特許第6303913号(P6303913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6303913
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 29/14 20060101AFI20180326BHJP
   H04L 12/70 20130101ALI20180326BHJP
【FI】
   H04L13/00 315A
   H04L12/70 100Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-165194(P2014-165194)
(22)【出願日】2014年8月14日
(65)【公開番号】特開2016-42631(P2016-42631A)
(43)【公開日】2016年3月31日
【審査請求日】2017年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】特許業務法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 力孝
【審査官】 森谷 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−297682(JP,A)
【文献】 特開2013−162475(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/021109(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 29/14
H04L 12/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムを格納する記憶部と、
PHY状態レジスタ及びループバック機能部を有しかつネットワークに接続されるトランシーバ部と、
前記記憶部に接続されかつ前記オペレーティングシステム及び前記アプリケーションプログラムの少なくとも1つを実行するアプリケーション実行部と、
前記トランシーバ部と前記アプリケーション実行部とを接続するメディア独立インターフェース部と、
前記メディア独立インターフェース部に設けられた信号制御部であって、前記PHY状態レジスタの値を保持できるダミーレジスタと前記アプリケーション実行部からの指示に応じて前記PHY状態レジスタの値を周期的に読出して前記ダミーレジスタに前記PHY状態レジスタの値を周期的に書込む複製制御部とを有する前記信号制御部と、
前記信号制御部と前記記憶部に接続されかつ前記トランシーバ部に対するループバック試験の実行を前記ループバック機能部に伝達する信号制御ラインと、を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記信号制御部は、前記ループバック試験の実施時に、前記複製制御部に前記PHY状態レジスタの値の読出及び書込を停止させ、前記トランシーバ部に対するループバック試験を前記ループバック機能部に実施させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記信号制御部は前記メディア独立インターフェース部における管理データ入出力ラインを介して制御されることを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記信号制御ラインはパラレルバスであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置に関し、さらに、ループバック試験機能を有する組み込みOS(オペレーティングシステム)搭載機器等の組み込みシステムの通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通信装置を用いてネットワーク接続が可能な産業機器の普及に伴い、組み込みシステムの開発でもIP(Internet Protocol)通信を利用するケースが増えている。
【0003】
ネットワーク接続で最も使用されているEthernet(イーサネット)(登録商標)は、会社や家庭で一般的に使用されているLAN(Local Area Network)の通信規格である。ネットワーク通信では、ネットワークに接続された複数のコンピュータの間でデータを伝送するための機能を提供する主に物理的な規格である「イーサネット」と、通信内容の取り決めを決めた「TCP/IPプロトコル」の組み合わせの使用が一般的である。
【0004】
イーサネット規格の基本仕様は、7層あるOSI基本参照モデル[アプリケーション層(第7層),プレゼンテーション層(第6層),セッション層(第5層),トランスポート層(第4層),ネットワーク層(第3層),データリンク層(第2層),物理層(第1層)]の下位2層、データリンク層,物理層相当で規定されている。「TCPプロトコル」及び「IPプロトコル」はトランスポート層(第4層)及びネットワーク層(第3層)相当で規定されている。
【0005】
ネットワークに接続する通信装置のEtherコントローラには、データリンク層の処理を担うMAC(Media Access Control)回路や物理層の処理を担うトランシーバとして知られているPHY回路すなわちPHYデバイスが含まれる。信号の高速化により、物理層のアナログデジタル処理(フレーム符号化、シリアル/パラレル変換及び信号波形変換等)を行うPHYデバイスは、イーサネットの高速デジタル処理を行うMAC回路と一体化され難くなっている。
【0006】
IP通信ではループバック機能が定義されている。多くのIPバージョン4(IPv4)の実装ループバックソフトウェアはループバックアドレスとして127.0.0.1を使用している。また、ループバック機能を実装したPHYデバイスが市場で増えている。
【0007】
ループバックアドレスを使用して、デバイス上で実行されている別のソフトウェアプロセスをアドレス指定し、当該デバイス内部(内部ループバック)でもループバック試験できる。
【0008】
特許文献1には、FPGA(field−programmable gate array)からPHYデバイスに対するループバック試験を制御する機能を有するネットワーク装置が記載されている。
【0009】
かかるネットワーク装置では、ループバック試験による処理負荷増加の排除のために、ソフトウェア非介在でハードウェアのみでループバック試験を実施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平2009−177681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ネットワークに接続可能な組み込みシステムにおいて組み込みOS(オペレーティングシステム)としてμITRONの他に、Linux(登録商標)も広く用いられている。
【0012】
しかしながら、Linuxでは、アプリケーションプログラムからPHYデバイスに対するループバック試験を実施するためのアプリケーションプログラミングインターフェース(API)は実装されていない。
【0013】
そこで、通信装置におけるアプリケーションプログラム用のAPIを開発者がLinuxへ追加しようとする場合に、アプリケーションプログラムからPHYデバイスに対するループバック試験を実施するためには、まず、Linuxカーネルのネットワーク層、PHYドライバ及びEtherドライバを変更し、次に、該試験のためのAPIを実装する必要がある。
【0014】
APIをLinuxベンダーが供給するLinuxを通信装置に使用している場合、ベンダーによるLinuxの変更となる。結果として、開発者にとってはコスト及び、開発期間増という課題が生じる。
【0015】
一方、ユーザーにより変更可能なアプリケーションプログラムから通信装置のPHYデバイスを直接制御して、ループバック試験を実施する場合、LinuxがPHYデバイスの状態を常時監視し管理しているため、アプリケーションプログラムによるループバック試験の実施により、リンクダウン検出等の問題が生じる。ユーザーはLinuxによるPHYデバイスの制御/監視のすべてを把握し意識していないため、意図しない動作が発生する場合がある。
【0016】
通信装置のPHYデバイスに対するループバック試験の主体であるPHYデバイスは、Linux管理リソースであり、アプリケーションプログラムから直接制御する事はできず、実現の為にはLinuxの変更が必要になる。
【0017】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その課題の一例として、アプリケーションプログラム用のAPIを持たないオペレーティングシステムを搭載していなくとも、ループバック試験を実施できる通信装置を提供することが挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を達成するために、本発明の通信装置は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムを格納する記憶部と、
PHY状態レジスタ及びループバック機能部を有しかつネットワークに接続されるトランシーバ部と、
前記記憶部に接続されかつ前記オペレーティングシステム及び前記アプリケーションプログラムの少なくとも1つを実行するアプリケーション実行部と、
前記トランシーバ部と前記アプリケーション実行部とを接続するメディア独立インターフェース部と、
前記メディア独立インターフェース部に設けられた信号制御部であって、前記PHY状態レジスタの値を保持できるダミーレジスタと前記アプリケーション実行部からの指示に応じて前記PHY状態レジスタの値を周期的に読出して前記ダミーレジスタに前記PHY状態レジスタの値を周期的に書込む複製制御部とを有する前記信号制御部と、
前記信号制御部と前記記憶部に接続されかつ前記トランシーバ部に対するループバック試験の実行を前記ループバック機能部に伝達する信号制御ラインと、を備えることを特徴とする。
【0019】
上記本発明の通信装置において、前記信号制御部は、前記ループバック試験の実施時に、前記複製制御部に前記PHY状態レジスタの値の読出及び書込を停止させ、前記トランシーバ部に対するループバック試験を前記ループバック機能部に実施させるように構成されてあることが好適である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、例えば、オペレーティングシステムとしてのLinux上のアプリケーションプログラムからトランシーバ部すなわちPHYデバイスに対するループバック試験を指示する場合に、Linux等のオペレーティングシステムとは別のインターフェースすなわちパラレルバス等の信号制御ラインやアプリケーションプログラムが設けられてある故に、ループバック機能部を活性化する自由度が広がる。
【0021】
また、本発明によれば、前記別のインターフェースからの指示信号と前記PHY状態レジスタの複製のダミーレジスタを設けることで、試験実施中のPHYデバイスの状態の変化をLinuxによる常時監視から隠蔽できるようになる故に、Linux等のアプリケーションプログラム用のAPIを持たないオペレーティングシステムのネットワーク層、PHYドライバ、Etherドライバを変更することなくアプリケーションプログラムからPHYデバイスに対するループバック試験が実施可能となる。
【0022】
上記本発明の通信装置において、前記信号制御部は前記メディア独立インターフェース部における管理データ入出力ラインを介して制御されることが好適である。上記本発明の通信装置において、前記信号制御ラインはパラレルバスであることが好適である。これらにより、前記信号制御部の制御のためのライン及び信号制御ラインは簡易に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施例に係る通信装置の構成に示すブロック図である。
図2】本発明の実施例に係る通信装置におけるデータ及び制御信号の流れを示すブロック図である。
図3】本発明の実施例に係る通信装置の通常時の動作におけるデータ及び制御信号の流れを示すブロック図である。
図4】本発明の実施例に係る通信装置の通常時の動作におけるデータ及び制御信号の流れを示すブロック図である。
図5】本発明の実施例に係る通信装置の通常時の動作におけるデータ及び制御信号の流れを示すブロック図である。
図6】本発明の実施例に係る通信装置のループバック試験の指示までの動作におけるデータ及び制御信号の流れを示すブロック図である。
図7】本発明の実施例に係る通信装置のループバック試験の実施時の動作におけるデータ及び制御信号の流れを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例の一例について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0025】
図1は、イーサネットで物理的に対向装置(図示せず)と有線接続できる実施例の通信装置11の構成を示すブロック図である。図2は、通信装置11におけるデータ及び制御信号の流れを示すブロック図である。
【0026】
通信装置11のパラレルバス12には、DRAM13、アプリケーション実行部14及び信号制御部15が接続されている。
【0027】
記憶部であるDRAM13には、linux13B及びアプリケーションプログラム13Aが格納されている。たとえば、アプリケーションプログラム13Aは装置制御用のソフトウェアである。DRAM13はアプリケーション実行部14の処理においてデータの一時記憶領域に使用される。
【0028】
アプリケーション実行部14は、通信プロトコルの処理ができるマイクロプロセッサのCPUコア16を含み、TCP/IPプロトコルの通信処理を行う。より具体的には、CPUコア16は、ネットワーク層以上の処理、例えば、IPv4(IPバージョン4)の処理等を行う。
【0029】
さらに、アプリケーション実行部14は、CPUコア16に接続されたイーサネットの処理を行うMAC回路17を含む。
【0030】
信号制御部15はFPGA(図示せず)とFPGAデータとテストデータを格納しているフラッシュメモリ(図示せず)とを含む。信号制御部15は、起動時、該FPGAにフラッシュメモリからFPGAデータがコンフィグレーションされ、ループバック試験のための制御パターン(複製制御部)がプログラミングされるように構成されている。
【0031】
よって、信号制御部15は、ループバック試験を制御する複製制御部15Aを備えている。信号制御部15は、FPGAにおける複数のレジスタを備えている。そのレジスタの一部がダミーレジスタ15Bとして使用される。複製制御部15Aは、制御されるPHYデバイス18内の所定のレジスタ(状態レジスタ18B)の値を読出して、信号制御部15のダミーレジスタ15Bに書込む。ダミーレジスタ15Bはその複製値を保持する。信号制御部15の複製制御部15Aは、アプリケーションプログラム13Aにより、CPUコア16及びパラレルバス12を介して制御される。なお、パラレルバス12の信号制御部インターフェースのほかに、Ether等の制御部インターフェースが使用可能であり、特に信号制御部15のための制御インターフェースの種類は問わない。
【0032】
また、通信装置11は、信号制御部15の下位にPHYデバイス18を備える。PHYデバイス18はループバック機能部18Aを有する。PHYデバイス18はPHYデバイス18を制御/監視するための複数のレジスタ例えば32個のレジスタ(図示せず)を有する。複数のレジスタには制御レジスタ(図示せず)と状態レジスタ18Bが基本レジスタとして含まれる。
【0033】
さらに、通信装置11はメディア独立インターフェース部としてMII(Media Independent Interface)19a,19bと、MDI(Management Data Interface)20a,20bを備える。メディア独立インターフェース部のMIIとMDIは、IEEE802.3に説明されている。MIIは、パケットデータのクロック等を含む送受信信号の複線式パラレルインターフェースである。MDIは、MDIO(Medium Dependent Input/Output)と、MDC(Management data clock)からなる2線式シリアルインターフェースである。MDIOインターフェースがPHYデバイス18のレジスタへのアクセスに用いられる。
【0034】
MAC回路17に接続されたMII19a及びMDI20aはアプリケーション実行部14と信号制御部15とを接続する。CPUコア16に接続されたMDI20aはアプリケーション実行部14と信号制御部15とを接続する。MDI20aは信号制御部15内のダミーレジスタ15Bに接続される。
【0035】
信号制御部15をそのまま通過したMII19b及びダミーレジスタ15Bに接続されたMDI20bは信号制御部15とPHYデバイス18とを接続する。MII19bからのパケットデータに基づきPHYデバイス18で変換されたアナログ信号が対向装置へ出力される。ダミーレジスタ15Bに接続されたMDI20aはPHYデバイス18内のレジスタ18Bに接続される。PHYデバイス18内でレジスタ18Bに接続されたループバック機能部18Aはレジスタ18Bの値に応じてループバック試験を実行する。
【0036】
LinuxデバイスドライバソフトウェアによりCPUコア16を介してPHYデバイス18を操作するには、管理データ入出力ラインのMDI20a,20bと信号制御部15とを通じてPHYデバイス18内のレジスタ18Bにアクセスする。
【0037】
本実施例によれば、信号制御部15がPHYデバイス18のレジスタ情報を透過(通常時)、または、保持(試験時)することで、試験中に発生するリンクダウンをLinuxに対して隠蔽できる。よって、試験前のレジスタ状態が保持されているので、Linuxは試験を実施していることを認識できず、Linuxによる割り込みが発生せずに、ループバック試験を短時間で実行できる。
【0038】
さらに、本実施例では、ループバック試験はハード(PHYデバイス18のループバック機能部18A)で実施すると共に、この時点でソフトウェアインターフェースであるPHY状態(PHYデバイス18内のレジスタ18Bの値)を、FPGA内のダミーレジスタ15Bで擬似することで、Linuxソフトウェア(OSドライバ)の変更が生じない。Linuxが自ら開発したものではない上に、ソフトウェアの修正が、OS自体、ドライバと複数にわたるため、多岐の修正が従来は必要であったが、それが解消される。
【0039】
次に、通信装置11の通常時の動作を説明する。図3図5は、通信装置11の通常時の動作を示す図である。DRAM13のLinux13BによりPHYデバイス18を制御するためのレジスタへの書込は、管理データ入出力ラインのMDI20a,20bを介して信号制御部15内のダミーレジスタ15Bに対して行う。図3の三角矢印一点鎖線で示すように、ダミーレジスタ15Bへの書込は信号制御部15のダミーレジスタ15Bでは実行せず、制御信号はPHYデバイス18内の状態レジスタ18Bに書込まれる。
【0040】
PHYデバイス18の状態変化による、状態レジスタ18Bの変化した値は、図4の三角矢印一点鎖線で示すように、信号制御部15の複製制御部15Aがダミーレジスタ15Bに周期的に複製することで、ダミーレジスタ15Bにも反映される。
【0041】
Linux13Bによる、状態レジスタ18Bの状態読み取りは、図5の三角矢印一点鎖線で示すように、信号制御部15内のダミーレジスタ15Bに対する読出として実施されるが、複製動作により、PHYデバイス18内の状態レジスタ18Bと同一の値が読出される。
【0042】
上記により、Linux13Bによる信号制御部15内のダミーレジスタ15Bに対する読出又は書込は、PHYデバイス18内の状態レジスタ18Bに対する読出又は書込を実施するのと等しい動作となる。
【0043】
次に、通信装置11におけるループバック試験の指示までの動作を説明する。図6は、当該ループバック試験の指示までの動作を示す図である。図6の三角矢印実線で示すように、DRAM13のアプリケーションプログラム13Aにより、信号制御部15の複製制御部15Aに対し、パラレルバス12を介して試験指示を行う。試験指示を受けた信号制御部15は、通常動作時に実施している、状態レジスタ18Bからダミーレジスタ15Bへの複製動作を停止する。複製動作を停止することで、Linux13Bが信号制御部15内のダミーレジスタ15Bから読出す値は、試験実施前の値で固定される。
【0044】
次に、通信装置11におけるループバック試験の試験実施時の動作を説明する。図7は、当該ループバック試験の実施時の動作を示す図である。図7の三角矢印実線で示すように、パラレルバス12を介して制御された信号制御部15内の複製制御部15Aは、管理データ入出力ラインのMDI20bを介し、PHYデバイス18内の状態レジスタ18Bを制御し、状態レジスタ18Bを介してループバック機能部18Aが起動してPHYデバイス18に対するループバック試験を実施する。当該試験実施により変化するPHYデバイス18内のダミーレジスタ15Bの値は、状態レジスタ18Bからダミーレジスタ15Bへの複製を停止している故に、Linux13Bに対して隠蔽される。
【0045】
以上の実施例によれば、PHYデバイス18に対するループバック試験の実施時のPHYデバイス18の状態の変化をLinuxに対して隠蔽できる。さらに、DRAM13からパラレルバス12を介した試験指示、及び、ループバック機能部18AによるPHYデバイス18に対するループバック試験の制御により、Linuxへの変更を必要とせずに、アプリケーションプログラムからPHYデバイス18に対するループバック試験を実施することができる。
【0046】
ループバック試験は、通信装置の電源を入れた時や、自立診断試験POSTの時に実施され得る。さらに、状態レジスタ18Bを定期的に読出すことにより、Ether故障を検出した時に実施できるので、装置の故障個所の切り分けが容易に達成できる。
【0047】
上記の実施例において信号制御部15とPHYデバイス18及びMAC回路17との間の制御のためメディア独立インターフェース部としてMIIを用いているが、PHYデバイス18とMAC回路17は、IEEE802.3で標準化されているGMII、RGMII等のバスインターフェースで接続されてもよい。
【0048】
上記の実施例においてCPUコア16が行うネットワーク層のプロトコルとしては、IPv4の他に、IPv6(IPバージョン6)、ICMPが挙げられる。CPUコア16は、トランスポート層のプロトコルとしては、UDPも処理でき、送信フロー制御や輻輳制御、通信エラー制御もできる。
【0049】
さらに、CPUコア16が行うアプリケーション層には、インターネットにおいて標準的に利用するアプリケーションプロトコルであるHTTP、FTP、SMTP、RTP等が挙げられる。
【符号の説明】
【0050】
11 通信装置
12 パラレルバス
13 DRAM
13B linux
13A アプリケーションプログラム
14 アプリケーション実行部
15 信号制御部
15A 複製制御部
15B ダミーレジスタ
16 CPUコア
17 MAC回路
18 PHYデバイス
18A ループバック機能部
18B 状態レジスタ
19a,19b 送受信データライン
20a,20b 管理データ入出力ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7