特許第6303616号(P6303616)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6303616シュリンクフィルム付台紙およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6303616
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】シュリンクフィルム付台紙およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B31D 1/02 20060101AFI20180326BHJP
   B65D 73/00 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   B31D1/02 Z
   B65D73/00 L
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-43024(P2014-43024)
(22)【出願日】2014年3月5日
(65)【公開番号】特開2015-168101(P2015-168101A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2017年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 志歩
【審査官】 谷川 啓亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−120535(JP,A)
【文献】 実開昭54−074681(JP,U)
【文献】 特開昭49−068896(JP,A)
【文献】 特開2011−201576(JP,A)
【文献】 実開昭57−029561(JP,U)
【文献】 特開2012−166459(JP,A)
【文献】 特開2011−189988(JP,A)
【文献】 特開2011−189989(JP,A)
【文献】 特開2015−140208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31D 1/00 − 99/00
B31B 50/00 − 70/99
B31C 1/00 − 99/00
B65D 67/00 − 79/02
B65D 81/18 − 81/30
B65D 81/38
B65D 85/00 − 85/28
B65D 85/575
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状シュリンクフィルムが接着部によって台紙に貼着されたシュリンクフィルム付台紙の製造方法であって、
複数の筒状シュリンクフィルムと前記台紙とを準備する準備工程と、
前記台紙に接着剤を塗布して接着部とする接着剤塗布工程と、
前記接着剤が塗布された前記台紙に、第1のシュリンクフィルムを貼着する第1貼着工程と、
前記台紙に、第2のシュリンクフィルムを貼着する第2貼着工程と、
を備え、
前記第1のシュリンクフィルムの軸線と前記第2のシュリンクフィルムの軸線が互いに平行な位置とされるとともに、
前記第1のシュリンクフィルムと前記第2のシュリンクフィルムが前記台紙平面で平面視して重なる位置とされるとともに、
前記第2のシュリンクフィルムの幅寸法に比べて前記第1のシュリンクフィルムの幅寸法が小さく設定され、
前記第2のシュリンクフィルムと、前記第1のシュリンクフィルムを貼着する接着部とが、前記台紙平面で平面視して重なる位置とされることを特徴とするシュリンクフィルム付台紙の製造方法。
【請求項2】
前記第1のシュリンクフィルムと前記第2のシュリンクフィルムとの軸方向寸法が互いに異なるように設定されることを特徴とする請求項1記載のシュリンクフィルム付台紙の製造方法。
【請求項3】
前記第1のシュリンクフィルムと前記第2のシュリンクフィルムが前記台紙平面で平面視して幅方向位置が前記台紙輪郭の内側に位置されることを特徴とする請求項1または2記載のシュリンクフィルム付台紙の製造方法。
【請求項4】
前記第2のシュリンクフィルムを貼着する接着部が、前記台紙平面で平面視して前記第2のシュリンクフィルムの幅方向中心位置と一致するか幅方向にずれた位置とされることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載のシュリンクフィルム付台紙の製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか記載のシュリンクフィルム付台紙の製造方法により製造されたことを特徴とするシュリンクフィルム付台紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシュリンクフィルム付台紙に係り、特に複数の被包装物を別々に包装可能なシュリンクフィルム付台紙に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
表示やデザインを印刷した台紙とともに、商品となる被包装物を、見えるように収納した包装には、熱成形したプラスチックシートに被包装物を収納して、台紙で塞ぐ、ブリスター包装や、台紙の上に被包装物を載せて、上から加熱したフィルムで直接包装する、スキンパックがある。
【0003】
また、紙、合成樹脂、或いは金属板からなる台紙に被包装物を当接してこれらを、合成樹脂の熱収縮性の皮膜で被覆し、皮膜を過熱して熱収縮せしめ全体を緊密一体的に被着させた、カード包装がある。その一例として、台紙に塗布した粘着剤により熱収縮性チューブ(筒状のシュリンクフィルム)を接着させてシュリンクフィルム付台紙とし、被包装物を収納した状態で、シュリンクフィルムを熱収縮させて、被包装物を台紙に取り付けた包装体が知られている(特許文献1)。
さらに、ブリスターパックに代えたシュリンクフィルム付台紙として、吊り下げ陳列と、商品棚等に自立させた陳列との両方が可能な形態も幾つか提案されている(特許文献2)。
【0004】
このようなシュリンクフィルム付きの台紙では、一つのシュリンクフィルムに複数の被包装物を収納することはあったが、被包装物同士が当接するという不具合があり、別々にシュリンクフィルムに包装したいという要求があった。このような場合に2つの被包装物を別々に収納することのできる断面形状が8の字になったシュリンクフィルムが知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭49−3796号公報
【特許文献2】特開2012ー020762号公報
【特許文献3】特開平11ー208716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、8の字型のシュリンクフィルムでは、被包装物の大きさ・形状が異なる場合、対応できない、特に、シュリンクフィルムの軸方向、つまり被包装物の高さ方向の寸法が大幅に異なるものを包装しようとした場合には、短い方の被包装物を収納した側のシュリンクフィルムが余ってしまい、美観を損ねる可能性があるという問題があった。
【0007】
また、シュリンクフィルムの周方向、つまり被包装物の径方向の寸法が大幅に異なるものを包装しようとした場合には、シュリンクフィルム付台紙を製造する際に、大きい方の被包装物を収納する側のシュリンクフィルムが、小さい方のシュリンクフィルムと平面視して重なるため、これらを台紙に接着する際に対応した接着部と適確に接着することが難しいという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
1.製造工程数の削減と製造コストの削減を図ること。
2.美観を損ねないで複数の被包装物を収納可能とすること。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のシュリンクフィルム付台紙の製造方法は、筒状シュリンクフィルムが接着部によって台紙に貼着されたシュリンクフィルム付台紙の製造方法であって、
複数の筒状シュリンクフィルムと前記台紙とを準備する準備工程と、
前記台紙に接着剤を塗布して接着部とする接着剤塗布工程と、
前記接着剤が塗布された前記台紙に、第1のシュリンクフィルムを貼着する第1貼着工程と、
前記台紙に、第2のシュリンクフィルムを貼着する第2貼着工程と、
を備え、
前記第1のシュリンクフィルムの軸線と前記第2のシュリンクフィルムの軸線が互いに平行な位置とされるとともに、
前記第1のシュリンクフィルムと前記第2のシュリンクフィルムが前記台紙平面で平面視して重なる位置とされるとともに、
前記第2のシュリンクフィルムの幅寸法に比べて前記第1のシュリンクフィルムの幅寸法が小さく設定され、
前記第2のシュリンクフィルムと、前記第1のシュリンクフィルムを貼着する接着部とが、前記台紙平面で平面視して重なる位置とされることにより上記課題を解決した。
発明は、前記第1のシュリンクフィルムと前記第2のシュリンクフィルムとの軸方向寸法が互いに異なるように設定されることが可能である。
た、前記第1のシュリンクフィルムと前記第2のシュリンクフィルムが前記台紙平面で平面視して幅方向位置が前記台紙輪郭の内側に位置されることができる。
本発明においては、前記第2のシュリンクフィルムを貼着する接着部が、前記台紙平面で平面視して前記第2のシュリンクフィルムの幅方向中心位置と一致するか幅方向にずれた位置とされることが望ましい。
さらに本発明のシュリンクフィルム付台紙においては、上記のいずれか記載のシュリンクフィルム付台紙の製造方法により製造されることが可能である。
【0010】
本発明のシュリンクフィルム付台紙の製造方法は、筒状シュリンクフィルムが接着部によって台紙に貼着されたシュリンクフィルム付台紙の製造方法であって、
複数の筒状シュリンクフィルムと前記台紙とを準備する準備工程と、
前記台紙に接着剤を塗布して接着部とする接着剤塗布工程と、
前記接着剤が塗布された前記台紙に、第1のシュリンクフィルムを貼着する第1貼着工程と、
前記台紙に、第2のシュリンクフィルムを貼着する第2貼着工程と、
を備え、
前記第1のシュリンクフィルムの軸線と前記第2のシュリンクフィルムの軸線が互いに平行な位置とされるとともに、
前記第1のシュリンクフィルムと前記第2のシュリンクフィルムが前記台紙平面で平面視して重なる位置とされることにより、複数のシュリンクフィルムを貼着する際に、接着剤を塗布した後、複数のシュリンクフィルムを順次貼着することにより、互いに重なる位置に貼着する場合でも、効率よくシュリンクフィルム付台紙を製造することが容易になる。
【0011】
本発明において、前記第2のシュリンクフィルムの幅寸法に比べて前記第1のシュリンクフィルムの幅寸法が小さく設定されることにより、先に幅寸法の小さいシュリンクフィルムを貼着することで、順次、幅方向が大きく、貼着位置が重なる可能性のあるシュリンクフィルムを貼着することができるため、特別な工程を有することなく、複数のシュリンクフィルムを貼着することができる。
【0012】
本発明は、前記第1のシュリンクフィルムと前記第2のシュリンクフィルムとの軸方向寸法が互いに異なるように設定されることにより、同時に貼着することが困難である場合にも対応することが可能となる。
【0013】
また、本発明において、前記第2のシュリンクフィルムと、前記第1のシュリンクフィルムを貼着する接着部とが、前記台紙平面で平面視して重なる位置とされる場合であっても、先に幅寸法の小さいシュリンクフィルムを貼着することで、貼着位置が重なった場合でも、該当の接着部のみにシュリンクフィルムを貼着することができる。
【0014】
また、前記第1のシュリンクフィルムと前記第2のシュリンクフィルムが前記台紙平面で平面視して幅方向位置が前記台紙輪郭の内側に位置されることにより、シュリンクフィルムが平面視して台紙輪郭からはみ出すことがないため、ハンドリング性を向上することが可能となる。
【0015】
本発明においては、前記第2のシュリンクフィルムを貼着する接着部が、前記台紙平面で平面視して前記第2のシュリンクフィルムの幅方向中心位置と一致するか幅方向にずれた位置とされることにより、シュリンクフィルムが平面視して台紙輪郭からはみ出さないように同時に貼着することが困難なシュリンクフィルムを貼着することが可能となる。
【0016】
さらに本発明のシュリンクフィルム付台紙においては、上記のいずれか記載のシュリンクフィルム付台紙の製造方法により製造されたことにより上記課題を解決することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数のシュリンクフィルム貼着する場合であっても、製造工程数の削減と製造コストの削減を図るとともに、美観を損ねないで複数の被包装物を収納可能とすることを可能とするという効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係るシュリンクフィルム付台紙の一実施形態を示す平面図である。
図2】本発明に係るシュリンクフィルム付台紙の一実施形態におけるシュリンクフィルムを示す斜視図である。
図3】本発明に係るシュリンクフィルム付台紙の製造方法の一実施形態における製造装置を示す模式図である。
図4】本発明に係るシュリンクフィルム付台紙の製造方法の一実施形態における製造工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るシュリンクフィルム付台紙およびその製造方法の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態におけるシュリンクフィルム付台紙の一部を示す平面図であり、図2は、本実施形態におけるシュリンクフィルム付台紙におけるシュリンクフィルムの筒状形成状態を示す模式斜視図であり、図において、符号10は、シュリンクフィルム付台紙である。
【0020】
本実施形態のシュリンクフィルム付台紙10は、図1に示すように、被包装物を包装する熱収縮性を有するシュリンクフィルム(第2のシュリンクフィルム)11と、被包装物を包装するシュリンクフィルム(第1のシュリンクフィルム)15と、シュリンクフィルム11が接着部13によって片面に貼着されるとともに、シュリンクフィルム15が接着部17によって片面に貼着された台紙12とから構成される。
【0021】
シュリンクフィルム11は筒状とされ、図2に示すように、平らなシュリンクフィルムを両側縁11a,11bが重なるようにし、筒状に丸めて重なり合った側縁11a,11b同士を接着して封筒貼りにすることでシール部11cを形成し、図1に示すように、筒状のシュリンクフィルム11としたものである。筒状のシュリンクフィルム11は、筒をつぶすように折られて矩形とされており、その上端がX方向(幅方向)の直線を為すように形成されて、シール部11cが台紙12側に位置しかつ幅方向の中央位置である中心線14から右側にずれた位置にくるようにされている。
【0022】
シュリンクフィルム15は筒状とされ、シュリンクフィルム11と同様に、平らなシュリンクフィルムの両側縁同士を接着することでシール部15cを形成し、図1に示すように、筒状のシュリンクフィルム15としたものである。シュリンクフィルム15においては、平らなシュリンクフィルムを二つ折りにして両側縁同士を接着して筒状とされており、このシュリンクフィルム15は、筒をつぶすように折られて、シール部15cが平面視して図中左側端部に位置しかつ幅方向の中央位置である中心線16から接着部13側の位置となるように配置されている。シール部11cおよびシール部15cは、接着部13、17側の面、つまり、台紙12と当接する側の面にあることが好ましく、より好ましくは、被包装物を包装してシュリンクさせたシュリンクフィルム11,15が台紙12から立ち上がった際に、なるべく目立たないように接着部13、17の近傍に配置されることができる。
【0023】
シュリンクフィルム11,15の材質としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、或いは、ポリエステル系の樹脂が好ましく用いられる。ポリエステル系の樹脂として、農産物由来の持続可能な素材である、ポリ乳酸を用いることも可能であり、環境に対応した包装として好ましく用いることができる。
シュリンクフィルム11,15は、熱で収縮するフィルムであればよく、また、筒としての周方向の収縮が、軸方向の収縮より大きいフィルムが、シュリンク包装を行う際の収縮時に被包装物がシュリンクフィルム11,15から外れることがないので、本用途には適している。
【0024】
台紙12は、図1に示すように、縦長の略矩形とされる輪郭形状を有する枚葉材からなる。台紙12の前面には、筒状のシュリンクフィルム11,15の軸線14,16が台紙12の縦方向(Z方向)の中心線と平行となるように、接着部13,17により貼着されている。接着部13,17は略矩形状の輪郭とされて、その中心線が筒状のシュリンクフィルム11,15の軸線14,16と一致するように位置されている。
【0025】
この際、シュリンクフィルム11を筒状としたシール部(貼り合わせ部分)11cが接着部13の右側に位置するように貼着する。シュリンクフィルム15を筒状としたシール部(貼り合わせ部分)15cは接着部13側の端部に位置するように貼着する。
本実施形態においては、シュリンクフィルム11,15が中心線14,16に対してそれぞれ対称の位置となるように貼着されるが、これに限らず、商品形状、デザイン等の要因により左右位置がどちらかに偏る等、任意の位置として貼着することができる。また、シュリンクフィルム11はその下端が台紙12の輪郭下端と略一致し、シュリンクフィルム15はその下端が台紙12の輪郭下端よりも多少上側つまり台紙12内側に位置するように設けられているが、これも任意のZ方向位置として貼着することもできる。
【0026】
本実施形態のシュリンクフィルム付台紙10に用いる台紙12には、紙、プラスチックシート、或いは金属板などの板状のものが使用できる。紙としては、厚紙で腰のあるものであれば、特に限定されない。また表面にアルミ蒸着層のあるアルミ蒸着紙なども使用できる。
【0027】
矩形の台紙12において、Z方向上側には表示面12Aが設けられ、被包装物である商品に関する説明等、所定のデザインが印刷等により形成される。表示面12AのZ方向上端部近傍でX方向(幅方向)の中央部には、吊り下げ孔12aが設けられる。この吊り下げ孔12aは、店舗などで商品展示台に設けられたフックなどを通して店頭で吊下げ展示できるようになっている。
【0028】
接着部13はZ方向に細長い略矩形とされて筒状のシュリンクフィルム11よりも所定長さだけ短いZ方向長さ寸法とされて、その全長に亘って均一な所定の幅方向(X方向)寸法に設定される。接着部17はZ方向に細長い略矩形とされて筒状のシュリンクフィルム15よりも所定長さだけ短いZ方向長さ寸法とされて、その全長に亘って均一な所定の幅方向(X方向)寸法に設定される。接着部13と接着部17は同一の幅寸法とすることができる。
【0029】
接着部13,17に用いる接着剤には、特許文献1のように粘着剤を用いてもよい。また、ホットメルト接着剤を用いてもよい。特に日の当たる店頭などで、高温に曝されることを考慮すると反応型ホットメルト接着剤が好ましく用いることができる。従来のホットメルト接着剤は、熱可塑性樹脂を成分として、固形のホットメルト接着剤を加熱、融解して塗布し、冷却することにより固化・接着するものであり、耐熱性の点では限界がある。
【0030】
反応型ホットメルト接着剤は、最初は固形であって、これを加熱溶融させて用いることは、従来の可塑性樹脂のホットメルト接着剤と同じであるが、塗布、冷却後に、反応が進み硬化して、耐熱性などの物性の高い接着性が得られる。ウレタン樹脂を主成分とした反応型ホットメルト接着剤は、加熱溶融により生成されたウレタンプレポリマーが、冷却されると末端イソシアネート基を残した状態で固化し、冷却された後も、空気中や被着材に含まれる水分と末端イソシアネート基が反応し、高分子化が進み、より耐熱性の高い接着性を得ることができる。ウレタン樹脂を主成分とした反応型ホットメルト接着剤は、塗布後に特に硬化を進めるための処理を必要としないので、好ましく用いることができる。
【0031】
次に、シュリンクフィルム11,15、接着部13,17、台紙12輪郭形状等の位置関係について説明する。
【0032】
接着部13,17は、Z方向の台紙12の中心線14に対して左右両側に分かれた位置に設けられるが、図1に示した位置とは異なる貼り着け位置を有するように設定することも可能である。
シュリンクフィルム11は、その中心線14が接着部13の中心線と一致し、かつ、外形線の左側および下側が台紙12の外形(輪郭)と一致するように配置される。
シュリンクフィルム15は、その中心線16が接着部17の中心線と一致し、かつ、接着部17の左側がシュリンクフィルム11の右側輪郭と一致するとともに、シュリンクフィルム15の下側は台紙12の外形(輪郭)よりもZ方向内側に位置し、シュリンクフィルム15の右側は台紙12の外形(輪郭)よりもX方向内側に位置するように配置される。
【0033】
シュリンクフィルム15のZ方向寸法は、シュリンクフィルム11のZ方向寸法に対して小さく設定されている。また、シュリンクフィルム15のX方向寸法は、シュリンクフィルム11のX方向寸法に対して小さく設定されている。シュリンクフィルム11のX方向寸法は、台紙12のX方向寸法に対して小さく設定されている。シュリンクフィルム11とシュリンクフィルム15とは、X方向に重なりあう領域を有するように配置されている。
【0034】
次に、本実施形態のシュリンクフィルム付台紙の製造方法に付いて説明する。
図3は、本実施形態におけるシュリンクフィルム付台紙10を製造するラインの一例を模式的に示した説明図であり、図4は、本実施形態におけるシュリンクフィルム付台紙の製造方法の製造工程を示すフローチャートである。
【0035】
本実施形態におけるシュリンクフィルム付台紙の製造工程は、図4に示すように、複数の筒状シュリンクフィルム11,15と前記台紙とを準備する準備工程S1と、台紙12に接着剤を塗布して接着部13,17とする接着剤塗布工程S2と、接着部13,17が形成された台紙12に、第1のシュリンクフィルム15を貼着する第1貼着工程S3と、第1のシュリンクフィルム15の貼着られた台紙12に、第2のシュリンクフィルム11を貼着する第2貼着工程S4と、を備えるものとされる。
【0036】
図4に示す準備工程S1において、シュリンクフィルム11,15としては、幅広で長尺のシュリンクフィルムに必要に応じて印刷を施し、スリットして、幅方向の両端を重ね合わせて封筒貼りしてシュリンクフィルム11とするとともに、二つ折りにして幅方向の両端を重ね合わせて貼り合わせてシュリンクフィルム15とし、これらが所望の折径になるように筒状にして、長尺のまま芯となる紙管に巻き取っておく。
台紙12も、必要に応じて印刷を施した多面付けの台紙用紙から、断裁や、抜き工程によって、1枚ずつ切り離された台紙12としておく。
【0037】
本実施形態のシュリンクフィルム付台紙を製造するラインの一例は、図3に示すように、重ねられた複数枚の台紙12を供給する台紙供給装置f6と、台紙供給装置f6から供給された台紙12を搬送する台紙搬送装置f7と、台紙搬送装置f7により搬送されてきた台紙12に接着部13,17となる反応型ホットメルト接着剤を溶融して塗布するホットメルトアプリケーター装置f8と、ホットメルトアプリケーター装置f8から供給された反応型ホットメルト接着剤が塗布された台紙12を搬送する工程間搬送装置f9と、工程間搬送装置f9で搬送されてきた、反応型ホットメルト接着剤が塗布された台紙12に、筒状のシュリンクフィルム15を接着させるシュリンクフィルム装着装置f10と、シュリンクフィルム装着装置f10から供給された台紙12を搬送する工程間搬送装置f11と、工程間搬送装置f11で搬送されてきた台紙12に、筒状のシュリンクフィルム11を接着させるシュリンクフィルム装着装置f12と、台紙12に反応型ホットメルト接着剤で接着されたシュリンクフィルム11,15を、押圧しつつ冷却する押圧冷却装置f13と、以上によって、製造されたシュリンクフィルム付き台紙を排出させる排出装置f14とからなっている。
【0038】
台紙供給装置f6は、1枚ずつに切り離され重ねられた複数枚の台紙12を積載し、この台紙供給装置f6により、上から1枚ずつ、台紙12を、吸盤等の吸着手段で持ち上げ、反応型ホットメルト接着剤を塗布する面を上に向けて、台紙搬送装置f7に供給する。台紙搬送装置f7により台紙12は、反応型ホットメルト接着剤を塗布するホットメルトアプリケーター装置f8に送られる。
【0039】
図4に示す接着剤塗布工程S2において、ホットメルトアプリケーター装置f8では、反応型ホットメルト接着剤を溶融させて、吐出ノズルから吐出して接着部13,17となる台紙12の所定の位置に塗布する。塗布は搬送しながら行い必要部分にのみ、反応型ホットメルト接着剤を吐出させて接着部13,17を形成する。
【0040】
このときホットメルトアプリケーター装置f8の反応型ホットメルト接着剤を吐出する吐出ノズルの温度は、100から120℃の範囲にして吐出させる。これにより、台紙12に付着したときの反応型ホットメルト接着剤の温度は、およそ60から80℃の範囲となる。反応型ホットメルト接着剤が塗布された台紙12は、工程間搬送装置f9によって、シュリンクフィルム装着装置f10に送られる。
【0041】
図4に示す第1貼着工程S3において、シュリンクフィルム装着装置10では、紙管に巻き取られた、筒状長尺のシュリンクフィルム15を巻き出して、断裁装置によって、被包装物に対応する長さに断裁する。その断裁されたシュリンクフィルム15を、吸盤によって、持ち上げ、移動させて、台紙12表面の接着部17に対応した所定の位置に取り付ける。
シュリンクフィルム15が取り付けられた台紙12は、工程間搬送装置f11によって、シュリンクフィルム装着装置f12に送られる。
【0042】
図4に示す第2貼着工程S4において、シュリンクフィルム装着装置12では、紙管に巻き取られた、筒状長尺のシュリンクフィルム11を巻き出して、断裁装置によって、被包装物に対応する長さに断裁する。その断裁されたシュリンクフィルム11を、吸盤によって、持ち上げ、移動させて、台紙12表面の接着部13に対応した所定の位置に取り付ける。このとき、シュリンクフィルム11は、シュリンクフィルム15に重なる領域を有するように取り付けられる。これによって、台紙12に塗布された反応型ホットメルト接着剤からなる接着部13,17によってシュリンクフィルム11,15を接着させる。
【0043】
このとき、接着部13,17における反応型ホットメルト接着剤の温度は、40から60℃の範囲の時にシュリンクフィルム11,15を台紙12に取り付けることが、望ましい。更に好ましくは、50から55℃の範囲である。55℃を越えると取り付けたシュリンクフィルム11,15が収縮するおそれがあり、60℃を越えるとシュリンクフィルム11,15が収縮してしまうので、被包装物を収納させるのが難しくなる。また、50℃未満になっていると、接着部13,17における反応型ホットメルト接着剤が固化するおそれがあり、40℃未満だと固化してしまい、初期接着が出ないので、シュリンクフィルム11,15が、外れてしまう恐れがある。このため、シュリンクフィルム11,15を台紙12に取り付けるときの温度が、50から55℃の範囲になるように、工程間搬送装置f9,f11の長さや搬送速度を調整することが望ましい。
【0044】
そのシュリンクフィルム11,15を、反応型ホットメルト接着剤で接着させた台紙12は、次に、押圧冷却装置f13に送られて、冷却ロールで押圧して、シュリンクフィルム11,15と接着部13,17における反応型ホットメルト接着剤の密着性を高めると同時に、シュリンクフィルム11,15と接着部13,17における反応型ホットメルト接着剤を冷却する。
【0045】
本実施形態では、押圧冷却装置f13に、冷却ロールを用いたが、冷却板をボックス運動させて、シュリンクフィルム11,15が反応型ホットメルト接着剤で接着された台紙12の搬送と、冷却板のボックス運動を同調させて、冷却板を押し当て、押圧と冷却を行ってもよい。シュリンクフィルム11,15を冷却することによって、シュリンクフィルム11,15が、反応型ホットメルト接着剤の熱によって収縮するのを防ぐ。また、反応型ホットメルト接着剤を冷却することによって、粘性を低下させ、初期接着強度を高める。
以上のようにして、本実施形態におけるシュリンクフィルム付台紙10が製造され、排出装置f14で排出される。このシュリンクフィルム付台紙10は、被包装物を包装するまで、通常の室内雰囲気で、あるいは、高湿の雰囲気で保管することによって、反応型ホットメルト接着剤が、湿気により硬化が進み、耐熱性の高い接着膜となる。
【0046】
シュリンクフィルム付台紙10で、被包装物を包装するには、シュリンクフィルム付台紙10のシュリンクフィルム11,15の筒状の中部に被包装物をそれぞれ挿入して、シュリンクトンネルなどで、180℃近辺あるいは、55〜60℃程度で加熱して、シュリンクフィルム11,15を収縮させるシュリンク包装を行うことで、シュリンクフィルム11,15を被包装物に密着させる。なお、このときには、反応型ホットメルト接着剤の硬化は進んでいるので、熱によって接着部13,17の接着強度が落ちることがない。したがって、重なり合ったシュリンクフィルム11,15を、被包装物を挿入するために引張しても台紙12からの剥がれが発生したり、シュリンクフィルム11,15の台紙12に対する貼着位置がずれることがない。
【0047】
本実施形態においては、シュリンクフィルム付台紙10において、シュリンクフィルム11,15が互いに重なる位置としたが、後から取り付けるシュリンクフィルム11が、平面視して先に取り付けるシュリンクフィルム15に対応する接着部17に重なっていた場合でも、シュリンクフィルム15を先に取り付け、シュリンクフィルム11が接着部17に直接接触することがないため、効率よくシュリンクフィルム付台紙10を製造することが可能となる。
【0048】
また、シュリンクフィルム15が取り付けられた台紙12を、工程間搬送装置f11によって、シュリンクフィルム装着装置f12に搬送したが、同一の、シュリンクフィルム装着装置f10によって、シュリンクフィルム15とシュリンクフィルム11とを順番に取り付けることもできる。
本実施形態においては、2枚のシュリンクフィルム11,15を台紙12に取り付けたが、より多数のシュリンクフィルムを設けることもできる。この場合にも、接着部とシュリンクフィルムとの重なり加減によって、貼着する順番を制御して、効率よくシュリンクフィルム付台紙10を製造することができる。
【0049】
さらに、シュリンクフィルム11,15には、いずれも、開封用のミシン目線を軸線方向に沿って設けることができる。この場合、ミシン目線は、シュリンクフィルム11,15の全長にわたって設けることもでき、また上下いずれかの端部側の一部に設けることもできる。
本実施形態においては、シュリンクフィルム付台紙10において、2枚のシュリンクフィルム11,15を貼着したが、さらに多くの3枚以上のシュリンクフィルムを台紙12に貼着する構成とすることもできる。この場合、例えば、同じ大きさの被包装物を複数本平行に並べるものや、少なくとも2つの被包装物がZ方向にずれた配置を有するものとすることもできる。
【符号の説明】
【0050】
10…シュリンクフィルム付台紙
11,15…シュリンクフィルム
11c,15c…シール部
12…台紙
13,17…接着部
14,16…中心線
図1
図2
図3
図4