(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記測定手段は、前記ベルトの移動方向において、前記転写ロールよりも上流側で前記ベルトの位置を検知する第1のセンサと、前記転写ロールよりも下流側で前記ベルトの位置を検知する第2のセンサとを有し、前記第1のセンサにより検知された位置と前記第2のセンサにより検知された位置との差分により、前記ベルトの移動方向と前記基準方向とのなす角を測定する
ことを特徴とする請求項3に記載の搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ベルトの斜行を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る搬送装置は、無端のベルトを回転駆動する駆動ロールと、トナー像を保持する像保持体に向かって前記ベルトを当該ベルトの内側から押し付けて、前記トナー像を前記ベルトに転写する転写ロールと、前記ベルトを張架する第1張架ロールと、前記駆動ロールと前記第1張架ロールの間で、且つ、前記転写ロールが前記ベルトに接する側で前記ベルトを張架する第2張架ロールと、前記第2張架ロールの回転軸の方向を調節する調節機構とを有し、前記調節機構は、前記第2張架ロー
ルの回転軸の
一端側を支持し、前記第2張架ロールが前記ベルトを張架する領域における当該ベルトの法線方向に移動する
第1支持部材と、
前記第2張架ロールの回転軸の他端側を支持し、前記第2張架ロールが前記ベルトを張架する領域における当該ベルトの法線方向に移動する第2支持部材と、前記第2張架ロールの
前記一端側から
前記他端側に向かって伸びており、前記
第1支持部材
及び前記第2支持部材に突き当たって
前記第1支持部材及び前記第2支持部材の位置を決める位置決め部材と、
前記位置決め部材の前記一端側と前記他端側の少なくとも一方の端部の位置を前記法線方向に移動させ、前記位置決め部材
において前記法線方向に移動する端部の位置を調節する調節部材とを有する。
【0007】
請求項
2に係る搬送装置は、無端のベルトを回転駆動する駆動ロールと、トナー像を保持する像保持体に向かって前記ベルトを当該ベルトの内側から押し付けて、前記トナー像を前記ベルトに転写する転写ロールと、前記ベルトを張架する第1張架ロールと、前記駆動ロールと前記第1張架ロールの間で、且つ、前記転写ロールが前記ベルトに接する側で前記ベルトを張架する第2張架ロールと、前記第2張架ロールの回転軸の方向を調節する調節機構とを有し、前記調節機構は、前記第2張架ロー
ルの回転軸の
一端側を支持し、前記像保持体側からみて前記転写ロールが回転する方向に移動する
第1支持部材と、
前記第2張架ロールの回転軸の他端側を支持し、前記像保持体側からみて前記転写ロールが回転する方向に移動する第2支持部材と、前記第2張架ロールの
前記一端側から
前記他端側に向かって伸びており、前記
第1支持部材
及び前記第2支持部材に突き当たって
前記第1支持部材及び前記第2支持部材の位置を決める位置決め部材と、
前記位置決め部材の前記一端側と前記他端側の少なくとも一方の端部の位置を前記像保持体側からみて前記転写ロールが回転する方向に移動させ、前記位置決め部材
において前記転写ロールが回転する方向に移動する端部の位置を調節する調節部材とを有する。
【0008】
請求項
2に係る搬送装置は、請求項
1に記載の構成において、前記調節部材は、前記位置決め部材の一方の端部の位置を、前記法線方向に移動させることを特徴とする。
【0009】
請求項
4に係る搬送装置は、請求項3に記載の構成において、前記調節部材は、前記位置決め部材の一方の端部の位置を、前記像保持体側からみて前記転写ロールが回転する方向に移動させることを特徴とする。
【0010】
請求項
3に係る搬送装置は、請求項1
又は請求項2に記載の構成において、前記調節機構は、前記ベルトの移動方向と予め定められた基準方向とのなす角を測定する測定手段と、前記測定手段により測定された角度に応じて、前記調節部材を駆動する駆動機構とを有する。
【0011】
請求項
4に係る搬送装置は、請求項
3に記載の構成において、前記測定手段は、前記ベルトの移動方向において、前記転写ロールよりも上流側で前記ベルトの位置を検知する第1のセンサと、前記転写ロールよりも下流側で前記ベルトの位置を検知する第2のセンサとを有し、前記第1のセンサにより検知された位置と前記第2のセンサにより検知された位置との差分により、前記ベルトの移動方向と前記基準方向とのなす角を測定することを特徴とする。
【0012】
請求項
5に係る搬送装置は、請求項1
又は請求項2に記載の構成において、前記ベルトに転写されたトナー像の、前記転写ロールの回転軸に沿った方向における濃度の変化に応じて、前記調節部材を駆動する駆動機構を有する。
【0013】
請求項
6に係る搬送装置は、請求項1ないし
5のいずれか1項に記載の構成において、前記転写ロールは、前記ベルトの移動方向において、前記駆動ロールよりも下流側、且つ、前記第1張架ロールよりも上流側で前記トナー像を転写し、前記第2張架ロールは、前記ベルトの移動方向において、前記駆動ロールよりも下流側、且つ、前記転写ロールよりも上流側で前記ベルトを張架することを特徴とする。
【0014】
請求項
7に係る画像形成装置は、像保持体にトナー像を形成する像形成部と、請求項1ないし請求項
6のいずれか1項に記載の搬送装置とを有する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1および
9に係る発明によれば、ベルトの斜行が防止され
、第2張架ロールの回転軸の片側の、ベルトの法線方向における位置が調節される。
請求項3に係る発明によれば、第2張架ロールの回転軸の片側の、像保持体側からみて転写ロールが回転する方向における位置が調節される。
請求項
2に係る発明によれば、ベルトの法線方向における支持部材の位置が位置決め部材により決まる。
請求項
4に係る発明によれば、転写ロールが回転する方向における支持部材の位置が位置決め部材により決まる。
請求項
5に係る発明によれば、ベルトの移動方向と基準方向とのなす角に応じて支持部材の位置が決まる。
請求項
6に係る発明によれば、転写ロールの上流側から下流側までについて、ベルトの移動方向と基準方向とのなす角が測定される。
請求項
7に係る発明によれば、トナー像の濃度の変化に応じて支持部材の位置が決まる。
請求項
8に係る発明によれば、転写ロールに接している領域について、ベルトの斜行が防止される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の内部構成の概略を示す図である。画像形成装置100は、電子写真方式により記録媒体上に画像を形成する。画像形成装置100は、制御部1と、画像処理部2と、給紙部3と、画像形成部4とを有する。
【0018】
制御部1は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを有する。制御部1は、CPUがROMに記憶されているプログラムをRAMに読み込んで実行することにより、画像形成装置100の各部を制御する。画像処理部2は、入力された画像データに各種の画像処理を施して出力する。給紙部3は、複数の記録媒体を収容する。給紙部3は、収容する記録媒体を一枚ずつ送り出す。給紙部3から送り出された記録媒体は、画像形成部4へと搬送される。
【0019】
画像形成部4は、感光体ドラム5(5Y、5M、5C、および5K)と、帯電装置6(6Y、6M、6C、および6K)と、露光装置7(7Y、7M、7C、および7K)と、現像装置8(8Y、8M、8C、および8K)と、転写装置9(搬送装置の一例)と、定着装置10とを有する。
【0020】
感光体ドラム5の表面には、感光層が形成される。感光体ドラム5は、図示せぬ駆動部により駆動され、軸を中心に回転する。帯電装置6Y、6M、6C、および6Kは、それぞれ、感光体ドラム5Y、5M、5C、および5Kの表面を予め定められた電位に帯電させる。露光装置7Y、7M、7C、および7Kは、それぞれ、画像処理部2から出力された画像データに基づいて、帯電された感光体ドラム5Y、5M、5C、および5Kの表面を露光し、静電潜像を形成する。現像装置8Y、8M、8C、および8Kは、それぞれ、感光体ドラム5Y、5M、5C、および5K上に形成された静電潜像をイエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックのトナーを用いて現像し、トナー像を形成する。感光体ドラム5は、トナー像を保持する像保持体の一例である。帯電装置6、露光装置7、および現像装置8は、像形成部の一例である。
【0021】
転写装置9は、感光体ドラム5上に形成されたトナー像を給紙部3から搬送された記録媒体に転写する。転写装置9の詳細については後述する。定着装置10は、定着ロール101と加圧ロール102とを有する。定着装置10は、定着ロール101および加圧ロール102により記録媒体上のトナー像に熱および圧力を加えることにより、トナー像を記録媒体に定着させる。
【0022】
以下では、説明のため3次元直交座標系を定義する。この座標系において、x軸は感光体ドラム5の軸方向(
図1の紙面に垂直な方向)、y軸は感光体ドラム5Yから感光体ドラム5Kに向かう方向、z軸は画像形成装置100の高さ方向を表す。なお、以下では、y軸正方向を「基準方向」と表現する。
【0023】
図2は、転写装置9の内部構成の概略を示す図である。転写装置9は、中間転写ベルト90と、ドライブロール91と、一次転写ロール92(92Y、92M、92C、および92K)と、支持ロール93と、ステアリングロール94と、張架ロール95Aおよび95Bと、バックアップロール96と、二次転写ロール97とを有する。転写装置9に含まれる各種ロールの回転軸は、転写装置9のフレーム9Aおよび9B(
図3参照)により支持される。
【0024】
中間転写ベルト90は、無端のベルト状の部材である。ドライブロール91は、中間転写ベルト90を回転駆動する部材である。ドライブロール91は、中間転写ベルト90を、図中の矢印A1の方向に回転駆動する。一次転写ロール92Y、92M、92C、92Kは、それぞれ、感光体ドラム5Y、5M、5C、および5K上に形成されたトナー像を中間転写ベルト90に転写(一次転写)する部材である。一次転写ロール92Y、92M、92C、92Kには、図示せぬ電源から転写バイアスを印加されており、感光体ドラム5Y、5M、5C、および5Kとの間には電位差が生じている。一次転写ロール92Y、92M、92C、92Kは、電位差が生じた状態で、感光体ドラム5Y、5M、5C、および5Kに向かって、中間転写ベルト90を当該ベルトの内側から押し付けることにより、トナー像を中間転写ベルト90に転写する。
図2において、一次転写ロール92Y、92M、92C、92Kは、中間転写ベルト90が移動する方向(以下、「移動方向」という)において、ドライブロール91よりも下流側、且つ、ステアリングロール94よりも上流側でトナー像を転写する。中間転写ベルト90に転写されたトナー像は、二次転写ロール97へと搬送される。支持ロール93は、中間転写ベルト90を支持する部材である。支持ロール93は、一次転写ロール92Cと一次転写ロール92Kとの間で、中間転写ベルト90を支持する。
【0025】
ステアリングロール94(第1張架ロールの一例)は、中間転写ベルト90を張架し、中間転写ベルト90の位置を調節する部材である。ステアリングロール94は、図示せぬ制御機構により回転軸の片側が変位するように制御され、中間転写ベルト90のx軸方向における位置を調節する。張架ロール95A(第2張架ロールの一例)および張架ロール95Bは、ドライブロール91とステアリングロール94との間で、且つ、一次転写ロール92が中間転写ベルト90に接している側で中間転写ベルト90を張架する部材である。
図2において、張架ロール95Aは、中間転写ベルト90の移動方向において、ドライブロール91よりも下流側、且つ、一次転写ロール92Yよりも上流側で中間転写ベルト90を張架している。張架ロール95Bは、中間転写ベルト90の移動方向において、一次転写ロール92Kよりも下流側、且つ、ステアリングロール94よりも上流側で中間転写ベルト90を張架している。
【0026】
バックアップロール96は、中間転写ベルト90を張架する部材である。バックアップロール96は、中間転写ベルト90を挟んで二次転写ロール97に対向する。二次転写ロール97は、中間転写ベルト90に転写されたトナー像を、給紙部3から搬送された記録媒体に転写(二次転写)する部材である。二次転写ロール97には、図示せぬ電源から転写バイアスを印加されており、バックアップロール96との間には電位差が生じている。二次転写ロール97は、電位差が生じた状態で、中間転写ベルト90に向かって記録媒体を押し付けることにより、トナー像を記録媒体に転写する。
【0027】
図3は、転写装置9を感光体ドラム5側からみた概観図である。転写装置9に含まれる各種ロールの回転軸(図示省略)が基準軸に対して整列していない場合、中間転写ベルト90は斜行する場合がある。ここでいう「斜行」とは、感光体ドラム5側からみて、中間転写ベルト90の移動方向と基準方向(y軸正方向)とのなす角が予め定められた角度からずれる(なす角と予め定められた角度との差が、予め定められた閾値を超える)ことをいう。なお、中間転写ベルト90の移動方向は中間転写ベルト90上の位置によって異なる場合もあるが、ここでは、中間転写ベルト90上に基準方向からずれた方向に移動する点がある場合に、中間転写ベルト90が「斜行」していると表現する。
図3では、中間転写ベルト90上の点a0が基準方向からずれた矢印A1の方向に移動しており、中間転写ベルト90は斜行している。中間転写ベルト90が斜行すると、ドライブロール91の片側において、中間転写ベルト90とドライブロール91との間に隙間Sが生じる。隙間Sが生じると、中間転写ベルト90の移動方向にかかる張力(以下、単に「中間転写ベルト90にかかる張力」という)は、中間転写ベルト90の幅方向で不均一になる。例えば、
図3の例では、中間転写ベルト90にかかる張力が不均一であることにより、中間転写ベルト90の表面の領域D1に皺が発生する。
【0028】
図4は、一次転写ロール92Yと感光体ドラム5Yとの位置関係を示す図である。
図4は、一次転写ロール92Yと感光体ドラム5Yとについて、x軸方向の異なる位置で切った場合の模式図を示している。なお、一次転写ロール92M、92C、および92Kが、感光体ドラム5M、5C、および5Kに向かって中間転写ベルト90を押し付けた状態についても、
図4と同様である。
図4(a)は、中間転写ベルト90の移動方向にかかる張力F1が弱い部位(
図3のA−A線に沿って切った場合)における模式図を示し、
図4(b)は、中間転写ベルト90の移動方向にかかる張力F1が強い部位(
図3のB−B線に沿って切った場合)における模式図を示す。
【0029】
図4(a)に示す通り、中間転写ベルト90にかかる張力F1が弱い部位では、一次転写ロール92Yが中間転写ベルト90を感光体ドラム5Yに向かって押し付ける力が弱められにくいため、感光体ドラム5Yと中間転写ベルト90とが接触する圧力F2が強くなる。そのため、一次転写ロール92Yと感光体ドラム5Yとの間で電流が流れやすくなり、感光体ドラム5Yの表面から中間転写ベルト90の表面に移動したトナー粒子が再び感光体ドラム5Yの表面に移動しやすくなる。その結果、中間転写ベルト90にかかる張力F1が弱い部位では、中間転写ベルト90に一次転写されるトナー像の濃度が薄くなる。
【0030】
図4(b)に示す通り、中間転写ベルト90にかかる張力F1が強い部位では、一次転写ロール92Yが中間転写ベルト90を感光体ドラム5Yに向かって押し付ける力が弱められるため、感光体ドラム5Yと中間転写ベルト90とが接触する圧力F2が弱くなる。そのため、一次転写ロール92Yと感光体ドラム5Yとの間で電流が流れにくくなり、感光体ドラム5Yの表面から中間転写ベルト90の表面に移動したトナー粒子が再び感光体ドラム5Yの表面に移動しにくくなる。その結果、中間転写ベルト90にかかる張力F1が強い部位では、中間転写ベルト90に一次転写されるトナー像の濃度が濃くなる。
【0031】
このように、中間転写ベルト90が斜行し、中間転写ベルト90にかかる張力F1が中間転写ベルト90の幅方向で不均一になると、中間転写ベルト90に一次転写されるトナー像の濃度には、x軸方向にムラ(濃度ムラ)が生じる。本発明の転写装置9は、張架ロール95Aの回転軸の方向を変化させることにより、中間転写ベルト90の斜行を防止する。
【0032】
図5は、フレーム9A側からフレーム9B側をみたときの転写装置9の内部構成を示す図である。なお、フレーム9B側からフレーム9A側をみたときの転写装置9の内部構成についても、
図5と同様(
図5を左右反転させたもの)である。転写装置9は、感光体ドラム5の磨耗を防止するため、画像の形成が行われるときに中間転写ベルト90を感光体ドラム5に接触させ、画像の形成が行われないときに中間転写ベルト90を感光体ドラム5から離間させる。転写装置9は、中間転写ベルト90が感光体ドラム5に押し付けられた状態と、押し付けられていない状態とを遷移するように、一次転写ロール92を移動させる。転写装置9は、一次転写ロール92を移動させるための移動機構として、アーム部材901(901Y、901M、901C、および901K)と、スライド機構902とを有する。アーム部材901Y、901M、および901Cは、一次転写ロール92Y、92M、および92Cを各一次転写ロール92の回転軸の片側で支持する部材であって、点C1、点C2、点C3を支点に矢印A2の方向に回転する。アーム部材901Kは、一次転写ロール92Kを当該一次転写ロール92Kの回転軸の片側で支持する部材であって、点C4を支点に矢印A3の方向に回転する。
【0033】
スライド機構902は、アーム部材901を回転させるための機構である。スライド機構902は、ドライブロール91側からステアリングロール94側に向かって伸びた2つの部材(スライド部材902Aおよびスライド部材902B)を有する。スライド部材902Aは、ドライブロール91側の部材であり、アーム部材901Yおよび901Mの一端(一次転写ロール92Yおよび一次転写ロール92Mを支持していない側の端部)が嵌まる溝(図示省略)を有する。スライド部材902Aは、また、ステアリングロール94側の端部において、アーム部材901Cの一端(一次転写ロール92Cを支持していない側の端部)と接触する。スライド部材902Aは、図示せぬ駆動機構により駆動されて矢印A5の方向にスライドし、アーム部材901Y、901M、および901Cを矢印A2の方向に回転させる。スライド部材902Bは、ステアリングロール94側の部材であり、アーム部材901Cの片側が嵌まる溝d1と、アーム部材901Kの一端(一次転写ロール92Kを支持していない側の端部)が嵌まる溝d2とを有する。スライド部材902Bは、図示せぬ駆動機構によりスライド部材902Aとは別に駆動されて、矢印A5の方向にスライドし、アーム部材901Kを矢印A3の方向に回転させる。
【0034】
図6は、張架ロール95Aの回転軸の方向を変化させる機構を示す図である。
図6(a)は、
図5の破線L1で示した部位を拡大した図である。
図6(b)は、
図6(a)に示した部位を転写装置9の外側(すなわち
図6(a)とは反対側)からみた図である。この例で、転写装置9は、張架ロール95Aのフレーム9B側の端部の位置を調節することにより、張架ロール95Aの回転軸の方向を変化させる。転写装置9は、張架ロール95Aの回転軸a1の方向を変化させ、中間転写ベルト90の移動方向と基準方向とのなす角を調節するための調節機構を有する。調節機構には、アーム部材903(支持部材の一例)と、位置決め部材904と、調節部材905とが含まれる。
【0035】
アーム部材903は、張架ロール95Aを当該張架ロール95Aの回転軸a1の片側で支持し、点C5を支点に矢印A4の方向に回転する。アーム部材903が回転する方向は、張架ロール95Aが中間転写ベルト90を張架する領域における当該中間転写ベルト90の法線方向の成分(
図6のz軸方向の成分)と、感光体ドラム5側からみて一次転写ロール92が回転する方向の成分(
図6のy軸方向の成分)とを有する。アーム部材903が回転すると、張架ロール95Aは矢印A6の方向に移動する。スライド部材902Aは、アーム部材903の一端(張架ロール95Aを支持していない側の端部)と接触する突起s1を有する。スライド部材902Aが矢印A5の方向にスライドすることにより、アーム部材903は矢印A4の方向に回転する。スライド部材902Aは、アーム部材901Y、901M、および901Cと同期してアーム部材903を回転させる。
【0036】
位置決め部材904は、張架ロール95Aの一方の端部側から他方の端部側(すなわち、フレーム9Aからフレーム9B)に向かって伸び、アーム部材903の位置を決める部材である。位置決め部材904は、アーム部材903が回転したときに当該アーム部材903に突き当たり、アーム部材903の位置を決める。位置決め部材904のフレーム9B側の端部は調節部材905(
図6(b))により支持され、フレーム9A側の端部(図示省略)は移動しないようにフレーム9Aにより支持される。
【0037】
調節部材905は、位置決め部材904のフレーム9B側の端部の位置を調節する部材である。なお、調節部材905は、フレーム9A側には設けられていない。調節部材905は、点C6および点C7において、フレーム9Bに対してネジ留めされている。調節部材905は、点C6を支点に回転することにより、位置決め部材904の端部の位置を矢印A7の方向に移動させ、位置決め部材904の端部の位置を調節する。位置決め部材904のフレーム9B側の端部が移動する方向は、z軸方向の成分とy軸方向の成分とを有する。
【0038】
調節部材905の回転は、例えば、中間転写ベルト90の斜行の調節を行う作業者が、目盛m1を確認しながら手動で行う。目盛m1は、調節部材905の回転を作業者に把握させるために、フレーム9Bに設けられている。上述の通り、位置決め部材904のフレーム9A側の端部(図示省略)はフレーム9Aにより移動しないように支持されている。そのため、調節部材905が回されて位置決め部材904のフレーム9B側の端部が移動すると、位置決め部材904の軸の方向が変化する。位置決め部材904の軸の方向が変化すると、フレーム9A側とフレーム9B側とでyz平面上の異なる位置で、位置決め部材904がアーム部材903に突き当たり、フレーム9A側の図示せぬアーム部材903が回転する量とフレーム9B側のアーム部材903が回転する量とに差が生じる。この回転量の差により、フレーム9A側のアーム部材903が張架ロール95Aを矢印A6の方向に移動させる量と、フレーム9B側のアーム部材903が張架ロール95Aを矢印A6の方向に移動させる量とに差が生じ、張架ロール95Aの回転軸a1の方向が変化する。すなわち、張架ロール95Aの回転軸a1のフレーム9A側の端部とフレーム9B側の端部との相対的な位置が変化する。これにより、張架ロール95Aが中間転写ベルト90を搬送する方向が変化し、中間転写ベルト90の斜行が防止される。
【0039】
作業者は、例えば、中間転写ベルト90の移動方向と基準方向とのなす角、中間転写ベルト90にかかる張力の均一性、または中間転写ベルト90のx軸方向に生じる濃度ムラの度合いなどを図示せぬセンサにより測定し、測定結果に応じた量だけ調節部材905を回転させる。具体的な例として、中間転写ベルト90が9B側に斜行していることが測定された場合、作業者は、フレーム9B側のアーム部材903が張架ロール95Aの回転軸a1を支持する位置が、フレーム9A側のアーム部材903が張架ロール95Aの回転軸a1を支持する位置よりも高くなるように、調節部材905を回転させる。別の例で、中間転写ベルト90が9A側に斜行していることが測定された場合、作業者は、フレーム9B側のアーム部材903が張架ロール95Aの回転軸a1を支持する位置が、フレーム9A側のアーム部材903が張架ロール95Aの回転軸a1を支持する位置よりも低くなるように、調節部材905を回転させる。
【0040】
(変形例)
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下で説明する変形例のうち、2つ以上のものが組み合わされて用いられてもよい。
【0041】
(1)調節部材905の回転は、手動で行われる場合に限らない。転写装置9の調節機構には、調節部材905を回転させるための駆動機構が設けられてもよい。この場合、駆動機構には、例えば、調節部材905に接するカムと、当該カムを介して調節部材905に動力を与えるモーターまたはアクチュエータとが含まれる。また、この場合、転写装置9の調節機構は、中間転写ベルト90の移動方向と基準方向とのなす角を測定する測定手段を有し、駆動機構は、当該測定手段により測定された角度に応じて調節部材905を回転させてもよい。別の例で、中間転写ベルト90にかかる張力の均一性、または中間転写ベルト90のx軸方向に生じる濃度ムラの度合いなどがセンサにより測定され、測定結果に応じた量だけ駆動機構が調節部材905を回転させてもよい。なお、中間転写ベルト90の移動方向と基準方向とのなす角、中間転写ベルト90にかかる張力の均一性、および中間転写ベルト90のx軸方向に生じる濃度ムラの度合いなどの異なる物理量を測定する複数のセンサの測定結果に応じて、駆動機構が調節部材905を回転させてもよい。
【0042】
図7は、測定手段の概略を示す図である。
図7において、測定手段は、センサR1(第1のセンサの一例)と、センサR2(第2のセンサの一例)とを有する。
図7(a)は、転写装置9を感光体ドラム5側からみたときのセンサの配置を示している。
図7(b)は、転写装置9を中間転写ベルト90の幅方向の一方側からみたときのセンサの配置を示している。センサR1およびR2は、中間転写ベルト90の幅方向のフレーム9A側の端部の位置を検知するエッジ検知センサである。センサR1(第1のセンサの一例)は、中間転写ベルト90の移動方向において、一次転写ロール95よりも上流側で中間転写ベルト90の端部の位置を検知する。センサR2(第2のセンサの一例)は、中間転写ベルト90の移動方向において、一次転写ロール95よりも下流側で中間転写ベルト90の端部の位置を検知する。なお、センサR1およびセンサR2は、中間転写ベルト90の幅方向のフレーム9B側の端部の位置を検知してもよい。
図7において、測定手段は、センサR1により検知された中間転写ベルト90の端部の位置と、センサR2により検知された中間転写ベルト90の端部の位置との差分により、中間転写ベルト90の移動方向と基準方向とのなす角度を測定する。駆動機構906は、測定手段により測定された角度に応じて調節部材905を回転させる。
図7において、転写装置9は、張架ロール95Aの図示せぬ回転軸a1のフレーム9B側を矢印A8の方向に傾けることにより、中間転写ベルト90の斜行を防止している。二点鎖線で示された中間転写ベルト90は、斜行が防止された中間転写ベルト90を示す。
【0043】
(2)転写装置9は、張架ロール95Aのフレーム9A側の端部の位置を調節することにより、張架ロール95Aの回転軸の方向を変化させてもよい。この場合、調節部材905はフレーム9A側に設けられ、位置決め部材904のフレーム9A側の端部は調節部材905により支持され、フレーム9B側の端部は移動しないようにフレーム9Bにより支持される。
【0044】
(3)転写装置9が、張架ロール95Aの回転軸の方向を変化させる機構は、上述の機構に限らない。例えば、転写装置9は、張架ロール95Aの両端の位置を調節することにより、張架ロール95Aの回転軸の方向を変化させてもよい。この場合、調節部材905はフレーム9A側とフレーム9B側とにそれぞれ設けられ、位置決め部材904の両端が各調節部材905により支持されてもよい。
【0045】
(4)第2張架ロールは、張架ロール95Aに限らない。張架ロール95Bが第2張架ロールであってもよい。この場合、上述の調節機構と同様の機構であって、張架ロール95Bの回転軸の方向を変化させるための機構が、中間転写ベルト90の移動方向における一次転写ロール92Kよりも下流側に設けられる。また、転写装置9は、張架ロール95Aの回転軸の方向と張架ロール95Bの回転軸の方向とをそれぞれ変化させることにより、中間転写ベルト90の斜行を防止してもよい。この場合、転写装置9は、張架ロール95Aの回転軸の方向を変化させるための調節機構と、張架ロール95Bの回転軸の方向を変化させるための調節機構とを有する。
【0046】
(5)調節機構は、上述の機構に限らない。調節機構は、第2張架ロールの回転軸の方向を変化させて中間転写ベルト90の斜行を防止する機構であれば、いかなる機構であってもよい。例えば、調節部材905は、フレーム9B上をy軸方向またはz軸方向にスライドすることにより、位置決め部材904の端部の位置を調節してもよい。また、アーム部材903は、回転しなくてもよい。アーム部材903は、y軸方向またはz軸方向に移動する部材であってもよい。
【0047】
(6)基準方向は、y軸正方向に限らない。基準方向は、xy平面上の方向であればいかなる方向であってもよい。
【0048】
(7)本発明が適用される画像形成装置は、カラー印刷を行う装置に限らない。白黒印刷のみを行う画像形成装置に、本発明が適用されてもよい。
【0049】
(8)転写装置9の内部構成は、上述の構成に限らない。例えば、中間転写ベルト90の移動方向において、ドライブロール91が一次転写ロール92よりも下流側に設けられ、ステアリングロール94が一次転写ロール92よりも上流側に設けられていてもよい。別の例で、第1張架ロールは、ステアリングロール94に限らない。第1張架ロールは、中間転写ベルト90を張架するロールであれば、いかなるロールであってもよい。
【0050】
(9)画像形成装置100の各部の構成は、上述の構成に限らない。例えば、上述の定着装置10に替えて、記録媒体上のトナー像にレーザ光を照射することによりトナー像を記録媒体に定着させる定着装置が用いられてもよい。