特許第6303693号(P6303693)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6303693
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】現像装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/09 20060101AFI20180326BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   G03G15/09 A
   G03G15/08 226
   G03G15/08 235
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-64095(P2014-64095)
(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公開番号】特開2015-184657(P2015-184657A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年3月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(72)【発明者】
【氏名】奥山 真司
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 繁
(72)【発明者】
【氏名】大場 正太
(72)【発明者】
【氏名】村田 重美
【審査官】 石附 直弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−197977(JP,A)
【文献】 特開昭63−228175(JP,A)
【文献】 特開昭63−225272(JP,A)
【文献】 特開2008−225316(JP,A)
【文献】 特開2000−098748(JP,A)
【文献】 特開平04−307572(JP,A)
【文献】 特開2012−042552(JP,A)
【文献】 特開2001−337529(JP,A)
【文献】 米国特許第05781836(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/08−13/095
G03G 15/08−15/095
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転不能に支持された磁石部材と、前記磁石部材の外周を囲んで配置されて表面に現像剤を保持して回転する回転部材と、を有し、像保持体の表面に形成された潜像を現像する現像剤保持体と、
前記像保持体に対応する位置に配置された現像磁極と、前記回転部材の回転方向に対して前記現像磁極に隣接して配置され且つ前記現像磁極とは逆極性の隣接磁極と、を少なくとも有する前記磁石部材と、
前記隣接磁極に対向して配置され、磁性を有する磁性部材と、
前記回転部材の回転方向に対して前記像保持体と前記回転部材との対向位置よりも上流側に配置され、且つ、前記回転部材との間に隙間をあけて配置され、前記回転部材の表面に保持された現像剤の量を規制する規制部材と、
前記現像剤保持体の回転軸に垂直な断面において、前記現像剤保持体の法線方向に形成する磁界の磁束密度のピーク値の半分以上の磁束密度を有する角度の領域と、前記回転部材の半径の2倍の位置と、前記回転部材と前記規制部材との間隔に対応する位置と、で囲まれた領域の断面積に対して、半分以上の断面積を有する前記磁性部材と、
を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤保持体の法線方向に形成する磁界の磁束密度のピーク値の半分以上の磁束密度を有する角度の領域内部に配置され、且つ、前記回転部材の半径の2倍よりも近い領域に配置された前記磁性部材、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記回転部材の回転方向に対して前記像保持体と前記回転部材との対向位置よりも上流側に配置され、且つ、前記回転部材との間に隙間をあけて配置され、前記回転部材の表面に保持された現像剤の量を規制する規制部材と、
前記回転部材と前記規制部材との隙間に比べて、前記回転部材との隙間が広く設定された前記磁性部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
像保持体と、
前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像の形成装置と、
前記像保持体の表面の潜像を可視像に現像する請求項1ないしのいずれかに記載の現像装置と、
前記像保持体の表面の可視像を媒体に転写する転写装置と、
前記媒体の表面の可視像を定着させる定着装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の複写機やプリンタ等の画像形成装置において、潜像を可視像に現像する現像装置に関して、以下の特許文献1に記載の技術が従来公知である。
【0003】
特許文献1としての特開2008−268576号公報には、現像磁極(96)とその両側に隣接する2つの磁極(98,100)を有する現像ロール(72)に対して、現像剤剥離供給部材(78)は、法線方向の磁束密度が略0になる点Bに対して、スリーブ(92)の回転方向の下流側に配置することで、現像剤の供給と剥離とを行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−268576号公報(「0036」〜「0043」、図3図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、簡素な構成で現像磁極の磁力を強化することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の現像装置は、
回転不能に支持された磁石部材と、前記磁石部材の外周を囲んで配置されて表面に現像剤を保持して回転する回転部材と、を有し、像保持体の表面に形成された潜像を現像する現像剤保持体と、
前記像保持体に対応する位置に配置された現像磁極と、前記回転部材の回転方向に対して前記現像磁極に隣接して配置され且つ前記現像磁極とは逆極性の隣接磁極と、を少なくとも有する前記磁石部材と、
前記隣接磁極に対向して配置され、磁性を有する磁性部材と、
前記回転部材の回転方向に対して前記像保持体と前記回転部材との対向位置よりも上流側に配置され、且つ、前記回転部材との間に隙間をあけて配置され、前記回転部材の表面に保持された現像剤の量を規制する規制部材と、
前記現像剤保持体の回転軸に垂直な断面において、前記現像剤保持体の法線方向に形成する磁界の磁束密度のピーク値の半分以上の磁束密度を有する角度の領域と、前記回転部材の半径の2倍の位置と、前記回転部材と前記規制部材との間隔に対応する位置と、で囲まれた領域の断面積に対して、半分以上の断面積を有する前記磁性部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の現像装置において、
前記現像剤保持体の法線方向に形成する磁界の磁束密度のピーク値の半分以上の磁束密度を有する角度の領域内部に配置され、且つ、前記回転部材の半径の2倍よりも近い領域に配置された前記磁性部材、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の現像装置において、
前記回転部材の回転方向に対して前記像保持体と前記回転部材との対向位置よりも上流側に配置され、且つ、前記回転部材との間に隙間をあけて配置され、前記回転部材の表面に保持された現像剤の量を規制する規制部材と、
前記回転部材と前記規制部材との隙間に比べて、前記回転部材との隙間が広く設定された前記磁性部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
前記技術的課題を解決するために、請求項4に記載の発明の画像形成装置は、
像保持体と、
前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像の形成装置と、
前記像保持体の表面の潜像を可視像に現像する請求項1ないしのいずれかに記載の現像装置と、
前記像保持体の表面の可視像を媒体に転写する転写装置と、
前記媒体の表面の可視像を定着させる定着装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1,に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、簡素な構成で現像磁極の磁力を強化することができる。
また、請求項1,4に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、磁性部材の磁気的な容量を確保することができる。
請求項2に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、隣接磁極の磁力を磁性部材で効率的に集中させることができる。
請求項3に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、機内が汚れることを低減できる
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は実施例1の画像形成装置の説明図である。
図2図2は実施例1の画像形成装置の要部説明図である。
図3図3は実施例1の現像装置の説明図である。
図4図4図3のIV−IV線断面図である。
図5図5は実施例1の磁性部材の説明図であり、図3に対応する図である。
図6図6は実施例1の磁性部材の推定される磁力線の説明図である。
図7図7は実施例1の現像剤保持体における磁力の分布の説明図である。
図8図8は実験例の実験結果の説明図であり、実験例1、比較例1、比較例2について、現像磁極の磁束密度の増加分を測定した実験結果の棒グラフである。
図9図9は実験例の実験結果の説明図であり、横軸に搬送磁極の磁束密度のピーク値を取り、縦軸に現像磁極の磁束密度の増加分を取ったグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例としての実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0014】
図1は実施例1の画像形成装置の説明図である。
図2は実施例1の画像形成装置の要部説明図である。
図1において、本発明の実施例1の画像形成装置の一例としての複写機Uは、記録部の一例であって、画像記録装置の一例としてのプリンタ部U1を有する。プリンタ部U1の上部には、読取部の一例であって、画像読取装置の一例としてのスキャナ部U2が支持されている。スキャナ部U2の上部には、原稿の搬送装置の一例としてのオートフィーダU3が支持されている。実施例1のスキャナ部U2には、入力部の一例としてのユーザインタフェースUIが支持されている。前記ユーザインタフェースUIは、操作者が入力をして、複写機Uの操作が可能である。
【0015】
オートフィーダU3の上部には、媒体の収容容器の一例としての原稿トレイTG1が配置されている。原稿トレイTG1には、複写しようとする複数の原稿Giが重ねて収容可能である。原稿トレイTG1の下方には、原稿の排出部の一例としての原稿の排紙トレイTG2が形成されている。原稿トレイTG1と原稿の排紙トレイTG2との間には、原稿の搬送路U3aに沿って、原稿の搬送ロールU3bが配置されている。
【0016】
スキャナ部U2の上面には、透明な原稿台の一例としてのプラテンガラスPGが配置されている。実施例1のスキャナ部U2には、プラテンガラスPGの下方に、読取り用の光学系Aが配置されている。実施例1の読取り用の光学系Aは、プラテンガラスPGの下面に沿って、左右方向に移動可能に支持されている。なお、読取り用の光学系Aは、通常時は、図1に示す初期位置に停止している。
読取り用の光学系Aの右方には、撮像部材の一例としての撮像素子CCDが配置されている。撮像素子CCDには、画像処理部GSが電気的に接続されている。
画像処理部GSは、プリンタ部U1の書込回路DLに電気的に接続されている。書込回路DLは、潜像の形成装置の一例としてのLEDヘッドLHy,LHm,LHc,LHkに電気的に接続されている。
【0017】
各LEDヘッドLHy〜LHkの上方には、像保持体の一例としての感光体ドラムPRy,PRm,PRc,PRkが配置されている。
各感光体ドラムPRy〜PRkには、帯電器の一例としての帯電ロールCRy,CRm,CRc,CRkが対向して配置されている。前記帯電ロールCRy〜CRkには、電源回路Eから帯電電圧が印加される。なお、電源回路Eは、制御部の一例としてのコントローラCにより制御される。前記コントローラCは、画像処理部GSや書込回路DL等との間でも信号の送受信を行って、各種制御を行う。
感光体ドラムPRy〜PRkの回転方向に対して、帯電ロールCRy〜CRkの下流側に設定された書込領域Q1y,Q1m,Q1c,Q1kにおいて、感光体ドラムPRy〜PRkの表面に対して、LEDヘッドLHy〜LHkから書込光が照射される。
感光体ドラムPRy〜PRkの回転方向に対して、書込領域Q1y〜Q1kの下流側に設定された現像領域Q2y,Q2m,Q2c,Q2kには、現像装置Gy,Gm,Gc,Gkが感光体ドラムPRy〜PRkの表面に対向して配置されている。
【0018】
感光体ドラムPRy〜PRkの回転方向に対して、現像領域Q2y〜Q2kの下流側には、1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kが設定されている。1次転写領域Q3y〜Q3kでは、中間転写体の一例としての中間転写ベルトBに接触している。また、1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kにおいて、中間転写ベルトBを挟んで感光体ドラムPRy〜PRkの反対側には、1次転写器の一例としての1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kが配置されている。
感光体ドラムPRy〜PRkの回転方向に対して、1次転写領域Q3y〜Q3kの下流側には、像保持体の清掃器の一例としてのドラムクリーナCLy,CLm,CLc,CLkが配置されている。
【0019】
前記感光体ドラムPRy〜PRkの上方には、中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが配置されている。前記ベルトモジュールBMは、前記中間転写ベルトBを有する。中間転写ベルトBは、駆動部材の一例としての駆動ロールRdと、張架部材の一例としてのテンションロールRtと、蛇行補正部材の一例としてのウォーキングロールRw、従動部材の一例としてのアイドラロールRf、2次転写領域の対向部材の一例としてのバックアップロールT2aと、1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kと、により回転可能に支持されている。
【0020】
中間転写ベルトBを挟んでバックアップロールT2aの反対側には、2次転写部材の一例としての2次転写ロールT2bが配置されている。前記バックアップロールT2aと2次転写ロールT2bにより2次転写器T2が構成されている。また、2次転写ロールT2bと中間転写ベルトBとが対向する領域により2次転写領域Q4が形成される。
前記1次転写ロールT1y〜T1k、中間転写ベルトBおよび2次転写器T2等により、感光体ドラムPRy〜PRkに形成された画像を媒体に転写する実施例1の転写装置T1+T2+Bが構成されている。
【0021】
中間転写ベルトBの回転方向に対して、2次転写領域Q4の下流側には、中間転写体の清掃器の一例としてのベルトクリーナCLbが配置されている。
前記ベルトモジュールBMの上方には、現像剤の収容容器の一例としてのカートリッジKy,Km,Kc,Kkが配置されている。各カートリッジKy〜Kkには、現像装置Gy〜Gkに補給される現像剤が収容されている。前記カートリッジKy〜Kkと現像装置Gy〜Gkとの間は、図示しない現像剤の補給装置により接続されている。
【0022】
プリンタ部U1の下部には、媒体の収容容器の一例としての給紙トレイTR1〜TR3が配置されている。給紙トレイTR1〜TR3は、案内部材の一例としてのガイドレールGRにより前後方向に着脱可能に支持されている。給紙トレイTR1〜TR3には、媒体の一例としてのシートSが収容されている。
給紙トレイTR1〜TR3の左上方には、媒体の取出部材の一例としてのピックアップロールRpが配置されている。ピックアップロールRpの左方には、捌き部材の一例としての捌きロールRsが配置されている。
各給紙トレイTR1〜TR3の左方には、上方に延びる媒体の搬送路SHが形成されている。搬送路SHには、媒体の搬送部材の一例としての搬送ロールRaが複数配置されている。搬送路SHには、シートSの搬送方向の下流部であり且つ2次転写領域Q4の上流側に、送出部材の一例としてのレジロールRrが配置されている。
【0023】
2次転写領域Q4の上方には、定着装置Fが配置されている。定着装置Fは、加熱部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧部材の一例としての加圧ロールFpとを有する。加熱ロールFhと加圧ロールFpとの接触領域により、定着領域Q5が構成されている。
定着装置Fの斜め上方には、媒体の搬送部材の一例としての排出ローラRhが配置されている。排出ローラRhの右方には、媒体の排出部の一例としての排出トレイTRhが形成されている。
【0024】
(画像形成動作の説明)
前記原稿トレイTG1に収容された複数の原稿Giは、プラテンガラスPG上の原稿の読み取り位置を順次通過して、原稿の排紙トレイTG2に排出される。
前記オートフィーダU3を使用して自動的に原稿を搬送して複写を行う場合は、読取り用の光学系Aは初期位置に停止した状態で、プラテンガラスPG上の読み取り位置を順次通過する各原稿Giを露光する。
原稿Giを作業者が手でプラテンガラスPG上に置いて複写を行う場合、読取り用の光学系Aが左右方向に移動して、プラテンガラスPG上の原稿が、露光されながら走査される。
【0025】
原稿Giからの反射光は、読取り用の光学系Aを通って、撮像素子CCDに集光される。前記撮像素子CCDは、撮像面上に集光された原稿の反射光が赤:R、緑:G、青:Bの電気信号に変換される。
画像処理部GSは、撮像素子CCDから入力されるRGBの電気信号を黒:K、イエロー:Y、マゼンタ:M、シアン:Cの画像情報に変換して一時的に記憶する。画像処理部GSは、一時的に記憶した画像情報を予め設定された時期に、潜像形成用の画像情報として書込回路DLに出力する。
なお、原稿画像が単色画像、いわゆる、モノクロの場合は、黒:Kのみの画像情報が書込回路DLに入力される。
【0026】
前記書込回路DLは、図示しない各色Y,M,C,Kの各駆動回路を有し、入力された画像情報に応じた信号を予め設定された時期に、各色毎に配置されたLEDヘッドLHy〜LHkに出力する。
各感光体ドラムPRy〜PRkの表面は、帯電ロールCRy〜CRkによりに帯電される。LEDヘッドLHy〜LHkは、書込領域Q1y〜Q1kにおいて、感光体ドラムPRy〜PRkの表面に静電潜像を形成する。現像装置Gy〜Gkは、現像領域Q2y〜Q2kにおいて、感光体ドラムPRy〜PRkの表面の静電潜像を、可視像の一例としてのトナー像に現像する。現像装置Gy〜Gkで現像剤が消費されると、消費量に応じて、各カートリッジKy〜Kkから各現像装置Gy〜Gkに現像剤が補給される。
【0027】
各感光体ドラムPRy〜PRkの表面のトナー像は、1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kに搬送される。各1次転写ロールT1y〜T1kには、電源回路Eから予め設定された時期にトナーの帯電極性と逆極性の1次転写電圧が印加される。したがって、1次転写領域Q3y〜Q3kにおいて、1次転写電圧により、感光体ドラムPRy〜PRkのトナー像は、中間転写ベルトBに順次重ねて転写される。なお、K色の単色の画像の場合は、K色のトナー像のみが、Kの感光体ドラムPRkから中間転写ベルトBに転写される。
【0028】
前記各感光体ドラムPRy〜PRk上のトナー像は、前記1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kにより、中間転写体の一例としての中間転写ベルトBに1次転写される。1次転写後の感光体ドラムPRy〜PRk表面の残留物、付着物は、感光体クリーナCLy〜CLkで清掃される。清掃された感光体ドラムPRy〜PRkの表面は、帯電ロールCRy〜CRkで再帯電される。
【0029】
前記各給紙トレイTR1〜TR3のシートSは、予め設定された給紙時期にピックアップロールRpにより取り出される。ピックアップロールRpで取り出されたシートSは、複数枚のシートSが重なった状態で取り出された場合には、捌きロールRsで1枚づつ分離される。捌きロールRsを通過したシートSは、複数の搬送ロールRaにより、レジロールRrに搬送される。
前記レジロールRrは、中間転写ベルトBの表面のトナー像が2次転写領域Q4に移動する時期に合わせて、シートSを送り出す。
【0030】
レジロールRrから送り出されたシートSには、2次転写領域Q4を通過する際に、2次転写ロールT2bに印加された2次転写電圧により、中間転写ベルトBの表面のトナー像が転写される。
2次転写領域Q4を通過後の中間転写ベルトBの表面は、ベルトクリーナCLbにより残留トナーが除去されて清掃される。
2次転写領域Q4を通過したシートSは、定着領域Q5を通過する際に、定着装置Fによりトナー像が加熱および加圧されて定着される。
トナー像が定着された記録シートSは、排出ローラRhで排紙トレイTRhに排出される。
【0031】
(現像装置の説明)
図3は実施例1の現像装置の説明図である。
図4図3のIV−IV線断面図である。
次に、前記本発明の実施例1の現像装置Gy,Gm,Gc,Gkの説明をするが、各色の現像装置Gy,Gm,Gc,Gkは同様に構成されているため、Y色の現像装置Gyについてのみ詳細な説明をし、その他の色の現像装置Gm,Gc,Gkについては、詳細な説明を省略する。
図3図4において、感光体ドラムPRyに対向して配置された現像装置Gyは、トナー及びキャリアとを含む2成分現像剤を収容する現像容器Vを有している。図3において、現像容器Vは、下部の容器本体1を有する。容器本体1の上部には、蓋部材の一例としての容器カバー2が支持されている。容器カバー2は、容器本体1の上面を塞いでいる。
【0032】
図3図4において、容器本体1には、内部の左上部に、現像剤の保持体の収容部の一例としての現像ロール室4が形成されている。現像ロール室4の下方には、第1の収容室の一例としての供給室6が形成されている。供給室6は現像ロール室4と接続されている。供給室6の右方には、第2の収容室の一例としての撹拌室7が形成されている。
供給室6と撹拌室7との間は、仕切部材の一例としての仕切壁8で仕切られている。図4において、仕切壁8の前方には、第1の接続部の一例として、供給室6と撹拌室7とを接続する第1流入部8aが形成されている。なお、実施例1では、第1流入部8aは、現像ロール室4の前端よりも前方に配置されている。また、仕切壁8の後方には、第2の接続部の一例として、供給室6と撹拌室7とを接続する第2流入部8bが形成されている。
【0033】
現像ロール室4には、現像剤の保持体の一例としての現像ロールR0yが収容されている。現像ロールR0yは左上方の外表面の一部が、感光体ドラムPRyに対向して配置されている。現像ロールR0yは、磁石部材の一例としての磁石ロール11を有する。図4において、磁石ロール11は、現像容器Vに回転不能に支持されている。図3図4において、磁石ロール11の外周には、回転部材の一例としての現像スリーブ12が配置されている。現像スリーブ12は、現像容器Vに回転可能に支持されている。現像スリーブ12の後端には、駆動の伝達部材の一例としてのギアG0が支持されている。ギアG0には、駆動源の一例としての図示しないモータから駆動が伝達可能に構成されている。実施例1の現像装置Gyでは、モータから駆動が伝達された場合に、現像スリーブ12は、現像領域Q2yにおいて、感光体ドラムPRyの表面の移動方向と同方向に回転する
【0034】
現像ロール室4の下方には、層厚の規制部材の一例としてのトリマー13が配置されている。実施例1のトリマー13は、前後方向に延びる円柱状に形成されている。トリマー13は、現像スリーブ12に対して、予め設定された隙間をあけて回転不能な状態で支持されている。
なお、前記磁石ロール11には、現像領域Q2yに対応して、現像磁極S1が設けられている。また、トリマー13に対向する位置には、層厚の規制用の磁極の一例としてのトリミング磁極N2が設けられている。トリミング磁極N2は、現像磁極S1とは逆極性の磁極により構成されている。また、現像スリーブ12の回転方向に対して、現像磁極S1の下流側には、現像磁極S1とは逆極性の搬送磁極N1が設けられている。現像スリーブ12の回転方向に対して、搬送磁極N1の下流側には、現像剤の離脱用の磁極の一例としてのピックオフ磁極S2が設けられている。ピックオフ磁極S2は、搬送磁極N1とは逆極性の磁極により構成されている。現像スリーブ12の回転方向に対して、ピックオフ磁極S2の下流側且つトリミング磁極N2の上流側には、現像剤の吸着用の磁極の一例としてのピックアップ磁極S3が設けられている。ピックアップ磁極S3は、ピックオフ磁極S2とは同極性且つトリミング磁極N2とは逆極性の磁極により構成されている。
【0035】
図3図4において、供給室6には、第1の搬送部材の一例としての供給オーガ16が配置されている。供給オーガ16は、前後方向に延びる回転軸16aを有する。回転軸16aの外周には、螺旋状の搬送羽根16bが支持されている。また、回転軸16aの後端には、駆動の伝達部材の一例としてのギアG1が支持されている。
撹拌室7には、第2の搬送部材の一例としての撹拌オーガ17が配置されている。撹拌オーガ17は、供給オーガ16と同様に、回転軸17aと、搬送羽根17bと、ギアG2とを有する。各ギアG0〜G2は、互いに噛み合っている。
また、図4において、撹拌室7の後部には、カートリッジKyからの現像剤が補給される補給口7aが形成されている。
【0036】
(現像装置の機能)
前記構成を備えた現像装置Gy〜Gkでは、画像形成が開始されると、モータが駆動して、各オーガ16,17が回転すると共に、現像ロールR0y〜R0kが回転する。実施例1では、供給オーガ16が回転すると、供給オーガ16は、供給室6の現像剤を、矢印Yaで示すように、第1流入部8aから第2流入部8bに向けて撹拌しながら搬送する。第2流入部8bまで搬送された現像剤は、第2流入部8bを通じて撹拌室7に流入する。撹拌オーガ17が回転すると、撹拌オーガ17は、撹拌室7の現像剤を、矢印Ybで示すように、第2流入部8bから第1流入部8aに向けて撹拌しながら搬送する。第1流入部8aまで搬送された現像剤は、第1流入部8aを通じて供給室6に流入する。よって、供給室6と撹拌室7とによって、循環室6+7が構成されている。
【0037】
供給室6の現像剤は、ピックアップ磁極S3の磁力で、現像スリーブ12に吸着される。現像スリーブ12に吸着された現像剤は、トリマー13を通過する際に、トリマー13と現像スリーブ12との隙間に対応する予め設定された現像剤のみが通過する。トリマー13を通過した現像剤は、現像領域Q2y〜Q2kにおいて、感光体ドラムPRy〜PRkの潜像を現像する。現像に使用されなかった現像剤は、現像磁極S1と搬送磁極N1との間の磁界や搬送磁極N1とピックオフ磁極S2との間の磁界等で現像スリーブ12の表面に吸着されたまま搬送される。同極性のピックオフ磁極S2とピックアップ磁極S3との間では、現像剤を現像スリーブ12に吸着する磁力が低下する。よって、現像スリーブ12の表面に吸着された現像剤は、ピックオフ磁極S2とピックアップ磁極S3との間で、現像スリーブ12から離脱して、循環室6+7に戻される。
【0038】
(磁性部材の説明)
図5は実施例1の磁性部材の説明図であり、図3に対応する図である。
図3図5において、実施例1の現像装置Gyでは、現像磁極S1に隣接する隣接磁極の一例としての搬送磁極N1に対向して、磁性部材の一例としての磁性シャフト21が支持されている。実施例1の磁性シャフト21は、磁性体の一例としての鉄により構成されている。なお、実施例1では、磁性シャフト21は、トリマー13と同様に、円柱状に構成されている。なお、実施例1では、磁性シャフト21として、一例として、直径6mmの円柱を使用した。
図5において、実施例1の磁性シャフト21は、現像ロールR0yの法線方向に搬送磁極N1が形成する磁界22の磁束密度のピーク値の半分以上の磁束密度を有する角度の領域、いわゆる、搬送磁極N1の半値幅23の内部に配置されている。
【0039】
また、実施例1の磁性シャフト21は、図5に示すように、現像スリーブ12の半径の2倍の位置24よりも近い領域に配置されている。
さらに、実施例1の磁性シャフト21では、図5に示すように、現像スリーブ12とトリマー13との隙間の位置26よりも遠い位置に配置されている。すなわち、現像スリーブ12とトリマー13との隙間に比べて、現像スリーブ12と磁性シャフト21との隙間26の方が、広く設定されている。
また、図5に示すように、現像ロールR0yの回転軸に垂直な断面において、半値幅23の範囲と、現像スリーブ12の半径の2倍の位置24と、現像スリーブ12とトリマー13との隙間の位置26とで囲まれた領域27の断面積に対して、磁性シャフト21は、半分以上の断面積を有するように設定されている。
【0040】
(磁性部材の機能の説明)
図6は実施例1の磁性部材の推定される磁力線の説明図である。
前記構成を備えた実施例1の現像装置Gyでは、現像磁極S1に隣接する搬送磁極N1に磁性シャフト21が配置されている。図6において、磁性シャフト21が設けられていない従来の構成では、現像磁極S1と搬送磁極N1との間で、図6の実線で示すような磁力線31が成立する。ここで、実施例1のように搬送磁極N1に対向して磁性シャフト21を配置すると、図6の破線で示すように、磁性シャフト21に磁力線32が引きつけられる形で、磁力線32が変化するものと推定される。したがって、現像磁極S1の近傍では、磁力線32は、法線方向の磁束密度が高くなり、法線方向の磁力が向上する。
【0041】
図7は実施例1の現像剤保持体における磁力の分布の説明図である。
図7は、搬送磁極N1とピックオフ磁極S2との間で法線方向の磁力がゼロになる点を基準として、現像スリーブ12の回転方向の逆方向に沿った位置を横軸にとり、縦軸に磁力を取ったものである。なお、横軸に対して、N極の磁力を正とし、S極の磁力を負とした。図7において、磁性シャフト21を配置しない状態で、図7の実線で示すような磁力の分布36となるのに対して、磁性シャフト21を配置すると、図7の破線で示すように磁力の分布37が変化する。すなわち、磁力の分布36,37の前後で、N極の磁力の面積とS極の磁力の面積の総和は変化しない。そして、磁性シャフト21を配置した搬送磁極N1の位置と、隣接する現像磁極S1の位置とで磁力が大きくなる。
【0042】
したがって、実施例1の現像装置Gyでは、搬送磁極N1に配置された磁性シャフト21で現像磁極S1の磁力を強化することが可能である。
近年、現像装置Gyが小型化されている。現像装置Gyが小型化されると、現像ロールR0yも小型化され、磁石ロール11も小型化される。磁石ロール11が小型になると、磁石の体積が小さくなり、強い磁力を確保することが難しくなる。磁力が弱くなると、現像領域Q2yにおいて、現像剤に含まれるキャリアを吸着する力が弱まり、感光体ドラムPRyにキャリアが移動してしまう恐れがある。
【0043】
ここで、磁極の角度を調整して、現像磁極の磁束密度を確保することも考えられるが、磁極の角度は、現像装置Gyの形状や感光体ドラムPRyとの位置関係等によって最適な角度が異なる。よって、現像磁極の磁束密度を確保しようとして、角度を調整すると、現像装置Gy等の位置関係に対応できない場合がある。
これらに対して、実施例1では、磁性シャフト21を配置するだけで、現像磁極S1が強化可能である。よって、現像装置が小型化されても、現像磁極S1の磁力密度を確保することが可能である。
【0044】
また、実施例1では、磁性シャフト21は、半値幅23の内部に配置されている。半値幅23の外側にシャフト21が配置されると、搬送磁極N1のピークの位置からのズレが大きくなる。よって、搬送磁極N1の磁束密度が集中しにくくなり、現像磁極S1の磁力が強くなる効果が低下する。これに対して、実施例1では、磁性シャフト21が半値幅23の内部に配置されており、搬送磁極N1の磁束密度が集中しやすく、現像磁極S1の磁力が強くなりやすくなる。
さらに、実施例1の磁性シャフト21は、現像スリーブ12の半径の2倍の位置24よりも近い領域に配置されている。半径の2倍の位置24よりも遠くなると、磁性シャフト21が搬送磁極N1から離れすぎてしまう。磁性シャフト21が搬送磁極N1から離れすぎると、搬送磁極N1の磁束密度が集中しにくくなり、現像磁極S1の磁力が強くなる効果が低下する。これに対して、実施例1では、磁性シャフト21が半径の2倍の位置24よりも近くに配置されている。よって、搬送磁極N1の磁束密度が集中しやすく、現像磁極S1の磁力が強くなりやすくなる。
【0045】
また、実施例1の磁性シャフト21は、現像スリーブ12とトリマー13との隙間の位置26よりも遠い位置に配置されている。現像スリーブ12とトリマー13との隙間の位置26よりも、磁性シャフト21が近い位置に設置されると、現像スリーブ12の表面に保持された現像剤に磁性シャフト21が接触する。したがって、磁性シャフト21との接触で、現像剤が現像スリーブ12から離脱、浮遊して、複写機Uの内部を汚す恐れがある。これに対して、実施例1では、磁性シャフト21が、現像スリーブ12とトリマー13との隙間の位置26よりも遠く、現像剤に接触することが低減される。よって、複写機Uの内部が汚れることが抑制される。
【0046】
さらに、実施例1の磁性シャフト21の断面積が、領域27の断面積の半分以上に設定されている。磁性シャフト21の断面積が小さいと、磁性シャフト21の磁気的な容量が小さくなる。よって、搬送磁極N1からの集中した磁気を抱えられなくなる。すなわち、磁束密度の集中が不十分となり、現像磁極S1の磁力が強くなる効果が低下する。これに対して、実施例1の磁性シャフト21は、断面積が十分に大きく、磁気的な容量も十分に確保されている。よって、現像磁極S1の磁力が強くなる効果を十分に得られる。
【0047】
(実験例)
次に、実施例1の効果を確認するために、実験を行った。
図8は実験例の実験結果の説明図であり、実験例1、比較例1、比較例2について、現像磁極の磁束密度の増加分を測定した実験結果の棒グラフである。
図9は実験例の実験結果の説明図であり、横軸に搬送磁極の磁束密度のピーク値を取り、縦軸に現像磁極の磁束密度の増加分を取ったグラフである。
実験例1では、実施例1の構成で実験を行った。すなわち、搬送磁極N1に対向する位置に磁性シャフト21を設置した。実験例1では、搬送磁極N1の磁束密度のピーク値が、85[mT]のものを使用した。現像磁極の磁束密度の増加は、磁性シャフト21もトリマー13も配置されていない状態に対する増加分を測定した。このとき、現像磁極の磁束密度の増加分は、図8図9に示すように、6[mT]であった。
【0048】
比較例1では、実験例1において、磁性シャフト21を設けていない状態での現像磁極の磁束密度の増加を測定した。比較例1では、図8に示すように、現像磁極の磁束密度の増加分は2[mT]であった。
比較例2では、実験例1において、磁性のトリマー13を設けず、磁性シャフト21のみを配置した状態での現像磁極の磁束密度の増加を測定した。比較例2では、現像磁極の磁束密度の増加分は3[mT]であった。
【0049】
比較例3では、実験例1に比べて、磁性シャフト21を設置せず、トリマー13は設置して実験を行った。なお、比較例3では、実験例1とは異なる現像ロールR0y〜R0kを使用し、搬送磁極N1の磁束密度のピーク値が、75[mT]のものを使用した。比較例3では、軸方向の両端と中央部の3カ所で磁束密度の測定を行った。このとき、現像磁極の磁束密度の増加分は、4〜5[mT]であった。
比較例4では、比較例3に比べて、搬送磁極N1の磁束密度のピーク値が、48[mT]のものを使用した以外は同様に実験を行った。比較例4では、現像磁極の磁束密度の増加分は、0〜2[mT]であった。
比較例5では、比較例3に比べて、搬送磁極N1の磁束密度のピーク値が、45[mT]のものを使用した以外は同様に実験を行った。比較例5では、現像磁極の磁束密度の増加分は、0〜1[mT]であった。
【0050】
比較例6では、比較例3に比べて、搬送磁極N1の磁束密度のピーク値が、45[mT]のものを使用した以外は同様に実験を行った。比較例6では、現像磁極の磁束密度の増加分は、0[mT]であった。
比較例7では、比較例3に比べて、搬送磁極N1の磁束密度のピーク値が、65[mT]のものを使用した以外は同様に実験を行った。比較例7では、現像磁極の磁束密度の増加分は、2〜4[mT]であった。
比較例8では、比較例3に比べて、搬送磁極N1の磁束密度のピーク値が、45[mT]のものを使用した以外は同様に実験を行った。比較例8では、現像磁極の磁束密度の増加分は、0〜−1[mT]であった。
【0051】
よって、実験の結果、実験例1と比較例1との対比から、磁性シャフト21を設けた場合に、現像磁極の磁束密度が増加したことが確認された。また、実験例1と比較例1,2との対比から、磁性シャフト21を設ける方が、磁性のトリマー13を設置する場合に比べて、効果が高いことや、磁性のトリマー13と磁性シャフト21の両方を設けることで効果が高まることが確認された。さらに、比較例1,3〜8の結果から、磁性のトリマー13を設けることでも一定の効果があり、実験例1、比較例1,2の結果から、比較例3〜8において磁性シャフト21を追加すると、さらなる効果が期待されることも確認された。
【0052】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H06)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としての複写機を例示したが、これに限定されず、例えば、プリンタ、FAX、あるいはこれらの複数または全ての機能を有する複合機等により構成することも可能である。
(H02)前記実施例において、複写機Uは、4色の現像剤が使用される構成を例示したが、これに限定されず、例えば、単色の画像形成装置や、5色以上または3色以下の多色の画像形成装置にも適用可能である。
【0053】
(H03)前記実施例において、実施例に例示した具体的な数値や材料名については、設計や仕様に応じて任意に変更可能である。
(H04)前記実施例において、磁性部材の一例として、円柱状のシャフトを例示したがこれに限定されない。例えば、断面四角形状や断面三角形状の板等、磁力を集中させることが可能な任意の形状を採用可能である。
(H05)前記実施例において、磁性部材の一例として磁力を有しない材料を例示したがこれに限定されず、磁力を有する磁性体、いわゆる永久磁石を使用することも可能である。
【0054】
(H06)前記実施例において、磁性シャフト21は、半値幅23の内側や、現像スリーブ12の半径の2倍の位置の内側、現像スリーブ12とトリマー13との隙間の位置26よりも外側に配置することが望ましいが、これに限定されない。現像装置Gyの構成、設計、仕様等に応じて、これらの条件のうちのいずれかまたは全てを満たさない位置に配置する構成とすることも可能である。また、磁性シャフト21の断面積は、領域27の半分以上であることが望ましいが、半分以下とすることも可能である。
【符号の説明】
【0055】
11…磁石部材、
12…回転部材、
13…規制部材、
21…磁性部材、
23…磁束密度のピーク値の半分以上の磁束密度を有する角度、
24…回転部材の半径の2倍、
F…定着装置、
Gy,Gm,Gc,Gk…現像装置、
LHy,LHm,LHc,LHk…潜像の形成装置、
N1…隣接磁極、
PRy,PRm,PRc,PRk…像保持体、
R0y,R0m,R0c,R0k…現像剤保持体、
S…媒体、
S1…現像磁極、
T1+T2+B…転写装置、
U…画像形成装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9