特許第6303746号(P6303746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6303746
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】歩行目標の設定方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20180326BHJP
   A61B 5/22 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   A61B5/10 310G
   A61B5/22 B
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-81720(P2014-81720)
(22)【出願日】2014年4月11日
(65)【公開番号】特開2015-202140(P2015-202140A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2017年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000224
【氏名又は名称】特許業務法人田治米国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 元喜
(72)【発明者】
【氏名】高柳 直人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 めぐみ
【審査官】 山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−295104(JP,A)
【文献】 特開2003−204953(JP,A)
【文献】 特開2008−229266(JP,A)
【文献】 特開2013−103010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/11
A61B 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行に影響を及ぼすパラメータである歩行パラメータであって、歩行跡から計測し得る歩行因子を含むものと、歩容のタイプを示す歩行特徴の評価値(以下、歩行特徴スコアという)との関係式(以下、歩行パラメータ・歩行特徴スコア関係式という)を取得すると共に、前記歩行パラメータと日常生活で計測される活動量との関係式(以下、歩行パラメータ・活動量関係式という)を取得し、
任意の被験者の歩行因子を含む歩行パラメータを取得し、
歩行パラメータ・歩行特徴スコア関係式に基づき、該被験者の歩行パラメータから歩行特徴スコアを算出し、算出された歩行特徴スコアに応じて該被験者が目標とすべき歩行特徴(以下、歩行特徴目標という)を設定すると共に、
歩行パラメータ・活動量関係式に基づき、該被験者の歩行パラメータから活動量を算出し、算出された活動量に応じて該被験者が目標とすべき活動量(以下、活動量目標という)を設定する
歩行目標の設定方法。
【請求項2】
歩行特徴として、「大股−小股」の評価軸、「一直線−二直線」の評価軸、「ハイテンポ−ローテンポ」の評価軸、「左向き−右向き」の評価軸、「内股−がに股」の評価軸、「左脚負担−右脚負担」の評価軸から選ばれる1又は2以上の評価軸を使用する請求項1記載の歩行目標の設定方法。
【請求項3】
歩行パラメータに、歩行因子として、歩幅、歩行速度、両脚支持期割合、歩隔、つま先角、歩行角度及び立脚期割合のいずれかが含まれる請求項1又は2記載の歩行目標の設定方法。
【請求項4】
歩行パラメータに、年齢、BMI又は性別のいずれかが含まれる請求項3記載の歩行目標の設定方法。
【請求項5】
歩行パラメータに、歩行因子である歩幅、歩行速度、両脚支持期割合、歩隔、つま先角、歩行角度及び立脚期割合が含まれるとともに、さらに、年齢、BMI及び性別が含まれる請求項1又は2記載の歩行目標の設定方法。
【請求項6】
歩行跡から計測し得る歩行因子を計測する歩行因子計測手段及び演算装置を備えた歩行目標の設定システムであって、
演算装置が、
歩行パラメータ・歩行特徴スコア関係式を記憶する機能、
歩行パラメータ・活動量関係式を記憶する機能、
歩行パラメータ・歩行特徴スコア関係式に基づき、任意の被験者の歩行因子を含む歩行パラメータから歩行特徴スコアを算出する機能、
算出された歩行特徴スコアに応じて該被験者の歩行特徴目標を設定可能とする機能、
歩行パラメータ・活動量関係式に基づき、該被験者の歩行因子を含む歩行パラメータから活動量を算出する機能、
算出された活動量に応じて該被験者の活動量目標を設定可能とする機能、
設定された歩行特徴目標及び活動量目標を出力する機能、
を有する歩行目標の設定システム。
【請求項7】
携帯型の加速度センサ、演算装置、及び演算装置からの出力内容を表示するディスプレイを備えた歩行目標支援システムであって、
演算装置が、
請求項1記載の方法で設定された歩行特徴目標と活動量目標を記憶する機能、
加速度センサで計測された被験者の歩行の加速度から所定期間の歩行全体の活動量(以下、総活動量という)を算出する機能、
加速度センサで計測された加速度と歩行特徴スコアとの関係式である加速度・歩行特徴スコア関係式を記憶する機能、
加速度・歩行特徴スコア関係式に基づき、加速度センサで計測された被験者の歩行の加速度から歩行特徴スコアを算出する機能、
記憶されている歩行特徴目標に対し、目標を達成した被験者の歩行の活動量(以下、目標達成活動量という)を算出する機能、
歩行特徴目標、活動量目標、目標達成活動量及び総活動量をディスプレイに出力する機能
を有する歩行目標支援システム。
【請求項8】
携帯型の加速度センサ及びディスプレイが、携帯型歩行計に組み込まれている請求項7記載の歩行目標支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日常生活における歩容、歩数等の歩行に関する目標の設定方法及び設定した目標の達成を評価するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
日常の健康管理のために、日々の歩数、歩行距離、消費カロリー等について目標を設定し、それらを携帯可能な歩行計で計測することが行われている。
この目標の設定方法に関し、性別、年齢等に基づいて平均的な目標を選定すること(特許文献1)、過去の歩数実績に応じて今後の目標歩数を設定すること(特許文献2)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−295104号公報
【特許文献2】特開2008−117174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、単に目標歩数を設定し、日常生活で歩数を計測しても、歩容を改善することはできない。
一方、歩容の改善は、健康的な歩行姿勢の維持、転倒リスクの低減などの点から重要である。
【0005】
これに対し、本発明は、日常生活の歩数だけでなく歩容も含めた歩行に関する目標を適切に設定できるようにする方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、(i)歩行跡から計測し得る歩行因子を含む歩行パラメータから典型的な歩容のタイプを示す歩行特徴の評価値(以下、歩行特徴スコアという)を算出できること、(ii)歩行パラメータに基づいて算出される歩行特徴スコアと、日常歩行における活動量には相関があり、したがって、歩行パラメータと日常歩行における活動量にも一定の関係式が成り立つこと、
(iii)任意の被験者について、歩行パラメータから算出される歩行特徴スコアに基づいて、目標とすべき歩行特徴を設定すると共に、歩行パラメータから算出される活動量を、目標とすべき活動量として設定することが、当該被験者の歩容を踏まえた無理のない歩行目標の設定として有用であること、また、(iv)歩行目標の達成度の表示としては、目標とすべき歩行特徴でどれだけ歩行できたかを示すことが有効であることを見出し、本発明を想到した。
【0007】
即ち、本発明は、歩行に影響を及ぼすパラメータである歩行パラメータであって、歩行跡から計測し得る歩行因子を含む歩行パラメータと、歩容のタイプを示す歩行特徴の評価値(以下、歩行特徴スコアという)との関係式(以下、歩行パラメータ・歩行特徴スコア関係式という)を取得すると共に、前記歩行パラメータと日常生活で計測される活動量との関係式(以下、歩行パラメータ・活動量関係式という)を取得し、
一方、任意の被験者の歩行因子を含む歩行パラメータを取得し、
歩行パラメータ・歩行特徴スコア関係式に基づき、該被験者の歩行パラメータから歩行特徴スコアを算出し、算出された歩行特徴スコアに応じて該被験者が目標とすべき歩行特徴(以下、歩行特徴目標という)を設定すると共に、
歩行パラメータ・活動量関係式に基づき、該被験者の歩行パラメータから活動量を算出し、算出された活動量に応じて該被験者が目標とすべき活動量(以下、活動量目標という)を設定する
歩行目標の設定方法を提供する。
【0008】
また、本発明は、歩行跡から計測し得る歩行因子を計測する歩行因子計測手段及び演算装置を備えた歩行目標の設定システムであって、
演算装置が、歩行パラメータ・歩行特徴スコア関係式を記憶する機能、
歩行パラメータ・活動量関係式を記憶する機能、
歩行パラメータ・歩行特徴スコア関係式に基づき、任意の被験者の歩行因子を含む歩行パラメータから歩行特徴スコアを算出する機能、
算出された歩行特徴スコアに応じて被験者の歩行特徴目標を設定可能とする機能、
歩行パラメータ・活動量関係式に基づき、任意の被験者の歩行因子を含む歩行パラメータから活動量を算出する機能、
算出された活動量に応じて被験者の活動量目標を設定可能とする機能、
設定された歩行特徴目標及び活動量目標を出力する機能、
を有する歩行目標の設定システムを提供する。
【0009】
さらに、本発明は、携帯型の加速度センサ、演算装置、及び演算装置からの出力内容を表示するディスプレイを備えた歩行目標支援システムであって、
演算装置が、
上述の方法で設定された歩行特徴目標と活動量目標を記憶する機能、
加速度センサで計測された被験者の歩行の加速度から所定期間の歩行全体の活動量(以下、総活動量という)を算出する機能、
加速度センサで計測された加速度と歩行特徴スコアとの関係式である加速度・歩行特徴スコア関係式を記憶する機能、
加速度・歩行特徴スコア関係式に基づき、加速度センサで計測された被験者の歩行の加速度から歩行特徴スコアを算出する機能、
記憶されている歩行特徴目標に対し、目標を達成した被験者の歩行の活動量(以下、目標達成活動量という)を算出する機能、
歩行特徴目標、活動量目標、目標達成活動量及び総活動量をディスプレイに出力する機能
を有する歩行目標支援システムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の歩行目標の設定方法によれば、歩行による活動量だけでなく、典型的な歩容のタイプである歩行特徴についても目標を設定することができる。また、本発明の歩行目標の設定システムによれば、歩行跡から計測し得る歩行因子を計測する歩行因子計測手段を用いて、歩行特徴目標と活動量目標を設定することができる。
【0011】
さらに、本発明の歩行目標支援システムによれば、ディスプレイに、歩行特徴目標、活動量目標、目標達成活動量及び総活動量が示されるので、被験者が、目標とすべき歩き方でどれだけ歩行したかを容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、歩行特徴目標と活動量目標を設定する一実施態様の工程図である。
図2図2は、シート式圧力センサで検出される歩行時の圧力分布と歩行因子の説明図である。
図3A図3Aは、歩行計のディスプレイにおける歩行特徴の表示例である。
図3B図3Bは、歩行計のディスプレイにおける歩行特徴目標と活動量目標の表示例である。
図4図4は、加速度・歩行特徴スコア関係式の取得方法の説明図である。
図5A図5Aは、歩行計のディスプレイにおける、加速度から算出された歩行特徴と活動量の表示例である。
図5B図5Bは、歩行計のディスプレイにおける、加速度から算出された歩行特徴と活動量の表示例である。
図5C図5Cは、歩行計のディスプレイにおける歩行特徴目標と活動量目標のカウントダウン方式の表示例である。
図5D図5Dは、歩行計のディスプレイにおける、加速度から算出された歩行特徴と活動量のカウントダウン方式の表示例である。
図6図6は、歩行パラメータと活動量との相関を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は、同一又は同等の構成要素を表している。
1.歩行特徴目標の設定と活動量目標の設定の概要
本発明の歩行目標の設定方法では、日常生活の歩行に関し、目標とすべき歩行特徴である歩行特徴目標と、目標とすべき活動量である活動量目標の双方を、歩行パラメータを用いて設定することを特徴としている。ここで、歩行パラメータは、歩行に影響を及ぼすパラメータを意味し、歩行跡から計測し得る歩幅、歩行速度、両脚支持期割合、歩隔、つま先角、歩行角度及び立脚期割合等から選ばれる歩行因子を含み、また、歩行因子以外の年齢、BMI及び性別などから選ばれるパラメータを含み得る。
【0014】
図1は、本発明の方法により歩行特徴目標と活動量目標を設定する一実施態様の工程図である。この方法では、まず、歩行パラメータ・歩行特徴スコア関係式と歩行パラメータ・活動量関係式を取得する。次に、任意の被験者について、歩行パラメータを取得し、歩行パラメータ・歩行特徴スコア関係式に基づいて、その被験者の歩行パラメータから歩行特徴スコアを算出し、目標とすべき歩行特徴を設定する。また、歩行パラメータ・活動量関係式に基づいて、その被験者の歩行パラメータから活動量を算出する。こうして算出された活動量は、その被験者の歩行特徴にみあったものとなることから、この活動量を目標とすべき活動量に設定する。
【0015】
1-1. 歩行パラメータ・歩行特徴スコア関係式の取得
歩行パラメータ・歩行特徴スコア関係式は、歩行跡から計測し得る歩行因子を含む歩行パラメータと、歩容のタイプを示す歩行特徴との関係式であり、歩行特徴スコアとしては、典型的な歩容の指標となるものを使用することが好ましい。また、歩行パラメータには、歩容に及ぼす種々のパラメータが含まれるようにするため、歩行跡から計測し得る歩行因子と、それ以外のパラメータ(例えば、年齢、BMI、性別等)が含まれるようにすることが好ましい。そこで、歩行特徴スコアとしては、例えば、複数の歩行者の種々の歩行パラメータを主成分分析することにより得られる主成分の主成分得点を使用することができる。この場合、歩行パラメータと歩行特徴スコアとの関係式は、次のようにして得ることができる。
【0016】
まず、歩行跡から計測し得る歩行因子としては、歩行跡の所定部分の距離もしくは角度の計測データ、所定区間の歩行に要した時間の計測データ、又はこれらの計測データから算出されるものをあげることができる。より具体的には、シート式圧力センサで計測することのできる歩幅、歩隔、歩行速度、ストライド長、ストライド時間、ケーデンス、つま先角、歩行角度、立脚期割合、遊脚期割合、両脚支持期割合、左右差立脚期割合、左右差歩行角度、左右差つま先角、左右差歩隔、歩行比等をあげることができる。
【0017】
ここで、シート式圧力センサとしては、歩行により歩行面が受ける足圧の分布画像や、足圧の2次元データを出力することのできるものを使用することができ、例えば、アニマ株式会社製シート式下肢加重計シリーズウォークWay、AMTI社製床反発力計等をあげることができる。
【0018】
本発明では歩行因子をモーションキャプチャシステムで計測してもよい。具体的には、複数のビデオカメラを使用する3次元動作解析システム(VICON社製VICON MXシステム、VICON NEXUS)等を使用することができる。この他、足の裏にインクをつけて歩行することで形成された足跡の距離や角度を測定することにより歩行因子を計測してもよい。
【0019】
なお、上述の歩行因子のうち、歩幅は、図2に示すように、左右一方の踵接地から、もう一方の側の踵が再び接地するまでの距離である。軸足になっている足の左右で歩幅の左右を定める。また、歩幅は、身長で除して基準化した値を用いることが好ましい。
【0020】
歩隔は、図2に示すように、左右一方の踵接地から、左右他方の踵接地までの水平方向の距離であり、軸足になっている足の左右で歩隔の左右を定める。
左右差歩隔は、左右一方の足を軸足として他方の足を踏み出したときの歩隔と、軸足が左右逆の場合の歩隔との差であり、左右差歩隔は、身長で除することにより基準化したものを使用することが好ましい。
【0021】
ストライド長は、左右一方の踵接地から、その一方の踵が再び接地するまでの距離であり、ストライド時間は、左右一方の踵接地から、その一方の踵が再び接地するまでの時間である。ストライド長は、身長で除することにより基準化したものを使用することが好ましい。
【0022】
歩行角度は、図2に示すように、左右一方の踵から他方の踵を結んだ直線が進行方向となす角度(°)である。なお、軸足として地面に着いている足の左右で歩行角度の左右を定めるものとする。例えば、軸足を右足として、左足を踏み出して接地した場合、地面についたままの右足の踵と接地したときの左足の踵とを結んだ直線と進行方向とがなす角度を右歩行角度とする。
左右差歩行角度は、左右の歩行角度の差である。
【0023】
ケーデンスは、左右一方の踵接地から左右同じ側の踵が再び接地するまでの時間から算出した1分間当たりの歩数である。
【0024】
つま先角は、図2に示すように、踵とつま先を結ぶ直線が、進行方向となす角度(°)であり、外側がプラスで内側がマイナスである。
左右差つま先角は左右のつま先角の差である。
【0025】
立脚期割合は、立脚期時間の1歩行周期に対する割合であり、立脚期時間は、左右一方の踵接地から、その一方の足が地面から離れるまでの時間である。
左右差立脚期割合は、左右の立脚期割合の差である。
【0026】
遊脚期割合は、遊脚期の1歩行周期に対する割合であり、遊脚期は、左右一方の足が地面から離れてから、その一方の足の踵が接地するまでの時間である。
【0027】
両脚支持期割合は、左右両方の足が地面に接地している両脚支持期時間の1歩行周期に対する割合である。したがって、走行行為ではゼロとなる。両脚支持期割合は、通常の歩行行為では約20%となるが、加齢に応じて長くなる。したがって、歩行年齢を評価する上で重要なパラメータとなる。
【0028】
歩行比は、歩幅(m)をケーデンス(歩数/分)で除した値である。歩行比は歩行の効率を示し、成人の場合0.006に近づき、幼児や高齢者は低い値となる。
【0029】
また、歩行特徴スコアの算出のために、複数の被験者から収集した歩行パラメータを主成分分析するに際しては、予め、歩行パラメータごとにデータを標準化する。
【0030】
次に、標準化した歩行パラメータを主成分分析することにより、複数の主成分を抽出し、それぞれの主成分得点(即ち、歩行特徴スコア)を算出する。ここで、抽出する主成分の数は、当然に1個以上であるが、6個以下とすることが好ましい。6個以下にすることで、抽出したいずれの主成分についても、後述する加速度・歩行特徴スコア関係式において、歩行特徴スコアと加速度データとの説明精度(決定係数)を50%以上にすることができる。
【0031】
次の表1は、複数の被験者を、歩行時に痛みがない自力で歩行可能な20歳から89歳の男女357名(男性85名、女性272名)とし、各被験者から表1に示した歩行パラメータを取得し、それを標準化し、主成分分析することにより、第1主成分から第6主成分までの各主成分について算出した主成分得点係数を表している。各主成分得点(即ち、歩行特徴スコア)は、こうして算出される主成分得点係数と、それに対応する、標準化した歩行パラメータとを掛け合わせ、それを全ての歩行パラメータについて足し合わせることにより得ることができる。
【0032】
【表1】
【0033】
表1において、第1主成分は、歩幅の絶対値が大きいため、大股又は小股の程度を表す「大股−小股」の評価軸となり、第2主成分は、歩隔の絶対値が大きいため、歩隔が狭いことにより歩行跡が一直線状になるか、又は歩隔が広いことにより歩行跡が二直線上になるかを表す「一直線−二直線」の評価軸となり、第3主成分は、ケーデンスの絶対値が大きいため、歩行ピッチの速さを表す「ハイテンポ−ローテンポ」の評価軸となり、第4主成分は、左右差歩行角度と左右差歩隔の絶対値が大きいため、歩行方向が左右いずれかにずれていく程度を表す「左向き−右向き」の評価軸となり、第5主成分は、つま先角の絶対値が大きいため、内股又はがに股の程度を表す「内股−がに股」の評価軸となり、第6主成分は、左右差立脚期と左右差両脚支持期の絶対値が大きいため、歩行時の荷重が左右いずれの足に偏っているかを表す「左脚負担−右脚負担」の評価軸として使用できる。
【0034】
小股で歩行速度が遅いという歩容(第1主成分、第3主成分)、歩隔が広く、歩行跡が二直線上になるという歩容(第2主成分)、がに股又は内股であるという歩容(第5主成分)、左向き又は右向きのいずれかの方向に拠れて歩くという歩容(第4主成分)、左右いずれの脚に負担が偏るという歩容(第6主成分)は、それぞれ、老齢者の典型的な歩容であると言われているので、上述の第1主成分から第6主成分の主成分得点である歩行特徴スコアは、一般的に認められている典型的な歩容の評価値とも整合する。
【0035】
1-2. 歩行パラメータ・活動量関係式の取得
複数の歩行者について、1-1.歩行パラメータ・歩行特徴スコア関係式を取得する場合と同様に、歩行パラメータを取得し、標準化する。
また、同じ複数人について、日常生活における所定期間(例えば、2週間)の活動量を計測する。この活動量は、いわゆる運動量であり、具体的には、歩数、消費カロリー、メッツ・時等をあげることができる。
【0036】
そして、計測した活動量と、歩行パラメータとの重回帰式分析から歩行パラメータ・活動量関係式を得る。
例えば、複数の被験者を23歳から89歳の自力歩行が可能で歩行時に痛みがない女性157名の2週間の活動量を、活動量計(ライフコーダPLUS:株式会社スズケン製)により計測した場合の、歩行パラメータ・活動量関係式として次式を得ることができる。
なお、括弧内の説明精度(自由度調整済みR2)は推定精度の高さを示し、いずれも50%を超えていることから、歩行パラメータと深く関係する活動量指標であることを示している。
【0037】
(a)歩数(説明精度56.6%)
=−3497.9−120.3[年齢]+461.0[平均歩幅(%)]−1546.4[平均歩隔(%)]+1059.2[平均歩行角度]
(b)総消費カロリー(kcal)(説明精度87.1%)
=−1174.6−7.08[年齢]+32.3[BMI]+14.8[ケーデンス]+396194.0[歩行比]−32.3[平均歩幅(%)]−52.0[平均歩隔(%)]+34.9[平均歩行角度]−2384.7[歩行周期左右差(sec)]
(式中、歩行周期左右差は絶対値である)
(c)運動量(kcal)(説明精度62.2%)
=−505.7−3.04[年齢]+5.18[BMI]+3.0[ケーデンス]+77565.5[歩行比]−27.3[平均歩隔(%)]+19.1[平均歩行角度]−760.7[歩行周期左右差] (sec)
(式中、歩行周期左右差は絶対値である)
(d)3Mets以上の活動時間(min)(説明精度61.8%)
=−15.1−0.8[年齢]+2.3[平均歩幅(%)]−7.2[平均歩隔(%)]+5.1[平均歩行角度]−2.2[立脚期左右差(%)]
(式中、立脚期左右差は絶対値である)
【0038】
1-3. 任意の被験者についての歩行特徴目標の設定
1-1. で歩行パラメータを取得するのと同様にして、任意の被験者について歩行パラメータを取得し、1-1. で取得した、歩行パラメータ・歩行特徴スコア関係式に基づき、その任意の被験者の歩行特徴スコアを算出する。
【0039】
そして、算出した被験者の歩行特徴スコアの数値に応じて、その歩行特徴を被験者の歩行特徴目標に設定する。例えば、表1に示した第1主成分(大股−小股)の歩行特徴について、歩行特徴スコア(即ち、第1主成分の主成分得点)の平均値は0、標準偏差1となることから、この歩行特徴を次のように大股、普通、小股の3段階に評価する。
大股: [歩行特徴スコア」<−1、
普通: −1≦[歩行特徴スコア]≦1、
小股: 1<[歩行特徴スコア]
【0040】
小股は老齢者の典型的な歩行特徴であるとされるから、被験者の歩行特徴スコアが大股又は普通と評価される場合には、現状維持を歩行特徴目標に設定し、小股と評価される場合には、普通を歩行特徴目標に設定する。
【0041】
なお、このように被験者の歩行特徴スコアを複数段階に評価する場合、歩行特徴が平均値と比較してさらに大きく異なる場合を考慮して5段階の評価としてもよい。
大股傾向が更に強い: [歩行特徴スコア」<−2、
大股: ―2<[歩行特徴スコア」<−1、
普通: −1≦[歩行特徴スコア]≦1、
小股: 1<[歩行特徴スコア]<2
小股傾向が更に強い: 2<[歩行特徴スコア]
【0042】
大股−小股の歩行特徴以外についても、同様に歩行特徴目標を設定することができる。
この歩行特徴目標の設定は、複数種の歩行特徴について行うことができるが、第1主成分は年齢と非常に強い相関を示すことから加齢に伴う歩容変化を示す主成分であるとし、第1主成分(大股−小股)の歩行特徴についてのみ歩行特徴目標の設定を行ってもよい。
【0043】
また、被験者の歩行特徴目標の設定は、被験者の歩行特徴スコアと、一般的に好ましいとされる歩行特徴スコアとの対比により、歩行特徴スコアを算出する演算装置で自動的に行えるようにしてもよく、また、被験者の歩行特徴スコアを踏まえて被験者自身が行えるようにしてもよく、アドバイザーが行えるようにしてもよい。
【0044】
1-4. 任意の被験者についての活動量目標の設定
1-3. で取得した歩行パラメータを取得し、その歩行パラメータを、1-2 で得た歩行パラメータ・活動量関係式で使用することにより、活動量を算出し、算出された活動量に応じて、活動量目標を設定する。
【0045】
本発明者の知見によれば、図6に示すように、活動量は歩行特徴スコア(第1主成分得点)と相関があるので、歩行パラメータ・活動量関係式で算出される活動量は、被験者と同様の歩行特徴を有する者の平均的な活動量といえる。したがって、これを被験者の活動量目標に設定することは、被験者の歩容を踏まえた、無理のない目標設定となる。なお、被験者の活動量の履歴があり、被験者の従前の活動量が歩行パラメータ・活動量関係式で算出された活動量よりも大きい場合、アドバイザーの個別的判断等により、活動量目標は、活動量の履歴を踏まえ、算出された活動量よりも大きい数値に設定することができる。
【0046】
1-5.歩行特徴目標と活動量目標の表示
被験者が携帯可能な歩行計に、歩行特徴目標と活動量目標は、現状の歩行特徴や活動量と、同時に又は適宜切り替えて表示されるようにすることが好ましい。
例えば、図3Aは、歩行計1のディスプレイ2に現状の歩行特徴が「がに股」であることがイラスト3で表示され、図3Bに示すように、歩行特徴目標が「普通股」であることイラスト3で表示され、2週間の活動量目標4の数値が示されるようにする。
【0047】
2.歩行目標設定システム
歩行特徴目標と活動量目標を設定する本発明の歩行目標の設定方法は、歩行跡から計測し得る歩行因子を計測する歩行因子計測手段と演算装置を備え、演算装置に、
歩行パラメータ・歩行特徴スコア関係式を記憶する機能、
歩行パラメータ・活動量関係式を記憶する機能、
歩行パラメータ・歩行特徴スコア関係式に基づき、任意の被験者の歩行因子を含む歩行パラメータから歩行特徴スコアを算出する機能、
算出された歩行特徴スコアに応じて被験者の歩行特徴目標を設定可能とする機能、
歩行パラメータ・活動量関係式に基づき、任意の被験者の歩行因子を含む歩行パラメータから活動量を算出する機能、
算出された活動量に応じて被験者の活動量目標を設定可能とする機能、
設定された歩行特徴目標及び活動量目標を出力する機能、
を持たせた歩行目標の設定システムにより実施することができる。
【0048】
ここで、歩行因子計測手段としては、例えば、前述のシート式圧力センサ、モーションキャプチャシステム、歩行因子の算出機能を備えた加速度センサ等を使用することができる。
【0049】
演算装置は、歩行パラメータ・歩行特徴スコア関係式及び歩行パラメータ・活動量関係式を記憶し、これらの関係式を用いて歩行パラメータから歩行特徴スコアを算出し、また歩行パラメータから活動量を算出する演算機能を必要とするが、主成分分析により歩行パラメータ・歩行特徴スコア関係式を導出する機能や、重回帰分析により歩行パラメータ・活動量関係式を導出する機能は、必要に応じて設けられる。
【0050】
演算装置では、歩行パラメータ・歩行特徴スコア関係式に基づき、任意の被験者の歩行因子を含む歩行パラメータから歩行特徴スコアを算出後、その歩行特徴スコアの数値を、一般に好ましいとされる歩行特徴スコアと対比することなどにより、歩行特徴目標を自動で設定する。例えば、算出された歩行特徴スコアが、一般に好ましいとされる歩行特徴スコアに対して老齢者のスコアであった場合、一般に好ましいとされる歩行特徴スコアを歩行特徴目標に設定し、一般に好ましいとされるスコアと同等以上の好ましいスコアであった場合、算出された歩行特徴スコアを歩行特徴目標に設定する。
【0051】
また、演算装置では、歩行パラメータ・活動量関係式に基づき、任意の被験者の歩行因子を含む歩行パラメータから活動量を算出後、その活動量の数値を活動量目標として自動で設定する。
【0052】
3.歩行目標支援システム
本発明の歩行目標支援システムは、携帯型の加速度センサ、演算装置、演算装置からの出力内容を表示することが可能なディスプレイを加え、歩行特徴目標と活動量目標に対して、被験者がどの程度目標を達成できたかをディスプレイに表示するものである。
この場合、加速度センサとディスプレイは、一つの携帯型歩行計に組み込まれたものであることが好ましい。
【0053】
この歩行目標支援システムにおいて、携帯型の加速度センサとしては、日常生活で携帯することができ、X軸、Y軸、Z軸の3軸の加速度を計測することのできるものが好ましい。例えば、3軸の加速度波形を抽出することのできる携帯端末などを使用することができる。
【0054】
一方、演算装置は、前述の方法で設定された歩行特徴目標と活動量目標を記憶する機能を実現する記憶手段、より詳しくは歩行特徴目標記憶手段および活動量目標記憶手段を有する。
【0055】
また、演算装置は、加速度センサで計測された被験者の歩行時の加速度から、被験者の歩行時の活動量を計測できるように、加速度センサで計測された加速度から歩行時の活動量の全体又は一部を算出する機能を実現する活動量算出手段を有する。この場合、活動量の算出機能は、例えば、ライフコーダ(株式会社スズケン製)、アクティブスタイルプロ(オムロン社製)などの一般的な活動量計と同様に、鉛直方向のみの加速度変化、又は3軸方向の加速度変化をもとに1日の活動量を算出する機能を有する一日活動量算出手段によることができる。
【0056】
さらに、演算装置は、被験者の歩行時の加速度から被験者の歩行特徴を推定できるように、加速度センサで計測された加速度と歩行特徴スコアとの関係式である加速度・歩行特徴スコア関係式を記憶し、その関係式に基づいて、加速度センサで計測された加速度から、歩行特徴を推定する機能を実現する歩行特徴推定手段を有する。
【0057】
この加速度・歩行特徴スコア関係式は、特願2013−202775号明細書に記載の方法に従い、次のようにして得ることができる。
まず、図4に示すように、予め複数人の日常生活における歩行の加速度を加速度センサで計測し、その計測により得られた加速度データを時間分割し、時間分割した加速度データを主成分分析して主成分を複数抽出し、抽出した主成分の主成分得点(即ち、加速度主成分の主成分得点)を算出する(工程1)。この加速度データの時間分割では、例えば、まず、加速度データにおいて歩行周期を切り出して平均化した1歩行周期の加速度データを得、次に、これを時間分割する。時間分割する間隔が長すぎると加速度データから歩行特徴スコアを推定する精度が低く、短かすぎると計算量が増大して本システムの実使用が困難となるので、5m秒以上15m秒以下の所定間隔で分割することが好ましい。これにより、後述する工程3で行うように、加速度データと歩行特徴スコアとの関係式として回帰式をたてた場合の説明精度(決定係数)を50%以上、好ましくは70%以上にすることができる。
【0058】
一方、複数人の歩行跡の計測から得られる歩行因子を含む歩行パラメータを、1-1. に記載したように主成分分析することにより、歩行パラメータと歩行特徴スコアとの関係式を得ておく(工程2)。
【0059】
そして、工程2で取得した歩行特徴スコアと工程1で取得した加速度主成分得点との関係式を得るため、歩行特徴ごとに、歩行特徴スコアを目的変数とし、加速度主成分を説明変数とした重回帰分析を行い、回帰式を得、これを加速度・歩行特徴スコア関係式として使用する(工程3)。
【0060】
歩行目標支援システムの演算装置は、予め記憶した上述の加速度・歩行特徴スコア関係式に基づき、加速度センサで計測された被験者の歩行の加速度から歩行特徴スコアを算出する機能を実現する歩行特徴スコア算出手段を有する。そして、このように加速度から算出された歩行特徴スコアを、演算装置が記憶している歩行特徴目標に対応する歩行特徴スコアと対比することにより、被験者の歩行が目標を達成しているか否かを判断し、目標を達成した歩行の活動量(目標達成活動量)を算出する機能を実現する目標達成活動量算出手段を有する。
【0061】
ここで、加速度から算出された歩行特徴スコアの歩行が歩行特徴目標を達成しているか否かの判断は、例えば、歩行周期(2歩分)ごとに歩行特徴スコアを算出し、その値が歩行特徴目標値と比較して好ましい値となった場合に2歩達成したと判断する。また、歩行パラメータ・活動量関係式に基づいて算出した歩数目標値をもとに、歩数目標値に対する時点での歩行特徴達成値を割合として算出し、その時点での達成度として算出する。より具体的には、仮に歩数目標値が10000歩であり、歩数10000の時点で目標とする歩行特徴スコアを達成した歩数が10000歩であった場合、100%の達成となる。
【0062】
また、目標達成活動量の算出は、例えば、歩数、消費カロリーを含む活動量は1歩ごとに積算を行い、あらかじめ設定した活動量目標値を超えた割合を目標達成量として算出することにより行う。
【0063】
演算装置に記憶された歩行特徴目標及び活動量目標、並びにこの演算装置で加速度から算出された歩行特徴スコア、目標達成活動量、及び総活動量は、被験者が歩行目標の達成度合いを容易に確認できるように、被験者が携帯する歩行計のディスプレイにわかりやすく表示されることが好ましい。そこで、演算装置がこれらの情報を、非接触型ICカードのための通信技術、ブルーツース、有線ケーブル等を介して被験者の携帯型歩行計に出力する。あるいは、被験者が携帯する歩行計に演算装置を組み込み、その演算装置がディスプレイに情報を表示するようにしてもよい。
【0064】
ディスプレイにおける具体的な表示例としては、例えば、図5Aに示すように、携帯型の歩行計1のディスプレイ2に、ある期間の被験者の歩行において、「がに股」と評価される歩行特徴が25歩あったことを、「がに股」のイラスト3と、計測された歩数の数値5で示し、別画面で総歩数を確認できるようにする。
【0065】
また、図5Bに示すように、携帯型の歩行計1のディスプレイ2に、ある期間の被験者の歩行において、歩行特徴目標を満たす理想的な歩行があったことを「Good」の表示と、Goodに対応する計測された歩数の数値5で示す。
【0066】
この他、ディスプレイ2における歩数の表示方法としては、例えば図5Cに示すように、日々の歩行特徴目標「Good」との活動量目標の数値4をカウントダウン方式で表し、それが達成された場合、図5Dに示すように、目標達成画面を表示してもよい。
【0067】
なお、この歩行目標支援システムにおいて、所定期間の被験者の歩行について、一旦目標達成活動量が算出された後、再度歩行特徴目標や活動量目標を設定する場合、加速度・歩行特徴スコア関係式に基づいて加速度から算出された歩行特徴スコアに応じて、次の期間の歩行特徴目標を設定してもよく、また、加速度から算出される活動量に応じて、次の期間の活動量目標を設定してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 歩行計
2 ディスプレイ
3 歩行特徴を示すイラスト
4 活動量目標の数値
5 計測された歩数の数値
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6