211と、前記第1の操作部211と支軸4との間を接続する前記接続部212と、これら接続部212と第1の操作部211との間に設けられ第1の鋏身11を第2の鋏身12に向けて移動させるための操作力を受け付ける押圧部213とを備えている。
【0026】
前記第1の操作部211は、図1図8に示すように、内部に前記第1の指掛環211aを有する円筒状の部材である。前記第1の指掛環211aの中心軸線L1は、図5に示すように、第1の刃片31の刃線31cと第2の刃片32の刃線32cとが摺動する摺動面Pの法線L0と異なる方向に伸びている。より具体的には、前記中心軸線L1は、前記摺動面Pの法線L0と角度θ(>0)をなしている。この角度θは、本実施形態では約34度に設定している。また、前記中心軸線L1は、図7に示すように、鋏Hを閉じた状態において軸4及び刃先31eを通る直線LXと角度φ(>0)をなしている。
【0027】
前記接続部212は、図1図8に示すように、一端が前記第1の指掛環211aと接続しており、前記直線LXに沿って伸びている。
【0028】
前記押圧部213は、図1図8に示すように、前記第1の指掛環211aの前記接続部212との接続部位から前記軸4に最も近い部位までと前記接続部212とを接続する曲面板状の部位である。この押圧部213の内面213aは、前記第1の指掛環211aの内面211bと滑らかに連続している。鋏Hの使用時には、図5に示すように、使用者の親指Tがこの押圧部213の内面213a及び第1の指掛環211aに接する。そして、この押圧部213の内面213aのうち第1の接続部212に近い部位には、前記摺動面Pの法線L0に対して傾斜を有する傾斜部213bを備えている。この傾斜部213bは、使用者の手の親指Tを当てることにより親指Tを位置決めする機能を有する。なお、図4図7において網掛けを付した部位が傾斜部213bである。
【0029】
次いで、第2の柄22の構成についてさらに詳述する。
【0030】
第2の柄22は、図1図6及び図8に示すように、前記第2の操作部221と、前記第2の操作部221と支軸4との間を接続する前記接続部222とを備えている。なお、図6においては、第2の柄22は想像線で示している。
【0031】
前記第2の操作部221は、図1図6及び図8に示すように、使用者の親指T以外の指、最も好ましくは中指F2を掛けるための第2の指掛環221aと、第2の指掛環221aの外側に位置し使用者の薬指F3を添接させるための指掛突起221bとを備えている。前記第2の指掛環221aの中心軸線L2は、前記摺動面Pの法線L0と同一方向に伸びている。ここで、第2の操作部221は、図1図5に示すように、第1の操作部211よりも軸4から離れた位置に配している。換言すれば、第1の操作部211は、第2の操作部221よりも軸4に近い位置に配している。
【0032】
前記接続部222は、一端が前記第2の指掛環221aと接続しており、略前記直線LXに沿う方向に伸びている。また、この接続部222の外面のうち、前記第2の操作部221の軸4側端部に隣接する箇所には外方に膨出する凸部である案内凸部222aを設けており、この案内凸部222aの軸4側に使用者の人差し指F1を添接させるようにしている。
【0033】
すなわち本実施形態の鋏Hを最も自然な把持態様で使用する際には、図5及び図8に示すように、使用者の人差し指F1、中指F2及び薬指F3が略同一方向に伸びた状態で中指F2を第2の指掛環221aに挿し通し、人差し指F1を前記案内凸部222aの軸4側に添接させ、薬指F3を指掛突起221bに添接させる。その上で、使用者の親指Tが人差し指F1、中指F2及び薬指F3と交差する方向に伸びた状態で親指Tを第1の指掛環211aに挿し通し押圧部213の内面213aの傾斜部213bに添接させる。このとき、親指Tは第1の指掛環211aの中心軸線L1に沿って伸び、親指T以外の指は第1の指掛環211aの中心軸線L1と異なる方向、より具体的には第2の指掛環221aの中心軸線L2に沿う方向に伸びる。但し、第2の指掛環221aには、親指T以外のどの指を挿し通してもこの鋏Hを使用することはできる。
【0034】
すなわち、本実施形態の構成によれば、第1の操作部211を第2の操作部221よりも軸4に近い側に配することにより鋏Hを閉じた状態における鋏の幅寸法を小さくすることができる。その上で、第1の操作部211と第2の操作部221とが異なる方向に開口しているので、自然な態様でこの鋏を把持することができ、使いやすさの向上を図ることができる。
【0035】
また、前記第2の操作部221が、前記刃線31c、32c同士が摺動する摺動面Pと垂直な方向に開口しているので、第1の刃片31及び第2の刃片32を紙葉類等の切断対象物と垂直に配し、使用感を損ねないようにすることができる。
【0036】
さらに、第1の柄21が、前記第1の操作部211と、前記接続部212と、これら接続部212と第1の操作部211との間に設けられ第1の鋏身11を第2の鋏身12に向けて移動させるための操作力を受け付ける押圧部213とを備えているので、使用者の親指Tをこの押圧部213の内面213aに添接させ、親指Tによる操作力を面的に受けて第1の刃片31に伝達させることができる。
【0037】
そして、押圧部213の内面213aが傾斜部213bを備えているので、使用者の親指Tをこの傾斜部213bに添接させて親指Tの位置決めを行い、把持態様を安定させることにより紙葉類を安定してまっすぐに切断することができる。
【0038】
加えて、前記第1の刃片31及び第2の刃片32の刃線31c、32cの刃先31e、32e側の部位に、両刃線31c、32cがなす交差角度が略変化しないか又は切断位置が前記軸から遠ざかるに従って前記交差角度が大きくなる刃先側領域31c2、32c2をそれぞれ設定しているので、刃先近傍においても切断に要する荷重が小さく、このような鋏を用いた紙葉類の切断作業を容易に行うことができる。
【0039】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0040】
例えば、上述した実施形態では、第1及び第2の指掛けはいずれも環状であるが、柄同士が互いに相寄る方向及び互いに離間する方向への操作力の双方を受け付け可能なものであれば、一部が切り欠かれた形状のものであってもよい。
【0041】
また、上述した実施形態では、第2の指掛けを刃線同士が摺動する摺動面と垂直な方向に開口させているが、第1及び第2の指掛けが異なる方向に開口していれば、自然な態様で把持することができるという効果は得ることができる。
【0042】
さらに、上述した実施形態では、第1の柄が、第1の指掛けと軸との間を接続する接続部と、第1の指掛けと、これら接続部と第1の指掛けとの間に設けられ一方の鋏身を他方の鋏身に向けて移動させるための操作力を受け付ける押圧部とを備えているが、この押圧部は省略してもよく、また、押圧部を設ける場合であってもその形状は任意に設定してよい。
【0043】
加えて、上述した実施形態では、第2の柄の第2の指掛けよりも軸に近い側に、使用者の人差し指の位置を案内するための凸部を備えているが、この凸部の形状は任意であり、また、このような凸部を省略し、例えば使用者の人差し指を収納するための凹部を設ける等、使用者の人差し指の位置を案内する他の手段を設ける態様や、使用者の人差し指の位置を案内する手段自体を省略する態様を採用してもよい。
【0044】
その上、刃片は、樹脂製のもの等、金属以外の材質により形成されたものであってもよく、また、刃片と柄を同一の材質により形成してもよい。
【0045】
さらに、上述した実施形態では、第1の指掛けが開口する方向(中心軸線が延伸する向き)は、第2の指掛けが開口する方向(中心軸線が延伸する向き)に対して約34度をなすようにしているが、第1の指掛けが開口する方向と第2の指掛けが開口する方向とが異なるものであれば、換言すればこれらがなす角度が0度を上回るものであれば、90度までの任意の角度に設定してよい。
【0046】
そして、刃線の形状は、全体に亘って直線状や曲率半径が一定の曲線状等、任意に設定してよい。但し、上述した実施形態の構成によれば、前述したように、刃先近傍においても切断に要する荷重が小さくなるという効果が得られる。
【0047】
加えて、左利きの使用者に対応するためには、図5に示すように配置した状態で全体が左右逆となる形状を採用するとよい。
【0048】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0049】
H…鋏
11、12…(第1、第2の)鋏身
21、22…(第1、第2の)柄
211a…第1の指掛け(第1の指掛環)
212…第1の接続部
213…押圧部
213b…傾斜部
221a…第2の指掛け(第2の指掛環)
222…第2の接続部
31、32…(第1、第2の)刃片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8