(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本実施形態について説明する。
なお、本実施形態において、「A〜B」との記載は、AからBの間の範囲だけでなく、その両端であるA及びBも含む範囲を表す。例えば、「A〜B」が数値範囲であれば、「A以上B以下」又は「B以上A以下」を表す。
また、本実施形態において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。更に、以下の説明において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
【0009】
(静電荷像現像用トナー)
本実施形態の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」又は「光輝性トナー」ともいう。)は、結着樹脂及び金属顔料を含むトナー母粒子と、円相当径Eが0.05μmを超えるシリカ粒子(以下、「特定シリカ粒子」ともいう。)とを含有し、前記トナー母粒子の、数平均最大厚さCと数平均円相当径Dが、0.700<C/D<1.200の関係を満たし、前記シリカ粒子の数平均円相当径dが0.07μm<d<0.30μmを満たし、平均円形度が0.80〜1.00であることを特徴とする。
【0010】
金属顔料を着色剤として含むトナーにおいて、十分な光輝性を示す画像を得るためには、金属顔料の粒径を大きくすることが好ましい。
本発明者らは、こうした大きな顔料を含むトナーを乾式法により製造する場合、粉砕の衝撃を受けて、金属顔料の周りに亀裂を発生しやすく、金属顔料がトナー表面又は表面近傍に存在したトナー構造になりやすいことを見出した。また、湿式法によりトナーを製造した場合にも、特に溶解懸濁法を採用した場合には、有機溶媒に不溶な金属顔料や難溶性樹脂が核となり造粒が進行するが、金属顔料の粒径が大きくほぼトナー粒径に近いことや、金属顔料と樹脂の親和性に差がある場合があることから、金属顔料がトナー表面又は表面近傍に存在したトナー構造になりやすいことを見出した。また、本発明者らは、径が大きいトナー母粒子には、径が大きい金属顔料粒子が含まれている傾向があることを見出した。
更に、本発明者らは、一般に金属顔料の電気抵抗は低いため、上記構造のトナーは電荷漏洩路を形成し、特に大径のトナー粒子においては、内包する金属顔料粒子の径が大きいため電荷が漏洩しやすく、表面積も大きいため、トナー粒子が均一に帯電するまでに時間がかかり現像工程に寄与しにくいことを見出した。そのため、特に高温高湿下、更に高温高湿下の現像器駆動開始からあまり時間が経過しない条件において、大径の金属顔料粒子を含み、被定着体上にトナー粒子を均一に配置するために有利である大径のトナー粒子が存在しにくいため、被定着体上のトナー層に金属顔料が一様に配列できず、得られる画像における光輝性が不十分であるという問題が存在することを見出した。
【0011】
本発明者らは、詳細に検討を行った結果、本実施形態の静電荷像現像用トナーは、高温高湿環境下の印刷においても、得られる画像における光輝性に優れることを見出した。
効果が得られる詳細なメカニズムは不明であるが、本実施形態におけるトナーの表面若しくは表面近傍に金属顔料が存在する箇所がトナー凸部になりやすく、本実施形態における特定シリカ粒子は特定の粒径を有しており、形状が球状であるため、トナー表面の凹部に存在しやすいと推測している。その結果、トナー凹部にマイナス帯電が付与されるため、電荷漏洩が弱まり、またトナー表面凹凸部各々で非静電的付着力と静電的付着力が高くなるため、キャリアに保持され摩擦帯電をしやすくなり、大径のトナー粒子の帯電立ち上がりが均一になりやすいと推測している。
また、大径のトナー粒子ほどトナー表面凹凸差が大きいため、特定シリカ粒子がより凹部に偏在しやすく、結果として、大径のトナー粒子が現像に寄与しやすくなり、光輝性に優れた画像が得られやすいと推測している。
以下、トナーを構成する各成分や物性値について詳述する。
【0012】
なお、本実施形態における「光輝性」とは、トナーによって形成された画像を視認した際に金属光沢のごとき輝きを有することを表す。「金属光沢」を定量的に説明すると、ベタ画像を形成した場合に、該画像に対し変角光度計により入射角−45°の入射光を照射した際に測定される受光角+30°での反射率Aと受光角−30°での反射率Bとの比(A/B)が2以上100以下であることが好ましい。上記の比(A/B)は、4以上100以下であることがより好ましい。上記の範囲内であると、広い視野角で金属光沢が観察でき、かつカラー画像がくすんで見えることを防止可能である。比(A/B)の測定は、トナー載り量4.5g/m
2のベタ画像について変角光度計により行う。なお、前記「ベタ画像」とは印字率100%の画像を指す。
【0013】
〔A/Bの測定〕
ここで、まず入射角及び受光角について説明する。本実施形態において変角光度計による測定の際には、入射角を−45°とするが、これは光沢度の広い範囲の画像に対して測定感度が高いためである。
また、受光角を−30°及び+30°とするのは、光輝感のある画像と光輝感のない画像を評価するのに最も測定感度が高いためである。
次いで、比(A/B)の測定方法について説明する。
本実施形態においては、比(A/B)を測定するに際し、まず「ベタ画像」を以下の方法により形成する。試料となる現像剤を、富士ゼロックス(株)製DocuCentre−III C7600の現像器に充填し、記録紙(OKトップコート+紙、王子製紙(株)製)上に、定着温度190℃、定着圧力4.0kg/cm
2にて、トナー載り量が4.5g/cm
2のベタ画像を形成する。
形成したベタ画像の画像部に対し、変角光度計として日本電色工業(株)製の分光式変角色差計GC5000Lを用いて、ベタ画像への入射角−45°の入射光を入射し、受光角+30°における反射率Aと受光角−30°における反射率Bを測定する。なお、反射率A及び反射率Bは、400nmから700nmの範囲の波長の光について20nm間隔で測定を行い、各波長における反射率の平均値とした。これらの測定結果から比(A/B)が算出される。
【0014】
図1を参照して、本実施形態におけるトナーを模式的に説明する。
図1は、本実施形態のトナーが含む、トナー母粒子の一例を示す概略図である。トナー母粒子は、結着樹脂1及び金属顔料2を含有する。光輝性トナー母粒子は、球形に近い全体形状を有し、その厚さに平行な粒子断面には、薄片状の金属顔料2の断面も含まれる。
図1中のS1付近は、表面若しくは表面近傍に金属顔料が存在する箇所であり、トナー凸部になりやすい箇所である。また、
図1中のS2付近は、表面若しくは表面近傍に金属顔料が存在しない箇所である。
【0015】
<トナー母粒子>
本実施形態の静電荷像現像用トナーにおけるトナー母粒子は、結着樹脂及び金属顔料を含み、数平均最大厚さCと数平均円相当径Dが、0.700<C/D<1.200の関係を満たす。
【0016】
〔トナー粒子の数平均最大厚さC及び数平均円相当径D〕
前記の通り、トナー粒子は非扁平形状である。すなわち数平均最大厚さCと数平均円相当径Dが、0.700<C/D<1.200の関係を満たす。
また、トナー粒子における比(C/D)の値は、0.750<C/D<1.00が好ましい。C/Dが0.700より低い場合には、本実施形態のシリカ粒子がトナー表面凹部から転がり出て偏在しにくく、本実施形態による効果が得られにくい。C/Dが1.200以上である場合には、トナー表面凹凸が小さく、凹部に本実施形態のシリカが偏在されにくいため、本発明の効果が得られにくい。
【0017】
上記数平均最大厚さC及び数平均円相当径Dは、以下の方法により測定される。
トナーを平滑面にのせ、振動を掛けてムラのないように分散する。100個のトナーについて、カラーレーザー顕微鏡「VK−9700」((株)キーエンス製)により1,000倍に拡大して最大の厚さCと上から見た面の投影面積より算出した円相当径Dを測定し、それらの算術平均値を求めることにより算出する。
【0018】
〔金属顔料〕
本実施形態におけるトナー母粒子は、金属顔料を含有する。
本実施形態におけるトナー母粒子に用いられる金属顔料としては、例えば、アルミニウム、黄銅、青銅、ニッケル、ステンレス、亜鉛、銅、銀、金、白金などの金属粉末、金属蒸着された薄片状ガラス粉などが挙げられる。前記金属顔料の中でも特に、入手容易性等の観点から、アルミニウムが最も好ましい。前記金属顔料の表面は、シリカ粒子、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などで被覆されていてもよい。金属顔料の形状は、鱗片状(平板状)又は扁平状であることが好ましく、鱗片状であることがより好ましく、また、金属顔料は、金属顔料の数平均最大厚さよりも金属顔料の数平均円相当径が長いことが好ましい。
【0019】
金属顔料は、1種単独で含有しても、2種以上を含有してもよい。
本実施形態に用いられるトナーにおける金属顔料の含有量としては、トナー100質量部に対して、1質量部以上70質量部以下が好ましく、5質量部以上50質量部以下がより好ましい。
【0020】
〔結着樹脂〕
本実施形態におけるトナー母粒子は、結着樹脂を含有する。
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合わせた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好適である。
【0021】
ポリエステル樹脂としては、例えば、公知のポリエステル樹脂が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。なお、ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸とともに、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、より好ましくは芳香族ジオールである。
多価アルコールとしては、ジオールとともに、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
【0023】
ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5,000以上1,000,000以下が好ましく、7,000以上500,000以下がより好ましい。
ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2,000以上100,000以下が好ましい。
ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー(株)製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー(株)製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
【0024】
ポリエステル樹脂は、周知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。
なお、原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶媒を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分とともに重縮合させることが好ましい。
結着樹脂の含有量としては、例えば,トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下が更に好ましい。
【0025】
〔離型剤〕
本実施形態におけるトナーは、トナー母粒子に離型剤を含有することが好ましい。
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
【0026】
離型剤の具体例としては、例えば、エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンとポリプロピレンの共重合物が好ましいが、ポリグリセリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス、脱酸カルナバワックス、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベフェニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの、不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0027】
前記離型剤は、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
離型剤は、結着樹脂100質量%に対して、1〜20質量%の範囲で含有することが好ましく、3〜15質量%の範囲で含有することがより好ましい。上記範囲であると、良好な定着及び画質特性の両立が可能である。
【0028】
〔他の着色剤〕
本実施形態におけるトナー母粒子は、必要に応じ、金属顔料以外の着色剤を含有してもよい。
他の着色剤としては、公知のものを用いることができ、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から任意に選択すればよい。
具体的には、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドCローズベンガル、などの種々の顔料や、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種着色剤などが例示される。
【0029】
また、他の着色剤として、具体的には、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、アニリンブルー(C.I.No.50405)、カルコオイルブルー(C.I.No.azoic Blue3)、クロムイエロー(C.I.No.14090)、ウルトラマリンブルー(C.I.No.77103)、デュポンオイルレッド(C.I.No.26105)、キノリンイエロー(C.I.No.47005)、メチレンブルークロライド(C.I.No.52015)、フタロシアニンブルー(C.I.No.74160)、マラカイトグリーンオクサレート(C.I.No.42000)、ランプブラック(C.I.No.77266)、ローズベンガル(C.I.No.45435)、これらの混合物などが好ましく用いられる。
【0030】
他の着色剤の使用量は、トナー母粒子100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜10質量部であることがより好ましい。また、着色剤として、これらの顔料や染料等を1種単独で使用する、又は、2種以上を併せて使用可能である。
他の着色剤の分散方法としては、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、何ら制限されるものではない。また、これらの着色剤粒子は、その他の粒子成分とともに混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段階で添加してもよい。
【0031】
〔その他の成分〕
本実施形態におけるトナーには、前記成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を添加してもよい。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。上記磁性体等を含有させて磁性トナーとして用いる場合、これらの強磁性体は平均粒子が2μm以下であることが好ましく、0.1〜0.5μm程度であることがより好ましい。トナー中に含有させる量としては樹脂成分100質量部に対し20〜200質量部が好ましく、特に樹脂成分100質量部に対し40〜150質量部が好ましい。また、10Kエルステッド印加での磁気特性が保磁力(Hc)が20〜300エルステッド、飽和磁化(σs)が50〜200emu/g、残留磁化(σr)が2〜20emu/gのものが好ましい。
【0032】
帯電制御剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、サリチル酸金属錯体、アゾ系金属化合物のような含金属染料、マレイン酸を単量体成分として含む重合体のごとき高分子酸、四級アンモニウム塩、ニグロシン等のアジン系染料等が挙げられる。
【0033】
トナー母粒子は、粘弾性調整を目的として、無機粉体を含んでもよい。無機粉体としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等の下記に詳細に列挙する、通常トナー表面の外添剤として使用される全ての無機粒子が挙げられる。
【0034】
〔トナー母粒子の物性〕
トナー母粒子の体積平均粒径は1μm以上30μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上20μm以下である。なお、上記体積平均粒径の値は球相当径の体積平均値を表す。
具体的には、前記体積平均粒径D
50vは、コールターマルチサイザーII型(ベックマン・コールター社製)等の測定器で測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積D
16v、数D
16p、累積50%となる粒径を体積D
50v、数D
50p、累積84%となる粒径を体積D
84v、数D
84pと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D
84v/D
16v)
1/2として算出される。
また、トナー母粒子の形状係数SF1は、110以上150以下が好ましく、120以上140以下がより好ましい。
【0035】
トナー母粒子等の粒子の平均粒径測定には、コールターマルチサイザーII型(ベックマン・コールター社製)が用いられる。この場合、粒子の粒径レベルにより、最適なアパーチャーを用いて測定可能である。測定した粒子の粒径は体積平均粒径で表す。
粒子の粒径がおよそ5μm以下の場合は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(LA−700、(株)堀場製作所製)を用いて測定可能である。
更に、粒径がナノメーターオーダーの場合は、BET式の比表面積測定装置(Flow SorbII2300、(株)島津製作所製)を用いて測定される。
【0036】
<外添剤>
〔特定シリカ粒子〕
本実施形態のトナーは、外添剤として、特定シリカ粒子を含有する。特定シリカ粒子は、円相当径Eが0.05μmを超え、数平均円相当径dが0.07μm<d<0.30μmを満たし、平均円形度が0.80〜1.00であることを特徴とする
【0037】
−円相当径E、数平均円相当径d及び平均円形度−
トナー粒子に外添剤を外添させた後の外添剤一次粒子を、SEM装置により40,000倍で観察し、得られた一次粒子の画像処理解析ソフトWinRoof(三谷商事(株))を用いた画像解析から、円相当径Eが得られる。円相当径E>0.05μmの粒子の数平均値として、数平均円相当径dが得られる。
前記シリカ粒子の円形度は、トナー粒子に外添剤を外添させた後の外添剤一次粒子を、SEM装置により40,000倍で観察し、得られた一次粒子の画像処理解析ソフトWinRoof(三谷商事(株))を用いた画像解析から、円相当径が0.05μmより大きい粒子を用いて、下記式により算出される「100/SF2」として得られる。
円形度(100/SF2)=4π×(A/I
2)
〔式中、Iは画像上における外添剤の一次粒子の周囲長を示し、Aは外添剤の一次粒子の投影面積を表す。SF2は形状係数を表す。〕
外添剤(湿式法シリカ)の平均円形度は、上記画像解析によって得られた、円相当径が0.05μmより大きい粒子100個の円相当径の累積頻度における50%円形度として得られる。
【0038】
本実施形態における特定シリカ粒子の数平均円相当径dは、0.07μm<d<0.30μmを満たし、0.10〜0.25μmであることが好ましい。上記範囲内であれば、形成する画像の光輝性に優れた静電荷像現像用トナーが得られる。
特定シリカ粒子の含有量は、トナー母粒子100質量部に対し、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.2〜5質量部であることがより好ましく、0.3〜3質量部であることが更に好ましい。本発明のシリカの粒径が0.07μmより小さい場合には、本発明のシリカが埋没しやすく、トナー表面凹部に偏在する実質量が少なくなり、本発明の効果が得られにくい。本発明のシリカが0.30μmより大きい場合には、トナー表面凹部から転がり出て偏在しにくく、本発明の効果が得られにくい。
【0039】
−特定シリカ粒子の製造方法−
本実施形態における特定シリカ粒子の製造方法としては、特に限定されず、公知の製造方法を使用可能であり、例えば気相法又はゾルゲル法により製造され、特定シリカ粒子の平均円形度や円相当径等の形状制御が可能である点、及び、電気抵抗が低下可能である点から、ゾルゲル法により製造することが好ましい。なお、ゾルゲル法に限定されるものではない。以下、ゾルゲル法について簡単に説明する。
【0040】
−ゾルゲル法−
ゾルゲル法による特定シリカ粒子の製造方法は、加水分解、縮重合工程のアルコキシシラン、アンモニア、アルコール、水の重量比、反応温度、撹拌速度、供給速度により粒径、形状を自由に制御することができる。
すなわち、テトラメトキシシランを、水、アルコールの存在下、アンモニア水を触媒として温度をかけながら滴下、撹拌を行う。次に、反応により得られたシリカゾル懸濁液から溶媒を除去、乾燥することにより、目的のシリカ粒子が得られる。
この後、得られたシリカ粒子は、必要に応じて、疎水化処理がなされる。
なお、ゾルゲル法により特定シリカ粒子を製造する際、同時にシリカ粒子表面の疎水化処理を行ってもよい。
この場合は、前述のように、反応により得られたシリカゾル懸濁液の遠心分離を行い、湿潤シリカゲルとアルコールとアンモニア水とに分離した後、湿潤シリカゲルに溶媒を加え再度シリカゾルの状態にし、疎水化処理剤を加え、シリカ粒子の表面の疎水化を行う。次に、この疎水化処理シリカゾルから溶媒を除去、乾燥することにより、目的のシリカ粒子が得られる。また、このようにして得られたシリカ粒子に再度、疎水化処理を行っても構わない。
上述したような特定シリカ粒子表面の疎水化処理に用いられる疎水化処理剤としては、一般的な有機珪素化合物が挙げられる。
具体的には、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)を有する公知の有機珪素化合物が挙げられ、具体例には、例えば、シラン化合物(例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシランなど)や、シラザン化合物(例えば、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザンなど)等が挙げられる。
これら疎水化処理剤の中も、ヘキサメチルジシラザンが、シリカ粒子の表面の水酸基との反応性に優れる点から、好適である。
疎水化処理剤は、1種で用いてもよいし、複数種用いてもよい。
シリカ粒子表面に対する疎水化処理としては、気相中で浮遊させられたシリカ粒子に対して疎水化処理剤又は疎水化処理剤を含む溶液を噴霧するスプレードライ法等による乾式法や、疎水化処理剤を含有する溶液中にシリカ粒子を浸漬し乾燥する湿式法、疎水化処理剤とシリカ粒子を混合機により混合する混合法などを採用してもよい。
また、シリカ粒子表面の疎水化処理後には、シリカ粒子を溶媒で洗浄し、残存する疎水化処理剤や低沸点残留分を除去する工程などを追加してもよい。
シリカ粒子表面の疎水化処理に際しては、シリカ粒子表面に存在する水酸基を可能な限り減らし、均一に近い表面処理層を形成することで、水酸基同士の水素結合によるシリカ粒子の凝集が抑制され、単分散のシリカ粒子が得られやすい。この観点から、シリカ粒子表面と、疎水化処理剤との反応性を向上させることが好ましい。
シリカ粒子表面と疎水化処理剤との反応性を向上させるには、例えば、(1)シリカ粒子表面水酸基のpHを調整して、水酸基の反応性を高くする方法が挙げられる。この方法により、pH調整を行えば、シリカ粒子表面のコンタミ(異物、不純物)も除去しうるため、水酸基と疎水化処理剤との反応を更に向上させうる。
また、シリカ粒子表面の疎水化処理に際しては、(2)疎水化処理の際の温度を低くする、疎水化処理剤の濃度を薄くする、低沸点アルコール溶媒を添加する、撹拌速度を下げるなど、疎水化処理剤の反応性を遅くして、シリカ粒子表面と疎水化処理剤との反応均一性を上げることも、均一に近い表面処理層を得る上で有効である。
上記のように、シリカ粒子表面に水酸基と疎水化処理剤とを反応させる疎水化処理によれば、水酸基に起因する特定シリカ粒子自体の凝集が抑制されるとともに、外部からの物理的負荷がかかった時に疎水化処理層が剥離してしまうことを抑制しうる(即ち、疎水化処理層は摺擦ストレス耐性に優れる層である。)。その結果、外部からの物理的負荷がかかった時であっても、疎水化処理層の機能が維持され、単分散状態が継続することになり、特定シリカを外添剤に用いたことによる前述した効果が十分に発揮されることになる。
【0041】
〔その他の外添剤〕
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、前記特定シリカ粒子以外の外添剤を含有することが好ましい。
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。該無機粒子として、TiO
2、Al
2O
3、CuO、ZnO、SnO
2、CeO
2、Fe
2O
3、MgO、BaO、CaO、K
2O、Na
2O、ZrO
2、CaO・SiO
2、K
2O・(TiO
2)
n、Al
2O
3・2SiO
2、CaCO
3、MgCO
3、BaSO
4、MgSO
4等が挙げられる。
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることが好ましい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100部に対して、1部以上10部以下である。
【0042】
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、PMMA、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
【0043】
前記外添剤の中でも、本実施形態の静電荷像現像用トナーは、TiO
2粒子及び/又はSiO
2粒子を含有することが好ましく、TiO
2粒子及びSiO
2粒子を含有することがより好ましい。なお、前記SiO
2粒子には、前記特定シリカ粒子に含まれる粒子は含まれないものとする。
本実施形態のトナーが、TiO
2粒子を含有することにより、形成する画像の光輝性に更に優れた静電荷像現像用トナーが得られる。
これは、トナー母粒子の凸部に付着しやすいTiO
2粒子により、特定シリカ粒子の凹部への偏在が促進されるためであると推測している。
本実施形態のトナーが、SiO
2粒子を含有することにより、形成する画像の光輝性に更に優れた静電荷像現像用トナーが得られる。
これは、特定シリカ粒子と同一の材質であり、親和性が低いSiO
2粒子が、トナー母粒子の表面と、特定シリカ粒子との付着力を低減するスペーサー効果を発揮し、特定シリカ粒子の凹部への偏在を促進するためであると推測している。
また、本実施形態のトナーが、SiO
2粒子及びTiO
2粒子を含有することにより、、形成する画像の光輝性に更に優れた静電荷像現像用トナーが得られる。
これは、SiO
2粒子及びTiO
2粒子のそれぞれの効果が相乗するためであると推測している。
【0044】
本実施形態においてTiO
2粒子とSiO
2粒子とを併用する場合、TiO
2粒子とSiO
2粒子との含有比(質量比)は、TiO
2粒子:SiO
2粒子=1:2〜1:11が好ましく、1:5〜1:9がより好ましい。なお上記含有比の算出におけるSiO
2粒子の含有量は、特定シリカ粒子以外のSiO
2粒子と特定シリカ粒子の総量を示す。
上記含有比は、蛍光X線分析法を用い、TiとSiのそれぞれの元素に由来する特性X線の強度比を測定することにより、測定可能である。
(株)Rigaku製の蛍光X線ZSX Primus 2を使用して、測定条件、Si:管電圧30V、管電流100mA、一次X線フィルターBe、分光結晶RX4、スリットS4、Ti:管電圧60V、管電流50mA、一次X線フィルターAl、分光結晶LiF1で、測定時間40deg/minで測定する。トナー母粒子に対して、TiO
2粒子、若しくはSiO
2粒子を各々単独で添加して、ヘンシェルミキサーを用いて周速22m/sで3分間混合したサンプルを、上記測定方法で測定し、まず検量線を作成する。本検量線を用いて、TiO
2粒子とSiO
2粒子との含有比(質量比)を計算する。本評価に、カートリッジ中のトナーや現像剤中のトナーを用いる場合には磁石でキャリア成分を除去してから実施する。
磁石での除去方法としては、現像剤1gを5%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液100ml加えた200mlビーカーに加え、超音波洗浄器(USK−1)で液温20℃で1分間かき混ぜ、次にビーカー下部に磁石(ANFK026)を付けた状態で、下部にキャリアを吸着させる。キャリアが流出しないようにビーカー下部に磁石を付けた状態で、ビーカーを傾け、上澄み液が流れ切るまで除去する。
前記操作1を3回繰り返して集めた上澄み液を乾燥させることを繰り返すことにより、分析に必要なサンプル量を集める。
TiO
2粒子の含有量は、トナー母粒子100質量部に対し、0.1〜5質量部であることが好ましく、0.2〜3質量部であることがより好ましく、0.4〜1.5質量部であることが更に好ましい。
TiO
2粒子の体積平均粒径は、0.01〜1μmであることが好ましく、0.02〜0.5μmであることがより好ましい。
SiO
2粒子の含有量は、トナー母粒子100質量部に対し、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.2〜5質量部であることがより好ましい。
SiO
2粒子の体積平均粒径は、0.01〜0.5μmであることが好ましく、0.02〜0.4μmであることがより好ましく、0.1〜0.3μmであることが更に好ましい。
TiO
2粒子に対して、SiO
2粒子の量が少ない場合、SiO
2粒子がトナー表面凸部には存在しにくく、本発明の効果が得られやすい。
【0045】
また、本実施形態における、全ての外添剤の合計含有量は、トナー母粒子100質量部に対し、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.2〜15質量部であることがより好ましく、0.5〜10質量部であることが更に好ましい。
【0046】
−トナーの製造方法−
本実施形態に用いられるトナーは、数平均最大厚さCと数平均円相当径Dの比(C/D)が0.700を超え1.200未満であり、かつ、光輝性顔料を含むトナー母粒子を含有すること以外には、特に制限はなく、公知のトナーを用いることができ、静電荷像現像用トナーであることが好ましく、また、結着樹脂を有するトナーであることが好ましい。
また、前記静電荷像現像用トナーは、結着樹脂及び顔料を含むトナー母粒子、並びに、外添剤を含むことが好ましく、結着樹脂、光輝性顔料、及び、離型剤を含むトナー母粒子、並びに、外添剤を含むことがより好ましい。
【0047】
トナー母粒子の製造方法としては、例えば、結着樹脂と、金属顔料、離型剤、及び、必要に応じて帯電制御剤等とを混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法;結着樹脂を乳化して分散した分散液と、金属顔料、離型剤、及び、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化凝集法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、金属顔料、離型剤、及び、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と、金属顔料、離型剤、及び、必要に応じて帯電制御剤等の溶液とを水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂と金属顔料、離型剤、及び、必要に応じて帯電制御剤等の溶液とを水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法;結着樹脂と光輝性顔料、その他の添加物を有機溶媒に溶解分散させてなる油性成分を、水性媒体中で懸濁分散し、その後溶媒を除去する液中乾燥法;上記の方法で得られた粒子を加熱球形化処理する方法等、いかなる方法を用いてもよい。これら方法等により製造したトナー母粒子に、外添剤を公知の方法により外添することにより製造される。加熱球形化処理する方法としては、具体的には、オングミル(ホソカワミクロン(株)製)、ハイブリタイゼイション((株)奈良機械製作所製)、クリプトロン((株)アーステクニカ製)、ノビルタ(ホソカワミクロン(株)製)が挙げられる。撹拌羽根の周速、撹拌時間、トナー母粒子及び樹脂粒子のガラス転移温度と撹拌時の装置内温度を制御することでトナー形状を制御することができる。また、前記方法で得られたトナー母粒子をコアにして、更に凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造を持たせる製造方法を行ってもよい。
これらの中でも、本実施形態におけるトナーは、混練粉砕法により得られたトナー母粒子を含むトナーである場合には、トナー表面凹凸が大きく、凹部に本発明のシリカ粒子が偏在されやすいため、好ましい。
【0048】
混練粉砕法によるトナー母粒子の製造方法の具体例としては、例えば、結着樹脂、金属顔料、離型剤等を、加圧ニーダ、ロールミル、エクストルーダ等により、溶融混練して分散し、冷却後に、ジェットミル等により微粉砕化し、分級機、例えば、風力分級機等により分級して所望の粒径のトナー母粒子を得る方法が挙げられる。
【0049】
(静電荷像現像剤)
本実施形態の静電荷像現像剤(以下、「現像剤」という場合がある。)は、本実施形態の静電荷像現像用トナーを含有するものであれば特に制限はなく、また、トナーを単独で用いる一成分系の現像剤であってもよく、トナーとキャリアとを含む二成分系の現像剤であってもよい。なお、一成分系の現像剤の場合には、磁性金属粒子を含むトナーであっても磁性金属粒子を含まない非磁性一成分トナーであっても構わない。
【0050】
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に被覆樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散・配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;マトリックス樹脂に導電性粒子が分散・配合された樹脂分散型キャリア;等が挙げられる。
なお、磁性粉分散型キャリア、樹脂含浸型キャリア、及び導電性粒子分散型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
磁性粉としては、例えば、酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。
【0051】
キャリアの具体例としては、例えば、以下の樹脂被覆キャリアが挙げられる。キャリアの核体粒子としては、通常の鉄粉、フェライト、マグネタイト造型物などが挙げられ、その体積平均粒径は、20〜200μmであることが好ましい。
【0052】
また、上記樹脂被覆キャリアの被覆樹脂としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のα−メチレン脂肪酸モノカルボン酸類;ジメチルアミノエチルメタクリレート等の含窒素アクリル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のビニルピリジン類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;弗化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン等のビニル系フッ素含有モノマー;アクリル変性ポリジメチルシロキサン等のアクリル変性シリコーン樹脂;などの単独重合体、又は2種類以上のモノマーからなる共重合体、更に、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等を含むシリコーン樹脂類、ビスフェノール、グリコール等を含有するポリエステル類、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上併用してもよい。被覆樹脂の被覆量としては、前記核体粒子100質量部に対して0.1〜10質量部程度の範囲が好ましく、0.5〜3.5質量部の範囲がより好ましい。
【0053】
ここで、芯材の表面に被覆樹脂を被覆するには、被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶媒を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
【0054】
−導電材料−
本実施形態に用いられる被覆層は、導電材料を含むことが好ましい。
導電材料の具体例としては、金、銀、銅のような金属;カーボンブラック;酸化チタン、酸化亜鉛のような導電性の金属酸化物単体系;酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ等の微粒子の表面を導電性の金属酸化物で被覆した複合系;などが挙げられる。
中でも、酸化アルミニウム又は酸化スズが好ましく、酸化アルミニウム及び酸化スズを併用してもよい。
詳細は不明だが、酸化アルミニウム及び酸化スズを併用した場合に、これらの金属は電子軌道の構造がシラノール基と類似で分子鎖が絡み合うため、若しくは/及び、親水基を介して静電的/非静電的付着が促進されるため、本発明のシリカをトナー凹部に有するトナー粒子と接触した時に、キャリアに保持され摩擦帯電が促進されると考えている。
ドーピングを施したものであってもよい。ドーピングを施した無機酸化物粒子としては、例えば、アンチモンをドープした酸化スズ、スズをドープした酸化インジウム、アルミニウムをドープした酸化亜鉛などが挙げられる。ドーピングを施した無機酸化物粒子は公知の方法を適用して製造される。例えば、粉砕などの固相法、火炎法、プラズマ法、真空蒸着法、スパッタリング法などの気相法や共沈法、均一沈殿法、金属アルコキシ法、噴霧乾燥法などの液相法などが挙げられる。これらの中でも、粒径の制御性や不純物の混入が少ないなどの理由より乾式気相法が好ましい。
本実施形態に用いられる導電材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
被覆層における無機酸化物粒子の含有量は、被覆層の強度を保ち、またキャリアの抵抗を調整する観点から、キャリアに対して0.2質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.4質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましい。
【0055】
−その他の成分−
本実施形態における被覆層は、その他の成分として、被覆層に用いられる公知の成分を含有してもよい。例えば、帯電制御剤等を含有してもよい。
帯電制御剤としては、特に制限なく、キャリアに用いられる公知の帯電制御剤が使用可能であるが、例えば、ニグロシン染料、ベンゾイミダゾール系化合物、四級アンモニウム塩化合物、アルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料、トリフェニルメタン系化合物、サリチル酸金属塩錯体、アゾ系クロム錯体、銅フタロシアニンなど、公知のいかなるものでも構わない。中でも、第四級アンモニウム塩化合物、アルコキシ化アミン、アルキルアミドが好ましく挙げられる。
帯電制御剤の添加量としては、芯材粒子の質量を100質量部としたとき、0.001〜5質量部であることが好ましく、0.01〜0.5質量部であることがより好ましい。上記範囲であると、樹脂被覆層の強度が十分であり、使用時のストレスにより変質が生じにくいキャリアが得られ、また、導電材料の分散性に優れる。
【0056】
現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比としては特に制限はなく、目的に応じて選択される。
【0057】
(画像形成方法)
本実施形態の静電荷像現像用トナーを用いた画像形成方法について説明する。本実施形態の静電荷像現像用トナーは、公知の電子写真方式を利用した画像形成方法に利用される。具体的には以下の工程を有する画像形成方法において利用される。
すなわち、好ましい画像形成方法は、像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像保持体表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像工程、前記トナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程、を有するもので、前記トナーとして、本実施形態の静電荷像現像用トナーを用いる。また、転写工程は、像保持体から被転写体へのトナー像の転写を媒介する中間転写体を用いたものであるほうが本実施形態の効果が発揮されやすい。
また、転写後の前記像保持体表面の残留トナーを除去するクリーニング工程を更に有していてもよい。
【0058】
前記各工程は、それ自体一般的な工程であり、例えば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。なお、本実施形態の画像形成方法は、それ自体公知のコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。
前記静電潜像形成工程は、像保持体(感光体)上に静電潜像を形成する工程である。
前記現像工程は、現像剤保持体上の現像剤層により前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程である。前記現像剤層としては、本実施形態の静電荷像現像用トナーを含んでいれば特に制限はない。
前記転写工程は、前記トナー画像を被転写体上に転写する工程である。また、転写工程における被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体が例示できる。
前記定着工程では、例えば、加熱ローラの温度を一定温度に設定した加熱ローラ定着器により、転写紙上に転写したトナー像を定着して複写画像を形成する方式が挙げられる。
前記クリーニング工程は、像保持体上に残留する静電荷像現像剤を除去する工程である。
被転写体としては、中間転写体や紙等の被記録媒体を使用することができる。
被記録媒体としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される紙、OHPシート等が挙げられ、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を好適に使用することができる。
【0059】
本実施形態の画像形成方法においては、更にリサイクル工程をも含む態様でもよい。前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程において回収した静電荷像現像用トナーを現像剤層に移す工程である。このリサイクル工程を含む態様の画像形成方法は、トナーリサイクルシステムタイプのコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施される。また、クリーニング工程を省略し、現像と同時にトナーを回収する態様のリサイクルシステムに適用してもよい。
【0060】
(画像形成装置)
本実施形態の画像形成装置は、本実施形態の静電荷像現像用トナーを用いた画像形成装置である。本実施形態の画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体表面に静電潜像を形成させる露光手段と、トナーにより前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体表面に転写する転写手段と、前記被転写体表面に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有し、前記トナーが本実施形態の静電荷像現像用トナーであることが好ましい。
なお、本実施形態の画像形成装置は、上記のような像保持体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも含むものであれば特に限定はされないが、その他必要に応じて、クリーニング手段や除電手段等を含んでいてもよい。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
【0061】
前記像保持体、及び、前記の各手段は、前記の画像形成方法の各工程で述べた構成を好ましく用いることができる。前記の各手段は、いずれも画像形成装置において公知の手段が利用できる。また、本実施形態の画像形成装置は、前記した構成以外の手段や装置等を含むものであってもよい。また、本実施形態の画像形成装置は、前記した手段のうちの複数を同時に行ってもよい。
クリーニング手段としては、例えば、クリーニングブレード、クリーニングブラシなどが挙げられる。
【0062】
なお、この画像形成装置において、例えば前記現像手段を含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよく、該プロセスカートリッジとしては、現像剤保持体を少なくとも備え、本実施形態の静電荷像現像用現像剤を収容する本実施形態のプロセスカートリッジが好適に用いられる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
図2は、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用された現像装置を含む本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
同図において、本実施形態に係る画像形成装置は、定められた方向に回転する像保持体としての感光体20(像保持体の一例)を有し、この感光体20の周囲には、感光体20を帯電する帯電装置21(帯電手段の一例)と、この感光体20上に静電荷像Zを形成する静電荷像形成装置としての例えば露光装置22(露光手段の一例)と、感光体20上に形成された静電荷像Zを可視像化する現像装置30(現像手段の一例)と、感光体20上で可視像化されたトナー画像を記録媒体である記録紙28に転写する転写装置24(転写手段の一例)と、感光体20上の残留トナーを清掃するクリーニング装置25(クリーニング手段の一例)と、を順次配設したものである。
本実施形態において、現像装置30は、
図2に示すように、トナー40を含む現像剤Gが収容される現像容器31を有し、この現像容器31には感光体20に対向して現像用開口32を開設するとともに、この現像用開口32に面してトナー保持体としての現像ロール(現像電極)33を配設し、この現像ロール33に定められた現像バイアスを印加することで、感光体20と現像ロール33とに挟まれる領域(現像領域)に現像電界を形成する。更に、現像容器31内には前記現像ロール33と対向して電荷注入部材としての電荷注入ロール(注入電極)34を設けたものである。特に、本実施形態では、電荷注入ロール34は現像ロール33にトナー40を供給するためのトナー供給ロールをも兼用したものになっている。
ここで、電荷注入ロール34の回転方向については選定して差し支えないが、トナーの供給性及び電荷注入特性を考慮すると、電荷注入ロール34としては、現像ロール33との対向部にて同方向でかつ周速差(例えば1.5倍以上)をもって回転し、電荷注入ロール34と現像ロール33とに挟まれる領域にトナー40を挟み、摺擦しながら電荷を注入する態様が好ましい。
次に、実施の形態に係る画像形成装置の作動について説明する。
作像プロセスが開始されると、まず、感光体20表面が帯電装置21により帯電され、露光装置22が帯電された感光体20上に静電荷像Zを書き込み、現像装置30が前記静電荷像Zをトナー画像として可視像化する。しかる後、感光体20上のトナー画像は転写部位へと搬送され、転写装置24が記録媒体である記録紙28に感光体20上のトナー画像を静電的に転写する。なお、感光体20上の残留トナーはクリーニング装置25にて清掃される。この後、定着装置36(定着手段の一例)によって記録紙28上のトナー画像が定着され、画像が得られる。
【0063】
(プロセスカートリッジ、トナーカートリッジ)
本実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
なお、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、上記構成に限られず、現像装置と、その他、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
以下、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
図3は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
図3に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
なお、
図3中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
【0064】
なお、
図2に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ(図示せず)の着脱が自在な構成を有する画像形成装置であり、現像装置30はトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収納されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジを交換してもよい。
【実施例】
【0065】
以下に実施例及び比較例を挙げて本実施形態について更に詳述するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下に実施例において、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
【0066】
(トナー母粒子の作製)
<トナー母粒子1の作製>
線状ポリエステル樹脂(テレフタル酸/ビスフェノールA エチレンオキサイド付加物/シクロヘキサンジメタノールから得られた線状ポリエステル、Tg(ガラス転移温度):62 ℃、Mn(数平均分子量):4,000、Mw(重量平均分子量):35,000、酸価:12、水酸価:25) 100質量部、光輝性顔料(昭和アルミニウムパウダー(株)製 2173EA) 15質量部の混合物をエクストルーダーで混練し、表面粉砕方式の粉砕機で粉砕した後、風力式分級機で細粒、粗粒を分級し、体積平均粒径D50が9.0μm、C/D=0.780のトナー粒子を得た。
【0067】
<トナー母粒子2の作製>
表面粉砕方式の粉砕機で粉砕強度を調整する以外はトナー1と同様にして、体積平均粒径D50が15μm、C/D=0.800のトナー粒子を得た。
【0068】
<トナー母粒子3の作製>
表面粉砕方式の粉砕機で粉砕強度を調整する以外はトナー1と同様にして、体積平均粒径D50が20μm、C/D=0.820のトナー粒子を得た。
【0069】
<トナー母粒子4の作製>
表面粉砕方式の粉砕機で粉砕強度を調整する以外はトナー1と同様にして、体積平均粒径D50が15μm、C/D=0.710のトナー粒子を得た。
【0070】
<トナー母粒子5の作製>
光輝性顔料(昭和アルミニウムパウダー(株)製 2173EA) 15質量部と、酢酸エチル412.4重量部と、溶媒除去したディスパロンDA−703−50(ポリエステル酸アマイドアミン塩、楠本化成(株)製)12.6重量部とをDCPミルを用いて溶解/分散し、顔料分散液を作製した。パラフィンワックス(融点75℃)30重量部と、酢酸エチル270重量部とを、DCPミルを用い5℃に冷却した状態で、湿式粉砕し、ワックス(離型剤)分散液を作製した。ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物と、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物と、テレフタル酸誘導体からなるポリエステル樹脂(Mw50,000:Mn3,000:酸価15mgKOH/g:水酸基価27mgKOH/g:Tg65℃)300重量部と、上記顔料分散液267重量部と、上記ワックス分散液400重量部と、疎水性酸化けい素微粒子(日本アエロジル(株)製R972、平均粒径約16nm)20重量部とを、混合し均一になるまでよく撹拌した(この液をA液とした)。一方、炭酸カルシウム40重量部と、水60重量部に分散した炭酸カルシウム分散液124重量部と、セロゲンBS−H(第一工業製薬(株))の2%水溶液99重量部と、水157重量部とをホモジナイザー(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて3分間撹拌した(この液をB液とした)。更にホモジナイザー(ウルトラタラックス:IKA社製)を用いて前記B液345重量部と前記A液250重量部とを10,000rpmで1分間撹拌し混合液を懸濁した後、0.3%アンモニア水110重量部を加え、室温、常圧で48時間プロペラ型撹拌機で撹拌し溶媒を除去した。次に塩酸を加えて、炭酸カルシウムを除去した後、水洗、乾燥、分級してトナーを得た。その後、ノビルタNOB−300(ホソカワミクロン(株)製)で、装置内温度を65℃に保ちつつ、2,000rpmで10分撹拌することで、体積平均粒径15μm、C/D=0.820のトナー粒子を得た。
【0071】
<トナー母粒子6の作製>
トナー粒子2を、ノビルタNOB−300(ホソカワミクロン(株)製)で、装置内温度を63℃に保ちつつ、3,000rpmで10分撹拌することで、体積平均粒径15μm、C/D=0.900のトナー粒子を得た。
【0072】
(特定シリカ粒子の作製)
<特定シリカ粒子1の作製>
金属製撹拌棒、滴下ノズル(テフロン(登録商標)製マイクロチューブポンプ)、及び、温度計を有した容積3Lのガラス製反応容器にメタノール266質量部、10%アンモニア水43.8質量部を入れ、撹拌混合して、アルカリ触媒溶液を得た。
次に、アルカリ触媒溶液の温度を25℃に調整し、アルカリ触媒溶液を窒素置換した。その後、アルカリ触媒溶液を撹拌しながら、テトラメトキシシラン(TMOS)450質量部、テトラエトキシシラン10質量部と、触媒(NH
3)濃度が4.44%のアンモニア水270質量部とを、下記供給量で、同時に滴下を行いシリカ粒子の懸濁液(シリカ粒子懸濁液)を得た。
ここで、30rpmで撹拌しながらの、シラン類の供給量は2.30質量部/minとし、4.44%アンモニア水の供給量は1.38質量部/minとした。この時の温度制御は27℃〜30℃にて実施した。
次に、得られた親水性シリカ粒子の懸濁液(親水性シリカ粒子分散液)を、スプレードライにより乾燥して、溶媒を除去し、親水性シリカ粒子の粉末を得た。
続いて、ガラス製の反応容器内に上記粉末を100部仕込んだ後に、蒸留水を200部加え水酸化ナトリウムと酢酸とを用いてpH3.5に合わせた後、エバポレーターで減圧留去した。そこに、トルエン200部を加え50rpmで撹拌している所に、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を、親水性シリカ粒子の粉末に対し30質量部を2時間かけて滴下し、エタノール50部を1時間かけて滴下した後に、追加で2時間撹拌し反応させた。なお、この時の液温は21℃〜25℃だった。その後、遠心沈降機で約60時間凍結乾燥させた後、表面を疎水化処理された疎水性シリカ粒子の粉末を得た。
これにより、特定シリカ粒子1を得た。
【0073】
<特定シリカ粒子2の作製>
10%アンモニア水43.8質量部を42.3質量部、シラン類の供給量は2.30質量部/minを2.72質量部/min、4.44%アンモニア水の供給量は1.38質量部/minを1.63質量部/minとした以外は、特定シリカ粒子1と同様にして、表面を疎水化処理された疎水性シリカ粒子の粉末を得た。
【0074】
<特定シリカ粒子3の作製>
10%アンモニア水43.8質量部を47.1質量部、シラン類の供給量は2.30質量部/minを1.88質量部/min、4.44%アンモニア水の供給量は1.38質量部/minを1.13質量部/minとした以外は、特定シリカ粒子1と同様にして、表面を疎水化処理された疎水性シリカ粒子の粉末を得た。
【0075】
<特定シリカ粒子4の作製>
シラン類の供給量は2.30質量部/分を5.23質量部/分、4.44%アンモニア水の供給量は1.38質量部/分を3.14質量部/分とした以外は、特定シリカ粒子1と同様にして、表面を疎水化処理された疎水性シリカ粒子の粉末を得た。
【0076】
<特定シリカ粒子5の作製>
個数平均粒子径150nmの気相法シリカ(UFP−30,電気化学工業製)を用い、この気相法シリカの表面にシリカ粒子1の調製と同様にHMDSによる疎水化処理を施し、シリカ粒子5を得た。
【0077】
<特定シリカ粒子6の作製>
10%アンモニア水43.8質量部を47.5質量部、シラン類の供給量は2.30質量部/分を2.60質量部/分、4.44%アンモニア水の供給量は1.38質量部/分を1.56質量部/分とした以外は、特定シリカ粒子1と同様にして、表面を疎水化処理された疎水性シリカ粒子の粉末を得た。
【0078】
(トナーの作製)
表1に記載のトナー母粒子100質量部に対して、特定シリカ粒子を表1に記載の量、TiO
2粒子(日本アエロジル(株)製、T805)を、及び、SiO
2粒子(日本アエロジル(株)製、RX50)を表1に記載の量で添加して、ヘンシェルミキサーを用いて周速22m/sで3分間混合した。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、実施例、比較例に使用するトナーを調製した。表1中、TiO
2又はSiO
2の欄に「−」と記載された例は、該当する化合物を含有していないことを示している。また、表1中、例えば、トナー母粒子の「No.」の欄に1と記載がある場合は、トナー母粒子1を使用したことを、例えば、特定シリカ粒子の「No.」の欄に3と記載がある場合は、特定シリカ粒子3を使用したことを、それぞれ示している。
【0079】
(キャリアの作製)
<キャリア1の作製>
3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名KBM―502)12部、テトラエトキシシラン(信越化学工業(株)製KBE04)3部を混合し、20℃に冷却した。次に、0.25Nの酢酸2部を添加した後、20℃から30℃で一晩熟成して加水分解を行った。この溶液にイソプロピルアルコール35部、トルエン300部を添加した、シリコーン樹脂溶液を作製した。
更にそのシリコーン樹脂を固形分換算で200部と、ヒタロイド6500(日立化成(株)製、水酸基価30)を固形分換算で100部、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名KBM−903)10部、酸化スズ粒子(三井金属(株)製、商品名:パストラン4300、)250部、アルミナ粒子(日本アエロジル(株)製、AluC 805)50部を混合させ、被覆層塗布液を得た。
流動床被覆装置(フロイント産業(株)製、スパイラフロー)を用い、前記フェライト粒子10,000部に対し、前記被覆層塗布液が固形分として231部となるように入れて、30分間で被覆を行った。その後、150℃で乾燥を行い、被覆キャリア1を得た。
【0080】
<キャリア2の作製>
酸化スズ粒子を用いず、アルミナ粒子を300質量部用いた以外は、キャリア1と同様にして、被覆キャリア2を得た。
【0081】
<キャリア3の作製>
酸化スズ粒子、アルミナ粒子の代わりに、カーボンブラック(商品名:ケッチェンブラックEC600JD、ライオン(株)製)を用いた以外は、キャリア1と同様にして、被覆キャリア3を得た。
【0082】
(現像剤の作製)
各実施例及び比較例において、作製した前記トナー:32部と前記キャリア1:418部とを、Vブレンダーに入れ、20分間撹拌し、その後212μmで篩分して現像剤を作製した。
【0083】
(評価試験)
<パラメータの測定>
各実施例及び比較例において作製した現像剤について、カートリッジ中のトナーを用いて、外添剤の平均円形度、及び、数平均円相当径を上記の方法により測定した。測定結果は表1の「平均円形度」及び「数平均円相当径d(μm)」の欄にそれぞれ記載した。
更に、各実施例及び比較例において作製した現像剤について、TiO
2粒子及びSiO
2粒子の含有比(質量比)を上記の方法により測定した。測定結果は表1のTi:Siの欄に記載した。例えば、実施例1の結果「1:8」は、TiO
2粒子の含有量(質量部):SiO
2粒子の含有量(質量部))=1:8であったことを示している。
【0084】
<光輝性評価>
以下の方法によりベタ画像を形成した。
各実施例及び比較例において作製した現像剤を、富士ゼロックス(株)製DocuCentre−III C7600の現像器に充填し、高温高湿(35℃50RH%)環境下で1晩シーズニングした後に、記録紙(OKトップコート+紙、王子製紙(株)製)上に、定着温度180℃、定着圧力4.3kg/cm
2にて、トナー載り量が3.8g/cm
2の3cm×4cmのベタ画像を15連続で形成した。そのまま7晩シーズニングした後に、同様のベタ画像を100枚連続で形成した。
7晩シーズニング後に得られた10枚目のベタ画像に関し、前述の方法により光輝性の値(A/B)を測定した。上記光輝性評価においては、ベタ画像の3か所で測定し、その平均値をA/B値として表に記載した。
A/B値は2〜100であることが好ましく、4〜100であることがより好ましい。
許容な評価結果は2以上である。評価結果は表1に記載した。
【0085】
【表1】