(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
◎実施の形態の概要
図1(a)は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態の概要を示す。
同図において、画像形成装置は、予め決められた組立体受部11を有する装置筐体10と、この装置筐体10の組立体受部11に着脱可能に装着されるプロセスカートリッジ12と、を備えている。
本例において、プロセスカートリッジ12は、予め決められた組立体受部11に対して挿抜され、潜像が保持される像保持体1aを含む像保持体組立体1と、現像剤が保持される現像剤保持体2aを含む現像組立体2と、像保持体組立体1
の挿抜方向の手前側に位置する像保持体1aの長手方向
一端に対し現像組立体2の現像剤保持体2aを押し付けるように現像組立体2を付勢する付勢部材3と、
像保持体組立体1の像保持体1aの長手方向他端に対し現像組立体2の現像剤保持体2aを押し付けるように現像組立体2に設けられ、像保持体組立体1の挿抜方向の奥側に位置する組立体受部11に設けられた付勢部材3による付勢力を受ける被付勢部(図示せず)と、像保持体組立体1の挿抜方向の手前側に設けられ、予め決められた方向に操作されることで、像保持体組立体1と現像組立体2とを付勢部材3による付勢力に抗して離す方向に移動させる接離機構4と、
図1(b)に示すように、接離機構4により現像組立体2が像保持体組立体1から離れた状態で、像保持体組立体1を引き抜き方向に引き抜くときに、像保持体組立体1の挿抜方向の奥側の一部5aが現像組立体2に設けられた挿抜方向に延びる案内部5bに当接することで、付勢部材3の付勢力に抗して像保持体1aと現像剤保持体2aとの間に像保持体組立体1を引き抜く前よりも大きい隙間を奥側に形成する隙間形成機構5と、を備えている。
【0009】
このような技術的手段において、像保持体組立体1は感光体、誘電体等の像保持体1aを少なくとも含むものであればよく、これに帯電要素や清掃要素を付加してもよいことは勿論である。
また、現像組立体2は現像剤保持体2aを含むものであれば、現像剤撹拌部材、層規制部材などの機能要素を適宜有していてもよいことは勿論である。また、二成分現像方式に限らず、一成分現像方式でもよいことは勿論である。
更に、付勢部材3は像保持体1aの長手方向両端に対し現像剤保持体2aを押し付けるように付勢するものであれば適宜選定して差し支えない。但し、付勢部材3による付勢力がばらつかないように付勢するものであれば、付勢位置が異なっても差し支えない。
更にまた、接離機構4はユーザが操作することで接離操作が可能であれば適宜選定して差し支えない。接離機構4の原理としては、回転支点を中心とする回転方式でなくても可能であるが、操作しやすさという点からすれば回転方式が好ましい。
また、隙間形成機構5としては、像保持体組立体1の奥側の一部5aと、現像組立体2の挿抜方向に延びる案内部5bとを有していればよい。ここで、案内部5bの最初の係わり部分は像保持体組立体1の一部5aが案内部5bに乗り上げ易い構造、例えば傾斜部を有していることが好ましい。なお、隙間形成機構5による隙間は、像保持体1aと現像剤保持体2aとが非接触を保てればよく、接離機構4による隙間よりも狭いもので差し支えない。
【0010】
次に、本実施の形態の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、隙間形成機構5の好ましい態様としては、接離機構4により像保持体組立体1の手前側で像保持体1aと現像剤保持体2aとが離された距離よりも狭い隙間を形成するものが挙げられる。
このような隙間形成機構5の代表的態様としては、現像組立体2の奥側に設けられ、手前側に向かって像保持体1aとの間の距離が次第に近づくように傾斜する案内部5bと、像保持体1aの奥側に設けられ、当該案内部5bに向かって突出し、像保持体1aを引き抜き方向に引き抜くときに当該案内部5bに接触する突起(一部5aに相当)と、を有するものがある。
また、接離機構4の代表的態様としては、現像組立体2の挿抜方向の手前側に回転可能な操作部材(図示せず)を有し、この操作部材の回転に伴って回転するカム部材を付加し、このカム部材の位置に応じて像保持体組立体1と現像組立体1との間を接離するものが挙げられる。
本態様によれば、接離機構4としては、操作部材、カム部材であるが、操作部材の腕長を長く設定すれば少ない操作力で現像組立体2の接離操作を行える点で好ましい。また、この接離機構1では付勢部材3を組み込むことも容易である。
【0011】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
◎実施の形態1
<画像形成装置の全体構成>
図2は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1を示す説明図である。
同図において、画像形成装置20は、装置筐体21内に四つの色(本実施の形態ではブラック、イエロ、マゼンタ、シアン)の画像形成部22(具体的には22a〜22d)を横方向に配列し、その上方には各画像形成部22の配列方向に沿って循環搬送される中間転写ベルト230が含まれる転写モジュール23を配設する一方、装置筐体21の下方には用紙等の記録材が収容される記録材供給装置24を配設すると共に、この記録材供給装置24からの記録材搬送路25を略鉛直方向に配置したものである。
【0012】
本実施の形態において、各画像形成部22(22a〜22d)は、中間転写ベルト230の循環方向上流側から順に、例えばブラック用、イエロ用、マゼンタ用、シアン用(配列は必ずしもこの順番とは限らない)のトナー像を形成するものであり、感光体31と、この感光体31を予め帯電する帯電装置(本例では帯電ロール)32と、この帯電装置32にて帯電された各感光体31に静電潜像を書き込む露光装置33(本例では各作像エンジン22に共通の露光装置を使用)と、感光体31上に形成された静電潜像を対応する色トナー(本実施の形態では例えば負極性)で現像する現像装置34と、感光体31上の残留物を清掃する清掃装置35と、を備えている。
ここで、露光装置33は、露光筐体41内に例えば四つの半導体レーザ(図示せず)、一つのポリゴンミラー42、結像レンズ(図示せず)及び各感光体に対応するそれぞれミラー(図示せず)を格納し、各色成分毎の半導体レーザからの光をポリゴンミラー42で偏向走査し、結像レンズ、ミラーを介して対応する感光体31上の露光ポイントに光像を導くようにしたものである。
尚、符号36(36a〜36d)は各現像装置34に各色成分トナーを補給するためのトナーカートリッジである。
【0013】
また、本実施の形態において、転写モジュール23は、例えば一対の張架ロール(一方が駆動ロール)231,232間に中間転写ベルト230を掛け渡したものであり、各画像形成部22の感光体31に対応した中間転写ベルト230の裏面には一次転写装置(本例では一次転写ロール)51が配設され、この一次転写装置51にトナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加することで、感光体31上のトナー像を中間転写ベルト230側に静電的に転写するようになっている。
更に、中間転写ベルト230の最下流画像形成部22dの下流側の張架ロール232に対応した部位には二次転写装置52が配設されており、中間転写ベルト230上の一次転写像を記録材に二次転写(一括転写)するようになっている。
【0014】
本実施の形態では、二次転写装置52は、中間転写ベルト230のトナー像保持面側に圧接配置される二次転写ロール521と、中間転写ベルト230の裏面側に配置されて二次転写ロール521の対向電極をなすバックアップロール(本例では張架ロール232を兼用)とを備えている。
そして、例えば二次転写ロール521が接地されており、また、バックアップロール(張架ロール232)にはトナーの帯電極性と同極性のバイアスが印加されている。
更にまた、中間転写ベルト230の最上流画像形成部22aの上流側にはベルト清掃装置53が配設されており、中間転写ベルト230上の残留トナーを除去するようになっている。
【0015】
また、記録材供給装置24には記録材を供給する供給ロール61が設けられ、この供給ロール61の直後には記録材を搬送する搬送ロール62が配設されると共に、二次転写部位の直前に位置する記録材搬送路25には記録材を所定のタイミングで二次転写部位へ供給する位置決めロール(レジストレーションロール)63が配設されている。
一方、二次転写部位の下流側に位置する記録材搬送路25には定着装置66が設けられ、この定着装置66は、
図2に示すように、図示外の加熱ヒータが内蔵された加熱定着ロール66aと、これに圧接配置されて追従回転する加圧定着ロール66bとを備えている。また、定着装置66の下流側には記録材排出装置67が設けられている。この記録材排出装置67は装置筐体21内の記録材を排出する対構成の排出ロール67a,67bからなり、記録材を挟持搬送して排出し、装置筐体21の上部に形成された記録材収容受け68に記録材を収容するようになっている。
更に、本実施の形態では、装置筐体21の側方には手差し供給装置(MSI)71が設けられており、この手差し供給装置71上の記録材は供給ロール72にて記録材搬送路25に向かって供給されるようになっている。
更にまた、装置筐体21には両面記録モジュール73が付設されており、この両面記録モジュール73は、記録材の両面に画像記録を行う両面モード選択時に、記録材排出装置67を逆転させ、かつ、入口手前の案内ロール74にて片面記録済みの記録材を内部に取り込み、適宜数の搬送ロール77にて内部の記録材戻し搬送路76に沿って記録材を搬送し、再度位置決めロール63側へと供給するものである。
【0016】
−プロセスカートリッジ−
本実施の形態では、各画像形成部22は、
図3〜
図5に示すように、感光体31、帯電装置32、現像装置34及び清掃装置35を一体化したプロセスカートリッジ100として構成され、装置筐体21の組立体受部Uに対して着脱可能に装着されるようになっている。
特に、本例では、プロセスカートリッジ100は、感光体31が組み込まれる感光体組立体101と、この感光体組立体101に対向するように設けられ、現像装置34が組み込まれる現像組立体102と、を有し、感光体組立体101及び現像組立体102が装置筐体21の対応する組立体受部Uに着脱されるが、本例では、感光体組立体101及び現像組立体102の寿命の違いを考慮し、感光体組立体101及び現像組立体102が組立体受部Uに対し個々に挿抜可能に装着されるようになっている。例えばプロセスカートリッジ100の感光体組立体101のみを交換する場合には、装置筐体21の組立体受部Uに現像組立体102を残したまま、感光体組立体101を引き抜いた後、新しい感光体組立体101を挿入するようにすればよい。
【0017】
<感光体組立体>
本例では、感光体組立体101は、
図3に示すように、感光体31が収容される収容容器110を有し、この収容容器110内の感光体31の周囲には帯電装置32及び清掃装置35を配設したものである。
ここで、感光体31はその回転軸両端部が収容容器110の両端に回転自在に支持されており、感光体組立体101装着時には感光体31の回転軸の一端が図示外の駆動機構に駆動連結されるようになっている。
また、帯電装置32は、収容容器110の一部に帯電容器部111を設け、この帯電容器部111内に感光体31の表面に接触若しくは近接する帯電ロール112及びこの帯電ロール112に給電する給電ロール113を設けたものである。
更に、清掃装置35は、収容容器110の一部に清掃容器部114を設け、この清掃容器部114の開口縁には感光体31表面の残留トナーが掻き取られる板状の清掃部材115を設けると共に、この清掃容器部114内には清掃部材115で掻き取られた残留トナーが図示外の回収容器に向けて搬送される回収搬送部材(例えば回転軸の周囲に螺旋状羽根を付した態様)116を配設したものである。
【0018】
<現像組立体>
現像組立体102は、
図3に示すように、感光体31に向かって開口し且つトナー及びキャリアが含まれる二成分現像剤が収容される現像容器120を有し、この現像容器120の開口に面した部位には現像剤が保持搬送される現像ロール121を配設すると共に、現像容器120内の現像ロール121の背面側には一対の現像剤撹拌部材(例えば回転軸
の周囲に螺旋状羽根を付した態様)122,123を配設し、更に、現像ロール121の現像部位よりも回転方向上流側には現像ロール121に保持される現像剤層厚が規制される層厚規制部材(例えば層厚規制ロール)124を設けたものである。
また、本例では、装置筐体21の組立体受部Uの奥側には、
図4及び
図5に示すように、ピボット軸125が設けられ、現像容器120の奥側にはピボット軸125が挿入される軸受部126が設けられている。このため、現像組立体102は現像容器120のピボット軸125を回転支点として揺動可能になっている。
更に、本例では、
図8に示すように、現像ロール121の両端には現像ロール121径よりも僅かに大きい位置調整用のトラッキングロール127が設けられ、このトラッキングロール127を感光体31表面に接触させることで現像ロール121と感光体31との間のギャップが予め決められた所定量に調整されるようになっている。
更にまた、現像組立体102は、
図6及び
図7に示すように、その長手方向の両端付近において夫々付勢バネ131,132によって感光体組立体101側に付勢され、トラッキングロール127が感光体31に接触した状態で感光体組立体101との位置関係を保つようになっている。
【0019】
−リトラクト機構−
現像組立体102の長手方向の手前側には、
図8乃至
図12に示すように、感光体組立体101との間の距離を離すための接離機構としてのリトラクト機構140が設けられている。
このリトラクト機構140は、現像組立体102の現像容器120の手前側が保持されるホルダ141を有している。このホルダ141は装置筐体21の組立体受部Uの一部に回り止めした状態で固定されており、現像容器120の長手方向の手前側に形成された図示外の軸受部に挿入されてピボット軸128を有し、現像容器120の長手方向の手前側を回転可能に保持するようになっている。
そして、本例では、ホルダ141の表面側には回転可能な操作レバー142を設けられると共に、このホルダ141の裏面側には操作レバー142の操作に伴って回転するカム部材143が設けられ、
図14に示す方向に、操作レバー142を回転させるときのカム部材143と現像容器120の内壁144との係わり合いによって、現像容器120がピボット軸128を回転支点として感光体組立体101から離れるようになっている。なお、リトラクト機構の詳細な動作過程については後述する。
【0020】
−付勢バネによる付勢方式−
本例では、リトラクト機構140のホルダ141の裏面側にはバネ受部145が設けられ、このバネ受部145に一方の付勢バネ131が装着され、感光体組立体101に対して現像組立体102を横方向から直接付勢するようになっている。
また、装置筐体21の組立体受部Uのうち、現像組立体102の長手方向の奥側に位置する部位には、
図7に示すように、他方の付勢バネ132が現像組立体102を上方向に向けて付勢しており、現像組立体102のピボット軸125を回転支点として感光体組立体101に向けて現像組立体102を押し付けるようになっている。
特に、本例では、現像組立体102の現像容器120の底面には位置決め孔150が設けられ、この位置決め孔150に対し付勢バネ132によって付勢されたプランジャ151が嵌まって位置決めされ、リトラクト機構140によるリトラクト動作時に、現像組立体102の長手方向の手前側が感光体組立体101からリトラクトしたときに、現像組立体102の長手方向の奥側では、付勢バネ132の力と現像容器120のねじれ量とが釣り合う箇所で止まるようになっている。
【0021】
−隙間形成機構−
本実施の形態では、現像組立体102の長手方向の手前側にリトラクト機構140が設けられているが、このリトラクト機構140による現像組立体102の長手方向の手前側のリトラクト動作は現像組立体102の長手方向の奥側にはそのまま伝達されることはない。
このため、本実施の形態では、リトラクト機構140によるリトラクト動作が完了した後に、例えば感光体組立体101を引き抜く動作を行うときに、感光体組立体101の長手方向の奥側で、現像ロール121と感光体31との間に引き抜く動作を行う前よりも大きい隙間を形成する隙間形成機構160が設けられている。
この隙間形成機構160は、例えば
図7及び
図13に示すように、感光体組立体101の長手方向の奥側、具体的には収容容器110の一部に現像組立体102側に突出する突起161を設ける一方、現像組立体102の現像容器120には、
図8、
図9、
図11及び
図12に示すように、長手方向の奥側から手前側に向かって延びる案内レール162を設けたものである。
本例では、案内レール162は、現像容器120の奥側から手前にかけて長手方向に沿って直線的に延びる直線案内部164と、この直線案内部164の長手方向の奥側には、手前側の当該直線案内部164に向かって感光体組立体101との間の距離が次第に接近するように傾斜する傾斜案内部163と有している。
ここで、感光体組立体101が装置筐体21の組立体受部Uの予め決められた位置(セット位置)に装着されているとき、感光体組立体101の突起161は、現像組立体102の案内レール162の傾斜案内部163とは非接触配置されていることが必要である。
この状態から、装置筐体21の組立体受部Uから感光体組立体101を引き抜いていくと、感光体組立体101の突起161が現像組立体102の傾斜案内部163と当接することが必要であり、更に、感光体組立体101を引き抜くと、感光体組立体101の突起161が傾斜案内部163を移動して直線案内部164へと乗り上げるようになっていればよい。この状態において、感光体組立体101の突起161が現像組立体102の案内レール162に沿って案内されるが、突起161と案内レール162との係わり合いによって感光体31と現像ロール121との間に所定の隙間gが確保される。
但し、この隙間gは、感光体31と現像ロール121との間を非接触に保つ上で必要な寸法を有していればよく、リトラクト機構140により現像ロール121の長手方向の手前側が感光体31からリトラクトした距離よりも狭い距離で足りる。
【0022】
−プロセスカートリッジの着脱操作−
今、装置筐体21の組立体受部Uにプロセスカートリッジ100が装着されている状況から、例えばプロセスカートリッジ100の感光体組立体101を引き抜く場合を想定し、その動作過程について説明する。
(1)リトラクト機構によるリトラクト操作
プロセスカートリッジ100の感光体組立体101を引き抜くに際し、先ず、リトラクト機構140によるリトラクト操作をする必要がある。
このリトラクト機構140によるリトラクト操作は、
図14に示すように、リトラクト機構140の操作レバー142を矢印A方向に回転させるようにすればよい。
このとき、操作レバー142の回転に伴って、
図15乃至
図17に示すように、リトラクト機構140のカム部材143が操作レバー142と同方向に回転し、カム部材143の回転自由端の角部が現像容器120の内壁144(本例では感光体組立体101に対向して略鉛直方向に延びるせき止め壁)に衝突し(
図16参照)、更に、カム部材143が回転して現像容器120の内壁144を感光体組立体101から離れる方向に押し出す(
図17参照)。
すると、カム部材143によって押し出された現像容器120はピボット軸128を回転支点として回転し、現像組立体102は感光体組立体101に対して寸法mだけ離れる。
この状態において、リトラクト機構140は現像組立体102の長手方向の手前側を感光体組立体101からリトラクトするが、現像組立体102の長手方向の奥側は感光体組立体102からはリトラクトした状態には至っていない。
【0023】
(2)感光体組立体の引き抜き操作
リトラクト機構140によるリトラクト操作が完了した後、
図18乃至
図20に示すように、ユーザはプロセスカートリッジ100の感光体組立体101を引き抜くようにすればよく、感光体組立体101の引き抜き動作に伴って、隙間形成機構160が働いて感光体31と現像ロール121との間に感光体組立体101の引き抜き動作前よりも大きな隙間が形成され、感光体31は現像ロール121と干渉することなく、組立体受部Uから離脱する。
このような動作過程において、感光体組立体101を矢印B方向に数mm(例えば3〜5mm)引き抜くと、
図18(a)(b)に示すように、感光体組立体101の突起161が現像組立体102の案内レール162の傾斜案内部163に当接する。
この状態において、更に、感光体組立体101を矢印B方向に引き抜いていくと、
図19(a)(b)に示すように、感光体組立体101の突起161は現像組立体102の案内レール163の傾斜案内部163に沿って移動し、感光体組立体101から離れる方向に向けて現像組立体102を押し出す。このため、
図21に示すように、隙間形成機構160は、感光体31と現像ロール121との間に隙間g’を形成するに至る。
この後、更に、感光体組立体101を矢印B方向に引き抜いていくと、
図20(a)(b)に示すように、感光体組立体101の突起161は現像組立体102の案内レール162の傾斜案内部163を乗り越えて直線案内部164へと移動し、感光体組立体101から離れる方向に向けて現像組立体102を更に押し出す。このため、
図22に示すように、隙間形成機構160は、感光体31と現像ロール121との間に隙間g(>g’)を形成するに至る。
そして、感光体組立体101の突起161が現像組立体102の案内レール162の直線案内部164に至ると、感光体31と現像ロール121との間に隙間gが確保されることから、この後、感光体組立体101を更に引き抜いたとしても、感光体31と現像ロール121とが干渉することはなく、感光体組立体101は組立体受部Uから離脱される。
【0024】
(3)感光体組立体の挿入操作
次に、装置筐体21の組立体受部Uに新たな感光体組立体101を装着する場合には、リトラクト機構140により現像組立体102をリトラクト位置に退避させておき、この状態で、装置筐体21の組立体受部Uのうち感光体組立体101が装着される部位に、感光体組立体101を挿入するようにすればよい。
このとき、感光体組立体101の突起161が現像組立体102の案内レール162に沿ってように接触させ、この状態で、感光体組立体101を所定のセット位置まで挿入するようにすればよい。
この状態においては、隙間形成機構160の働きによって、感光体31と現像ロール121との間に隙間gが形成されることから、感光体31は現像ロール121と干渉することなく、組立体受部Uに装着される。
【0025】
◎実施の形態2
図23は実施の形態2に係る画像形成装置のプロセスカートリッジで用いられる現像組立体の要部を示す。
本実施の形態における画像形成装置及びそのプロセスカートリッジの基本的構成は実施の形態1と略同様であり、現像組立体101の現像容器120の外形構造が実施の形態1と相違する。
尚、実施の形態1と同様な構成要素については、実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態において、現像組立体101の現像容器120は、
図23及び
図24に示すように、装置筐体21の組立体受部Uに装着される底部に対し、現像組立体101の長手方向におけるねじれ剛性を補強するための補強構造が施されているものである。
本例において、現像容器120は例えばABS樹脂等の樹脂材で一若しくは複数のパーツに分けて一体成形される。
特に、本実施の形態では、現像容器120の底部を構成する底壁の外側には補強枠体としての補強リブ200が一体的に構成されている。この補強リブ200は、現像容器120の長手方向に延びる断面突状の複数本(本例では4本)の第1枠体に相当する第1リブとしてのレールリブ201〜204と、1本目と2本目のレールリブ201,202間及び3本目と4本目のレールリブ203,204間を連結する第2枠体に相当する第2リブとしての連結リブ205とを備えている。
【0026】
本例の連結リブ205は対向するレールリブ201,202又は203,204間にて所定の方向に傾斜して掛け渡される第1の傾斜リブ206と、この第1の傾斜リブ206に対してクロス状に傾斜して掛け渡される第2の傾斜リブ207とを有し、2つの傾斜リブ206,207の途中に交差部208を形成したものである。
ここで、レールリブ201〜204は現像容器120の長手方向におけるねじれ変形を抑制する要素であり、連結リブ205はレールリブ201〜204に作用する応力歪みを分散させる要素あり、レールリブ201〜204及び連結リブ205の断面形状としては断面略半円状、断面三角形状、矩形状、多角形状など適宜選定して差し支えないが、ねじれ剛性を十分に確保するという観点からすると、断面略半円状の補強リブ200が好ましい。
【0027】
−給電構造−
本例では、現像組立体102は、現像ロール121に現像電圧を印加し、感光体31との間に現像電界を形成する必要があることから、
図25ないし
図27に示すように、装置筐体21の組立体受部Uから現像組立体102に対して給電構造を設けることが必要である。
本例では、装置筐体21の組立体受部Uには給電用のトーションばね240が設けられており、一方、現像組立体101にはトーションばね240に接触する給電部241が設けられ、この給電部241から現像ロール121の軸部に給電する給電バネ材242が設けられている。
特に、本例では、現像組立体102の現像容器120の底部に補強リブ200が形成されているが、装置筐体21の組立体受部Uには給電用のトーションばね240が設けられているため、本例では、2本目と3本目のレールリブ202,203間には連結リブ205は備えていない。このため、装置筐体21の組立体受部Uに現像組立体102を挿入して装着するに際し、
図28に示すように、給電用のトーションばね240がレールリブ202,203間の凹溝210内に沿って移動するようになっており、組立体受部Uの給電用のトーションばね240が現像組立体102の挿入動作に伴って外れる事態は回避されるようになっている。
【0028】
−プロセスカートリッジの着脱操作−
今、実施の形態1と同様に、装置筐体21の組立体受部Uにプロセスカートリッジ100が装着されている状況から、例えばプロセスカートリッジ100の感光体組立体101を引き抜く場合を想定し、その動作過程について説明する。
この場合、実施の形態1と同様に、先ず、図示外のリトラクト機構(実施の形態1と略同様の構成)によるリトラクト操作を行い、感光体組立体101に対して現像組立体102をリトラクトさせ、この状態で、装置筐体21の組立体受部Uから感光体組立体101を引き抜くようにすれば、実施の形態1と同様に、隙間形成機構160が働いて感光体組立体101を引き抜くことが可能である。
本例では、現像組立体102は、図示外のリトラクト機構により、長手方向の手前側が感光体組立体101からリトラクトされるが、長手方向の奥側はリトラクト機構によってリトラクトされないことから、現像組立体102は、リトラクト機構によりリトラクトされるときに長手方向の奥側がねじれ変形した状態に至る。
この場合、現像組立体102の現像容器120にねじれ変形に伴う応力歪みが作用することから、現像容器120が十分なねじれ剛性を有していないと、現像組立体102の寿命を十分に確保することも難しい可能性がある。
本実施の形態では、現像組立体102の現像容器120はその底部に補強リブ200を有しているため、現像容器120の長手方向に対するねじれ変形はレールリブ201〜204によって抑えられ、また、現像容器120にかかる応力は連結リブ205によって分散し、特に、本例のような交差部208を有するクロス状の傾斜リブ206,207から連結リブ205にあっては応力の分散が更に促進することから、応力集中がより少なく抑えられる。
また、本例では、現像組立体102は現像容器120の底部に補強リブ200を備えているが、給電部に対応する箇所には補強リブ200のうち連結リブ205を設けない態様にしているため、現像組立体102の装着に際し、補強リブ200の構成が邪魔になる懸念はない。
【0029】
◎変形の形態
本実施の形態では、現像組立体102の現像容器120の底部に所定パターンの補強リブ200が設けられているが、これに限られるものではなく、例えば
図29,
図30に示すような態様の補強リブ200を設けるようにしてもよい。
変形の形態1に係る補強リブ200は、例えば
図29に示すように、現像容器120の長手方向に延びる断面突状の複数本(本例では4本)の第1リブとしてのレールリブ201〜204と、1本目と2本目のレールリブ201,202間及び3本目と4本目のレールリブ203,204間を連結する第2リブとしての連結リブ205とを備え、ねじれ剛性をそれほど必要としない要請に対しては、連結リブ205として、予め決められた方向に傾斜する傾斜リブ206のみを用いるようにしてもよい。
また、変形の形態2に係る補強リブ200は、複数のレールリブ201〜204と、レールリブ201,202又は203,204間を連結する連結リブ205として、クロス状に傾斜する傾斜リブ211,212を直線状の交差部213を介して連結するようにしたものでもよい。
尚、本実施の形態では、現像組立体102の現像容器120の底部に補強リブ200を設けたものが示されているが、これに限られるものではなく、現像容器120の底部に加え、あるいは、底部とは別の他の面に補強リブ200を設けるようにしても差し支えない。
【実施例】
【0030】
◎実施例1
実施例1は、実施の形態2に係るプロセスカートリッジの現像組立体の現像容器の底部に補強リブ200として、4本のレールリブ201〜204と、交差部208を有するクロス状の傾斜リブ206,207からなる連結リブ205とを有する態様である。
◎実施例2
実施例2は、実施例1に係る現像組立体補強リブに代えて、変形の形態2の補強リブ200を有する態様である。
◎比較例1
実施例1の現像組立体の現像容器から補強リブを取り除いた態様である。
ここで、実施例1,実施例2及び比較例1の現像容器はいずれもABS樹脂製であり、現像組立体の長手方向の手前側をリトラクト機構によりリトラクトし、長手方向の奥側を付勢バネにて15Nで付勢する条件で、実施例1,実施例2及び比較例1の応力、変形量を測定したところ、
図31に示す結果が得られた。
図31によれば、実施例1,2は、比較例1に比べて、最大応力、最大変形量が共に少なく抑えられていることが理解される。