(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る印刷装置について、図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る印刷装置は、サーマルヘッドを用いてテープ状の記録媒体に文字、数字、記号等を含むパターンを印刷する装置である。
【0014】
印刷装置100は、
図1及び
図2に示すように、テープ状の記録媒体RMに印刷処理を行う装置本体101と、テープ状の記録媒体RM及びインクリボンIRを収容し、装置本体101に着脱自在に装着されるテープカートリッジTCと、を備える。
【0015】
装置本体101は、
図1に示すように、キーボード102、ディスプレイ103、開閉蓋104、を備える。また、装置本体101は、図示しないが、パーソナルコンピュータ等の外部機器と接続するための入力端子、電源コードが接続される電源端子、メモリカード等の記憶媒体が挿入される挿入口、を併せて備える。
【0016】
キーボード102は、ユーザからのキー入力を受け付ける。キーボード102は、パターンデータを入力するパターン入力キー、印刷開始を指示する印刷キー、ディスプレイ103の表示画面上のカーソルを移動操作するカーソルキー、印刷モードの設定や各種設定処理を行う各種の機能キーにより構成される。
【0017】
ディスプレイ103は、印刷装置100におけるメイン表示画面として機能し、入力されたデータに関する画像、各種設定のための選択メニュー、各種処理に関するメッセージ等を表示する。ディスプレイ103は、例えば、液晶表示パネルにより構成される。なお、ディスプレイ103は、タッチスイッチ機能を備えるタッチパネルのような入力機能と表示機能とが組み合わされたもので構成してもよい。
【0018】
開閉蓋104は、装置本体101の内部に形成された、テープカートリッジTCを装填するためのカートリッジ収納部120を覆うカバーである。
【0019】
次に、
図2を参照して、カートリッジ収納部120及びテープカートリッジTCの各構成について説明する。
【0020】
図2に示すように、装置本体101には、テープ状の記録媒体RM及びインクリボンIRを収容するテープカートリッジTCを装填するためのカートリッジ収納部120が窪入形成されている。カートリッジ収納部120内には、印刷部としてのテープ印刷機構121と、テープカートリッジTCを所定の位置に支持するためのカートリッジ受部126と、が形成されている。
【0021】
テープ印刷機構121は、インクリボンIRや感熱記録媒体を加熱するための複数の発熱素子がライン状に配設されたサーマルヘッド122と、サーマルヘッド122と対向する位置に配置され、テープ状の記録媒体RM及びインクリボンIRをサーマルヘッド122と挟持しながら搬送するプラテンローラ123と、印刷に使用したインクリボンIRをテープカートリッジTC内に巻取るリボン巻取軸124と、を備える。
【0022】
また、カートリッジ収納部120の一端部には、装置本体101の外部と連通するテープ繰出口130が形成されている。テープ繰出口130には、テープ状の記録媒体RMの印刷テープ及び剥離テープを幅方向に切断するフルカット機構128と、テープ状の記録媒体RMの印刷テープのみを切断するハーフカット機構129と、が内蔵されている。
【0023】
テープカートリッジTCは、カートリッジケース142を備える。カートリッジケース142には、テープ状の記録媒体RMが巻装されたテープコア143、未使用のインクリボンIRが巻装されたリボン供給コア144、使用済みのインクリボンIRを巻取るリボン巻取コア145が内蔵されている。また、カートリッジケース142には、カートリッジ収納部120内にテープカートリッジTCを装填した場合にサーマルヘッド122が位置するヘッド配置部141が形成されている。
【0024】
また、
図2に示すように、カートリッジケース142の3つの角部には、カートリッジ収納部120のカートリッジ受部126と係合し、このカートリッジ受部126によって支持される被係合部146が形成されている。そして、カートリッジケース142の被係合部146には、図示しないが、テープカートリッジTCの種類に応じた所定の凹凸が形成されている。また、カートリッジ収納部120のカートリッジ受部126には、テープカートリッジTCが装填された場合にカートリッジケース142の被係合部146に形成された凹凸を判別する所定の記録幅検出スイッチ127が配置されている。
【0025】
カートリッジケースTCがカートリッジ収納部120に装填されると、カートリッジケース142の被係合部146とカートリッジ収納部120のカートリッジ受部126に配置された記録幅検出スイッチ127の幾つか或いは全部とが係合する。被係合部146と係合した記録幅検出スイッチ127が押下される。印刷装置100は、オン状態となった記録幅検出スイッチ127の組み合わせによって、テープカートリッジTCの種類を判別する。
【0026】
つまり、印刷装置100は、テープカートリッジTCの種類を判別することにより、各テープカートリッジTCが収納するテープ状の記録媒体RMの記録幅、色等を識別することができる。後述するCPU151は、これらの識別データに基づいて、テープ状の記録媒体RMの記録幅に適合する印刷データを作成する。
【0027】
キーボード102の操作により印刷の実行が指示されると、テープ状の記録媒体RM及びインクリボンIRがそれぞれテープカートリッジTCのテープコア143及びリボン供給コア144から繰り出され、プラテンローラ123とサーマルヘッド122との間にこれらのテープ状の記録媒体RM及びインクリボンIRが重ね合わされた状態で挟み込まれて搬送される。なお、プラテンローラ123は搬送手段として機能する。
【0028】
そして、サーマルヘッド122が有する発熱素子が印刷データに基づいて発熱駆動され、インクリボンIRのインクがテープ状の記録媒体RMの印刷テープに熱転写されて印刷データが印刷される。印刷が終了すると、設定によりフルカット機構128又はハーフカット機構129が作動してテープ状の記録媒体RMは幅方向に切断され、1枚のテープ状のラベルが作成される。
【0029】
次に、
図3を参照して、印刷装置100が実現する機能について説明する。印刷装置100は、
図3に示すように、制御部150、入力部156、表示部157、印刷制御部158、印刷部159、モータ駆動制御部160、モータ駆動部161、記録幅検出部162、切断機構部163、USB外部端子164、を備える。
【0030】
制御部150は、CPU(Central Processing Unit)151、CGROM(Character Generator Read-Only Memory)152、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)153、ROM(Read-Only Memory)154、RAM(Random Access Memory)155、から構成される。
【0031】
CPU151は、ROM154等に格納されている動作プログラムを実行し、印刷装置100全体の動作を制御する。CPU151は、各構成要素と接続され、制御信号やデータをやり取りする。
【0032】
入力部156は、例えば、キーボード102から構成され、ユーザによるパターン入力キー、機能キー等の入力操作を受け付け、ユーザによって入力されたパターンのパターンコード、フォントの種類、パターンサイズ等を制御部150に供給する。ここで、パターンサイズとは、パターンに対応するフォントのポイント数(ポイント:pt)のことである。なお、入力部156は、パターンサイズ取得手段として機能する。
【0033】
CGROM152は、印刷装置100で印刷可能なパターンのフォントデータを記憶する。フォントデータは、印刷装置100に印刷されるためや、ディスプレイ103に表示するためのパターンのビットマップ形式のデータである。ビットマップ形式の各ドットは、サーマルヘッド122の発熱素子やディスプレイ103の画素に対応する。CPU151は、ユーザによって入力されたパターンのパターンコード、フォントの種類、パターンサイズを指定することにより、CGROM152から対応するフォントデータを取得し、取得したフォントデータを用いて印刷データ及び表示画像データを生成する。
【0034】
EEPROM153は、印刷データ等を記憶する不揮発性メモリである。ROM154は、CPU151が実行する動作プログラムを記憶する不揮発性メモリである。RAM155は、CPU151が各種の処理を実行する際に生成した情報や、その情報を生成するために必要なデータを一時的に格納する揮発性メモリである。
【0035】
表示部157は、例えば、ディスプレイ103から構成され、印刷データ等をディスプレイ103に表示する。
【0036】
印刷制御部158は、制御部150が出力する印刷データに従って、印刷部159を制御し、テープ状の記録媒体RMに印刷を実行させる。
【0037】
印刷部159は、例えば、テープカートリッジTCと、サーマルヘッド122と、リボン巻取軸124と、から構成され、印刷制御部158の制御に従って、テープ状の記録媒体RM及びインクリボンIRを搬送しながら印刷制御部158から供給された印刷データに基づいて印刷テープ上に印刷を行う。なお、印刷部159は印刷手段として機能する。
【0038】
モータ駆動制御部160は、制御部150から出力される制御信号に基づいて、リボン巻取軸124と連動するテープ搬送モータやフルカット機構128やハーフカット機構129と連動する切断用モータ等で構成されるモータ駆動部161に駆動信号を供給し、各モータの駆動制御を行う。
【0039】
記録幅検出部162は、例えば、記録幅検出スイッチ127と、被係合部146と、から構成され、テープカートリッジTCの被係合部146に形成された凹凸をカートリッジ収納部120のカートリッジ受部126に配設された記録幅検出スイッチ127が検出することにより、テープカートリッジTCの種類を判別する。記録幅検出部162は、判別したテープカートリッジTCの種類に対応するテープ状の記録媒体RMの記録幅を制御部150に供給する。なお、記録幅検出部162は記録幅検出手段として機能する。
【0040】
切断機構部163は、テープ繰出口130と、フルカット機構128と、ハーフカット機構129と、から構成され、印刷処理後のテープ状の記録媒体RMの後端を切断してテープ片を作成する。
【0041】
USB外部端子164は、外部機器を接続するためのシリアルインターフェースであり、外部機器から印刷データ等を取り込んだり、外部機器に印刷データ等を保存したりすることができる。
【0042】
ここで、
図4を参照して、テープ状の記録媒体RMの記録幅及び印刷するパターンの記録媒体の送り方向に沿った解像度が異なる条件で印刷処理した印刷結果例について説明する。
【0043】
従来、ラベルプリンタ等の製品仕様では、印刷するパターンの記録媒体の送り方向に沿った解像度は一定であるため、記録媒体の記録幅や印刷するパターンサイズに係わらず、すべて一律の解像度によって印刷される。しかし、記録媒体の記録幅や印刷するパターンサイズに基づいて解像度を決定することにより、印刷効率の向上や良好な印刷品質を確保することができる。なお、印刷するパターンの記録媒体の送り方向に沿った解像度は、1ストローブパルスあたりの記録媒体の送りピッチによって決まる。
【0044】
図4に示すように、印刷するパターンの記録媒体の送り方向に沿った解像度を200dpiと400dpiとし、それぞれ、幅広の36mm幅のテープ状の記録媒体RMに印刷可能な最大パターンサイズでパターン「あ」を印刷した印刷結果を比較すると、解像度の高低によって印刷結果に大きな差異はみられない。一方、印刷するパターンの記録媒体の送り方向に沿った解像度を200dpiと400dpiとし、それぞれ、幅狭の12mm幅のテープ状の記録媒体RMに印刷可能な最大パターンサイズでパターン「あ」を印刷した印刷結果を比較すると、破線の楕円で囲まれた部分Aの曲線は、破線の楕円で囲まれた部分Bの曲線と比べて、階段状のギザギザ(ジャギー)となっている。
【0045】
このように、テープ状の記録媒体RMの記録幅が広い場合で、かつ、パターンサイズが比較的大きい場合には、印刷するパターンの記録媒体の送り方向に沿った解像度を200dpi程度に低くしても、印刷品質に支障はない。一方、テープ状の記録媒体RMの記録幅が狭い場合には、必然的に印刷されるパターンサイズが比較的小さくなるため、印刷するパターンの記録媒体の送り方向に沿った解像度を400dpi程度に高くすることが好ましい。このように、良好な印刷品質を得るためには、テープ状の記録媒体RMの記録幅及び印刷するパターンサイズに基づいて印刷するパターンの記録媒体の送り方向に沿った解像度を決定する必要がある。
【0046】
次に、
図5を参照して、サーマルヘッド122の発熱素子の可変分割駆動制御について説明する。なお、可変分割駆動制御とは、印刷データを発電素子が印刷できる1ライン毎に分割したライン印刷データに対してサーマルヘッド122の発熱素子を所定の分割数で一律に分割駆動させる時分割駆動制御とは異なり、ライン黒ドット率(印刷率)に基づいて分割数を可変にすることにより発熱素子を効率的に発熱駆動させる制御をいう。なお、可変分割駆動制御では、ライン印刷データ内の印刷ドット(黒ドット)の総数が同時に駆動可能な発熱素子の最大ドット数よりも低い場合には、ブロック分割なしに一括駆動により印刷処理を行う。
【0047】
ここで、印刷装置100において、サーマルヘッド122は、36mm幅のテープ状の記録媒体RMに対して384ドットの印刷分解能を有し、一度に印刷可能な最大ドット数、すなわち、発熱素子の同時に駆動可能な最大ドット数は、96ドットであるとする。したがって、サーマルヘッド122は、36mm幅のテープ状の記録媒体RMに対して発熱素子を最大4分割して印刷を行う。また、印刷装置100において、通常、印刷速度は20mm/secであり、発熱素子の分割数が1増すごとに印刷速度は5mm/secずつ低下するものとする。
【0048】
図5(A)は、記録幅36mmのテープ状の記録媒体に対して印刷可能な最大パターンサイズでパターン「計算」を印刷するための印刷データ例を示す。
図5に示すように、二点鎖線で囲まれたライン印刷データL1では、1ラインに対して黒ドット率(印刷率)が低いため、サーマルヘッド122の発熱素子を分割駆動する必要はなく、一括駆動が可能であるため、印刷速度20mm/secで印刷可能である。一方、実線で囲まれたライン印刷データL2では、1ラインに対して黒ドット率(印刷率)が高いため、サーマルヘッド122の発熱体を4分割して通電駆動する必要がある。したがって、印刷速度は、5mm/secに低下する。
【0049】
図5(B)は、記録幅18mmのテープ状の記録媒体に対して印刷可能な最大パターンサイズのポイントでパターン「計算」を印刷するための印刷データ例を示す。
図6に示すように、二点鎖線で囲まれたライン印刷データL3では、1ラインに対して黒ドット率(印刷率)が低いため、記録幅36mmの場合と同様、サーマルヘッド122の発熱体を分割駆動する必要はなく、一括駆動が可能であるため、印刷速度20mm/secで印刷可能である。一方、実線で囲まれたライン印刷データL4では、1ラインに対して黒ドット率(印刷率)は高いものの記録幅が36mmの半分の18mmであるため、サーマルヘッド122の発熱素子を2分割して通電駆動すればよい。したがって、印刷速度は、15mm/secで印刷可能である。
【0050】
このように、サーマルヘッド122の発熱素子の可変分割駆動制御は、テープ状の記録媒体RMの記録幅やライン印刷データにおける黒ドット率(印刷率)に基づいて、発熱素子の駆動分割数を可変にすることにより、所定の分割数で分割駆動させる時分割駆動制御とは異なり、印刷速度を可変とする。
【0051】
次に、
図6に示す印刷処理のフローチャートを参照して、印刷装置100が実行する印刷動作について説明する。CPU151は、キーボードのパターン入力キーの操作により作成されたパターン列に対応するパターンコードデータがRAM155に記憶された状態で、キーボードの印刷キーの操作により印刷実行が指示されたことを契機に、印刷処理を実行する。
【0052】
印刷処理が開始されると、CPU151は、まず、テープ状の記録媒体RMの記録幅を取得する(ステップS101)。CPU151は、記録幅検出スイッチ127により検出されたテープカートリッジTCの種類に基づいて、テープカートリッジTCに収容されているテープ状の記録媒体RMの記録幅を取得する。なお、CPU151は、テープカートリッジTCの種類とテープ状の記録媒体RMの記録幅とを対応づけた対応テーブルをROM等に予め記憶させ、これを参照してテープ状の記録媒体RMの記録幅を取得すればよい。CPU151は、取得したテープ状の記録媒体RMの記録幅をRAM155に記憶させる。
【0053】
ステップS101の処理を実行した後、CPU151は、印刷データを生成する(ステップS102)。CPU151は、RAM155に記憶されたパターン列データのパターンコード、CGROM152に格納されているドットパターン等に基づいて、印刷データを生成し、RAM155に記憶させる。
【0054】
続いて、CPU151は、解像度決定処理を実行する(ステップS103)。ここで、
図7(A)に示すフローチャートを参照して、解像度決定処理について説明する。解像度決定処理は、テープ状の記録媒体RMの記録幅及びパターンサイズに基づいて解像度モードを決定する。なお、CPU151は、解像度決定手段として機能する。
【0055】
解像度決定処理が開始されると、CPU151は、まず、テープ状の記録媒体RMの記録幅が第1の記録幅としての18mm以下であるか否かを判別する(ステップS111)。CPU151は、ステップS101の処理においてRAM155に記憶させたテープ状の記録媒体RMの記録幅に関するデータを読み出し、その記録幅が18mm(第1の記録幅)以下であるか否かを判別する。
【0056】
テープ状の記録媒体RMの記録幅が18mm以下であると判別した場合(ステップS111;YES)、CPU151は、解像度モードを高解像度モードに設定する(ステップS112)。すなわち、CPU151は、テープ状の記録媒体RMの記録幅が18mm以下の幅狭である場合、印刷されるパターンサイズは必然的に比較的小さくなることから、解像度モードを高解像度モードに設定する。
【0057】
一方、テープ状の記録媒体RMの記録幅が18mm以下ではないと判別した場合(ステップS111;NO)、パターンサイズが第1のパターンサイズとしての43ポイント以下であるか否かを判別する(ステップS113)。CPU151は、RAM155に記憶されている印刷するパターンサイズを示すデータを読み出し、印刷対象である印刷するパターンサイズが43ポイント(第1のパターンサイズ)以下であるか否かを判別する。
【0058】
パターンサイズが43ポイント以下であると判別した場合(ステップS113;YES)、CPU151は、解像度モードを高解像度モードに設定する(ステップS112)。CPU151は、テープ状の記録媒体の記憶幅が18mmよりも幅広である場合であっても、印刷対象であるパターンのサイズが比較的小さい場合には、解像度モードを高解像度モードに設定する。CPU151は、ステップS112の処理を実行した後、解像度決定処理を終了する。
【0059】
一方、パターンサイズが43ポイント以下ではないと判別した場合(ステップS113;NO)、CPU151は、解像度モードを低解像度モードに設定する(ステップS114)。CPU151は、テープ状の記録媒体の記憶幅が18mmよりも幅広である場合であって、かつ、印刷されるパターンサイズが比較的大きい場合には、解像度モードを低解像度モードに設定する。CPU151は、ステップS114の処理を実行した後、解像度決定処理を終了する。
【0060】
図6に示すフローチャートに戻り、CPU151は、ステップS103の解像度決定処理を実行した後、解像度決定処理において設定された解像度モードに従って、ステップS102の処理により生成された印刷データを分割してライン印刷データを生成する(ステップS104)。CPU151は、RAM155に記憶された解像度モードを読み出し、例えば、解像度モードが高解像度モード(400dpi)に設定されている場合、印刷データを1インチ当たり400ラインに分割したライン印刷データを生成し、印刷度モードが低解像度印刷モード(200dpi)に設定された場合、印刷データを1インチ当たり200ラインに分割したライン印刷データを生成する。なお、CPU151は印刷データ生成手段及び印刷データ分割手段として機能する。
【0061】
次に、CPU151は、可変分割決定処理を実行する(ステップS105)。ここで、
図7(B)に示すフローチャートを参照して、可変分割決定処理について説明する。可変分割決定処理は、印刷するライン印刷データに基づいて、サーマルヘッド122が有する発熱素子を分割駆動するか否かを決定する処理である。なお、CPU151は、分割駆動手段として機能する。
【0062】
可変分割決定処理が開始されると、CPU151は、RAM155に記憶されたライン印刷データから印刷対象であるライン印刷データを検索する(ステップS121)。CPU151は、RAM155から印刷対象であるライン印刷データを読み出した後、ライン印刷データ内の印刷ドット(黒ドット)数をカウントし、97ドット以上であるか否かを判別する(ステップS122)。
【0063】
ライン印刷データ内の印刷ドット(黒ドット)数がサーマルヘッド122で一度に印刷可能な最大ドット数である97ドット以上であると判別した場合(ステップS122;YES)、CPU151は、時分割駆動制御を実行することを決定する(ステップS123)。CPU151は、ライン印刷データ内の印刷ドット(黒ドット)数が、289ドット以上であれば発熱素子を4分割、193ドット以上288ドット以下であれば発熱素子を3分割、97ドット以上192ドット以下であれば発熱素子を2分割、して、各ブロックを時間を分けて駆動する時分割駆動制御を実行することを決定する。
【0064】
一方、ライン印刷データ内の印刷ドット(黒ドット)数がサーマルヘッド122で一度に印刷可能な最大ドット数である97ドット以上ではないと判別した場合(ステップS122;NO)、CPU151は、時分割駆動制御を実行しないことを決定する(ステップS124)。CPU151は、ライン印刷データ内の印刷ドット(黒ドット)を発熱素子を一括駆動により印刷処理を行うことを決定する。
【0065】
CPU151は、ステップS123又はS124の処理を実行した後、可変分割決定処理を終了する。
【0066】
図6に示すフローチャートに戻って、CPU151は、ステップS105の処理を実行した後、印刷処理を実行する(ステップS106)。CPU151は、ステップS103の処理で設定された解像度モード、ステップS105の処理で決定された時分割駆動制御の実行の有無に従って、1ライン印刷データ分の印刷を実行する。具体的には、CPU151から1ライン印刷データがサーマルヘッド122に供給され、1ライン印刷データ分の各印刷ドット(黒ドット)に対応するサーマルヘッド122の発熱素子を通電駆動することによりテープ状の記録媒体RMに1ライン分の印刷が行なわれる。
【0067】
ステップS106の印刷処理を実行した後、CPU151は、全ラインの印刷データが終了したか否かを判別する(ステップS107)。CPU151は、ステップS104の処理において生成され、RAM155に記憶されたライン印刷データの全ての印刷が終了したか否かを判別する。全ラインの印刷データの印刷が終了していないと判別した場合(ステップS107;NO)、CPU151は、ステップS105に処理を戻し、ステップS105〜S107の処理を繰り返す。一方、全ラインの印刷データの印刷が終了したと判別した場合(ステップS107;YES)、CPU151は、印刷処理を終了する。
【0068】
以上で説明したように、実施形態1に係る印刷装置100は、テープ状の記録媒体RMの記録幅及び印刷するパターンサイズに基づいて、印刷するパターンの記録媒体の送り方向に沿った解像度を決定し、印刷速度を決定する。より具体的には、例えば、テープ状の記録媒体RMの記録幅が18mm以下である場合、または、テープ状の記録媒体RMの記録幅が18mmより大きく、かつ、印刷するパターンサイズが43ポイント以下である場合には、高解像度モードによる低速印刷を実行する。一方、テープ状の記録媒体RMの記録幅が18mmよりも大きく、かつ、印刷するパターンサイズが43ポイントよりも大きい場合には、低解像度モードによる高速印刷を実行する。また、サーマルヘッド122の発熱素子を可変分割制御する場合、高解像度モードによる低速印刷が実行されているときには、1ライン印刷データに占める印刷ドット(黒ドット)率が低いため、発熱素子の分割駆動による印刷速度の低下は少ない。また、低解像度モードによる高速印刷が実行されているときには、1ライン印刷データに占める印刷ドット(黒ドット)率は高いものの、発熱素子の分割駆動による印刷速度の低下は少ない。このように、可変分割制御に加えて印刷するパターンの記録媒体の搬送方向に沿った解像度を決定すると、可変分割制御のみを実行した場合に比べて、印刷速度を効率的に高速化し、また、良好な印刷品質を得ることができる。
【0069】
上記の実施の形態において、
図7(B)に示すフローチャート内のステップS123の処理において、サーマルヘッド122の発熱素子を分割駆動するにあたり、便宜上、ライン印刷データ内の印刷ドット(黒ドット)数に基づいて、ライン印刷データ内の全ドットを等分したブロックで一義的に分割した。しかし、ライン印刷データにおける印刷ドット(黒ドット)の分布に基づいて、より機能的にブロック分割をしてもよい。例えば、ライン印刷データ内の印刷ドット(黒ドット)の分布に合わせて、分割ブロックの位置を適宜移動させる等してもよい。
【0070】
なお、本発明に係る機能を実現するための構成を予め備えた印刷装置として提供することができることはもとより、プログラムの適用により、既存の情報機器を、本発明に係る印刷装置として機能させることもできる。すなわち、上記実施形態で例示した印刷装置100による各機能構成を実現させるためのプログラムを、既存の情報機器を制御して機能させることができる。また、本発明に係る制御方法は、印刷装置を用いて実施できる。
【0071】
また、このようなプログラムの適用方法は、任意である。プログラムを、例えば、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して適用できる。さらに、プログラムを搬送波に重畳し、インターネット等の通信媒体を介して適用することもできる。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)にプログラムを掲示して配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OS(Operating System)の制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。以下に、本願発明の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0073】
(付記1)
パターンが印刷される記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記パターンの前記搬送方向に沿った解像度を、前記記録媒体の記録幅と、ユーザが設定した前記パターンのパターンサイズと、に基づいて決定する解像度決定手段と、
前記解像度決定手段が決定した前記解像度に基づいた前記パターンの印刷データを生成する印刷データ生成手段と、
前記印刷データ生成手段が生成した前記印刷データを前記記録媒体に印刷する印刷手段と、
を備える、
ことを特徴とする印刷装置。
【0074】
(付記2)
前記解像度決定手段は、前記記録幅が第1の記録幅よりも広く、且つ、前記パターンサイズが第1のパターンサイズよりも大きい場合に、前記パターンの前記搬送方向に沿った前記解像度を低解像度として、他の場合に、前記搬送方向の前記解像度を高解像度とする、
ことを特徴とする付記1に記載の印刷装置。
【0075】
(付記3)
前記搬送手段は、前記解像度決定手段が決定した前記解像度に基づいて、前記記録媒体の搬送速度を決定する、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の印刷装置。
【0076】
(付記4)
前記記録媒体の前記記録幅を判別する記録幅判別手段と、
前記ユーザが設定した前記パターンの前記パターンサイズを取得するパターンサイズ取得手段と、
をさらに備え、
前記解像度決定手段は、前記パターンの前記搬送方向に沿った前記解像度を、前記記録幅判別手段により判別された前記記録幅と、前記パターンサイズ取得手段により取得された前記パターンサイズと、に基づいて決定する、
ことを特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載の印刷装置。
【0077】
(付記5)
前記印刷データ生成手段により生成された前記印刷データを、複数の発熱体により印刷可能な複数のライン印刷データに分割する印刷データ分割手段と、
前記印刷データ分割手段により分割された前記ライン印刷データに基づいて、前記複数の発熱体のうちの発熱すべき発熱体を複数のブロックに分割し、分割した当該ブロックごとに順次発熱駆動する分割駆動手段と、
をさらに備え、
前記搬送手段は、前記分割駆動手段により分割されたブロック数に基づいて、前記記録媒体の搬送速度を決定する、
ことを特徴とする付記1から4のいずれか1つに記載の印刷装置。
【0078】
(付記6)
前記記録媒体はテープ形状である、
ことを特徴とする付記1から5のいずれか1つに記載の印刷装置。
【0079】
(付記7)
パターンが印刷される記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送ステップと、
前記パターンの前記搬送方向に沿った解像度を、前記記録媒体の記録幅と、ユーザが設定した前記パターンのパターンサイズと、に基づいて決定する解像度決定ステップと、
前記解像度決定ステップで決定した前記解像度に基づいた前記パターンの印刷データを生成する印刷データ生成ステップと、
前記印刷データ生成ステップで生成した前記印刷データを前記記録媒体に印刷する印刷ステップと、
を備える、
ことを特徴とする印刷方法。
【0080】
(付記8)
コンピュータに、
パターンが印刷される記録媒体を所定の搬送方向に搬送する搬送処理と、
前記パターンの前記搬送方向に沿った解像度を、前記記録媒体の記録幅と、ユーザが設定した前記パターンのパターンサイズと、に基づいて決定する解像度決定処理と、
前記解像度決定処理で決定した前記解像度に基づいた前記パターンの印刷データを生成する印刷データ生成処理と、
前記印刷データ生成処理で生成した前記印刷データを前記記録媒体に印刷する印刷処理と、
を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。