(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第一実施形態>
以下に、
図1を用いて、本発明の一実施形態に係る鍵盤装置1について説明する。鍵盤装置1は、本実施形態において電子鍵盤楽器の鍵盤装置である。
鍵盤装置1は、フレーム(機台)2、上限ストッパ2a、鍵支点部3、鍵4、反力発生装置5を具備する。鍵盤装置1は、複数の鍵4(白鍵4aと黒鍵4b)が隣り合うようにして機台であるフレーム2に配置されている。各鍵4は、一側がフレーム2に設けられた鍵支点部3に回動支点である回動軸3aを介して回動自在に支持され、他側がフレーム2に設けられている上限ストッパ2aに接触している。さらに、鍵盤装置1は、各鍵4に対応して複数の反力発生装置5がと図示しない複数の鍵スイッチがフレーム2に設けられている。つまり、鍵盤装置1は、鍵4、鍵4に対応する反力発生装置5と、図示しない鍵スイッチとが鍵4の配列方向にそれぞれ隣り合うようにしてフレーム2に設けられている。
【0013】
鍵盤装置1は、鍵4が操作者により押圧されると(
図1(b)黒塗矢印参照)、操作された鍵4に対応する図示しない鍵スイッチが押圧されて楽音信号が生成されるとともに、操作された鍵4に対応する反力発生装置5を圧縮変形させることによって、鍵4の操作に対する反力が発生するように構成されている。
【0014】
次に、
図2を用いて、本発明の第一実施形態に係る反力発生装置5について具体的に説明する。反力発生装置5は、操作子である鍵4の操作に対する反力(以下、単に「反力」と記す)を発生させるものである。
図2に示すように、反力発生装置5は、シリコンゴム等の弾性部材から構成され、ベース部6、ドーム部7およびトップ部8を具備する。
【0015】
ベース部6は、反力発生装置5の位置を固定するものである。ベース部6は、板状に形成されている。ベース部6は、一側平面に図示しない複数の固定用の突出部が形成されて、一側平面が鍵盤装置1のフレーム2に密接するようにして突出部によってフレーム2に固定されている。ベース部6には、他側平面に複数のドーム部7が形成されている。つまり、反力発生装置5は、複数の反力発生装置5のベース部6が一体に形成されている。なお、本実施形態において、複数の反力発生装置5のベース部6が一体に構成されているがこれに限定されるものではなく、ベース部6にドーム部7が一つだけ形成されている構成でもよい。
【0016】
ドーム部7は、反力を発生させるものである。ドーム部7は、ベース部6の他側平面から鍵盤装置1の鍵4に向かって膨出した中空のドーム状に形成されている。具体的には、
図2(a)に示すように、ドーム部7は、ベース部6の他側平面視において一組の離間した円弧同士を直線によって接続した長円状(長孔状)の側壁7aが、ベース部6の他側平面から突出するように形成されている。そして、
図2(b)と
図2(c)とに示すように、ドーム部7は、側壁7aの突出側に側壁7aで囲われた空間を覆うようにして屋根7bが形成されている。ドーム部7の側壁7aと屋根7bとは、曲面7cを介して滑らかに連結され一体に形成されている。さらに、ドーム部7は、屋根7bの先端にトップ部8が形成されている。つまり、ドーム部7は、反膨出側である基端側にベース部6が隣接して一体に形成され、膨出側である先端側にトップ部8が隣接して一体に形成されている。
【0017】
トップ部8は、鍵盤装置1の鍵4に押圧されるものである。
図2に示すように、トップ部8は、ドーム部7の屋根7bから鍵盤装置1の鍵4に向かって突出して形成されている。具体的には、トップ部8は、ベース部6の他側平面視で中実長円状の台がドーム部7の屋根7bから突出するように形成されている。つまり、トップ部8は、ドーム部7の屋根7bと一体に形成されて、ドーム部7の屋根7bの一部を構成している。また、トップ部8は、長手方向の中心線がドーム部7の長手方向の中心線と一致するように配置されている。トップ部8は、突出側の先端部分に鍵4との接触面8aが形成されている。
【0018】
反力発生装置5は、
図1(a)に示すように、長円状に形成されたドーム部7の長手方向の中心線が鍵4の回動軸3aに対して垂直になるように配置されている。また、
図1(b)に示すように、反力発生装置5は、トップ部8の接触面8aの全面が操作されていない状態の鍵盤装置1の鍵4に接触するように構成されている。つまり、反力発生装置5は、鍵4の操作の範囲において、トップ部8の接触面8aの全面が常に鍵4と接触するように構成されている。
【0019】
以下に、
図1と
図3とを用いて、反力発生装置5のドーム部7の形状についてより具体的に説明する。
図1(b)と
図3とに示すように、反力発生装置5は、互いに隣接して一体に形成されているベース部6とドーム部7との接続部分の交線BLによって定まる基端側平面BPと、互いに隣接して一体に形成されているドーム部7とトップ部8との接続部分の交線TLによって定まる先端側平面TPとが、鍵4の回動軸3a側の任意の位置で交わるように構成されている。つまり、反力発生装置5は、ベース部6の他側平面を含む仮想平面である基端側平面BPと、ドーム部7の屋根7bの外側面を含む仮想平面である先端側平面TPとが、回動軸3a側で交わる平行でない位置関係に構成されている。本実施形態において、反力発生装置5は、基端側平面BPと先端側平面TPとが回動軸3aと異なる位置で交わるように構成されている。
【0020】
具体的には、反力発生装置5は、側壁7aの突出高さや曲面7cの曲率半径が回動軸3aまでの垂直距離に比例して増大するように構成されたり、ベース部6の厚みが鍵盤装置1のフレーム2の形状に応じて不等厚に構成されたりしている。すなわち、反力発生装置5は、ドーム部7の突出高さが基端側平面BPと先端側平面TPとが交わる交線(以下、単に「基準交線SL」と記す)からの垂直距離に比例して増大するように構成されている。
【0021】
次に、
図4と
図5とを用いて、本発明の第一実施形態に係る反力発生装置5について反力の発生態様を具体的に説明する。反力発生装置5は、トップ部8の接触面8aの全面が常に鍵盤装置1の鍵4と接触していることから、トップ部8が鍵4の操作に追従して鍵4の回動角度と同一の角度で押圧されるように構成されている。つまり、鍵4の操作による反力発生装置5の変形量は、回動軸3aからの垂直距離に比例して増大する。反力発生装置5は、トップ部8が押圧されることによりドーム部7の屋根7bが側壁7aに囲まれた中空の内部に押し込まれつつ、側壁7aおよび曲面7cが中空の内部に折りたたまれながら変形するように構成されている。これにより、反力発生装置5は、トップ部8の押圧に対する反力をドーム部7の変形により発生させることができる。
【0022】
鍵盤装置1の鍵4が操作されていない場合、反力発生装置5は、ドーム部7が変形することなくトップ部8の接触面8aが鍵4に接触している。すなわち、反力発生装置5は、鍵4の操作によるドーム部7の変形が生じず、反力を発生させていない(
図5の操作量0の場合)。
【0023】
図4(a)に示すように、鍵盤装置1の鍵4が操作された場合、始めに反力発生装置5は、鍵4の操作に追従してトップ部8が押圧される。反力発生装置5は、トップ部8が押圧されることにより、主にドーム部7の屋根7bがドーム部7の内部(ベース部6)に向かって変形し、ドーム部7の側壁7aがドーム部7の外側に向かって変形する。つまり、反力発生装置5は、屋根7bと曲面7cとが押圧方向に変形するとともに屋根7bと曲面7cとの変形による反力を受けて側壁7aが押圧方向に対して直交する方向に変形する。反力発生装置5は、鍵4の操作量が増大するにつれて側壁7aと屋根7bと曲面7cとの変形量が増大する。従って、
図5の線L1に示すように、反力発生装置5は、ドーム部7に座屈現象が発生しない操作量A以下の範囲内において、操作量に応じて増大するように反力が発生する。
【0024】
図4(b)に示すように、鍵盤装置1の鍵4が操作量Aを超えて操作された場合、反力発生装置5は、ドーム部7の変形態様が大きな変形を伴う曲面7cの座屈現象に移行し始める。具体的には、反力発生装置5は、曲面7cがドーム部7の内部に折れ込む方向に変形し始める。反力発生装置5は、トップ部8の押圧量の大部分が曲面7cの座屈現象によって吸収される。これにより、反力発生装置5は、側壁7aの変形量の増加割合と屋根7bの変形量の増加割合とが減少する。従って、
図5の線L1に示すように、反力発生装置5は、操作量が操作量Aよりも大きく、反力が最大となる操作量B以下の範囲において、反力の増加割合が減少している。
【0025】
図4(c)に示すように、鍵盤装置1の鍵4が操作量Bを超えて操作された場合、反力発生装置5は、曲面7cに続いて側壁7aが座屈現象に移行し始める。具体的には、反力発生装置5は、ドーム部7の曲面7cが完全にドーム部7の内部に折れ込まれるとともに、ドーム部7の側壁7aがドーム部7の内部に折れ込む方向に変形し始める。反力発生装置5は、座屈現象によりトップ部8の押圧量の大部分が側壁7aと曲面7cとの座屈現象によって吸収される。これにより、反力発生装置5は、側壁7aの変形量と屋根7bの変形量とが減少する。従って、
図5の線L1に示すように、反力発生装置5は、操作量が操作量Bよりも大きい範囲において、反力が減少している。
【0026】
反力発生装置5は、トップ部8の押圧量が鍵4の回動軸3aまでの垂直距離に比例して増大するにも関わらず、ドーム部7の変形量の割合のばらつきが抑制される。このため、反力発生装置5は、ドーム部7の変形が全体として同じような割合で発生している。例えば、
図4に示すように、反力発生装置5は、トップ部8の押圧量が最も大きい回動軸3aの反対側におけるドーム部7の突出高さH1に対する変形後の突出高さh1の割合とトップ部8の押圧量が最も小さい回動軸3a側におけるドーム部7の突出高さH2に対する変形後の突出高さh2(座屈量)の割合とが近似している。
【0027】
以上より、反力発生装置5は、座屈現象の発生によりその前後で反力が大きく変化する。基端側平面BPと先端側平面TPとが平行になるように構成されている従来の反力発生装置では、ドーム部7における回動軸3aに近い側と遠い側との変形の割合が異なるため、回動軸3aに近い側と遠い側とで座屈現象が発生する時期にずれが生じる。従って、
図5の線L2に示すように、従来の反力発生装置は、回動軸3aに近い側と遠い側との屋根に座屈現象が発生する度に反力に大きな変化が生じ、鍵の回動範囲における反力が円滑に変化しない。
一方、反力発生装置5は、鍵盤装置1の鍵4の操作によるトップ部8の押圧量が回動軸3aまでの垂直距離に比例して増大してもドーム部7の変形量の割合を均一に近づけることができる。従って、反力発生装置5は、回動軸3aに近い側と遠い側とで座屈現象が発生する時期のずれが抑制され、座屈現象による反力の大きな変化が生じる時期が重なる。これにより、反力発生装置5は、回動軸3aに近い側と遠い側とで座屈現象が発生してもドーム部7の変形による鍵4への反力特性を滑らかにすることがきる。なお、反力発生装置5は、弾性部材から構成されているので、操作者による鍵4の押圧操作により弾性変形して反力を発生させるとともに、押圧力の解除により元のドーム形状に復帰する。押圧操作の解除により鍵4を初期状態(非押鍵状態)に復帰させる必要があるが、鍵4を復帰させるために別途バネやハンマを設け、このバネやハンマの作用で鍵4を初期状態に復帰させてもよいし、反力発生装置5自体の復帰力で鍵4の位置を初期状態(非押鍵状態)に復帰させてもよい。
【0028】
<第二実施形態>
次に、
図6を用いて、本発明に係る反力発生装置の第二実施形態である反力発生装置9について説明する。なお、本実施形態に係る反力発生装置9は、
図1に示す鍵盤装置1において、反力発生装置5に替えて適用されるものとして、
図1、
図2およびその説明で用いた名称、図番、記号を用いることで、同じものを指すこととし、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。反力発生装置9は、操作子である鍵4の操作に対する反力を発生させるものであり、ベース部6、ドーム部10およびトップ部11を具備する。
【0029】
ドーム部10は、ベース部6の他側平面から鍵盤装置1の鍵4方向に向かって膨出した中空のドーム状に形成されている。具体的には、ドーム部10は、ベース部6の他側平面視において一組の離間した異径の円弧同士を直線によって接続した長円状(長孔状)の側壁10aが、他側平面から突出するように形成されている。そして、ドーム部10は、側壁10aの突出側に側壁10aで囲われた空間を覆うようにして屋根10bが形成されている。ドーム部10の側壁10aと屋根10bとは、曲面10cを介して滑らかに連結され一体に形成されている。
【0030】
トップ部11は、ドーム部10の屋根10bから鍵盤装置1の鍵4方向に向かって突出した中実のブロック状に形成されている。具体的には、トップ部11は、ベース部6の他側平面視で一組の離間した異径の円弧同士を直線によって接続した長円状の台がドーム部10の屋根10bから突出するように形成されている。また、トップ部11は、小径側をドーム部10の小径側に向けて長手方向の中心線がドーム部10の長手方向の中心線と一致するように配置されている。
【0031】
反力発生装置9は、
図1と同様にして、ベース部6の他側平面視で長円状に形成されたドーム部10の小径側を鍵4の回動軸3a側に向けて、長手方向の中心線が回動軸3aに対して垂直になるように配置されている。また、反力発生装置9は、基準交線SLに平行(
図6(a)参照)かつ基端側平面BP(ベース部6の他側平面)に対して垂直な面(
図6(b)参照)におけるドーム部10の断面形状が、基準交線SLまでの垂直距離が大きくなるにつれて拡大するように構成されている(
図6(c)参照)。
つまり、反力発生装置9のドーム部10の断面形状は、任意に定めた基準位置(例えば
図6におけるY−Y断面位置)における断面形状から想定されるドーム部10の形状を基準として、基準交線SLから断面位置までの垂直距離が基準交線SLから基準位置までの垂直距離よりも小さくなるにつれて縮小する(
図6(c)Z−Z断面図参照)。同様に、反力発生装置9のドーム部10の断面形状は、基準交線SLから断面位置までの垂直距離が基準交線SLから基準位置までの垂直距離よりも大きくなるにつれて拡大する(
図6(c)X−X断面図参照)。
具体的には、反力発生装置9のドーム部10は、側壁10aの突出高さが基準交線SLまでの垂直距離に比例して増大するとともに、基準交線SLに平行な方向の側壁10a間距離および曲面10cの曲率半径が基準交線SLまでの垂直距離に比例して増大するように構成されている。また、反力発生装置9のトップ部11は、基準交線SLに平行な方向の幅が基準交線SLまでの垂直距離に比例して増大するように構成されている。
【0032】
このように構成される反力発生装置9は、鍵4の回動軸3aまでの垂直距離に比例して増大するトップ部11の押圧量に応じてドーム部10の形状が大きくなるように構成されている。つまり、反力発生装置9は、ドーム部10の形状が回動軸3aまでの垂直距離に比例して大きくなっているので、鍵盤装置1の鍵4の操作によるトップ部8の押圧量が回動軸3aまでの垂直距離に比例して増大してもドーム部10の変形量の割合を均一に近づけることができる。従って、反力発生装置9は、回動軸3aに近い側と遠い側とで座屈現象が発生する時期のずれが抑制され、座屈現象による反力の大きな変化が生じる時期が重なる。これにより、反力発生装置9は、ドーム部10の変形による鍵4への反力特性を滑らかにすることがきる。
【0033】
<第三実施形態>
次に、
図7を用いて、本発明に係る反力発生装置の第三実施形態である反力発生装置12について説明する。本実施形態に係る反力発生装置12は、上面視(ベース部6の他側平面視)では、第一実施形態の形状あるいは第二実施形態の形状と同様のものであり、側面視では、
図7に示すように、操作子である鍵4の操作に対する反力を発生させるものであり、ベース部6、ドーム部13およびトップ部8を具備する。
【0034】
ドーム部13は、ベース部6の他側平面から鍵盤装置1の鍵4方向に向かって膨出した中空のドーム状に形成されている。具体的には、ドーム部13は、側壁13aのうち回動軸3aの反対側の側壁13a、すなわち、長手方向側の側壁13aのうち、鍵4の回動軸3aから離間している方が基準交線SLを円弧中心とする半径Rの円弧状になるようにベース部6から突出している。なお、本実施形態において、反力発生装置12は、回動軸3aの反対側の側壁13aが基準交線SLを中心とする円弧状に突出している構成であるがこれに限定されるものではなく、回動軸3a側の側壁13aも基準交線SLを中心とする円弧状に突出している構成でもよい。
【0035】
このように構成される反力発生装置12は、ドーム部13の長手方向側の側面が鍵4の回動軌跡に沿うように構成されている。つまり、反力発生装置12は、トップ部8が鍵4の操作に追従するようにして押圧されても、トップ部8と側壁13aとの距離が増大しないように構成されている。従って、反力発生装置12は、座屈現象によるドーム部13の変形の態様が鍵4の操作量に関わらず均一に近づいて局所的な変形が抑制される。これにより、ドーム部13の変形による鍵4への反力特性を更に滑らかにすることができる。
【0036】
<第四実施形態>
次に、
図8を用いて、本発明に係る反力発生装置の第四実施形態である反力発生装置19について説明する。本実施形態に係る反力発生装置19は、
図1に示す鍵盤装置1に替えて他の実施形態の鍵盤装置14に適用されるものとして説明し、
図1、
図2およびその説明で用いた名称、図番、記号を用いることで、同じものを指すこととしてその説明を省略する。まず、本実施形態に係る鍵盤装置の他の実施形態である鍵盤装置14について説明する。鍵盤装置14は、フレーム2、鍵支点部3、鍵4、ハンマ支点部15、ハンマ16、反力発生装置19を具備する。
【0037】
鍵盤装置14は、各鍵4に対応するようにして複数のハンマ16がフレーム2に設けられている。各ハンマ16は、その途中部がフレーム2に設けられたハンマ支点部15にハンマ回動軸15aを介して回動自在に支持されている。各ハンマ16には、一側端に錘16aが設けられ、ハンマ支点部15を挟んだ他側端に鍵4の駆動部4cが接続されている。鍵盤装置14は、鍵4が操作されていない場合に各ハンマ16の錘16aが当接する下限ストッパ17と、鍵4が操作された場合に各ハンマ16の錘16aが当接する上限ストッパ18とがフレーム2に設けられている。さらに、鍵盤装置14は、各ハンマ16に対応するようにして複数の反力発生装置19がフレーム2に設けられている。
鍵盤装置14は、鍵4が操作されると(
図8における黒塗矢印参照)、その鍵4の駆動部4cに接続されているハンマ16がハンマ支点部15を中心として操作されるように構成されている(
図8における白塗矢印参照)。さらに、鍵盤装置14は、操作されたハンマ16によって反力が発生するとともに、ハンマ16によって対応する反力発生装置19が押圧されて反力が発生するように構成されている。
【0038】
次に、本発明の第四実施形態に係る反力発生装置19について具体的に説明する。反力発生装置19は、ベース部6、ドーム部7およびトップ部20を具備し、鍵盤装置14の鍵4とハンマ16とが回動自在に支持されているフレーム2に配置されている。
【0039】
トップ部20は、ドーム部7の屋根7bから鍵盤装置14のハンマ16に向かって突出した中実のブロック状に形成されている。トップ部20は、突出側の先端部分にハンマ16との接触面20aが形成されている。反力発生装置19は、所定の操作量θ以上の操作がされたハンマ16がトップ部20の接触面20aの全面に接触するように構成されている。
【0040】
このように構成される反力発生装置19は、鍵盤装置14の鍵4の操作によりハンマ16が所定の操作量θ以上に操作されたとき、トップ部20がハンマ16の操作に追従してハンマ16の回動角度と同一の角度で押圧されるように構成されている。また、反力発生装置19は、基端側平面BPと先端側平面TPとがハンマ支点部15側の任意の位置で交わるように構成されている。従って、反力発生装置19は、操作されるハンマ16に常に接触していなくてもドーム部7の一部分が他の部分と大きく異なる変形の態様を示すことがない。すなわち、反力発生装置19は、トップ部20に接触したときのハンマ16の操作量に関わらずドーム部7の変形の割合がドーム部7全体で均一に近づいて局所的な変形が抑制される。これにより、ドーム部7の変形による鍵4への反力特性を滑らかにすることができる。
【0041】
<他の実施形態>
なお、本発明に係る反力発生装置5・9・12・19は、電子鍵盤楽器の鍵盤装置に適用した実施形態として説明したがこれに限定されるものではなく、操作される操作子を具備する装置であればよい。また、第一実施形態、第二実施形態および第三実施形態に係る反力発生装置5・9・12の別実施形態として、基準交線SLが鍵4の回動軸3aの軸心と一致するようにドーム部7を構成してもよい。また、第四実施形態に係る反力発生装置19の別実施形態として、基準交線SLが鍵盤装置14のハンマ支点部15の中心と一致するようにドーム部7を構成してもよい。
【0042】
例えば、
図9に示すように、第一実施形態に係る反力発生装置5においては、基準交線SLが鍵4の回動軸3aの軸心と一致するように構成することで、鍵4の操作によるトップ部8の押圧量に対するドーム部7の側壁7aの突出高さの割合がドーム部7全体で均一になる。すなわち、反力発生装置5は、鍵4の操作によるドーム部7の変形の割合がドーム部7全体で均一になる。つまり、反力発生装置5のドーム部7における変形量や変形の態様は、基準交線SLと鍵4の回動軸3aの軸心とが一致しない場合に比べて更に均一に近づく。これにより、ドーム部7の変形による鍵4への反力特性をより一層滑らかにすることができる。
【0043】
また、反力発生装置5では、ベース部6の他側平面視におけるドーム部7の形状を長円状としたがこれに限定するものではない。たとえば、ベース部6の他側平面視において円形状や楕円状に構成してもよい。また、反力発生装置5は、ドーム部7の形状だけでなくドーム部7の側壁7a、曲面7cおよび屋根7bの厚みを調整することでドーム部7の変形の態様を調整してもよい。これにより、ドーム部7の変形による鍵4への反力特性をより一層滑らかにすることができる。なお、他の実施形態に係る反力発生装置9・12・19においても同様である。
【0044】
また、
図10に示すように、第一実施形態、第二実施形態、第三実施形態および第四実施形態に係る反力発生装置5・9・12・19の別実施形態として、少なくとも一つ以上の鍵スイッチ部21を具備する構成でもよい。例えば、第一実施形態に係る反力発生装置5では、鍵スイッチ部21がトップ部8からベース部6に向かって膨出した中空の椀状に形成されている。鍵スイッチ部21は、ベース部6側の端部にベース部6に対向するようにしてカーボン等の導電体からなる可動接点21aが設けられている。
【0045】
このように構成される反力発生装置5は、フレーム2に設けられた楽音信号を生成するための基板22上に配置されている。反力発生装置5は、トップ部8が鍵4の操作によって押圧されることで鍵スイッチ部21が基板に近づくように変形する。反力発生装置5は、鍵4の操作量が所定量に到達すると、鍵スイッチ部21の可動接点21aが基板22に構成されている固定接点22aに接触して楽音信号が生成される。
【0046】
なお、各実施形態において、反力発生装置5・9・12・19のトップ部8・11・20は、中実であるものに限らず、筒状にドーム部7・10・13の屋根7b・10b・13bの周縁から突出したものでもよい。
第一実施形態から第三実施形態に係る反力発生装置5・9・12のトップ部8・11の接触面と鍵4とが常に接する例を示したが、鍵4を操作する行程の途中から接するものでもよい。
各実施形態において、操作子(鍵4)の回動支点として軸状の例を示したが、操作子の回動端側に薄板状のヒンジ部を設け、このヒンジ部がたわむことで操作子を回動自在に支持するタイプの操作子にも適用できる。この場合、ヒンジ部が回動支点に相当する。
第一実施形態と第二実施形態に係る反力発生装置5・9がフレーム2に直接設けられている例を示したが、
図8に記載の反力発生装置19や
図10に記載の反力発生装置5と同様に、フレーム2に基板等の中間部財を設け、この中間部材上に反力発生装置を設けてもよい。つまり、フレーム2に対して間接的に反力発生装置が設けられてもよい。
反力発生装置5・9・12・19のベース部6をフレーム2または中間部材に固定する方法として、ベース部6の一側面に固定用突出部を形成してフレーム2に固定する例を示したが、フレーム2等に固定用突出部を設けてベース部6に形成された孔に挿入して固定する方法、接着によりフレーム2等に固定する方法、もしくはその他の方法でフレーム2等に固定できればよい。