(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態]
一実施形態による半導体装置及びその製造方法について
図1乃至
図39を用いて説明する。
【0014】
図1は、本実施形態による半導体装置の構造を示す概略断面図である。
図2は、DDCトランジスタの基本構造を示す概略断面図である。
図3は、フラッシュメモリトランジスタの構造を示す平面図である。
図4は、通常ロジックプロセス、DDCプロセス、通常ロジック・フラッシュ混載プロセス、DDC・フラッシュ混載プロセスの代表的な工程を比較した図である。
図5は、フラッシュメモリトランジスタの駆動に伴う閾値電圧の変化を示すグラフである。
図6は、ドレインディスターブストレスの印加条件を示す図である。
図7は、ドレインディスターブストレスによる閾値電圧の変化量と閾値電圧との関係を示すグラフである。
図8乃至
図10は、フラッシュメモリトランジスタのデータ保持特性を測定した結果を示すグラフである。
図11乃至
図39は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0015】
はじめに、本実施形態による半導体装置の構造について
図1及び
図2を用いて説明する。
【0016】
シリコン基板10上には、
図1に示すように、DDC−NMOSトランジスタ領域22、DDC−PMOSトランジスタ領域30、高電圧NMOSトランジスタ領域52、高電圧PMOSトランジスタ領域60、メモリセル領域50が設けられている。各領域には、シリコン基板10内に埋め込まれた素子分離絶縁膜46によって活性領域が画定されており、その活性領域に所定のトランジスタが形成されている。
【0017】
DDC−NMOSトランジスタ領域22のシリコン基板10内には、Pウェル24と、P型不純物層26とが形成されている。P型不純物層26上には、エピタキシャルシリコン層36が形成されている。エピタキシャルシリコン層36上には、ゲート絶縁膜94が形成されている。ゲート絶縁膜94上には、ゲート電極118が形成されている。ゲート電極118の両側のエピタキシャルシリコン層36及びシリコン基板10内には、N型ソース/ドレイン領域134が形成されている。これらにより、DDC−NMOSトランジスタ領域22には、DDC−NMOSトランジスタが形成されている。
【0018】
DDC−PMOSトランジスタ領域30のシリコン基板10内には、Nウェル32と、N型不純物層34とが形成されている。N型不純物層34上には、エピタキシャルシリコン層36が形成されている。エピタキシャルシリコン層36上には、ゲート絶縁膜94が形成されている。ゲート絶縁膜94上には、ゲート電極118が形成されている。ゲート電極118の両側のエピタキシャルシリコン層36及びシリコン基板10内には、P型ソース/ドレイン領域136が形成されている。これらにより、DDC−PMOSトランジスタ領域30には、DDC−PMOSトランジスタが形成されている。
【0019】
DDC−NMOSトランジスタ及びDDC−PMOSトランジスタは、
図2に示すように、チャネル領域206に、高濃度の不純物層を含む閾値電圧制御層208と、閾値電圧制御層208上に形成されたノンドープのエピタキシャル層210とを有する。閾値電圧制御層208は、DDC−NMOSトランジスタのP型不純物層26に該当し、DDC−PMOSトランジスタのN型不純物層34に該当する。また、エピタキシャル層210は、DDC−NMOSトランジスタ及びDDC−PMOSトランジスタのエピタキシャルシリコン層36に該当する。DDCトランジスタ(Deeply Depleted Channel transistor)と呼ばれるこのような構造のトランジスタは、不純物の統計的揺らぎによる閾値電圧ばらつきを抑制する効果が大きく、ロジック回路等に用いられる低電圧動作の高速トランジスタ等に有用である。
【0020】
メモリセル領域50には、Pウェル54と、Pウェル54の底部に設けられた埋め込みNウェル56とが形成されている。Pウェル54の周縁部は、Nウェル62で囲まれている。これにより、Pウェル54は、埋め込みNウェル56及びNウェル62によりシリコン基板10の他の領域から電気的に分離された二重ウェルとなっている。Pウェル54の表面部には、チャネル不純物層としてのP型不純物層66が形成されている。なお、メモリセル領域50のシリコン基板10上にも、エピタキシャルシリコン層36は形成されている。P型不純物層66は、シリコン基板10上にエピタキシャルシリコン層36が積層された基板の表面部に形成されている。この基板上には、トンネルゲート絶縁膜68、フローティングゲート102、ONO膜104、コントロールゲート106が順次積層されてなるゲートスタック構造が形成されている。ゲート電極118の両側の基板内には、N型ソース/ドレイン領域142が形成されている。これらにより、メモリセル領域50には、スタックゲート構造の不揮発メモリトランジスタ(フラッシュメモリトランジスタ)が形成されている。
【0021】
図1には1つのフラッシュメモリトランジスタだけを記載しているが、メモリセル領域50には、複数のフラッシュメモリトランジスタがマトリクス状に形成される。
【0022】
図3は、メモリセル領域50におけるフラッシュメモリトランジスタのレイアウトの一例を示す平面図である。
【0023】
ワード線を兼ねるコントロールゲート106は、特に限定されるものではないが、例えば線幅が0.20μmであり、0.54μmピッチで繰り返し配置される。また、素子分離絶縁膜46は、特に限定されるものではないが、0.20μm幅の活性領域が0.38μmピッチで配置されるように、形成される。
【0024】
高電圧NMOSトランジスタ領域52には、Pウェル54と、Pウェル54の底部に設けられた埋め込みNウェル56とが形成されている。Pウェル54の周縁部は、Nウェル62で囲まれている。これにより、Pウェル54は、埋め込みNウェル56及びNウェル62によりシリコン基板10の他の領域から電気的に分離された二重ウェルとなっている。Pウェル54の表面部には、チャネル不純物層としてのP型不純物層82が形成されている。なお、高電圧NMOSトランジスタ領域52のシリコン基板10上にも、エピタキシャルシリコン層36は形成されている。P型不純物層82は、シリコン基板10上にエピタキシャルシリコン層36が積層された基板の表面部に形成されている。この基板上には、ゲート絶縁膜90が形成されている。ゲート絶縁膜90上には、ゲート電極118が形成されている。ゲート電極118の両側の基板内には、N型ソース/ドレイン領域138が形成されている。これらにより、高電圧NMOSトランジスタ領域52には、高電圧NMOSトランジスタが形成されている。
【0025】
高電圧PMOSトランジスタ領域60には、Nウェル62が形成されている。Nウェル60の表面部には、チャネル不純物層としてのN型不純物層86が形成されている。なお、高電圧PMOSトランジスタ領域60のシリコン基板10上にも、エピタキシャルシリコン層36は形成されている。N型不純物層86は、シリコン基板10上にエピタキシャルシリコン層36が積層された基板の表面部に形成されている。この基板上には、ゲート絶縁膜90が形成されている。ゲート絶縁膜90上には、ゲート電極118が形成されている。ゲート電極118の両側の基板内には、P型ソース/ドレイン領域140が形成されている。これらにより、高電圧PMOSトランジスタ領域60には、高電圧PMOSトランジスタが形成されている。
【0026】
高電圧NMOSトランジスタ及び高電圧PMOSトランジスタは、メモリトランジスタの書き込み・消去動作の際に使用される高耐圧のトランジスタである。
【0027】
各トランジスタのゲート電極118上、コントロールゲート106上、N型ソース/ドレイン領域134,138,142上及びP型ソース/ドレイン領域136,140上には、金属シリサイド膜144が形成されている。
【0028】
トランジスタが形成された基板上には、層間絶縁膜146が形成されている。層間絶縁膜146には、トランジスタの各端子に接続されたコンタクトプラグ148が埋め込まれている。コンタクトプラグ148には、配線150が接続されている。
【0029】
なお、
図1においてフラッシュメモリトランジスタと高電圧PMOSトランジスタとの間に記載されている構造体152は、フラッシュメモリトランジスタと周辺トランジスタとを作り分ける際にメモリセル領域50の周縁部に残存するものである。
【0030】
上述のように、本実施形態による半導体装置は、ロジック回路等を構成するDDCトランジスタと、フラッシュメモリトランジスタ及びこれの駆動に用いる高電圧トランジスタとを、一つのシリコン基板上に混載したものである。
【0031】
次に、DDCトランジスタとフラッシュメモリトランジスタとを混載する場合の課題について、DDCトランジスタではない通常のロジックトランジスタとフラッシュメモリトランジスタとを混載する場合との比較を交えて説明する。
【0032】
図4は、通常ロジックプロセス(BL)、DDCプロセス(DDC)、通常ロジック・フラッシュ混載プロセス(flash on BL)、DDC・フラッシュ混載プロセス(flash on DDC)の代表的な工程を比較したものである。
【0033】
図4中、「DDC implant」は、DDCトランジスタの閾値電圧制御層を形成
するためのイオン注入工程である。「Blanket epi」は、DDCトランジスタ
のエピタキシャル層を形成するための成膜工程である。「STI」は、素子分離絶縁膜の形成のための一連の工程である。「Flash TN−OX,FG & ONO」は、フラ
ッシュメモリトランジスタのトンネルゲート絶縁膜、フローティングゲート、ONO膜等を形成するための一連の成膜工程である。「HV implant」は、高電圧トランジ
スタ用のイオン注入工程である。「MV implant」は、I/O用に用いられる3
.3V動作のトランジスタ(以下、中電圧トランジスタと呼ぶ)用のイオン注入工程である。「HV−GOX」は、高電圧トランジスタのゲート絶縁膜の形成のための熱酸化工程である。「MV−GOX」は、中電圧トランジスタのゲート絶縁膜の形成のための熱酸化工程である。「DDC−GOX」は、低電圧トランジスタのゲート絶縁膜の形成のための熱酸化工程である。「Gate poly」は、ゲート電極、コントロールゲートとなるポリシリコン膜の成膜工程である。「Flash CG」は、コントロールゲートの形成
工程である。「Flash SD」は、フラッシュメモリトランジスタのソース/ドレイ
ン領域形成工程である。「Flash SW−OX」は、ゲートスタックの側壁酸化膜の
形成のための熱酸化工程である。「HV/MV/DDC Gate」は、ゲート電極の形
成工程である。「HV LDD」は、高電圧トランジスタのLDD領域を形成するための
イオン注入工程である。「MV LDD」は、中電圧トランジスタのLDD領域を形成す
るためのイオン注入工程である。「LV LDD」は、低電圧トランジスタのLDD領域
を形成するためのイオン注入工程である。「SW」は、側壁絶縁膜の形成工程である。「SD」は、ソース/ドレイン領域を形成するためのイオン注入工程である。「Silicide」は、サリサイドプロセスによるシリサイド膜の形成工程である。「BEOL」は、一連のバックエンドプロセスである。また、「HT」は高温(High Temperature)を表し、「LT」は低温(Low Temperature)を表す。また、「POR」は、既定条件(Process Of Record)を表す。
【0034】
通常のフラッシュ混載ロジックプロセスフロー(flash on BL)では、
図4に示すように、トンネルゲート絶縁膜やONO膜の形成等のフラッシュメモリトランジスタに特有な工程の大部分は、ロジックトランジスタの形成工程よりも前に完了する。このため、これら工程を低温化する必要性はなかった。また、側壁酸化膜の形成工程(Flash SW−OX)もロジックトランジスタのチャネルプロファイルには多少の影響を与え
るが、LDD形成前に完了するため、実効チャネル長には影響を与えることはなく、低温化の必要性は薄かった。
【0035】
一方、DDCトランジスタとフラッシュメモリトランジスタとを混載する場合、閾値電圧制御層を形成する工程とエピタキシャル層を成長する工程とが新たに必要となるが、これら工程は上述のフラッシュメモリトランジスタに特有な工程よりも前に行うことになる。
【0036】
しかしながら、フラッシュメモリトランジスタに特有な工程は絶縁膜信頼性を向上する等のために比較的高温で行われる。たとえば、トンネルゲート絶縁膜の形成には、1000℃〜1050℃程度の熱酸化が用いられている。また、ONO膜のトップ酸化膜の形成、高電圧トランジスタのゲート絶縁膜の形成、側壁絶縁膜の形成には、950℃程度の熱酸化が用いられている。このため、これら工程をそのままDDCトランジスタのプロセスに組み入れた場合、閾値電圧制御層を形成する不純物の拡散が助長され、所望の特性を有するDDCトランジスタが形成できなくなる。
【0037】
したがって、DDCトランジスタとフラッシュメモリトランジスタとを混載するためには、これまでにフラッシュメモリトランジスタの製造に適用されたことのない新たな方法を適用し、DDCトランジスタの特性に影響しない条件でフラッシュメモリトランジスタを形成する必要がある。
【0038】
このような観点から、本実施形態による半導体装置の製造方法では、フラッシュメモリトランジスタに特有な上述の熱工程を、DDCトランジスタの特性への影響が小さい750℃程度以下の低温条件で行う。
【0039】
具体的には、トンネルゲート絶縁膜68及び高電圧トランジスタのゲート絶縁膜90(シリコン酸化膜90a)の形成を、750℃程度以下での常圧のウェット酸化により行う。常圧のウェット酸化とは、常圧状態で酸素と水素とを酸化炉外部で反応させたのちに前記酸化炉内に導入して熱酸化を行う方法である。
【0040】
また、ONO膜104のトップ酸化膜(シリコン酸化膜78)及び側壁酸化膜(シリコン酸化膜108)の形成を、バッチ式の酸化炉を用いた750℃程度以下の温度でのLPRO(Low Pressure Radical Oxidation:低圧ラジカル酸化)法による熱酸化により行う。LPRO法とは、減圧下(常圧未満の圧力下)で、酸素と水素とを独立して所定温度に設定した酸化炉チューブに供給し、それらの活性分子・原子を利用して酸化を行う方法である。バッチ式の酸化炉を用いているのは、LPRO法による低温での酸化には長時間を要するからである。ただし、LPRO法による熱酸化をバッチ処理で行うのは処理時間の観点からであり、LPRO法による熱酸化を枚葉処理で行うことを排除するものではない。
【0041】
LPRO法は熱酸化温度を低温化できる一方、バッチ式の酸化炉では酸化炉チューブ内へのガス供給が複雑となるため、常圧酸化の場合よりも酸化炉チューブ内における膜厚分布が悪化する。このため、高精度の膜厚制御が求められるトンネルゲート絶縁膜68及び高電圧トランジスタのゲート絶縁膜90(シリコン酸化膜90a)の形成には、膜厚制御性の高いウェット酸化を用いることが望ましい。
【0042】
一方、ONO膜104のトップ酸化膜(シリコン酸化膜78)は、酸化耐性の高いシリコン窒化膜76の酸化により形成するものであり、DDCトランジスタの特性を維持しうる熱処理に抑えるためには、活性種を用いるLPRO法による熱酸化が望ましい。また、側壁酸化膜(シリコン酸化膜108)の形成は、スタックゲートに生じるバーズビークを抑制する観点から、LPRO法による熱酸化が望ましい。これは、側壁酸化膜(シリコン酸化膜108)の形成に、トンネルゲート絶縁膜68及び高電圧トランジスタのゲート絶縁膜90の場合と同様の低温での常圧ウェット酸化を用いると、スタックゲートに生じるバーズビークが大きくなるからである。ここでバーズビークとは、熱酸化等によって形成した酸化膜に厚さの異なる部分が生じることをいう。
【0043】
側壁酸化膜(
図1のシリコン酸化膜108)の形成にLPRO法による熱酸化を用いることで、スタックゲートの側面に生じるバーズビークを抑制することができる。
【0044】
本願発明者等が検討を行ったところ、ONO膜104のトップ酸化膜や側壁酸化膜の形成には、トンネルゲート絶縁膜68や高電圧トランジスタのゲート絶縁膜90(シリコン酸化膜90a)に求められるほどの高精度の膜厚制御が必要とされないことが判った。
【0045】
なお、素子分離絶縁膜の角部におけるトンネルゲート絶縁膜の局所的な薄膜化を防止してフラッシュメモリトランジスタの特性を向上する観点から、素子分離絶縁膜の角部に丸みを持たせた構造が有効であるとの報告がある。このような観点からは、トンネルゲート絶縁膜の形成は高温で行うことが望ましいとも考えられる。しかしながら、本実施形態による半導体装置の製造方法により形成したフラッシュメモリトランジスタでは、後述するように、通常ロジック混載フラッシュメモリトランジスタと遜色のないデータ保持特性を実現できることができる。
【0046】
フラッシュメモリトランジスタに特有な上記の熱工程を上述の低温条件で行ったときのDDCトランジスタへの影響について本願発明者等が検討を行ったところ、満足できる特性のDDCトランジスタが得られることを確認できた。
【0047】
次に、フラッシュメモリトランジスタに特有な熱工程を低温化することによるフラッシュメモリトランジスタへの影響について本願発明者等が検討を行った結果について示す。
【0048】
図5は、フラッシュメモリトランジスタの閾値電圧の変化を示すグラフである。図中、◆印のプロットは通常ロジック混載フラッシュメモリトランジスタの結果を示し、□印,△印,◇印,○印のプロットはDDC混載フラッシュメモリトランジスタの結果を示す。
【0049】
□印,△印,◇印のフラッシュメモリトランジスタは、閾値電圧制御のためのイオン注入ドーズ量が異なっている。すなわち、□印,△印,◇印の順にイオン注入ドーズ量が多くなっている。
【0050】
○印のフラッシュメモリトランジスタは、□印,△印,◇印のフラッシュメモリトランジスタよりも加速エネルギーの高いイオン注入条件でソース/ドレイン領域(N型不純物層112)を形成したものである。すなわち、□印,△印,◇印のフラッシュメモリトランジスタはAs
+50keV 6×10
14cm
-2の条件でソース/ドレイン領域を形
成しているのに対して、○印のフラッシュメモリトランジスタはAs
+90keV 6×
10
14cm
-2の条件でソース/ドレイン領域を形成している。
【0051】
図5の横軸は、左側から順に、初期状態(INITIAL)、書き込み後(PROGRAM)、ドレインディスターブストレス後(DRAIN DISTURB)、消去後(E
RASE)、ゲートディスターブストレス後(GATE DISTURB)における閾値
電圧の測定結果を示している。ドレインディスターブストレスは、
図6に示すように、ドレイン端子(ビット線:BL)に5.5V、他の端子(ソース端子:SL、コントロールゲート:CG、Pウェル:Pwell、埋め込みNウェル:BURIED Nwell)
に0Vを印加することにより行った。ゲートディスターブストレスは、ゲート端子に10V、他の端子に0Vを印加することにより行った。
【0052】
図5に示すように、通常ロジック混載フラッシュメモリトランジスタではドレインディスターブストレス印加後の閾値電圧のシフト量は小さいが、DDC混載フラッシュメモリトランジスタではドレインディスターブストレス印加後の閾値電圧のシフト量が大きくなっている。この結果から、DDC混載フラッシュメモリトランジスタでは、ドレインディスターブ耐性が低下し、チャージロスが発生している状況が見てとれる。
【0053】
図7は、
図5の測定結果を、ドレインディスターブストレスによる閾値電圧の変化量と閾値電圧との関係に書き換えたグラフである。図中、◆印のプロットは通常ロジック混載フラッシュメモリトランジスタの結果を示し、■印及び●印のプロットはDDC混載フラッシュメモリトランジスタの結果を示す。■印のフラッシュメモリトランジスタはAs
+50keV 6×10
14cm
-2の条件でソース/ドレイン領域を形成しているのに対
して、●印のフラッシュメモリトランジスタはAs
+90keV 6×10
14cm
-2
の条件でソース/ドレイン領域を形成している。
【0054】
チャージロスの発生原因としては、フローティングゲートからドレイン端子への電子の引き抜きと、Pウェル−ドレイン間電界によって生じた電子正孔対の正孔のフローティングゲートへの注入の2通りのメカニズムが考えられる(
図6参照)。DDC混載フラッシュメモリトランジスタにおけるドレインディスターブ耐性の低下は、これらのうち主に後者が原因しているものと考えられる。
【0055】
すなわち、
図7に■印のプロットで示すように、DDC混載フラッシュメモリトランジスタでは、閾値電圧制御のためのイオン注入ドーズ量が増加するほどに閾値電圧の変化量が大きくなっている。イオン注入ドーズ量の増加はPウェル濃度の増加を意味しており、これによりPウェル−ドレイン間の電場が急峻になることによって、フローティングゲートへの正孔の注入が増加しているものと考えられる。
【0056】
したがって、Pウェル−ドレイン間の電場をなだらかにすることによって、DDC混載フラッシュメモリトランジスタにおいても、ドレインディスターブ耐性を改善できるものと考えられる。
【0057】
図7に示す●印のフラッシュメモリトランジスタにおいて閾値電圧の変化量が小さくなっているのは、正にPウェル−ドレイン間の電場がなだらかになることが原因しているものと推察される。
【0058】
すなわち、●印で示すフラッシュメモリトランジスタは、■印のフラッシュメモリトランジスタの場合よりも高加速エネルギーのイオン注入条件でソース/ドレイン領域を形成したものである。高加速エネルギーのイオン注入条件でソース/ドレイン領域を形成することにより、基板表面近傍におけるドレイン領域の不純物濃度が低下し、Pウェル−ドレイン間の電場がなだらかになったものと考えられる。
【0059】
■印のフラッシュメモリトランジスタにおける閾値電圧の変化量の傾きに基づいて、●印のフラッシュメモリトランジスタの特性から閾値電圧の変化量を外挿すると、
図7に点線で示すようになる。この結果から、高加速エネルギーのイオン注入条件でソース/ドレイン領域を形成することにより、通常ロジック混載フラッシュメモリトランジスタに近い値まで、閾値電圧の変化量を抑制できることが予測できる。
【0060】
これらのことから、DDC混載フラッシュメモリトランジスタにおいても、チャネル領域及びソース/ドレイン拡散層の不純物プロファイルを適切に制御することにより、ドレインディスターブ耐性を改善できるものと考えられる。
【0061】
図8〜
図10は、フラッシュメモリトランジスタのデータ保持特性を測定した結果を示すグラフである。10個のチップの512k個のフラッシュメモリトランジスタについて、プログラムと消去とを1000回繰り返した後、所定時間毎に閾値電圧の測定を行った結果である。
図8が通常ロジック混載フラッシュメモリトランジスタの場合であり、
図9及び
図10がDDC混載フラッシュメモリトランジスタの場合である。
図9のフラッシュメモリトランジスタはAs
+50keV 6×10
14cm
-2の条件でソース/ドレイン領域を形成したものであり、
図10のフラッシュメモリトランジスタはAs
+90keV 6×10
14cm
-2の条件でソース/ドレイン領域を形成したものである。
【0062】
図9に示すように、低加速エネルギーのイオン注入条件でソース/ドレイン領域を形成したフラッシュメモリトランジスタでは、経過時間が増加するほどにプログラム状態の閾値電圧の低下したビットが増加して、分布の裾が閾値電圧の低い側に延びている。この現象は、シングルビットチャージロスと呼ばれているものであり、トンネルゲート絶縁膜の質やSTI(素子分離絶縁膜)角の丸めと密接な関係をもっていると言われてきた。
【0063】
これに対し、
図10に示すように、高加速エネルギーのイオン注入条件でソース/ドレイン領域を形成したフラッシュメモリトランジスタでは、経過時間の増加に伴う閾値電圧の変化はほとんどなく、
図8に示す通常ロジック混載フラッシュメモリトランジスタと同等のデータ保持特性を実現することができた。
【0064】
以上の結果から、文献等で指摘されていた予測とは異なり、フラッシュメモリトランジスタに特有の熱酸化工程を低温化したり、STIの角の丸めを小さくしても、通常ロジック混載フラッシュメモリトランジスタと遜色のない絶縁膜信頼性が得られることを確認できた。
【0065】
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法について
図11乃至
図39を用いて説明する。
【0066】
まず、シリコン基板10上に、マスクアライメント用のマークとなる溝16を形成する領域に開口部14を有するフォトレジスト膜12を形成する。開口部14は、シリコン基板10の製品形成領域外、例えばスクライブ領域に形成される。
【0067】
次いで、フォトレジスト膜12をマスクとしてシリコン基板をエッチングし、開口部14内のシリコン基板12に、溝16を形成する(
図11)。
【0068】
本実施形態による半導体装置の製造方法では、素子分離絶縁膜46の形成前に、ウェルやチャネル不純物層を形成する。溝16は、素子分離絶縁膜46の形成前に行われるリソグラフィー工程(ウェルやチャネル不純物層の形成等)において、マスクアライメント用のマークとして用いられるものである。
【0069】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜12を除去する。
【0070】
次いで、シリコン基板10の全面に、例えば熱酸化法により、シリコン基板10の表面の保護膜としてのシリコン酸化膜18を形成する。
【0071】
次いで、フォトリソグラフィにより、DDC−NMOSトランジスタ領域22を露出し、他の領域を覆うフォトレジスト膜20を形成する。フォトリソグラフィの位置合わせには、溝16のマークを用いる。
【0072】
次いで、フォトレジスト膜20をマスクとしてイオン注入を行い、DDC−NMOSトランジスタ領域22に、Pウェル24と、DDC−NMOSトランジスタのチャネル不純物層となるP型不純物層26とを形成する(
図12)。
【0073】
Pウェル24は、例えば、ボロンイオン(B
+)を、加速エネルギー150keV、ドーズ量7.5×10
12cm
-2の条件で、基板法線方向に対して傾斜した4方向から、それぞれイオン注入することにより形成する。P型不純物層26は、例えば、ゲルマニウムイオン(Ge
+)を、加速エネルギー30keV、ドーズ量5×10
14cm
-2の条件で、炭素イオン(C
+)を、加速エネルギー5keV、ドーズ量5×10
14cm
-2の条件で、ボロンイオンを、加速エネルギー20keV、ドーズ量1.8×10
13cm
-2の条件で、弗化硼素イオン(BF
2+)を、加速エネルギー25keV、ドーズ量6×10
12cm
-2の条件及び加速エネルギー10keV、ドーズ量3×10
12cm
-2の条件で、それぞれイオン注入することにより形成する。ゲルマニウムは、シリコン基板10を非晶質化してボロンイオンのチャネリングを防止するとともに、シリコン基板10を非晶質化して炭素が格子点に配される確率を高めるように作用する。格子点に配された炭素は、ボロンの拡散を抑制するように作用する。かかる観点から、ゲルマニウムは、炭素及びボロンよりも先にイオン注入する。Pウェル24は、P型高濃度不純物層26よりも先に形成することが望ましい。
【0074】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜20を除去する。
【0075】
次いで、シリコン基板10の表面に、例えば810℃のISSG(in-situ steam generation)酸化法により、例えば膜厚3nmのシリコン酸化膜19を形成する。
【0076】
次いで、フォトリソグラフィにより、DDC−PMOSトランジスタ領域30を露出し、他の領域を覆うフォトレジスト膜28を形成する。フォトリソグラフィの位置合わせには、溝16のマークを用いる。
【0077】
次いで、フォトレジスト膜28をマスクとしてイオン注入を行い、DDC−PMOSトランジスタ領域30に、Nウェル32と、DDC−PMOSトランジスタのチャネル不純物層となるN型不純物層34とを形成する(
図13)。
【0078】
Nウェル32は、例えば、リンイオン(P
+)を、加速エネルギー360keV、ドーズ量7.5×10
12cm
-2の条件で、基板法線方向に対して傾斜した4方向からそれぞれイオン注入し、アンチモンイオン(Sb
+)を、加速エネルギー80keV、ドーズ量1.2×10
13cm
-2の条件及び加速エネルギー130keV、ドーズ量6×10
12cm
-2の条件でイオン注入することにより形成する。N型不純物層34は、例えば、アンチモンイオンを、加速エネルギー20keV、ドーズ量6×10
12cm
-2の条件でイオン注入することにより形成する。
【0079】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜28を除去する。
【0080】
なお、ここでは2種類のDDCトランジスタを形成する場合を示すが、閾値電圧の異なるDDCトランジスタや耐圧の異なるDDCトランジスタを更に形成する場合には、同様のプロセスを繰り返し、または、閾値電圧制御用のイオン注入のみを追加して、所定のウェル及びチャネル領域となる不純物層を形成する。
【0081】
次いで、不活性雰囲気中で熱処理を行い、シリコン基板10に導入されたイオン注入ダメージを回復するとともに、注入した不純物を活性化する。例えば、窒素雰囲気中で、600℃150秒の熱処理を行う。
【0082】
次いで、例えば弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにより、シリコン酸化膜19を除去する。
【0083】
次いで、例えば810℃のISSG(in-situ steam generation)酸化法により例えば膜厚3nmのシリコン酸化膜を成長し、弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにより除去する。こうして、イオン注入時に発生したシリコン表面のノックオン酸素を含む領域を除去する。
【0084】
次いで、例えばCVD法により、シリコン基板10の表面に、例えば膜厚35nmのノンドープのシリコン層(エピタキシャルシリコン層)36をエピタキシャル成長する(
図14)。
【0085】
なお、フラッシュメモリを混載しないDDCトランジスタプロセスでは、例えば膜厚25nm程度のエピタキシャルシリコン層を成長する。本実施形態による半導体装置の製造方法においてエピタキシャルシリコン層36の膜厚を厚くしているのは、フラッシュメモリ混載プロセスに特有の酸化工程等によるエピタキシャルシリコン層36の膜減りを考慮したものである。
【0086】
次いで、例えばISSG法により、減圧下でエピタキシャルシリコン層36の表面をウェット酸化し、例えば膜厚3nmのシリコン酸化膜38を形成する。処理条件は、例えば、温度を810℃、時間を20秒間とする。ここで、本ウェット酸化の処理時間は20秒間と短時間であるため、DDCトランジスタの閾値電圧の変動についての影響は無視できる範囲である。
【0087】
次いで、シリコン酸化膜38上に、例えば減圧CVD法により、例えば膜厚80nmのシリコン窒化膜40を堆積する。処理条件は、例えば、温度を700℃、時間を150分間とする。
【0088】
次いで、フォトリソグラフィにより、シリコン窒化膜40上に、素子分離領域を露出するフォトレジスト膜42を形成する。フォトリソグラフィの位置合わせには、溝16のマークを用いる。
【0089】
次いで、ドライエッチングにより、フォトレジスト膜42をマスクとして、シリコン窒化膜40、シリコン酸化膜38、エピタキシャルシリコン層36及びシリコン基板10を異方性エッチングする。これにより、各トランジスタ領域の間の領域を含む素子分離領域に、素子分離溝44を形成する(
図15)。
【0090】
次いで、LPRO法により、エピタキシャルシリコン層36及びシリコン基板10の表面を酸化し、素子分離溝44の内壁に、ライナー膜として、例えば膜厚10nmのシリコン酸化膜を形成する。酸化条件は、例えば、温度を650℃、酸素流量を7slm、水素流量を3slm、圧力を0.95Torr、時間を125分とする。LPRO法によれば、750℃程度以下のような低温でのシリコン酸化膜の形成が可能となる。
【0091】
ただし、LPRO法は、酸化炉チューブ内へのガス供給が複雑となるため、常圧酸化の場合よりも酸化炉チューブ内における膜厚分布が悪化する。本発明者等の試作結果では、10nmの成膜に対して、0.2nm〜0.3nm程度の炉内分布が認められた。この炉内分布の値は、常圧酸化を用いた場合の2倍〜3倍程度である。
【0092】
ライナー膜には高精度の膜厚制御は不要であることから、LPRO法を用いて酸化温度の低温化を図ることが可能である。
【0093】
次いで、例えば高密度プラズマCVD法により、例えば膜厚500nmのシリコン酸化膜を堆積し、素子分離溝44をシリコン酸化膜によって埋め込む。
【0094】
次いで、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により、シリコン窒化膜
40上のシリコン酸化膜を除去する。こうして、いわゆるSTI(Shallow Trench Isolation)法により、素子分離溝44に埋め込まれたシリコン酸化膜により、素子分離絶縁膜46を形成する(
図16)。
【0095】
次いで、シリコン窒化膜40をマスクとして、例えば弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにより、素子分離絶縁膜46を、例えば30nm程度エッチングする。このエッチングは、完成したトランジスタにおいて、エピタキシャルシリコン層36の表面の高さと素子分離絶縁膜46の表面の高さとが同程度になるように調整するためのものである。
【0096】
次いで、例えばホットリン酸を用いたウェットエッチングにより、シリコン窒化膜40を除去する(
図17)。
【0097】
次いで、フォトリソグラフィにより、メモリセル領域50及び高電圧NMOSトランジスタ領域52を露出するフォトレジスト膜48を形成する。
【0098】
次いで、フォトレジスト膜48をマスクとしてイオン注入を行い、メモリセル領域50及び高電圧NMOSトランジスタ領域52に、Pウェル54及び埋め込みNウェル56を形成する(
図18)。
【0099】
Pウェル54は、例えば、硼素イオンを、加速エネルギー420keV、ドーズ量1.4×10
13cm
-2の条件及び加速エネルギー150keV、ドーズ量1.6×10
12cm
-2の条件でイオン注入することにより形成する。また、埋め込みNウェル56は、例えば、燐イオンを、加速エネルギー2MeV、ドーズ量2×10
13cm
-2の条件でイオン注入することにより形成する。
【0100】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜48を除去する。
【0101】
次いで、フォトリソグラフィにより、高電圧PMOSトランジスタ領域60を露出するフォトレジスト膜58を形成する。
【0102】
次いで、フォトレジスト膜58をマスクとしてイオン注入を行い、高電圧PMOSトランジスタ領域60に、Nウェル62を形成する(
図19)。Nウェル62は、例えば、燐イオンを、加速エネルギー480keV、ドーズ量2.9×10
12cm
-2の条件でイオン注入することにより形成する。
【0103】
なお、これによりPウェル54は、Nウェル62と埋め込みNウェル56(Nウェル32でもよい)とにより囲まれた二重ウェルとなる。
【0104】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜58を除去する。
【0105】
次いで、フォトリソグラフィにより、メモリセル領域50を露出するフォトレジスト膜64を形成する。
【0106】
次いで、フォトレジスト膜64をマスクとしてイオン注入を行い、メモリセル領域50に、閾値電圧制御用のチャネル不純物層となるP型不純物層66を形成する(
図20)。
【0107】
P型不純物層66は、例えば、硼素イオンを、加速エネルギー15keV、ドーズ量5.0×10
13cm
-2の条件でイオン注入することにより形成する。
【0108】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜64を除去する。
【0109】
次いで、例えば弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにより、シリコン酸化膜38を除去する。
【0110】
次いで、エピタキシャルシリコン層36の表面をウェット雰囲気中で熱酸化し、エピタキシャルシリコン層36の表面に、例えば膜厚10nmのシリコン酸化膜よりなるトンネルゲート絶縁膜68を形成する。トンネルゲート絶縁膜68は、例えば、温度を750℃、窒素流量を5.28slm、酸素流量を4.8slm、水素流量を0.264slm、圧力を常圧、時間を65分として、成膜を行う。
【0111】
なお、トンネルゲート絶縁膜68の成膜には、高い膜厚制御性が求められるため、LPRO法ではなくウェット酸化法を用いる。
【0112】
次いで、トンネルゲート絶縁膜68が形成されたシリコン基板10上に、例えばCVD法により、燐が添加されたポリシリコン膜70を堆積する。
【0113】
次いで、フォトリソグラフィにより、フローティングゲート102となるポリシリコン膜70のパターニング用のフォトレジスト膜72を形成する。
【0114】
次いで、フォトレジスト膜72をマスクとしてポリシリコン膜70をパターニングし、メモリセル領域以外のポリシリコン膜70を除去するとともに、隣接するメモリトランジスタ間のフローティングゲートを分離するための予備的な加工を行う(
図21)。
【0115】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜72を除去する。
【0116】
次いで、全面に、例えば減圧CVD法により、例えば膜厚5nmのシリコン酸化膜74を堆積する。成膜温度は、例えば750℃とする。
【0117】
次いで、シリコン酸化膜74上に、例えば減圧CVD法により、例えば膜厚10nmのシリコン窒化膜76を堆積する(
図22)。
【0118】
次いで、LPRO法により、シリコン窒化膜76の表面を酸化し、例えば膜厚5nmのシリコン酸化膜78を形成する(
図23)。酸化条件は、例えば、温度を750℃、酸素流量を7slm、水素流量を3slm、圧力を0.95Torr、時間を30分とする。LPRO法を用いることにより、酸化温度を750℃程度以下まで低温化することができ、DDCトランジスタ部の不純物の拡散を抑制することができる。
【0119】
なお、通常のウェット酸化によって同じ膜厚のシリコン酸化膜を成長するためには、950℃で酸化しても、シリコン上における膜厚換算で240nm程度の成長に要する酸化時間が必要があり、DDCトランジスタ部の不純物の拡散を抑制することは不可能である。
【0120】
なお、このように形成されるシリコン酸化膜78/シリコン窒化膜76/シリコン酸化膜74の積層膜(ONO膜)は、メモリトランジスタのゲート間絶縁膜となる。
【0121】
次いで、フォトリソグラフィにより、高電圧NMOSトランジスタ領域52を露出するフォトレジスト膜80を形成する。
【0122】
次いで、フォトレジスト膜80をマスクとしてイオン注入を行い、高電圧NMOSトランジスタ領域52に、閾値電圧制御用のチャネル不純物層となるP型不純物層82を形成する(
図24)。P型不純物層82は、例えば、硼素イオンを、加速エネルギー10keV、ドーズ量1.5×10
12cm
-2の条件でイオン注入することにより形成する。
【0123】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜80を除去する。
【0124】
次いで、フォトリソグラフィにより、高電圧PMOSトランジスタ領域60を露出するフォトレジスト膜84を形成する。
【0125】
次いで、フォトレジスト膜84をマスクとしてイオン注入を行い、高電圧PMOSトランジスタ領域60に、閾値電圧制御用のチャネル不純物層となるN型不純物層86を形成する(
図25)。N型不純物層86は、例えば、燐イオンを、加速エネルギー25keV、ドーズ量1.6×10
12cm
-2の条件でイオン注入することにより形成する。
【0126】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜84を除去する。
【0127】
次いで、フォトリソグラフィにより、メモリセル領域を覆い、高電圧トランジスタ領域及びDDCトランジスタ領域を露出するフォトレジスト膜88を形成する。
【0128】
次いで、フォトレジスト膜88をマスクとして、シリコン酸化膜78、シリコン窒化膜76、シリコン酸化膜74,68をエッチングし、高電圧トランジスタ領域及びDDCトランジスタ領域のONO膜を除去する(
図26)。
【0129】
次いで、エピタキシャルシリコン層36の表面をウェット雰囲気中で熱酸化し、エピタキシャルシリコン層36の表面上に、例えば膜厚10nmのシリコン酸化膜90aを形成する。シリコン酸化膜90aは、例えば、温度を750℃、窒素流量を5.28slm、酸素流量を4.8slm、水素流量を0.264slm、圧力を常圧、時間を65分として、成膜を行う。
【0130】
なお、後にゲート絶縁膜となるシリコン酸化膜90aの成膜には、高い膜厚制御性が求められるため、LPRO法ではなくウェット酸化法を用いる。
【0131】
次いで、フォトリソグラフィにより、DDCトランジスタ領域を露出し、他の領域を覆うフォトレジスト膜92を形成する。
【0132】
次いで、例えば弗酸水溶液を用いたウェットエッチングにより、フォトレジスト膜92をマスクとしてシリコン酸化膜90aをエッチングする。これにより、DDCトランジスタ領域のシリコン酸化膜90aを除去する(
図27)。
【0133】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜90を除去する。
【0134】
次いで、例えばISSG法により、減圧下でエピタキシャルシリコン層36の表面をウェット酸化する。これにより、DDCトランジスタ領域に、例えば膜厚2nmのシリコン酸化膜よりなるゲート絶縁膜94を形成するとともに、シリコン酸化膜90aを追加酸化してゲート絶縁膜90を形成する(
図28)。処理条件は、例えば温度を810℃、時間を20秒間とする。ここで、本ウェット酸化の処理時間は20秒間と短時間であるため、DDCトランジスタの閾値電圧の変動についての影響は無視できる範囲である。
【0135】
なお、ゲート絶縁膜90,94を形成する際の酸化工程は、DDCトランジスタの通常プロセスであり、DDCトランジスタのゲート絶縁膜形成プロセスの酸化条件をそのまま用いることができる。
【0136】
次いで、不活性ガス雰囲気中で、例えば1050℃、1秒間の短時間熱処理を行う。ここで、本熱処理の処理時間は1秒間と短時間であるため、DDCトランジスタの閾値電圧の変動についての影響は無視できる範囲である。
【0137】
次いで、全面に、例えば減圧CVD法により、例えば膜厚100nmのノンドープのポリシリコン膜96を堆積する。処理条件は、例えば、温度を605℃とする。
【0138】
次いで、ポリシリコン膜96上に、例えばプラズマCVD法により、例えば膜厚50nmのシリコン窒化膜98を堆積する(
図29)。
【0139】
次いで、フォトリソグラフィにより、メモリセル領域にメモリトランジスタのゲートパターンを有し、他の領域を覆うフォトレジスト膜100を形成する。
【0140】
次いで、フォトレジスト膜100をマスクとして、シリコン窒化膜98、ポリシリコン膜96、シリコン酸化膜78、シリコン窒化膜76、シリコン酸化膜74、ポリシリコン膜70をパターニングする。これにより、メモリセル領域に、ポリシリコン膜70よりなるフローティングゲート102と、ONO膜104と、ポリシリコン膜96よりなるコントロールゲート106と、シリコン窒化膜98とを有するゲートスタック構造を形成する。ONO膜104は、シリコン酸化膜74、シリコン窒化膜76及びシリコン酸化膜78の積層膜である(
図30)。
【0141】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜100を除去する。
【0142】
次いで、LPRO法により、ゲートスタック構造の側壁部分を酸化し、例えば膜厚10nmのシリコン酸化膜108を形成する(
図31)。酸化条件は、例えば、温度を750℃、酸素流量を7slm、水素流量を3slm、圧力を0.95Torr、時間を45分とする。LPRO法を用いることにより、酸化温度を750℃程度以下まで低温化することができ、DDCトランジスタ部の不純物の拡散を抑制することができる。
【0143】
次いで、フォトリソグラフィにより、メモリセル領域を露出し、他の領域を覆うフォトレジスト膜110を形成する。
【0144】
次いで、フォトレジスト膜110及びゲートスタック構造をマスクとしてイオン注入を行い、メモリセル領域に、ソース/ドレイン領域となるN型不純物層112を形成する(
図32)。例えば、砒素イオンを、加速エネルギー90keV、ドーズ量6×10
14cm
-2の条件でイオン注入し、N型不純物層112を形成する。
【0145】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜110を除去する。
【0146】
次いで、LPRO法により、ゲートスタック構造の側壁部分を、再度、10nm程度酸化する。酸化条件は、例えば、温度を750℃、酸素流量を7slm、水素流量を3slm、圧力を0.95Torr、時間を45分とする。LPRO法を用いることにより、酸化温度を750℃程度以下まで低温化することができ、DDCトランジスタ部の不純物の拡散を抑制することができる。なお、図面では、二度の酸化で形成されるシリコン酸化膜も、シリコン酸化膜108と表している。
【0147】
次いで、例えば減圧CVD法により、シリコン窒化膜を堆積する。
【0148】
次いで、このシリコン窒化膜及びシリコン窒化膜98を異方性エッチングし、ゲートスタック構造の側壁部分に、シリコン窒化膜よりなる側壁絶縁膜114を形成する(
図33)。
【0149】
次いで、フォトリソグラフィにより、DDCトランジスタ領域及び高電圧トランジスタ領域にゲートパターンを有し、メモリセル領域を覆うフォトレジスト膜116を形成する。
【0150】
次いで、フォトレジスト膜116をマスクとしてポリシリコン膜96をパターニングし、DDCトランジスタ領域及び高電圧トランジスタ領域に、ゲート電極118を形成する(
図34)。
【0151】
次いで、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜116を除去する。
【0152】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、DDC−NMOSトランジスタ領域に、LDD領域となるN型不純物層120を形成する。また、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、DDC−PMOSトランジスタ領域に、LDD領域となるP型不純物層122を形成する。また、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、高電圧NMOSトランジスタ領域に、LDD領域となるN型不純物層124を形成する。また、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、高電圧PMOSトランジスタ領域に、LDD領域となるP型不純物層126を形成する(
図35)。
【0153】
次いで、例えば減圧CVD法により、シリコン酸化膜を堆積する。
【0154】
次いで、このシリコン酸化膜を異方性エッチングし、メモリトランジスタのゲートスタック構造の側壁部分及びゲート電極118の側壁部分に、シリコン酸化膜よりなる側壁絶縁膜128を形成する(
図36)。
【0155】
次いで、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、DDC−NMOSトランジスタ領域、高電圧NMOSトランジスタ領域及びメモリセル領域に、ソース/ドレイン領域となるN型不純物層130を形成する。また、フォトリソグラフィ及びイオン注入により、DDC−PMOSトランジスタ領域及び高電圧PMOSトランジスタ領域に、ソース/ドレイン領域となるP型不純物層132を形成する(
図37)。
【0156】
N型不純物層130は、例えば、燐イオンを、加速エネルギー8keV、ドーズ量8.0×10
15cm
-2の条件でイオン注入することにより形成する。また、P型不純物層132は、例えば、硼素イオンを、加速エネルギー4keV、ドーズ量4.0×10
15cm
-2の条件でイオン注入することにより形成する。
【0157】
次いで、不活性ガス雰囲気中で、例えば1025℃、0秒間の短時間熱処理を行い、注入した不純物の活性化並びにコントロールゲート106及びゲート電極118中の拡散を行う。ここで、本熱処理の処理時間は短時間であるため、DDCトランジスタの閾値電圧の変動についての影響は無視できる範囲である。
【0158】
この熱処理により、DDC−NMOSトランジスタ領域には、N型不純物層120,130よりなるN型ソース/ドレイン領域134が形成される。また、DDC−PMOSトランジスタ領域には、P型不純物層122,133よりなるP型ソース/ドレイン領域136が形成される。また、高電圧NMOSトランジスタ領域には、N型不純物層124,130よりなるN型ソース/ドレイン領域138が形成される。また、高電圧PMOSトランジスタ領域には、P型不純物層126,132よりなるP型ソース/ドレイン領域140が形成される。また、メモリセル領域には、N型不純物層112,130よりなるN型ソース/ドレイン領域142が形成される。
【0159】
次いで、サリサイドプロセスにより、コントロールゲート106上、ゲート電極118上、N型ソース/ドレイン領域134,138,142上及びP型ソース/ドレイン領域136,140上に、金属シリサイド膜144を選択的に形成する(
図38)。金属シリサイド膜144は、特に限定されるものではないが、例えば、コバルトシリサイド膜を適用することができる。
【0160】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚50nmのシリコン窒化膜を堆積し、エッチングストッパ膜としてのシリコン窒化膜を形成する。
【0161】
次いで、シリコン窒化膜上に、例えば高密度プラズマCVD法により、例えば膜厚500nmのシリコン酸化膜を堆積する。
【0162】
これにより、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜との積層膜の層間絶縁膜146を形成する。
【0163】
次いで、例えばCMP法により、層間絶縁膜146の表面を研磨し、平坦化する。
【0164】
次いで、層間絶縁膜146に埋め込まれたコンタクトプラグ148、コンタクトプラグ148に接続された配線150等を形成する(
図39)。
【0165】
この後、所望のバックエンドプロセスを行い、本実施形態による半導体装置を完成する。
【0166】
このように、本実施形態によれば、DDCトランジスタ及びフラッシュメモリトランジスタの特性を低下することなくこれらトランジスタを混載することができる。
【0167】
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0168】
例えば、上記実施形態では、最も好ましい条件として、トンネルゲート絶縁膜68の形成工程、ゲート絶縁膜90の形成工程、シリコン酸化膜78の形成工程及びシリコン酸化膜108の形成工程の総てを低温条件で行ったが、必ずしも総てを低温化する必要はない。DDCトランジスタの特性への影響を考慮しつつ、低温化する工程を適宜選択するようにしてもよい。例えば、上記4工程のうち最も酸化が困難な工程はシリコン酸化膜78の形成工程であり、この工程だけを低温化するようにしてもよい。
【0169】
また、上記実施形態では、トンネルゲート絶縁膜68の形成工程、ゲート絶縁膜90の形成工程、シリコン酸化膜78の形成工程及びシリコン酸化膜108の形成工程として、それぞれに好適な熱酸化条件を例示したが、各工程の熱酸化条件はこれらに限定されるものではない。DDCトランジスタの特性への影響を防止する観点からは、これら熱酸化工程を750℃以下の温度で行えばよい。上記各工程の熱酸化方法は、所望の特性のフラッシュメモリトランジスタが得られる範囲で、適宜選択することが望ましい。
【0170】
また、上記実施形態に記載した半導体装置の構造、構成材料、製造条件等は、一例を示したものにすぎず、当業者の技術常識等に応じて適宜修正や変更が可能である。
【0171】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0172】
(付記1) 第1の領域及び第2の領域を含む半導体基板の前記第1の領域に、不純物層を形成する工程と、
前記不純物層を形成した前記半導体基板の前記第1の領域上及び前記第2の領域上に、シリコン層をエピタキシャル成長する工程と、
前記第2の領域上の前記シリコン層上に、トンネルゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記トンネルゲート絶縁膜上に、第1の導電体層を形成する工程と、
前記第1の導電体層上に、第1のシリコン酸化膜と、シリコン窒化膜とを形成する工程と、
減圧状態で酸素と水素とを酸化炉内に独立に導入し、前記シリコン窒化膜を酸素の活性種及び水素の活性種に暴露することにより、前記シリコン窒化膜を酸化し、前記シリコン窒化膜上に第2のシリコン酸化膜を形成する工程と、
前記第1の領域上の前記シリコン層上に、第1のゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記第2のシリコン酸化膜上及び前記第1のゲート絶縁膜上に、第2の導電体層を形成する工程と、
前記第2の領域の、前記第2の導電体層、前記第2のシリコン酸化膜、前記シリコン窒化膜、前記第1のシリコン酸化膜及び前記第1の導電体層をパターニングし、前記第2の領域上に、不揮発メモリトランジスタのスタックゲートを形成する工程と、
前記第1の領域上の前記第2の導電体層をパターニングし、MIS型トランジスタのゲート電極を形成する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0173】
(付記2) 付記1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2のシリコン酸化膜を形成する工程は、750℃以下の温度で行う
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0174】
(付記3) 付記1又は2記載の半導体装置の製造方法において、
前記トンネルゲート絶縁膜を形成する工程では、常圧状態で酸素と水素とを酸化炉外部で反応させたのちに前記酸化炉内に導入して前記シリコン層を酸化することにより、前記第2のシリコン酸化膜を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0175】
(付記4) 付記1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記トンネルゲート絶縁膜を形成する工程は、750℃以下の温度で行う
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0176】
(付記5) 付記1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体基板は、第3の領域を更に有し、
前記第2のシリコン酸化膜を形成する工程の後、前記第1のゲート絶縁膜を形成する工程の前に、前記半導体基板の前記第2の領域上及び前記第3の領域上に、常圧状態で酸素と水素とを酸化炉外部で反応させたのちに前記酸化炉内に導入して前記シリコン層を酸化することにより、第2のゲート絶縁膜を形成する工程と、前記第2の領域上の前記第2のゲート絶縁膜を除去する工程とを更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0177】
(付記6) 付記5記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2のゲート絶縁膜を形成する工程は、750℃以下の温度で行う
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0178】
(付記7) 付記1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記スタックゲートを形成する工程の後、前記ゲート電極を形成する工程の前に、前記スタックゲートを酸化し、前記スタックゲートの側壁部分に第3のシリコン酸化膜を形成する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0179】
(付記8) 付記7記載の半導体装置の製造方法において、
前記第3のシリコン酸化膜を形成する工程では、減圧状態で酸素と水素とを酸化炉内に独立に導入し、各々の活性元素を前記シリコン窒化膜の前記表面に暴露することにより、前記第3のシリコン酸化膜を形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0180】
(付記9) 付記7又は8記載の半導体装置の製造方法において、
前記第3のシリコン酸化膜を形成する工程は、750℃以下の温度で行う
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0181】
(付記10) 付記1乃至9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記前記第2のシリコン酸化膜を形成する工程は、バッチ処理で行う
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0182】
(付記11) 第1の領域及び第2の領域を含む半導体基板の前記第1の領域に、不純物層を形成する工程と、
前記不純物層を形成した前記半導体基板の前記第1の領域上及び前記第2の領域上に、シリコン層をエピタキシャル成長する工程と、
前記シリコン層を750℃以下の温度で酸化し、前記第2の領域上の前記シリコン層上にトンネルゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記トンネルゲート絶縁膜上に、第1の導電体層を形成する工程と、
前記第1の導電体層上に、第1のシリコン酸化膜と、シリコン窒化膜とを形成する工程と、
前記シリコン窒化膜を750℃以下の温度で酸化し、前記シリコン窒化膜上に第2のシリコン酸化膜を形成する工程と、
前記第1の領域上の前記シリコン層上に、第1のゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記第2のシリコン酸化膜上及び前記第1のゲート絶縁膜上に、第2の導電体層を形成する工程と、
前記第2の領域の、前記第2の導電体層、前記第2のシリコン酸化膜、前記シリコン窒化膜、前記第1のシリコン酸化膜及び前記第1の導電体層をパターニングし、前記第2の領域上に、不揮発メモリトランジスタのスタックゲートを形成する工程と、
前記第1の領域上の前記第2の導電体層をパターニングし、MIS型トランジスタのゲート電極を形成する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0183】
(付記12) 付記11記載の半導体装置の製造方法において、
前記半導体基板は、第3の領域を更に有し、
前記第2のシリコン酸化膜を形成する工程の後、前記第1のゲート絶縁膜を形成する工程の前に、前記第1の半導体層を750℃以下の温度で酸化し、前記半導体基板の前記第2の領域上及び前記第3の領域上に、第2のゲート絶縁膜を形成する工程と、前記第2の領域上の前記第2のゲート絶縁膜を除去する工程とを更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0184】
(付記13) 付記11又は12記載の半導体装置の製造方法において、
前記スタックゲートを形成する工程の後、前記ゲート電極を形成する工程の前に、前記スタックゲートを750℃以下の温度で酸化し、前記スタックゲートの側壁部分に第3のシリコン酸化膜を形成する工程を更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。