(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0025】
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機の構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、利用者との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行う。以下では、現金自動預払機1のうち利用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した利用者から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
【0026】
筐体2は、その前側に利用者が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。顧客応対部3は、金融機関の顧客等の利用者との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになっており、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7、及びレシート発行口8が設けられている。
【0027】
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、利用者が入金する紙幣が投入されると共に、利用者へ出金する紙幣が排出される部分である。
【0028】
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルとなっている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
【0029】
筐体2内には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。
【0030】
主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
【0031】
紙幣入出金機10は、
図2に側面図を示すように、その内部に紙幣制御部11、入出金部12、搬送部13、鑑別部14、一時保留部15、紙幣収納庫16、リジェクト庫17、取忘収納庫18及び偽券収納庫19が設けられている。
【0032】
紙幣制御部11は、主制御部9と連携しながら、当該紙幣入出金機10を統括的に制御する。紙幣制御部11は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、所定のプログラムを実行することにより、入金処理や出金処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部11は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
【0033】
入出金部12は、上方が開放された箱状の収容器12Aを中心に構成されている。収容器12Aは、利用者へ受け渡すべき紙幣又は利用者から受け渡される紙幣を前後方向に沿って整列した状態で収容する。この収容器12Aの上方には、開閉可能なシャッタ12Bが設けられている。
【0034】
搬送部13は、図示しないモータ、ローラ、ベルト及びガイド等により紙幣入出金機10内の各部を結ぶような搬送経路を形成している。この搬送部13は、ローラを適宜回転させ、またベルトを適宜走行させることにより、この搬送経路に沿って紙幣を搬送する。
【0035】
因みに紙幣は、紙や樹脂等により構成され、長方形の薄板状に形成されており、その短辺に沿った方向を進行方向として、すなわち長辺を進行方向の先頭又は末尾として、搬送される。また紙幣は、ある程度の弾力性を有する共に平面状に展開された状態を自然状態としており、この自然状態から外力が加えられて撓まされた場合、元の形状(すなわち平面状)に戻ろうとして弾性力又は復元力を作用させる。
【0036】
鑑別部14は、内部に光学センサ、イメージセンサや磁気センサ等の各種センサを有しており、その内部で紙幣を搬送しながら、各センサによる鑑別結果を得て紙幣制御部11へ供給する。これに応じて紙幣制御部11は、取得した鑑別結果に基づき、また読み取った記番号を偽券記番号リストと比較すること等により、当該紙幣の金種及び真偽、並びに損傷の程度等を判別した上で、各紙幣の搬送先を決定する。
【0037】
一時保留部15は、紙幣制御部11の制御に基づき、搬送部13により搬送されてくる紙幣を1枚ずつ収納し、また1枚ずつ繰り出して当該搬送部13へ受け渡す。因みに一時保留部15は、最大で約200枚の紙幣を内部に収納することができる。
【0038】
紙幣収納庫16は、内部に多数の紙幣を集積して収納する。この紙幣収納庫16は、例えば入金取引において、搬送部13により紙幣が搬送されてくると、これを取り込んで内部に収納する。また紙幣収納庫16は、出金取引において、収納している紙幣を1枚ずつ分離して繰り出し、搬送部13に順次受け渡す。
【0039】
リジェクト庫17は、鑑別部14において損傷の程度が大きく再利用すべきでないと鑑別された紙幣(いわゆるリジェクト紙幣)を収納する。取忘収納庫18は、利用者が入出金部12から取り忘れた紙幣を収納する。偽券収納庫19は、鑑別部14の鑑別結果を基に偽券と判別された紙幣(すなわち偽券)を収納する。
【0040】
次に、紙幣入出金機10における紙幣の入金処理について説明する。例えば現金自動預払機1の主制御部9は、操作表示部6(
図1)を介して利用者から入金取引を開始する操作指示を受け付けると、紙幣入出金機10の紙幣制御部11に対し入金処理の開始を指示する。これに応じて紙幣制御部11は、入金処理を開始する。
【0041】
紙幣制御部11は、利用者に紙幣を入出金部12へ投入させると、当該入出金部12によりこの紙幣を1枚ずつに分離しながら取り込み、搬送部13へ順次受け渡す。搬送部13は、紙幣の長辺をそれぞれ先頭及び末尾として、すなわち短辺を進行方向に沿わせるようにして進行させ、鑑別部14へ搬送する。
【0042】
鑑別部14は、その内部で紙幣を搬送しながら、各センサによる検知結果を紙幣制御部11へ通知する。紙幣制御部11は、鑑別部14から得られた鑑別結果等を基に、紙幣の金種及び真偽、並びに損傷の程度等を判別した上で、各紙幣の判別結果を基にその搬送先を決定する。具体的に紙幣制御部11は、正当であり取引すべきと鑑別された紙幣を搬送部13により一時保留部15へ搬送させ収納させる一方、取引すべきでないと鑑別されたリジェクト紙幣を搬送部13により入出金部12へ搬送し、利用者へ返却する。
【0043】
やがて紙幣制御部11は、入出金部12に投入された全ての紙幣を取り込み終えると、鑑別部14から得られた鑑別結果を基に入金額を算出し、これを操作表示部6(
図1)に表示して利用者に提示して、入金取引を継続するか否かを問い合わせる。ここで利用者から入金取引を継続する旨の指示を受け付けた場合、紙幣制御部11は、一時保留部15に保留している紙幣を搬送部13により鑑別部14へ搬送してその金種及び損傷の程度等を鑑別させ、その鑑別結果を取得する。
【0044】
続いて紙幣制御部11は、搬送部13を制御することにより、紙幣の損傷の程度が小さい紙幣については、これを再利用すべき紙幣として、搬送部13により金種ごとに振り分けた上で紙幣収納庫16へ搬送して収納させる。その一方で紙幣制御部11は、損傷の程度が大きい紙幣を再利用すべきでないリジェクト紙幣としてリジェクト庫17へ搬送して収納させる。また紙幣制御部11は、偽造されたと判断した紙幣(すなわち偽券)を偽券収納庫19へ搬送して収納させる。
【0045】
一方、紙幣制御部11は、利用者から入金取引を継続しない旨の指示を受け付けた場合、一時保留部15に保留している全ての紙幣を順次繰り出させ、これを搬送部13により入出金部12へ順次搬送して利用者に返却する。紙幣制御部11は、全ての紙幣を収容器12A内に収容すると、シャッタ12Bを開放して紙幣を利用者に取り出させる。
【0046】
今度は、紙幣入出金機10における紙幣の出金処理について説明する。現金自動預払機1の主制御部9は、操作表示部6(
図1)を介して利用者から出金取引を開始する操作指示を受け付けると、紙幣入出金機10の紙幣制御部11に対し出金処理の開始を指示する。紙幣制御部11は、まず出金額に応じた金種及び枚数の紙幣を決定した上で、この金種及び枚数の紙幣を紙幣収納庫16から順次繰り出し、搬送部13により鑑別部14へ搬送して鑑別させる。
【0047】
このとき紙幣制御部11は、複数の紙幣が重なって搬送される重送のように、搬送状態に問題のある紙幣をリジェクト紙幣としてリジェクト庫17へ搬送する一方、正常な紙幣を出金額に相当する金額分だけ入出金部12へ搬送させ、その後利用者に取り出させる。因みに紙幣制御部11は、出金された紙幣が利用者により取り出されず所定時間が経過した場合には、当該紙幣が取り忘れられたものと見なし、再度取り込んで取忘収納庫18に収納する。
【0048】
このように紙幣入出金機10は、リジェクト紙幣が発生した場合、これを搬送部13によりリジェクト庫17へ搬送して収納させるようになっている。
【0049】
[1−2.リジェクト庫の構成]
リジェクト庫17は、
図3(A)、(B)及び(C)に模式的な三面図を示すように、直方体状の筐体30内に媒体としての紙幣BLを収納するようになっている。なお
図3では、説明の都合上、一部の部品を透過させ、また省略している。
【0050】
筐体30は前後、左右及び上下の各側面をほぼ閉塞しており、内部に集積された紙幣BLや各部品等を外部から保護する。この筐体30内には、直方体状の内部空間30Sが形成されると共に、それぞれ板状でなる前側板30F、後側板30R及び天井板30Cが設けられている。
【0051】
また内部空間30S内には、紙幣BLを上面31T上に載置するステージ31が設けられている。ステージ31は、板面をほぼ水平に向けた板状に形成され、中央の長方形状でなる主載置部31A及び左右のステージアーム31Bにより構成されている。主載置部31Aは、載置面としての上面31Tに、集積方向としての上方向に沿って紙幣BLを順次載置することにより、複数の紙幣BLを集積するようになっている。
【0052】
ステージアーム31Bは、左右方向に細長い角柱状又は直方体状に形成され、主載置部31Aの左右両側面における後寄りの箇所に取り付けられている。またステージアーム31Bの上面は、主載置部31Aの上面と同一平面内にあり、共にステージ31の上面31Tを構成している。
【0053】
またステージアーム31Bにおける左右の両端近傍には、それぞれ上下方向に貫通する丸孔でなる挿通孔31BHが穿設されている。一方、筐体30の内部空間30Sにおける左右の両端近傍には、上下方向に沿った細長い円柱状のステージシャフト(図示せず)が取り付けられ、このステージシャフトにステージアーム31Bの挿通孔31BHが挿通されている。
【0054】
さらに筐体30における内部空間30Sの左右両外側には、図示しないモータやギア、ベルト等の組み合わせでなるステージ移動部32が設けられている。このステージ移動部32は、紙幣制御部11の制御によりモータを駆動させ、発生した回転方向の力を上下方向へ向かう力に変換し、さらにステージアーム31Bにおける左右の両端近傍(すなわち挿通孔31BHの近傍)に伝達する。これによりステージ移動部32は、ステージシャフトに沿ってステージ31全体を上下方向へ移動させ、また所望の高さ(すなわち上下方向の位置)において静止させることができる。
【0055】
以下では、説明の都合上、ステージ31上に紙幣BLが載置されていないときの当該ステージ31の上面31T又は当該ステージ31上に集積されている紙幣BLの最上面を集積最上面TSと呼ぶ。また、ステージアーム31Bにおける前面31BFの仮想的な延長面を仮想延長面XSと定義する。
【0056】
また、内部空間30Sの前側における上寄りの部分には、紙幣BLを搬送する搬送部34が設けられている。搬送部34は、複数の搬送ガイド35及び複数の搬送ローラ(図示せず)により構成される。このうち搬送ガイド35は、紙幣BLの後側ないし上側を案内する上搬送ガイド35T、紙幣BLの前側ないし下側を案内する下搬送ガイド35B、紙幣BLの左側を案内する左搬送ガイド35L、及び紙幣BLの右側を案内する右搬送ガイド35Rにより構成される。因みに各搬送ガイド35は、何れも筐体30に固定されている。
【0057】
搬送部34は、紙幣制御部11の制御に基づき各搬送ローラを回転させ、各搬送ガイド35によって紙幣BLを案内することにより、筐体30の上面における前端近傍から内部空間30Sにおける前側上端近傍へ向けて、搬送路Wに沿って紙幣BLを搬送する。このとき搬送部34は、紙幣BLを搬送ガイド35により囲まれる空間内で搬送する。このため搬送される紙幣BLにおける左辺及び右辺の位置は、左搬送ガイド35L及び右搬送ガイド35Rによりそれぞれ規制され、これらの内側面よりも内側(すなわち左右方向の中央寄り)となる。
【0058】
筐体30(
図3)の上側における前寄りの部分、すなわち搬送部34の後端近傍であり、またサイドガイド33を挟んでステージアーム31Bの反対側となる部分には、複数のローラ及び搬送ガイドの組み合わせにより構成された放出部36が設けられている。この放出部36は、搬送部13からリジェクト庫17内の搬送機構(図示せず)を介して紙幣BLが受け渡されると、当該紙幣BLを内部空間30S内へ放出するようになっている。
【0059】
具体的に放出部36は、紙幣の搬送路を上下に挟んで対向する放出ローラ37及び38により構成されている。放出ローラ37及び38は、いずれも円柱状に形成されている。説明の都合上、以下では、左右方向から見て放出部36の放出ローラ37及び38により紙幣BLを挟持する点を放出点36Cと呼び、当該放出点36Cの高さを放出高さH1と呼ぶ(
図3(C))。
【0060】
因みに放出ローラ37及び38は、左右方向に沿った中心軸に対し、所定の間隔を空けて左右に1個ずつ挿通されている。これらの中心軸は、図示しないモータやギア等から駆動力が伝達されることにより、各ローラと一体に回転する。
【0061】
下側の放出ローラ38における左右の両外側には、複数の舌片を有する舌片ローラ39がそれぞれ設けられている。舌片ローラ39は、比較的小径の円柱状に形成された中心部39Aと、当該中心部39Aから外方へ向けて放射状に細長く形成された複数の舌片39Bとにより構成されている。舌片39Bは、弾性を有する材料により構成されており、また表面の摩擦係数が高められている。
【0062】
さらに筐体30の内部空間30Sにおける後側面の上方、すなわち内部空間30Sの後側板30Rにおける内面の上端近傍には、左右に所定の間隔を空けて2個のビルストッパ41が設けられている。ビルストッパ41は、小さな直方体状に形成されており、後側板30Rに対し、図示しない弾性体を介して取り付けられている。
【0063】
そのうえリジェクト庫17内には、最上面検知部45が設けられている。最上面検知部45は、検知光Lを発光する発光部45Aと、当該検知光Lを受光する受光部45Bとにより構成されている。発光部45Aは、筐体30の上側部分に取り付けられており、検知光Lを下斜め前方へ向けて発光する。また受光部45Bは、筐体30の前側部分に取り付けられており、上斜め後方から進行してくる検知光Lを受光する。
【0064】
最上面検知部45は、集積最上面TS(すなわちステージ31の上面31T又は当該ステージ31上に集積された紙幣BLの最上面)が所定の集積高さH2よりも低い位置にあるとき、受光部45Bにおいて検知光Lを受光できる。一方最上面検知部45は、載置最上面が集積高さH2よりも高い位置にあるとき、受光部45Bにおいて検知光Lを受光できない。因みに集積高さH2は、放出部36の放出高さH1からの上下方向の距離が所定の集積間隔DCとなっており、紙幣BLの集積に最も適した高さとなっている。
【0065】
受光部45Bは、検知光Lを受光したか否かを表す最上面検知信号を生成し、これを紙幣制御部11(
図2)へ供給する。これに応じて紙幣制御部11は、この最上面検知信号を基に、集積最上面TSが集積高さH2よりも高いか否かを認識し、その上でステージ移動部32を制御することにより、ステージ31を上下方向に移動させ、或いは停止させる(詳しくは後述する)。
【0066】
かかる構成に加えて、内部空間30S内における左右の端部近傍であって、ステージ31における主載置部31Aの左右両側、すなわち各ステージアーム31Bの前方には、左サイドガイド33L及び右サイドガイド33Rがそれぞれ設けられている。因みに左サイドガイド33L及び右サイドガイド33Rは、互いに左右対称に構成されている。このため以下では、左サイドガイド33Lを例に説明する。また以下では、左サイドガイド33L及び右サイドガイド33Rをまとめてサイドガイド33とも呼ぶ。
【0067】
左サイドガイド33Lは、
図4に斜視図を示すと共に
図5に各方向から見た平面図を示すように、全体として、上下方向に長く左右方向に比較的薄い直方体状に形成されている。
【0068】
また左サイドガイド33Lは、従来の左サイドガイド573L(
図28)と同様、左右方向の長さが比較的長い紙幣BLに対応している。すなわち左サイドガイド33Lにおける左右方向及び前後方向の長さは、従来の左サイドガイド573Lと同様にそれぞれ長さL3及びL4となっており、従来の左サイドガイド533L(
図27等)における長さL1及びL2よりもそれぞれ短くなっている。このため左サイドガイド33Lとステージ31との間には、従来の左サイドガイド573Lの場合と同様、ある程度の隙間が形成されている。
【0069】
因みに左サイドガイド33Lは、内部空間30S内において左端近傍に設けられている。このため左サイドガイド33Lにおける左側及び右側は、ステージ31の主載置部31Aや集積空間30SC(
図3(A))の中心から見て、それぞれ外側及び内側となる。
【0070】
左サイドガイド33Lは、大きく分けて上側の上部51及び下側の下部52により構成されている。上部51は、左後側を残して右前側の約半分が大きく削られることにより、三角柱状に構成されており、放出案内面53を右前側に向けている。この放出案内面53は、従来のサイドガイド533(
図27等)における放出案内面553と同様、紙幣BLの進行方向である前後方向に対し角度θ1をなしている。
【0071】
下部52は、全体として集積案内面54を右側に向けた直方体状に構成されているものの、上部51との接合部分の近傍に、支持案内面55及び滑降傾斜面56といった2つの平面が形成されている。
【0072】
支持案内面55は、比較的水平面に近いものの、前側に対し後側が下降し、且つ左側に対して右側が下降するように傾斜されている。この支持案内面55と放出案内面53との接合部分である案内谷部57は、は、
図5(B)及び(D)から分かるように、その周囲よりも左下方向に窪んでおり、いわゆる谷状若しくは溝状となっている。また説明の都合上、以下では案内谷部57における前側の端点及び後側の端点をそれぞれ谷部前端点58及び谷部後端点59と呼ぶ。
【0073】
案内傾斜面としての滑降傾斜面56は、左サイドガイド33Lにおける後側約半分の範囲において、支持案内面55及び集積案内面54との間に位置している。この滑降傾斜面56は、水平面に対する傾斜角度が支持案内面55よりも大きくなっており、後側に対し前側が下降し、且つ左側に対し右側が下降するように傾斜されている。
【0074】
説明の都合上、以下では、
図3(C)の一部を拡大した
図6に示すように、放出部36の放出点36Cと左サイドガイド33Lの谷部後端点59とを結ぶ仮想的な直線及びその延長線を仮想延長線XN1と定義し、また案内谷部57を後方へ延長した仮想的な直線を仮想延長線XN2と定義する。また、紙幣の進行方向である前後方向(すなわち水平方向)に沿った仮想的な直線を仮想進行線XPと呼ぶ。
【0075】
ここで仮想延長線XN2と仮想進行線XPとの間の角度θ2は、紙幣BLを後方向へ案内し得る程度の傾斜角度となっている。また左サイドガイド33Lは、案内谷部57における後側の端点である谷部後端点59を比較的高い位置に設定している。これにより左サイドガイド33Lは、仮想延長線XN1及びXN2の双方を、ステージ31の上面31Tよりも十分に高い位置で仮想延長面XSと交差させている。
【0076】
また左サイドガイド33Lは、案内谷部57における前側の端点である谷部前端点58の高さを、放出部36の放出点36Cよりも低く設定している。これにより左サイドガイド33Lは、放出部36から放出される紙幣BLの高さを放出案内面53における上下の範囲内に十分に含めることができ、当該紙幣BLが左右方向に偏った場合にその頂点や辺を当該放出案内面53に当接ないし摺動させることができる。
【0077】
さらに左サイドガイド33Lは、谷部後端点59の高さを谷部前端点58よりも低く設定した。これにより左サイドガイド33Lは、放出案内面53及び案内谷部57を、前側が高く後側が低くなるように設定すること、すなわち仮想進行線XPに対する仮想延長線XN2の角度を角度θ2とすることができる。
【0078】
また以下では、内部空間30Sのうち天井板30C及びステージ31の上面31Tにより上下が規定され、前側板30F及び後側板30Rにより前後が規定され、さらに左サイドガイド33L及び右サイドガイド33Rの集積案内面54により左右が規定される直方体状の空間を、集積空間30SCと呼ぶ(
図3(A))。この集積空間30SCは、内部空間30S内において、ステージ31、左サイドガイド33Lや右サイドガイド33R等により仕切られた空間であり、紙幣BLが集積されるべき空間となる。
【0079】
このようにリジェクト庫17では、ステージ31における主載置部31Aの左右両外側に、ある程度の隙間を隔てた位置にサイドガイド33が設けられている。
【0080】
[1−3.リジェクト庫における紙幣の収納動作]
次に、リジェクト庫17における基本的な紙幣BLの収納動作について、通常の場合、紙幣BLが左右方向に偏っていた場合、及び紙幣BLの短辺が進行方向に対し傾斜していた場合に分けて、それぞれ説明する。
【0081】
[1−3−1.通常の場合]
通常の場合、紙幣制御部11(
図2)は、まず最上面検知部45からの最上面検知信号を監視しながら、ステージ移動部32(
図3)によりステージ31を上方へ移動させ、当該最上面検知部45から「オフ」レベルの最上面検知信号を取得した段階で当該ステージ31を一度停止させる。このときリジェクト庫17では、最上面検知部45の検知光Lが紙幣BL又はステージ31により遮光されているため、集積最上面TSが集積高さH2よりも高い位置にあることになる。
【0082】
次に紙幣制御部11は、引き続き最上面検知信号を監視しながらステージ移動部32によりステージ31を下方へ徐々に移動させ、当該最上面検知信号が「オン」になった時点で当該ステージ31を静止させてその高さを維持する。これによりリジェクト庫17は、
図3(C)に示したように、集積最上面TSの高さを集積高さH2として、放出高さH1から当該集積最上面TSまでの上下方向の距離を集積間隔DCに合わせた状態となる。なお以下では、ステージ31上に紙幣BLが集積されておらず、当該ステージ31の上面31Tが集積最上面TSであるものと仮定する。
【0083】
この状態でリジェクト庫17は、搬送部13(
図2)から紙幣BLを受け渡されると、この紙幣BLを搬送部34により搬送路Wに沿って搬送し、
図3と対応する
図7に示すように、放出部36の放出ローラ37及び38により上下から挟持する。この場合、紙幣BLは、左右の両端(すなわち左右両側の短辺)が、左サイドガイド33L及び右サイドガイド33Rの集積案内面54よりも内側に位置しているものとする。
【0084】
放出部36は、紙幣制御部11の制御により放出ローラ37を矢印R1方向に回転させると共に放出ローラ38をその反対である矢印R2方向に回転させており、放出高さH1から紙幣BLを後方の内部空間30S内へ放出する。
【0085】
放出部36から放出された紙幣BLは、内部空間30S内を後方へ進行し、
図7(C)と対応する
図8に示すように、ビルストッパ41に衝突する。ビルストッパ41は、図示しない弾性体を弾性変形させることにより、紙幣BLの衝突による衝撃を吸収し、さらに当該弾性体を元の形状に戻すことで、当該紙幣BLを僅かに前方へ押し戻す。
【0086】
また舌片ローラ39は、放出ローラ38と同様に矢印R2方向に回転している。このため舌片ローラ39は、
図9に示すように、舌片39Bにより内部空間30S内の紙幣BLを集積最上面TS上に、すなわちステージ31の上面31Tに叩き付け、さらに前方へ引き寄せる。
【0087】
この結果、この紙幣BLは、ステージ31上における左サイドガイド33L及び右サイドガイド33Rそれぞれの集積案内面54により左右から挟まれ、且つ前側の長辺を前側板30Fに当接させた位置に、紙面を平面状に広げてステージ31の上面31Tとほぼ平行とした状態で集積される。すなわちこの紙幣BLは、集積空間30SC内における適切な位置に、適切な状態で整然と集積される。
【0088】
因みに紙幣制御部11は、最上面検知部45からの最上面検知信号を継続的に監視しており、紙幣BLが集積されたことにより集積最上面TSが集積高さH2を上回ると、検知光L(
図3)が遮光されるため、当該最上面検知部45から「オフ」レベルの最上面検知信号を取得する。このとき紙幣制御部11は、ステージ移動部32を制御してステージ31を所定の移動量だけ下降させることにより、集積最上面TSを集積高さH2よりもある程度低い位置まで引き下げる。かくして紙幣制御部11は、リジェクト庫17内における放出高さH1から集積最上面TSまでの距離を、概ね集積間隔DC(
図3(C))に保つことができる。
【0089】
このようにリジェクト庫17は、放出部36から内部空間30S内へ紙幣BLを放出し、これをビルストッパ41に衝突させ、さらに舌片ローラ39の舌片39Bにより叩き付けることにより、当該紙幣BLをステージ31上に整然と集積することができる。
【0090】
[1−3−2.紙幣が左右方向に偏っていた場合]
次に、紙幣BLの位置が左右方向に偏っていた場合における当該紙幣BLの収納動作について説明する。まずリジェクト庫17は、上述した通常の場合と同様、紙幣制御部11の制御により、集積最上面TSの高さを集積高さH2に合わせる。またリジェクト庫17は、搬送部34により搬送されてきた紙幣BLを放出部36に徐々に受け渡していく。
【0091】
ここで紙幣BLは、
図7(A)と対応する
図10に示すように、搬送部34から放出部36に受け渡される時点で、左側へ大きく偏っているものとする。またこのとき紙幣BLは、重力の作用により、進行方向に関し先頭側である後側の端部近傍を、放出部36により挟持されている前側の部分よりも、僅かに下方に垂れさせている。
【0092】
リジェクト庫17は、通常の場合と同様、放出部36の放出ローラ37及び38により紙幣BLを上下から挟持しながらそれぞれ回転させることにより、当該紙幣BLを後方へ進行させ、徐々に内部空間30S内へ送り出していく。これにより紙幣BLは、
図11に示すように、進行方向に関して先行している後端部分のうち左側の頂点(以下これを左後頂点VLと呼ぶ)を左サイドガイド33Lの放出案内面53に当接させる。
【0093】
続いてリジェクト庫17は、放出部36の放出ローラ37及び38をさらに回転させることにより、紙幣BLをさらに後方へ進行させる。このとき紙幣BLは、放出案内面53から左後頂点VLを介して右方向へ向かう抗力を受けるものの、放出ローラ37及び38により挟持されているために右方向へは移動しない。その代わりに紙幣BLは、左後頂点VLを放出案内面53に沿って後下方へ摺動させながら、当該紙幣BLの左後部分を撓ませていく。
【0094】
さらにリジェクト庫17は、放出部36の放出ローラ37及び38を回転させ続けることにより、
図12に示すように、紙幣BLの左後頂点VLを案内谷部57に到達させる。このとき左後頂点VLは、案内谷部57が左下方向に窪んだ形状(すなわち谷状ないし溝状)であるために、支持案内面55上を右下方向へ滑り落ちることなく、当該案内谷部57に沿って後斜め右下方向へ進行していく。
【0095】
やがてリジェクト庫17は、引き続き放出部36の放出ローラ37及び38を回転させることにより、
図13に示すように、紙幣BLの進行方向に関し末尾側である前側の端部を内部空間30S内へ放出する。
【0096】
このとき紙幣BLは、放出部36による挟持から解放されるため、弾性力を作用させ、左後側の湾曲した部分を平面状に戻すように力を作用させる。ここで紙幣BLは、左後頂点VLを案内谷部57に摺動(当接)させているため、この左後頂点VLを介して当該案内谷部57に支持されることになり、当該左後頂点VLを支点として、紙幣BL全体を右方向へ徐々に移動させていく。これを換言すれば、紙幣BLは、案内谷部57によって左後頂点VLが左側(すなわち外側)ないし下側(すなわちステージ31がある側)から支持された状態で、弾性力を作用させつつ後方へ進行することにより、左方向への偏りが徐々に修正されていく。
【0097】
その後紙幣BLは、放出部36により放出された際の勢いにより、内部空間30S内を後方へ進行し、
図14に示すように、左後頂点VLをステージアーム31Bにおける前面31BFの仮想的な延長面である仮想延長面XSに到達させる。
【0098】
ここで紙幣BLは、左辺SLを谷部後端点59又はその上方に形成された稜部60に摺動させているため、常に左後頂点VLを仮想延長線XN1よりも上方に位置させることになる。また左サイドガイド33Lは、上述したように、仮想延長線XN1(
図6)がステージ31の上面31Tよりも上側において仮想延長面XSと交差するよう、谷部前端点58及び谷部後端点59の高さ(上下方向の位置)がそれぞれ設定されている。
【0099】
このため紙幣BLの左後頂点VLは、仮想延長面XSに到達した際、ステージアーム31Bの上方に位置し、当該ステージアーム31Bの前面31BFに当接することなく後方へ進行することができる。
【0100】
やがて紙幣BLは、通常の場合について示した
図8及び
図9と同様に、ビルストッパ41に衝突し、さらに舌片ローラ39の舌片39Bにより下方へ叩き付けられた後、ステージ31上に集積される。紙幣BLは、弾性力の作用により、このときまでにほぼ平面状に展開し、且つ紙面をステージ31とほぼ平行に向け、さらに左辺SLが左サイドガイド33Lにより規制された状態となる。すなわち紙幣BLは、左方向への偏りが修正された状態で、集積空間30SC(
図3(A))内に整然と収まるようにして、ステージ31上に集積される。
【0101】
ところでリジェクト庫17では、仮に紙幣BLにおける短辺の長さ(すなわち前後方向の長さ)が比較的長い場合、左後頂点VLが谷部後端点59を通過した後に、当該紙幣BLの前側(末尾側)の端部を内部空間30S内へ放出する場合がある。
【0102】
このとき紙幣BLは、
図13において左後頂点VLを案内谷部57に摺動(当接)させることに代えて、左辺SLを谷部後端点59に摺動(当接)させているため、同様に弾性力を作用させることで、左後頂点VLを支点として当該紙幣BL全体を右方向へ徐々に移動させることができる。
【0103】
その後、紙幣BLの左後頂点VLが仮想延長面XSに到達するとき、当該紙幣BLの左辺SLが谷部後端点59又はその上方に形成された稜部60と摺動している。またこのとき左辺SLの水平方向に対する傾斜角度は、仮想延長線XN1(
図6)の傾斜角度である角度θ2よりも小さく、当該仮想延長線XN1よりも水平に近くなる。
【0104】
これにより紙幣BLは、左後頂点VLを常に仮想延長線XN1よりも上側に位置させることができるので、
図14に示した場合と同様に、ステージアーム31Bの前面31BFに衝突することなく、当該ステージアーム31Bの上方を通過して後方へ進行する。この結果、紙幣BLは、最終的には通常の場合と同様に、左方向への偏りが修正された状態でステージ31上に集積される。
【0105】
因みにリジェクト庫17は、紙幣BLが右方向に偏っていた場合には、上述した場合と左右対称に、右サイドガイド33Rにより、紙幣BLの右後頂点VR(
図10)を常に仮想延長線XN1よりも上側に位置させることができる。
【0106】
このようにリジェクト庫17は、紙幣BLが左右方向に偏っていた場合、サイドガイド33により当該紙幣の偏りを修正する。さらにリジェクト庫17は、谷部後端点59の高さを適切に設定して当該紙幣BLの左後頂点VL又は右後頂点VRを常に仮想延長線XN1よりも上側に位置させることにより、当該紙幣BLとステージアーム31Bとの衝突を未然に回避するようになっている。
【0107】
[1−3−3.紙幣が傾斜していた場合]
次に、紙幣BLの短辺が進行方向に対し傾斜していた場合における、当該紙幣BLの収納動作について説明する。
【0108】
紙幣入出金機10では、搬送部13やリジェクト庫17等の各部において、紙幣BLの短辺が進行方向に対して平行であることが望ましいが、当該紙幣BLが搬送部13内や内部空間30S内において周囲の部品に引っかかった際などに、その短辺を進行方向に対して傾斜させる場合がある。
【0109】
ここで、リジェクト庫17において紙幣BLが内部空間30S内へ放出され、ビルストッパ41に衝突した後、舌片ローラ39の舌片39Bにより下方へ叩き付けられ、集積最上面TS上に当該紙幣BLが集積されたとする。
【0110】
このとき紙幣BLは、例えば
図15に示すように、左辺SL及びその近傍を左サイドガイド33Lの支持案内面55上に載せてしまう可能性がある。当該紙幣BLにおける左辺SLの近傍は、集積最上面TSから持ち上げられた状態にあり、その一部が支持案内面55又はその延長面よりも高い位置にある。
【0111】
仮に、この状態において放出部36から新たな紙幣BLが放出された場合、この新たな紙幣BLは、ステージ31上の最も上側に集積されている紙幣BLの左辺SL近傍と衝突してしまう。この場合リジェクト庫17は、この新たな紙幣BLを、内部空間30S内へ正しく放出することができなくなり、紙幣の詰まりや破損を生じさせる恐れがある。
【0112】
しかしながら左サイドガイド33Lには、滑降傾斜面56が形成されている。このため左サイドガイド33Lは、紙幣BLの左辺SL及びその近傍が一時的に支持案内面55上に載っていたとしても、当該左辺SL及びその近傍を滑降傾斜面56に沿って下方へ滑降させることにより、左辺SLを支持案内面55又はその延長面よりも低く、且つ集積案内面54よりも右側に(すなわち内側に)導くことができる。
【0113】
また左サイドガイド33Lは、滑降傾斜面56の右下辺を集積案内面54と接合させている。このため左サイドガイド33Lは、左辺SLを滑降傾斜面56に沿って滑降させることにより、やがて当該左辺SLを集積案内面54に沿って滑降させることができる。これに伴い左サイドガイド33Lは、左辺SLを集積案内面54と平行に近づけるよう、紙幣BL全体をある程度回転させて、最終的に正常な集積状態に近づけさせることもできる。
【0114】
このようにリジェクト庫17は、左サイドガイド33Lに滑降傾斜面56を設けたため、紙幣BLの短辺が進行方向に対し傾斜していた場合に、左辺SL及びその近傍がの支持案内面55上に載ったとしても、当該滑降傾斜面56に沿って左辺SL及びその近傍を滑降させることができる。
【0115】
[1−4.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態による現金自動預払機1の紙幣入出金機10におけるリジェクト庫17は、サイドガイド33における左右方向及び前後方向の長さを比較的短い長さL3及びL4とした。これによりリジェクト庫17は、集積空間30SCを左右方向に延長でき、長辺が比較的長い紙幣BLを収納できる反面、ステージ31とサイドガイド33との間にある程度の隙間を形成している。
【0116】
このサイドガイド33は、放出案内面53及び支持案内面55を案内谷部57により接合する形状とし、谷部後端点59を比較的高い位置に設定することにより、仮想延長線XN1にステージ31の上面31Tよりも上方を通過させるようにした(
図6)。
【0117】
リジェクト庫17は、搬送部34から放出部36へ受け渡した紙幣BLが左右方向に偏っていた場合、左後頂点VL又は右後頂点VRを放出案内面53及び案内谷部57に当接させながら後方へ進行させ、やがて当該紙幣BLを放出部36から放出する(
図12及び
図13)。このとき紙幣BLは、弾性力の作用により平面状に戻ろうとし、左後頂点VL又は右後頂点VRを支点として右方向へ移動し、これにより偏りを徐々に解消していく。
【0118】
また紙幣BLは、その勢いによりさらに後方へ進行し、このとき左辺SL又は右辺SRを谷部後端点59又は稜部60に当接及び摺動させることにより、左後頂点VL又は右後頂点VRをステージアーム31Bと衝突させることなく、その上方を通過させることができる(
図13)。
【0119】
このためリジェクト庫17は、
図28に示したように紙幣BLの左後頂点VL又は右後頂点VRをステージアーム31Bと当接させることや、これに伴い当該紙幣BLに対しその後に放出される新たな紙幣BLが衝突することを回避でき、結果的に紙幣の詰まりや破損等を防止できる。
【0120】
因みにリジェクト庫17は、内部空間30S内における紙幣BLの集積枚数が増加してステージ31の上面31Tから集積最上面までの距離が増加した場合、紙幣制御部11の制御により、ステージ31を下方へ移動させて集積最上面TSをほぼ集積高さH2に保つ。すなわちリジェクト庫17は、紙幣を収納する場合、紙幣BLの集積枚数が増加したとしても、ステージ31の上面31Tを集積高さH2よりも高い位置へ移動させることはない。
【0121】
このためリジェクト庫17では、ステージ31の上面31Tが集積高さH2にあるときに、仮想延長面XSが当該上面31Tの上方を通過するようにサイドガイド33における谷部後端点59の高さを設定すれば良い。これによりリジェクト庫17では、ステージ31上に集積されている紙幣BLの枚数に拘わらず、紙幣BLとステージアーム31Bとの衝突を確実に回避できる。
【0122】
またリジェクト庫17は、サイドガイド33における支持案内面55の内側前寄りの部分に滑降傾斜面56を形成した。このためリジェクト庫17は、例えば紙幣BLの短辺が進行方向である前後方向に対し傾斜しており、集積最上面TSに載置された際に左辺SL及びその近傍を支持案内面55上に載せていたとしても、この滑降傾斜面56に沿って左辺SL及びその近傍を滑降させることができる。
【0123】
この結果、リジェクト庫17は、紙幣BLを集積空間30SC内に整然と集積することができるので、放出部36から新たに放出される他の紙幣BLと集積済みの紙幣BLとを衝突させることや、その集積を妨げることが無い。
【0124】
またリジェクト庫17は、従来のリジェクト庫517(
図25)と比較して、サイドガイド33の形状のみ相違させ、ステージ31等を同様に構成した。このためリジェクト庫17は、サイドガイド33に代えて、ステージ31との隙間が狭い従来のサイドガイド533が取り付けられた場合には、従来のリジェクト庫517と同様に紙幣BLをステージアーム31Bに当接させることなく案内することができる。
【0125】
以上の構成によれば、第1の実施の形態によるリジェクト庫17は、サイドガイド33において谷部後端点59を比較的高い位置に設定し、仮想延長線XN1にステージ31の上面31Tよりも上方を通過させるようにした。これによりリジェクト庫17は、放出部36から放出した紙幣BLが左右方向に偏っていた場合、当該紙幣BLの左後頂点VL又は右後頂点VRを放出案内面53に当接させた後、案内谷部57に沿って前方へ案内できる。その後リジェクト庫17は、紙幣BLの左辺SLを谷部後端点59又は稜部60に当接ないし摺動させることで、当該紙幣BLをステージアーム31Bに衝突させることなく進行させ、最終的にステージ31上に適切に集積することができる。
【0126】
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による現金自動預払機101(
図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機110を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機110(
図2)は、紙幣入出金機10と比較して、リジェクト庫17に代わるリジェクト庫117を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0127】
リジェクト庫117(
図3)は、第1の実施の形態によるリジェクト庫17と比較して、左サイドガイド33L及び右サイドガイド33Rに代わる左サイドガイド133L及び右サイドガイド133R(以下これらをまとめてサイドガイド133と呼ぶ)を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0128】
サイドガイド133は、第1の実施の形態におけるサイドガイド33(
図3)と同様、左右方向及び前後方向の長さが比較的短い長さL3及びL4となっており、ステージ31との間に隙間を形成している。因みに左サイドガイド133L及び右サイドガイド133Rは、第1の実施の形態と同様、互いに左右対称に構成されている。このため以下では、左サイドガイド133Lを例に説明する。
【0129】
左サイドガイド133Lは、
図4及び
図5とそれぞれ対応する
図16及び
図17に示すように、従来の左サイドガイド533L(
図26及び
図27)における放出案内面553に尾根状部161を設けたような構成となっている。
【0130】
尾根状部161は、全体として左前と右後とを結ぶ細長い角柱状に形成されており、放出案内面153から右方向へ尾根状ないし稜状に突出している。また放出案内面153は、この尾根状部161により上側の上放出案内面153Aと下側の下放出案内面153Bとに分割されている。因みに放出案内面153は、第1の実施の形態における放出案内面53と同様、紙幣BLの進行方向である前後方向に対し角度θ1をなしている。
【0131】
尾根状部161の上面は、第1の実施の形態における支持案内面55(
図4及び
図5)と対応する支持案内面155となっている。この支持案内面155と上放出案内面153Aとの接合部分は、第1の実施の形態における案内谷部57(
図4及び
図5)と対応する案内谷部157となっている。
【0132】
放出案内面153の下放出案内面153Bと集積案内面154との間には、滑降傾斜面56(
図4及び
図5)と対応する滑降傾斜面156が形成されている。すなわち左サイドガイド133Lでは、支持案内面155と集積案内面154との間に滑降傾斜面156が位置しており、且つ当該支持案内面155と滑降傾斜面156が隣接しておらず、その間に第2放出案内面としての下放出案内面153Bが形成されている。
【0133】
案内谷部157における前側及び後側の端点は、谷部前端点58及び谷部後端点59(
図4及び
図5)とそれぞれ対応する谷部前端点158及び谷部後端点159となっている。この谷部前端点158及び谷部後端点159の高さ(上下方向の位置)は、第1の実施の形態における谷部前端点58及び谷部後端点59と同等に設定されている。これに伴い、上放出案内面153A、支持案内面155及び案内谷部157の位置は、第1の実施の形態における放出案内面53、支持案内面55及び案内谷部57とほぼ同等の位置となっている。
【0134】
このためリジェクト庫117では、仮に第1の実施の形態における谷部後端点59に代えて谷部後端点159を通過する仮想延長線XN1及び仮想延長面XS(
図6)を想定した場合、やはり当該仮想延長線XN1がステージ31の上面31Tよりも上方を通過することになる。
【0135】
以上の構成において、第2の実施の形態による現金自動預払機101の紙幣入出金機110におけるリジェクト庫117は、サイドガイド133に尾根状部161を形成し、谷部前端点158及び谷部後端点159の高さを第1の実施の形態における谷部前端点58及び谷部後端点59と同等に設定した。
【0136】
このためリジェクト庫117は、搬送部34から放出部36へ受け渡した紙幣BLが左右方向に偏っていた場合(
図10)、第1の実施の形態と同様に、紙幣BLの左後頂点VL又は右後頂点VRを上放出案内面153A及び案内谷部157に当接させながら後方へ進行させ、当該紙幣BLの弾性力を作用させて偏りを徐々に解消していく。
【0137】
その後リジェクト庫117は、紙幣BLの左辺SL又は右辺SRを谷部後端点159又は稜部160に当接及び摺動させることにより、やはり第1の実施の形態と同様、左後頂点VL又は右後頂点VRをステージアーム31Bと当接させることなく、その上方を通過させることができる。
【0138】
すなわちリジェクト庫117は、上放出案内面153A、案内谷部157及び谷部後端点159をそれぞれ第1の実施の形態によるリジェクト庫17の放出案内面53、案内谷部57及び谷部後端点59と同様に機能させることにより、第1の実施の形態と同様に紙幣BLとステージアーム31Bの衝突を未然に回避することができる。
【0139】
またサイドガイド133は、放出案内面153からの尾根状部161の突出量を比較的小さく抑えて支持案内面155における左右方向の幅を比較的狭くすると共に、下放出案内面153Bの内側前寄りの部分に滑降傾斜面156を形成した。
【0140】
このためリジェクト庫117は、例えば紙幣BLの短辺が進行方向である前後方向に対し傾斜しており、集積最上面TSに載置された際に左辺SL及びその近傍が左サイドガイド133Lの支持案内面155上に引っかかった(すなわち一時的に載った)としても、左右方向の幅が狭く不安定であるため、滑降傾斜面156上に落下させることができる。これによりリジェクト庫117は、第1の実施の形態と同様、当該紙幣BLの左辺SL及びその近傍を滑降傾斜面156に沿って滑降させ、紙幣BLを集積空間30SC内に整然と集積することができる。
【0141】
またリジェクト庫117は、その他の点においても第1の実施の形態によるリジェクト庫17と同様の作用効果を奏し得る。
【0142】
以上の構成によれば、第2の実施の形態によるリジェクト庫117は、サイドガイド133の放出案内面153に尾根状部161を形成し、谷部後端点159を比較的高い位置に設定して、仮想延長線XN1にステージ31の上面31Tよりも上方を通過させるようにした。これによりリジェクト庫117は、放出部36から放出した紙幣BLが左右方向に偏っていた場合、第1の実施の形態と同様、当該紙幣BLの左後頂点をVL又は右後頂点VRを上放出案内面153Aに当接させた後、案内谷部157に沿って前方へ案内できる。その後リジェクト庫117は、紙幣BLの左辺SLを谷部後端点159又は稜部160に当接ないし摺動させることで、当該紙幣BLをステージアーム31Bに衝突させることなく進行させ、最終的にステージ31上に適切に集積することができる。
【0143】
[3.第3の実施の形態]
第3の実施の形態による現金自動預払機201(
図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機210を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機210(
図2)は、紙幣入出金機10と比較して、リジェクト庫17に代わるリジェクト庫217を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0144】
リジェクト庫217(
図3)は、第1の実施の形態によるリジェクト庫17と比較して、左サイドガイド33L及び右サイドガイド33Rに代わる左サイドガイド233L及び右サイドガイド233R(以下これらをまとめてサイドガイド233と呼ぶ)を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0145】
サイドガイド233は、第1の実施の形態におけるサイドガイド33(
図3)と同様、前後方向及び左右方向の長さが比較的短くなっており、ステージ31との間に隙間を形成している。因みに左サイドガイド233L及び右サイドガイド233Rは、第1及び第2の実施の形態と同様、互いに左右対称に構成されている。このため以下では、左サイドガイド233Lを例に説明する。
【0146】
左サイドガイド233Lは、
図4及び
図5並びに
図16及び
図17とそれぞれ対応する
図18及び
図19に示すように、従来の左サイドガイド533L(
図26及び
図27)における放出案内面553に溝部261を設けたような構成となっている。溝部261は、全体として放出案内面253の表面近傍が左前と右後とを結ぶように細長く抉られたような形状となっており、当該放出案内面253から左前方向へ凹んでいる。
【0147】
放出案内面253は、第2の実施の形態における放出案内面153(
図16及び
図17)と同様、溝部261により上側の上放出案内面253Aと下側の下放出案内面253Bとに分割されている。因みに放出案内面253は、第1の実施の形態における放出案内面53及び第2の実施の形態による放出案内面153と同様、紙幣BLの進行方向である前後方向に対し角度θ1をなしている。
【0148】
溝部261は、
図19(B)の部分拡大図を
図20に示すように、底面である支持案内面255、側面262及び天井面263により構成されている。このうち支持案内面255は、第1の実施の形態による支持案内面55(
図4及び
図5)並びに第2の実施の形態による支持案内面155(
図16及び
図17)とそれぞれ対応するものである。
【0149】
放出案内面253の下放出案内面253Bと集積案内面254との間には、第2の実施の形態(
図16及び
図17)の滑降傾斜面156と同様の滑降傾斜面256が形成されている。すなわち左サイドガイド233Lでは、第2の実施の形態と同様、支持案内面255と集積案内面254との間に滑降傾斜面256が位置しており、且つ当該支持案内面255と滑降傾斜面256とが隣接しておらず、その間に第2放出案内面としての下放出案内面253Bが形成されている。
【0150】
支持案内面255と側面262とが接合する谷状の部分には、案内谷部257が形成されている。案内谷部257は、第1の実施の形態による案内谷部57(
図4及び
図5)並びに第2の実施の形態による案内谷部157(
図16及び
図17)とそれぞれ対応するものである。さらに天井面263と上放出案内面253Aとが接合する部分には、稜部264が形成されている。
【0151】
谷部前端点258及び谷部後端点259の高さ(上下方向の位置)は、第1の実施の形態における谷部前端点58及び谷部後端点59と同等に設定されている。このため、支持案内面255及び案内谷部257は、第1の実施の形態における支持案内面55及び案内谷部57と比較して、高さ(上下方向の位置)においてほぼ同等であり、左右方向の位置において溝部261の深さの分だけ左側(すなわち外側)にずれている。
【0152】
このためリジェクト庫217では、仮に第1の実施の形態と同様に仮想延長線XN1及び仮想延長面XS(
図6)を想定した場合、やはり当該仮想延長線XN1がステージ31の上面31Tよりも上方を通過することになる。
【0153】
以上の構成において、第3の実施の形態による現金自動預払機201の紙幣入出金機210におけるリジェクト庫217は、サイドガイド233に溝部261を形成し、谷部前端点258及び谷部後端点259の高さを第1の実施の形態における谷部前端点58及び谷部後端点59と同等に設定した。
【0154】
このためリジェクト庫217は、例えば搬送部34から放出部36へ受け渡した紙幣BLが左方向に偏っていた場合(
図10)、まず
図21(A)に断面図を示すように、紙幣BLの左後頂点VLを上放出案内面253Aに当接させながら進行させる。
【0155】
やがて紙幣BLは、
図21(B)に示すように、左後頂点VLを溝部261内に落とし込み、案内谷部257に当接させながら、さらに後方へ進行させていく。その後紙幣BLは、左後頂点VLの近傍部分における傾斜角度が鉛直に近づいた場合には、
図21(C)に示すように、当該左後頂点VLを支持案内面255に当接させると共にその近傍部分を稜部264に当接させながら、後方へ進行していく。
【0156】
やがて紙幣BLは、前端部分が放出部36から放出されると、弾性力を作用させることにより、第1の実施の形態において
図13に示した場合と同様に、左サイドガイド233Lの案内谷部257又は支持案内面255により支持されている左後頂点VL又は左辺SLを支点として、右方向へ移動しながらその偏りを徐々に解消していく。
【0157】
その後リジェクト庫217は、紙幣BLの左辺SLを谷部後端点259若しくはその近傍、又は稜部260に当接ないし摺動させることにより、やはり第1の実施の形態と同様、左後頂点VLをステージアーム31Bと当接させることなく、その上方を通過させることができる。
【0158】
すなわちリジェクト庫217は、上放出案内面253A、案内谷部257及び谷部後端点259若しくはその近傍を、それぞれ第1の実施の形態によるリジェクト庫17の放出案内面53、案内谷部57及び谷部後端点59と同様に機能させる。これによりリジェクト庫217は、第1及び第2の実施の形態と同様に、紙幣BLとステージアーム31Bの衝突を未然に回避することができる。
【0159】
またサイドガイド233は、放出案内面253から凹むように溝部261が形成されおり、その溝幅及び深さ、すなわち上下方向及び左右方向の長さが比較的浅くなっている。このためリジェクト庫217は、例えば紙幣BLの短辺が進行方向である前後方向に対し傾斜していたとしても、集積最上面TSに載置された際に左辺SL及びその近傍が左サイドガイド233Lの溝部261に入り込む可能性を極めて低く抑えることができる。
【0160】
さらにリジェクト庫217は、溝部261における溝幅が比較的狭いため、紙幣BLの左辺SL及びその近傍が当該溝部261に入り込む可能性が低い。またリジェクト庫217では、仮に紙幣BLの左辺SL及びその近傍が当該溝部261に入り込んで支持案内面255上に引っかかった(すなわち一時的に載った)としても、当該支持案内面255における左右方向の幅が狭く不安定であるため、直ちに溝部261から抜け出させて滑降傾斜面256上に落下させることができる。これによりリジェクト庫217は、第1の実施の形態と同様、当該紙幣BLの左辺SL及びその近傍を滑降傾斜面256に沿って滑降させ、紙幣BLを集積空間30SC内に整然と集積することができる。
【0161】
またリジェクト庫217は、その他の点においても第1の実施の形態によるリジェクト庫17と同様の作用効果を奏し得る。
【0162】
以上の構成によれば、第3の実施の形態によるリジェクト庫217は、サイドガイド233の放出案内面253に溝部261を形成し、谷部後端点259を比較的高い位置に設定して、仮想延長線XN1にステージ31の上面31Tよりも上方を通過させるようにした。このためリジェクト庫217は、放出部36から放出した紙幣BLが左右方向に偏っていた場合、当該紙幣BLの左後頂点VL又は右後頂点VRを上放出案内面253Aに当接させた後、案内谷部257又は支持案内面255に沿って前方へ案内できる。その後リジェクト庫217は、紙幣BLの左辺SLを谷部後端点259若しくはその近傍、又は稜部260に当接ないし摺動させることで、ステージアーム31Bに衝突させることなく進行させ、最終的にステージ31上に適切に集積することができる。
【0163】
[4.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、放出部36の放出点36Cとサイドガイド33の谷部後端点59とを結ぶ仮想延長線XN1(
図6)がステージ31の上面31Tよりも上方を通過するよう、サイドガイド33の谷部後端点59の高さを設定する場合について述べた。
【0164】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば紙幣BLの左後頂点VL又は右後頂点VRが仮想延長線XN2に沿って後方へ進行することが判明している場合に、当該仮想延長線XN2がステージ31の上面31Tよりも上方において仮想延長面XSと交差するようにしても良い。
【0165】
また、例えば
図6と対応する
図22に示すように、紙幣BLの左後頂点VL又は右後頂点VRが谷部後端点59を通過した後に仮想的な放物線状の仮想曲線XCを描くように進行することが判明している場合に、当該仮想曲線XCがステージ31の上面31Tよりも上方において仮想延長面XSと交差するよう、当該谷部後端点59の高さを設定しても良い。
【0166】
すなわち本発明は、放出部36から放出された紙幣BLの左後頂点VL又は右後頂点VRが描く軌跡が、ステージ31の上面31Tよりも上方において仮想延長面XSと交差するように、サイドガイド33の谷部前端点58及び谷部後端点59の高さを設定すれば良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
【0167】
また上述した第1の実施の形態においては、ステージ31におけるステージアーム31B及び主載置部31Aの上面を同一の高さとした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、ステージアーム31B及び主載置部31Aの上面を互いに異なる高さとしても良い。この場合、仮想延長線XN1(
図6)がステージアーム31Bの上面よりも上方を通過するよう、サイドガイド33における谷部後端点59の高さを設定すれば良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
【0168】
さらに上述した第1の実施の形態においては、サイドガイド33において平面状の放出案内面53と平面状の支持案内面55とが直線状に接合する部分を案内谷部57とする場合について述べた(
図4及び
図5)。
【0169】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば
図4と対応する
図23に示す左サイドガイド333Lのように、放出案内面353から支持案内面355にかけて傾斜角度が連続的に変化するように滑らかに湾曲する曲面状の部分を、案内谷部57に代わる案内谷部357としても良い。この場合、紙幣BLの左後頂点VLが摺動する位置が一定とはならず、曲面状部分における様々な位置となるため、サイドガイド33の局所的な摩耗を防止することができる。サイドガイド33における他の谷状部分及び山状部分(稜状部分)についても同様であり、また第2及び第3の実施の形態についても同様である。
【0170】
さらに上述した第2の実施の形態においては、放出案内面153に尾根状部161を設けてその上面を支持案内面155とした場合について述べ、第3の実施の形態においては、放出案内面253に溝部261を設けてその底面を支持案内面255とした場合について述べた。
【0171】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば
図4と対応する
図24に示す左サイドガイド433Lのように、上放出案内面453A及び下放出案内面453Bの間に段差を形成し、この段差における上面部分を支持案内面455としても良い。
【0172】
さらに上述した第2の実施の形態においては、一様な平面状に形成された放出案内面153を尾根状部161により上下に分割することにより上放出案内面153A及び下放出案内面153Bをそれぞれ形成する場合について、すなわち両者が互いにほぼ平行であり同一平面内にある場合について述べた。
【0173】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば下放出案内面153Bを上放出案内面153Aに対し平行であり、且つ右前側にせり出すことで同一平面に含まれないように位置させても良い。或いは、例えば下放出案内面153Bを上放出案内面153Aと平行にせず、上側(すなわち尾根状部161との接合部分)よりも下側(すなわち集積案内面154との接合部分)を右前側にせり出すように傾斜させても良く、さらには当該下放出案内面153Bを湾曲面としても良い。第3の実施の形態及び
図23に示した場合についても同様である。
【0174】
さらに上述した第1の実施の形態においては、支持案内面55と集積案内面54との間に滑降傾斜面56を形成する場合について述べた(
図4、
図5)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば支持案内面55の水平方向に対する傾斜角度を比較的大きくする場合に、滑降傾斜面56を省略し、当該支持案内面55と集積案内面54とを直接接合させるように形成しても良い。
【0175】
さらに上述した第1の実施の形態においては、ステージ31の上面31Tに紙幣を集積する方向を上下方向(すなわち鉛直方向)とし、放出部36により内部空間30S内へ紙幣BLを放出する方向をこれと直交する後方向(すなわち水平方向)とする場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばステージ31の上面31Tに紙幣を集積する方向を前斜め上方向とし、放出部36により内部空間30S内へ紙幣BLを放出する方向をこれと直交する後斜め上方向とする等、種々の方向に沿って紙幣を集積すると共に、放出部36からこれとほぼ直交する方向に紙幣BLを放出するようにしても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
【0176】
さらに上述した第1の実施の形態においては、集積最上面TSの高さをほぼ集積高さH2に保つよう、紙幣制御部11によりステージ移動部32を制御する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば集積最上面TSを集積高さH2よりもある程度低い位置まで下降させておき、紙幣BLの集積により集積最上面TSが集積高さH2を超える度にこの位置まで下降させる動作を繰り返しても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
【0177】
さらに上述した第1の実施の形態においては、搬送部13により搬送されてきた紙幣BLを内部に収納する機能を有する一方、収納されている紙幣BLを繰り出す機能を持たないリジェクト庫17にサイドガイド33を設ける場合について述べた。
【0178】
しかしながら本発明はこれに限らず、例えば紙幣BLの収納機能(又は放出機能)及び繰出機能を有する紙幣収納庫16や入出金部12等にサイドガイド33を設けても良い。すなわち本発明は、紙幣を集積すべき集積方向に沿って移動するステージが設けられた空間内に、少なくとも放出部から紙幣を放出してサイドガイドにより紙幣の位置を規制しながらステージ上に集積する種々の箇所に適用することができる。
【0179】
さらに上述した第1の実施の形態においては、利用者との間で媒体としての紙幣を取引する現金自動預払機1の紙幣入出金機10におけるリジェクト庫17に本発明を適用した場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば各種金券や証券等のような紙葉状の媒体を取り扱う種々の装置において、当該媒体を集積して収納する箇所に本発明を適用しても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
【0180】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0181】
さらに上述した第1の実施の形態においては、放出部としての放出部36と、ステージとしてのステージ31と、サイドガイドとしてのサイドガイド33と、ステージ移動部としてのステージ移動部32と、ステージアームとしてのステージアーム31Bとによって媒体集積装置としてのリジェクト庫17を構成し、当該サイドガイドを放出案内面としての放出案内面53と、支持案内面としての支持案内面55と、案内谷部としての案内谷部57とにより構成する場合について述べた。
【0182】
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる放出部と、ステージと、サイドガイドと、ステージ移動部と、ステージアームとによって媒体集積装置を構成し、当該サイドガイドをその他種々の構成でなる放出案内面と、支持案内面と、案内谷部とにより構成しても良い。
【0183】
さらに上述した第1の実施の形態においては、放出部としての放出部36と、ステージとしてのステージ31と、サイドガイドとしてのサイドガイド33と、ステージ移動部としてのステージ移動部32と、ステージアームとしてのステージアーム31Bと、制御部としての紙幣制御部11とによって媒体取引装置としての現金自動預払機1を構成し、当該サイドガイドを放出案内面としての放出案内面53と、支持案内面としての支持案内面55と、案内谷部としての案内谷部57とにより構成する場合について述べた。
【0184】
しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる放出部と、ステージと、サイドガイドと、ステージ移動部と、ステージアームと、制御部とによって媒体取引装置を構成し、当該サイドガイドをその他種々の構成でなる放出案内面と、支持案内面と、案内谷部とにより構成しても良い。